JPS604677Y2 - テーパ自動修正装置 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は工作物に生じるテーパを自動的に補正して前記
工作物を円筒形に研削するテーパ自動修正装置に関する
ものであり、その目的とすることろは作業者の手をわず
られすことなく能率的にテーパ修正することである。

本考案の他の目的とするところはテーパ修正に際しスイ
ベルテーブル下面にエヤーを供給してテーブルを制限部
材に制限されるまで一定量浮かせ、テーブルの変形なら
びにバタつき等を防止して高精度なテーパ修正を行うこ
とである。

従来研削盤において工作物を研削後、その工作物の加工
部両端の加工径を測定してテーパ誤差があれば作業者が
手動操作によりスイベルテーブルのクランパを開放し、
この状態でスイベルテーブルをトラバーステーブルに対
して適当旋回させ、修正後再びスイベルテーブルをクラ
ンパにて固定していた。

このようなテーパ修正には時間及び手間がかかる等非常
に非能率であった。

しかもこのスイベルテーブル上には重量の大なる主軸台
及び上押台が載置されているため、スイベルテーブルの
旋回に際して摺動抵抗が非常に大きくなり、これによっ
てスイベルテーブルが変形し、操作量に見合ったテーブ
ルの旋回が行われず、正確なテーパ修正が行われなかっ
た。

本考案は従来のこのような不具合を解消するたになされ
たものであり、工作物の両端を測定してその測定値に基
づいてスイベルテーブルを旋回してテーパを自動修正す
るとともにスイベルテーブル下面にエヤーを供給してテ
ーブルを制限部材に制限されるまで一定量浮上らせ、摺
動抵抗を減らすことによりテーブルの変形を防止し、高
精度なテーパ修正を行うことである。

以下本考案の実施例を図面に基づいて説明する。

第１図において１はベッドで、このベッド１上に砥石２
を有する砥石台３が、またこの砥石台３の摺動方向と直
交する方向にトラバーステーブル４が摺動自在に載置さ
れている。

トラバーステーブル４上にはピボット５を中心としてス
イベルテーブル６が旋回自在に載置され、このスイベル
テーブル６上に主軸台７及び心押台８によって工作物Ｗ
が回転自在に支持されている。

９は前記トラバーステーブル４の両端に設けられたテー
ブル自動クランプ装置である。

このテーブルクランプ装置９はいずれもピストン１０を
嵌合するシリンダ１１及びスイベルテーブル６をクラン
プするクランパ１２を有し、前記ピストン１０の上下動
によりクランパ１２をピボット１２ａを中心として揺動
させ、スイベルテーブル６を自動的にクランプ、アンク
ランプするようになっている。

１３は前記トラバーステーブル６をピボット５を中心と
して自動旋回させるテーブル自動旋回装置である。

このテーブル自動旋回装置１３は、第２図および第５図
に示すようにトラバーステーブル４の右端前面に固定さ
れた旋回装置本体１５を有する。

この旋回装置本体１５にはトラバーステーブル６のトラ
バース方向と平行をなすシリンダ１５ａが形成され、こ
のシリンダ１５ａにラックピストン１４が嵌合されてい
る。

従ってこのシリンダ１５ａ内に圧力流体を供給すること
でラックピストン１４が所定量摺動される。

また旋回装置本体１５には送り軸１７が回転可能に軸承
され、この送り軸１７の一端には前記ラックピストン１
４と噛合するピニオン１６が楔止され、他端にはねじ１
７ａが突設されこれに送りナツト１９が螺合されている
。

この送りナツト１９はその上部に係合ピン１９ａが突設
形成され、この係合ピン１９ａは前記スイベルテーブル
６の下面にその長手方向に沿って形成された長穴１８に
係合されている。

従って前記ラックピストン１４の摺動に伴い、これと噛
合するピニオン１６が回転され、さらにこの回転は送り
軸１７に伝えられ、ねじ１７ａのねじ作用でナツト１９
に伝えられる。

