JPS5942551B2 - 同期回転電機の励磁装置 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 この発明は同期回転電機の励磁装置、特に大形の慣性負
荷に機械的に連結された同期発電機の始動装置に関する
ものである。

従来技術 大形の発電機を駆動するように設計された、たとえばガ
スタービンのようなある種の原動機は自己起動型ではな
く、全速のほとんど６０％まで加速させなければならず
、その際、燃焼器が点火されて、発生したタービン出力
は全速まで加速をつづけるだけの大きさになる。

普通には、クラッチ接続装置すなわち通常、誘導電動機
、始動タービン、またはディーゼルエンジンによつて始
動される。これらの何れも増速機およびトルクコンバー
タ（変速装置）とギヤ連結される。誘導電動機始動機が
使われる場合には、この電動機の所要大きさはタービン
発電機定格の約６％である。たとえば、７０乃至８０メ
ガワット範囲のタービン発電機定格にたいしては始動電
動機の出力定格は約１５００馬力である。このような電
動機への突入電流は電動機定格ＫＶＡの通常、約６倍で
あつて、このような大きいＫＶＡ需要電力はその発電機
が接続される予定のシステムからは必ずしも得られない
。また、数台のガスタービン発電機を備えた発電所では
、各ガスタービン発電機は嫁い始動期間中に使われる以
外には休止しているそれぞれの始動電動機を必要とする
。

そのほか、適当な制御装置が電動機にたいして設置され
ねばならず、必要な冷却装置付きのトルクコンバータ、
増速ギヤ、およびクラツチも全始動装置に必要である。
各ガスタービン発電機に個々の始動電動機を設けてそれ
を保守することに関する経費のため、複数の発電機の原
動機に役立ち得る、代りの始動装置を設置しようとする
要求が相当つよい。米国特許第３１３２２９７号および
第 ３５９１８４４号にのべてあるように、発電機自体を始
動電動機として使用して自己始動型でない原動機を始動
させることが提案されている。

このことは内燃機関によつて駆動される航空機発電機の
ような小形機でかなりの成積を収めたが、これらの文献
に示された方法や構造は需要者に給電する発電所に使わ
れるような大形の同期発電機の場合には実行できなく、
また望ましくない。同期発電機用の励磁機がガスタービ
ンのような大形の原動機を始動させるのに使われる適当
な始動装置は米国特許第３８０９９１４号に開示されて
いる。しかし、この米国特許の装置は、励磁機である交
流発電機を可変速巻線形誘導電動機として始動用に運転
させるため、スイツチとスリツプリングとの組合せに頼
つている。したがつてこのような装置は、スリツプリン
グやその他の電気接点を用いないブラシレス励磁機を有
する型の同期回転電機を始動させることにうまく利用す
ることができない。発明の開示 この発明によれば回転電機は多相交流巻線を有する固定
子と、直流界磁巻線を有する回転子と、主励磁機とを含
み、この主励磁機は、回転電機子巻線と、前記直流界磁
巻線に直流電流を通すように接続された整流器と、複数
の突極を含む固定子鉄心と、これらの突極の所定のもの
に設けられた複数の界磁コイルとを有し、これらの界磁
コイルは直流固定子界磁巻線を構成するように接続され
、少なくとも一つの始動巻線が前記突極の間に挿入され
、この始動巻線の磁軸は隣接する前記界磁コイルの磁軸
にたいし磁気的に結合しない関係にあり、前記始動巻線
は、それらが付勢されると、前記主励磁機の電機子巻線
に交流電流を誘起するように設けられている。

作用効果１ この発明では、誘導電動機やデイーゼルエンジンのよう
な補助始動装置を利用せずに、高慣性負荷に機械的に連
結された同期回転電機の回転子を加速させるような電気
装置が都合よく設けられる。

この発明は、本来、自己始動型でないガスタービンのよ
うな原動機を始動させるに特に使われるが、大形の慣性
負荷に連結された任意の同期回転電機の回転子を加速さ
せるにも広く使用される。この発明の装置はもちろん、
外部負荷を始動させることに限らず、大形の同期調相機
のような、別の始動装置を要する任意の同期回転電機を
始動させるにも使われる。この発明においては、同期回
転電機（たとえば、タービン発電機）はその回転子が大
形の慣性負荷（ガスタービン原動機）に機械的に連結さ
れている。

