JPS6119281B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 この発明は、金属の溶媒抽出に用いる二液の混
合にポンピングミキサーを用いたミキサー・セト
ラー抽出装置に関する。ミキサーで重液相と軽液
相を混合して抽出反応を行なわせる場合、重液相
流量に対する軽液相流量の比（以下流量比とい
う）が大が１より大きくなるかまたは１より小さ
くなつてくると充分な混合が得られ難くなり、そ
のために抽出段効率が低下してくる。

一般的に、混合による抽出段効率をそこなわな
いための流量比の条件は3/1〜1/3の範囲と言われ
ている。しかしながら抽出平衡曲線や二以上の成
分を分離するのに抽出と逆抽出の組合せで行う場
合の分離バランス上の問題から流量比を上記範囲
に設定できないことがあり、この場合には二液の
混合が不充分となり抽出段効率が低下する。この
対策として、通常ポンピングミキサーの回転数を
上げることによつて段効率を維持したり、あるい
は段効率の低下に見合う分だけ抽出段数を増やす
などしている。しかし前者の方法ではポンピング
ミキサーの回転数を上げるために混合相の分離が
悪くなつてセトラーでの負担が大きく、また後者
の方法では理論段数以上の段数を必要とするため
設備費が大きくなるなどの問題がある。

本発明は、この点に鑑みてなされたもので、ポ
ンピングミキサーによつて重液相と軽液相の二液
混合を行なう複数のミキサーと、これに直接結合
したミキサーから送られてくる混合相を二液に分
離する複数のセトラーとからなる複数段の向流ミ
キサー・セトラー抽出装置において、各セトラー
の重液相または軽液相の一部を対応するそれぞれ
のミキサーに還流させる複数の還流路を設けたこ
とを特徴とする抽出装置並びに前記抽出装置にお
いて、ポンピングミキサー吸引筒下部に開口する
還流路用配管の他方の開口部を前記ミキサーに接
する各セトラーの重液相の清澄部又は軽液相の清
澄部に取付けることにより、重液相又は軽液相の
一部を対応するそれぞれのミキサーに還流させる
ことを特徴とする前記抽出装置及び前記抽出装置
において、各セトラーの清澄重液相又は清澄軽液
相をそれぞれのミキサーに還流させる配管をミキ
サー内部に有することを特徴とする前記抽出装置
及び前記抽出装置において、各セトラーの清澄重
液相又は清澄軽液相をそれぞれのミキサーに還流
させる配管をミキサー外部に有することを特徴と
する前記抽出装置及び前記抽出装置において、各
セトラーの清澄重液相又は清澄軽液相をそれぞれ
のミキサーに還流させる配管にバルブを設けたこ
とを特徴とする前記抽出装置に関する。

これにより重液相又は軽液相をセトラーからミ
キサーへ前記配管により還流させてミキサーにお
ける見掛上の流量比を混合に適した比にすること
ができ、高い段効率が維持できるようになつた。
なお還流路用配管を介してセトラーからミキサー
に戻される重液相または軽液相はミキサー内で平
衡状態に達したと仮定した重液相または軽液相の
各成分濃度相当の重液相または軽液相が単にくり
返し循環するだけであると考えられるので、前記
液相の還流による平衡関係の乱れは殆んど発生し
ない。

次に図面に沿つて、本発明を説明する。

第１図および第２図に一例として掲げる本発明
のミキサー・セトラー抽出装置は、ポンピングミ
キサー３をもつ箱型のミキサー７，１０とセトラ
ー８，１１を一体化したミキサーセトラー１，９
を本体にして構成され、金属の抽出に必要な段数
だけ設置されている。第１図ではミキサー・セト
ラーの２組立体を示しており、他は省略してい
る。ミキサー７，１０内の上方部にはポンピング
ミキサー３を取付け、このポンピングミキサーの
３の真下に吸引筒１７を設ける。第２図でミキサ
ー７の上方部からは、隣接するミキサーセトラー
のセトラー後方部に装備された軽液相オーバーフ
ローせきからオーバーフローした軽液相が流入す
る。ミキサー７の下方側部には、図示していない
隣接するミキサー・セトラーのセトラー重液相部
に結合する重液相導入配管５が設けられており、
この配管５を介して重液相がミキサー７に流入す
る。ミキサー７において混合された軽液・重液混
合相は、図の右方に流れセトラーに入る。このセ
トラー８において、重液相と軽液相に分離し、軽
液相清澄部１５は軽液相オーバーフローせき４か
らオーバーフローして隣接するミキサーに流れ込
む。重液相はセトラー８の下方より、図における
セトラー８の右方に設置した界面調節室６へ流
れ、該界面調節室６から重液相導入配管５を介し
て、隣接するミキサー１０の下方に流れる。

