JPS5937744B2 - 時効硬化性プラスチツク金型用鋼 - Google Patents
時効硬化性プラスチツク金型用鋼Info
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- JPS5937744B2 JPS5937744B2 JP4545079A JP4545079A JPS5937744B2 JP S5937744 B2 JPS5937744 B2 JP S5937744B2 JP 4545079 A JP4545079 A JP 4545079A JP 4545079 A JP4545079 A JP 4545079A JP S5937744 B2 JPS5937744 B2 JP S5937744B2
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Description
【発明の詳細な説明】
本発明は肉盛溶接後、時効処理することにより溶着鋼
部、および熱影響部が母材部と同様に均一なフオートエ
ッチング加工が可能な性質をもつことを特徴とするMn
−Ni−Al−Cu−Mo系時効硬化性プラスチック金
型用鋼に強靭性焼入性改善合金成分群、細粒化促進合金
成分群のうち、いずれかの合金成分群を単独または複合
金有せしめたプラスチック金型用鋼に関するものである
。
部、および熱影響部が母材部と同様に均一なフオートエ
ッチング加工が可能な性質をもつことを特徴とするMn
−Ni−Al−Cu−Mo系時効硬化性プラスチック金
型用鋼に強靭性焼入性改善合金成分群、細粒化促進合金
成分群のうち、いずれかの合金成分群を単独または複合
金有せしめたプラスチック金型用鋼に関するものである
。
従来、プラスチック金型用鋼として、炭素鋼や低合金
構造用鋼が多く使用されているが、プラスチック金型用
鋼には被削性、被研削性、鏡面仕上げ姓、フオートエッ
チング性、溶接性、放電加工性、圧縮強度、耐食性、耐
摩耗性、寸法安定性などの各種の特性の良好なことが要
求されるが、現用金型鋼に対して、これらの特性を完備
させることは至難であった。 これらの諸性質の中には
互に相反するものおよび本質的に回避できないものが含
まれている。
構造用鋼が多く使用されているが、プラスチック金型用
鋼には被削性、被研削性、鏡面仕上げ姓、フオートエッ
チング性、溶接性、放電加工性、圧縮強度、耐食性、耐
摩耗性、寸法安定性などの各種の特性の良好なことが要
求されるが、現用金型鋼に対して、これらの特性を完備
させることは至難であった。 これらの諸性質の中には
互に相反するものおよび本質的に回避できないものが含
まれている。
一方、最近のプラスチック金型のカタサは高くなる趨
勢にあるが、カタサを高くすると被削性が低下し、マル
テンサイト変態型の鋼では溶接後に熱影響部のカタサの
不連続部を解消する7こと、この部分を均一にフオート
エッチングすること、放電加工面のカタサ上昇を抑制す
ること、熱処理時の変形を阻止することなどは本質的に
不可能である。熱処理時の変形は被削性をある程度犠牲
にしたプレハーデン鋼を用いて回避しているものの、被
削性の低下により金型製作工数が増大し、生産性が低下
する。
勢にあるが、カタサを高くすると被削性が低下し、マル
テンサイト変態型の鋼では溶接後に熱影響部のカタサの
不連続部を解消する7こと、この部分を均一にフオート
エッチングすること、放電加工面のカタサ上昇を抑制す
ること、熱処理時の変形を阻止することなどは本質的に
不可能である。熱処理時の変形は被削性をある程度犠牲
にしたプレハーデン鋼を用いて回避しているものの、被
削性の低下により金型製作工数が増大し、生産性が低下
する。
とくに溶接後フオートエッチング加工をする場合には、
繰返し焼入れ焼戻しを行なって溶接部とその熱影響部の
組織を母材部のそれと均質化するも不充分となり均一な
フオートエッチング加工が困難である。
繰返し焼入れ焼戻しを行なって溶接部とその熱影響部の
組織を母材部のそれと均質化するも不充分となり均一な
