JPS6037484Y2 - オ−バドライブ装置付自動変速機 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は、自動車に搭載されてオーバドライブを遠戚し
得る自動変速機に関する。

熱料消費量の低減、および排気ガス中の有害成分量の減
少等という観点から、オーバドライブを達成可能な自動
変速機の需要が増大しつつある。

従来のオーバドライブ付自動変速機は、オーバドライブ
ギヤ比を遠戚する遊星歯車装置を含んで全ての遊星歯車
装置が１つのハウジング内に収容されている。

したがって従来では、最小減速比を１に規定される通常
の自動変速機と、オーバドライブを達威し得るオーバド
ライブ付自動変速機とが、全く別個に製造され、それぞ
れの自動車に配置されていた。

本考案の目的は、最小減速比を１に規定される通常の自
動変速機から、オーバドライブ付自動変速機を容易に製
造可能とし、製造工程の合理化を図ることである。

さらに本考案の目的は、オーバドライブ装置とアンダド
ライブ装置との望ましい配置を提供するとともに、オー
バドライブ装置用ケースとアンノドライブ装置用ケース
との当接面からの油漏れを阻止したオーバドライブ装置
付自動変速機を提供することにある。

本考案によれば、流体式トルクコンバータ、オーバドラ
イブ装置、およびアンダドライブ装置は、それぞれトル
クコンバータハウジング、オーバドライブ装置用ケース
、およびアンダドライブ装置用ケース内に収容されてそ
れぞれ単位体として構成され、流体式トルクコンバータ
、オーバドライブ装置、およびアンダドライブ装置は互
いに同軸線的に配置され、流体式トルクコンバータへ結
合されるオーバドライブ装置の入力軸とオーバドライブ
装置へ結合されるアンダドライブ装置の入力軸とはとも
に流体式トルクコンバータの中心軸線に沿って設けられ
る。

こうして流体式トルクコンバータおよびアンダドライブ
装置はオーバドライブ無しの通常の自動変速機とオーバ
ドライブ付自動変速機との両方にほぼ共通に利用される
ので、通常の自動変速機からオーバドライブ付自動変速
機に容易に変更して製造され得る。

本考案によれば、オーバドライブ装置は流体式トルクコ
ンバータとアンダドライブ装置との間に配置され、すな
わちオーバドライブ装置がアンダドライブ装置の上流側
に配置される。

したがって、アンダドライブ装置の入力軸へ伝達される
トルクは適当に減少され、これによりアンダドライブ装
置の耐久性が改善される。

また本考案によれば、オーバドライブ装置用ケースの一
端の外周面がアンプドライブ装置用ケースの内周面に嵌
合され、オーバドライブ装置用ケースの他端の端面に当
接されたオイルポンプとともに、オイルポンプおよびオ
ーバドライブ装置用ケースを貫通して形成した貫通孔に
挿入した共通のボルトによりアンプドライブ装置用ケー
スに固定され、アンプドライブ装置用ケースとオーバド
ライブ装置用ケースの嵌合面はシールリングが介装され
て油密に形成される。

したがって、オーバドライブ装置用ケースとアンプドラ
イブ装置用ケースとの固定時にオイルポンプも共に一体
に固定され、かつオーバドライブ装置用ケースのアンプ
ドライブ装置用ケースへの固定部からの油の漏洩が阻止
される。

次に図面を参照して本考案の実施例を説明する。

第１図は実施例のスケルトン図であり、クランク軸１は
、流体式トルクコンバータ２のポンプインヘラ３に結合
している。

流体式トルクコンバータ２はポンプインペラ３の他に、
ステータ４、およびタービンランナ５を備える。

ステータ４は一方向クラッチ６を介して固定部に支承さ
れている。

オーバドライブ装置８は、サンギヤ９、プラネタリピニ
オン１０、キャリヤ１１、およびリングギヤ１２を含む
１つの遊星歯車装置１７を備える。

流体式トルクコンバータ２のタービンランナ５からの出
力はオーバドライブ装置８の入力軸１３を介してキャリ
ヤ１１へ伝達される。

一方向クラッチ１４、およびクラッチ１５はともに、サ
ンギヤ９とキャリヤ１１との接続を制御する。

ブレーキ１６はサンギヤ９の固定を制御する。

アンダドライブ装置２０は、２つの遊星歯車装置２１．
２２を備える。

遊星歯車装置２１．２２は、サンギヤ２３を共通して含
み、さらにそれぞれプラネタリピニオン２４，２５、キ
ャリヤ２６．２７およびリングギヤ２Ｂ、２９を含む、
アンダドライブ装置２０の入力軸３０はリングギヤ１２
に結合している。

