JPS6125835B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明は織物、編物等の布生地に模様を複写す
る方法に関し、短尺の布生地にも適用されるが、
特に長尺柔軟布に模様を連続的に複写するのに有
効なものである。以下の説明は長尺布生地につい
てのものである。

即ち、本発明は長尺紙用の複写機とほぼ同一構
成の複写機を利用し、これにより従来の染色、捺
染等の複雑な装置及び煩雑な方法によることな
く、極めて簡素化された装置と操作で模様顕出す
るようになし、特に柔軟な長尺布に友禅染の手描
き或は白黒の絣模様、プリント柄模様等を容易に
連続して複写顕出する方法を提供するものであ
る。

従来、手描き友禅等においては絹布などに花
鳥、風月などの模様を顕出する前の工程の一つと
して布に先ずその模様の輪郭を細く手描きしてい
る。而もこの手描きは長尺物の各布毎に施すもの
であるからその作業には相当多くの労力と時間と
を必要としていた。

本発明は上記の欠点に鑑みてなされたものであ
つて、従来の長尺紙用の複写機を改良し、普通友
禅等に使用されるような柔軟な長尺布に対しても
友禅染めの模様の輪郭を始め白黒の柄模様を機械
的に連続して容易に顕出できるようになし、その
作業能率を大きく向上したものである。従来の複
写機そのままの使用では被複写布を筐体内のセレ
ンドラムに誘導して筐体から導出する複数個のガ
イドローラ間を通過させる間に柔軟な布ではその
先端部のローラ食込みが行われずに垂れ下がつて
しまい、複写は不可能であつた。

以下、本発明を図示の一実施例を参照しながら
説明する。

第１図はこの発明の方法を実施するための装置
の一例を示すもので、従来の長尺紙用の複写機と
ほぼ同様に構成されており、セレンドラム１、光
源２及び複数個のガイドローラ３，３………を主
要部とした複写機ａである。セレンドラム１は筐
体４内のほぼ中央部に回転可能に軸架し、筐体４
の上面に設けた光源２からの光を受けて通電し、
ドラム表面に塗布したトナーを処理品である柔軟
な布生地５に複写する。光源２は図示の如く長尺
の原紙６が移行通過する筐体上面の受光部７の真
下に設けてあつて、原紙６の模様、輪郭線等をセ
レンドラム１に反射投光する。セレンドラム１は
原紙６の模様等をそのまま布生地５に複写、定着
する。また、複数個のガイドローラ３，，３……
…は前記布生地５に複写を施すために、これを一
対のローラで把持、誘導し、セレンドラム１の一
部周面に圧接して移行させるようにセレンドラム
１に対向して筐体４の入口８から出口９に亘り適
当な間隔長さｌをおいて彎曲状に配列してある。
各ガイドローラ３はセレンドラム１の表面速度と
同一速度で同時に積極的に回転させる。また、こ
のガイドローラ３による布送り速度は原紙６の受
光部７内移行速度と同一とする。

ここで本発明は柔軟な布生地５の先端部に第２
図に示すようにガイドローラ３の間隔長さｌより
若干長くし、布生地と同一幅又はほぼ同一幅にし
た紙片１０又は合成樹脂製薄版等を固着し、ガイ
ドローラへの送入先端部を撓曲性を持つた硬質部
とする。なお、この布先端の硬質部形成は、布生
地の先端部に上記紙片と同一長さ、同一幅にして
糊剤又は合成樹脂剤等を塗布固定し先端部の生地
目体を硬質化してもよい。かかる布生地先端部の
硬質部形成をガイドローラ３に送給する前に施し
ておく。これにより上記撓曲性を持たせた硬質の
紙片１０を入口８のガイドローラ３に食込ませる
と紙片１０は、その硬質によりローラ間で垂れ下
つたりすることなく確実に次位のガイドローラ３
にその先端を食込ませて移行し、且つその移行は
紙片１０の長さをローラ間隔ｌより長くしてある
から前後ローラのニツプ点に跨つてなされるので
紙片１０は布生地５の先導部となつて筐体入口８
から出口９に向い彎曲軌道を画いて円滑に移行す
る。従つて布生地５はその柔軟性に拘らず垂れ下
つたりすることなく紙片１０に後続し、緊張して
筐体４内を移行しその間にセレンドラム１の一部
周面に順次圧接移行し複写、定着を付与される。