フオートエッチング加工が困難である。
このほか均質化のための熱処理によるスケールや歪の発
生などにより良品金型の製造はかなり困難である。
生などにより良品金型の製造はかなり困難である。
よって肉盛溶接後均一なフオートエッチングが可能な金
型材料がプラスチック金型の生産性の向上の点から強く
要望されている。プラスチック成形金型において金型内
面に所望の図柄をもつ耐食膜を写真的手法によって形成
するフオートエッチングまたはケミカルミリング法が採
用されているが、均一なフオートエッチング面を確保す
るためには部分的に型面を肉盛溶接補修することを回避
しなければならないが、型面の模様、図納の複雑化とと
もに回避が至難となりつつある。
型材料がプラスチック金型の生産性の向上の点から強く
要望されている。プラスチック成形金型において金型内
面に所望の図柄をもつ耐食膜を写真的手法によって形成
するフオートエッチングまたはケミカルミリング法が採
用されているが、均一なフオートエッチング面を確保す
るためには部分的に型面を肉盛溶接補修することを回避
しなければならないが、型面の模様、図納の複雑化とと
もに回避が至難となりつつある。
この場合肉盛溶接の溶着鋼部と母材部とに硬度差を生じ
、その后のフオートエッチング面の均一性確保が至難と
なる。このため各種金型材料について調査した結果、金
属組織が均等で、しかもカタサのバラツキが少ない場合
らフオートエッチング性が優れていることがわかった。
従来、マルテンサイト組織鋼の溶接後の金属組織は、溶
着鋼部、熱影響部、母材部にわたりマルテンサイト→ベ
ーナイト→トルースタイト→ソルバイト→母材組織で構
成されている。
、その后のフオートエッチング面の均一性確保が至難と
なる。このため各種金型材料について調査した結果、金
属組織が均等で、しかもカタサのバラツキが少ない場合
らフオートエッチング性が優れていることがわかった。
従来、マルテンサイト組織鋼の溶接後の金属組織は、溶
着鋼部、熱影響部、母材部にわたりマルテンサイト→ベ
ーナイト→トルースタイト→ソルバイト→母材組織で構
成されている。
この金属組織およびカタサをともに均等化するには再焼
入れ、再焼戻しを行なう以外に方法がない。しかし、肉
盛溶接を行なう時点ではキャビテイかほゾ完成している
ので、キャビテイの酸化、変形を生じ再焼入れしても効
果的ではない。本発明鋼はHRC約40以上に時効硬化
した状態で金型加工し、または肉盛溶接後でも容易に金
型加工を行なうことができるうえに約500℃附近の温
度で再時効硬化処理を行なうことによって、酸化および
変形なしに均一なフオートエッチング加工を行なうこと
ができる。
入れ、再焼戻しを行なう以外に方法がない。しかし、肉
盛溶接を行なう時点ではキャビテイかほゾ完成している
ので、キャビテイの酸化、変形を生じ再焼入れしても効
果的ではない。本発明鋼はHRC約40以上に時効硬化
した状態で金型加工し、または肉盛溶接後でも容易に金
型加工を行なうことができるうえに約500℃附近の温
度で再時効硬化処理を行なうことによって、酸化および
変形なしに均一なフオートエッチング加工を行なうこと
ができる。
本発明鋼の構成成分およびその組成範囲はC:0.05
〜0.18%, Si: 0.15〜1.0%,Mn:
1.0〜2.0%,Ni:2.5〜3.5%,Al :
0.5〜1.5%, Cu: 0.7〜1.7%,MO
:0.1〜0.4%、残余Feおよび不純物よりなる基
本成分組成の鋼に、(1) Cr: 0.21〜2.
50%,W:0.5%以下、CO:0.5%以下、Be
:0.5%以下、B:0.01%以下、のうちから選ば
れた少なくとも1種または2種以上の強靭性焼入性改善
合金成分。
〜0.18%, Si: 0.15〜1.0%,Mn:
1.0〜2.0%,Ni:2.5〜3.5%,Al :
0.5〜1.5%, Cu: 0.7〜1.7%,MO
:0.1〜0.4%、残余Feおよび不純物よりなる基
本成分組成の鋼に、(1) Cr: 0.21〜2.
