JPS598647B2 - ケ−スを有する液冷式回転ピストン内燃機関 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明は、ケースを有し、該ケースが内筒摺動面を有す
る少くとも１個のリング状外筒部分と、２個の平行側部
分とからなり、内室を限定し、その際外筒部分と側部分
とが、互いに分離して冷却回路の循環用中空室を有し、
そのうち一方の冷却回路がケースの外筒部分の加熱弧範
囲を冷却し、その範囲内、室内では作動行程、点火、膨
脹及び排出を行い、ケース内では液冷ピストンが回転す
る液冷式回転ピストン内燃機関に関する。

その相互に分離した冷却回路がそれ故互いに異った温度
であり、相互に独立して機能し、これにより、回転ピス
トン内燃機関の相互に異って加熱される範囲がケースを
実質的に均等に加熱するように冷却媒体により冷却循環
されるような前述様式の回転ピストン内燃機関は周知で
ある。

これ等の冷却回路の冷却媒体によっては冷却されないケ
ース部分は、ピストンから流出する潤滑媒体により冷却
される。

このことはこの構造では、機関の作動温度に作用する別
の冷却回路が存在しているということを意味している。

運転温度、特にコールドスタート及び緩機運転中を考慮
した場合、燃料の消費及び機関の冷間摩耗がピストン温
度に応じるので、ピストン温度は特に非常に意味がある
。

コールドスタート後冷却媒体を２つの互いに独立した回
路に前述の如く分離することは冷却媒体を非常に早く加
熱することができるが、その理由は第３の回路を形成し
液冷ピストン内に導入される比較的冷い潤滑媒体が、ピ
ストンの表面が比較的熱の放散が大きく且つ潤滑媒体の
必要加熱時間が長いことにより運転温度の急速な上昇が
妨げられるからである。

本発明は、ピストンを流通する冷却媒体が比較的急速に
加熱される前述様式の液体冷却式回転ピストン内燃機関
を提供することを課題とする。

この課題は本発明により次の様に解決する。

ピストンの冷却回路と加熱弧範囲を流通する外筒部分の
冷却回路とが直列に接続されている。

この解決により、ピストンから流出する冷却媒体が外簡
のピストン範囲で加熱され、この範囲は燃焼により最高
な温度にさらされる。

この様にして加熱された冷却媒体は再び冷却回路を介し
てピストン内に戻る。

この様にすることにより、コールドスタート特にピスト
ン温度と全体の温度レベルの急速な上昇を生じることが
できる一方、空転時及び部分負荷範囲でのピストン温度
の低下が妨げられ、このことは燃料消費の低下と、冷間
摩耗と冷い機関の摩擦損失との低下とを生じることがで
きる。

更に周知例とは逆に、ピストン及び外筒部分の加熱弧の
両冷却回路を一つにすることによって、簡単になる。

ケースの長軸が垂直に位置し、外筒部分の加熱弧が下に
位置しているトロコイド構造様式のケースを有する回転
ピストン内燃機関では、冷却媒体の流通する加熱弧範囲
の外筒部分の中空室が、この中空室を部分的に限定する
内筒摺動面の外側周壁の最高位置の上方に設けられてい
る流出口に接続することができる。

この解決で、ピストンから無圧で流出し、外筒部分の加
熱弧の中空内に流入する冷却媒体が、内筒摺動面の外側
周壁に全く沿って案内され、このことにより、外筒部分
の部分的過熱と、外筒部分の部分的熱延びとを防ぐこと
ができる。

加熱弧内の中空室の流通横断面を、流入冷却媒体が滞留
又は集合せず、むしろ急速に流通するように選択する。

流出口は外筒部分自体又は一方又は両方の限定部分内に
設けられる。

ピストンを流通する冷却媒体が溝を介して少くとも１方
の側部分内に流出する本発明の提案では、外筒部分の高
温範囲の中空室が、一方では側部分内の溝と、他方では
ポンプの吸入側と導管を介して接続し、該導管が所定の
冷却媒体温度以上でオイルバンと接続可能である。

この構成では、機関内部の運動部分乃至軸受の潤滑に役
立ち、オイルパン内に集められる冷却媒体を用いる。

しかしながらこの解決では、ピストンから流出し、側部
分の溝を介し外筒部分を通じて流れる冷却乃至潤滑媒体
が、機関が冷い場今にポンプに再び供給でき、その際潤
滑媒体がオイルパンに達し、比較的冷い媒体と混合する
ようなことはない。

