JPS5927363B2 - 溶融金属精錬用羽口 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明は溶鋼等の溶融金属の精錬炉、例えばＡＯＤ炉、
Ｑ−ＢＯＰ炉、複合吹錬炉、取鍋精錬炉等の羽目に関す
るものである。

近年溶鋼等の溶融金属の精錬には炉体底部又は側壁下部
に設けた羽口から酸素、アルコン、炭化水素等の精錬用
流体を吹き込んで吹錬するＡＯＤ炉、Ｑ−ＢＯＰ炉。

複合吹錬炉等が多用されているが、このような精錬炉に
おいては羽口近傍、羽口上部、スラグライン部等の炉体
耐火物が溶損されるという問題があり、特に従来よシ羽
ロ近傍の耐火物の溶接は形態上すりばち形をなし、しか
も他の部分よりも溶損の程度が大きいため、溶損が進む
と攪拌作用の安定性を欠き精錬効果に与える影響も大き
いため羽口近傍の耐火物の早期取替を余儀なくされてい
た。

本発明者はこのような羽目近傍における耐火物の溶損発
生原因についての実験研究の結果、例えば円筒状羽目、
或いは円形断面の二重管構造となっている羽口から溶融
金属中に精錬用流体及び攪拌用流体を吹き込んだ場合、
溶融金属中に流体による空洞、即ちキャビティが形成さ
れ、このキャビティは所定体積に迄成長するとバランス
を失って一部は潰れて離散し、残りは羽目近傍の耐火壁
に逆流衝突する、所謂吹きもどし現象が繰り返し生ずる
が、これに伴って羽目近傍の耐火物に繰り返し加えられ
る衝撃力及び羽目近傍耐火物と吹き込まれた流体中の活
性ガスとの反応等が主要原因となっていること、また吹
きもどし現象自体の発生防止にはスリット形の羽目から
の精錬ガス等の噴射圧をスリットの長手方向に均一にす
ることが重要であることを知見した。

本発明はかかる知見に基いてなされたものであって、そ
の目的とするところは、断面スリット状をなすノズル部
と該ノズル部にその全幅にわたり均一に流体を供給すべ
く連接され、ノズル部の幅及び断面積よりも大きい幅及
び断面積を有し、且つ内部に流体をノズル部の全幅にわ
たり均等に分流せしめる分配板を備えた分配室と、該分
配室にその分配室の中央部に対向して開口する流体供給
管とを具備することにより、精錬用流体等をノズル部に
おけるスリット状開口部の全体から均一な圧力で溶融金
属中に吹き込み得るようにし、吹きもどし現象を可及的
に抑制し得るようにした溶融金属精錬用羽口を提供する
にある。

以下本発明をその実施例を示す図面に基いて具体的に説
明する。

第１図は本発明に係る溶融金属精錬用羽目（以下本発明
品という）を用いた製鋼用複合吹錬炉の要部を示す模式
図、第２図は本発明品の斜視図、第３図は本発明品の拡
大縦断面図であり、図中Ｆは複合吹錬炉、Ｆｌは複合吹
錬炉を構成する鉄皮、Ｆ２は同じく耐火物であって、複
合吹錬炉Ｆの底壁部に本発明品たる羽口１が配設され、
この羽口１を通じてヘッダＨ１、フレキシブルチューブ
Ｔ１を通じて給送されてくる精錬用流体及びヘッダＨ２
、フレキシブルチューブＴ２を通じて給送されてくる攪
拌用流体を炉内に吹き込むようにしである。

羽ロトは第２，３図に示す如く精錬用流体を炉内に吹き
込むノズル部１１及び攪拌用流体を炉内に吹き込むノズ
ル部１２と、各ノズル部１１゜１２に精錬用流体、攪拌
用流体を均等に分配する分配室２１，２２及び精錬用流
体、攪拌用流体を夫々フレキシブルチューブＴ□、Ｔ２
から分配室２１．２２に供給する供給管３１，３２とか
らなる。