50%,W:0.5%以下、CO:0.5%以下、Be
:0.5%以下、B:0.01%以下、のうちから選ば
れた少なくとも1種または2種以上の強靭性焼入性改善
合金成分。
(2) Cr: 0.21〜2.50%,W:0.5
%以下、CO:0.5%以下、Be:0.5%以下、B
:0.01%以下のうちから選ばれた少くとも1種また
は2種以上と、Ti:0.5%以下、V二0.5%以下
、Nb+Ta: 0.3%以下、Zr:0.5%以下の
うちから選ばれた少くとも1種または2種以上。
%以下、CO:0.5%以下、Be:0.5%以下、B
:0.01%以下のうちから選ばれた少くとも1種また
は2種以上と、Ti:0.5%以下、V二0.5%以下
、Nb+Ta: 0.3%以下、Zr:0.5%以下の
うちから選ばれた少くとも1種または2種以上。
を添加含有せしめた鋼である。即ち本発明鋼は溶接後再
時効を行なうことにより溶着鋼および溶接熱影響部が母
材部と同様に均一なフオートエッチング加工が可能であ
る特徴を有するMn−Ni−AI−Cu−MO系時効硬
化性プラスチック金型用鋼に、(1)前記の基地鉄の強
靭性、焼入性改善合金成分(2)前記の基地鉄の強靭性
、焼入性改善合金成分および細粒化促進合金成分の両者
を添加含有せしめ一層その性能を改善せるMn−Ni−
A11−Cu−MO系時効硬化性プラスチック金型用鋼
である。
時効を行なうことにより溶着鋼および溶接熱影響部が母
材部と同様に均一なフオートエッチング加工が可能であ
る特徴を有するMn−Ni−AI−Cu−MO系時効硬
化性プラスチック金型用鋼に、(1)前記の基地鉄の強
靭性、焼入性改善合金成分(2)前記の基地鉄の強靭性
、焼入性改善合金成分および細粒化促進合金成分の両者
を添加含有せしめ一層その性能を改善せるMn−Ni−
A11−Cu−MO系時効硬化性プラスチック金型用鋼
である。
次に本発明鋼の構成成分およびその組成範囲の限定理由
に関し逐次説明する。
に関し逐次説明する。
(1)炭素
Cは本発明鋼を溶体化温度から比較的速かに冷却した場
合、マルテンサイトないしベーナイト組織の生成を容易
ならしめる効果がある。
合、マルテンサイトないしベーナイト組織の生成を容易
ならしめる効果がある。
一方過度添加は溶体化処理状態の熱間加工性、被削性を
害し、時効後の靭性を低下させる。このためCは0.0
5〜0.18%に限定することが必要である。(2)シ
リコン Siは本発明鋼の溶体化カタサ調整元素として添加する
が鋼材の質量が大きい場合、マンガンのみでは溶体化カ
タサを調整できないため、時効処理後の延靭性を害さな
い範囲で0.15〜1.0%含有せしめる。
害し、時効後の靭性を低下させる。このためCは0.0
5〜0.18%に限定することが必要である。(2)シ
リコン Siは本発明鋼の溶体化カタサ調整元素として添加する
が鋼材の質量が大きい場合、マンガンのみでは溶体化カ
タサを調整できないため、時効処理後の延靭性を害さな
い範囲で0.15〜1.0%含有せしめる。
(3)マンガン
本発明鋼にMnを含有させることにより溶体化、時効の
両状態のカタサに影響をおよぼす。
両状態のカタサに影響をおよぼす。
MnはCとともに溶体化温度から冷却の際に焼入性を増
大し、時効カタサを高められる。時効カタサを少なくと
もH?C約40またはそれ以上に調整するためにはMn
:1.0〜2.0%の範囲で含有せしめる必要がある。
なおMnは10%以下ではその効果が少なく、また2.
0%以上添加含有させると靭性を害するので好ましくな
い。(4)ニッケル 本発明鋼に於てNiはその一部がCuと全率固溶して熱
間加工における赤熱脆性を防ぎ、溶体化状態ではその後
の時効処理でNiAl相析出の核となるε相をCuと共
に構成する。
大し、時効カタサを高められる。時効カタサを少なくと
もH?C約40またはそれ以上に調整するためにはMn
:1.0〜2.0%の範囲で含有せしめる必要がある。
なおMnは10%以下ではその効果が少なく、また2.
