JPS592496B2 - 根管治療用具 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明はう蝕（むし歯）などから継発し、歯髄が濃厚感
染した場合に、麻酔下で歯髄を抜去（抜髄といつ）シ、
その空隙（以下に歯髄腔という）を最終的にセメントで
充填し、天然歯を口腔内に保存し機能させる治療（以下
に根管治療という）に際し、該歯髄腔の清掃及び（又は
）貼薬に用いる根管治療用具に関する。

根管治療の第一段階は、根管の壁面（根管壁）及び該根
管壁周囲の象牙質に生息している無数の細菌を死滅せし
め、更に根尖画用組織の炎症を治癒することを目的とし
ている。

このため歯科医は添付図に示す如く、思出（添付図の例
では前歯）（第１図）の歯冠部１５のエナメル層１６な
らびに髄室１７の壁を削去し、次に歯髄（神経繊維及び
その他）を抜去し、根管壁を器具により削り、根尖孔１
３を残して第２図に示すように根管１９を拡大形成（以
下根管形成といつ）シた後に過酸化水素水、次亜塩素酸
ナトリウム液及び水を交互に該根管１９内に注入するこ
とにより、或いはさらにこの後にフェノールやクレゾー
ル、ホルマリン等を主薬とする消毒薬を該根管に貼薬し
て数日間経過を観察することにより、当初根管底２０に
血液、膿、漿液等２１（第３図）の見られた感染根管に
治癒機転をとらせる。

次いで根管内が無菌状態に到ったことを培養試験によっ
て確認した後に根管充填用亜鉛華ニーシノールセメント
（好適な例として商標名「キャナルス」昭和薬品化工瓶
製）を填入し固化させ、次いで個室１７即ち根管１９に
リン酸亜鉛セメント（好適な例として商標名「ジュラホ
ス−８」昭和薬品化工ＫＫ製）を填入し固化させた後に
最終的には金冠などで修復〔補綴（はてつ）〕せしめて
治療を終了する。

このような治療工程において根管内の清拭及び貼薬操作
のためには従来技術として綿花や和紙の加工物、即ちブ
ローチと称する針金に綿花を巻き付けた「ブローチ綿花
」や和紙の小紙片をコヨリ状に巻いた「ペーパーポイン
ト」などが用いられている。

しかしながらブローチ綿花は歯科医師が指先で巻き付け
て製するもので熟練を要し、綿花の量も一定せず、該綿
花が多ければ根管への挿入が困難であり、逆に少なけれ
ば汚物を充分吸収できなかったりするばかりか、指先で
巻付けるので綿花の細菌汚染を避は難く、又綿繊維が残
留するなどの欠点がある。

ペーパーポイントはブローチ綿花のような欠点はないが
、コシか弱く、特に濡れた場合は根尖孔１３附近まで届
かないことが多く、更に血液、膿は勿論のこと水でさえ
その吸収に時間がかかり１個の根管から血液、膿、漿液
又は水の吸収に平均１０本程度のブローチ綿花又はペー
パーポイント使う必要がある。

一方、第５図に示すごとく、実開昭５４−９３２９８号
公報には軸方向に揃った繊維質の細杆体の片端又は両端
を円錐状に成形して滅菌処理をした根管治療用具１０ａ
がこれらの欠点を改善するものとして提案されている。

この改善例における主要な改良点は繊維質を用具の軸方
向に揃えたことにあるが、このように軸方向に揃った繊
維質を単にニードル状のテーパー１０ａの形状に構成し
て使用すると繊維端即ちささくれが凸出して根尖歯周組
織に余分な刺激を与えるばかりか歯根膜をも傷つげ、当
然のことながら細菌を根尖孔１３外に押し出すので病状
の悪化を招く惧れがある。

根管形成部１９の壁面即ち根管壁２０は象牙質でありな
がら細管を有する組織であるから針状でささくれを有す
るテーパーにより損傷を受は易い。

また長さ２０〜３０ｍｍに及ぶテーパ−１０ａ部の全周
面をグラインダー等で研削しているため用具表面の平滑
性に欠けるとともに繊維質の研削粉が付着して残留し易
く、用時にこれらの付着物が根管内に異物として残留す
る恐れがある。

更にこの形状構成によると液体吸収の方向性が根管内で
得難く、周囲面からの液の吸収ムラにより尖端部からの
吸収が損われ易（、従って根尖孔１３を含む根管内の清
拭、貼薬用具として更に改良を必要としていた。

