JPS6111820B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明は、車輌内に配置した座席と、該座席に
付設したシートベルトからなる車輌用シートベル
ト付座席に関する。

従来この種の車輛用シートベルト付座席におい
ては、例えば車輛が衝突した際車輛の減速度によ
り乗員が前方へ急速に移動しようとするが、その
移動をシートベルトにより拘束し、乗員の安全を
確保している。しかしながらシートベルトで乗員
の前方移動を拘束する際乗員はいわゆるサブマリ
ン現象を受ける場合が多い。即ち、シートベルト
は主として腰から上半身を支持し、乗員の下半身
は自由であるから、急激な減速を受けると、乗員
は座席の後方部分を圧縮して腰が沈み込みながら
前方へ移動し、その時乗員の上半身、特に首がシ
ートベルトにより懸吊されるような現象を生じ
る。近年自動車の乗心地を改良するため、人間工
学的な見地から座席の鋼製バネ系の弾性を改善す
る一方、合成樹脂等からなる発泡材により着座し
た際のすわり心地を改善してもいる。この様な構
成の座席においては衝突時に腰が大きく下がるた
め上記サブマリン現象は発生しやすくなつてい
る。このサブマリン現象を防ぐ意味で、座席枠に
薄手の鋼板を張設し、該鋼板上に発泡材を張設し
た車輛用座席は周知であるが、この場合座席の弾
性は強く、従つてすわり心地は堅く悪くなるとい
う欠点がある。

本発明は、例えば衝突した時のように乗員が急
激な減速度を受けた際、上記サブマリン現象の発
生を防止すると共に、座席のすわり心地を損わな
い車輛用座席を提供することを課題とする。

この課題は本発明に従つて、座席の着座面の下
に、上下位置間を移動可能に支持板を設け、該支
持板がシートベルトの張力に連動するてこ装置に
接続され、通常時には支持板が下方位置に位置
し、車輛衝突によつてシートベルトに所定以上の
張力を生じたときは、前記てこ装置が前記支持板
を上方位置に上げることにより解決される。

第１図に示した本発明による座席１は着座部分
１と背当て部分１″とからなる。着座部分１′の着
座面１の真下には汎用の車輛用座席と同様、図
示していない弾性発泡体とバネ装置とが組合され
ていて、着座した乗員を弾性支持する。発泡体と
バネ装置の下方に、前後方向に延在する支持板２
を設けていて、該支持板２の一端が座席枠にピン
３により枢着されていて、支持板２はピン３の周
りに上下に上又は下方位置間を旋回可能である。
支持板２が下方位置に位置しているときには、座
席のバネ系に対して独立している。一端を前方で
ピン３により枢着した支持板２の他端近域には、
第２図に示されているようにワイヤー１２が固定
されている。ワイヤー１２は車輛の固定部分、例
えば座席枠に枢着したコロ９により上方に案内さ
れ、該コロ９は座席前後方向に対し横方向にワイ
ヤー１２を案内する。ワイヤー１２の他端は、車
輛の固定部分、即ち座席枠乃至てこ装置３０のフ
レーム６に固定されている。てこ装置３０の詳細
を第３図に示している。てこ装置３０はフレーム
６からなり、該フレームには双腕レバー１０がピ
ン１３により枢着され、双腕レバー１０はピン１
３周りに回動可能に支持されている。双腕レバー
１０の一端にはピン７′によりコロ７が枢着さ
れ、コロ７はピン７′周りに回転自在であり、コ
ロ７はシートベルト４に係合しこれを案内するの
に役立つ。双腕レバー１０の他端近域にはコロ１
４がピン１４′により枢着され、コロ１４はピン
１４′周りに回転自在であり、コロ１４はワイヤ
ー１２を案内するのに役立つ。双腕レバー１０の
ワイヤー１２を案内するコロ１４を設けたレバー
の下側にはシートベルト４を緊締するためのシー
トベルトクランプ装置が設けられ、該クランプ装
置はレバー１０の爪１８からなり、該爪１８は、
このレバーが下方に旋回した際、フレーム６に設
けた爪１７と協働し、その爪１８，１７間でシー
トベルト４を把持する。

前述の様にその一端を支持板２で固定したワイ
ヤー１２はコロ９により案内され、更に、フレー
ム６にピン８′により枢着したコロ８により案内
され、又双腕レバー１０の一方のレバーに枢着し
たコロ１４により案内され、その他端をフレーム
６又は座席に固定している。

又、シートベルト１０は、座席後方の下隅に配
置した緊急ロツクリトラクター１１から、座席の
前後方向に対し横向きに延在させ、前記てこ装置
３０の双腕レバー１０の一端に設けたシートベル
ト係合案内用コロ７により転向案内され、上方に
延びていて、ケース５により包囲され、その他端
には、一端を車体に係着した図示していない別の
シートベルトに係合するトング４′に連結されて
いる。緊急ロツクリトラクター１１は、シートベ
ルトを巻取るリールと、ベルトの引出し速度及
び／又は車輛の減速度に応答してリールをロツク
する周知の加速度感応機構とからなる。

