JPS6123762Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は、ロール位置調整用の測定器に関し、
特に一対の上下ロールに対する左右２本のサイド
ロールを所望の位置に調整するためのロール位置
の測定を、測定誤差なく且つ能率的に実施し得る
測定器に関するものである。

従来、互に平行な軸を有する上ロール及び下ロ
ールと、該上下のロールに対して十字に交わるよ
うに位置する、互に平行な軸を有する２個のサイ
ドロールとを含む、管材などのロール成形装置に
おいて、該上下ロールの軸方向のセンターをサイ
ドロールの軸間隔の中心位置上に合せるために
は、一般に面倒な操作が行なわれていたのであ
る。

即ち、第１図に示されるように、先ず、二つの
サイドロールＤ，Ｅの軸間隔（D₀〜E₀）をノギス
等によつて測定し、所望の寸法となるように両ロ
ールの間隔を図示しない調整ねじで合せるのであ
る。次に上ロールＦの側面F₁（或いは上下ロー
ルのそれぞれの側面）に長いストレツチヤＳを当
て、サイドロールＤの軸心D₀からストレツチヤ
Ｓの側面までの寸法l₁を測定する。次に上ロール
Ｆの相対向する側面F₂（或いは上下ロールの相
対向する側面）にストレツチヤＳを移し、同様に
サイドロールＥの軸心E₀からストレツチヤＳの
側面までの寸法l₂を測定する。そして、l₁とl₂と
の差を計算し、もし差があればl₁＝l₂になるよう
にサイドロールＤ及びＥを図示しない移動装置に
より同方向に同時に移動させるのである。このサ
イドロールＤ及びＥの移動の際、軸心D₀，E₀間
の間隔が調整ねじの遊び等により狂うので、これ
を調整しながらサイドロールＤ，Ｅの一体的な移
動を実施するのである。

しかるに、このような測定および調整の作業は
複雑であつて、作業員１名では実施できず、２名
以上の人員が必要であり、しかもセンター合せを
行なつた後でサイドロールＤ，Ｅの間隔が狂つて
いれば再度調整を行なわねばならぬために、多く
の作業工数が必要であつたのである。また測定誤
差が出やすく、特にストレツチヤＳとサイドロー
ルの中心D₀，E₀との間隔l₁，l₂を測定する際に測
定値の差を算出するとき等に間違い易い問題も内
在しているのである。

本考案は、従来技術の上記欠点を解消し、測定
誤差をなくするとともに、測定作業を能率的に実
施する目的のために為されたものであり、その要
旨とするところは、互に平行な軸を有する上ロー
ル及び下ロールと、該上下のロールに対して十字
に交わるように位置する、互に平行な軸を有する
二つのサイドロールとを含むロール装置における
ロール位置を調整するための測定器にして、(a)該
上ロール及び／又は下ロールの側面に着脱自在に
装着し得る取付け手段と、(b)該取付け手段に固定
され、前記上ロール及び／又は下ロールの側面か
らロール軸方向の距離を求めるための目盛部を有
する、該取付け手段のロールへの装着時にその目
盛部が該上下のロール軸に平行に位置固定に保持
されるスケールＡと、(c)寸法測定用の２本の爪及
び目盛部を備え、且つ該２本の爪のうち少なくと
も１本を該目盛部に沿つて移動可能と為すと共
に、この移動可能な爪に更に目盛部を設けて、そ
れらの爪により前記二つのサイドロールの間隔を
測定し得るようにしたスケールＢと、(d)該スケー
ルＡと該スケールＢとを相互に平行にスライド可
能とし、且つそれらの相対位置を示し得るよう基
準点又は目盛部を有すると共に、それらを一体的
に保持し得る連結手段とを含み、且つ前記スケー
ルＡ、スケールＢに対応する連結手段上の目盛
部、移動可能な爪に設けられた目盛部がそれぞれ
バーニヤ目盛とされているようにしたことにあ
る。

以下、本考案の実施例を示す図面にもとづいて
更に詳細に説明する。

第２図において、１は水平な軸Ｘ−Ｘを有する
上ロールであり、該上ロール１の軸Ｘ−Ｘに平行
な軸を有し且つ相対向して一対をなす下ロール
（図示せず）が設けられ、しかも上下ロールはそ
の間隔を変動可能に図示しないフレームに支承さ
れている。また、上下ロールに対して十字に交わ
るように配置された、互に平行な軸を有する二つ
のサイドロール２及び３がロール間隔を調整可能
に且つ回転可能に図示しないフレームに支承され
ている。