この従前技術（実開昭５４−９３２９８号公報）の最大
の欠点は第５図に示す通り用具端部が根尖孔１３の下方
へ深過ぎて突刺さり、更に突抜けることにある。

これは根尖部を刺激し患者に疼痛を与えると共に傷害を
及ぼすことに他ならない。

本発明の目的は上述の従前技術の諸欠陥を除きそれらを
改善することにある。

本発明の構成によればこのような従来技術の不備な点を
すべて解消し、治療効果向上を充分期待しうるものであ
る。

更に詳述すれば、本発明の用具の構成は、第６図に示す
如（、適宜数の連続状細隙即ち導管を形成した０、３ｍ
ｍ以上の直径を有する高分子材料から成るモノフィラメ
ント状成形物を切断して約３０ｍｍの長さの細桿体１を
形成し、第７及び８図に示す如く、この細桿体１の少な
くとも片方の端部から約２ｍｍ以下の長さに亘って研削
加工を施し、約０．２５ｍｒｒｔ前後の直径の小径端部
３を形成するとともに肩部２を形成した後に酸化エチレ
ン若しくはＸ線等の滅菌処理を施して根管治療用の清拭
及び（又は）貼薬用具１０とするものである。

本発明の用具はこのように構成されているので第４図に
示す如く根管への挿入操作に際し、用具の肩部２が根尖
孔１３の上部１２即ち根管１９の底部２０に突当る係止
（けいし）又は当接縁として形成されている。

即ち本明細書で使用する用語係止又は当接縁は用具の肩
部２に対応する意味のものである。

即ち用具端部が根尖孔１３の下方へ深過ぎて突刺さるこ
とを防止することを意味する用語である。

このように本発明においては吸収端となる小径端部３が
根尖孔１３を突抜けることがない。

上文中の用語係止又は当接縁は根管１９の下方部におけ
る環状肩部の内縁に合致すべき細桿体の前方端における
環状肩部の外縁２（第１０図）を意味する。

第１０図の細桿体も本発明の範囲内にあることは勿論で
ある。

第１０図中の環状外縁２を研削すれば傾斜を有するか又
は先細にされた細枠体（第７又は８図）を得る。

根尖孔へ挿入する部分だけ小径に形成されるので、用具
の外径、肩部の位置、小径部の形状、小径端部の太さ及
び形状を広範囲に亘って正確かつ高精度に形成すること
が出来るとともに研削による付着残留物を低減させるこ
とが出来る。

かつまた根管形成に使用するリーマ−（例えば錐をもつ
ドリル）又はファイル（神経繊維除去用具）等の歯科用
器具はその先端外径が既知であるのでこれらの器具との
規格の統一ができる。

かようにして曲った根管においても根尖孔を正確に探針
できる。

従って血液、膿、漿液２１が最も滞留しやすく、かつ洗
浄も困難な根尖孔の清拭及び（又は）貼薬な容易に実施
することができる。

更に又、小径端部３が根管１９内〔特にその底部２０〕
で直接液体に触れ易い形状となっているので先端からの
吸収性が向上し、かつ安定している。

このような吸収性を特定する要素である細枠体に形成さ
れる適宜数の連続状細隙の構造は高分子材料の種類及び
形状並びに既知の製造方法等の組合せにより、多孔状の
透孔、チャンネル及びスリット、或いは多孔質セル状も
しくは例えば第９図に示す枠体内面から中心に向って複
数の凸出片を有する形状及び多孔質繊維状等の多くの異
なる毛細管構造として容易に得ることが出来るので、液
体の吸収特性の異なる用具を簡単にかつ経済的に供給す
ることが出来る。

好適な材料と製造方法として例示すれば、毛細管作用に
より液体を吸収又は排出させ書写に供する筆記具を製造
する技術分野におけるペン体の製造方法の応用によって
本発明の用具を容易に製造することが可能である。

とりわけ熱可塑性合成高分子材料例えばポリオレフィン
、ポリアミド、ポリウレタン、ポリアセタール、繊維素
系等の合成樹脂を溶融押出成形することにより異形断面
形状の連続モノフィラメント状成形物を形成するペン体
の製造方法、並びに半合成及び合成高分子系繊維例えば
アセチルセルロース、ポリアクリロニトリル、ポリエチ
レンテレフタレート、ポリアミド、ポリプロピレン等又
はこれら高分子素材の適宜な組合せによる複合繊維、例
えばポリエチレンテレフタレートとポリアミド等の捲縮
加工を施した繊維束材料を適宜な方法で接着結合するこ
とにより多孔質繊維状の連続モノフィラメント状成形物
を形成するペン体の製造方法等の応用が適当である。

