JPS6116015B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明は蓄電池の電解液比重及び液面位の変化
を電気的に検出する検出方法の改良に関するもの
である。

従来、蓄電池の電解液比重、液面位を電気的に
検出する方法としては、電解液が硫酸という腐蝕
性物質であるため、極く限られた方法しかなかつ
た。例えば、リードスイツチを応用し、リードス
イツチの周辺で磁石を内蔵したフロートの移動に
よりリードスイツチをON，OFFさせ、電気信号
を外部に取り出す方法が現在では最も一般的であ
る。しかし、この方法は磁石を使用するため、リ
ードスイツチがONする比重値とOFFする比重値
との間にヒステリシスによりかなりの誤差が発生
する。この誤差を小さくするには、フロートの体
積をできるだけ大きくすればよいが、そうすると
装置自体が大きくなるとう欠点が生じる。また最
近、リードスイツチとしては、かなりコンパクト
なものが発売されているが、電解液よりシールす
るために、リードスイツチを合成樹脂でモールド
するとかなりのかさとなり、コンパクトな自動車
用蓄電池にまで適用することは困難であつた。

その他差動変圧器とフロートの移動、あるいは
光電管とフロートの移動を応用したものなどもあ
るが、いずれも据置用蓄電池用として開発された
もので、装置は大きく、また振動を受ける蓄電池
への適用は不可能であつた。

本発明は上記のような従来の欠点を除去し、装
置の構造を簡単でコンパクトにでき、且つすぐれ
た耐振性を有する構造にでき、さらに大きな誤差
もない蓄電池の電解液比重・液面検出方法を提供
するものである。

即ち、本発明は電解液中に検出電極を挿入する
と共に該検出電極をその挿入した蓄電池以外の端
子に接続し、前記検出電極と電解液との接触、離
脱を前記端子と検出電極間に流れる電流の有無よ
り電気的に液面を検出するといつた従来より広く
使用されている電極式液面検出方法に、検出電極
より電気分解で発生するガスを比重・液面位にて
移動するフロートでもつて前記検出電極の検出部
に溜めて気相を構成し、該気相で前記検出電極と
電解液とを離脱せしめる機構を付加して比重をも
検出できるうにしたものである。

さらに詳しく述べると、本発明は従来より広く
使用されている電極式液面検出方法の一現象に着
目して発明したもので、検出電極を電解液に挿入
し、そして検出電極をその挿入セルより電位の低
い蓄電池の端子に接続すると、両者間に電位が発
生し、検出電極から他端子に向つて、電流が流れ
る。この場合、検出電極は負極となり、前記電流
により常時還元され、検出電極は腐蝕されること
がない。また同時に検出電極周辺では電気分解に
よりH₂ガスを発生する。

上記電流は検出電極より電解液面が低下し、検
出電極と電解液とが離脱すると、当然流れなくな
るが、その他に検出電極が正常に電解液中に挿入
されている場合でも流れない事実をつかんだ。こ
れは蓄電池蓋裏からのリークを防止するために、
検出電極の先端の検出部以外を合成樹脂等の絶縁
材で覆つたものにおいて、検出電極の検出部の露
出を除々に少なくすると、ある時点で検出電極の
検出部は該検出電極よりの発生ガスで完全に覆わ
れ、電解液と検出電極の検出部が完全に絶縁され
るという現象が生じるためであることが分かつ
た。この絶縁度は検出電極の先端検出部の直径が
２〓で周囲を覆う合成樹脂の絶縁材の直径が４〓
の場合、つまり絶縁材先端のエツヂより検出電極
までわずか１mmでも10⁷Ω以上の絶縁性がある事
実をつかんだ。

これは検出電極より発生したガスが絶縁材先端
部に表面張力による気相膜をつくり、検出電極の
検出部と電解液との接触を完全に遮断するためで
ある。絶縁材先端表面にたとえ濡れリーク電流が
流れても、表面の水分はこのリーク電流により電
気分解され、気相膜内の水分は完全に気相（ガ
ス）となり、絶縁材先端のエツヂから検出電極に
電気を流すイオンは完全に消滅し、たとえ１mm程
度でも大きな絶縁度が得られる訳である。この事
実に基づき本発明においては、比重・液面位によ
つて移動するフロートを用いて、該フロートに検
出電極より発生するガスを溜めて検出電極の検出
部に気相を構成し、該気相により検出電極と電極
との離脱せしめ、またフロートの移動により気相
を崩壊せしめて検出電極と電解液とを接触せしめ
たりして、電気的スイツチ作用を得るようにした
ものである。

