JPS5918552B2 - 点火時期制御装置 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明は吸気弁のバルブタイミングを可変として吸入空
気量を制御するようにした内燃機関において、吸気弁開
弁期間に応じて点火時期を決定するようにした点火時期
制御装置に関する。

一般に内燃機関の吸気弁の開閉時期は、機関運転状態の
いかんにかかわらず固定的に設定されているのが普通で
あって、例えば吸入上死点前、クランク角度で１０°〜
２０°で開き始め、下死点後５０°〜６０°で閉じ終る
ようになっている。

そして、このバルブタイミングは、吸気絞弁の全開する
高負荷運転域での最大出力の確保に重点をおいて設定さ
れる。

ところで、火花点火式内燃機関においては、吸入空気量
（換言すると機関出力）をコントロールするために吸気
絞弁を設けているが、この絞弁開度に応じて絞弁下流に
発生する吸入負圧が吸入行程時のピストンに対する負の
仕事、即ちポンピングロスとなって発生熱エネルギの相
当部分が熱損失として消費される。

このポンピングロスは吸入負圧が強くなるほど増大し、
したがって自動車用内燃機関のように低負荷状態での使
用頻度が高いものでは、燃費効率の改善にとって大きな
障害となっていた。

ところで、吸入空気量を制御する方法として、吸入行程
で開く吸気弁の開弁期間を運転状態（アクセル開度）に
応じて可変として、シリンダの有効容積を実質的に増減
することが考えられるが、この方法によれば吸気絞弁が
省け、吸気弁の開弁時におけるポンピングロスを低減す
ることが可能となる。

これを第１図によって詳述すると、吸気弁の開弁時期は
原則的に、上死点前１０°〜２０°に設定するが、閉弁
時期をアクセル開度に対応して変化、即ち、低負荷にな
るほど早く閉じ、同時にバルブリフトも小さく（バルブ
リフト量を小さくすることは、カム作動時の衝撃を柔ら
げることが主であり、滑らかな作動が得られれば、リフ
トは必ずしも小さくする必要はない。

）設定し、負荷の増加に比例して閉時期を遅らせるとと
もにリフトを増し、高負荷域では通常のバルブタイミン
グ固定型と同程度に設定する。

吸入行程でピストンの降下に伴い吸気弁を通って混合気
がシリンダ内に吸入されるが、吸気弁を下死点到達前に
閉じれば吸入作用はその時点で終了し、その結果、シリ
ンダの実質的な有効容積は吸気弁が閉じたときのピスト
ン位置によって決まり、したがって吸気弁を早く閉じる
ほど吸入空気量は減少する。

このようにして吸気弁の開弁期間を可変として吸入空気
量を制御すれば、吸気絞弁を設けるのと異り吸入負圧が
殆んど発生しないため、ポンピングロスを大幅に低減す
ることが可能となるのである。

なお、吸気弁の閉時期を圧縮行程において可変としても
、いったんシリンダに吸入した混合気の一部を吸気系に
押し戻すことにより、同様な制御が可能となる。

ところで、火花点火式内燃機関にあっては、機関運転状
態に応じて点火時期を制御し、常に最適な点火進角状態
が得られるようにしている。

このために通常はガバナ進角（回転数進角）とバキュー
ム進角（吸入負圧進角）を併用して点火時期を制御して
いるのが普通である。

このうち、バキューム進角は機関負荷に対応しての進角
機能をもち、低負荷域での燃焼遅れを改善するように、
低負荷域はど増大する吸入負圧を利用して進角度を大き
くしている。

ところが、上記した吸気弁バルブタイミング可変型機関
では、吸入負圧と機関負荷との相関性が稀薄化するため
、吸入負圧にもとづく点火進角の制御が困難となる。

本発明はこのようなバルブタイミング可変型機関におい
て、機関負荷と直接的な関連性のある吸気弁の開弁期間
（開弁度合）を検出し、これにもとづいて点火進角を増
減制御する装置を提供し、もって機関負荷に対応して適
正な点火特性を得ることを目的とする。

