JPS6116837B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 この発明は流体を伝達する絶縁ケーシング、具
体的に云えば、油井蒸気噴射に用いられ、流体と
ケーシングの部品の間の熱伝達を著しく減少する
と共に、複数個のケーシングの外側部分を流体の
漏れが生じない様に堅固に結合することが出来る
様にすると共に、ケーシングの内側部分がその中
を伝わる流体の温度変化に応答して長さ方向に自
由に伸び縮みする様にした新規で改良された絶縁
ケーシング集成体に関する。

孔の中に流体を伝達する為に利用されるケーシ
ング集成体は、その中を流れる流体の温度変化に
応答して循環的に寸法が変化出来る様にしなが
ら、構造的に頑丈で漏れのない様に構成しなけれ
ばならない。ケーシング集成体を油井に非常に高
温の蒸気を噴射する為に使う時、特にそうであ
る。蒸気噴射の目的は、重質原油の粘度を下げ
て、この原油を地表に圧送し又は送出し、こうし
て回収出来る様にすることである。然し、この様
に使われるケーシング集成体は、破壊的な規模に
なる惧れがある何種類かの力を受ける。集成体を
地中深く挿入した時、ケーシングの壁及び継手に
は、非常に大きな内部及び外部の静圧による力が
加わる。各々のケーシングは、ケーシング・スト
リングとしてその下に懸架された他のケーシング
の重量による軸方向の力を受ける。ケーシングの
内部部品に対して蒸気自体によつて生ずる腐食効
果、侵食効果並びに圧力による力や、蒸気の高温
によつて生ずるこういう部品の熱膨張の違い及び
孔の中の流体による汚染によつて、ケーシング集
成体の構造的な破壊を招くことがある。それ程極
端な温度でない流体を輸送する為に現在使われて
いる絶縁集成体は、油井の孔の中で蒙る激しい条
件の為に、油井の蒸気噴射用に容易に改造するこ
とが出来ない。普通に絶縁した流管では、絶縁物
が孔の中の流体によつて汚染を受け、絶縁性が失
われると共に、応力が過大な為に永久的な油井ケ
ーシングの破損を招く惧れがある。この方法の代
りとして、大部分の絶縁物を密封した金属ジヤケ
ツトに封入するものがあるが、継目の工作が出来
る様にする為に、継目区域は全く絶縁しないまゝ
である。この絶縁されていない部分が、永久的な
油井ケーシングに対する局部的な強度の熱伝達を
生ずる様になり、この為このケーシング内で破損
を招く惧れのある様な応力を発生する。従来の装
置は、中位の深さの油井で10フイート以上にもな
る様な流管の熱膨張に対処する手段を備えていな
い。この熱膨張は、孔の底のパツカの密封問題を
非常に困難なものにする。

この発明の１実施例では、絶縁ケーシング集成
体が複数個の絶縁ケーシングを含み、これらのケ
ーシングは互いに結合した時又はストリングにし
た時、高温又は低温及び高圧又は低圧の流体が、
熱損失を少なくして且つ漏れのない様に、その中
を流れられる様にする。各々のケーシングは半径
方向に隔たる外側及び内側の管状部分で構成さ
れ、その間に環状空間が構成される。環状空間は
熱絶縁材料、好ましくは効率の高い多層絶縁物で
充填され、外側の管状部分にある充填箇所が、環
状空間から空気を抜いて、後で伝導度の低いガス
で充填し、多層絶縁物を封入して、ケーシングの
絶縁特性を改善することが出来る様にする。ケー
シングの各々の端にある流密な管状ベローが外側
及び内側の管状部分を密封し、環状空間内の絶縁
物を流体から保護すると共に、内側の管状部分が
外側の管状部分に対して長さ方向に伸び縮み出来
る様にする。各々のベローが、内側の管状部分の
夫々の端から内側に隔たつた領域で、内側の管状
部分に密封される。こうすることにより、２つの
ケーシングを結合して時、デイフユーザ・スリー
ブを隣接した内側の管状部分の相隔たる向い合つ
た端にはめて、ベローの空所の中に流体が逃込ま
ない様にすると共に、ベロー集成体及び継手に蒸
気が当らない様にすることが出来る。更に、絶縁
された充填リングをデイフユーザ・スリーブには
めて、隣合つたケーシングの間のすき間を介して
流体からの熱伝達が起らない様にする。ねじ継手
を隣接したケーシングの端にねじ込んで、ケーシ
ングを縦方向の同軸関係に頑丈に保つ。

第１図には絶縁ケーシング１が示されている。
ケーシング１はこれから説明する様な形で、他の
絶縁ケーシングと結合して、流体、特に非常に高
温又は低温の流体を熱損失を少なくして且つ漏れ
のない状態で長い距離にわたつて輸送する為の導
管を作ることが出来る。