0%以上添加含有させると靭性を害するので好ましくな
い。(4)ニッケル 本発明鋼に於てNiはその一部がCuと全率固溶して熱
間加工における赤熱脆性を防ぎ、溶体化状態ではその後
の時効処理でNiAl相析出の核となるε相をCuと共
に構成する。
また時効状態ではAIとともにα相を形成する必須成分
である。また後述する如く、フオートエッチング性を確
保するためにも必要なため2.5〜3,5%の範囲に限
定する必要があり、この範囲外では効果が少ない。
である。また後述する如く、フオートエッチング性を確
保するためにも必要なため2.5〜3,5%の範囲に限
定する必要があり、この範囲外では効果が少ない。
(5)アルミニウム
A1はNiとともに時効状態でNiAl相を析出させる
ための必須成分であり、後述するごとくフオートエッチ
ング性を確保する必要があるため少なくとも0.5%以
上添加含有せしめる必要がある。
ための必須成分であり、後述するごとくフオートエッチ
ング性を確保する必要があるため少なくとも0.5%以
上添加含有せしめる必要がある。
また多量の添加は製造性、鏡面仕上げ性および延靭性を
害するため、上限を1.5%に限定する。(6)銅 Cuは本発明鋼の時効状態においてα相を析出させるた
めの核として重要な役割をもち、とくにNi,AI含有
量の低い場合に効果的である。
害するため、上限を1.5%に限定する。(6)銅 Cuは本発明鋼の時効状態においてα相を析出させるた
めの核として重要な役割をもち、とくにNi,AI含有
量の低い場合に効果的である。
また本発明鋼の熱間加工によって切欠靭性を改善するに
あたりCuは不可欠の合金成分である。またCuは溶体
化状態の被削性改善に有効であるから少なくとも0.7
%以上含有させる必要があるが、17%以上の過剰添加
は熱間脆性および経済性の点で不利となる。
あたりCuは不可欠の合金成分である。またCuは溶体
化状態の被削性改善に有効であるから少なくとも0.7
%以上含有させる必要があるが、17%以上の過剰添加
は熱間脆性および経済性の点で不利となる。
従ってCu量は0.7〜1.7%の範囲に限定する必要
がある。(7)モリブデン本発明鋼に於でMOは強靭性
の改善および優れたフオートエッチング性を確保するた
めの必須合金成分である。
がある。(7)モリブデン本発明鋼に於でMOは強靭性
の改善および優れたフオートエッチング性を確保するた
めの必須合金成分である。
特に適当の少量のMOは均一なミクロ組織を呈せしめ優
れたフオートエッチング性を確保する特性を有する。そ
のためには少くとも0,1%以上を必要とし、また最高
は0.4%以下であることが不可欠の条件である。而し
て若しMOを0.4%以上例えば0.5%以上のように
多くすると、カタサが上昇し、プラスチック金型用鋼と
しては好ましくない。またフオートエッチング性の効果
も減少し且つ高価になる等の欠点を生ずる。それ故MO
は0.1〜0,4%を限定範囲とする。(8) クロ
ム、タングステン、コバルト、ベリリウム ボロン大型
の金型に本発明鋼を使用する場合、その強靭性、焼入性
の改善にCr: 0.21〜2.50%,W:0.5%
以下、CO;0.5%以下、Be:0.5%以下、B
: 0.0i%以下の適量を少なくとも1種または2種
以上選択して積極的に添加含有させることが効果的であ
る。
れたフオートエッチング性を確保する特性を有する。そ
のためには少くとも0,1%以上を必要とし、また最高
は0.4%以下であることが不可欠の条件である。而し
て若しMOを0.4%以上例えば0.5%以上のように
多くすると、カタサが上昇し、プラスチック金型用鋼と
しては好ましくない。またフオートエッチング性の効果
も減少し且つ高価になる等の欠点を生ずる。それ故MO
は0.1〜0,4%を限定範囲とする。(8) クロ
ム、タングステン、コバルト、ベリリウム ボロン大型
の金型に本発明鋼を使用する場合、その強靭性、焼入性
の改善にCr: 0.21〜2.50%,W:0.5%