そして、上ロール１の両側面１ａおよび１ｂは
上ロール１の軸心Ｘ−Ｘにそれぞれ直角であつ
て、取付け手段としての磁石４がこれら側面１
ａ，１ｂのいずれかに磁着して自らを固定したと
き、磁石４に一体となつた上ロールセンター合せ
スケールＡは前記軸心Ｘ−Ｘに平行となるように
構成されている。

また、ノギス形のサイドロール間隔測定スケー
ルＢはその一端を直角に曲げられて形成された爪
B₁と前記スケールＡに平行なスケールＢの本体
に沿つてスライド可能な爪B₂とを有し、且つ連
結手段としての滑動体Ｃによつて前記スケールＡ
と一体にされている。

即ち、スケールＡとスケールＢとは、滑動体Ｃ
に設けられた２個の凹溝によつてそれぞれ滑動体
Ｃに嵌合させられ、スケールＡに対しては滑動体
Ｃが、該滑動体Ｃに対してはスケールＢが相互に
平行にスライド可能となつているのである。

この滑動体Ｃにはまた、２個のバーニヤ目盛
Ｍ，Ｎが刻設されており、前記スケールＡに設け
られた目盛Ｌに対してはバーニヤ目盛Ｍが、前記
スケールＢに設けられた目盛Ｐに対してはバーニ
ヤ目盛Ｎが相対応して、それぞれの目盛の詳細な
読取りを可能としている。またスケールＢのスラ
イド可能な爪B₂にもバーニヤ目盛Ｑが刻設され
て爪B₁，B₂による距離測定の読取りを精密にす
る役目をしている。

更にまた、滑動体Ｃには、スケールＡ及びＢと
の間の動きを止める固定ねじ５及び６がそれぞれ
設けられており、爪B₂にもスケールＢとの動き
を止める固定ねじ７が設けられている。

上述のような構成においてロール位置を調整す
るには、先ず上ロール１の所定の既知の巾寸法
（側面１ａおよび１ｂ間の間隔）の1/2の値若しく
は規定値L₁をＬ目盛上に求める。そして滑動体
Ｃ上のバーニヤ目盛Ｍの零点をL₁に合せて固定
ねじ５により滑動体ＣをスケールＡに固定する。
なおＬ目盛の零点は側面１ａの延長上に設けられ
ているのである。

次にサイドロール２及び３の所定の間隔P₁（製
造するパイプ等の形状によつて間隔が異なる）を
Ｐ目盛上に求め、スケールＢの爪B₂をスライド
させてバーニヤ目盛Ｑの零点を上記P₁に正確に合
せた後、固定ねじ７で固定する。

次に、サイドロール２及び３の所定間隔P₁の1/
２の値をＰ目盛上に求め、滑動体Ｃに対してスケ
ールＢ自体をスライドさせてバーニヤ目盛Ｎの零
点を前記1/2P₁点に合せた後、固定ねじ６で固定
する。なお、バーニヤ目盛Ｍ，Ｎ，Ｑはいずれも
バーニヤによつて精度高く目盛合せが可能であ
り、サイドロール２，３は共に微調整可能であり
且つ同方向に同時の移動も可能であつて、その微
移動に相対応して、スケールＢのノギス形の爪
B₁およびB₂が上述の動きを為し得るものであ
る。

かくして、両サイドロールを所定の間隔に設定
することが容易となり、且つその間隔の中心点を
上下ロールのセンターに合せるについても同一の
測定器における目盛合せによつて正確、確実に実
施し得るものであつて、測定誤差を可及的に少な
くし、測定作業を極めて精度高く能率的に行ない
得るのである。

従つて、従来２名以上の作業員が必要であつた
測定作業も１名で十分となり、誤差を含む作業の
ために再度調整を余儀なくされた従来の欠点も解
消され、また本実施例では磁石を用いて固定する
ために取付け、取りはずしが容易となる等、作業
工数の節減にも大きな効果を奏するのである。

上述の実施例では、上ロール１の所定の既知の
巾寸法の1/2の値L₁を求め、更にサイドロール２
及び３の所定間隔P₁の1/2の値を求めることが必
要であつたのであるが、この計算が測定誤差の発
生の一因となることもあるために、この計算を省
略する手段を備えた別の実施例について説明す
る。なお前実施例と同一または同様な部分には同
一の符号を付して詳細な説明を省略することとし
て、異なる部分についてのみ説明する。

