JPS598017Y2 - 機械式クラッチ - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は機械式クラッチの改良に関するものである。

従来用いられていた機械式クラッチは、第１図に示す如
く、機関（図示せず）の動力で回転される入力軸１に前
進側入力歯車２。

及び後進側入力歯車３。

を固着し、該前進側入力歯車２。に噛合する前進歯車４
。

及び該後進側入力歯車３。に中間歯車（図示せず）を介
して噛合する後進歯車６。

を出力軸７。

に遊嵌すると共に、該前進及び後進歯車４．， ６．０
間で該出力軸７。

に軸方向摺動自在にヘリカルスプライン係合し、選択的
に前進及び後進歯車４。

，６０と係合するコーンピストン８。を設けたものであ
る。

又前進及び後進歯車４。， ６０には夫々の歯４。

′，６８′の内側に内向き摩擦円錐面を有する歯車側突
出部９。

，１０ｏが設けられ、コーンピストン８。

の両端部には歯車側突出部９。， １０ｏに係合する外
向き摩擦円錐面を有するコーンピストン側突出部１１０
， １２．を夫々設けられている。

このクラッチ装置はシフトレバー（図示せず）操作して
コーンピストン８。

を図の左方或は右方に回転させながら移動させ、コーン
ピストン８。

の突出部１１．或は１２ｏを前進及び後進歯車４。

，６ｏの突出部９。

或は１０ｏに係合させて出力軸７。を前進或は後進方向
に回転させる。

この場合、コーンピストン８。

は出力軸７。にヘリカルスプライン係合されているため
、前進及び後進歯車４。

， ６ｏとコーンピストン８。が係合している動力伝達
状態から中立に急速に戻したり或は反対側に係合させる
所謂クラツシュアスターンを行なうことが困難である。

又前進及び後進歯車４ｏ，６ｏの突出部９。

，１０ｏにコーンピストン８。の突出部１ １ｏ， １
２ｏが僅かでも接触するとクラッチが嵌入されるので
ハーフクラッチに実質上不可能であり、行なおうとすれ
ば中立規制を厳密に行なう装置を必要とする。

又コーンピストン８。と出力軸７ｏとのヘリカルスプラ
イン部、特にコーンピストン８。

内周の加工には特別な工作設備を必要とする。

又動力伝達中のヘリカルスプラインで発生するスラスト
カを受けるためコーンピストン８。

に余分な部品のスラストカラー３３などを必要とする等
の欠陥がある。

本考案は上記の欠陥を解消するためになされたもので、
クラッチの嵌脱が速やかで、しかもハーフクラツチが容
易にでき、そのうえ特別な加工を要さない機械式クラッ
チを提供することを目的とする。

本考案の一実施例を示す第２図について以下説明する。

入力軸１に前進側入力歯車２及び後進側入力歯車３を固
着し、該前進側入力歯車２に噛合する前進歯車４及び該
後進側入力歯車３に中間歯車５を介して噛合する後進歯
車６を出力軸７に遊嵌すると共に、該前進歯車４と後進
歯車６との間で該出力軸７に軸方向摺動自在にスプライ
ン係合し、選択的に前進及び後進歯車４，６と係合する
コーンピストン８を設けたものである。

又前進及び後進歯車４，６には、歯４’， ６’のすぐ
内側に内周に内向き摩擦円錐面を有する突出部９，１０
と、該突出部９，１０の前記出力軸７側に設けた内底１
１，１２から突出する爪部１３，１４とを夫々設けてい
る。

又コーンピストン８には、左右両端面に前記爪部１３，
１４と噛合するドグ爪部１５， １６と、左右両端部
の外周で外周に前記摩擦円錐面と当接する外向き摩擦円
錐面と内周に係止溝１７，１８を有し且つ出力軸７方向
に摺動自在に係合した前記突出部９，１０に内嵌するシ
ンクロナイザリング（以下リングと略称する）１９．２
０を設けている。

このリング１９． ２０は、前記係止溝１７， １８に
対応してコーンピストン８外周に設けられた複数の穴２
１，２２に嵌入するデテントボール２３， ２４及びば
ね２５， ２６からなる一定荷重機構により前記係止溝
１７，１８を介して前記出力軸７に対して外方垂直に押
圧されている。

尚出力軸７とコーンピストン８との摺動面中央附近の該
出力軸７の貫通孔２７に嵌入されたばね２８を挾持する
デテントボール２９， ２９’と、該デテントボール２
９， ２９’が嵌合するコーンピストン８に設けられた
波形状凹部の係止溝３０とで構威されたドグ位置決め機
構を備えている。

上記の如く構或された機械式クラッチは、シフトレバー
３１を操作してシフター３２を中立から図の左方に移動
させると、デテントボール２３と係止溝１７との係合に
よりリング１９がコーンピストン８と共に移動して、前
進歯車４の突出部９にリング１９が嵌合し、両者の摩擦
円錐面が接触して発生する接触摩擦力で出力軸７が前進
方向にゆるやかに回転する。