以下、CO;0.5%以下、Be:0.5%以下、B
: 0.0i%以下の適量を少なくとも1種または2種
以上選択して積極的に添加含有させることが効果的であ
る。
Crの場合は、0.21%以上、2.50%以下の範囲
に限定することが必要である。これらの成分の添加によ
り溶体化カタサ、時効カタサの調整にも役立つが、上記
限定量以上の多量添加は材料価格を高め効果が少ないの
で限定量以下となすことが必要である。
に限定することが必要である。これらの成分の添加によ
り溶体化カタサ、時効カタサの調整にも役立つが、上記
限定量以上の多量添加は材料価格を高め効果が少ないの
で限定量以下となすことが必要である。
(9)チタン、バナジウム、ニオブ+タンタル、ジルコ
ニウムこれらの合金成分を本発明鋼に添加含有せしめる
と結晶粒度を微細化して強靭化できるほか、切欠靭性の
改善に有効であるが、多量添加は時効力タサ、溶体化カ
タサを必要以上に高めるためTi二0.5%以下、V:
0.5%以下、Nb+Ta:0.3%以下、Zr:0.
5%以下、の範囲で少なくとも1種または2種以上を選
択して積極的に添加含有せしめる。
ニウムこれらの合金成分を本発明鋼に添加含有せしめる
と結晶粒度を微細化して強靭化できるほか、切欠靭性の
改善に有効であるが、多量添加は時効力タサ、溶体化カ
タサを必要以上に高めるためTi二0.5%以下、V:
0.5%以下、Nb+Ta:0.3%以下、Zr:0.
5%以下、の範囲で少なくとも1種または2種以上を選
択して積極的に添加含有せしめる。
本発明鋼は通常製造される鋼と全く同様に製造すればよ
く、たとえばアーク炉で溶解した鋼塊を圧延又は鍛造に
より所望の形状に仕上げて製品とし時効硬化処理を施し
て使用する。
く、たとえばアーク炉で溶解した鋼塊を圧延又は鍛造に
より所望の形状に仕上げて製品とし時効硬化処理を施し
て使用する。
時効処理状態において金型削成加工またはその場合必要
に応じて肉盛溶接しとくに肉盛溶接後には再時効処理し
ても、寸法変化(熱処理歪)が小さく、且つHRC約4
0以上のカタサが得られるうえに優れたフオートエッチ
ング性確保のために溶着鋼部、溶接熱影響部と母材間の
硬度差をHRC約2以下となるように上記各合金成分を
調整したもので、・下記の如< Mn−Ni−AI−C
u−MO系時効硬化性基本合金成分鋼に強靭性焼入性改
善合金成分群、細粒化促進合金成分群のうち、いずれか
の合金成分群を単独または複合添加含有せしめた時効硬
化性プラスチック金型用鋼である。而して強靭性焼入性
改善合金成分群、細粒化促進合金成分群の各群に属する
種々の成分は各々の限定範囲内に於ては殆んど類似効果
を有する均等物と見做し得るものである。
に応じて肉盛溶接しとくに肉盛溶接後には再時効処理し
ても、寸法変化(熱処理歪)が小さく、且つHRC約4
0以上のカタサが得られるうえに優れたフオートエッチ
ング性確保のために溶着鋼部、溶接熱影響部と母材間の
硬度差をHRC約2以下となるように上記各合金成分を
調整したもので、・下記の如< Mn−Ni−AI−C
u−MO系時効硬化性基本合金成分鋼に強靭性焼入性改
善合金成分群、細粒化促進合金成分群のうち、いずれか
の合金成分群を単独または複合添加含有せしめた時効硬
化性プラスチック金型用鋼である。而して強靭性焼入性
改善合金成分群、細粒化促進合金成分群の各群に属する
種々の成分は各々の限定範囲内に於ては殆んど類似効果
を有する均等物と見做し得るものである。
第1表は本発明鋼の一例および比較材の化学成分を示す
ものである。
ものである。
つぎに現用プラスチック金型鋼(第1表鋼Y)を肉盛溶
接後、650℃×3hr焼戻しを施し、さらに第5図に
示す工程によってフオートエッチング加工を行なったも
のの表面肌を図6に示す。
接後、650℃×3hr焼戻しを施し、さらに第5図に
示す工程によってフオートエッチング加工を行なったも
のの表面肌を図6に示す。
