JPS6037482Y2 - オ−バドライブ装置付自動変速機 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は、自動車に搭載されてオーバドライブを達威し
得る自動変速機に関する。

燃料消費量の低減、および排気ガス中の有害成分量の減
少等という観点から、オーバドライブを達成可能な自動
変速機の需要が増大しつつある。

従来のオーバドライブ付自動変速機は、オーバドライブ
ギヤ比を達成する遊星歯車装置を含んで全ての遊星歯車
装置が１つのハウジング内に収容されている。

したがって従来では、最小減速比を１に規定される通常
の自動変速機と、オーバドライブを達威し得るオーバド
ライブ付自動変速機とが、全く別個に製造され、それぞ
れの自動車に配置されていた。

本考案の目的は、最小減速比を１に規定される通常の自
動変速機から、オーバ下ライブ付自動変速機を容易に製
造可能とし、製造工程の合理化を図ることである。

さらに本考案の目的は、オーバドライブ装置とアンダド
ライブ装置との望ましい配置を提供するとともに、オー
バドライブ装置用ケースとアンノドライブ装置用ケース
との当接面に広い接触面を確保して両ケースの連結固定
部の強度を高め、かつオーバドライブ装置の端面部に形
成した軸筒部によりアンダドライブ装置の入力軸を支持
せしめて、オーバドライブ装置の遊星歯車装置とアンダ
ドライブ装置の遊星歯車装置との同心性を確保すること
にある。

本考案によれば、流体式トルクコンバータ、オーバドラ
イブ装置、およびアンダドライブ装置は、それぞれトル
クコンバータハウジング、オーバドライブ装置用ケース
、およびアンダドライブ装置用ケース内に収容されてそ
れぞれ単位体として構成され、流体式トルクコンバータ
、オーバドライブ装置、およびアンダドライブ装置は互
いに同軸線的に配置され、流体式トルクコンバータへ結
合されるオーバドライブ装置の入力軸とオーバドライブ
装置へ結合されるアンダドライブ装置の入力軸とはとも
に流体式トルクコンバータの中心軸線に沿って設けられ
る。

こうして流体式トルクコンバータおよびアンダドライブ
装置は、オーバドライブ無しの通常の自動変速機とオー
バドライブ付自動変速機との両方にほぼ共通に利用され
るので、通常の自動変速機からオーバドライブ付自動変
速機に容易に変更して製造され得る。

本考案によれば、オーバドライブ装置は流体式トルクコ
ンバータとアンダ下ライブ装置との間に配置され、すな
わちオーバ下ライブ装置がアンダドライブ装置の上流側
に配置される。

したがって、アンダドライブ装置の入力軸へ伝達される
トルクは適当に減少され、これによりアンダ下ライブ装
置の耐久性が改善される。

また本考案にによれば、オーバドライブ装置用ケースの
一端の外周面がアンノドライブ装置用ケースの内周面に
嵌合され、オーバ下ライブ装置用ケースの前記一端の端
面がアンノドライブ装置用ケースの端面に当接されると
ともに、オーバ下ライブ装置用ケースの前記一端の端面
部には前記中心軸線に沿うスリーブ状の軸筒部が形成さ
れ、該軸筒部によりアンタ下ライブ装置の入力軸を支持
している。

したがってオーバ下ライブ装置の遊星歯車装置とアンダ
ドライブ装置の遊星歯車装置との同心的配列が確保され
る。

次に図面を参照して本考案の実施例を説明する。

第１図は実施例のスケルトン図であり、クランク軸１は
、流体式トルクコンバータ２のポンプインペラ３に結合
している。

流体式トルクコンバータ２はポンプインペラ３の他に、
ステータ４、およびタービンランナ５を備える。

ステータ４は一方向クラッチ６を介して固定部に支承さ
れている。

オーバドライブ装置８は、サンギヤ９、プラネタリピニ
オン１０、キャリヤ１１′Ｓおよびリングギヤ１２を含
む１つの遊星歯車装置１７を備える。

流体式トルクコンバータ２のタービンランナ５からの出
力はオーバドライブ装置８の入力軸１３を介してキャリ
ヤ１１へ伝達される。

一方向クラッチ１４、およびクラッチ１５はともに、サ
ンギヤ９とキャリヤ１１との接続を制御する。

ブレーキ１６はサンギヤ９の固定を制御する。

アンダドライブ装置２０は、２つの遊星歯車装置２１．
２２を備える。

遊星歯車装置２１．２２は、サンギヤ２３を共通して含
み、さらにそれぞれプラネタリピニオン２４，２５、キ
ャリヤ２６．２７およびリングギヤ２８，２９を含む、
アンダドライブ装置２０の入力軸３０はリングギヤ１２
に結合している。

