JPS6122585Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は、各種の人工臓器の装置に付随して使
用される血液の体外循環回路に接続され、血液の
抗凝固剤を有効に注入することの可能な気泡排除
用の血液留り容器（以下ドリツプチヤンバーとい
う）に関するものである。

従来、抗凝固剤を注入する手段としてはFig１
およびFfg２に示すとおり、体外循環回路の動脈
側血液チユーブ１に、血液ポンプ４の上流側、ま
たは血液ポンプ４の下流でドリツプチヤンバー６
の上流側の位置で、注射器を用いて直接注入する
方式、または、新たに抗凝固注入ライン３を連結
し、インフエージヨンポンプ等を用いて注入する
方式が一般的に行なわれている。

この従来方式において血液中の気泡を排除する
目的で採用されるドリツプチヤンバーの一実施例
をFig３に示す。ドリツプチヤンバー６において
は、インフユージヨンポンプ等によりすでに抗凝
固剤を注入された血液が、血液流入ライン２から
流入し、フイルター１０により過された後、血
液流出ライン８から流出する。この際、ドリツプ
チヤンバー６内の血液レベルは、動脈圧調整用ラ
イン７において、空気圧によりその高低が適宜調
整される。また、動脈圧測定用ライン５に設けら
れた圧力計等により動脈圧を常時監視することに
より、異常な圧力が発生した時でも、安全に体外
循環が行なえる構造になつている。血液流入ライ
ン２は、ドリツプチヤンバー６内の血液レベルよ
りも上方のドリツプチヤンバー６側面に導入され
る。

このような構造のドリツプチヤンバー内におい
ては、流入した血液と空気が常に接触するため、
両者が気泡状で混在する層９が必ず形成されるこ
とになる。したがつて、血液の凝固作用が促進さ
れ、これを防止するために、多量の抗凝固剤を使
用する必要があつた。

人体に対する凝固剤の使用は可及的に少量であ
ることが望ましい。特に、人工腎臓装置による治
療の如く、継続して長期にわたつて使用される場
合、その総量は莫大になり人体への悪影響が問題
とされている。

そこで、考案者等は、鋭意研究を重ねた結果、
ドリツプチヤンバー内の血液および空気の接触界
面部分に抗凝固剤の滞留部分を形成することによ
り、血液が空気と接触するために促進される凝固
作用を抑制し、体外循環回路全体としての抗凝固
剤使用量を大幅に減少させることができることを
突き止めた。

したがつて、本考案の目的は、血液および空気
の接触界面に抗凝固剤の滞留部分を形成すること
のできるドリツプチヤンバーを提供することにあ
る。

この目的を達成するため、本考案においては、
血液の体外循環回路に接続され、血液中の気泡を
除去するフイルター、および空気圧調整機構を備
えたドリツプチヤンバーにおいて、該ドリツプチ
ヤンバーの上端に抗凝固剤注入ラインを導入し、
該ドリツプチヤンバー内の血液レベルより下方の
該ドリツプチヤンバー側面に血液流入口を設けた
ことを特徴とする。

前述の構成からなるドリツプチヤンバーにおい
ては、ドリツプチヤンバー内の血液レベル上側
に、上端部から注入された抗凝固剤の滞留層が形
成されるので、従来のドリツプチヤンバーに見ら
れた血液と空気の直接接触の界面がなくなり、血
液と空気の混在部分は抗凝固剤で占められること
になる。このため、血液の凝固作用が抑制される
ので、抗凝固剤の使用量を大幅に減少させること
ができる。

次に、本考案に係るドリツプチヤンバーの実施
例につき、添付図面を参照しながら詳細に説明す
る。なお、説明の都合上、Fig１に示す従来の装
置と同一の構成部分については、同一の参照符号
を使用する。

Fig４は、本考案に係るドリツプチヤンバーを
使用した抗凝固剤注入方法の系統図、Fig５は、
本考案に係るドリツプチヤンバーの構造図であ
る。

抗凝固剤注入ライン３は、注入口を開口した状
態で、ドリツプチヤンバー６の最上部に導入、設
置されている。ドリツプチヤンバー６内に流入し
た抗凝固剤は、血液レベルよりも下方に流入口を
設けた血液流入ライン２から流入した血液の上側
に、滞留層１１を形成する。この滞留層１１が、
血液と空気の接触を防止する働きをし、空気は抗
凝固剤と混合し、血液とはわずかに混合するのみ
であるため、血液の凝固は抑制される。抗凝固剤
は注入された血液は、フイルター１０を通過し、
血液流出ライン８へ流出する。

本考案に係るドリツプチヤンバーにおいては、
従来のものに比較して血液流入位置が下方になる
ため、ドリツプチヤンバー内の血液貯留量が少な
くなるので、血液流入位置とドリツプチヤンバー
上端の距離ｌを若干長めに設定する必要があり、
５cm〜15cm程度が望ましい。

本考案によるドリツプチヤンバーを人工腎臓装
置の体外循環回路に実際に採用したところ、抗凝
固剤の使用量は、従来のドリツプチヤンバーを採
用した場合の1100〜1200単位／時間から、300〜
500単位／時間に減少した。

上述したことから明らかなように、本考案によ
るドリツプチヤンバーによれば、抗凝固剤の使用
量を大幅に減少させ、人体への悪影響を抑制する
ことができる。

【図面の簡単な説明】

第１図、第２図は、体外循環回路における従来
の抗凝固剤注入方法の系統図、第３図は従来使用
されているドリツプチヤンバーの構造図である。
第４図は、本考案によるドリツプチヤンバーを用
いたときの抗凝固剤注入方法の系統図、第５図
は、本考案によるドリツプチヤンバーの構造図を
示す。 １……動脈側血液チユーブ、３……抗凝固剤注
入ライン、４……血液ポンプ、５……動脈圧測定
用ライン、６……ドリツプチヤンバー、７……動
脈圧調整用ライン。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 血液の体外循環回路に接続され、血液中の気泡
   を除去するフイルター、および空気圧調整機構を
   備えたドリツプチヤンバーにおいて、該ドリツプ
   チヤンバーの上端に抗凝固剤注入ラインを導入
   し、該ドリツプチヤンバー内の血液レベルより下
   方の該ドリツプチヤンバー側面に血液流入口を設
   けたことを特徴とするドリツプチヤンバー。