この写真に明らかな通り、フオートエッチング表面の1
1むら11は溶着鋼部を中心に母材の熱影響部にまでお
よんでいる。1′エツチングむら11があらわれている
部分と母材とはエツチング面の腐食度(粗度)が異なっ
ており、プラスチック製品成形時に、これが表面肌に転
写される結果、肌不良を生ずる。
1むら11は溶着鋼部を中心に母材の熱影響部にまでお
よんでいる。1′エツチングむら11があらわれている
部分と母材とはエツチング面の腐食度(粗度)が異なっ
ており、プラスチック製品成形時に、これが表面肌に転
写される結果、肌不良を生ずる。
つぎに従来の時効硬化性金型鋼(第1表鋼A)を肉盛溶
接後、500℃X5hr時効処理を施し、さらにフオー
トエッチング加工を行ったものの表面肌を図7に示す。
接後、500℃X5hr時効処理を施し、さらにフオー
トエッチング加工を行ったものの表面肌を図7に示す。
この写真に示すごとく、やはり11エツチングむらI′
が熱影響部に残存することが認められた。比較材のその
他の鋼NOについてもエツチングむらがあらわれた。
が熱影響部に残存することが認められた。比較材のその
他の鋼NOについてもエツチングむらがあらわれた。
一方、本発明の時効硬化性金型鋼(第1表鋼12)を前
記鋼Aと同様に処理した場合は図8に示すように、11
エツチングむら11はほぼ完全に解消できることを確認
できた。
記鋼Aと同様に処理した場合は図8に示すように、11
エツチングむら11はほぼ完全に解消できることを確認
できた。
この1+エツチングむら11の発生原因を冶金学的に解
明するために母材部と溶接熱影響部の硬度を測定した結
果は第1図に示すごとくである。本発明材のその他の鋼
NOについてもエツチングむらは認められなかった。
明するために母材部と溶接熱影響部の硬度を測定した結
果は第1図に示すごとくである。本発明材のその他の鋼
NOについてもエツチングむらは認められなかった。
肉盛溶接→時効処理によって均一なフオートエッチング
性を得るために熱影響部のカタサ低下域の巾dを1.0
mrn以下とし、前記両部のカタサの差(△H)をHR
C2以下にすれば充分であることがわかる。
性を得るために熱影響部のカタサ低下域の巾dを1.0
mrn以下とし、前記両部のカタサの差(△H)をHR
C2以下にすれば充分であることがわかる。
本発明鋼の場合溶着鋼部、熱影響部と母材部とのカタサ
の差がフオートエッチング性に影響があることが確認で
きた。
の差がフオートエッチング性に影響があることが確認で
きた。
また、従来の時効硬化性金型用鋼(第1表鋼A)では1
1エツチングむら11が生じているが、本発明鋼(第1
表鋼12)では殆んど解消できたこと、つまりフオート
エッチング性が優れていることを第1表の化学成分で対
比するに、MOの有無が影響しているものと認められる
。
1エツチングむら11が生じているが、本発明鋼(第1
表鋼12)では殆んど解消できたこと、つまりフオート
エッチング性が優れていることを第1表の化学成分で対
比するに、MOの有無が影響しているものと認められる
。
本発明鋼においてMOはベーナイ斗変態開始温度を低く
シ、時効硬化性を助長し、過時効温度を高温側へ移動さ
せる効果があり、第2図に示すように、均一なフオート
エッチング性確保の指標となる前記溶着鋼部、溶接熱影
響部と母材部とのカタサの差をHRC2以下になし、か
つ該影響部のカタサ低下域の巾を約1mm以下にするた
めにはMOは少なくとも0.1%またはそれ以上添加す
ればよいことも確認できた。
シ、時効硬化性を助長し、過時効温度を高温側へ移動さ
せる効果があり、第2図に示すように、均一なフオート
エッチング性確保の指標となる前記溶着鋼部、溶接熱影
響部と母材部とのカタサの差をHRC2以下になし、か
つ該影響部のカタサ低下域の巾を約1mm以下にするた
めにはMOは少なくとも0.1%またはそれ以上添加す
ればよいことも確認できた。
つぎに、同様な観点からCの影響を第3図に示す。