ケーシング１の外壁が外側の管状部分２によつ
て構成されている。ケーシング内壁は、その中を
流体が流れる流管を形成するが、内側の管状部分
３によつて構成される。内側及び外側の管状部分
は同心であり、内側及び外側の部分の壁の半径方
向の間隔は、その間に環状空間４が出来る様にな
つている。

管状部分を作る特定の材料並びにその等級や厚
さは、ケーシングが受ける条件によつて変わる。
幾つかの因子を考慮に入れなければならない。管
状部分は、ケーシングに適当な構造支持が得られ
る様な材料で構成すべきである。ケーシングの主
な用途が地中深く高圧蒸気を噴射することである
時、材料は過度の圧力、温度及び腐食の影響に耐
えることも出来なければならない。更に、管状部
分が、製造中に溶接をする場合、適当な溶接性を
持つ材料を選ばなければならない。種々の鋼合金
が、管状部分２，３を形成するのに使うのに適し
た材料の例である。

ケーシング１の各々の端にある環状空間４の領
域がベロー空所５を構成する。空所５の中には流
密な管状ベロー６が配置される。ベロー６の目的
は、外側の管状部分２に対して内側の管状部分３
が熱によつて伸び縮み出来る様にしながら、管状
部分の対応する端を密封することである。この密
封により、内側の部分３の中を流れている流体が
環状空間４に逃込み、その中の絶縁材料に悪影響
を与えることが防止される。この為、ベロー６の
１端は外側の管状部分２の内面に密封接続し、他
端は同様に、部分３の端から内向きに実質的に隔
たつた点で、内側の管状部分３の外面に密封接続
する。

ベロー６は、それが接続されている管状部分と
共にベローの伸び縮みが出来る様にする波形に成
形することが出来る位の可撓性を持つ任意の材料
で作ることが出来る。ベローの材料を選択する際
の別の考慮すべき点は、ケーシングが高温又は低
温の流体、特に加圧蒸気を伝える為に使われる
時、この様な温度、圧力、荷重サイクル並びに腐
食因子の悪影響があつても、ベローが適正に作用
し得るものではなければならないことである。

ケーシングが井戸に蒸気を噴射する為に使われ
る時に適したベローの材料の１例は、ハンテイン
トン・アロイ・プロダクツ・デイビジヨン・イン
ターナシヨナル・ニツケル・カンパニ・インコー
ポレーテツドから商品名インコネル718の名前で
入手し得るニツケルとクロムの合金である。

ベロー６は、ベロー６及び管状部分２，３を構
成する材料にとつて適切な手段により、管状部分
２，３の対応する端に接続される。更に具体的に
云うと、ベロー及び管状部分が夫々インコネル及
び鋼で作られる時、ベロー６の夫々の端を、ベロ
ー及びケーシング部分を構成する金属に溶接し得
る金属で作つた金属溶接リング７，８に溶接する
ことにより、この接続を行うことが出来る。次に
溶接リング７，８を管状部分２，３の適当な面に
溶接する。勿論、ベロー６の端に管状部分２，３
の表面に直接的に溶接するという様な他の方法で
接続を行うことが出来る。然し、用途によつて
は、ベローを直接的に管状部分に溶接するより
も、溶接リングを使う方が有利である。溶接リン
グに対するベローの溶接は、ケーシングの他の部
品の組立てとは別個に、制御された動作で行うこ
とが出来る。こうすると、こうしない場合にベロ
ーの材料が比較的薄い為に起る惧れのあるベロー
材料の焼き切れが避けられる。この為、溶接工程
の間、溶接リングが有効な放熱部になり、こうし
て完成された部分的な集成体をベローと共にベロ
ー空所５に挿入し、管状部分に溶接すれば、焼き
切れる惧れも小さくなる。

環状空間４の残りの部分は熱絶縁材料９で充填
される。使う適当な絶縁材料は、ケーシング集成
体を使う用途、特にその温度の極限値によつて決
定される。例えば、ケーシング集成体を井戸に蒸
気を噴射する為に使う時、効率の高い多層絶縁物
が適当である。

適当な１種類の多層絶縁物が第２図に示されて
おり、伝導度の低い、ばら織の、不規則な配向を
した、長繊維の硝子繊維スペーサ材料９ｂによつ
て隔てられた反射性アルミニウム放射遮蔽体９ａ
の層で構成される。然し、前に述べた様に、ケー
シング集成体の用途によつて要求される適切な熱
絶縁性を所有するものであれば、他の任意の絶縁
材料を使うことが出来る。使う絶縁物は管の形に
製造し、環状空間４に挿入することが出来る。こ
の代りに、平坦な平板に作り、内側の管状部分の
周りに巻付けて、すき間の熱損失が起らない位に
重ね合せてもよい。