以下、第２図によって本発明の詳細な説明すると、シリ
ンダヘッド１の上部には軸受２間で回転かつ摺動自由に
カム軸３が支持され、吸気弁４に対応した位置にはカム
軸３の軸方向の変位に伴ってプロフィルが変化し、吸気
弁の開弁期間及びリフトを前述した第１図のように可変
とする三次元カム（立体カム）５が形成される。

つまり、図の状態ではカム軸３が左方に移動するほど吸
気弁４の開弁期間とリフトが増加し、吸入空気量が増大
するようになっている。

ガム軸３の一端にはスプライン部６を介してスプロケッ
トホイール７が結合し、機関回転に同期してカム軸３を
回転させる。

カム軸３の他端には、油圧シリンダ８に摺動自由に収め
られたピストン９が相対回転可能に連結し、油圧室１０
に供給される油圧制御装置１１を介しての制御油圧によ
り、リターンスプリング１２に抗してカム軸３を軸方向
に変位させる。

油圧制御装置１１はアクセルペダル（図示せ力と連動す
るスロットレバー１４を介して作動するもので、バルブ
ハウジング１５には２つのピストン１６，１γが直列的
に収められ、内側のピストン１６にロッド１８を介して
連結した弁体１９が、油圧ポンプ２０からの油圧が供給
されるポンプ通路２１と、上記した油圧シリンダ８の油
圧室１０に連通ずる供給通路２２及びタンク２３に連通
する還流通路２４が接続する調圧室２５との通口２６を
開閉する。

２７．２８はそれぞれピストン１６と１７のリターンス
プリングであり、またピストン１６で画成される圧力補
正室２９には通路３０を介して調圧室２５の油圧が伝達
される。

したがって、ピストン１６の左方への変位量が増すほど
通口２６の開度が大きくなり、調圧室２５の油圧が上昇
する。

なお、調圧室２５にはオリフィス付の還流通路２４が連
通しているので、余剰流量はタンク２３側へと戻される
が、還流通路２４は十分に絞っであるので、調圧室２５
の油、圧はポンプ通路２１の開度つまり通口２６の開口
面積に比例するのである。

また、圧力補正室２９にも調圧室２５の油圧が伝達され
ているので、弁開度と無関係に油圧が変化したときは、
油圧に応じてピストン１６を変位させこれを自動的に補
正する。

したがって油圧制御装置１１でコントロールされる油圧
は、アクセルペダルの踏み込み量に対応してピストン１
６が押し込まれるなど上昇し、これに伴って油圧シリン
ダ８のピストン９がカム軸３を図中左方に移動させ、カ
ム５の吸気弁４に衝接するプロフィルを変化させて吸気
弁開弁期間及びリフトを増加し、吸入空気量を増大させ
る。

つまりアクセル開度が増すほど高負荷側のカム位置へと
移り、負荷に応じて吸入空気量を増大させるのであり、
この結果油圧制御装置１１から供給される制御油圧は、
機関負荷に対応した精度のよい関数となる。

そこで本発明では従来の吸入負圧に替えてこの制御油圧
を利用して点火進角値を制御（但し、吸入負圧の増大に
応じて進角させていたのに対して、制御油圧の減少に応
じて進角させるという特性上の相違は当然制御する４）
）シ、機関負荷に応じて適正な進角特性を得るようにし
た。

図において、３５はディストリビュータ３６のハウジン
グ、３７は機関回転に同期して回転するカム、３８はカ
ム３７によって開閉した点火タイミングをコントロール
するブレーカ、３９はブレーカ３８のカム３７に対する
相対位置を変化させるためのブレーカプレートであり、
このブレーカプレート３９をカム３７の回りで相対的に
回動させるように、ハウジング３５に取付けた制御シリ
ンダ４０がリンク４１を介して連結している。