時効処理状態(フオートエッチング加工前)における溶
着鋼部と母材部とのカタサの差が最も少ない範囲はC:
0.05〜0.15%であることが認められた。さらに
本発明鋼において優れたフオートエッチング性を確保す
るために、溶接熱影響部と母材部間の硬度差に注目して
MOを添加含有せしめたが、その効果は特定範囲のMn
,Ni,AI,Cuを含有していることによるものであ
ることも確認できた。
着鋼部と母材部とのカタサの差が最も少ない範囲はC:
0.05〜0.15%であることが認められた。さらに
本発明鋼において優れたフオートエッチング性を確保す
るために、溶接熱影響部と母材部間の硬度差に注目して
MOを添加含有せしめたが、その効果は特定範囲のMn
,Ni,AI,Cuを含有していることによるものであ
ることも確認できた。
第4図はMO:0.2%含有する本発明鋼において、再
時効後の前記硬度差がHRC2以下となる限界をCu量
をパラメーターとして示した図である。
時効後の前記硬度差がHRC2以下となる限界をCu量
をパラメーターとして示した図である。
すなわち、フオートエッチング性の点で最適量のMO(
約0.2%)を含有する場合、前記硬度差HlC2以下
とするには第4図に示すように、Ni,AIおよびCu
の下限はそれぞれ2.5%,0.5%,0.7%が好適
である。また第5図はフオートエッチング加工処理条件
においてフオートエッチング図案の作成工程、製版工程
、エツチング工程を図示したものである。さらに本発明
の基本成分鋼に前記せる限定範囲内において、強靭性焼
入性改善合金成分群あるいは細粒化促進合金成分群に属
する種々の合金成分の添加は基地鉄の強靭化、細粒化等
本発明基本成分鋼の諸性能を一層改善するものであるこ
とは確かである。
約0.2%)を含有する場合、前記硬度差HlC2以下
とするには第4図に示すように、Ni,AIおよびCu
の下限はそれぞれ2.5%,0.5%,0.7%が好適
である。また第5図はフオートエッチング加工処理条件
においてフオートエッチング図案の作成工程、製版工程
、エツチング工程を図示したものである。さらに本発明
の基本成分鋼に前記せる限定範囲内において、強靭性焼
入性改善合金成分群あるいは細粒化促進合金成分群に属
する種々の合金成分の添加は基地鉄の強靭化、細粒化等
本発明基本成分鋼の諸性能を一層改善するものであるこ
とは確かである。
而してこれら基地鉄の強靭性焼入性改善合金成分群、細
粒化促進合金成分群は各々その限定範囲内に於で、各群
内に於て1種または2種以上を選択使用するほか、更に
各群各々単独にあるいは組合せ複合添加し一層その性能
を向上せしめ得るものである。
粒化促進合金成分群は各々その限定範囲内に於で、各群
内に於て1種または2種以上を選択使用するほか、更に
各群各々単独にあるいは組合せ複合添加し一層その性能
を向上せしめ得るものである。
尚、本発明鋼はプラスチック金型に使用する外、これに
類似の用途に広く活用し得るは勿論である。
類似の用途に広く活用し得るは勿論である。
本発明は以上のごとく従来のものに比し極めて高性能を
有し新規にして工業的価値大なるものである。
有し新規にして工業的価値大なるものである。
第1図は焼戻しまたは時効処理後の肉盛溶接の熱影響部
と母材部との硬度差と、該熱影響部の硬度低下域の巾と
の関係曲線図、第2図は前記硬度低下域の巾とMO量と
の関係曲線図、第3図は前記硬度差とC量との関係曲線
図、第4図は前記硬度差をHRC2以下にするためのN
i,AI,Cu含有量のバランスを示す曲線図である。
と母材部との硬度差と、該熱影響部の硬度低下域の巾と
の関係曲線図、第2図は前記硬度低下域の巾とMO量と
の関係曲線図、第3図は前記硬度差とC量との関係曲線
図、第4図は前記硬度差をHRC2以下にするためのN
i,AI,Cu含有量のバランスを示す曲線図である。
Claims (1)
- 【特許請求の範囲】 1 C:0.05〜0.18%、Si:0.15〜1.
