JPS6013165Y2 - 熱陰極 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は熱陰極、特に熱電子放射性能を有する陰極を発
熱性保持体を介して一対の導電性部材によって挾持し、
さらに導電性部材を押圧する熱陰極に関する。

従来から熱陰極はタングステンヘヤピン型熱陰極が使用
されているが、六ホウ化カルシウム型構造を有するホウ
化物を陰極とする熱陰極は電子ビーム露光機、走査型電
子顕微鏡等の高輝度電子線源として注目されている。

一般的にこのような陰極を発熱性保持体を介して導電性
部材で挾持した構造の熱陰極は大型となる傾向であり、
タングステンを陰極とするものに比べて電力消費量が２
倍以上となると共に互換性に乏しく、その製造及び組立
てが困難である。

本考案はこれらの欠点を解決したもので、六ホウ化カル
シウム構造を有するホウ化物を陰極とし発熱性保持体を
介して導電性部材で挾持した熱陰極において特定の押圧
手段によって消費電力を少くするようにしたもので、そ
の押圧装置は小型化することができ、すべてのタングス
テンヘヤピン型熱陰極と互換性を有するようにすること
ができ、その製造及び組立を容易とした熱陰極を提供す
るものである。

すなわち、本考案は、熱電子放射性能を有する陰極をそ
の両側又はその周囲から発熱性保持体を介して一対の導
電性部材によって挾持し、さらにその導電性部材を外側
から押圧するように構成した熱陰極において、前記導電
性部材の中間部に設けた貫通孔に、その両端部に周囲に
溝を設けた支柱を絶縁体を介して挿入し、その支柱の溝
に設けた止め具と絶縁体との間に弾性体を保持するよう
にしたことを特徴とする。

以下図面に従って本考案をさらに詳しく説明する。

図面は本考案の実施例の断面図を示すものである。

本考案の熱陰極は、六ホウ化カルシウム構造を有するホ
ウ化物からなる陰極９は発熱性保持体１０ａ、１０ｂを
介して、一対の導電性部材５ａ。

５ｂによって挾持し、さらにこれを外側から押圧手段に
よって熱陰極を構成するようにしたものである。

本考案における押圧手段は前記導電性部材５ａ、５ｂの
ほぼ中央部、すなわち発熱性保持体１０ａ、１０ｂと接
しない位置と導電性部材脚部３ａ、３ｂとの間に貫通孔
を設け、該貫通孔に絶縁体６ａ、６ｂを介して支柱１２
を挿入し、その支柱１２の両端部において支柱１２の周
囲に設けた溝１３に止め具（例えばＥ形止め具）８ａ、
８ｂを固定し、支柱１２の絶縁体６ａ、６ｂと止め具８
ａｔ８ｂとの間に配設した弾性体？ａ、７ｂによって押
圧するようにしたものである。

次に本考案に用いる材料について説明をする。

まず、六ホウ化カルシウム構造のホウ化物としては六ホ
ウ化ランタンが好ましいが、これに限られるものではな
い。

発熱性保持体は熱分解黒鉛等の異方性炭素質材料、又は
ガラス状炭素等が好ましい。

導電性部材、支柱、弾性体及び止め具は高融点金属を用
いるが、特に弾性体はコイルスプリングのような構造と
したものが本発明の目的に適したものである。

絶縁体はセラミック材料等から形成したものであればよ
いが、特にアルミナ質のものが好ましい。

本考案は以上のような材料から構威されたものであるが
、以下さらに具体的に熱陰極について説明する。

本考案の熱陰極は、六ホウ化カルシウム構造を有するホ
ウ化物からなる陰極９の両側、又は周囲から一対の発熱
性保持体１０ａ、１０ｂを介して導電性部材５ａ、５ｂ
によって挾持される。

導電性部材５ａ、５ｂは一本の長尺材として構威し、基
板１１に設けられた電極端子１ａ、１ｂに直接固定する
か、または固定用バンド４ａ、４ｂと補助用支柱２ａ、
２ｂを使用して導電性部脚部３ａ、３ｂにて固定される
。

導電性部材５ａ、５ｂの中間部に貫通孔を設け、セラミ
ック等の絶縁材で形成されたワラシー状の絶縁体６ａ、
６ｂを介して、貫通孔に支柱１２を通し、支柱１２と導
電性部材５ａ、５ｂの接触を防止する。

更に支柱１２の両端部には止め具８ａ、８ｂを係止する
溝１３が形成されており、止め具８ａ、８ｂと絶縁体６
ａ、６ｂとの間にコイルスプリングからなる弾性体７ａ
、７ｂを配し、弾性体？ａ、７ｂを押圧した状態で止め
具８ａｔ８ｂを溝１３に係止する。

止め具８ａ、８ｂと絶縁体６ａ、６ｂの間に配された弾
性体？ａ。

７ｂは外側への移動が妨げられ、弾性体７ａ、７ｂの弾
性力により、導電性部材５ａ、５ｂは押圧され、陰極９
は発熱性保持体１０ａ、１０ｂを介して挾持される。

止め具による固定方法はネジとナツトによる固定方法よ
り簡単で小型化することができ、押圧装置として外側へ
の突起を小さくできるので、内容積の小さい円錐型のウ
ェーネルトにも使用可能でアリ、更に従来のタングステ
ンヘヤピン型熱陰極の約１．５倍以下の消費電力で加熱
、作動させることができ、通常の電子顕微鏡の電子銃に
タングステンヘヤピン型熱陰極に変えて組込みが可能で
ある。

【図面の簡単な説明】

図面は本考案の実施例の断面図である。 図中の符号は、１・・・・・・電極端子、２・・・・・
・補助用支柱、３・・・・・・導電性部材脚部、４・・
・・・・固定用バンド、５・・・・・・導電性部材、６
・・・・・・絶縁体、７・・・・・・弾性体、８・・・
・・・止め具、９・・・・・・陰極、１０・・・・・・
発熱性保持体、１１・・・基板、１２・・・・・・支柱
、１３・・・・・・溝を表わす。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 熱電子放射性能を有する陰極を、その両側又はその周囲
   から発熱性保持体を介して一対の導電性部材によって挾
   持し、さらにその導電性部材を外側から押圧するように
   構成した熱陰極において、前記導電性部材の中間部に設
   けた貫通孔に、その両端部の周囲に溝を設けた支柱を絶
   縁体を介して挿入し、その支柱の溝に設けた止め具と絶
   縁体との間に弾性体を保持するようにしてなる熱陰極。