また従来の方法によれば、検出極内に２本の配
線を必要としたが、本発明によれば検出電極を発
光ダイオード、ランプ等を介して蓄電池の端子に
接続するだけで構成することができる。

以下、図面を用いて本発明を具体的に説明す
る。第１図及び第２図は本発明検出方法を用いた
比重・液面検出装置の概略構造を示すもので、１
は金属よりなる検出電極で、先端の検出部以外の
部分は合成樹脂などの絶縁材２で被覆され、電解
液３と接触しないように構成されている。

また検出電極１はその先端の検出部が電極液の
許容最低液面付近にくるように蓄電池蓋４に取付
けられ、電解液３中に挿入されている。

５は検出電極に接続されたリード線で、検出電
極１に挿入したセル以外の電位の低い蓄電池の端
子に、通常は発光ダイオード等の表示装置を介し
て接続される。なお、検出電極として特殊なもの
を用いそして電位の高い蓄電池の端子に接続する
ことも可可能である。６は検出電極１の周囲に嵌
められたリング状のフロートで、電解液３の比重
が一定の値より高低することにより、浮き沈みす
るように構成されている。

７は検出電極１より電気分解で発生したガスに
より形成された気相である。

次に上記第１図及び第２図の装置の動作を説明
すると、先ず電解液３の比重・液面位が正常の場
合は、第１図に示すようにフロート６は浮上して
検出電極１の検出部より上にあり、検出電極１の
検出部は電解液３と接触し、検出電極に電流が流
れる。この電流が流れたことをランプ点灯させる
などして検出することにより、比重・液面が正常
であることを検出できる。

なお、検出電極１より電気分解によりガスが発
生し、検出電極１の周辺に気相７を構成するが、
検出電極１の検出部の露出が大きいため、先端は
電解液３と接触した状態で残る。

次に電解液３の比重が低下した場合は、第２図
に示すようにフロート６は沈下し、その結果、検
出電極１より発生したガスはフロート６により溜
められ、気相７は拡大され、検出電極１の検出部
は気相７により完全に覆われる。

この場合比重低下直後は気相７内に電解液が残
るが、電気分解の経過とともに気相内の電解液は
押出され、検出電極１は完全に気相７で覆われ絶
縁される。このように気相７により検出電極１と
電解液３が離脱されると、検出電極１に電流が流
れなくなり、これを検出することにより比重低下
を検出することができる。

また電解液３の液面位が低下した場合は、フロ
ート６は液面低下に応動して下降し、前記比重低
下の場合と同じように動作して、液面低下を検出
する。なお、比重、液面位の変化と検出との間に
は時間的ずれがあるが、これは外部回路の抵抗値
によつて変り、少なくすることもできる。

このように本発明によれば、検出電極とフロー
トに接点を設けなくても、比重、液面の変化を電
気的にON，OFFに変えられる。

なお、本発明検出方法は前記した第１図及び第
２図に示す構造の装置に限定されるものではな
く、種々の構造で実施できるものである。

以上述べた如く本発明検出方法によれば、誤差
が大きくなく、且つ構造が簡単でコンパクトです
ぐれた耐振性を有する装置を提供でき、自動車用
蓄電池、電動車用蓄電池、据置用蓄電池などの多
くの蓄電池に適用することができる。

【図面の簡単な説明】

第１図及び第２図は本発明検出方法を用いた装
置の概略構造の一例を示す縦断面図である。 １…検出電極、３…電解液、６…フロート、７
…気相。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ 電解液中に挿入した検出電極を蓄電池の端子
   に接続し、前記検出電極との接触、離脱を電気的
   に検出する方法において、前記検出電極より電気
   分解で発生するガスを比重・液面位にて移動する
   フロートでもつて前記検出電極の検出部に溜めて
   気相を構成し、該気相で前記検出電極と電解液と
   を離脱せしめる機構を有する蓄電池の電解液比
   重・液面検出方法。