JPS6125596Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は、不活性雰囲気下で長尺の物体を均一
に加熱するための加熱炉に関する。

一般に、長尺物体の加熱処理、特に長尺のセラ
ミツクス成形体を焼結するような場合には、長さ
方向の温度分布が大きいと、中央部と端部で特性
に大きな差異が生ずるので、均一な温度分布を持
つ加熱炉の出現が強く望まれていた。

本考案は、不活性雰囲気下において用いられる
長さ方向の温度分布が均一な加熱炉を提供するも
のであつて、発熱体の加熱室側および炉壁側の両
側面を黒鉛板で囲繞することを特徴とするもので
ある。

本考案において、不活性雰囲気とは、炉内に酸
素が存在していない状態を言い、例えば炉内を窒
素ガス等の不活性ガス雰囲気にするとか、あるい
は炉内を真空にすることにより行なわれる。

次に、本考案の一実施例を図面に基いて説明す
る。（炉内を不活性雰囲気とする雰囲気調整部に
ついては、公知の方法が用いられ、その説明は省
略する。）第１図は、本考案実施例の平断面図で
角形の加熱炉は、炉殻７、アルミナ質の耐火材６
ａ、耐火断熱材６ｂ、断熱材６ｃ（いずれもアル
ミナ・シリカ質）により構築され、耐火材６ａの
内面に対して近接して設けられた黒鉛板２ｂ、該
黒鉛板２ｂと間隙部分５を隔てて同じく発熱体全
面を覆つて黒鉛板２ａが配設され、加熱室４に対
している。前記間隙部分５には、高純度アルミナ
質材料などで作られた電気絶縁性と機械的強度を
有するセラミツクス絶縁体３で該黒鉛板２ａ，２
ｂと電気的に絶縁して面状発熱体１が取付けられ
ている。

間隙部分５に配置された面状発熱体は、全周が
熱伝導体の良い黒鉛板の二つの壁の間に狭まれ、
高温の面状発熱体１から発せられた熱輻射線は、
熱伝導体が良く、かつ黒体である黒鉛板２ａ，２
ｂに容易に吸収されて均熱化を促進し、再び該黒
鉛板２ａ，２ｂから熱輻射が行なわれ、この二重
壁構造による相乗効果により加熱室内の広範囲に
わたつて均熱ゾーンが形成される。

なお、上記実施例において、発熱体の設けられ
ていない天井部分、床部分は、耐火材の露出面で
もよいが、黒鉛板で内張りすれば、均熱性がさら
に向上する。

本考案では、発熱体の種類を特に限定するもの
ではなく、発熱体が金属、炭化珪素質でも、また
構造が面状でなく渦巻状、棒状のものが平面的に
配置されたものであつてもよい。しかしながら、
本考案の目的に対しては、黒鉛質面状発熱体、例
えば熱伝導度の高い黒鉛質の薄板に切込み溝を設
けたものがもつとも好ましい。

上記実施例では炉の側壁四周に発熱体を設け、
これに黒鉛板を内外二重に設置したが、発熱体と
この内外両側面を覆う黒鉛板の取付けは、これに
限られず、炉の長手側面、短手側面、天井面、床
面に適宜の組合せで行なうことができる。

本考案は、発熱体の内外両側面の全面を黒鉛板
で覆い、その二重構造による相乗効果により均熱
源を構成することを特徴とするものであり、発熱
体の片側のみを黒鉛板で覆つても、加熱室の均熱
化は不充分である。第２図は、この差異を示すも
ので、図中曲線Ａは第１図実施例に示した、本考
案加熱炉の加熱室長手中心線上の温度分布曲線で
曲線Ｂは比較のため発熱体の加熱室側のみに黒鉛
板を設けたもの、即ち第１図黒鉛板２ａのみを設
けたもので、曲線Ａはほぼ水平なフラツトな曲線
であるが、曲線Ｂは山形状をなし、本考案の優れ
た効果を示している。

【図面の簡単な説明】

第１図は、本考案に係る不活性雰囲気加熱炉の
平断面図で、第２図は本考案の実施例と比較例に
よる加熱室長手方向の温度分布を示す図面であ
る。 １……面状発熱体、２ａ，２ｂ……黒鉛板、３
……絶縁材、４……加熱室、５……間隙部分、６
ａ……耐火材、６ｂ……耐火断熱材、６ｃ……断
熱材、７……炉殻。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 炉室内を不活性雰囲気とした加熱炉において、
   発熱体の内外両側面に黒鉛板を設けたことを特徴
   とする不活性雰囲気加熱炉。