循環する冷却及び潤滑媒体量をこの様に可変とすること
により、外筒部分の加熱弧内で潤滑媒体が急速に加熱さ
れ、コールドスタート後の摩擦、損失を急速に低下させ
ることができる。

機関の温度が上昇すると、例えばサーモスタットにより
この加熱冷却及び潤滑媒体に、オイルバンからの比較的
冷い潤滑媒体を、対応した制御温度を得るために付加混
合する。

機関を運転する際、外筒部分の加熱弧の有害な過熱をな
くすために、ポンプの圧力側と接続し、過剰な冷却媒体
を案内するバイパス管を加熱弧範囲の中空室内に開口さ
せることを提案する。

この，様にすることにより、外筒温度、特に加熱弧の温
度の上昇を生じ且つその間、ポンプから供給される冷却
が潤滑媒体の消費を多くする高負荷高回転時には、過剰
な冷却媒体が、所定の圧力で潤滑媒体を流れさせる過圧
弁を含むバイパス管を介して、冷却回路に供給され、従
って、等様な温度レベルに調整できる。

２相式回転ピストンのケースで本発明の実施例な図示し
、図に従い本発明のを次に詳細に説明する。

第１図には、回転ピストン内燃機関が示されていて、各
１個の液冷式外筒部分１と２個の平行側部分３，４と中
間部分５とからなり２個の内室６を包囲し、該外筒部分
１は内筒摺動面２を有している。

内室は、側部分３，４内で軸受１，８に支持され、中間
部分５を貫通し、２個の偏心体を有する偏心軸９により
貫挿されている。

各偏心体１０のピストン軸受１１には、多角状の液冷ピ
ストン１２が回転可能に支持され、ピストン１２は冷却
媒体の流通を受ける内側中空室１３を有している。

ピストンはその角部にシール要素１４を備え、該シール
要素１４はピストン１２が回転方向Ｄに回転する際内筒
摺動面２に沿って常に滑動し、このことにより３個の作
動室Ａ，Ｂ，Ｃが形成され、該作動室内では位相を以っ
て４ストロークサイクルの作動行程が行われる。

この目的に対して、新気の供給用流入溝１５と、点火栓
１６用の２個の孔と、燃焼ガスの排出用の流出溝１７と
が設けられている。

ピストン１２が図示の位置にある場合，作動室Ａは吸気
行程を、作動室Ｂは圧縮行程を、作動室Ｃは排気行程に
ある。

この場合、ケースは、トロコイド状の内筒摺動面２の長
軸１８が垂直に位置し、燃焼及び排気行程が行われる外
筒部分１の加熱弧が下に位置するように設けられている
。

ピストン中空室１３から作動室Ａ，Ｂ，Ｃ内への冷却又
は潤滑媒体の流出を防ぐために、ピストン１２の端面壁
には、ピストン１２と側部分３，４と中間部分５の隣接
側壁間に作用する軸方向に可動なシールリング１９が設
けられている。

外筒部分１、側部分３，４並びに中間部分５は、完全に
２つに分離した冷却回路用の中空室を含んでいる。

第１冷却回路は、外筒部分１で中空室１ａを、側部分３
，４で中空室３ａ ，４ａを中間部分５で中空室５ａを
流通し、他方、外筒１の冷却回路に直列に接続され且つ
加熱弧の範囲を流通するピストン１２の冷却回路は、第
２の冷却回路を形成し、該第２冷却回路は外筒部分１内
で中空室１ｂを、側部分３，４内で溝３ｂ ，４ｂを流
通する。

外筒部分１の中空室１ｂは、燃焼及び排気行程が行われ
る加熱弧範囲に延在し、他方、第１図に示した実施例で
は中空室１ａは回転方向にみて流出溝１７から作動室Ａ
，Ｂ並びに点火栓範囲を介して作動室Ｃ迄延在し、中空
室１ｂ迄達している．流出溝１７の範囲で均等な熱伝達
を生じるために、流出口２７はその中空室１ａで制限さ
れる範囲で中空室１ａにより両側で包含され、このこと
は第１図に点線Ｋで図示している。

