JPS609734Y2 - 低出力高速電動機の試験装置 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 この考案は低出力高速電動機の試験装置に関するもので
ある。

一般に、ころがり軸承で支持される回転軸の摩擦トルク
Ｔは、回転軸の重量によってころがり軸承に生ずる摩擦
トルクＴ１と、回転軸の残留不釣合いによる不釣合い力
によってころがり軸承に生ずる摩擦トルクＴ２と、ころ
がり軸承に供給される潤滑油の粘性摩擦抵抗に起因する
摩擦トルクＴ３と、回転時の空気抵抗による摩擦トルク
Ｔ、との総和により与えられる。

しかしてこの種の低出力高速電動機の試験装置において
、回転試験可能な上限回転数は、被試験電動機の最大駆
動トルクＴｍａｘと、前記した回転軸の摩擦トルクＴと
から決定され、両者が等しくなる回転数である。

従って特にこの種の装置にあっては、発揮する最大駆動
トルクが小さく、かつ回転軸の弾性モードで振動する１
次の危険速度以上の高速回転が要求されるために、試験
上限回転数を可能な限り高速にするのには、極力、回転
軸の摩擦トルクを小さくする必要がある。

このような要求に伴なって、従来の低出力高速電動機の
試験装置では、回転軸を真空容器内に収容させて、空気
抵抗による摩擦トルクＴ、を皆無にし、さらに回転軸の
軽量化と共に、バランス修正において残留不釣合いを小
さくして、ころがり軸承での摩擦トルクＴ１．Ｔ２を低
減化するようにしている。

しかし乍ら、前記回転軸の軽量化については、高速回転
に伴なう遠心力による破壊強度の面からの制約があって
、摩擦トルクＴ１の低減には限界がある。

またバランス修正での精度の向上は修正時間、工程の面
からの制約があって、無制限に高精度を要求することは
無意味ですらあると言える。

特に従来の何等特別に工夫を施してない軸承構造、すな
わち各ハウジングを真空容器内に剛性支持させた軸承構
造をもつ従来装置によると、前記した回転軸の残留不釣
合いによる不釣合い力によって、ころがり軸承での摩擦
トルクＴ２が全摩擦トルクＴに対して支配的となり、結
果的にこの摩擦トルクＴ２の大きさによって、試験可能
な上限回転数が決定されてしまうと言う不都合があった
。

この考案は従来のこのような不都合を改善するため、こ
ろがり軸承の支持を弾性構造に変えて摩擦トルクＴ２の
低減化を図ったものである。

以下この考案に係わる試験装置の一実施例を、従来例と
共に、添付図面を参照して詳細に説明する。

第１図はこの実施例による試験装置の構成を示している
。

この第１図において、１は真空ポンプ２に接続した真空
容器、３はこの真空容器１内に複数個のＯリング４ある
いはばねなどを介して弾性的に装着された１組のハウジ
ング、５はこれらの各ハウジング３に各々嵌着されたこ
ろがり軸承、６はこれらの各ころがり軸承５に前記真空
容器１の外部から潤滑油を給油する給油ユニット、７は
前記各ころがり軸承５に両軸端を支持させた回転軸、８
はこの回転軸７上に固着した試験に供される低出力高速
電動機の回転子、９はこの回転子８の外周面に、内周面
を対峙して容器内に固定され、この回転子８、ひいては
回転軸７を励磁駆第３動する固定子、１０は励磁用高周
波電源、１１は電流計、１２は電圧計である。

こ）で前記回転軸７は、等価な単一円板を有する回転軸
系に置換することができ、これによって従来の剛性支持
による回転軸系は、等価質量２ｍの円板と、等価ばね定
数ｋｓの回転軸を、等価ばね定数ｋｂのころがり軸承で
支持する第２図の系に、またこの考案の弾性支持による
回転軸系は、ハウジングの質量を無視し、弾性支持の等
価ばね定数にでころがり軸承を支持した第３図の系に各
々モデル化される。

これらのモデル化された各回転軸系において、回転軸の
回転数をω、残留偏重心量をＥとすると、ころがり軸承
に加わる従来での力Ｆｂ、この考案での力Ｆｂ’は、次
式のようになる。

