JPS6127855B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明は、周期磁界集束装置を用いた進行波管
装置の改良に関する。

周知の通り、進行波管装置においては、電子銃
より放射される電子ビームは、らせん状の導体か
らなるヘリツクスの内側を通つてコレクタに捕集
される。電子ビームが細長いヘリツクスの内側を
通る時、電子ビームの直径が拡がらないように電
子流を一定の径に集束するための電子ビーム集束
装置が取付けられている。すなわち、従来の進行
波管装置を示す第１図ａ，ｂにおいて、進行波管
管球は、電子銃部２と、この電子銃から発射され
た電子ビームを最終的に捕集するコレクタ７と、
電子銃部２とコレクタ７との間にあり、電子ビー
ムが内側を通過するらせん状の導体からなるヘリ
ツクス３とを含むものであり、６はヘリツクス部
に高周波入力を導入する入力導波管、６′はヘリ
ツクス部で増幅された高周波を出力する出力導波
管である。ヘリツクス３の外周には、環状の永久
磁石４と同じく環状のポールピース５とが交互に
組合されてなる周期磁界装置が取付けられ、さら
に、周期磁界装置の取付けられた管球は、ケース
基板８に取付けられ、ケースカバー１で全体を覆
い、ケース内部の空隙を樹脂９で充填し、周期磁
界装置と管球との相互位置を堅固に固定してい
る。

永久磁石４と環状ポールピース５とを交互に多
数配置した周期磁界装置により、電子ビームの中
心軸、即ち集束装置の中心軸上にほぼ正弦波状に
周期的に変化する軸方向磁界が発生し、磁気レン
ズを等間隔においたと同様に作用し、集束レンズ
として電子ビームの電子相互の反発による発散が
防止される。

ところで、上記のような進行波管装置において
は、一般的に、電子ビーム透過率が最高になるよ
うに、進行波管のヘリツクス部における電子ビー
ム透過率を電流計などで観測しながら集束装置を
調整し、そして、電子ビーム透過率が最高になつ
た状態で、集束装置の外側に金属ケースカバー１
を装着した後、金属ケースカバー内部に形成され
る空隙に樹脂９を充填し、硬化させていた。

しかし、上記の方法によると、樹脂９を多量に
使用するため、進行波管装置の重量が増すばかり
でなく、周期磁界集束装置の周囲が樹脂９で厚く
被われている。このような状態では、進行波管装
置の周囲温度の温度変化による樹脂９の熱膨脹或
は熱収縮が、進行波管本体、永久磁石４及びポー
ルピース５のそれよりはるかに大きいので、進行
波管本体がわずかに曲がつたり永久磁石４、ポー
ルピース５などの微小な位置ずれを生じ、進行波
管の電子ビーム透過特性が周囲温度の変化により
劣化するという欠点があつた。

本発明は、電子ビーム透過率を調整した後の周
期磁界集束装置の半周を囲むように半円筒形支持
部材を設け、前記周期磁界集束装置と、前記半円
筒形支持部材との間に樹脂を充填・硬化させるこ
とによつて、上記欠点を除去すべくなされたもの
である。

以下、本発明の実施例を図面を参照して説明す
る。第２図ａ，ｂにおいて、周期磁界集束装置は
永久磁石４、ポールピース５からなり、両端部近
辺に高周波入力部６、高周波出力部６′が配設さ
れている。まず、集束装置の中心軸上の磁界を調
整し、電子ビーム透過率が最高になるようにする
そして、電子ビーム透過率が最高になつた状態の
周期磁界集束装置を下から囲むように半円筒形支
持部材１１を金属製ケース基板８に部品１０を介
して固定する。半円筒形支持部材１１には非磁性
で機械的に丈夫で、また加工が容易なアルミ合金
板が最適である。半円筒形支持部材１１の内面と
永久磁石４の外面との間には永久磁石４の外径の
1/3以下となるほどのわずかな隙間があくように
しておく。次に樹脂９を半円筒形支持部材１１の
内面と、永久磁石４の外面との隙間に充填し、加
えて、半円筒形支持部材１１によつて包囲されて
いない永久磁石４の上半面の外周にも樹脂９を薄
く塗布し、樹脂９を硬化させ、周期磁界集束装置
を半円筒形支持部材１１に堅く保持する。電子銃
部２及びコレクタ部７には進行波管の各電極間を
電気的に絶縁する為、絶縁抵抗が高い樹脂９′を
充填し、硬化させる。

以上述べてきたように、本発明によれば、周期
磁界集束装置を保持固定する手段として樹脂を永
久磁石の外周に薄く充填し硬化させる方法を採用
しているので、進行波管装置の重量が著しく軽減
できる。また、周期磁界集束装置の周囲に充填す
る樹脂の量が少ない為、進行波管の周囲温度の温
度変化による樹脂の熱膨脹或は熱収縮による進行
波管本体の機械的変形、永久磁石及びポールピー
スの位置ずれが低減され、電子ビーム透過特性に
与える影響は少なくなり、温度変化に対する電子
ビーム透過特性を安定にすることができる。

なお、上記実施例では進行波管装置の高周波入
出力結合装置として同軸結合方式を用いたが、導
波管結合方式の進行波管装置にも適用できること
は勿論である。

【図面の簡単な説明】

第１図ａは従来の進行波管装置のケース破裁の
側面図、第１図ｂは第１図ａの軸に直角なＡ―Ａ
矢視断面図である。第２図ａはこの発明の実施例
のケース破裁の側面図である。但し樹脂を除いて
示してある。第２図ｂは第２図ａにおいて樹脂を
充填した場合の、軸に直角なＢ―Ｂ矢視断面図で
ある。 １……ケースカバー、２……電子銃部、３……
ヘリツクス、４……永久磁石、５……環状ポール
ピース、７……コレクタ、８……ケース基板、９
……充填樹脂、１１……半円筒支持部材。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ 進行波管管球と、この進行波管管球のヘリツ
   クスの外周を囲むように複数個の永久磁石と複数
   個のポールピースとからなる周期磁界集束装置を
   配設した進行波管装置において、前記周期磁界集
   束装置の外周に薄く樹脂を塗布し硬化させると共
   に、前記周期磁界集束装置の半周を囲むように非
   磁性金属からなる半円筒形支持部材を設け、前記
   周期磁界集束装置と前記半円筒形支持部材との間
   にも樹脂を充填硬化させたことを特徴とする進行
   波管装置。