JPS5922313Y2 - インジエクション冷却装置を具備した冷凍サイクル - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は、高圧の液冷媒を回転式圧縮機の気筒内に小量
ずつ注入して吐出冷媒ガスの温度を下げるいわゆるイン
ジェクション冷却構造を具備した冷凍サイクルの改良に
関するもので、簡単な構造により、圧縮機の冷凍成績係
数を大きく低下させることなく、安価で信頼性の高い冷
却構造を提供するものである。

従来、この種の冷凍サイクルは、回転式圧縮機のインジ
ェクション冷却装置として、第６図に示す如く構造が採
用されていた。

同図において、ａは密閉容器で、内部には電動機（図示
せず）およびこの電動機により回転軸すを介して圧縮作
用を行なう回転式圧縮機構Ｃがそれぞれ内蔵されている
。

前記回転式圧縮機構Ｃは、気筒ｄとロータｅ、ベーンｆ
をそれぞれ具備し、低圧側には冷媒吸入口ｇおよびアキ
ュムレータｈをそれぞれ具備している。

ｊはインジェクション冷却構造で、凝縮器の出口側に連
結されたインジェクション導入管ｊと、前記気筒ｄ内に
形成されたノズルに、逆止弁１等により構成されている
。

ところが、このようにインジェクション冷却に逆止弁ｌ
を用いた従来の構造では、ノズルにと逆止弁ｌの間の空
間ｍが大きく、この空間ｍが圧縮機のトップクリアラン
スとして作用するため、圧縮機の圧縮効果が著しく低下
するものであった。

さらにノズルに部および逆止弁１部の加工が複雑な上に
冷媒の洩れ防止のためのＯリング等のシール材ｎが必要
であり、信頼性が低く、製造コストか゛高い欠点を有し
ていた。

またこのようなインジェクション冷却構造において高温
の油の中にインジエクション導入管ｊが浸っている場合
、この導入管ｊの中で液冷媒が再蒸発してインジェクシ
ョン流量が少なくなり、ときには液冷媒の注入量が不安
定になる等の欠点を有していた。

さらに、上記構成の回転式圧縮機を使用して冷凍サイク
ルを構成した場合、上述の如くインジェクション流量が
少ないことから、第５図に示す如く、インジェクション
導入管ｊに別途キャピラリチューブＵを設ける必要があ
り、構成が複雑となる等の欠点を有していた。

なおｒは室内側熱交換器、Ｓ、ｔはキャピラリチューブ
、■は室外側熱交換器、Ｗは四方切換弁、Ｘは電磁弁、
ｙは逆止弁である。

本考案は、上記従来のインジェクション冷却構造を具備
した冷凍サイクルにみられる欠点を除去するものである
。

そのための構成として、本考案は、圧縮機、四方切換弁
、凝縮器、絞り装置、蒸発器をそれぞれ環状に連結する
ことにより正逆流切換え可能な冷凍サイクルを構威し、
前記圧縮機は、密閉容器内に円筒状の気筒を有する気筒
部品と、前記気筒の両端を閉塞しかつクランク軸を支持
する端板をそれぞれ具備した回転式圧縮機構とし、さら
に前記回転式圧縮機構の気筒部品に、一端が前記冷凍サ
イクルの高圧側に連結され、かつ前記密閉容器の外方か
ら前記クランク軸に向って延出するインジェクション導
入管を配設し、前記気筒における吐出弁の位置近くに、
この気筒内に開口しかつ、前記インジェクション導入管
と連結したインジェクション孔を設け、さらに絞り装置
を正逆流いずれのときにも冷媒が流れる二つのキャピラ
リチューブの直列回路とし、この直列回路の中間に前記
インジェクション導入管の一端を接続したものである。