この同期発電機とガスタービン原動機との組合せは同期
発電機固定子巻線を低周波交流電源に接続することによ
つて始動される。同期発電機の回転子が加速して、ター
ビン原動機出力が始動反抗トルクを越えるまで、この交
流電源はその周波数が次第に大きくされて、そのときに
発電機固定子巻線への入力電流が除去される。前述の同
期方法によつて同期発電機を始動させるには、低周波電
流が固定子巻線にあたえられる始動期間中に直流がいつ
でも界磁巻線にあたえられることが必要である。

集電環（スリツプリング）を備えた発電機ではこのこと
は問題ではない。しかし、ブラシレス励磁機によつて励
磁されるタービン発電機では、回転電機子巻線と回転整
流器装置とを備えたブラシレス励磁機によつて直流励磁
がなされる。この型の交流発電機では、回転整流器の直
流出力は回転子軸の回転速度に比例する。それ故、この
回転子軸が休止していると、整流器装置の直流出力は零
であり、固定子磁界と相互作用する回転子磁界がないか
ら、機械的回転力は何ら発生しない。作用効果２ この発明では直流界磁の励磁は、回転子軸の速度に無関
係に動作するように同期発電機界磁巻線にあたえられる
ので、励磁機の電機子は前記軸の零または非常に低い速
度でも始動させるための十分な励磁出力能力を有し、こ
の出力は変圧器の原理すなわち電磁誘導作用で得られる
。

この目的を達するため、ブラシレス励磁機の突極直流固
定子界磁巻線の間に交流界磁巻線が挿入される。現用の
突極固定子界磁巻線の、誘導リアクタンスは、通常の運
転周波数で非常に大きい電圧をあたえる必要があるので
このような固定子界磁巻線はこの目的に使用できない。
もし前記直流界磁巻線に６０ヘルツの低電圧をあたえる
ように設計すると、一般に使われる直流巻線の巻数はか
なり小さいので正常の励磁機運転に要する直流電流は法
外に大きくなつて具合がわるい。この発明の交流界磁巻
線は隣接する二つの直流界磁巻線のそれぞれの突極の中
間の位置に設けられ、これらの直流界磁巻線と磁気的に
結合しないように前記各突極と間隔を置いて前記二つの
突極の中間位置に同心状に配置されている。

このような配置によつて、前記交流界磁巻線が励磁され
るとき生ずる６０ヘルツの界磁は前記直流界磁巻線には
決して電圧を誘起しなくて、この界磁巻線は始動期間中
には働かない。このような誘起電圧は絶縁、またはブラ
シレス直流励磁回路に接続された他の機器に損傷をあた
えることがある。前記交流界磁巻線は適当な線路周波数
の単相交流電流で励磁されるのがよい。

ブラシレス励磁機の電機子巻線に生じる単相交流電流磁
束は回転子の三相電機子巻線に不平衡電圧を発生しやす
い。しかし、普通の、同期発電機とガスタービンとの組
合せを加速させるに要する短時間（約５分）に、交流電
流は、十分なエアギヤツプ磁束を生ずるようにこの巻線
にあたえることができるので、ブラシレス励磁機電機子
またはそれに接続された機器に損傷をあたえるおそれの
ない同期始動方法として適当な直流電流励磁出力（負荷
電流の約２０％）が発電機界磁巻線にとり出される。発
明の実施例 第１図はたとえば大形の同期発電機１０のような大形の
同期回転電機を表わしたものである。

この同期発電機１０は、たとえばガスタービンのような
原動機２０のような大形の慣性負荷に連結された共通軸
１８に交流励磁機１４と回転整流器装置１６を装着した
ブラシレス励磁装置１２によつて励磁される。前記交流
励磁機１４は固定子界磁部材２２と回転電機子２４を有
する任意の型のものでよく、この回転電機子２４は同期
発電機１０の主回転子界磁巻線２６と共に回転するよう
に共通軸１８に保持された鉄心２５の中の半径方向のみ
ぞに配置された三相巻線を含んでいる。この電機子巻線
は界磁巻線２６の励磁用に直流出力をあたえるように汎
用のブリツジ装置に接続された複数の整流器２８および
ヒユーズ３０を含む回転整流器装置１６に接続されてい
る。主回転子界磁巻線２６を流れるこの直流の励磁によ
つて、このブラシレス励磁装置の複数の回転整流器が原
動機２０でまわされるとき同期発電機１０の固定子電機
子巻線３２内に電流を誘起する磁界がつくられる。交流
励磁機１４はパイロツト励磁機３４からその界磁励磁を
受けこのパイロツト励磁機３４は原動機２０によつて回
転されるように共通軸１８に機械的に連結された永久磁
石界磁部材３６を備えている。共通軸１８が回転するに
つれて、永久磁石による磁界が環状の電機子巻線３８内
で回転され、この電機子巻線３８に交流電流が普通の方
法で磁気誘導によつて誘起される。この電機子巻線３８
の出力側は調整器４０に電気接続され、この調整器４０
はパイロツト励磁機電機子からの多相交流電流励磁を交
流励磁機界磁巻線２２にあたえられる直流励磁に変換す
るように働く。この調整器の出力は固定子電機子巻線３
２の一つの枝路に接続された変流器４６および変成器４
８によつてそれぞれ導出される電流信号４２と電圧信号
４４とに応答する。調整器４０の直流出力による励磁は
制御目的のため同期発電機１０の電機子巻線３２の出力
の大きさの予定の関数に大体、比例する。次に第２図に
ついて、交流励磁機１４は、同心配置されて電機子から
離れている複数の突極５２を有する固定子鉄心５０を備
えている。

