JPS5920871Y2 - クリツク止めロツク式スライド形カツタナイフ - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 この考案は、クリック止めロック式スライド形カッタナ
イフに関するものである。

カッタナイフとくに、細長平行四辺形薄鋼板の片側長辺
に研削刃先きを形成し、鋭角をなす切先の鈍摩を生じる
度毎に、予め短辺と平行に刻んだ折割り溝から先端を折
取って切先を更新する形式の替刃を、Ｃ字形断面形状に
なり互いに向い合った唇状部を有するさやの溝内に納め
て、さやの唇状部間に介装した摺動駒に連結して切先を
さやの前端から出入り可能としたスライド式カッタナイ
フは、力紙ぎを要せず切れ味が更新され得ることから近
年来とみに普及しつつある。

かような替刃スライド形カッタナイフは、さやから切先
を突出させた使用状態で刀身をそれに働く切削抵抗に対
して固定する必要があり、このために従来から摺動駒に
仕組んだばね片をさやとくにその唇状部に形成した鋸歯
状凹凸と係合させるクリック止めまたは、摺動駒にねじ
ばめをした押ねしなどが、専ら用いられている。

しかし前者は固定の確実さに欠けるので刃幅の広い大型
のものには不向きな一方、後者は、締め緩めが面倒で操
作性にうらみなしとしない。

そこでクリック止めスライド方式についてそのクリック
止めを拘束するストッパの付設が試みられているが、従
来の提案はクリック止めの解除と、刀身の進退操作とに
二挙動の操作が必要なので、スライド方式による操作の
簡便さを損う欠点を残している。

考案者はかような難点をとくに有利に克服して、恰も在
来の摺動駒を進退させるのと同様な単純進退操作を加え
るだけで刀身のステップを伴うスライドが行われ、その
ステップの度毎に刀身の方から加わる力によっては解除
されることのないように、クリック止めがロックされる
仕組みをさきに開発し特願昭５４−１１３６５号として
その内容を開示した。

この考案はこれについてさらに操作性の改善を施したも
のである。

この考案はＣ字形断面形状になり互いに向い合った唇状
部の少くとも片側に鋸歯状凹凸を列設したさや、このさ
やの溝内に摺動して切先を出入し得る刀身、そしてこの
刀身の後端を脱着可能に係止する突起をそなえかつ上記
さやの鋸歯状凹凸とかみ合うクリック止め弾性片をもっ
た摺動駒から戊り、この摺動駒には、その摺動の方向に
前、後転向可動のタンブラノブを枢支しこのタンブラノ
ブにはその前向きおよび後向き各転向位置でのみりノッ
ク止め弾性片の撓曲の拘束を解除するロック脚を設けた
クリック止めロック式スライド形カッタナイフである。

この考案では、摺動駒の上面のタンブラノブを単に刃身
の長手方向に沿って前または後に押すだけでクリック止
めの拘束解除を生じて、クリック止めの弾発下における
摺動駒のスライド作用がもたらされ、切先を必要な突出
長さまで送り出したとき、摺動駒をタンブラノブの復元
で直ちに再ロックできるので切先きに働く力によっては
その向きの如何にかかわらず刀身の固定位置のロックか
外れることはなく、そして逆にタンブラノブを後向きに
転向させるだけで容易に切先の収納ができるのであり、
とくにかかる進退操作は何れも一挙動で軽快に行われる
。

第１図にこの考案によるカッタナイフの外観を示したよ
うに、在来のクリック止めスライドカッタナイフとの間
に格別なちがいはない。

図中１はさや、２は刃身、３は摺動駒、そして４がタン
ブラノブをあられしている。

さや１は、概括的にＣ字形断面形状で互いに向い合った
唇状部１ａ、ｌｂを対設し、その少くとも片側に鋸歯状
凹凸１Ｃを設けた合成樹脂成形体よりなり、その合成樹
脂成形体は図のように、金属薄板の板金細工によるリッ
プ付溝形成形体からなるホルダ５の外被グリップとして
形成するを可とするが、ときにかかる外被を省いてホル
ダ５に上記鋸歯状凹凸を移し設けたものであってもよい
。

刃身２は、さきに従来例についてのべたような折取りに
よる切先の更新を行う形式を可とするが、加工対象の如
何によってはそれに適合する任意な脱着工具、たとえば
折割り刻みを有しない替刃などで゛あってもよい。

摺動駒３は、刃身２の切先２ａと反対の後端にあけた係
止孔２ｂにはまり合って刃身２を、さや１の内部から刃
先２ａを出入し得るように連結する突起３ａを有する。

図中２Ｃは刀身の片側で砥上げ形成した刃先である。

。第２図ａ、ｌ）、ｃに、摺動駒３を中心とする要部の
詳細を断面で示し、同図ｄでタンブラノブ４の後向き転
向位置における断面をあられした。

摺動駒３は第３図のように全体として屋形船状の外観に
なり、そのへさきに当る前端に上記の突起３ａを有する
ほか、屋形に当る箱状部３ｂに、上面へ開口する内部空
洞３Ｃを有する。