以下、本考案をその一実施例を示す添付図面の第１図〜
第４図を参考に説明する。

図において、１は圧縮機で、密閉容器１ａを有しこの密
閉容器１ａの内部上方には電動機２がまた内部下方には
圧縮機構部３がそれぞれ配設されている。

前記圧縮機構部３はクランク軸４、ロータ５、気筒部品
６と、この気筒部品６の両端面を閉止しかつ前記クラン
ク軸４を支持する上軸受端板７、下軸受端板８および前
記気筒部品６に設けられた仕切板溝９に摺動自在に嵌合
した仕切板１０等により構成されている。

この圧縮機構部３は前記気筒部品６に設けられた気筒脚
部１１．１２により密閉容器１内に固定されている。

１３は前記気筒部品６に形成された吐出弁で、この吐出
弁１３には、気筒内壁から前記気筒脚部１１の外周に向
って短くかつ小径（約１ ｍｍ）のインジェクション孔
１４およびこのインジェクション孔１４と同心に毛細管
１５、さらにこの毛細管１５の外径より若干小さい内径
の毛細管挿入孔１６、およびインジェクション導入管１
７と、このインジェクション導入管１７の外周縁に適当
な隙間を形成する導入管挿入孔１８がそれぞれ設けられ
ている。

１９は前記導入管挿入孔１８に対向して密閉容器１ａの
壁面に形成されたインジェクション導入管１７の挿入穴
で、案内管２０が接続されている。

この案内管２０に、内方端に毛細管１５を有するインジ
ェクション導入管１７を密閉容器１の外方より挿入し、
このインジェクション導入管１７を導入管挿入孔１８へ
その周縁に所定の隙間２７を形成して挿入するとともに
毛細管１５を毛細管そう入孔１６へ嵌合し、さらに密閉
容器１に接続した案内管２０と、インジェクション導入
管１７をロウ付は等によって密封することによりインジ
ェクション冷却機構を構成している。

上記構成からなる回転式圧縮機は、第１図に示す如く冷
凍サイクル内に組込まれており、その冷媒の流れを説明
すると、アキュムレータ２１を経て吸入管２２より吸入
された気体冷媒は、圧縮機構部３で圧縮され、その後吐
出弁１３を経て密閉容器１ａ内へ導かれ電動機２を冷却
した後吐出管２３を通って密閉容器１ａ外へ吐出される
。

吐出された高温高圧の気体冷媒は四方切換弁２４を流れ
て凝縮器２５へ流れ、この凝縮器２５により冷却されて
液化し、絞り装置２６ 、２７．２８を通って低圧の液
となり、蒸発器２９で周囲の吸熱作用を行なって蒸発し
低圧の気体となって再びアキュムレータ２１を経て吸入
管２２より圧縮機構部３へ導かれる。

途中凝縮器２５を出た後の低温高圧の液冷媒の一部は、
インジェクション導入管１７、毛細管１５、インジェク
ション孔１４を通って気筒内へ導かれ、気筒内で蒸発し
て周囲より熱を取り吸入管２２より吸入された気体冷媒
と一緒に圧縮され吐出される。

このように、インジェクション冷却構造において毛細管
１５を使用しているため、従来のインジェクション冷却
構造にみられるような逆止弁を入れる空間が不要となる
。

そのため、圧縮機構部３のトツブクリアランスに相当す
る体積が小さくでき、インジェクション冷却機構を設け
たことによる圧縮効率の低下が少なくできる。

さらに気筒脚部１１の導入管挿入孔１８とインジェクシ
ョン導入管１７との間に適当な隙間２７を設けているた
め、ある程度の断熱が行なえ、また毛細管１５とインジ
ェクション導入管１７との間にも断熱効果があるため、
毛細管１５内の液冷媒の蒸発が少なく、安定して液冷媒
の注入ができる。

さらに従来の如くインジェクション冷却機構に運動部分
がないため、破損や摩耗の心配がなくなり、また液冷媒
が摺動部分を介して注入される構造でないため、摺動部
の摩耗の危険性もない。