クラッチ３１は入力軸３０と中間軸３２との接続を制御
し、中間軸３２はリングギヤ２９に結合している。

クラッチ３３は入力軸３０とサンギヤ軸３４との接続を
制御し、サンギヤ軸３４はサンギヤ２３を一体的にもつ
。

ブレーキ３５はサンギヤ軸３４の固定を制御する。

ブレーキ３６と一方向クラッチ３７とは、直列的に結合
され、共働してサンギヤ軸３４の固定を制御する。

一方向クラッチ３８およびブレーキ３９は個々にキャリ
ヤ２６の固定を制御する。

リングギヤ２８、キャリヤ２７、および出力軸４０は一
体的に結合されている。

このような自動変速機の作動は第１表の通りである。

第１表において、０印は油圧作動機構によりりラッチお
よびブレーキが係合中であることを表わす。

Δ印はエンジンブレーキ時油圧作動機構によりブレーキ
が係合中であることを表わす。

※印はエンジンドライブ時のみ一方向クラッチがロック
されることを表わす。

なお各変速段毎の作動については周知のところでありそ
の説明は不要であろつＯ 第２図に基いてオーバドライブ装置８の組付後の状態を
詳細に説明する。

流体式トルクコンバータ２、オーバドライブ装置８、お
よびアンダドライブ装置２０は、それぞれトルクコンバ
ータハウジング４８、オーバドライブ装置用ケース４９
、およびアンノドライブ装置用ケース５０内に収容され
、それぞれ単位体として構成され、オーバドライブ装置
８が流体式トルクコンバータ２とアンダドライブ装置２
０との間に配置されるように流体式トルクコンバータ２
、オーバドライブ装置８、およびアンダドライブ装置２
０は互いに同軸線的に配置される。

入力軸１３．３０はともに、流体式トルクコンバータ２
の中心軸線に沿って設けられる。

キャリヤ１１は、クラッチ１５の摩擦板にスプライン嵌
合するクラッチハブ５４に結合している。

サンギヤ９はクラッチ１５のシリンダ５５に結合し、シ
リンダ５５は、その一端においてクラッチ１５の圧力板
とブレーキ１６のハブ５６とにスプライン嵌合している
。

またシリンダ５５内にはクラッチ１５を保合状態にする
ためのピストン５７が配置され、ケース４９には、ブレ
ーキ１６の圧力板がスプライン嵌合されているとともに
、ブレーキ１６のシリンダ５８が設けられる。

ピストン５９はシリンダ５８内に配置される。

リングギヤ１２はフランジ６０を介して入力軸３０に結
合され、フランジ６０と入力軸３０とは互いにスプライ
ン嵌合している。

ケース４９はオイルポンプ取付面６５を有し、オイルポ
ンプボデー６６とオイルポンプカバー６７とを含むオイ
ルポンプ６８が取付面６５に隣接した配置される。

オイルポンプボデー６６とオイルポンプカバー６７とは
、ボルト６９により互いに締められ、単位体として構成
されている。

ケース４９の外周面がトルクコンバータハウジング４８
およびケース５０の内周面５１に嵌合され、ケース４９
に形成した貫通孔４５内に挿通されてケース５０に螺装
されるボルト７３により、オイルポンプ６８、ケース４
９、およびケース５０は互いに固定される。

ケース４９の他端部の外周面に形成した周溝にシールリ
ング４１．４２を収容し、シールリング４１はケース４
９と５０との間を、またシールリング４２はケース４９
とトルクコンバータハウジング４８との間を、それぞれ
油密に保持している。

アンノドライブ装置用ケース５０の端面には、オーバド
ライブ装置用ケース４９におけるポンプ取付面と同様の
オーバドライブ装置用ケース取付面５２が形成されてお
り、ケース４９の端面部の周縁部分に形成した端面４３
が当接される。

ケース４９のシリンダ５８を形成した端面部は前記周縁
部分に形成した端面４３より突出し、その中央部分にオ
ーバドライブ装置８の入力軸１３およびアンダドライブ
装置２０の入力軸３０の中心軸線を中心とするスリーブ
状の軸筒部４４がアンダドライブ装置２０側に突出せし
められて設けられ、前記入力軸３０はベアリングを介し
て軸筒部４４に支承され、アンダドライブ装置２０の入
力軸３０とオーバドライブ装置８の入力軸１３との同一
軸線上の組付けを容易とし、さらにオーバドライブ装置
８の出力端であるリングギヤ１２に固定したフランジ６
０とアンダドライブ装置２０の入力軸３０との結合を容
易とする。