各ノズル部１１，１２ｕいずれも分配室２１゜２２と連
接される基端部から炉の鉄皮Ｆ□、耐火物Ｆ２を通して
炉内に面して開口する先端部に至る迄の間は断面一文字
形のスリット状であって、ノズル部１１が内側に、ノズ
ル部１２が外側に位置するよう同心状に重合配設されて
いる。

外側に位置するノズル部１２の断面における内周長はそ
の内周断面積に等しい面積を有する円、即ち等何円の周
長に対する比が１．０７以上、となるように設定されて
いる。

ノズル部１１の基端部はノズル部１２の基端部より所要
寸法突出されており、ノズル部１１の基端部は分配室２
１に、またノズル部１２の基端部は分配室２２に夫々接
続されている。

内側の分配室２１及び外側の分配室２２（ｒｉいずれも
断面円筒形をなし、その断面積及び直径（幅）を夫々に
接続されるノズル部１１，１２０断面積及び幅寸法より
大きくした本体２１ａ、２２ａ及び蓋体２１ｂ、２２ｂ
からなり、相互の間に突起状の複数のスペーサ２６を介
在させて同心状に配設され本体２１ａ、２２ａＨいずれ
もノズル部ｌＬ１２が連接される側、即ち前端側は夫々
ノズル部１１，１２を連接すべき取付部を除いて閉鎖さ
れ、後端側は蓋体２１ｂ、２２ｂにて閉鎖されている。

蓋体２１ｂ、２２ｂは分配室２１゜２２の外径に等しい
直径を有する円板状に形成されており、中心部には夫々
供給管３１，３２を嵌着すべき孔２１ｃ、２２ｃを備え
、夫々本体２１ａ２１ｂの周壁後端面にパツキン２１ｄ
、２２ｄを介在させて止ねじ２１ｅ、２２ｅを用いて着
脱可能に装着されている。

分配室２１内には分配室２１の前後方向の中間部に位置
して分配室２１と同心状であって、分配室２１の内周面
との間に流体通路とすべき所要の隙間を隔てて円板状の
分配板２３がスペーサ２４を嵌め合せたボルト２５にて
蓋体２１ｂの内面に固定されている。

また分配室２１，２２は分配室２１を内側に、分配室２
２を外側にして相互の間にスペーサ２６を介在させ、分
配室２１の外周壁と、分配室２２の内周壁との間に流体
通路とすべき所要の隙間を隔てて同心状に配設されてい
る。

供給管３１，３２（／ｉいずれも断面円形に形成され、
供給管３１を内側に、供給管３２を外側にし、相互の間
に所要の隙間を介在させて同心状に配設されており、供
給管３１はその先端部を蓋体２２ｂの孔２２ｃを通して
蓋体２１ｂの孔２１ｃに、また供給管３２（／−ｉその
先端部を蓋体２２ｂの孔２２ｃに夫々嵌着され、また供
給管３１の基端部は供給管３２の基端部から所要長突出
して位置せしめられ、フレキシブルチューブＴ１Ｖｃ接
続されている。

一方供給管３２の基端部内周は供給管３１の外径と略等
しく縮径してあり、また外周面には螺条３２ａが形成さ
れ、これには袋ナラ）３２ｂが螺着され、供給管３２０
基端部を閉鎖し、この基端部近傍の周壁に該供給管３２
の軸心線と直交する向きの供給口３２ｃを開口せしめて
あり、これにはフレキシブルチューブＴ２が接続されて
いる。

２は取付用のフランジである。

かく構成された本案品にあっては、フレキシブルチュー
ブＴ０から供給管３１０基端部に供給されてくる精錬用
流体は供給管３１内を通って断面積の大きい分配室２１
内に流入し、分配板２３の表面に直角に衝突し、周囲に
均等に分配されて分配板２３の周縁と分配室２１内周壁
との間の環状流通路を経て再び大断面積を有する分配室
２１の先端側半分内に流入し、略静圧状態に整圧されて
ノズル部１１内に均一に流入し、ノズル部１１の先端か
らその全幅にわたり均一な圧力で溶融金属中に吹き込ま
れることとナル。

