JPS6118631B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 この発明はタンクの周側に沿つて作業用機器を
案内走行させるレール装置に係り、特にタンク周
側壁への取付けが簡単でかつ再使用ができるよう
にしたレール装置に関する。

〔従来の技術〕 一般にタンクを構築するに際しては、その作業
の容易迅速化を図る目的でタンクの周側壁に走行
するレールを取付け、このレール上に沿つて溶接
機、溶接部を研磨する研磨機、溶接部等を検査す
るＸ線装置、作業ユニツト等の各種作業用機器を
走行移動させることにより、各種の作業を自動機
械的にあるいは人為的に行つている。

〔発明が解決しようとする問題点〕

ところで、タンクの周側壁に沿つてレールを取
付けるに際して、従来では第１図に示すごとく、
先ずタンクの周側壁ａからレールｂを適宜離間し
て支持させるためのブラケツトｃを上記周側壁ａ
に沿つて適宜間隔に溶接固定し、そしてそれぞれ
のブラケツトｃに跨がつてレールｂを溶接固定し
ていた。このため、溶接個所が多く、周側壁ａへ
のレールｂの取付けに多くの手間と時間がかかる
問題があつた。特に、レールｂの取付けが溶接固
定であるため、次のような欠点があつた。

(1) レールｂを溶接により取付けるためレールの
取付け精度が悪く取付け工数が多くかかる。

(2) レールｂにブラケツトｃが溶接されているた
め、タンク内面用と外面用の別種が必要で且つ
曲率の違つたタンクへの使用は出来ず、また取
外した後の再使用は困難である。

(3) レールｂにブラケツトｃを溶接するためその
溶接ひずみでレールの精度を悪くし、しかもそ
の修正が不可能である。特にタンクの構築完了
後でも取付けたままか取外してスクラツプとし
ており、極めて不経済であつた。

なお、第１図中ｄはレールｂ上を走行させる溶
接機等の作業用機器である。

〔発明の目的〕

この発明は上述したごとき問題点に着目して、
これらを有効に解決すべく創案されたものであ
る。この発明の目的とするところは、タンクの周
側壁に対する精度の高いレールの取付けが簡単か
つ確実に手際良く成し得るとともに、レールを取
外して何度もしかも曲率の違うタンクにも再使用
することができる経済的なタンクの周側に沿つて
作業用機器を案内走行させるレール装置を提供す
ることにある。

〔発明の概要〕

上記目的を達成するためにこの発明は、タンク
の周側壁にその周方向に沿つて適宜間隔にレール
支持杆を溶接により植設し、該レール支持杆に内
周にレール支持杆の基端部に形成される溶接肉盛
部よりも大きい肉厚を有するスペーサ用短管が嵌
合された大径のカラ部材をその１端部がレール支
持杆の溶接肉盛部から離間し且つ下端部が重力に
よりレール支持杆から充分離間するように遊嵌し
てある。また、レール支持杆の先端部に平鋼状レ
ールに形成された挿通孔を嵌めると共にナツトを
螺合して該ナツトと上記カラ部材との間でレール
を挟持したものである。

〔実施例〕

以下に、この発明の好適一実施例を第２図以降
の図面に基づいて詳述する。

第２図において、１は筒体状に形成されたタン
クの周側壁であり、この周側壁１の内側部には本
発明に係るレール装置Ｒが設けられている。この
レール装置Ｒは自動溶接機、自動研磨機、自動ガ
ウジング機、Ｘ線装置、および作業ユニツト等の
各種作業用機器２を上記タンクの周側壁１に沿つ
て案内走行させるためのレール３と、このレール
３を周側壁１に沿つて支持させるレール支持杆４
と、このレール支持杆４に着脱自在に嵌装されて
レール３を周側壁１から所定の間隔Ｓを隔てて支
持させるカラ部材５とから主に構成されており、
その関連構成を次に述べる。

即ち、レール支持杆４は第３図に拡大示するこ
と一端部４ａにレール３を後述するナツト８にて
着脱自在に連結支持させるための雄ねじ部６を有
する棒体から成り、その他端部４ｂをタンクの周
側壁１に溶接で固着することにより、第２図に示
すように周側壁１の周方向に沿つて適宜間隔にか
つ半径方向に延出させて複数本取付けられる。

一方、レール３は上記周側壁１に沿つて適宜長
さに分割された矩形状平板から成り、その長手方
向両端部が上記レール支持杆４において次のレー
ル３の端部と連続的に接続されるようになつてい
る。このレール３には上記周側壁１に配設したレ
ール支持杆４の配列位置に対応させてこのレール
支持杆４を挿通させるための挿通孔７が長手方向
に沿つて配列して形成されている。特に、この挿
通孔７はレール３の長手方向に沿つた長孔に形成
してあり（図示省略）、レール支持杆４の配設に
誤差が生じても適応し得るほか、径の異なるタン
クの周側壁にも充分適応し得るようにしてある。

他方、カラ部材５は第３図に示す如くレール支
持杆４の外形よりもかなり大きい径に形成された
管体５ａから成り、その内周にはカラ部材５の基
端部をレール支持杆４の基端部に形成される溶接
肉盛部から離間させるためにこの溶接肉盛部より
も大きい肉厚を有するスペーサ用短管５ｂが嵌合
されている。

