JPS592346Y2 - 車両用減速差動装置のサンギヤ回り止め装置 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は車両用減速差動装置に関し、特にリングギヤの
回転をプラネタリギヤで減速して差動装置に伝達する２
段減速型減速差動装置におけるサンギヤの回り止め装置
に関する。

前記形式の減速差動装置の構造、動作を第１図Ａ、 Ｂ
を用いて説明する。

図において減速差動装置のハウジングの一部を形成する
キャリアカバー１の前端部に軸受けされたピニオンドラ
イブギヤ２は前端部が図示しないトランスミッションの
出力軸とプロペラシャフトを介して連結している。

該ピニオンドライブギヤ２には、キャリアカバ−１後部
側壁に軸受けされたリングギヤ３の外歯３ａが噛み合い
、ピニオンドライブギヤ２の回転により、リングギヤ３
が減速されて回転する。

リングギヤ３の軸受用筒部３ｂには後述する構成によっ
てキャリアカバー１に回り止めして取り付けられた筒状
のサンギヤ４が貫通し、該サンギヤ４の歯４ａと前記リ
ングギヤ３の内歯３Ｃに噛み合うプラネタリギヤ５がデ
フケース６の側壁に固定されたシャフト７にベアリング
７ａを介して複数個取り付けられ、リングギヤ３の回転
によりプラネタリギヤ５はシャフト７の回りを自転する
と共に、サンギヤ４の回りをリングギヤ３の回転速度よ
り減速された回転速度で公転する。

該プラネタリギヤ５の公転によって回転するデフケース
６内にはサンギヤ４と同芯上に軸受けされた一対のサイ
ドギヤ８がこれと直角にデフケース６に軸支されたピニ
オンギヤ９を介して噛合し、該一対のサイドギヤ８には
夫々左側車輪及び右側車輪に連結する図示しないアクス
ルシャフトの端部が嵌入して固定取付される。

そして、車両直進時にはピニオンギヤ９はその支軸回り
に回転せず、従って一対のサイドギヤ８はテ゛フケース
６の回転に同期して回転し、車両旋回時にはピニオンギ
ヤ９が支軸回りに回転して一対のサイドギヤ８の回転速
度差従って左右両車軸の回転速度差を許容することは周
知の通りである。

さらにデフケース６の外側を覆ってリングギヤ３の側壁
に固定されたサポートケース１０がキャリアカバー１の
後部−側壁にベアリング１１を介して軸受されている。

かかる構成の減速差動装置においてサンギヤ４の圓り止
めは従来Ｆ記の如く行なわれでいる。

即ちサンギヤ４を＠；ＩＪＪするりジグギヤ３（７）筒
部３ｂはぞの汁周壁に嵌合・され／こ一ヘニアリング１
２を介し７てキ六−′リフ゛カバー１の〒玲和ｌ’ｊ！
Ｉ？を方（力１則壁にΦ１１受されるが、リングギヤ３
の圓転夕円滑に行なわぜるためベア９Ｓ、・′グ１２の
ころ１２ａに加わる面圧を外輪１２１）の軸カー向イ立
置を変えることによ−って微調整するアジャ７１−ナツ
ト１３か゛ぞの外周面を一人−ヤリアカ、バ・−」に螺
し込んで取り付けられている。

この環状のアジヤス１へナツト１３の内周面に形成され
たスプラインｉ３ ａがサンギヤ４の端部ダト周面に形
成されたスプライン４ｂに嵌合しており、アジャストナ
ツト り止めし、て取り付ける二とにより、す：／ギーへ′４
の回り止め機能を得ている。

かかるアジャストナラｌ〜１３の回り１」夕め手段とし
７ては従来第１図Ｂに示すように、アジャストナラ：１
３の注側面周縁部に所定中心角毎に突部１３ｂを形成し
、（又はノックビンを打ち込んでもよい）、該複数の突
部１３１）を孔１４ ａに嵌合させたロックプレー ）
−１４の右側部り下端面を、キャリアカバー １にボル
ト締めし、で連結されたキャ゛ツブ１５の係合面１５
ａ、 １５ ｂに当接して係合し２、ロックプレーＨ４
係合部をキーヤツブ１５にボルト１６等で締結し７て行
なう手段又は、ニス′（、に類似した手段が一般的に採
用されている。