第２の冷却回路に冷却媒体を供給するのは、軸受７，８
、ピストン軸受１１を潤滑し、ピストン１２を冷却する
ための冷却及び潤滑媒体回路により行われ、該回路はポ
ンブ２０を備え、ポンプ２０は冷却及び潤滑媒体を吸入
口２８を介し容器２１から吸入し、導管２２を介し、図
示していない溝を通じて軸受７，８．１１に押送する。

導管２２からバイパス管２３が分岐し、該バイパス管は
バネ作用の過圧弁２４を有し、該弁２４は冷却媒体の圧
力上昇作用で開口し、過剰な冷却媒体を本発明に従いバ
イパス管２３外筒部分１の開口２５を介し、第２冷却回
路の中空室１ｂ内に付加的に供給する。

回転ピストン内燃機関の運転中軸受７，８及びピストン
軸受１１が流出する冷却及び潤滑媒体はピストン１２の
中空室１３内に達し、ここから無圧で、側部分３，４の
溝３ｂ，４ｂ及び孔２６を介して外筒部分１の中空室１
ｂ内に達する。

冷却及び潤滑媒体乃至冷却媒体を中空室１ｂからタンク
２１へ流出させる流出口２７は内筒摺動面の外周壁２ａ
の最も高い位置の上方に設けられ、外周壁２ａは内室６
側で中空室１ｂを限定する。

この様にすることにより、冷却媒体が周壁２ａに沿って
強制的に連行され、従って冷却媒体がタンク２１へ流出
する前に、内筒摺動面２から冷却媒体への熱伝達を許容
範囲で行うということを保証する。

流出口２７は、外周壁２ａがその内筒摺動面２で限定さ
れる面上で冷却及び潤滑媒体により包囲されるように形
成されている。

容器から加熱冷却媒体はポンプ２０及び導管２２により
、更に軸受７，８．１１内に並びに中空室１３内にピス
トン１２を暖めるために流入する。

高回転、高負荷、即ち、ポンプ２０が大量の冷却媒体を
吐出し、外筒部分１内の加熱弧の強い加熱が生じるとき
、この範囲の過熱を防ぐために、バイパス管２３を介し
て制御される冷却及び潤滑媒体が外筒部分の中空室１ｂ
内に導入される。

第３図では、第１，２図に示したものと同一又は同等部
材には同一の参照符号を付していて、第１，２図に示し
た機関とは多相機関において、中空室１ｂがその外筒部
分１の最高位置で孔２９を介し、中間部分３０の中空室
３０ｂと接続されていて、他方中間部分３０内の中空室
３０ａはもう一方の冷却回路の中空室３ａ ，４ａと接
続されている。

中空室３０ｂは出口管３１を有し、その上縁３２は外筒
部分１内の中空室１ｂの最も高い位置乃至孔２９よりも
高い位置に配置されている。

ピストン１２から中空室３ｂ，４ｂ，Ｉｂ内に流入する
冷却及び潤骨媒体はこの構成では、中空室３０ｂ内で出
口管３１の上縁迄上昇するとタンク２１内に流出し、従
って、外筒部分１内の内筒摺動面２の周壁２ａを完全に
包囲循環することを確実に実施できる。

第４図に示した実施例では，第２図のものと同一又は同
等の部材には同一の参照符号を付している。

第２図の実施例とは異り、油充填管乃至吸入に接続され
たタンク２１０通気孔を設けていて、中間部分５の比較
的冷い範囲で中空室５ｃを形成している中間部分５の範
囲を破断して示している。

更に、第２，３図による実施例とは異り、流出口２７が
タンク２１内に設けられた小さな収集容器３３内に開口
している．比較的冷い機関では暖機運転中に、収集器３
３は流出孔３４、導管乃至吸入管３５を介してポンプ２
０の吸込口２８に直接接続される。

この様にすると、ピストン１２から流出する冷却及び潤
滑媒体が中空室３ｂ ， ４ｂ ，１ｂを介し、短絡で
再び直接潤滑媒体回路に案内でき、従って循環媒体量を
少くして、非常に急速な加熱を行える。

