JPS5929704Y2 - 使い捨てカイロ用袋体 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は使い捨てカイロ用袋体に関する。

さらに詳しくは、静置使用時にとくに有効な使い捨てカ
イロ用の袋体に関する。

使い捨てカイロは、通常金属、とくに鉄が空気酸化する
ときに発生する熱を利用するものである。

したがって、有効な熱利用をするためには内容物である
鉄粉などの組成や粒径なとも重要であるが、供給する空
気の量もきわめて重要な要件である。

すなわち、金属と接触する空気の量は発熱の態様と密接
に関係にあり、空気量を増やせば到達温度は高くなるが
、発熱時間（持続時間）が短かくなってしまう。

一方空気量を減らせば持続時間は長くなるが、到達温度
が低くなってしまう。

しかるに使い捨てカイロに求められているのは適当な到
達温度が長時間持続しうる発熱態様であり、そうした要
請に対し、多くのばあい酸素不透過性の袋体に孔を多数
散在した状態で設け、発熱温度が下がるとカイロを振る
なり揉むなりして発熱を促進せしめ、持続時間を延長せ
しめている。

しかしながら、通常使い捨てカイロは低温ヤケドなどの
事故を防ぐため、布などに包んで使用しれており、温度
が下がる度に包みを解いて振ったり揉んだりする手間は
案外わずられしいものである。

本考案者は、そうしたわずられしさを解消するべく静置
状態でも適当な温度を長時間持続しうる使い捨てカイロ
の開発を進めてきたが、通気孔の集散状態とそれらの開
口率を特定の範囲にすることにより斜上の目的を遠戚す
ることができることを見出し、さらに袋体の製袋作業の
作業性も考慮して本考案を完成した。

すなわち本考案の使い捨てカイロ用袋体は、集中孔部分
と散孔部分とを集中孔部分の面積比率が５０％以下とな
るように設け、かつ集中孔部分の開口率が０．３％以上
で散孔部分の開口率が１％以下（ただし、必らず集中孔
部分の方が散孔部分よりも大きな開口率を有している）
であり、しかも集中孔部分が袋体の製袋工程における移
動方向に平行に設けられてなる袋体を要旨とするもので
ある。

なお、集中孔部分の面積比率は集中孔部分と散孔部分の
合計面積に対する集中部分の面積の割合であり、集中孔
部分および散孔部分の開口率はそれぞれ集中孔部分およ
び散孔部分の面積に対する開口部の面積の割合である。

本考案の袋体は、袋体の全開口面積、すなわち通気量が
同一であるばあい、従来の袋体に比して散孔部分の開口
率を下げ、その分集中孔部分の開口率を大きくしたもの
である。

本考案における集中孔部分は到達温度を高めるように働
き、散孔部分は持続時間の延長を企るものであり、それ
らを特定の範囲で設けることにより所望の静置使用時の
効果かえられるのである。

本考案において集中孔部分の面積比率は５０％以下、好
ましくは２〜５％であり、しかも集中孔部分の開口率が
０．３％以上、好ましくは１〜１５％、とくに好ましく
は１０〜１５％、散孔部分の開口率が１％以下、好まし
くは０．２〜０．２５％である。

それらの範囲をはずれるときは、所望の到達温度かえら
れないかあるいは持続時間が短かくなり、いずれも好ま
しくない。

なお、本明細書において集中孔および散孔という概念は
、いわゆる丸孔のみならず後述するごとくスリット状あ
るいは線状の開口をも含むものである。

使い捨てカイロの袋体としては、実質的に酸素不透過性
の合成樹脂フィルム、たとえばポリオレフィンフィルム
、ナイロンフィルムなどやそれらを紙や不織布、織布に
ラミネートしたものが用いられうる。

それらのうちとくに不織布にポリエチレンまたはナイロ
ンフィルムをラミネートしたものが好ましい。

つぎに本考案の袋体の実施態様を第１〜５図に基づいて
説明する。

第１〜５図においてＡは集中孔部分、Ｂは散孔部分を示
す。

なお矢印は製袋工程における袋体の移動方向を示す。

第１図は多数の孔からなる集中孔部分Ａを製袋方向に平
行に複数本設けたものであり、第２図は集中孔部分を１
本にまとめたものである。

また第３図に示すように、集中孔部分Ａは必ずしも連続
して形成する必要はない。

第４図に示すごとく集中孔を孔ではなくスリットまたは
線状のものとしてもよい。

また第１〜４図に示す実施態様では製袋方向は袋体の縦
方向であるが、製袋方向が袋体の横方向であるばあいは
第５図に示すように集中孔部分Ａを設ければよい。

ついで、第２図に示す実施態様の本考案の袋体を用いて
東京都の使い捨てカイロの静置測定実施要項に基づき発
熱実験を行なったところ、到達温度は６８℃であり、平
衡温度は６４℃であった。

平衡温度以上の持続時間は１０時間、４０℃以上の持続
時間は２０時間であった。

この実験には、集中孔部分Ａの面積比率が２％であり、
集中孔部分Ａの開口率が１１，３％、散孔部分Ｂの開口
率が０．２％のものを用いた。

散孔のみが設けられた袋体（開口率０．２％）を用いた
ばあい、到達温度は５４℃であり、平衡温度は５２℃と
低くなった。

一方平衡温度以上の持続時間は１７時間、４０℃以上の
持続時間は３５時間と延長されたが温度の点で不充分な
ものであった。

集中孔のみが袋体の中心部に設けられた袋体（開口率１
１．３％）を用いたばあいの到達温度は８０℃と危険な
ほど高温になり、平衡状態は出現せず、４０℃以上の持
続時間は９時間ときわめて短時間であった。

このように集中孔あるいは散孔のみを設けたばあいは、
到達温度または持続時間のいずれか一方が短かくなり、
静置使用するばあいに充分とはいえない。

以上のごとく、本考案の袋体は静置使用においてとくに
効果を発揮するものであるが、従来のものと同様に振っ
たり揉んだりしても何ら問題はない。

さらに本考案の袋体では、集中孔部分が製袋工程におけ
る袋体の移動方向に平行に設けられるので、集中孔部分
の形成がきわめて容易に行なえるものである。

【図面の簡単な説明】

第１〜５図は本考案の袋体の実施態様である。 図面の符号 Ａ：集中孔部分、Ｂ：散孔部分。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 集中孔部分と散孔部分とを集中孔部分の面積が集中孔部
   分と散孔部分との合計面積の５０％以下となるように設
   け、かつ集中孔部分の開口率が０．３％以上で散孔部分
   の開口率が１％以下（ただし、必ず集中孔部分の方が散
   孔部分よりも大きな開口率を有している）であり、しか
   も集中孔部分が袋体の製袋工程における移動方向に平行
   に設けられてなる袋体である使い捨てカイロ用袋体。