この箱状部３ｂはさや１の唇状部１ａ、ｌｂの間隔に対
応する幅で、さや１の溝１ｄに適合する底板３ｄの全幅
よりも狭いものとし、その側面（図示例で両側）に内部
空洞３Ｃと通じる窓開口３ｅ。

３ｆをあけ、この窓開口３ｅ、３ｆの内がら外に向って
張り出し、さや１の鋸歯状凹凸１Ｃとかみ合って摺動駒
３の位置定めを司るクリック止め弾性片３ｇ、３ｈをさ
や１の長手方向と平行に突設しである。

このクリック止め弾性片３ｇ、３ｈは、図のような一対
として突出の向きを揃えるときは長さを異ならせるとか
また前後が交互になる配置に設けるとかの手段を講じて
、突起３ａに働く支点３ａ’のまわりにおける各弾発点
のモーメントの差で該突起３ａを介し刃身２をその峰で
さや１の溝壁に当るようにして刃先２Ｃの保護を行うこ
とがのぞましい。

箱状部３ｂの内部空洞３Ｃ内にタンブラノブ４をピンＡ
により枢支しかつタンブラノブ４に通したピンＢと、箱
状部３ｂの前縁に通したピンＣとの間にかけ渡したば゛
ね７により第２図ＣのようにピンＡ、Ｃの各中心を結ん
だ直線上にピンＢの中心が位置する中立位置を占めさせ
る。

タンブラノブ４の前後に指かけ４ ａ 、４ ｂを対設
し、また下向きに突出してクリック止め弾性片３ｇ、３
ｈ間に挾まってそれらの内向きの撓曲を常時に拘束する
ロック脚４Ｃを設け、箱状部３ｂの後端には指かけ４ｂ
と、ロック脚４Ｃに対するストッパ３ｍ、３ｎを設ける
。

タンブラノブ４は第２図ｄに示した後傾転向位置で、ク
リック止め弾性片３ｇ、３ｈ間に挟圧したロック脚４Ｃ
をその拘束位置から脱去でせるので、その内向き撓曲避
退か゛自由となり、それ故こ、のときタンブラノブ４に
加えられた力Ｆが摺動駒３に伝わって、さや１の鋸歯状
凹凸１Ｃに対するクツツク止め弾性片３ｇ、３ｈの弾発
力に抗した移動を生じて刃身２の引込み移動が、また逆
にタンブラノブ４の逆方向すなわち前傾転向によっても
、上記したと同様にして摺動駒の前進移動が導かれて切
先２ａの必要な突出移動をやはり適切に実現でき刀身の
退去、突出側位置でタンブラノブ４の中立位置への復帰
により再ロックが成就される。

ここにタンブラノブ４の前傾、後傾同操作とも、摺動方
向に沿って力を加えるだけでよく、従来のロック操作が
できない単純なりリック止めスライド式のカッタナイフ
におけると全く同様なワンタッチで行える。

しかしそれにも拘らず、切先１Ｃの進出、収納の何れを
問わず、刀身１自体に作用するいかなる力に対しても、
クリック止め弾性片３ｇ、３ｈはタンブラノブ４のロッ
ク脚４Ｃによってクリック止め位置が拘束されていて、
絶対に刃身２の妄動を来すおそれがないのである。

かくしてこの考案によれば、さやの長手方向に沿って、
タンブラノブを動かすワンタッチ操作によって刀身のス
テップ移動による送り出しと格納両作動が、従来のクリ
ック止めスライド式カッタナイフと同様に行えるにも拘
らず、刀身に加わるいかなる向きの力に対しても、その
妄動を生じない確実なりリック止めのロックを実現し、
この種カッタナイフの操作性９作業性そして安全性の改
善に、比類のない卓効をもたらす。

【図面の簡単な説明】

第１図は外観図、第２図ａ、ｌ）、ｃおよびｄは、要部
の詳細図と、同図ａのＡ−Ａ線に沿う断面図および、Ｂ
−Ｂ線に沿うタンブラノブの異なる位置における各断面
図であり、第３図は摺動駒の分解斜視図である。 １・・・・・・さや、ｌａ、ｌｂ・・・・・・唇状部、
１Ｃ・・・・・・鋸歯状凹凸、２・・・・・・刃身、２
ａ・・・・・・切先、３・・・・・・摺動駒、３ａ・・
・・・・突起、３ｇ、３ｈ・・・・・・クリック止め弾
性片、４・・・・・・タンブラノブ、４Ｃ・・・・・・
ロック脚。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. Ｃ字形断面形状になり互いに向い合った唇状部の少くと
   も片側に鋸歯状凹凸を列設したさや、このさやの溝内に
   摺動して切先を出入し得る刀身、そしてこの刀身の後端
   を脱着可能に係止する突起をそなえかつ上記さやの鋸歯
   状凹凸とかみ合うクリック止め弾性片をもった摺動駒か
   ら成り、この摺動駒には、その摺動の方向に前後転向可
   動のタンブラノブを枢支しこのタンブラノブにはその前
   向きおよび後向き各転向位置でのみクリック止め弾性片
   の撓曲の拘束を解除するロック脚を設けたことを特徴と
   するクリック止めロック式スライド形カッタナイフ。