JPS6116395Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 この考案は断熱・防音・防火性が良好な雨戸に
関するものである。

従来、金属製の表、裏パネルを対設し、上、下
および堅框を枠組し空間部を設け、該空間部に合
成樹脂を発泡充填してこれを断熱材とした断熱、
防音機能が良好な雨戸は知られている。しかしな
がら前記雨戸は、その組立時において合成樹脂液
を周囲框と表裏パネルとで囲んだ空間内に発泡充
填することになるので製造設備が大掛りで、且つ
煩雑なものになるため、その製造コストが高くな
ると共に、防火性の面で問題があつた。

この考案は、断熱、防音、防火性能を有し、特
にその製造が簡単で製造コストを安価にできると
共に、雨戸としての強度を充分に備え、かつ、そ
りやクラツクを発生することがなく、然かも美的
外観が室内側においても良好である断熱・防音・
防火雨戸を提供することを目的とするものであ
る。

以下、この考案による雨戸を図面に示す実施例
に基づいて説明する。

第１図及び第２図に示す雨戸Ａは上、下及び堅
框を枠組みした雨戸枠Ｂ内に、室外側に表パネル
１を、室内側に裏パネル２を組込んで形成されて
いる。

表パネル１は、水平凹凸条の横波形状を長手方
向にわたつて形成してある波型パネル１であり、
室内側面に垂直部３と空間部４とを有している。
裏パネル２は、補強薄膜層８、平板状の発泡合成
樹脂層Ｃ、遮蔽層５、塗装層６及び表面塗装層７
が順次積層状に接着一体化して形成されている。

発泡合成樹脂層Ｃは、発泡ポリスチレン、発泡
ウレタン等の平板材を切断して所定の寸法のもの
に加工したもので、断熱、防音性に優れ、軽量な
樹脂が好ましい。前記発泡合成樹脂層Ｃの一側に
は、アルミ箔等からなる遮蔽補強層５が貼着され
ている。この遮蔽補強層５は、後述する塗装層６
が発泡合成樹脂層Ｃ内に侵入し腐食等が生じ劣化
しないようにすると共に、発泡合成樹脂層Ｃと塗
装層６との接着一体性を強くし、かつパネルの補
強芯体となるように貼着したものである。また遮
蔽補強層５として硬質の平板材、すなわち耐水ベ
ニヤ等を使用すれば、発泡合成樹脂層Ｃ及び塗装
層６を外部からの押圧力等から保護し、裏パネル
としての強度を顕著に増大することができる。

次いで遮蔽補強層５に塗着されている塗装層６
は、エマルジヨン吹付材で植物性セレローズ質の
素材（例えば製紙スラツジ等）にアルミニウムス
ラツジを全量の10〜20％の割合で加え、かつ、ア
クリル共重合エマルジヨン又は酢酸ビニールエマ
ルジヨン等の接着材を混入したものであり、これ
によつて自己消火性が生じる。

アルミスラツジはアルミ型材製作工場における
アルマイト処理工程より多量に排出される産業廃
棄物であり、従来より公害との関係よりその再利
用が検討されていた。このアルミスラツジは、水
酸化アルミニウム（Al（OH）₃・nH₂O）を主成分
としているので自己消火性を有している。

次いで遮蔽補強層５に塗装層６を吹付け塗着し
た後、乾燥する前にローラ等にて表面をおさえ、
その表面を外観意匠を考慮していわゆるエンボス
状に仕上げるのが好ましい。

さらに該塗装層６の表面からエナメル等の防水
性の表面塗装層７を塗布して外装仕上げとする。
エナメル等の表面塗装層７を有し、これが前記塗
装層６と合せてパネル周囲の堅横框の内面に一体
に塗着して隙間を有しない構造にしているので防
水効果のみならず気密防音効果を充分にもたせる
ことができると共に、美感の優れた室内側表面を
形成しているものである。

以上のごとく形成された裏パネル２をその発泡
合成樹脂層Ｃ側を裏パネル１側に配し、表パネル
１の室内側面の垂直面部３に薄膜層８を介して表
パネル１に一体的に接着したものである。

尚前記薄膜層８はアルミ箔等の部材により形成
してあり、この薄膜層８を介在させることによ
り、発泡ポリスチレン等から成る発泡合成樹脂層
Ｃと表パネル１との接着一体性を大きく向上させ
ている。

また、表裏パネル１，２間に空気層たる空間部
４を形成しているものにおいては、この空間部に
より表、裏パルル１，２全体としての断熱、防
音、防火性を更に向上することができる。

また、第３図の如く、表パネル１を平薄板とし
ても良い。

かくしてこの考案の雨戸は以上の構成よりなる
ので以下に示す効果を奏する。

裏パネルを補強薄膜層、発泡合成樹脂層、遮
蔽補強層、アルミスラツジを混入した塗装層、
表面塗装層の順に積層状に一体形成してあるの
で、断熱性、防音性及び防火性に優れた雨戸で
ある。

産業廃棄物であるアルミスラツジをパネルの
成形材料として使用してにるのみならず、発泡
合成樹脂層を発泡合成樹脂製の平板から切断加
工したものでよく、又後は通常のエマルジヨン
吹付塗装を施す程度のものであるから、安価に
製造できる。

雨戸パネルを、表パネル、補強薄膜層、平板
状の発泡合成樹脂層、遮蔽補強層、塗装層及び
表面塗装層の順に相互に積層状に接着一体化し
た多量積層構造とし、その中に層相互の接着性
を高め、かつ補強芯体となる補強薄膜層と遮蔽
補強層とを内蔵しているので、雨戸パネルの面
内外方向の外力に対耐する力が大きく、強い風
力に対しても充分に耐え得るものである。

雨戸パネルを多重積層構造とし、かつ層相互
の接着力を高め、かつ補強芯体となり得る二枚
の補強薄膜層と遮蔽補強層とを内蔵しているの
で、外気温度によるパネル室内外の熱膨張・収
縮量の差を極力小さく抑えることができ、雨戸
の熱による“そり”を充分に抑制できるもので
あるから、外気温度が高くなつても雨戸が“そ
り”で閉開摺動しずらくなるようなことがない
と共に、塗装層、表面塗装層にクラツクが入る
こともない。

雨戸パネルの室内側にはアルミスラツジ入り
の塗装層と表面塗装層とを重合して設けており
その各層は周囲框の内壁面と一体に隙間なく塗
着しているので、気密防音性が非常に大きく向
上しているものである。

【図面の簡単な説明】

図面はこの考案の実施例に示したもので、第１
図はこの考案による雨戸を示す正面図、第２図は
その縦断面図、第３図は他の実施例を示す縦断面
図である。 Ａ……雨戸、Ｂ……雨戸枠、Ｃ……発泡合成樹
脂層、１……表パネル、２……裏パネル、３……
垂直面部、４……空間部、５……遮蔽補強層、６
……スラツジ入り塗装層、７……表面塗装層、８
……補強薄膜層。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 上下横框および左右堅框を枠組みした金属製雨
   戸枠内に、室外側に金属製表パネルを、室内側に
   裏パネルを配してなる金属製雨戸において、前記
   表パネルの室内側に補強薄膜層、平板状の発泡合
   成樹脂層、遮蔽補強層、アルミスラツジを混入し
   た塗装層、および表面塗装層の順に積層状態に接
   着一体化した裏パネルを、その裏パネルの補強薄
   膜層を介して一体に接着していると共に、前記ア
   ルミスラツジ入り塗装層および表面塗装層の各外
   周面を周囲の框の内側に隙間なく一体に塗着させ
   たことを特徴とする断熱・防音・防火雨戸。