JPS5931483B2 - 防腐防カビ剤 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明はニカワ、カゼイン糊料その他一般の有機質接着
剤、エマルジョン塗料、切削油、研削油、プラスチック
、塩化ビニールシート、界面活性剤、油脂類、化粧品、
化粧品原料などの工業用原材料、製品に添加使用するこ
とによりあるいは農園芸用分野において、細菌、酵母、
カビなどの各種微生物による劣化を防止しうる新規な防
腐・防カビ剤を提供することに関する。

更に詳しくは２−（４−チアゾリル）ベンズイミダゾー
ル（以下「化合物Ａ」という）と一般式ＨＯ０ＣＯＯＲ （Ｒは低級アルキル基を示す）で表わされるバラヒドロ
キシ安息香酸アルキルエステル類の中から選ばれた化合
物の１種または２種以上との混合物を有効成分として含
有することを特徴とする防腐防カビ剤に関するものであ
る。

前記した各種の工業用原材料、製品等は実際多種類の微
生物によって劣化を受けるから使用される劣化防止剤は
殺菌作用が選択的であったり温和であってはならず撲滅
的でなくてはならない。

また強力な殺菌作用を有することが要求される反面、人
畜に対しては低毒性でなくてはならない。

本発明者等はこのような条件を満足しうる新規な薬剤を
開発するべく、多数の薬剤を供試し検討した。

その結果、化合物Ａと前記一般式で表わされるバラヒド
ロキシ安息香酸アルキルエステル類の中から選ばれた化
合物の１種または２種以上の混合物が優れた防腐・防カ
ビカを有し、その作用は撲滅的で選択性がな（、甘し各
薬剤を単独使用した場合の効果からは予測することがで
きない程相乗的である事実を見い出した。

更に研究を重ねたところ、農園芸用分野において使用す
ることにより稲のいもち病などにも有効であることを見
い出し本発明を完成した。

このような知見は文献未記載であり本発明はかかる新知
見によりなされたものである。

本発明において使用される化合物Ａはサイアベンダゾー
ルとして公知化合物であり、安全性が極めて高（優れた
作用効果を有する防カビ剤である。

しかし化合物Ａは細菌、酵母およびカビの一種である藻
菌類のケカビやクモノスカビなどに対して効果が弱いな
ど選択性を持っているので単独で使用する場合はこれら
を完全に防除しえない欠点を有している。

また一般式で表わされるバラヒドロキシ安息香酸アルキ
ルエステル類は食品の腐敗防止に有効であり且つ安全性
が極めて高いため食品保存料として使用されている。

しかしながらこれらの殺菌作用は温和であって前記原材
料および製品に使用される場合は多重に使用しなげれば
実効を挙げることができない欠点を有している。

本発明の防腐防カビ剤はかかる２種類の有効成分を含有
してなるが、その作用効果は各成分の有する作用性の欠
点を補充しあうとともに、各成分が有する作用効果を相
互に強め合って全体として相乗的に防腐防カビ効果が発
揮される。

本発明はこのような作用効果を発揮する新規な防腐防カ
ビ剤に関し実用性が期待される。

本発明において一般式で表わされるバラヒドロキシ安息
香酸アルキルエステルとしては次のものが代表例として
挙げられるがこれらに限定されるものではない。

化合物Ｂ−１バラヒドロキシ安息香酸メチルエステル 化合物Ｂ−２バラヒドロキシ安息香酸エチルエステル 化合物Ｂ−３バラヒドロキシ安息香酸プロピルエステル 化合物Ｂ−４バラヒドロキシ安息香酸ブチルエステル これらのエステル類は１種ではなく２種以上混合して化
合物Ａとともに使用することができ、多くの場合２種以
上のエステル混合物と化合物Ａとを併用することが望ま
しい。

また化合物Ａとバラヒドロキシ安息香酸エステル類との
混合比率は３：１乃至１：３種度が好ましいが１：１乃
至１：３の間の比率で実施されるのがより好ましく、こ
の混合比率で最も殺菌力が強くなる。

なお実情に応じ適宜混合比率を変えて使用することは何
らさしつかえない。

次に本発明を実施例により詳細に説明するが本発明はこ
れら実施例のみに限定されるものではない。

実施例 １ 化合物Ａ３部、化合物Ｂ−３（前記化合物を表わす。

以下同じ）９部、ツルポール２９３９（東≧〈邦化学工
業■製造の乳化剤）１０部、ジメチルスルホオキシド７
８部を混合かきまぜて均一に溶解すると乳剤が得られる
。

実施例 ２ 化合物Ａ２０部、化合物Ｂ−４２０部、ケイソウ士２４
部、白土１２部、リグニンスルホン酸カルシウム２．５
部、アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム１．５部、
ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル２０部を混
合粉砕すれば水利剤が得られる。