これにより、ナツト１９と一体の係合ピン１９ａは長穴
１８内を摺動しながらこのナツト１９の直線運動をスイ
ベルテーブル１６に伝えるようになっている。

更に前記スイベルテーブル６上には第１図に示すように
２つの自動定寸装置２０ｔ２１が設けられている。

この２つの自動定寸措置２０．２１は両者間に間隔が置
かれており、工作物Ｗの軸方向に離間した２位置の寸法
を測定するようになっている。

また前記スイベルテーブル６下面には第１及び第３図に
示すように円形のエヤポケット２２が多数形成され、こ
れと対向するトラバーステーブル４上面には前記エヤポ
ケット２２と対応して多数のノズル２３が設けられてい
る。

このノズル２３にはエヤ供給源よりジヨイント２４、テ
ーブル側面に固定された供給部材２５内の分配通路２６
、供給通路２７を介してエヤが供給されるようにな、つ
ており、このエヤ圧によってスイベルテーブル６を浮上
させてスイベルテーブル旋回時における摺動抵抗の影響
をなくシ、スムーズにテーブル旋回ができるようになっ
ている。

スイベルテーブル６及びトラバーステーブル４間には第
２図および第３図に示すように浮上り制限装置が設けら
れている。

この浮上り制限装置はテーブルの長手方向にのびるＬ字
型の制限部材２８．２９より構成され、この一方の制限
部材２８がスイベルテーブル６の下方側面に固定され、
また他方の制限部材２９がトラバーステーブル４の上面
に固定されている。

そしてこの制限部材２８．２９間にはリテーナ３０にて
保持されたボール３１が前記制限部材２８．２９との間
に数ミクロンのすきまをもって介在されている。

従ってこの浮上り制限装置はスイベルテーブル６の旋回
を阻害することなく、スイベルテーブル６の浮上り量を
一定に制限し、エヤの洩れ等によるテーブルのバタつき
を防止し、スイベルテーブル６の旋回を安定ならしめる
ようになっている。

第１図において、３２は前記自動定寸装置２０．２１か
らの出力信号に基づいてテーパの値を演算するテーパ自
動修正回路である。

このテーパ自動修正回路３２としては例えば特開昭５０
−５２６８３号に記載された周知の装置が用いられ、前
記自動定寸装置２０，２１の出力信号からテーパの値を
演算し、そのテーパの値が修正限界内にあるか否かによ
ってテーパ修正信号を出力する。

３３は前記テーブル自動修正回路３２からの信号によっ
て切換られるソレノイド切換弁で、テーブルクランプ装
置９への圧油の流れを制限する。

３４はテーパ修正を開始するためのソレノイド切換弁で
、このソレノイド切換弁３４の切換と連動してパイロッ
ト方向切換弁３５が切換られ、その結果シリンダ３６内
の一方室に圧油が供給されてピストン３７がストッパ３
８に当たるまで移動し、シリンダ３６の他方室から一定
量の圧油を排出するようになっている。

３９はテーパの修正方向を切換えるソレノイド方向切換
弁で、このソレノイド方向切換弁３９を左右位置に切換
えることにより前記シリンダ３６から排出油がシリンダ
１５の左室あるいは右室に供給されるようになっている
。

次に上記構成における本考案装置の作動を説明すると、
先ず砥石台３が工作物Ｗに向って前進されることにより
砥石２が工作物Ｗに接触し、研削箇所の黒皮が取除かれ
たところで、自動定寸装置２０．２１が前進されて工作
物Ｗに係合される。

更に砥石台３が前進されて工作物Ｗが所定の寸法に研削
されると、自動定寸装置２０は１投信号を出力し、この
信号によって砥石台３の送り速度は精研削送り速度に切
換られ、更に砥石台３が前進して工作物Ｗが仕上寸法に
なると、自動定寸装置２０は定寸信号を出力し、砥石台
３の送りを一時停止し、スパークアウト研削後、砥石台
３は原位置まで急速後退される。