第３図において、スケールＡに刻設された目盛
L′とこれに相対応するバーニヤ目盛M′、および
スケールＢに刻設された目盛P′とこれに相対応す
るバーニヤ目盛N′は共に1/2に縮尺された目盛が
付されている。一方スケールＢの下段の目盛Ｒと
これに対応するバーニヤ目盛Ｑは縮尺でない通常
目盛とされている。

従つて、上ロールのセンター合せに際しては、
その上ロールの定められた既知の巾寸法そのまま
の数値を縮尺されたL′目盛上に求めればよく、実
際には所望の寸法（上ロール巾寸法1/2の寸法）
に合せたこととなるのであつて、前実施例のよう
に上ロールの定められた巾寸法の1/2を計算し
て、その計算値を目盛上に求めるという作業は必
要でなくなる。

またスケールＢにおいて通常目盛Ｒと対応する
バーニヤ目盛Ｑとによつてサイドロール２，３の
間隔R₁を設定した後は、該間隔R₁の1/2の値を計
算する必要はなく、間隔R₁そのままの数値を縮
尺されたP′目盛上に求め、バーニヤ目盛N′の零点
をこれに合せるのみで十分である。

本実施例では、前実施例に比して、測定値また
は規定値の1/2を計算してその計算値を目盛上に
求める作業を２回省略し得るので、そのための誤
差の発生の虞をなくし、なお一層能率のよい確実
な作業が可能となる特有の効果を奏する。

前述の二つの実施例よりも更に操作が簡単化さ
れ、間違いを少なくした更に別の実施例を第４図
によつて説明する。

図において、スケールＡに刻設された目盛
L″は、単なる尺度目盛ではなく、あらかじめ各
上ロールの定められた巾寸法の半分を計算して、
ロール番号（例えばD₁，D₂，D₃……，S₁，S₂，
S₃……等）を付して目盛られたものである。これ
に対応する滑動体Ｃ上の目盛M″は零点（基準
点）を示す一個の単なる三角印にすぎない。

一方、スケールＢに刻設された目盛Ｐは通常の
尺度目盛であつて、これに対応する爪B₂のバー
ニヤ目盛Ｑも前２実施例と変わるところはない
が、滑動体Ｃ上の目盛N″は零点を示す一個の単
なる三角印である。なお、これら目盛M″，N″の
二個の三角印は同一基線上にあり、滑動体Ｃの滑
動方向に対して直角な線上に位置するものであ
る。

この場合には、上ロールのセンター合せに際し
ては、使用せんとするロール番号に三角印（目盛
M″）を合せるだけで十分であり、ロールの定め
られた巾寸法やその1/2計算値等を考慮せずに設
定し得るのである。またスケールＢにおいて通常
目盛Ｐと対応するバーニヤ目盛Ｑとによつてサイ
ドロール２，３の間隔P₁を設定した後は、1/2P₁
を目盛Ｐ上に求め、これに三角印（目盛N″）を
合せて固定することによつて終了する。

上述のように、本実施例は、使用する上ロール
巾寸法を全く考慮することなく、そのロール番号
のみで、センター位置を設定し得るとともに、目
盛M″，N″における零点を示す三角印を所要の位
置に合せるという極めて簡単な操作によつて測定
及び調整の作業を単純化し、誤操作を防ぎ、作業
の能率を向上せしめる特有の効果を有するのであ
る。

次に、スケールＢが滑動体Ｃと一体となつた本
考案の実施例を第５図にもとづいて説明する。

図において、スケールＡに刻設された目盛Ｌ
に相対応するバーニヤ目盛Ｍを備えた滑動体Ｃ
はスケールＢと一体であり、スケールＢの目盛は
バーニヤ目盛Ｍの０点と同一基線上にある０点
の左右に対称に刻まれている。そしてスケールＢ
に相対応するバーニヤ目盛Q₁およびQ₂をそれぞ
れ備えた爪部B₃及びB₄がスケールＢの０点の両
側に摺動可能に装着されている。そしてバーニヤ
目盛Ｍ，Q₁，Q₂をそれぞれ位置固定するため
に、固定ねじ５，６，７が設けられている。