クラッチ３１は入力軸３０と中間軸３２との接続を制御
し、中間軸３２はリングギヤ２９に結合している。

クラッチ３３は入力軸３０とサンギヤ軸３４との接続を
制御し、サンギヤ軸３４はサンギヤ２３を一体的にもつ
。

ブレーキ３５はサンギヤ軸３４の固定を制御する。

ブレーキ３６と一方向クラッチ３７とは、直列的に結合
され、共働してサンギヤ軸３４の固定を制御する。

一方向クラッチ３８およびブレーキ３９は個々にキャリ
ヤ２６の固定を制御する。

リングギヤ２８、キャリヤ２７、および出力軸４０は一
体的に結合されている。

このような自動変速機の作動は第１表の通りである。

第１表において、Ｏ印は油圧作動機構によりクラッチお
よびブレーキが係合中であることを表わす。

Δ印はエンジンブレーキ時油圧作動機構によりブレーキ
が係合中であることを表わす。

※印はエンジンドライブ時のみ一方向クラッチがロック
されることを表わす。

なお各変速段毎の作動については周知のところでありそ
の説明は不要であろつＯ 第２図に基いて−バ下ライブ装置８の組付後の状態を詳
細に説明する。

流体式トルクコンバータ２、オーバドライブ装置８、お
よびアンダドライブ装置２０は、それぞれトルクコンバ
ータハウジング４８、オーバドライブ装置用ケース４９
、およびアンプドライブ装置用ケース５０内に収容され
、それぞれ単位体として構成され、オーバドライブ装置
８が流体式トルクコンバータ２とアンダドライブ装置２
０との間に配置されるように流体式トルクコンバータ２
、オーバドライブ装置８、およびアンダドライブ装置２
０は互いに同軸線的に配置される。

入力軸１３．３０はともに、流体式トルクコンバータ２
の中心軸線に沿って設けられる。

キャリヤ１１は、クラッチ１５の摩擦板にスプライン嵌
合するクラッチハブ５４に結合している。

サンギヤ９はクラッチ１５のシリンダ５５に結合し、シ
リンダ５５は、その一端においてクラッチ１５の圧力板
とブレーキ１６のハブ５６とにスプライン嵌合している
。

またシリンダ５５内にはクラッチ１５を係合状態にする
ためのピストン５７が配置され、ケース４９には、ブレ
ーキ１６の圧力板がスプライン嵌合されているとともに
、ブレーキ１６のシリンダ５８が設けられる。

ピストン５９はシリンダ５８内に配置される。

リングギヤ１２はフランジ６０を介して入力軸３０に結
合され、フランジ６０と入力軸３０とは互いにスプライ
ン嵌合している。

ケース４９はオイルポンプ取付面６５を有し、オイルポ
ンプボデー６６とオイルポンプカバー６７とを含むオイ
ルポンプ６８が取付面６５に隣接した配置される。

オイルポンプボデー６６とオイルポンプカバー６７とは
ボルト６９により互いに締められる。

ケース４９の外周面がトルクコンバータハウジング４８
およびケース５０の内周面５１に嵌合され、ケース４９
に形成した貫通孔４５内に挿通されてケース５０に螺装
されるボルト７３により、オイルポンプ６８、ケース４
９、およびケース５０は互いに固定される。

ケース４９の他端部の外周面に形成した周溝にシールリ
ング４１．４２を収容し、シールリング４１はケース４
９と５０との間を、またシールリング４２はケース４９
とトルクコンバータハウジング４８との間を、それぞれ
油密に保持している。

アンプドライブ装置用ケース５０の端面には、オーバド
ライブ装置用ケース４９におけるポンプ取付面と同様の
オーバドライブ装置用ケース取付面５２が形成されてお
り、ケース４９の端面部の周縁部分に形成した端面４３
が当接される。