ケーシング１に更に絶縁性を施す手段として、
絶縁物をその中に配置した後、充填箇所１０を介
して環状空間４を部分的に真空にすることが出来
る。この後、環状空間に同じ充填箇所１０から伝
導度の低いガスを充填する。このガスは、２酸化
炭素、クリプトン、キセノン及び臭化水素及びそ
の組合せから成る群から選ぶ。この２次充填が完
了した後、充填箇所１０で環状空間４を気密封じ
する。ガスが環状空間４内の絶縁物を取巻き、こ
うしてその絶縁効率をよくする。

第３図は、一方のケーシングの内側管状部分を
流れる流体が、漏れを生ずることなく、隣接した
ケーシングの内側の管状部分の中け引続いて流れ
ることが出来る様な形で相互接続された２つの絶
縁ケーシング１ａ，１ｂを示している。２つのケ
ーシング１ａ，１ｂの端を突合せて正しく整合さ
せた時、２つの内側の管状部分３ａ，３ｂの端の
間にすき間１１が存在する。すき間１１の目的
は、その中を通る流体の温度に応答して、内側の
管状部分がその長さに沿つて伸び縮み出来る様に
する為である。流体を内側の管状部分３ａ，３ｂ
の中に局限し、流体がすき間１１から逃出さない
様にする為、各々の内側の管状部分の外壁の周り
にぴつたりとデイフユーザ・スリーブ１２をはめ
る。デイフユーザ・スリーブ１２の両端が、ベロ
ー６ａ，６ｂと内側の管状部分３ａ，３ｂの外壁
との間でベロー空所５ａ，５ｂ内に突入する。デ
イフユーザ・スリーブ１２は、それが受ける流体
の温度に耐え得る材料で構成され、内側の管状部
分３ａ，３ｂと同じ材料にするのが好ましい。

デイフユーザ・スリーブ１２の上に充填リング
１３をはめ、ベロー空所５ａ，５ｂの端の間に配
置する。充填リング１３は、例えばアルミニウム
及び硝子織布の層の様な絶縁材料で作る。充填リ
ング１３の目的は、ケーシングの内側部分と、ケ
ーシングの外側の周りの継手手段との間に熱障壁
を作ること、並びにベロー空所５を絶縁すること
である。内側の管状部分の中を流れる流体が蒸気
である時、内側の管状部分から漏れて充填リング
１３と接触した蒸気があれば、それによつて充填
リングが膨張して、ベロー空所５ａ，５ｂの端に
突合せになり、こうして蒸気が継手手段に当らな
い様にする。

隣接したケーシング１ａ，１ｂは、外側の管状
部分２ａ，２ｂを縦方向に同軸の、端を突合せた
一定の関係に保つ効果を持つ様な任意の種類の継
手手段によつて接続される。こうして結果を達成
するのに有効な１つの装置が第３図及び第４図に
示されている。この装置では、各々のケーシング
の外側の管状部分の表面の各々の端に、１４に示
す様に、ねじ山を設ける。１４に示したケーシン
グのねじ山と合う内ねじ１６を持つねじ継手１５
を、ケーシング１ａ，１ｂの各々の端にねじ込
む。ねじ継手１５は、ジユポン・ドウ・ネムアー
ス・カンパニから入手し得るテフロン材料で形成
される様なフロロカーボンのＯリング封じ１７を
そのねじ山の上に加えてもよい。外側の管状部分
のねじ山が、ねじ継手をその上にねじ込んだ時
に、フロロカーボンの封じの中に食い込み、こう
してフロロカーボンの封じが継手の密封特性を改
善する様に作用する。

各々が外側の管状部分２、内側の管状部分３、
ベロー６及び絶縁材料９を持つ２つのケーシング
を結合した完成された絶縁ケーシング集成体とす
る時は次の様にする。ねじ継手１５を第１のケー
シングの外側の管状部分２の端にあるねじ山にね
じ込む。その周囲に充填リング１３をはめたデイ
フユーザ・スリーブ１２を第１のケーシングの内
側の管状部分に沿つてはめ込む。次に、第２のケ
ーシングをデイフユーザ・スリーブ１２と整合さ
せ、ねじ継手１５を第２のケーシングの外側の管
状部分にきつちりとねじ込む。その結果、２つの
ケーシングは縦方向に同軸の一定の関係に保た
れ、ケーシング集成体の各々の内側の管状部分
は、その長さに沿つて自由に伸び縮み出来る状態
で、隣接した内側の管状部分へ流体を伝えること
が出来る。この構成で、デイフユーザ・スリーブ
１２が流体を内側の管状部分に局限し、充填リン
グ１３はデイフユーザ・スリーブとねじ継手１５
との間の熱障壁になる。ベロー６が内側及び外側
の管状部分の間の可撓性接続部になると共に、流
体が環状空間４に入らない様にする。この環状空
間には、内側及び外側の管状部分の間の熱伝達を
低下させるのに有効な伝導度の低いガスの中に封
入された多層絶縁物がある。