つぎに本発明の実施態様を、長尺柔軟布に友禅
模様の輪郭を複写する場合を例として説明する。

先ず友禅模様の輪郭を画いた長尺の巻取り原紙
６及び紙片１０を取付けて巻取り状にした柔軟な
布生地５を夫々第３図に示すように複写機ａの筐
体入口８側に添設するか又は移動して定着させた
支持体１１に装備する。ついで型紙６は受光部７
に口出し送入し、また布生地５はその先端紙片１
０を口出して筐体入口８から第１のガイドローラ
３に食込まし、複写機ａを始動する。これにより
光源２はONし、またセレンドラム１及び複数列
のガイドローラ３，３………も同時に回転し、原
紙６は受光部７内を通過し、また布生地５は紙片
１０を先導体にして複数個のガイドローラ３間を
入口８から出口９に向つて移行し、その間にセレ
ンドラム１の一部周面に圧接する。これにより原
紙６の輪郭模様が布生地５の全長に亘り順次複写
され、定着する。なお、上記複写は紙片１０につ
づく布生地５の始端から開始されるように原紙６
の先端部に紙片長さの余白分を形成しておくか又
は余白部分を形成せずに原紙の始端から輪郭模様
を画いておき、布生地５の紙片１０につづく始端
がセレンドラム１に接する時期に合せて原紙６を
受光部７に送入する如くタイミング駆動する。つ
いで原紙６は受光部７を出ると図示の如く床面１
２又は収納箱内に析畳み状に収納するか、又は巻
取り部を設けてこれに巻取り収納する。また、複
写、定着を施された布生地５は筐体４を出ると適
当な巻取り装置により巻取り収納する。

布生地５はその紙片１０の先導と、複数列のガ
イドローラ３，３………の誘導により適当な緊張
状態でセレンドラム１に接して移行させることが
でき、移行途中で弛緩したり、これがためローラ
に絡んでローラ間に詰まつたりすることなく終始
円滑に移行する。従つて詰まり等により発生し易
い濃淡色等の不均一複写は全く発生せず、また定
着も常に均一に行われ、輪郭模様は鮮明に複写さ
れる。なお、この布生地詰りの防止は、筐体内の
ガイドローラの誘導速度に合致して回転するガイ
ドローラを巻取り取納部前に設ける等して複写機
からの複写ずみ布生地を積極的に引出すことによ
り完全にすることができる。また、布生地の先端
部を紙片又は糊塗布等にて撓曲性を有する硬質部
とするほか、布生地自体をその全長、全幅に亘
り、稀薄にした糊剤又は樹脂剤を塗布して硬化
し、これを複写機に送給するようにしてもよい。
この場合も布詰り等は発生せず、しかも布の緊張
移行が確実となり、正確な複写が得られる。

以上の実施態様は友禅模様の手描きにかわる輪
隔複写であるが、これと同一方法により絣柄模様
等の白黒模様の複写も容易に行われる。なお、カ
ラー複写機を使用することにより、色柄模様の複
写も白黒模様と同一要領で柔軟布に施すことがで
きる。

以上説明したようにその発明は、柔軟布生地を
複数個のガイドローラに送給してセレンドラムに
導出し、上記セレンドラムに圧接通過させて原紙
の模様を複写するに際し、上記ガイドローラの配
列間隔の長さより若干長い撓曲性を持たせた硬質
部を布生地先端の送入部に形成するから布生地先
端の撓曲性を持たせた硬質部、例えば紙片を第１
のガイドローラに食込ませるとこの紙片は円滑に
各ガイドローラを通るのでこの紙片につづく布生
地はこれが柔軟な布であつても容易に適当な緊張
状態を保持してセレンドラム部に送給されること
ができ、複写、定着を正確に施すことができる。
しかも本発明方法によれば従来の長尺巻取り紙用
の複写機におけるスタートスイツチ及び排出スイ
ツチを省いてセレンドラム、複数個のガイドロー
ラ、光源及び受光部のみを要部とした簡素化され
た複写機で容易に実施することができ、而もこの
布生地先端部の紙片等による布生地の緊張移行に
よりローラ間等での布詰り等の発生は全くなく操
作は容易である。

本発明は友禅模様の輪郭等を画くか又はコピー
印刷等して容易につくられる原紙を使用できるか
ら、従来の友禅手描き等の極めて面倒な作業が省
かれ、而も友禅模様の輪郭を能率よく正確に連続
して複写することができるのみならずその他の絣
柄模様等の白黒模様その他プリント模様等広範囲
の柄模様の複写もそのまま優雅な模様として施す
ことができ工業的に極めて有利なものである。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明の方法を実施するための装置の
概略図、第２図は本発明方法を実施するために構
成した布生地であつて、Ａ図はその送入端部の平
面図、Ｂ図はその側面図、第３図はその実施態様
の略示側面図である。 １……セレンドラム、３……ガイドローラ、５
……未処理布生地、５′……複写布生地、１０…
…紙片（布生地先端の撓曲性を持たせた硬質
部）、ｌ……ガイドローラの間隔。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ 柔軟布を複数個のガイドローラに送給してセ
   レンドラムに導出し、上記セレンドラムに圧接通
   過させて模様を複写するに際し、上記ガイドロー
   ラの配列間隔の長さより若干長い撓曲性を持たせ
   た硬質部を布生地先端の送入部に形成することを
   特徴とする布生地に模様を複写する方法。