JPS6031082Y2 - 巻取式連続蒸着装置 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本考案は、合成樹脂製長尺フィルム等の被蒸着物に連続
的な蒸着処理を施す場合に使用される巻取式連続蒸着装
置に関するものである。

〔従来の技術〕

この種の巻取式連続蒸着装置は、蒸発させた原料を被蒸
着物に付着させるための蒸着室と、この蒸着室に下半部
を臨ませて一定の速度で回転する主ローラとを具備して
おり、被蒸着物供給部から被蒸着物巻取部に向かう長尺
シート状の被蒸着物を前記主ローラにより案内して前記
蒸着室を通過させることによって、該被蒸着物の下面に
蒸着処理を連続的に施すことができるようになっている
。

そして、かかる蒸着装置には、前記蒸着室を通過する被
蒸着物の速度を一定に保って蒸着面の均質化を図るため
の定速搬送部を備えている。

定速搬送部は、所要の速度で回転する速度調整用ローラ
と押えローラとで前記被蒸着物を挟持して前記被蒸着物
巻取部方向に付勢するようにしたものである。

そして、かかる定速搬送部は、前記蒸着室に臨む主ロー
ラよりも後段側に配するのが従来の常識であった。

定速搬送部を主ローラより前段側に配した場合には、該
定速搬送部の速度調整用ローラの回転速度と前記主ロー
ラの回転速度との整合性を図るのが難かしく、例えば、
定速搬送部の送りが速すぎると前記被蒸着物に緩みが生
じて該被蒸着物が主ローラから離れ蒸着面の均質性が損
われる等の不都合を招くからである。

ところが、前述した定速搬送部を主ローラよりも後段側
に配設しておくと、蒸着後の被蒸着物を押えローラで速
度調整用ローラに押し付けることになる。

その結果、蒸着面が前記速度調整用ローラの外周面に密
着して離れにくくなり、前記被蒸着物を前記ローラの外
周面から引き離す際に前記蒸着面を構成する蒸着被膜が
部分的に剥がされてピンホールが１戊されるという不都
合を招く。

〔考案が解決しようとする問題点１ 本考案は、定速搬送部を蒸着部よりも前段側に配すると
主ローラ部における被蒸着物の緩みにより蒸着面の均質
さが損われるおそれがあり、また、定速搬送部を蒸着部
よりも後段側に配すると蒸着面にピンホールが発生し易
くなるという問題点を簡単な構成により一挙に解消する
ことを目的としている。

〔問題点を解決するための手段〕

本考案は、かかる目的を遠戚するために、前述したよう
な巻取式連続蒸着装置において、前記主ローラに案内さ
れて蒸着室に導入される直前の被蒸着物を該主ローラに
押付ける押えローラを設け、この押えローラと前記主ロ
ーラとで前記被蒸着物を定速搬送し得るように構成した
ことを特徴とする。

〔作 用〕

このようにすれば、前記押えローラと主ローラとによっ
て定速搬送部が構成されることになる。

しかして、この定速搬送部は、蒸着部よりも前段側に位
置することになるため、該定速搬送部の存在により蒸着
面にピンホールが発生するという不具合は生じる余地が
なくなる。

しかも、前記主ローラが速度調整用ローラを兼ねること
になるため、定速搬送部を蒸着部よりも前段側に配した
ために被蒸着物に緩みが生じ主ローラから遊離するとい
う現象も生じ得なくなる。

〔実施例〕

以下、本考案の一実施例を図面を参照して説明する。

円筒状の真空槽１内を隔壁２を介して巻取室３と蒸着室
４とに区画し、この巻取室３内に長尺シート状の被蒸着
物、例えば、ポリエステル酸のフィルム１０を順次に繰
り出す被蒸着物供給部５と、この供給部５から繰り出さ
れるフィルム１０を逐次巻取る被蒸着物巻取部６とを設
けている。

そして、前記被蒸着物供給部５から前記被蒸着物巻取部
６に至るフィルム１０は複数の案内ローラ７、主ローラ
８、副ローラ９およびダンサローラ１１によって所定の
経路を通過するように案内されている。

被蒸着物供給部５は、例えば、所要強さの制動をかけた
回転可能な巻芯１２にフィルム１０をロール状に巻装し
たもので、前記フィルム１０の巻出し部を懸引すること
によって該フィルム１０が順次繰り出されるようになっ
ている。