第９図に示された細枠体は中空管の内面から中心に向っ
て複数の凸出片を有する形状をもち、従って外面は閉じ
られている。

この形状とは反対に外面が開放されている形状を有する
細枠体（第１１図）も本発明の範囲内に属する。

この細枠体は多数の分岐凸出片３２，３３及び３４（第
１１図）を有する例えば高分子材料製の連続モノフィラ
メント状成形物から成る細枠体３１（第１１図）であっ
て該分岐突出片３２．３３．３４が多数の間隙即ち分画
導管３５，３６，３７（第１１図）を形成し、該分画導
管は毛細管作用により根管内の液体２１を吸土げる。

本発明の根管治療用具は、連続状細隙を有する高分子材
料から成る細枠体１又は複合繊維から成る細枠体１の一
端に肩部２と、小径端部３とを形成させた後に滅菌処理
を施したものであるから、叙十のように正確な探針操作
及び測定並びに根管内の清拭、貼薬操作等を容易ならし
めると同時に治療効果の向上を促進せしめるものとなる
。

【図面の簡単な説明】

添付図面の第１図は思出（例として前歯）、第２図は髄
室壁削去により形成された根管、第３図は根管底及びそ
こに溜る血液、膿、漿液、第４図は本発明の根管治療用
具を根管へ挿入した状況、第５図は従来技術の根管治療
用具を根管へ挿入した状況、第６図は本発明で使用する
細枠体（小径形成前）、第７図は本発明の細枠体かも成
る根管治療用具（小径形成後）の一例、第８図は本発明
の根管治療用具の他の一例（肩部の形状が第７図とやや
異る）、第９図は本発明の根管治療用具の拡大された断
面の一例を示す。 第１０図は肩部の形状がほぼ直角をなす本発明の細枠体
の別の態様を示し、第１１図は他の態様による本発明の
根管治療用具の拡大断面の一例を示す。 １・・・・・・細枠体（小径を有せず）、２・・・・・
・肩部、３・・・・・・小径、１０・・・・・・本発明
の根管治療用具、１０ａ・・・・・・従前技術による根
管治療用具、１１・・・・・・根管壁、１２・・・・・
・思出、１３・・・・・・根尖孔、１５・・・・・・歯
冠部、１６・・・・・・エナメル層、１７・・・・・・
髄室、１８・・・・・・歯肉、１９・・・・・・根管、
２０・・・・・・根管底、２１・・・・・・根管底に溜
った血液、膿、漿液、３１・・・・・°連続モノフィラ
メント状成形物即ち細枠体、３２．３３，３４・・・・
・・分岐突出片、３５，３６゜３７・・・・・・分画導
管。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ その内部の一端から他端にわたって適宜数の連続し
   た細隙即ち導管を有する高分子材料の細枠体から成り、
   その少なくとも一端が小径を有し、該細枠体と該小径と
   の境界部が肩部を形成し、該肩部が思出内の根管底と根
   尖孔とに対して係止又は当接縁となるようにしたことを
   特徴とする根管治療用具。 ２ 集束繊維又は複合繊維から作られている細枠体から
   成ることを特徴とする特許請求の範囲第１項に記載の根
   管治療用具。 ３ 表面が平滑であって凸出繊維端即ちささくれを有し
   ないことを特徴とする特許請求の範囲第１及び２項に記
   載の根管治療用具。 ４ 高分子材料又は合成樹脂から作られその断面が内面
   から中心部に向って複数の凸出片を有する形状をなす細
   枠体から成ることを特徴とする特許請求の範囲第１項に
   記載の根管治療用具。 ５ 外径的０．５ ｍ７１１以下、その少くとも一端の
   小径の外径的０．２５ｍｍ及び長さ約２０〜３０ｍｍを
   有する細枠体から成ることを特徴とする特許請求の範囲
   第１〜４項に記載の根管治療用具。 ６ 高分子材料又は合成樹脂から作られ、その断面が中
   心から外方及び（又は）側方へ向って複数の凸出片を有
   する形状をなし、かようにして複数の分画導管を形成す
   る連続モノフィラメント状成形物即ち細枠体から成るこ
   とを特徴とする特許請求の範囲第１項に記載の根管治療
   用具。