ケース４９のシリンダ５８を形成した端面部は前記周縁
部分に形成した端面４３より突出し、その中央部分にオ
ーバドライブ装置８の入力軸１３およびアンダドライブ
装置２０の入力軸３０の中心軸線を中心とするスリーブ
状の軸筒部４４がアンダ下ライブ装置２０側に突出せし
められて設けられ、前記入力軸３０はベアリングを介し
て軸筒部４４に支承される。

オイルポンプ６８のオイルポンプボデー６６は、オーバ
ドライブ装置８の入力軸１３を支承する。

かくして遊星歯車装置１７はケース５０内へ十分深く配
置され、これにより自動変速機全体の軸線方向寸法の縮
小が図られる。

なおケース４９の前記軸筒部４４には油路７６が形成さ
れ、クラッチ３１を係合状態にさせるピストン７７のシ
リンダ室７８への油圧は油路７６を介して送られる。

このように本考案によれば、流体式トルクコンバータ２
、オーバドライブ装置８、およびアンダドライブ装置２
０が、それぞれトルクコンバータハウジング４８、オー
バドライブ装置用ケース４９、およびアンプドライブ装
置用ケース５０内に収容されて、それぞれ単位体として
構成され、かつ互いに同軸線的になるように組付けられ
、また、入力軸１３．３０は流体式トルクコンバータ２
の中心軸線に沿って設けられている。

またオーバドライブ装置用ケース４９に近い側のアンプ
ドライブ装置用ケース５０の端面にはオーバドライブ装
置用ケース取付面５２とケース４９の外周面を嵌合する
内周面５１とが形成され、ケース４９はその端面４３を
ケース５０の前記取付面５２に当接されてオーバドライ
ブ装置８の入力軸１３とアンダドライブ装置２０の入力
軸３０の平行度を規定され、ケース４９はその外周面が
ケース５０の内周面５１に嵌合せしめられることによっ
て前記入力軸１３．３０間のオフセット量を規定され、
ボルト７３によって相互に固定されるから、オーバドラ
イブ装置８の遊星歯車装置１７とアンダドライブ装置２
０の遊星歯車装置２１．２２の同心的配列が確保される
。

その上ケース４９，５０間の連結は取付面５２、内周面
５１における当接嵌合により自動変速機の軸線方向にも
、これに直角の方向にも両ケースの接触面を広く確保す
ることができ、両ケースの連結固定部の強度を高め、安
定した連結固定をなし得るとともに、その連結組立の作
業を容易ならしめる。

その上、アンダ下ライブ装置用ケース５０側のオーバド
ライブ装置用ケース４９の端面部に、オーバドライブ装
置８の入力軸１３およびアンダドライブ装置２０の入力
軸３０の中心軸線に沿ったスリーブ状の軸筒部４４が形
成され、該軸筒部４４によりアンダドライブ装置２０の
入力軸３０を支持せしめたことにより、オーバドライブ
装置用ケース４９とアンプドライブ装置用ケース５０と
の固着に際し、オーバドライブ装置８の入力軸１３とア
ンダ下ライブ装置２０の入力軸３０の同一軸線上の組付
を容易にし、さらにオーバドライブ装置８の出力端であ
るリングギヤ１２に固定したフランジ６０と入力軸３０
のスプライン結合を容易にすることができる。

即ち、２個の遊星歯車装置を駆動的に連結するにあたっ
ては、２個の遊星歯車装置どうしの精度の高い同心的配
置が要求される。

本考案のように１つの遊星歯車装置よりなるオーバドラ
イブ装置８と複数の遊星歯車装置よりなるアンダドライ
ブ装置２０とをそれぞれオーバ下ライブ装置用ケース４
９およびアンプドライブ装置用ケース５０に収容してそ
れぞれ単位体として構成する場合には、オーバドライブ
装置８およびアンダドライブ装置２０の遊星歯車装置を
支承する共通の軸が存在しないから、オーバ下ライブ装
置８とアンダドライブ装置２０の同心的配置および駆動
的連結には高い精度が要求される。