しかしなが４． Ｚ、・かる従来溝或においては、サン
ギヤ４からアジャストナラ１−１３を介してロックプレ
ー ）〜１４に加えられるトルクをロックプレート１４
の１−！ｌ一側のみの端面を係止して支持するため、そ
の反力どしてロックツブし・−ト１４にサンギヤ４の中
心より係合部寄りに中心をもつ回転力を生じる。

従ってアジャストナラＩ−の突部１３ｂとロックプレー
１−の孔１４ ａどの接触面及びキャップ１５とロック
プレーＩ・１４どの接触面に滑り方向の力を生じる。

該滑りによる接触面の摩耗は著しくなり、該摩耗を防止
するため、突部１３ ｂと孔１４ ａ及びこれらに関連
する部品の加工寸法精度及び組立精度を厳し２く要求さ
れ生産能率が低下しコストアップにつながるものであっ
た。

特に、耐摩耗性の要求されるロックプレートは一般に焼
入れが行なわれているから、寸法精度の確保は一層困難
なものとなる。

又、アジャストナツト１３の回転調整位置が突部１３１
〕と孔１４ａとが嵌合する位置に限定され、定回転角度
毎にステップ的に位置決めされるので゛ベアリング１２
の千Ｙにを微調整することが難しくリングギヤ３の回転
負荷を充分に軽７威て゛きないことか゛あった。

又、突部１３ ｂと孔１４ ａとの係合の代りにり一マ
ボルトによつ一ｒアジヤス１〜ナツトとロックプレート
とを結合する構成のものがあるが、二のものにおいても
同様の欠点を生していた。

本考案は簡単な構成にして前記従来の欠点を全面的に解
泪したサンギヤの回り止め装置を提供することを目的と
する。

以下に、本考案を図面に示す実施例に基づいて詳細に説
明する。

但し、本考案の実施例を示す第２図Ｂｔ下の構成要素に
おいて第１図と同一のちのには同一符号を付して説明す
る。

第２図において、環状のアジャストナツト２１は外周面
が大径部と小径部を有して段付成形され、内周面に形成
したスプラインをサンギヤ４の外周面端部に形成したス
プラインと嵌合し、大径部外周面に形成したおねにをキ
ャリアカバー１及び゛キャップ２２に形Ｙ戊しためねじ
に螺合することは従来と同様であるが、小径部外周面に
乙プライン２１ ａを形成し、このスプライン２１ ａ
と嵌合するスプライン２３ ａを内周面に有したロツク
フ’Ｌ、−１−２３をキャリアカバー１及び゛キャップ
２２に固定するふとによってサンギヤ４を回り止めする
。

ロックプレー ）−２３は左右両側にキャップ２２及び
キャリアカバー１に係合する係）部２３ｂ、２３Ｃを有
し７、車両前進時にはプラネタリギヤ５からサンギヤ４
に加えられた図示時計回りのトルクがアジャストナラ１
へ２１を介してロックプレート２３に伝達され、該ロッ
クプレー １−２３の左側係合部２３ ｂの下端面ａ及
び右側係合部２３ Ｃの上端面すが夫々キャリアカバー
１及びキャップ２２の相接触する係合面より抗力を受け
て回り止めされ、アジャストナツト２１を介してサンギ
ヤ４が回り止めされる。

かかる構成において、ロックプレート２３はサンギヤ４
の中心に対して略点対称な２箇所を係止されるため、キ
ャリアカバー１及びキャップ２２からロックプレート２
３に加えられる抗力は、サンギヤ４から加えられるトル
クに対応したサンギヤ４の中心Ｏを中心とするトルクと
なって作用し、サンギヤ４の径方向の力は作用しない。

従ってロックプレート２３とキャップ２２及びキャリア
カバー１との接触面には面方向の滑りを生ゼ゛ず、接触
面と直角な圧力Ｃ面圧）による摩耗のみを考慮すればよ
い。

かかる面圧による摩耗は滑りによる摩耗に比較すれば極
く軽度に抑制され、かつ、接触面相互間にガタを有しロ
ックプレートド２３のいわゆる片当りを生じたとしても
接触面の摩耗で接触面積が増大し面圧が低下する方向に
推移して安定する。