続いてシフトレバー３１の操作力を強めてコーンピスト
ン８を左方に摺動させると、突出部９とリング１９の嵌
合がより進められると共に、ばね２５の力に相応してリ
ング１９を突出部９に圧接するので両者の摩擦力が前よ
り大きくなり出力軸７の回転数が増加する。

また更にシフトレバー３１の操作力を強めてコーンピス
トン８を左方に摺動させると、デテントボール２３が係
止溝１７からはずれた状態となってばね２５の力が強く
なりリング１９を突出部９に強く圧接するので摩擦力が
さらに大きくなって出力軸７の回転をさらに増す。

そしてシフトレバー３１の操作力を強めて一定荷重を超
過するとデテントボール２３と係止溝１７との係合が解
かれてコーンピストン８がさらに前進し、前進歯車４の
爪部１３とコーンピストン８のドグ爪部１５とが滑らか
に噛合して前進歯車４と出力軸７との回転が同期し、入
力軸１一前進側入力歯車２一前進歯車４−コーンピスト
ン８一出力軸７と経て前進方向へのための動力が伝達さ
れる。

又シフトレバー３１を操作してコーンピストン８を中立
側に寄せると前進歯車４の爪部１３とコーンピストン８
のドグ爪部１５が離れると共にデテントボール２３が係
止溝１７に嵌入して、出力軸７への動力伝達が絶たれる
。

又出力軸７を後進方向に回転させる場合は前進方向の回
転の場合の反対にシフトレバー３１を操作してコーンピ
ストン８を図面の右方に移動させることにより、前進方
向の場合の作動原理と同様にして作動する。

上記の如く前進或は後進歯車４，６と出力軸７とが同期
してから動力伝達のための前進或は後進歯車４，６とコ
ーンピストン８の夫々の爪部１３，１４とドグ爪部１５
， １６が噛合するので、大きな衝撃を発生することな
く滑らかにクラッチ嵌脱ができる。

本考案は出力軸に遊嵌され互いに反対方向に回転駆動さ
れる前進及び後進歯車と、該両歯車間で前記出力軸に軸
方向摺動自在にスプライン係合され前記両歯車に選択的
に係脱するコーンピストンからなり、前記両歯車には、
歯の内周に内向き摩擦円錐面を有する突出部を設け、前
記コーンピストンには、両端部の外周で外周に前記摩擦
面に当接する外向き摩擦円錐面と内周に係止溝とを有し
且つ軸方向摺勲自在に係合されたシンクロナイザノング
を設けると共に、前記係止溝を介して該シンクロナイザ
リングを外方に押圧する一定荷重機構を設けたことを特
徴とする機械式クラッチなので次の効果を奏する。

（１）コーンピストンは出力軸に軸方向摺動自在にスプ
ライン係合されているので運転中にクラッチの嵌脱が容
易である。

（２）前進及び後進歯車に設けられた内向き摩擦円錐面
と、コーンピストンの両端のシンクロナイザリングに設
けられた外向き摩擦円錐面とを嵌合させることにより、
極めて容易にハーフクラッチができる。

（３）コーンピストンを移動させて中立状態にしたとき
、多少ずれてもハーフクラッチが起るだけなのでクラッ
チの中立位置規制の装置を必要としない。

（４）出力軸とコーンピストンとは軸方向のスプライン
係合なので加工が容易である。

（５）トルク伝達は前進及び後進歯車の爪部とコーンピ
ストンのドグ爪部との噛合により行なわれるのでスラス
ト方向の力が発生せず、そのための特別な装置を必要と
しない。

【図面の簡単な説明】

第１図は従来の機械式クラッチで要部縦面図、第２図は
本考案の一実施例を示し、イは要部縦断面図、口はＡ−
Ａ断面図である。 ４・・・・・・前進歯車、４′・・・・・・前進歯車の
歯、６・・・・・・後進歯車、６′・・・・・・後進歯
車の歯、７・・・・・・出力軸、８・・・・・・コーン
ピストン、９，１０・・・・・・突出部、１７，１８・
・・・・・係止溝、１９， ２０・・・・・・シンクロ
ナイザリング。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 出力軸に遊嵌され互いに反対方向に回転駆動される前進
   及び後進歯車と、該両歯車間で前記出力軸に軸方向摺動
   自在にスプライン係合され前記両歯車に選択的に係脱す
   るコーンピストンからなり、前記両歯車には、歯の内周
   に内向き摩擦円錐面を有する突出部を設け、前記コーン
   ピストンには、両端部の外周で外周に前記摩擦円錐面に
   当接する外向き摩擦円錐面と内周に係止溝とを有し且つ
   軸方向摺動自在に係合されたシンクロナイザリングを設
   けると共に、前記係止溝を介して該シンクロナイザリン
   グを外方へ押圧する一定荷重機構を設けたことを特徴と
   する機械式クラッチ。