またインジェクション冷却機構の構造は簡単で部品も少
ないため、安価に作成でき、しかも組立てについても毛
細管１５の挿入だけであるから容易に組立てることがで
き、例えばアキュムレータ２１とインジェクション導入
管１７の取付は角度が多少狂ってもインジェクション導
入管１７を多少なら容易に曲げることができるため、組
立てについても支障ない。

さらに冷媒液の気筒内への注入量は毛細管１５の長さを
調節するだけでよいため、容易に各種容量の圧縮機に適
合したインジェクション冷却機構を製作することができ
る。

またインジェクション導入管１７の途中にキャピラリチ
ューブを設ける必要がないため、構成も簡単となる。

本考案によれば、インジェクション孔とこのインジェク
ション孔に連結された毛細管の作用により、従来の如く
インジェクション冷却構造に採用されていた可動構造を
具備した逆止弁が不要となり、インジェクション冷却構
造の占める空間の減少がはかれ、この空間のトップクリ
アランス作用により圧縮効率の低下も防止できるととも
に、可動構造でないため、故障も少なく、構造の簡素化
がはかれ、熱交換効率のよい冷凍サイクルが得られる。

また絞り装置を二つのキャピラリチューブの直列回路と
し、この直列回路の中間に前記インジェクション導入管
の一端を連結することにより、正流。

逆流時いずれもインジェクション導入管へ流れる冷媒を
、気液混合状態として液状態よりも流れにくいため、イ
ンジェクション流量の調節のためのキャピラリチューブ
が不要となり、部品数の削減がはかれ、また直列に接続
したキャピラリチューブの抵抗値を適宜設定すれば、暖
房時のインジェクション流量を冷房時よりも多くして圧
縮率を効率よく冷却することができる。

等種々の利点を有するものである。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の一実施例におけるインジェクション冷
却装置を具備した冷凍サイクルの回路図、第２図は同冷
凍サイクルにおける回転式圧縮機の断面図、第３図は第
２図のＡ−Ａ’線による断面図、第４図は第３図の要部
拡大図、第５図は従来例を示すインジェクション冷却構
造を具備した冷凍サイクルの回路図、第６図は同冷凍サ
イクルにおける圧縮機の断面平面図である。 １・・・・・・回転式圧縮機、１ａ・・・・・・密閉容
器、３・・・・・・圧縮機構部、４・・・・・・クラン
ク軸、６・・・・・・気筒部品、７゜８・・・・・・端
板、１４・・・・・・インジェクション孔、１７・・・
・・・インジェクション導入管、２５・・・・・・凝縮
器、２６ 、２８・・・・・・キャピラリチューブ（絞
り装置）、２９・・・・・・蒸発器。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 圧縮機、四方切換弁、凝縮器、絞り装置、蒸発器をそれ
   ぞれ環状に連結することにより、正逆流切換え可能な冷
   凍サイクルを構成し、前記圧縮機は、密閉容器内に、円
   筒状の気筒を有する気筒部品と、前記気筒の両端開口を
   閉塞しかつクランク軸を支持する端板をそれぞれ具備し
   た回転式圧縮機構とし、さらに前記回転式圧縮機構の気
   筒部品に、一端が前記冷凍サイクルの高圧側に連結され
   かつ前記密閉容器の外方から前記クランク軸に向って延
   出するインジェクション導入管を配設し、前記気筒にお
   ける吐出弁の位置近くに、この気筒内に開口しかつ前記
   インジェクション導入管と連結したインジェクション孔
   および前記インジェクション導入管と前記インジェクシ
   ョン孔を接続する毛細管を設け、さらに前記絞り装置を
   、正逆流いずれのときにも冷媒が流れる二つのキャピラ
   リチューブの直列回路とし、この直列回路の中間に前記
   インジェクション導入管の一端を連結したインジェクシ
   ョン冷却装置を具備した冷凍サイクル。