界磁巻線５６は、電機子軸に平行な面にあるのがよいが
、突極５２のそれぞれのまわりに在る。この界磁巻線５
６は界磁巻線を形成するように直列接続された複数の界
磁コイル５７からなる。これらの界磁コイル５７が調整
器４０からの直流で付勢されると、突極５２は磁化され
て交互の複数の極性を生ずる。共通軸１８が電機子を固
定子界磁部材２２内でまわすとき、回転電機子２４の電
機子巻線内に交流電流が誘起される。固定子鉄心５０と
電機子の鉄心２５との間の空隙５８を磁束が通り、さら
に鎖線６０で示したように突極５２の軸線方向に通る。
交流電流を通す始動巻線６２は隣接する突極の間に挿入
されて、その磁軸は直流界磁コイル５７の直軸６０、す
なわち磁軸にたいして磁気的に結合しない関係に配置さ
れている。

始動巻線６２の磁軸は鎖線６４で示されている。この始
動巻線６２の磁軸は各突極の面の中心部近くに在るみぞ
に埋込まれた複数の巻回からなり、隣接する突極部５２
と、それと組合つた界磁コイル５７との間にあるすきま
を通つて延びている。始動巻線６２の磁軸は直流界磁コ
イル５７の磁軸にたいして磁気的に結合しない関係に配
置されているので、始動巻線が付勢されるとき生ずる交
流界磁は始動期間中に働かない界磁巻線５６には電圧を
誘起することは決してない。このような電圧は直流界磁
巻線の絶縁または、直流励磁回路のダイオードやＳＣＲ
のようなその他の素子に損傷をあたえることがある。界
磁巻線５６は始動中には付勢されないから、突極部は磁
化されず、第３図の点線で示されたような磁力線７０が
始動巻線６２によつてつくられる磁極の間に所定の時間
に生じる。この発明では、始動時に、交流の始動巻線６
２を使用し、始動巻線６２によつて生ずる交番磁束は周
知のような固定子と回転子との間の小さい空隙を越えて
回転電機子２４の巻線と交さし、回転電機子２４が停止
していても変圧器の原理によつて回転電機子２４の巻線
に交流電圧が誘起するので、同期発電機１０の界磁巻線
２６に適当な直流励磁をあたえるため共通軸１８を回転
させる必要はない。始動巻線６２にあたえられる交流電
源７５からの交流は、たとえば６０ヘルツのように任意
の都合のよい線路周波数のものでよく、界磁巻線２６に
適正な直流励磁をあたえるだけの大きさのものでよい。
単相交流磁束は三相の回転電機子２４の巻線に不平衡電
圧を発生することがある。しかし、ガスタービンのよう
な原動機を加速させるに普通、必要な時間は短いので、
この不平衡電流状態は大ていの回転機には有害ではない
。原動機の出力が運転速度まで加速を完了することがで
きる速度に原動機の共通軸１８を上げる際に、交流励磁
機１４の固定子鉄心５０の隣接する突極５２の間に在つ
て、隣接する直流界磁巻線５６の磁軸と磁気結合しない
磁軸を有する関係に挿入された始動巻線６２にあたえら
れる単相交流電流励磁に応動して励磁機の回転電機子２
４の巻線に誘起される交流電流に応じて回転整流器装置
１６から流れる直流によつて同期発電機１０の界磁巻線
２６が付勢される。界磁巻線２６をとおる直流電流によ
つて静磁界がいつたん、つくられると、あたえられる励
磁の周波数に比例した速度で回転する動磁界を生ずるよ
うに固定子巻線３２に多相交流電流をあたえれば同期発
電機１０は同期始動される。このあたえられる励磁の周
波数は毎秒零周波数から、共通軸１８が予定の回転速度
に加速するまで、もつと高い周波数に上げられる。この
励磁電流の大きさも周波数に比例して土げられる。この
周波数および励磁電流の大きさを上げてゆくには、たと
えばＡ相、Ｂ相、Ｃ相のような時間的に１２０との位相
差のある多相交流電流を入力として受け、同じく１２０
０の位相差があるが、振幅が調整でき、周波数が毎秒零
周波数から入来多相信舟の線路周波数まで変えることが
できる多相励磁信号をその出力側に出す周波数変換器８
０ＶＣよつて、前記可変周波数多相励磁がこの発明の装
置に行われ、同期発電機１０を同期電動機として低周波
起動させる。固定子電機子巻線３２に多相交流電流の励
磁をあたえると、界磁巻線２６によつてつくられた静磁
界と相互作用する回転磁界を生ずる。