吸込口２８とポンプ２０との間に配置された吸込管３６
はサーモスタット２７を備え、サーモスタット３７は吸
込み冷却及び潤滑媒体の温度に応答する。

温度が上昇すると、サーモスタット３７は操作棒４０を
介して、流出孔３４に設けられ且、支持軸上で回動可能
な板弁３８を操作し、このことにより、一方では流出孔
３４と吸込管３５との接続を小さくし、他方では吸込管
３５とタンク２１のオイルパン２１ａとの間の接続を逆
の意味で大きくする。

運転温度では流出口３４を介して、収集器３３とタンク
２１との完全な接続が生じる。

この装置により、潤滑媒体の温度に応じ、潤滑回路に、
比較的冷い冷却及び潤滑媒体をオイルパン２１ａから混
合する。

潤滑媒体の加熱を急速にし、ピストン１２の温度レベル
を経済的に早く制御し得ても、機関の過熱は決して生じ
ない。

外筒部分１と２個の平行側部分とからなる単相回転ピス
トン内燃機関では、中間部分に設けた流出管３１を側部
分に設けてよく、この場合この側部分は、外筒部分１に
通じる冷却及び潤滑媒体の供給用溝を設けている側部分
に対置しているものである。

本発明は、図示の実施例に限定されるものではなく、例
えば、冷却媒体の中空室１３内への供給が、軸受から及
び付加的な噴射装置を介して行われることも可能である
。

【図面の簡単な説明】

第１図はケース外筒部分とピストンの横断面図であり、
第２図は、第１図の断面線ｎ一■を示し、第３図は第２
実施例を第２図に類似して示した図面であり、第４図は
第３実施例を第２図に類似して示した図面である。 １・・・外筒部分、２・・・内筒摺動面、３，４・・・
平行側部分、５・・・中間部分、６・・・内室、１３・
・・中空室、１２・・・ピストン、Ａ，Ｂ，Ｃ・・・作
動室、１ｂ・・・外筒部分中空室（１ｂ）、２７．３１
・・・流出口、２ａ・・・内筒摺動面の外周壁（２ａ）
、３ｂ，４ｂ・・・側部分の溝、２０・・・ポンプ、３
５・・・導管、２ｌｂ・・・オイルパン、２３・・・バ
イパス管。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ ケースを有し、該ケースが内筒摺動面を有する少く
   とも１個のリング状外筒部分と、２個の平行側部分とか
   らなり、内室を限定し、その際、外筒部分と側部分とが
   互いに分離した冷却回路の循環用中空室を有し、そのう
   ち一方の冷却回路がケースの外筒部分の加熱弧範囲を冷
   却し、その範囲内、室内では作動行程、点火、膨脹及び
   排気を行い、ケース内では液冷ピストンが回転する液冷
   式回転ピストン内燃機関において、ピストン１２の冷却
   回路と、加熱弧範囲を流通する外筒部分１の冷却回路と
   が直列に接続されていることを特徴とする回転ピストン
   内燃機関。 ２ ケースの長軸が垂直に、外筒部分の加熱弧が下に配
   置されているトロコイド構造様式のケースを有する特許
   請求の範囲第１項に記載の回転ピストン内燃機関におい
   て、冷却媒体の流通する加熱弧範囲の外筒部分１の中空
   室１ｂが、流出口２７，３１と接続され、流出口２７．
   ３１がこの中空室１ｂの部分的に限定する内筒摺勤面２
   の外周壁２ａの上方に設けられていることを特徴とする
   回転ピストン内燃機関。 ３ ピストンを流通する冷却媒体が溝を介して少くとも
   １個の側部分に流出する特許請求の範囲第１項又は第２
   項に記載の液冷式回転ピストン内燃機関において、外筒
   部分１の高温範囲の中空室１ｂが一方では側部分３，４
   の溝３ｂ ，４ｂと、他方ではポンプ２０の吸込側と導
   管３５を介して接続され、ポンブ２０が所定の冷却媒体
   温度以上でオイルパン２ｌｂと接続可能であることを特
   徴とする回転ピストン内燃機関。 ４ ポンプ２０の圧力側と接続し、過剰な冷却媒体を案
   内するバイパス管２３が加熱弧範囲に設けた中空室１ｂ
   内に開口していることを特徴とする特許請求の範囲第３
   項に記載の液冷式回転ピストン内燃機関。