0%、Mn:1.0〜2.0%、Ni2.5〜3.5%
、Al:0.5〜1.5%、Cu:0.7〜1.7%、
Mo:0.1〜0.4%よりなる基本合金成分に対し、
さらにCr:0.21〜2.50%、W:0.5%以下
、Co:0.5%以下、Be:0.5%以下、B:0.
01%以下のうちから選ばれた少なくとも1種または2
種以上の強靭性、焼入性改善合金成分を含有させ、残余
Feおよび不純物からなり、溶接後時効を行った場合も
、溶着鋼および溶接熱影響部が母材部と同様に、均一な
フォートエッチング加工が可能であるという特徴をもつ
Mn−Ni−Al−Cu−Mo系時効硬化性プラスチッ
ク金型用鋼。 2 C:0.05〜0.18%、Si:0.15〜1.
0%、Mn:1.0〜2.0%、Ni:2.5〜3.5
%、Al:0.5〜1.5%、Cu:0.7〜1.7%
、Mo:0.1〜0.4%よりなる基本合金成分に対し
、さらにCr:0.21〜2.50%、W:0.5%以
下、Co:0.5%以下、Be:0.5%以下、B:0
.01%以下のうちから選ばれた少なくとも1種または
2種以上の強靭性、焼入性改善合金成分と、Ti:0.
5%以下、V:0.5%以下、Nb+Ta:0.3%以
下、Zr:0.5%以下のうちから選ばれた少なくとも
1種または2種以上の細粒化促進合金成分とを含有させ
、残余Feおよび不純物からなり、溶接後時効も行った
場合も、溶着鋼および溶接熱影響部が母材部と同様に、
均一なフォートエッチング加工が可能であるという特徴
をもつMn−Ni−Al−Cu−Mo系時効硬化性プラ
スチック金型用鋼。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP4545079A JPS5937744B2 (ja) | 1979-04-16 | 1979-04-16 | 時効硬化性プラスチツク金型用鋼 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP4545079A JPS5937744B2 (ja) | 1979-04-16 | 1979-04-16 | 時効硬化性プラスチツク金型用鋼 |
Related Parent Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP4493371A Division JPS5323764B1 (ja) | 1971-06-21 | 1971-06-21 |
Related Child Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP19205382A Division JPS58221262A (ja) | 1982-11-01 | 1982-11-01 | 時効硬化性プラスチツク金型用鋼 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPS5528385A JPS5528385A (en) | 1980-02-28 |
JPS5937744B2 true JPS5937744B2 (ja) | 1984-09-11 |
Family
ID=12719670
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP4545079A Expired JPS5937744B2 (ja) | 1979-04-16 | 1979-04-16 | 時効硬化性プラスチツク金型用鋼 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPS5937744B2 (ja) |
Families Citing this family (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP5713195B2 (ja) * | 2011-07-19 | 2015-05-07 | 大同特殊鋼株式会社 | プラスチック成形金型用プリハードン鋼 |
US11091825B2 (en) | 2017-04-19 | 2021-08-17 | Daido Steel Co., Ltd. | Prehardened steel material, mold, and mold component |
-
1979
- 1979-04-16 JP JP4545079A patent/JPS5937744B2/ja not_active Expired
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPS5528385A (en) | 1980-02-28 |
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