なお、図中符号８はレール支持杆４の雄ねじ部
６に螺着されてカラ部材５の端部とでレール３を
挾持するナツトであり、このナツト８とレール３
との間にはワツシヤ９が介在させてある。また、
符号１０はレール３上に沿つて作業用機器２を懸
垂走行させるためにこの作業用機器２に取付けら
れた走行車輪である。

このように構成されたレール装置Ｒをタンクの
周側壁１に取付ける場合には、予めその周側壁１
にレール支持杆４を取付けておき、これらレール
支持杆４のそれぞれに先ずカラ部材５を嵌装して
から、レール３の挿通孔７を嵌め込み、次いでレ
ール支持杆４の雄ねじ部６にワツシヤ９を介して
ナツト８を螺着すれば良く、取付けが簡単に手際
良く成し得る。一方、レール３を周側壁１から離
間して支持させるためのカラ部材５はレール支持
杆４よりはるかに大径に設定してあり、下端部が
重力でレール支持杆４から充分離間するようにし
てあるため、ナツト８によりレール３を締つけた
場合、カラ部材５の端部でレール３の端面は広範
囲で支承されることになり、これによりレール３
の横揺れを防止し、特にレール支持杆４が片持梁
であるが故にレール３に生じ易い転倒モーメント
をレール支持杆４から充分離間したカラ部材５の
下端部で充分に受け止めることができ、レール３
を周側壁１に平行させて確実に支持することがで
きる。また、上記レール３の固定はレール支持杆
４に嵌装されたカラ部材５とナツト８との間で挟
持することにより行われているため、ナツト８を
レール支持杆４の雄ねじ部６から取外せば、レー
ル支持杆４を除くその他の構成部材、すなわちレ
ール３、カラ部材５、ナツト８およびワツシヤ９
はタンクの周側壁１から簡単に取外すことがで
き、これによりこれらを再使用することができ、
しかもレール３は突起物のない平鋼状であるから
再びロール加工が可能でどの様な曲率のタンクへ
も再使用が出来て極めて経済的である。また、平
鋼状により精度の高いレールが安価で得られ且つ
使用によつてレール精度が低下しても簡単に修正
加工が出来る大きな利点がある。

一方、レール支持杆４の周側壁１への取付溶接
は公知のスタツドウエルド方式でほぼ瞬時に、且
つ第１図に示したブラケツトｃの取付溶接よりも
はるかに正確に取付けが出来精密且つ経済的であ
る。

なお、上記実施例では本発明に係るレール装置
Ｒをタンク周側壁１の内側部に設けたが、このレ
ール装置Ｒは周側壁１の外側部に設けることがで
きること勿論である。また、上記実施例における
レール３は予めタンクの周側壁１に沿つた曲面状
に成型しておけば取付けが容易に成し得るが、ナ
ツト８の締付力によりレール３を周側壁１に沿つ
て曲面状に弾性変形させることができれば必ずし
もレール３を曲面状に成型する必要はない。

〔発明の効果〕

以上要するに、本発明によれば次の如き優れた
効果を発揮する。

タンクの周側壁にレール支持杆の一端を溶接
し、その他端からカラ部材とレールを嵌装して
ナツトをねじ込むだけの簡単な作業でレールを
迅速且つ確実に取付けることができる。

平鋼状のレールを採用し、且つこれをガラ部
材とナツトの間で挟持して固定するようにした
ので、同じレールを何度もしかも曲率の違うタ
ンクにも再使用することができる。

カラ部材の内周にスペーサ用短管を設けるこ
とによりカラ部材の基端部がレール支持杆を固
定する溶接肉盛部に載らないようにしたので、
周側壁とレールとの間の間隔を誤らせることが
なく、常に一定間隔に確保でき、高い取付け精
度を得ることができる。

特にカラ部材を大径に形成し、その下端部が
重力でレール支持杆から充分離間するようにし
たので、レール支持杆が片持梁であるが故にレ
ールに生じ易い転倒モーメントを充分に受け止
めることができ、レールをタンクの周側壁に平
行に精度よく支持することができる。

【図面の簡単な説明】

第１図は従来のレール装置を示す斜視図、第２
図はこの発明の好適一実施例に係るレール装置を
示す斜視図、第３図は同要部拡大断面図である。 図中、１はタンクの周側壁、３はレール、４は
レール支持杆、５はカラ部材、５ｂはスペーサ用
短管、８はナツトである。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ タンクの周側に沿つて作業用機器を案内走行
   させるレール装置において、上記タンクの周側壁
   にその周方向に沿つて適宜間隔にレール支持杆を
   溶接により植設し、該レール支持杆に、内周に上
   記レール支持杆の基端部に形成される溶接肉盛部
   よりも大きい肉厚のスペーサ用短管が嵌合された
   大径のカラ部材を嵌装し、上記レール支持杆の先
   端部に平鋼状レールに形成された挿通孔を嵌める
   と共にナツトを螺合して該ナツトと上記カラ部材
   との間でレールを挟持したことを特徴とするタン
   クの周側に沿つて作業用機器を案内走行させるレ
   ール装置。