本考案によるときは、アンプドライブ装置用ケース５０
には、オーバドライブ装置用ケース４９に面する端面に
オーバドライブ装置用ケース取付面５２とオーバドライ
ブ装置用ケース４９の外周面を嵌合する内周面５１とが
形成されており、オーバドライブ装置用ケース４９には
、アンプドライブ装置用ケース５０の前記内周面５１に
嵌合する外周面と前記取付面５２に当接する端面４３と
オーバドライブ装置８の入力軸１３およびアンダドライ
ブ装置２０の入力軸３０の中心軸線に沿ったスリーブ状
の軸筒部４４とが形成されているから、アンプドライブ
装置用ケース５０においては該ケース５０の内周面の加
工とともに、前記中心軸線を中心とした円筒状の内周面
５１および前記中心軸線に垂直な取付面５２を加工形威
し、またオーバドライブ装置用ケース４９においては該
ケース４９の内周面の加工とともに、前記中心軸線を中
心とした外周面および軸筒部４４における入力軸３０の
支持面ならびに前記中心軸線に垂直な端面４３を加工形
威することにより、オーバドライブ装置用ケース４９の
外周面をアンプドライブ装置用ケース５０の内周面５１
に嵌合させ、ケース４９の端面４３を内周面５１に当接
させたときは、両ケース４９．５０の前記外周面および
ケース４９に形成した軸筒部４４における入力軸３０の
支持面は、前記中心軸線を共通の軸心として同心的に配
置される。

そして前記軸筒部４４にはアンダドライブ装置２０の入
力軸３０を支承せしめてオーバドライブ装置用ケース４
９およびアンプドライブ装置用ケース５０を組付けると
きは、オーバドライブ装置８およびアンダドライブ装置
２０を極めて精度の高い同心的配置とすることができる
。

こうして、単位体としてのオーバドライブ装置８を付加
するだけによりオーバドライブ無しの通常の自動変速機
からオーバドライブ付自動変速機へ簡単に変更され、能
率のよい製造が遠戚され得る。

なお、オイルポンプ６８をオーバドライブ装置用ケース
４９とともにアンプドライブ装置用ケース５０にボルト
７３により固定するときは、オイルポンプ６８のオイル
ポンプボデー６６またはオイルポンプカバー６７により
オーバドライブ装置８の入力軸１３を支持せしめること
が可能となる。

本考案によればオーバドライブ装置８は、流体式トルク
コンバータ２とアンダドライブ装置２０との間、すなわ
ちアンダ下ライブ装置２０の上流に配置される。

したがってアンダドライブ装置２０へ伝達されるトルク
は適当に減少され、これによりアンダドライブ装置２０
の耐久性が改善される。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の実施例のスケルトン図、第２図は実施
例の組付状態を詳細に示す断面図である。 ２・・・・・・流体式トルクコンバータ、８・・・・・
・オーバドライブ装置、１３，３０・・・・・・入力軸
、２０・・・・・・アンダドライブ装置、４８・・・・
・・トルクコンバータハウジング、４９・・・・・・オ
ーバドライブ装置用ケース、５０・・・・・・アンノド
ライブ装置用ケース。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 流体式トルクコンバータ、１つの遊星歯車装置を有しか
   つ１以下の減速比を達威し得るオーバドライブ装置、お
   よび複数の遊星歯車装置を有しかつ１以上の複数の減速
   比を達威し得るアンダドライブ装置を備えるオーバ下ラ
   イブ装置付自動変速機において、流体式トルクコンバー
   タ、オーバドライブ装置、およびアンダドライブ装置は
   、それぞれトルクコンバータハウジング、オーバドライ
   ブ装置用ケース、およびアンダ下うイブ装置用ケース内
   に収容されてそれぞれ単位体として構成され、オーバド
   ライブ装置が流体式トルクコンバータとアンタ下ライブ
   装置との間に配置されるように流体式トルクコンバータ
   、オーバドライブ装置、およびアンタ下ライブ装置は互
   いに同軸線的に配置され、流体式トルクコンバータへ結
   合されるオーバ下ライブ装置の入力軸とオーバドライブ
   装置へ結合されるアンダドライブ装置の入力軸とはとも
   に流体式トルクコンバータの中心軸線に沿って設けられ
   、オーバドライブ装置用ケースの一端の外周面がアンノ
   ドライブ装置用ケースの内周面に嵌合され、オーバドラ
   イブ装置用ケースの前記一端の端面がアンノドライブ装
   置用ケースの端面に当接されて相互に固定されるととも
   に、オーバドライブ装置用ケースの前記一端の端面部に
   は前記中心軸線に沿うスリーブ状の軸筒部が形成され、
   該軸筒部によりアンダドライブ装置の入力軸が支持され
   ていることを特徴とするオーバドライブ装置付自動変速
   機。