オイルポンプ６８のオイルポンプボデー６６は、オーバ
ドライブ装置８の入力軸１３を支承する。

かくして遊星歯車装置１７はケース５０内へ十分深く配
置され、これにより自動変速機全体の軸線方向寸法の縮
小が図られる。

なおケース４９の前記軸筒部４４には油路７６が形成さ
れ、クラッチ３１を係合状態にさせるピストン７７のシ
リンダ室７８への油圧は油路７６を介して送られる。

このように本考案によれば、流体式トルクコンバータ２
、オーバドライブ装置８、およびアンダドライブ装置２
０が、それぞれトルクコンバータハウジング４８、オー
バドライブ装置用ケース４９、およびアンノドライブ装
置用ケース５０内に収容されて、それぞれ単位体として
構成され、かつ互いに同軸線的になるように組付けられ
、また、入力軸１３．３０は流体式トルクコンバータ２
の中心軸線に沿って設けられている。

またオーバドライブ装置用ケース４９に近い側のアンダ
ドライブ装置用ケース５０の端面にはオーバドライブ装
置用ケース取付面５２とケース４９の外周面を嵌合する
内周面５１とが形成され、ケース４９はその端面４３と
ケース５０の前記取付面５２との当接により両ケース４
９．５０は前記中心軸線方向に係止され、その外周面が
ケース５０の内周面５１に嵌合せしめられることによっ
て前記入力軸１３．３０間のオフセット量を規定され、
ボルト７３によって相互に固定されるから、オーバドラ
イブ装置８の遊星歯車装置１７とアンダ下ライブ装置２
０の遊星歯車装置２１．２２の同心的配列が確保される
。

その上ケース４９．５０間には内周面５１における嵌合
により自動変速機の軸線方向に周面状に両ケースの接触
面を広く確保することができ、両ケースの連結固定部の
強度を高め、安定した連結固定をなし得るとともに、そ
の連結組立の作業を容易ならしめる。

さらに、前記アンタ下ライブ装置用ケース５０の内周面
５１に嵌合すべきオーバ下ライブ装置用ケース４９の外
周面に周溝を形成し、該周溝にシールリング４１を収容
して、前記ケース４９．５０間の嵌合面を油密に保持せ
しめるとともに、トルクコンバータハウジング４８に近
い側のオーバドライブ装置用ケース４９の端面にオイル
ポンプ取付面６５を形成して該取付面６５にオイルポン
プ６８を当接せしめ、該オイルポンプ６８のオイルポン
プボデー６７とオイルポンプカバー６７を貫通する貫通
孔およびオーバ下ライブ装置用ケース４９を貫通せしめ
て形成上た貫通孔４５に挿通したボルト７３により、オ
ーバドライブ装置用ケース４９をオイルポンプ６８とと
もにアンノドライブ装置用ケース５０に固定するから、
アンノドライブ装置用ケース５０、オーバドライブ装置
用ケース４９およびオイルポンプ６８が共通のボルト７
３により一体に組立てられ、その連結組立の作業を簡易
ならしめるとともに、この連結組立時にオーバドライブ
装置用ケース４９の外周面とアンノドライブ装置用ケー
ス５０の内周面５１との嵌合面にシールリング４１が圧
縮されて介装され、前記嵌合面の油密を保持する。

シールリング４１はオーバドライブ装置用ケース４９の
前記外周面に形成した周溝に介設したので、シールリン
グ４１を緊張せしめた状態で前記周溝に介設することが
でき、かつアンノドライブ装置用ケース５０の内周面に
より圧縮されるので、油のにじみ出しを阻止することが
できる。

アンノドライブ装置用ケース５ｏにオーバドライブ装置
用ケース４９を連結固定するにあたり、両ケース４９．
５０間の油洩れを防止するには、アンノドライブ装置用
ケース５０のオーバドライブ装置用ケース取付面５２と
オーバドライブ装置用ケース４９の端面とを密着せしめ
て当接させ、前記取付面５２と端面４３との当接面にシ
ールリングを介設することも考えられる。

この場合、オーバドライブ装置用ケースの端面４３には
前記貫通孔４５が開口し、またアンダ下ライブ装置用ケ
ース５０のオーバドライブ装置用ケース取付面５２には
前記ボルト７３を螺着するための螺孔が開口し、かつ前
記貫通孔４５とボルト７３の外表面の間には若干の隙間
が存在する。

従って自動変速機を長期にわたり使用する間にはオイル
ポンプ６８またはオーバドライブ装置用ケース４９のオ
イルポンプ取付面６５から油が前記貫通孔４５内ににじ
み出して滞留し、これが両ケース４９．５０の当接面よ
りケース外ににじみ出すおそれがあるため、シールリン
グを介設するための凹溝は、アンノドライブ装置用ケー
ス５０のオーバドライブ装置用ケース取付面５２または
オーバ下ライブ装置用ケース４９の端面４３のいずれか
一方の面内に、前記貫通孔４５または螺孔の開口部の直
径方向外方において環状に刻設し、シールリングを前記
凹溝内に緊張せしめて嵌入せしめる必要がある。