被蒸着物巻取部６は、例えば、可変速電動機により回転
駆動される巻取芯１３によって前記フィルム１０を巻き
取るようにしたものである。

前記主ローラ８および副ローラ９は、共通の駆動源によ
って所要の設定回転速度で回転駆動されるもので、内部
には冷却水を流通させである。

また、前記主ローラ８の下半部は前記隔壁２に設けた隙
間１４を通して前記蒸着室４内に臨ませである。

そして、前記被蒸着物供給部５と前記被蒸着物巻取部６
との間、つまりフィルム１０の搬送系路の途中に、蒸発
させた原料を前記フィルム１０の下面に付着させる蒸着
部１５と、前記フィルム１０を設定された所定の速度で
前記被蒸着物供給部６方向に付勢する定速搬送部１６と
を設けている。

蒸着部１５は、高温に達する蒸発源１７を前記蒸着室４
内の前記主ローラ８に対向する位置に配設してなるもの
で、原料供給部１８から蒸発源１７上に供給される原料
を該蒸発源１７の熱により順次蒸発させて、前記主ロー
ラ８に巻かれて走行するフィルム４の下面に連続的な蒸
着処理を施すようになっている。

一方、定速搬送部１６は、速度調整用ローラたる主ロー
ラ８に押えローラ１９をフィルム１０を介して弾接させ
てなるもので、前記フィルム１０を前記押えローラ１９
と主ローラ８とで挟持することによって前記フィルム１
０の前記主ローラ８に対する滑りを無くし該フィルム１
０を設定された所定の速度で走行させるようになってい
る。

そして、この定速搬送部１６は、前記蒸着部１５よりも
前段側、つまり被蒸着物供給部５側に配設されている。

具体的には、前記主ローラ８に案内されて蒸着室４に導
入される直前のフィルム１０を該主ローラ８に押付は得
る位置に前記押えローラ１９を配設している。

このような構成のものであれば、定速搬送部１６が蒸着
部１５よりも前段側に配されることになるので、蒸着部
１５を通過することによって形成されるフィルム１０の
蒸着面が押えローラによって速度調整用ローラの外周面
に押付けられるということがない。

したがって、蒸着面に発生するピンホールを大幅に減少
させることができる。

なお、巻取テンションを１．５ｋｇ、巻取速度を１０ｍ
／ｍｉｎ押えローラ１９の押圧力を３ｋｇ／ｃｎ！に設
定した場合の実験によれば、押えローラ１９を図面の一
点鎖線で示す位置に配設してなる従来の装置においては
、ピンホールの占める面積が蒸着面の全面積に対して０
．２５〜０．３％にも達するのに対して、押えローラ１
９を図面の実線で示す位置に配設してなる本考案に係る
装置では、同面積割合が０．０７〜０．１％に激減する
という結果が得られた。

また、被蒸着物１０を蒸着室４内に案内するための主ロ
ーラ８に定速搬送部１６を構成する速度調整用ローラと
しての機能をも持たせ、該定速搬送部１６を蒸着部１５
の直前に設けているので、前記被蒸着物１０が主ローラ
８から遊離するようなことがない。

そのため、蒸着部１５における被蒸着物１０の走行速度
に誤差が生じにくく均質な蒸着面が得られるという利点
がある。

また、前記主ローラ８に速度調整用ローラとしての機能
をも持たせるようにすれば、格別な速度調整用ローラを
設ける場合に比べて駆動ローラの本数を減らすことがで
き、構造の簡略化を図ることができるという効果も得ら
れる。

〔考案の効果〕

以上詳述したように、本考案は定速搬送部を蒸着部より
も前段側に配しているので、蒸着面に生じるピンホール
を激減させることができ、しかも、主ローラに定速搬送
部を構成する速度調整用ローラとしての機能をも発揮さ
せるようにしているので、構造の簡略化を図ることがで
きるとともに、蒸着室を通過する被蒸着物の速度の乱れ
を有効に防止して蒸着面の均質化を図ることができる巻
取式連続蒸着装置を提供できるものである。

【図面の簡単な説明】

図面は、本考案の一実施例を示す概略説明図である。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 蒸発させた原料を被蒸着物に付着させるための蒸着室と
   、この蒸着室に片半部を臨ませて一定の速度で回転する
   主ローラとを備え、被蒸着物供給部から被蒸着物巻取部
   に向う長尺シート状の被蒸着物を前記主ローラにより案
   内して前記蒸着室を通過させるようにした巻取式連続蒸
   着装置において、前記主ローラに案内されて蒸着室に導
   入される直前の被蒸着物を該主ローラに押付ける押えロ
   ーラを設け、この押えローラと前記主ローラとで前記被
   蒸着物を定速搬送し得るように構成したことを特徴とす
   る巻取式連続蒸着装置。