この研削加工中、工作物Ｗの２箇所の研削寸法が自動定
寸装置２０，２１からテーパ自動修正回路３２に出力さ
れており、テーパ自動修正回路３２はスパークアウト研
削完了と同時に２つの自動定寸装置２０．２１からの出
力信号を演算し、テーパの値を演算する。

この値が第４図に示すようにＯＫの範囲にある場合には
テーパ修正は行われず、＋ＯＫの範囲にある場合にはマ
イナス方向のテーパ修正が、また−ＯＫの範囲にある場
合にはプラス方向のテーパ補正が行われる。

このようにして上記したような研削サイクルを数回繰返
して、例えばスパークアウト完了時においてそのテーパ
の値が−ＯＫ範囲にある場合にはテーパ自動修正回路３
２は砥石台３が原位置まで後退すると同時に切換信号を
出力し、ソレノイド方向切換弁３３は■の位置に切換ら
れる。

これにより圧油がシリンダ１１の上部室に供給されて、
クランパ１２はピボット１２ａを中心として旋回してア
ンクランプ状態にされる。

同時に閉止弁４０が■の位置に切換えられてエヤ供給源
よりエヤがジヨイント２４、分配通路２６、供給通路２
７、ノズル２３を介してエヤポケット２２へ供給され、
スイベルテーブル６は制限部材２Ｂ、２９及びボール３
１にて制限されて一定量浮上され、トラバーステーブル
４との間に一定の隙間を形成する。

一方、第４図に示すように現在のテーパの値が−ＯＫ範
囲にあり、これをＯＫ範囲にするにはどれだけテーパを
修正すればよいか予め設定することができる。

従って、この設定量に応じてテーパ自動修正回路３２は
ソレノイド方向切換弁３４に所定回数の切換信号を出力
し、その結果ソレノイド方向切換弁３４はテーパの値が
ＯＫ範囲になるまで所定の回数、付勢、無勢が繰返され
る。

このツレメイド方向切換弁３４の切換と連動してパイロ
ット切換弁３５が切換られ、圧油はシリンダ３６の左右
室に交互に供給され、その結果シリンダ３６からはピス
トン３７のストロークごとに一定量の圧油が排出される
。

このときプラス方向のテーパ修正のためテーパ自動修正
回路３２からの信号によりソレノイド方向切換弁３９は
■の位置に切換られており、シリンダ３６からの排油は
ソレノイド方向切換弁３９の■の位置を経てシリンダ１
５の左方室に供給される。

これによりラックピストン１４はシリンダ３６から圧油
が排出されるたびにディジタル的に移動され、この運動
は送り軸１７及びナツト１９を介してスイベルテーブル
６に伝えられる。

これによりスイベルテーブル６はピボット５を中心とし
て一定角度旋回し、テーパが修正される。

このとき前記スイベルテーブル６とトラバーステーブル
４間にはエヤが供給されており、スイベルテーブル６は
その摺動抵抗によって変形することなく、しかもその浮
上り量は制限部材２８，２９によって制限されていて、
一定厚さの空気膜が形成されているため、空気膜厚さの
変動に伴うテーブル６のバタつきが全くなく安定したテ
ーパ修正が行われる。

所定量のテーパ修正が行われると先ずテーパ自動修正回
路３２は切換信号を出力し、ソレノイド方向切換弁３４
の付勢、無勢の繰返しを停止し、同時にソレノイド方向
切換弁３９を■の位置に切換えてスイベルテーブル６の
旋回を停止する。

またテーパ自動修正回路３２は同時にソレノイド方向切
換弁３３をＩの位置に、閉止弁４０を■の位置にそれぞ
れ切換える切換信号を出力し、これによりエヤの供給は
ストップされてスイベルテーブル６とトラバーステーブ
ル４は密着され、更にテーブルクランプ装置９は前記と
逆にクランパ１２がピボット１２ａを支点として作動し
てテーブル６をクランプし、一連のテーパ修正が完了す
る。