このため油のにじみ出しを阻止するために十分な寸法の
シールリングを介装するには、前記凹溝を刻設するため
に、前記取付面５２または端面４３の外径寸法を犬に、
即ち該面５２，４３を形成するケース部分の肉厚を大に
、せざるを得ないから、自動変速機の寸法を大とする欠
点がある。

またオーバドライブ装置用ケース４９とアンノドライブ
装置用ケース５０の嵌合面にシールリングを介設する場
合に、アンノドライブ装置用ケース５０の内周面５１に
周溝を形成することも考えられる。

しかしながらシールリングが周溝中において周方向に緊
張せしめられっつオーバドライブ装置用ケース４９の外
周面により直径方向に圧縮される条件を遠戚することは
不可能であり、実施できない。

従ってオーバドライブ装置用ケース４９の外周面に形成
した周溝にシールリング４１を介設した構成により、オ
ーバドライブ装置用ケース４９およびアンダ下ライブ装
置用ケース５０の外径寸法をコンパクトになし得るもの
である。

その上、オイルポンプ６８をオーバドライブ装置用ケー
ス４９とともにアンノドライブ装置用ケース５０にボル
ト７３により固定するときは、オイルポンプ６８のオイ
ルポンプボデー６６またはオイルポンプカバー６７によ
りオーバドラ・ｆブ装置８の入力軸１３を支承せしめる
ことが可能となる。

こうして、単位体としてのオーバドライブ装置８を付加
するだけによりオーバドライブ無しの通常の自動変速機
からオーバドライブ付自動変速機へ簡単に変更され、能
率のよい製造が達成され得る。

本考案によればオーバドライブ装置８は、流体式トルク
コンバータ２とアンダドライブ装置２０との間、すなわ
ちアンダドライブ装置２０の上流に配置される。

したがってアンダドライブ装置２０へ伝達されるトルク
は適当に減少され、これによりアンダドライブ装置２０
の耐久性が改善される。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の実施例のスケルトン図、第２図は実施
例の組付状態を詳細に示す断面図である。 ２・・・・・・流体式トルクコンバータ、８・・・・・
・オーバドライブ装置、１３，３０・・・・・・入力軸
、２０・・・・・・アンダ下ライブ装置、４８・・・・
・・トルクコンバータハウジング、４９・・・・・・オ
ーバドライブ装置用ケース、５０・・・・・・アンノド
ライブ装置用ケース。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 流体式トルクコンバータ、１つの遊星歯車装置を有しか
   つ１以下の減速比を達威し得るオーバドライブ装置、お
   よび複数の遊星歯車装置を有しかつ１以上の複数の減速
   比を遠戚し得るアンダドライブ装置を備えるオーバドラ
   イブ装置付自動変速機において、流体式トルクコンバー
   タ、オーバドライブ装置、およびアンダドライブ装置は
   、それぞれトルクコンバータハウジング、オーバドライ
   ブ装置用ケース、およびアンダドライブ装置用ケース内
   に収容されてそれぞれ単位体として構成され、オーバ下
   ライブ装置が流体式トルクコンバータとアンダドライブ
   装置との間に配置されるように流体式トルクコンバータ
   、オーバドライブ装置、およびアンダドライブ装置は互
   いに同軸線的に配置され、流体式トルクコンバータへ結
   合されるオーバドライブ装置の入力軸とオーバドライブ
   装置へ結合されるアンダドライブ装置の入力軸とはとも
   に流体式トルクコンバータの中心軸線に沿って配設され
   、オーバドライブ装置用ケースはその一端の外周面がア
   ンノドライブ装置用ケースの内周面に嵌合されるととも
   に、流体式トルクコンバータに近い側の端面に形成した
   オイルポンプ取付面にオイルポンプを当接させ、オイル
   ポンプおよびオーバドライブ装置用ケースは、オイルポ
   ンプおよびオーバドライブ装置用ケースに貫通せしめて
   形成した貫通孔内に挿置したボルトによりアンノドライ
   ブ装置用ケースに固定され、アンノドライブ装置用ケー
   スとオーバドライブ装置用ケースの前記嵌合面はオーバ
   ドライブ装置用ケースの前記外周面に形成した周溝にシ
   ールリングが介設されて油密に形成されていることを特
   徴とするオーバドライブ装置付自動変速機。