スケールＡは実寸あるいは1/2縮尺で目盛られ
てあり、縮尺の場合には上ロール幅寸法Ｌそのま
まの数値にバーニヤ目盛Ｍの０点を合せれば、
この０点は上ロールのセンターに一致させられ
る。

一方スケールＢも実寸あるいは1/2縮尺で目盛
られてあり、縮尺の場合には、サイドロールの目
標間隔の数値そのままに０点より左側で爪B₃の
バーニヤ目盛Q₁の０点を合せて固定し、同じく
０点より右側で爪B₄のバーニヤ目盛Q₂の０点を
合せればよい。このようにして定められた爪
B₃，B₄にサイドロールのセンターをそれぞれ合
せるのである。

なお、上ロール中心に対してサイドロールの間
隔がそれぞれ異なる場合、即ち非対称である場合
の位置決めにおいて、本実施例は極めて能率的に
精確に測定及び調整が可能となる特有の効果を有
するのである。

また、上述の各実施例においては、上ロール１
の一側面１ａへの磁石４による磁着を介してスケ
ールＡを固定せしめて測定を実施したのである
が、本考案は必ずしもこれに限定されるものでは
なく、他の一側面１ｂに磁着させた場合も同様に
可能である。また上ロール１に懸垂状態に測定器
を磁着させる場合のみならず、下ロール（図示せ
ず）に立上り状態で固定する場合も可能であり、
更にまた、上下ロールに橋を掛けた状態として測
定器を保持することも可能である。しかし、重力
に対する静的安定度、測定精度、および構造の簡
略性等の関係から第２〜５図に例示の如き懸垂状
態の構成が本考案では好適に推奨されるのであ
る。このように、本考案にあつては、上下のロー
ルへの着脱可能な取付け手段として磁石が最も好
適に採用されるものであるが、これに代えて吸着
盤による吸着や、空気圧、油圧などを利用した公
知の取付け機構からなるものも必要に応じて用い
られることとなる。

以上詳述したごとく、本考案は、測定操作を容
易にし、測定誤差を可及的に少なくし、且つ測定
作業を精度高く能率的に実施し得る効果を生じ、
また従来２名以上を要した測定調整作業が１名で
可能となり、設定済の寸法の狂いによつて再調整
を行なうことがなくなり、更に磁石による吸引付
着（磁着）が採用し得るために取付け取り外しが
極めて容易となる等作業工数の大きな節減の効果
をも奏するものである。

【図面の簡単な説明】

第１図は従来のロール位置調整用測定器の使用
についての説明図であり、第２図は本考案の一実
施例の使用説明図である。第３図乃至第５図は本
考案のそれぞれ別の実施例の使用説明図である。 １：上ロール、２，３：サイドロール、１ａ，
１ｂ：上ロール側面、４：磁石、Ａ，Ｂ：スケー
ル、B₁，B₂，B₃，B₄：爪、Ｃ：滑動体、Ｘ−
Ｘ：上ロール軸心。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 互に平行な軸を有する上ロール及び下ロール
   と、該上下のロールに対して十字に交わるように
   位置する、互に平行な軸を有する二つのサイドロ
   ールとを含むロール装置におけるロール位置を調
   整するための測定器にして、 該上ロール及び／又は下ロールの側面に着脱自
   在に装着し得る取付け手段と、 該取付け手段に固定され、前記上ロール及び／
   又は下ロールの側面からロール軸方向の距離を求
   めるための目盛部を有する、該取付け手段のロー
   ルへの装着時にその目盛部が該上下のロール軸に
   平行に位置固定に保持されるスケールＡと、 寸法測定用の２本の爪及び目盛部を備え、且つ
   該２本の爪のうち少なくとも１本を該目盛部に沿
   つて移動可能と為すと共に、この移動可能な爪に
   更に目盛部を設けて、それらの爪により前記二つ
   のサイドロールの間隔を測定し得るようにしたス
   ケールＢと、 該スケールＡと該スケールＢとを相互に平行に
   スライド可能とし、且つそれらの相対位置を示し
   得るよう基準点又は目盛部を有すると共に、それ
   らを一体的に保持し得る連結手段と、 を含み、且つ前記スケールＡ、スケールＢに対応
   する連結手段上の目盛部、移動可能な爪に設けら
   れた目盛部がそれぞれバーニヤ目盛とされている
   ことを特徴とするロール位置調整用測定器。