上記の様に構成した本発明による車輛用シート
ベルト付座席は、次の様に動作する。

車輛が、例えば衝突した時の様に急激な減速度
を受けると、シートベルト４を装着した乗員は前
方に投げ出されるような動きをすると同時に、リ
トラクター１１はその加速度感応機構によりリー
ルをロツクしてシートベルト４の引出しを阻止す
る。阻止すると同時にシートベルト４は乗員の荷
重を支持するために所定の張力を生じ、その張力
が所定以上になると同時に双腕レバー１０のシー
トベルト４の係合案内端を押し上げる。双腕レバ
ー１０の他端は従つて押し下げられ、コロ１４の
下方移動によつて支持板２がワイヤー１２を介し
て引つ張られる。従つて、支持板２はその下方位
置から二点鎖線で示した上方位置に引き上げられ
る。支持板２が引き上げられると、乗員の腰の沈
み込みが支持板２によつて阻止されるかまたは腰
が持ち上げられるので、腰が前方へ移動すること
がなく、従つて、いわゆるサブマリン現象を生ぜ
しめない。他方、双腕レバー１０の一端が押上げ
られると共に、もう一端が下方へ押下げられ、該
端の下方に設けたシートベルトクランプ装置の爪
１８が二点鎖線で示しているようにフレーム６に
設けた爪１７に係合するが、その時シートベルト
４は爪１８と爪１７との間で係止され、シートベ
ルト４をリトラクター１１方向から引出す運動を
阻止する。一般に、シート ベルト４をリトラク
ター１１のリールに巻取る際、比較的ゆるく巻取
るので、急激にベルトをリトラクターから引出
し、リトラクター１１のリールをロツクしてもリ
ールに巻付いたベルトが締りながら引出される。
即ち、ベルトのリールへの締り力がベルトの張力
に対応する迄、リールに巻付いたベルトが締りな
がら引出される。通常この時引出されるベルトの
引出し量は50〜200mmにも達し、場合によつて
は、乗員を座席の後方に完全保持できないような
ことがある。従つて、ベルトのリールからの引出
し量を本発明の如く、ベルトの張力に対応して作
動する作動装置に設けたクランプ装置、即ち爪１
７，１８間で制限し、リトラクターの加速度感応
型ロツク装置が作動した場合に、なおも引出され
るベルトの引出し量を制限することはシートベル
トの機能を更に確実且つ安全にすることに繁が
る。

第４図による本発明の実施例の場合、第１〜３
図に記載の実施例とは、次の点で異る。てこ装置
４３０の双腕レバー４１０の一方のレバーに固定
したピン４１５にワイヤー４１２の一端をクラン
プ４１６により直接固定しついで、双腕レバーの
枢着ピン４１３周りのシートベルト側の端部の運
動と共に、支持板４０２をワイヤー４１２により
直接上下動する。

第５図による本発明の実施例では、シートベル
ト５０４が直接てこ装置５３０の双腕レバー５１
０の一方のレバーに係着片５０１を介して接続さ
れていて、シートベルト５０４の張力に応じてワ
イヤー４１２を押し下げ、支持板を押上げる。当
然、双腕レバー５１０にシートベルトを接続する
替りにベルトの引出し加速度及び／又は車輛への
加速度に応動するリトラクターを双腕レバー５１
０に直接配置することもできる。

以上のように、本発明は、通常時には支持板を
下方位置に位置させて座席のすわり心地を良くす
ると共に、車輛衝突によつてシートベルトに所定
以上の張力を生じたときは、前記てこ装置が前記
支持板を上方位置に上げて乗員の腰の沈み込みを
防止するかまたは腰を持ち上げるので、腰が前方
へ移動することがなく、サブマリン現象の発生が
阻止され、しかも支持板の持ち上げのために動力
装置やその制御装置を必要としないという優れた
効果を奏する。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明による車輛用シートベルト付座
席の側面略図であり、第２図は第１図の断面線
−を示し、第３図は第２図の要部を示し、第４
図は第３図に示した実施例の変形を第３図に類似
して示したものであり、第５図は第４図の場合と
同様別の実施例の正面略図である。 １……座席、１′……シート本体、１……着
座面、２，４０２……支持板、４，４０４，５０
４……シートベルト、３０，４３０，５３０……
てこ装置。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 車輛内に配置した座席１と、該座席に付設さ
   れたシートベルト４，４０４，５０４とからなる
   車輛用シートベルト付座席において、 座席の着座面１の下に、上下位置間を移動可
   能に支持板２，４０２を設け、 該支持板がシートベルト４，４０４，５０４の
   張力に連動するてこ装置１０，１３；４１０，４
   １３；５１０に接続され、 通常時には支持板２，４０２が下方位置に位置
   し、車輛衝突によつてシートベルトに所定以上の
   張力を生じたときは、前記てこ装置が前記支持板
   を上方位置に上げることを特徴とする車輛用シー
   トベルト付座席。 ２ 支持板２，４０２が座席１の前方位置に枢着
   されていることを特徴とする特許請求の範囲第１
   項記載の車輛用シートベルト付座席。 ３ てこ装置が揺動可能な双腕レバー１０，４１
   ０と、この双腕レバーの一端に取りつけられたシ
   ートベルト案内用コロ７と、双腕レバーの他端と
   支持板２，４０２を接続するワイヤー１２，４１
   ２とからなることを特徴とする特許請求の範囲第
   １項または第２項記載の車輛用シートベルト付座
   席。 ４ てこ装置が、一端にシートベルトを接続した
   揺動可能な双腕レバー５１０と、双腕レバーの他
   端と支持板２，４０２を接続するワイヤー４１２
   とからなることを特徴とする特許請求の範囲第１
   項または第２項記載の車輛用シートベルト付座
   席。