周波数変換器８０の出力は次第に、且つ連続して大きく
されて、終にタービンが、タービン出力のみによつて始
動抵抗トルクをこえる速度に加速されると、その際に同
期発電機の固定子巻線３２への入力電流がなくされる。
また、別の交流電源７５によつて始動巻線６２にあたえ
られる励磁もなくされる。このときから同期発電機１０
は本来の発電機として働き、交流励磁機１４の固定子の
界磁巻線２２は、調整器４０を介してパイロツト励磁機
３４の電機子巻線３８の交流電圧を変換した直流で励磁
されて、正常の運転状態に入る。ガスタービン原動機の
ような大形の慣性負荷が零速度から加速されるときに、
消費されるエネルギーを吸収するように、高速円筒型回
転子は設計されないので、一般に行われている技術によ
る全電圧（直入）起動は今のべている用途には適さない
。ガスタービンが出力を出す以前には始動トルクは負荷
を駆動するには不十分であるから、固定子電圧をへらす
ことはできない。さらに、大量のエネルギー消費のため
、固定子巻線は全電圧および正常の大きさと周波数の状
態で始動するように接続されるときの力を安全に吸収す
ることはできない。しかし、周波数に比例し且つ始めに
低周波数の電圧をあたえ、しかも前述の仕方で固定子励
磁の振幅と周波数とをゆつくり大きくしていくことによ
つて、この同期発電機は固定子巻線および回転子の部品
に損傷をあたえるおそれなく同期始動される。第４図に
おいて、この発明の励磁装置は複数のガスタービン装置
を有する発電所に有利に使用されることが明らかである
。ただ一つの周波数変換器８０と、ただ一つの補助交流
電源７５とが複数のガスタービンのような原動機２０を
順に始動させるに使われ、組合つた同期発電機１０のそ
れぞれは始動巻線６２によつて変形されたブラシレス励
磁装置１２を備えている。この組合せによつて、各ガス
タービンに個々に始動器を設ける必要がなくなり、その
ため従来生じていた経費は大いに削減された。

【図面の簡単な説明】

第１図はこの発明の実施例を示した略図、第２図はこの
発明によつて構成された横軸交流巻線を備えたブラシレ
ス励磁機である交流発電機の一部を断面で示した図面、
第３図は第２図の交流発電機の固定子巻線の部分的電気
配線の略図、第４図は複数のガスタービン発電機を備え
た発電所にこの発明を実施したことを示すプロツク図で
ある。 なお、これらの図面において同一符号はそれぞれ相当部
分を示している。図面．において、１０・・・・・・同
期発電機、２４・・・・・・回転電機子巻線、２８・・
・・・・整流器、５０・・・・・・固定子鉄心、６２・
・・・・・始動巻線。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 多相交流電流を通す固定子巻線を有する固定子と、
   直流電流を通す界磁巻線を有する回転子とからなる同期
   回転電機、および前記回転子の界磁巻線に直流電流を通
   すように接続された回転電機子巻線と整流器、複数の突
   極と、これらの突極の所定のものに設けられて、直流固
   定子巻線を構成するように接続された複数の界磁コイル
   とからなる固定子鉄心、および前記突極間で隣接する前
   記界磁コイルと磁気的な結合が起らない位置に配置され
   、且つ付勢時に前記回転電機子巻線に交流電流を誘起す
   るように設けられた少なくとも一つの始動コイルを有す
   る主励磁機の組合せからなる同期回転電機の励磁装置。 ２ 同期回転電機の始動中に始動コイルを交流電流励磁
   によつて付勢し、且つ、同期回転電機の始動中に固定子
   電機子巻線に可変周波数多相交流電流励磁をあたえるよ
   うにした特許請求の範囲１記載の同期回転電機の励磁装
   置。