一方フレキシブルチューブＴ２から供給管３２の基端部
に供給されてくる攪拌用流体は供給口３２ｃから供給管
３２内に入り、供給管３２内を経て分配室２２内に流入
して分配室２１の蓋２１ｂの表面に直角に衝突し、周囲
に均等に分配されて本体２１ａの外周壁と本体２２ａの
外周壁との間の流通路を流れる間に静圧状態に整圧され
てノズル部１２に均一に流入し、ノズル部１２内をこれ
を冷却しつつ流れて先端部から前記ノズル部１１より吹
き出される精錬用流体を包む態様で溶融金属中にノズル
部１２の全幅にわたり略均−な圧力で吹き込まれること
となる。

次に分配室２１内に設置した分配板２３０機能を確認す
るため、分配板を備えた分配室と、分配板を備えない分
配室とに夫々精錬用流体を供給し、ノズル部の先端部全
幅にわたる精錬用流体の吹き出し圧力の分布状態を検出
する比較試験を行ったので、その結果を示す。

なお圧力分布はノズル部の吹出口から大気中に精錬用流
体を吹き出させて、これを０．５ｍｍの極細ピトー管を
用いて測定した。

第４図はその結果を示すグラフであり、第４図イは分配
板を備える場合の、又第４図口は分配板を用いない場合
の結果を示している。

第４図イ２口はいずれも横軸にノズル部の幅方向の位置
を、縦軸にヒトー管全圧（ｋｇ／ｉ）をとって示してい
る。

このグラフから明らかなように、分配板を用いた場合に
は全圧分布のばらつきが小さく、特に最大圧力差が大幅
に低減せしめられていることが解る。

なお、ノズル部１１，１２は上記実施例では断面一文字
形とした場合を示したが、例えば断面十字形、■字形、
或いは円弧形等に形成してもよく、断面形状の相異によ
る効果上の差は殆んどなく、形状的には外側のノズル部
１２の断面における内周長ｌと、その等何円の周長πＤ
ｅとの比ｌ／πＤｅが１．０７以上であればよい。

また上記実施例ではノズル部を２本設ける場合を示した
が一本のみでもよいことは勿論である。

以上の如く本発明品にあっては精錬用流体等は供給管及
びノズル部断面積に比較して著しく断面積が大きく、内
部に流体を周方向に均等に分散せしめる分配板を備えた
分配室を経た後、ノズル部に流入せしめることとしてい
るから、ノズル部は幅広のスリット状となっているにも
かかわらず、その全幅にわたって精錬流体等が均等に流
通し、ノズル部の全幅にわたり均一な圧力にて精錬ガス
等を溶融金属中に吹き込むことが出来て、所謂吹きもど
し現象を可及的に抑制し得、炉寿命を大幅に延長出来、
長期にわたる安定した精錬作用が得られる優れた効果を
奏するものである。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明品を用いた複合吹錬炉の要部を断面で示
す模式図、第２図は本発明品を横向きにした状態で示す
斜視図、第３図は同じく本発明品を横向きにした状態で
示す拡大断面図、第４図は分配板の機能確認するための
比較試験結果を示すグラフであって、第４図イは本発明
品の結果を第４図口は分配板を用いない場合の結果を示
している。 １・・・・・・羽口、１１，１２・・・・・・ノズル部
、２１・・・・・・分配室、２２・・・・・・分配室、
２３・・・・・・分配板、３１．３２・・・・・・供給
管、Ｆ・・・・・・複合吹錬炉。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ 溶融金属中に精錬又は攪拌のための流体を吹込むべ
   く設けられる羽目において、断面スリット状のノズル部
   と、該ノズル部にその全幅にわたって均一に流体を供給
   すべく連接され、ノズル部の幅及び断面積よりも大きい
   幅及び断面積を有し、内部に流体を周方向に均等に分流
   せしめる分配板を備えた分配室と、該分配室内にその分
   配板と同心状に開口せしめられた流体供給管とを具備す
   ることを特徴とする溶融金属精錬用羽目。