JPS5911199Y2 - 建物における引違い戸の気密構造 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 この考案は建物における窓や出入口などの引違い戸の気
密構造に関し、特に内外引き戸の上端部側の気密構造に
関する。

一般に、上述した引違い戸においては内外両引き戸の上
端部の側面部位にシール材を設けて鴨居等の上案内枠と
の間の気密を図っていたが、その従来の構造では内外引
き戸の重合端部において上端面と上案内枠との間の空隙
を通って外気が侵入する問題があった。

これを防ぐには上記側面部位に加えて内外引き戸の重合
端部上端面部位にもシール材を設ける必要があり、同時
に内外引き戸の下端部と鴨居等の下案内枠との気密を考
えると、更に多くのシール材を内外引き戸のあちこちに
設けることになり、これでは内外引き戸の構造が複雑と
なってコスト高を招くばかりか、各部位のシール材の剥
れなどの不都合が生じ易く問題であった。

この考案は上記事情に鑑みなされたもので、その目的と
する処は、内外引き戸の互に隣接する側の上端面部両方
に跨がって適当に当接するシール材を上案内粋にこの全
長に亘り設けるだけと云った非常に簡単な構或でもって
、それ以外の他の部位にシール材を設けるなどしなくて
も、内外引き戸の上端部側の気密を完全に図ることがで
きるものを提供することにある。

また上端部の気密だけでなく下端部側の気密を図る場合
にも好都合な結果を得ることが可能となると云った予想
外の結果をも期待できるようになるものを提供しようと
することにある。

以下、この考案の一実施例を図面に従い設明する。

図中１，２は建物Ａの窓部等に外付けと称される如く取
付けられた上下案内枠で、これら上下案内枠１，２はウ
ッドサッシと呼ばれ複数の木材を組合わせてそれぞれ構
或されたもので、その上案内枠１は下面の外側端寄りに
巾狭なガイド溝３を、それより内側端寄りに中広なガイ
ド溝４をそれぞれ全長に亘り有し、下案内枠２は傾斜上
面の巾方向に略等間隔を存した位置に３本のガイドレー
ル５， ６． ７をそれぞれ全長に亘り突出した状
態で有している。

そして上下案内枠１，２間の外側端寄りに一枚の網戸８
が上端を巾狭なガイド溝３に摺嵌し下端をガイドレール
５上に戸車９を介して摺合して長手方向に移動可能に取
付けられ、その網戸８より内側寄りに障子又はガラス戸
等の内外２枚の引き戸１０． １１がそれぞれ上端を巾
広なガイド溝４に摺嵌し下端をガイドレール６，７上に
戸車１２．１３を介して摺合して各々長手方向に移動可
能に取付けられている。

また、上記上下案内枠１，２の外側端には同しく木製の
雨戸用上下枠１４， １５が取付けられ、その各々に一
筋のガイド溝１６， １７が形或され、その上下枠１４
， １５間に雨戸１８がその上端をガイド溝１６に摺嵌
し下端をガイド溝１７に戸車１９を介して摺合して移動
可能に設けられている。

上述した構戊で引違い戸として取付けられている内外引
き戸１０．１１の上端部の気密構造を以下述べると、そ
の内外引き戸１０，１１は上端面に各々巾方向中間に位
置して凹溝２０， ２１を全長に亘り有する構造であり
、これに対して上案内枠１はその巾広ガイド溝４内面中
間に更に凹部２２が形戊され、この凹部２２に嵌合する
ようにして断面「１形状のアルミ等の金属製ガイド部材
２３がビス２４により全長に亘り固定され、そのガイド
部材２３の両側垂下板の下半部が上記ガイド溝４内に突
出して上端ガイドレール２５， ２６とされており、そ
の一方のガイドレール２５が上記内引き戸１０の上端凹
溝２０に摺嵌し、他方のガイドレール２６が外引き戸１
１の上端凹溝２１に摺嵌してそれぞれ該内外引き戸１０
．１１の上端部側を案内支持するようになっている。

こうした内外引き戸１０．１１上端と上案内枠１との間
の気密を図るものとしてシール材２７が上記ガイド部材
２３内にその長手方向全長に亘って設けられている。

このシール材２７はウレタンゴムやスポンジ等の弾性を
有する比較的厚肉の帯板状のもので、上記ガイド部材２
３の両側ガイドレール２５， ２６の相対面下端寄りに
形威した係止段部２５ａ，２６ａから外れ落ちない範囲
で該両側ガイドレール２５， ２６間に上下動可能に密
に摺嵌されていると共に、上側からスプリング２８によ
り常時下方向へ弾圧せしめられて上記内外引き戸１０，
１１の互に隣接する側の上端面部１０ａ，ｌｌａ両方に
跨がってこれら内外引き戸１０，１１の移動に支障をき
たさない程度の適度な圧力でもって圧接するようになっ
ている。