又、ロックプレート２３、アジャストナツト２１及びサ
ンギヤ４の各スプラインにもＯを中心としたＩ・ルクに
よる周方向の力のみか゛全周に亘って均等に加えられる
から、スプライン相互間の滑りによる摩耗が防止され前
記同様面圧による摩耗のみを考慮すればよく、従ってバ
ックラッシュも相当大きく採って差し仕えない。

このようにロックプレート２３とキャップ２２、キャリ
アカバー１とのガタ及び各スプラインのバックラッシュ
を大きく採れることによって加工性、組立性が向上し、
生産性増大にもつながる。

又、前記した如くロックプレート２３には面圧に対する
耐摩耗性のみを要求されるから表面硬化処理を施すだけ
で充分となりコストダウンにつながるが、焼入れを行な
った場合でもロックプレート２３が左右両側に係合部を
有した全周に亘って質量分布の均一化された形状である
ため焼入れの除土じる熱歪を極小に抑えられる利点があ
る。

更に、ロックプレート２３とアジャストナツト２１とが
スプラインで嵌合しているため、アジャストナツト２１
の回転位置即ちベアリング１２の取付圧力を極めて高精
度に調整することができ、リングギヤ３の回転負荷をよ
り軽減でき耐久性増大につながる。

本考案は以上説明したように、２段減速型減速差動装置
において、サンギヤの回り止めを該サンギヤの外周面端
部にスプライン嵌合させたアジャストナツトの外周面に
ロックプレートドの内周面をスプライン嵌合し、かつロ
ックプレートをサンギヤの中心に対して点対称な箇所を
キャリアカバー又はその連結体に係合させる構成とした
から、ロックプレートとハウジング及び各スプラインの
接触面に滑り方向の力が作用せず接触面圧による摩耗の
みを考慮すればよいから、加工精度、組立精度を下げて
も接触面の耐摩耗性を満たすことができ、生産能率を大
幅に向上させ低コスト化を著しく推進できる。

又、アジャストナラＩ・の回転位置がロックプレートと
スプライン嵌合することによって連続的に位置決めされ
るのでリングギヤ軸受用ベアリングの予圧を高精度に微
調整でき、減速差動装置の耐久性向上につながる。

【図面の簡単な説明】

第１図Ａ、 Ｂは従来のサンギヤ回り止め機構を備え
た車両用減速差動装置の横断面図、及び要部側面図、第
２図Ａは本考案に係るサンギヤ回り止め装置を備えた車
両用減速差動装置の側面図、ＢはＡのＸ−Ｙ−Ｘ断面図
である。 １・・・・・・キャリアカバー、２・・・・・・ピニオ
ンドライブギヤ、３・・・・・・リングギヤ、４・・・
・・・サンギヤ、４ｂ・・・・・・スプライン、５・・
・・・・プラネタリギヤ、６・・・・・・デフケース、
２１・・・・・・アジャストナツト、２１ ａ・・・・
・・スプライン、２２・・・・・・キャップ、２３・・
・・・・ロックプレート、２３ａ・・・・・・スプライ
ン、２３ ｂ、２３ Ｃ・・・・・・係合部、ａ、
ｌ）・・・・・・係合面。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. エンジン駆動力を伝達されて回転するピニオンドライブ
   ギヤと、該ピニオンドライブギヤに噛合して回転するリ
   ングギヤと、該リングギヤと開幕に固定されたサンギヤ
   と、リングギヤの内歯とサンギヤに噛合して自転と共に
   公転するプラネタリギヤと、該プラネタリギヤを軸支し
   て回転するデフケースと、これら回転要素を収納するキ
   ャリアカバーとを含んで構成される車両用減速差動装置
   において、リングギヤ軸受用ベアリングの取付圧力を調
   整するアジャストナツトをサンギヤの端部性周面にスプ
   ラインによって嵌合すると共に、該アジャストナツトの
   外周面にスプラインによって嵌合するロックプレートを
   設け、該ロックプレートのリングギヤの回転軸に対して
   略点対称位置に形式した係合部をキャリアカバー又はそ
   の連結体に係合させてロックプレートをキャリアカバー
   に固定取付し、もってサンギヤをキャリアカバーに回り
   止めして取り付けたことを特徴とする車両用減速差動装
   置のサンギヤ回り止め装置。