制御シリンダ４０には前記制御油圧の一部が通路４２を
介して供給され、ピストン４３がスプリング４４に抗し
てブレーカプレート３９を回動させるようになっている
。

ブレーカプレート３９をカム３７の回転方向への回動角
を増すほど点火進角度が減少し、逆に回動させれば点火
進角度は増大する。

したがって油圧の減少する低負荷時はどリターンスプリ
ング４４の働きでピストン４３が押し戻され、点火進角
が増加することになる。

なお、図中４５は点火コイル、４６は点火回路である。

以上のような構成において、アクセル開度に応じて油圧
制御装置１１での油圧が制御されると、これに比例して
カム軸３が軸方向に変位し、吸気弁４の開弁期間及びリ
フトが変化し、このバルブタイミングに対応して吸入空
気量、換言すると機関負荷が制御される。

一方、機関の点火時期は一般に燃焼が遅れがちな低負荷
域はど進角度を大きくとればよく、このため、上記制御
油圧装置１１によって制御される油圧に応動して制御シ
リンダ４０を作動させると、油圧の上昇に応じてブレー
カプレート３９がカム３７と同方向に回動し、点火進角
を負荷の増加に対応して遅らせる。

つまり、低負荷では制御シリンダ４０に供給される油圧
が小さいので、ピストン４３はスプリング４４の作用力
で押し戻され、ブレーカプレート３９が時計方向に最大
限近くまで回動しているため、点火進角度は最大附近に
なっているが、その後油圧（負荷）の増大に伴って制御
シリンダ４０の作動量が比例的に増加し、ブレーカプレ
ート３９をカム３Ｔの回転方向への回動量を増すため、
点火進角は相対的に減少し、高負荷域では圧縮上死点附
近の最適点火時期にセットされるのである。

なお、本発明は通常のガバナ進角機構（回転数進角）と
併用すれば、さらに的確な点火時期制御が達成できる。

以上のように本発明によれば、吸気弁開弁期間を可変的
に制御するような機関において、機関負荷の個数となる
吸気弁の開弁期間に応じて点火時期を制御するので、常
に機関に要求される最適進角度が得られ、機関運転性能
や燃費の改善がはかれる。

なお、本発明はフルトランジスタ型点火装置に対しては
、油圧信号を電気信号に変換した上で点火時期を制御す
ればよい。

【図面の簡単な説明】

第１図は吸気弁の開閉時期を示す説明図、第２図は本発
明の実施例をあられす断面図である。 ３・・・・・・カム軸、４・・・・・・吸気弁、５・・
・・・・カム、９・・・・・・ピストン、１１・・・・
・・油圧制御装置、２２・・・・・・供給通路、３６・
・・・・・ディストリビュータ、３７・・・・・・カム
、３８・・・・・・ブレーカ、３９・・・・・・ブレー
カプレート、４０・・・・・・制御シリンダ、４４・・
・・・スプリング。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 吸気弁の閉時期を運転状態に応じて変えて開弁期間
   を可変とする動弁機構を備え、吸気弁の開弁期間に対応
   して吸入空気量を制御するようにした内燃機関において
   、吸気弁の閉時期を検出する手段と、この吸気弁の閉時
   期の検出結果にもとづき閉時期が吸入下死点近傍に近づ
   くにつれて点火進角を減じる手段とを備えたことを特徴
   とする点火時期制御装置。 ２ 吸気弁の閉時期を検出する手段は、動弁機構を制御
   する油圧アクチュエータに供給される油圧を検出するよ
   うになっている特許請求の範囲第１項記載の点火時期制
   御装置。 ３ 点火進角を減じる手段が、ディス） ＩＪピユータ
   のブレーカプレートに連動する制御シリンダであって、
   上記油圧によって該シリンダを作動させるようにした特
   許請求の範冊第２項記載の点火時期制御装置。 ４ 点火進角を減じる手段が、フルトランジスタ型点火
   装置であって、上記油圧信号を変換した電気的信号にも
   とすいて点火時期を制御するようにした特許請求の範囲
   第２項に記載の点火時期制御装置。 ５ 動弁機構が、油圧シリンダに連動して軸方向に変位
   するカム軸と、カム軸の軸方向変位に伴ってプロフィル
   の変わる三次元カムとから構成される特許請求の範囲第
   １項〜第４項記載のいずれか一つに記載の点火時期制御
   装置。