すなわち、 こ）でωが＝ｋｓ／ｍ。

である。

またｋｂ ＝ １０’ ｋｇ／ｍｍｔ ｋｓ ＝ ＩＣ
Ｐ ｋｇ／ｒｒｒｔｎ ｔ Ｋ ＝ Ｉ ＣＰｋｇ／ｒ
ｒｒ！Ｉｔとして、実際はころがり軸承に、振動に対し
ての減衰効果が若干見込まれることを考慮して計算した
結果の例を第４図に示しである。

なお、第４図に於いて点線は従来例を示し、実線は本考
案による場合を示す。

この第４図から明らかなように、ころがり軸承に作用す
るところの、残留不釣合いによる不釣合い力は、１次危
険速度以上ではこの考案の弾性支持構造による低減効果
が著るしく、さらに前記（２）式からころがり軸承のば
ね定数ｋｂに比較して弾性支持のばね定数Ｋを小さくす
ると効果的である。

そしてまたころがり軸承に不釣合い力Ｆｂ。

Ｆｂ’が加えられた場合の摩擦トルクＴ２は、ここで、 μはころがり軸承の摩擦係数 ｄはころがり軸承の内径 と表わすことができ、前記（１）、 （２）式での不釣
合い力の間第をこの（３）式に各々代入すると、従来例
とこの考案との各々の場合での残留不釣合いによってこ
ろがり軸承に生ずる摩擦トルクＴ２が定まる。

第５図には少なくとも１つの危険速度以上で回転すると
きの回転軸の摩擦トルク特性を示しである。

この図において、一点鎖線は前記した各摩擦トルクＴ１
．Ｔ３およびＴ４を総合した摩擦トルク特性を表わして
いて、結局、回転軸の摩擦トルク特性は、前記（３）式
で得られる摩擦トルクＴ３と、前記一点鎖線に示した摩
擦トルクとの重畳で表わすことができる。

なお破線および実線は各々従来例およびこの考案での特
性を示している。

この第５図から明らかなように、この考案ではころがり
軸承を弾性支持することによって、ころがり軸承に加わ
る不釣合い力の低減効果分だけ、従来例よりも摩擦トル
クＴが低減される。

すなわち、最大駆動トルクＴｍａｘの場合、このＴｍａ
ｘと交わる回転数が回転可能な上限回転数となり、上限
回転数が、従来はω□ａｘであったのに、この考案では
ω’ｍａＸにみられるように極めて高くなる。

以上詳述したようにこの考案によるときは、回転軸を支
持するころがり軸承を弾性支持することにより、この回
転軸の１次弾性モードでの危険速度以上において、ころ
がり軸承に加わる回転軸の残留不釣合いによる不釣合い
力を減少でき、その結果として回転軸の摩擦トルクを大
幅に低減し得ると共に、軸承の発熱量を抑制し、ひいて
は軸承を長寿命化できるなどの特長を有するものである
。

【図面の簡単な説明】

第１図はこの考案に係わる試験装置の一実施例による概
略構成を示す断面図、第２図および第３図は従来例およ
びこの考案による回転軸系をモデル化して示す各々説明
図、第４図および第５図はころがり軸承に加わる不釣合
い力および摩擦トルク特性を各々に示す図である。 １・・・・・・真空容器、３・・・・・・ハウジング、
４・・・・・・０リング、５・・・・・・ころがり軸承
、７・・・・・・回転軸、８・・・・・・試験に供され
る低出力高速電動機の回転子、９・・・・・・固定子、
１０・・・・・・高周波電源。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 試験に供される低出力高速電動機の回転子を固着した回
   転軸と、この回転軸の両端をころがり軸承を介して回転
   自在に支持する１組にハウジングとを有し、これらの回
   転軸およびハウジングを真空容器内に収容させ、かつ各
   ハウジングの外周部を複数個のＯリングあるいはばねな
   どを介して弾性的に装置させると共に、この真空容器内
   には回転子を励磁駆動する固定子を配して構成したこと
   を特徴とする低出力高速電動機の試験装置。