これによって次回の研削加工では工作物Ｗはテーパが発
生することなく正確な中筒形に研削される。

尚、この実施例では砥石台が原位置まで後退した状態で
テーパ補正を行う場合を説明したが、この実施例に限定
されるものではなく、研削中にテーパ修正を行うように
してもよい。

またこのように研削加工中にテーパ修正を行うようにし
た場合、この実施例に示すようにスイベルテーブル６の
ピボット５を工作物Ｗの巾よす外方すなわち主軸台７の
下方に位置させてもよく、このような位置にピボット５
を設けた場合スイベルテーブル６の旋回によって２つの
研削箇所の両方が砥石に対ちて近づけられたりあるいは
遠ざけられたりするため、一方の研削箇所のみが局部的
に研削されることなく２つの研削箇所が若干の差をもっ
て研削されてテーパ修正され、工作物の研削が均一に行
われる。

前記したように本考案装置は自動定寸装置により工作物
の径を測定してテーパの値を求め、この値に基づいてテ
ーパを自動的にテーパ修正を行うことができる。

しかもこのテーパ修正に際してスイベルテーブルはエヤ
によって浮上されているため、全く摺動抵抗がなく、テ
ーブルに変形を発生することなく高精度なテーパ修正が
可能である。

更にこのスイベルテーブルの浮上量は制限部材によって
制限されていて、一定厚さの空気膜が形成されているた
め、空気膜厚さ変動に伴うテーブルのバタつきがなく、
安定したテーパ修正が可能である。

また上記制限部材間にすきまをもってボールが介在され
ているため、このボールによって前記制限部材間の摺動
抵抗が減じられ、スイベルテーブルをその浮上位置で軽
快に旋回させることができる。

【図面の簡単な説明】

図面は全て本考案の実施例を示すものであり、第１図は
本考案装置を概略的に示す全体図、第２図は第１図の■
−■線断面図、第３図は第１図の■−■線断面図、第４
図は加工本数と加工径の関係の１例を示す図、第５図は
第２図の■−Ｖ線断面図である。 １・・・・・・ベッド、４・・・・・・トラバーステー
ブル、６・・・・・・スイベルテーブル、１３・・・・
・・テーブル自動旋回装置、２０，２１・・・・・・自
動定寸装置、２２・・・・・・エヤポケット、２３・・
・・・・ノズル、２８．２９・・・・・・制限部材、３
１・・・・・・ボール、３２・・・・・・テーパ自動修
正回路、３３，３４，３９・・・・・・ソレノイド方向
切換弁、３５・・・・・・パイロット切換弁。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. ベッドと、このベッド上に設けれたトラバーステーブル
   と、このトラバーステーブル上に旋回可能に載置された
   スイベルテーブルと、このスイベルテーブルを浮上すべ
   くスイベルテーブルとトラバーステーブル間の摺動部分
   にエヤを供給するエヤ供給装置と、前記スイベルテーブ
   ルをトラバーステーブルに対して自動的に旋回せしめる
   テーブル自動旋回装置と、工作物の長手方向に離間した
   ２カ所の研削箇所の寸法を検測する２個の自動定寸装置
   と、この２個の自動定寸装置からの出力に基づいてテー
   パの値を演算して前記テーブル自動旋回装置にテーパ修
   正信号を出力するテーパ自動修正回路とを備えたテーパ
   自動修正装置において、前記トラバーステーブルならび
   にスイベルテーブルの前後面にはスイベルテーブルの旋
   回を許容しスイベルテーブルの浮上り量を一定に制限す
   る制限部材を前記テーブルの長手方向に沿ってそれぞれ
   固定し、この制限部材の一辺を一定の間隙をもって上下
   方向に対向させかつこの間隙には若干のすきまをもって
   ボールを介在させたことを特徴とするテーパ自動修正装
   置。