実施例 ３ 粒子の直径が０．０〜２０μの化合物Ａ０６部部、同粒
径の化合物Ｂ−２１，５部、でんぷん５．０部、メトセ
ルＡ（ザ・ダウケミカル日本株、商品名、合成高分子メ
チルセルロース）１．０部、水９２部を混合した後７０
〜８０℃に１５分間加熱して冷却すればフロアブルが得
られる。

実施例 ４ 化合物Ａ１０部、化合物Ｂ−１１０部、化合物Ｂ−４１
０部、ケイソウ土３０部、タルク４０部を粉砕混合すれ
ば粉剤が得られる。

次に試験例により本発明の有用性を具体的に説明する。

試験例 １ （微生物劣化菌に対する発育阻止濃度試験）試験方法と
しては薬剤混和寒天培地試験法（画線法）によって菌の
発育を完全に阻止するに要する培地中の薬剤の最低阻止
濃度（ＭＩＣ： ｐｐｍ ）を求める方法によった。

その結果は第１表のとおりである。

また、本発明の防腐防カビ剤が相乗的に作用効果を発揮
しうるかどうかについて、第１表に示した供試薬剤のＭ
ＩＣを基にＣａｒｐｅｎｔｅｒ （カーペンタ−）の式
により化合物Ａと化合物Ｂ−４との協力度を求め第２表
に示した。

カーペンタ−の式によれば、混合剤使用による期待ＭＩ
Ｃは次式により表わされる。

ＰＡ：混合剤における化合物Ａの割合 μＢ＝混合剤における化合物Ｂの割合 混合剤の期待ＭＩＣ値 協力度−□ 混合剤の実験ＭＩＣ値 この場合協力度が１以上の場合相乗性があり、数字が太
き（なる程相乗性が高いと判断される。

なお第１表、第２表には化合物Ａと化合物Ｂ−４との混
合効果を例示したが、化合物Ｂ−４以外＊のパラヒドロ
キシ安息香酸エステル類（化合物Ｂ−１〜３）と化合物
Ａとの混合剤についても第１表とほぼ同様な結果が得ら
れた。

試験例 ２ （カゼイン溶液の防腐効果試験） 試験方法は実施例２の水利剤を所定濃度添加した水９ｏ
ｒｔｔｌ中に牛乳カゼイン１０１を入れて７０℃に加温
し、アンモニア水の少量を加えて溶解してカゼイン溶液
とした。

これに劣化カゼイン溶液（細菌数１０６個以上／ｒｒＬ
ｌ）を１滴液種し、２８℃で７日間保存し細菌数を寒天
希釈平板法により測定した。

供試培養基はブイヨン寒天を用いた。その結果は第３表
のとおりである。

試験例 ３ （夏枯防腐効果試験） 試験方法は１２年生夏夏材樹当り実施例２の水利剤の希
釈薬液を１Ｏ１宛散布（５月２日）し、散布３時間後に
夏材を収穫し、この変相サンプルに緑カビ病菌（ペニシ
リウムジギダトウム）を有償接種し、温度２８℃、湿度
９５％以上の場所に１ケ月保存し、発病果を調査した。

その結果は第４表のとおりである。

試験例 ４ （イネいもち病畑苗代防除効果試験） イネ（品種：ササニシキ）の乾燥籾をベンレートＴ水和
剤２０（市販種子消毒剤の商品名）の２０倍液で１０分
間浸漬消毒したのち、常法により浸漬催芽した種籾を防
除試験法（植物病理実験法３０１〜３０７頁、日本植物
防疫協会、１９６２）に準じて畑苗代に条播した。

各試験区は１区１ｍの２連制として行った。

薬剤散布は実施例２の水利剤を水で所定濃度に希釈した
ものを各区１００ｒｎｌ宛小型自動噴霧器で２回散布し
た（第１回目敏）く布は初発病斑が下葉にみえはじめた
７月４日、第２回目は７月１２日）。

発病調査は、第２回目の薬剤散布１６日後にイネいもち
病病斑枯死面積歩合（％）を調査し、次式により各供試
薬剤の防除価（％）を算出した。

その結果は、第５表のとおりである。

次に本発明防腐防カビ剤の急性経口毒性値（ＬＤ５０
・マウス）を従来化合物と比較して示すと第６表のとお
りである。

この表より本発明の防腐防カビ剤が低毒性で安全に使用
しうろことを示している。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １２−（４−チアゾリル）ベンズイミダゾールと一般式
   ＨＯ→＜〈〉）巳Ｃ００Ｒ（Ｒは低級アルキル基を示す
   ）で表わされる化合物の１種または２種以上との混合物
   を有効成分として含有することを特徴とする防腐防カビ
   剤。