【図面の簡単な説明】

第１図はこの発明の絶縁ケーシングの部分的な
断面図、第２図は第１図の線２−２で切つた、環
状空間内の多層絶縁物を持つ絶縁ケーシングの断
面図、第３図はこの発明の２つのケーシング及び
断手手段を持つ絶縁ケーシング集成体の部分的な
断面図、第４図はこの発明のケーシング集成体の
部分を分離して示す部分的な分解斜視図である。 主な符号の説明、２：外側管状部分、３：内側
管状部分、４：環状空間、６：ベロー、１２：ス
リーブ、１３：充填リング、１５：ねじ継手。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ いずれも半径方向に隔たる内側及び外側の管
   状部分を持つていて、その間に環状空間を構成
   し、各々の内側の管状部分の端から内側に隔たつ
   た点から外側の管状部分まで膨張し得る密封手段
   が伸びている同軸に配置された１対のケーシング
   と、内側の管状部分の向い合つた端に密にはめら
   れたスリーブと、該スリーブにはめられていて、
   前記ケーシングの向い合つた端の間に配置された
   充填リングと、外側の管状部分を結合する手段と
   を有する絶縁ケーシング集成体。 ２ 特許請求の範囲１に記載した絶縁ケーシング
   集成体に於て、各々のケーシングが前記環状空間
   の中に収容された熱絶縁材料を有する絶縁ケーシ
   ング集成体。 ３ 特許請求の範囲２に記載した絶縁ケーシング
   集成体に於て、絶縁材料が多層絶縁物で構成され
   ている絶縁ケーシング集成体。 ４ 特許請求の範囲３に記載した絶縁ケーシング
   集成体に於て、前記多層絶縁物が伝導度の低いガ
   スの中に封入されている絶縁ケーシング集成体。 ５ 特許請求の範囲４に記載した絶縁ケーシング
   集成体に於て、伝導度の低いガスが、２酸化炭
   素、クリプトン、キセノン、臭化水素及びその組
   合せから成る群から選ばれている絶縁ケーシング
   集成体。 ６ 特許請求の範囲２乃至５のいずれかに記載し
   た絶縁ケーシング集成体に於て、絶縁材料が、伝
   導度の低い硝子繊維スペーサ材料によつて隔てら
   れた反射性アルミニウム放射遮蔽体の環状層で構
   成されている絶縁ケーシング集成体。 ７ 特許請求の範囲１に記載した絶縁ケーシング
   集成体に於て、外側の管状部分が前記環状空間と
   連通する密封し得る手段を含んでいて、該空間か
   ら空気を抜いて、該空気を伝導度の低いガスで後
   から充填することが出来る様にしている絶縁ケー
   シング集成体。 ８ 特許請求の範囲１に記載した絶縁ケーシング
   集成体に於て、前記管状部分を接続する膨張し得
   る密封手段が流密な管状ベローで構成され、各々
   のベローはその１端が１つの外側の管状部分の内
   面に接続されると共に他端が１つの内側の管状部
   分の外面に接続されている絶縁ケーシング集成
   体。 ９ 特許請求の範囲８に記載した絶縁ケーシング
   集成体に於て、ベローが金属製である絶縁ケーシ
   ング集成体。 １０ 特許請求の範囲９に記載した絶縁ケーシン
   グ集成体に於て、ベローの両端を、前記管状部分
   に１つずつ溶接された溶接リングに溶接した絶縁
   ケーシング集成体。 １１ 特許請求の範囲１に記載した絶縁ケーシン
   グ集成体に於て、前記外側の管状部分の両端が外
   ねじを持ち、前記外側の管状部分を結合する前記
   手段がねじ継手で構成される絶縁ケーシング集成
   体。 １２ 特許請求の範囲１１に記載した絶縁ケーシ
   ング集成体に於て、前記ねじ継手がそのねじ山に
   フロロカーボンのＯリング封じを持つている絶縁
   ケーシング集成体。 １３ 特許請求の範囲１に記載した絶縁ケーシン
   グ集成体に於て、内側及び外側の管状部分及び前
   記管状のスリーブが鋼製である絶縁ケーシング集
   成体。 １４ 特許請求の範囲１に記載した絶縁ケーシン
   グ集成体に於て、充填リングが絶縁材料で構成さ
   れている絶縁ケーシング集成体。