第１図及び第２図のミキサー７，１０の下部に
は、吸引筒１７下方に開口する本発明の特徴であ
る還流路用配管２が設けられている。この配管２
の他端は、重液相清澄部１４または軽液相清澄部
１５に開口している。第２図では配管２の他端が
軽液相清澄部１５に開口した状態が示されてい
る。このような構成から、重液相１４または軽液
相１５の一部を再びミキサー７に循環させること
ができる。（図では軽液相１５が循環する構造と
なつている）配管２にはバルブ１２を設けると液
量および流速を調節できる。この配管２は、図面
ではミキサーセトラーの外方に部分的に突出した
状態となつているが、ミキサー・セトラーの内部
に配管を設置することができる。

また前記配管２を分岐させ、分岐させた一端を
軽液相清澄部１５に、他端を重液相清澄部１４に
結合するようにし、配管に設けたバルブの開閉に
よつて、いずれの液でも選択できるように構成す
ることもできる。

重液相清澄部１４または軽液相清澄部１５に開
口する前記配管２の流入開口部１３は重液相清澄
部または軽液相清澄部の流れ方向に対向する形状
に開口しており、また重液相清澄部１４およびま
たは軽液相清澄部１５を通る配管２は垂直に配置
する。なお配管２がミキサー・セトラーの内部に
配置される場合は、セトラーの内部で底面と平行
に前記流入開口部１３の真下まで延在し、その個
所から垂直に流入開口部１３まで起立する構造と
する。

以上の配管２の配置形状と流入開口部１３の開
口の向きにより、軽液相清澄部１５および重液相
清澄部１４の撹乱を防止し、二液の分離阻害を抑
制する。

前記還流路用配管２と流入開口部１３は、取外
しが簡単にできるねじ込み式あるいは嵌め込み式
などになつており、また配管２自体も高さ調節が
できるように、適当な長さで分離、交換ができる
ようになつている。また前記ミキサー７．１０内
部へ開口する配管２の開口部も、ミキサー７．１
０内へ重液相清澄部１４または軽液相清澄部１５
を還流できる位置ならばどの位置でもよいが、吸
引筒１７の真下であるとポンピングミキサーによ
る吸引が効果的に行なわれるのでより好ましい。

本発明は以上の装置によりセトラー８．１１で
分離された重液相清澄部１４または軽液相清澄部
１５を還流路用配管を介して必要に応じミキサー
に還流させることができるので、ミキサーにおけ
る見掛上の流量比を混合に最適な値にすることが
でき、金属の抽出を効率的に行うことができるす
ぐれた利点を有する。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明の一実施例を示すミキサー・セ
トラー抽出装置の平面図、第２図は第１図の―
線における側断面図である。 １，９：ミキサー・セトラー抽出装置、２：還
流路用配管、３：ポンピングミキサー、４：軽液
相オーバーフローせき、５：重液相導入配管、
６：界面調節室、７，１０：ミキサー、８，１
１：セトラー、１２：バルブ、１３：流入開口
部、１４：重液相清澄部、１５：軽液相清澄部、
１６：配管垂直部、１７：吸引筒、１８：混合
相。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ ポンピングミキサーによつて重液相と軽液相
   の二液混合を行なう複数のミキサーと、これに直
   接結合したミキサーから送られてくる混合相を二
   液に分離する複数のセトラーとからなる複数段の
   向流ミキサー・セトラー抽出装置において、各セ
   トラーの重液相または軽液相の一部を対応するそ
   れぞれのミキサーに還流させる複数の還流路を設
   けたことを特徴とする抽出装置。 ２ 特許請求の範囲第１項記載の抽出装置におい
   て、ポンピングミキサー吸引筒下部に開口する還
   流路用配管の他方の開口部を前記ミキサーに接す
   る各セトラーの重液相の清澄部又は軽液相の清澄
   部に取付けることにより、重液相又は軽液相の一
   部を対応するそれぞれのミキサーに還流させるこ
   とを特徴とする前記抽出装置。 ３ 特許請求の範囲第２項記載の抽出装置におい
   て、各セトラーの清澄重液相又は清澄軽液相をそ
   れぞれのミキサーに還流させる配管をミキサー内
   部に有することを特徴とする前記抽出装置。 ４ 特許請求の範囲第２項記載の抽出装置におい
   て、各セトラーの清澄重液相又は清澄軽液相をそ
   れぞれのミキサーに還流させる配管をミキサー外
   部に有することを特徴とする前記抽出装置。 ５ 特許請求の範囲第２項乃至第４項のいずれか
   に記載の抽出装置において、各セトラーの清澄重
   液相又は清澄軽液相をそれぞれのミキサーに還流
   させる配管にバルブを設けたことを特徴とする前
   記抽出装置。