なお、上記保合段部２５ａ，２６ａは内外引き戸１０．
１１の上端面部１０ａ，１０ｂより常に低い位置に来
るよう設定されている。

而して、上述した構戊の気密構造であれば、ガイド部材
２３内に一枚のシール材２７を設けておくだけで、その
他従来の如く内外引き戸１０．１１の上端部側面部位等
に各々シール材を取取付けなくても、該内外引き戸１０
．１１の上端と上案内枠１との間の気密が完全に図れる
ようになる。

即ち、ガイド部材２３の両側ガイドレール２５， ２６
相互間に全長に亘り密に摺嵌したシール材２７が内外両
引き戸１０． １１の互に隣接する側の上端面１０ａ，
ｌｌａに常に圧接していることから、内外引き戸１０．
１１が存在する部位から第２図の矢印Ｂ， Ｃに示す
如く外気が侵入するようなことが全く無くなると同時に
、第２図の矢印Ｄで示す如く外気が内外引き戸１０，
１１の重合端部位においてその外引き戸１１端側から内
外引き戸１０．１１の上端面上側を通って内引き戸１０
端方へと抜けるようなことも完全に無くなる。

当然のことながら上述の矢印Ｂ， Ｃ，Ｄの逆である
室内空気の外部への逃げも完全に無くなる。

従って、内外引き戸１０， １１の上端側の気密は完全
なものとなる。

なお、ここで実際には内外引き戸１０，１１の気密は上
述した上端側だけでなく、内外引き戸１０， １１の互
に隣接する側面間や下端側をも考えなければならないが
、その側面間は第２図に示す如く内外引き戸１０．１１
の重合端部のどちらか一方に従来同様にガスケットの如
きシール材２９を上下に亘り設ければよく、また内外引
き戸１０，１１の下端側は下案内枠２との間に従来同様
にシール材（図示せず）を設けてもよく、或いは第３図
及び第４図に示す如く下案内枠２のガイドレール６，７
に内外引き戸１０， １１の戸車１２， １３と対応し
て滑らかな円弧状をした凹部６ａ，６ｂ，７ａ，７ｂを
設け、内外引き戸１０，１１を互に一端方と他端方とに
その移動限まで移動させて閉めた状態時に、戸車１２，
１２及び１３， １３が凹部６ａ，６ｂ及び７ａ，７ｂ
に落ち込んで、該内外両引き戸１０， １１の下端面１
０ｂ， １ｌ ｂが第１図実線で示す如く下案内枠２上
面と接合するようにしてその下端側の気密を図るように
してもよく。

この場合内外引き戸１０，１１の移動時は戸車１２，
１２及び１３， １３がガイドレール６，７の凹部６ａ
，６ｂ及び７ａ，７ｂから乗り上がることで、該内外引
き戸１０， １１の下端面１０ｂ，１１ ｂが第１図想
像線で示す如く下案内枠２上面から浮上すべく離間して
スムーズな移動を可能とする。

しかして内外引き戸１０．１１を上下動して下端側の気
密を図るようにした場合、従来のものでは上端側の気密
がおろそかになるが、この考案のものでは上述の如くシ
ール材２７が上下動可能で且つ常時下方に弾圧されてい
て内外引き戸１０．１１の上下動に関係なくその上端面
１０ａ，ｌｌａに圧接することから、何ら問題を生じる
ことがなく、逆に上述したシール材を用いることなく内
外引き戸１０．１１の上下動によりその下端側の気密を
図るのに非常に好都合なものとなる。

なお、この考案は上記実施例のみに限定されることなく
、例えば上下案内枠１，２は木製以外にアルミサッシを
用いても可であり、その断面構造も適宜変更してもよい
。

更にシール材２７はスプリング２９を用いなくても自分
自身の弾性で゛内外引き戸１０． １１の上端面１０ａ
，ｌｌａに圧接するようにしてもよく、その材質も特に
限定されない。

この考案は以上詳述した如くなしたから、内外引き戸の
互に隣接する側の上端面部両方に圧接するシール材を上
案内枠全長に亘り設けるだけと云った非常に簡単な構戒
でありながら、内外引き戸の上端部側の気密を完全に図
ることができる極めて実用性大なるものであると共に、
その上端側に関連して下端側の気密を図る場合にも何ら
支障がなく、逆にその下端側の気密構造の簡略化が望め
るようになるなどの予相外の効果を期待できるものであ
る。

【図面の簡単な説明】

図面はこの考案の一実施例を示すもので、第１図は縦断
面図、第２図は横断面図、第３図は下案内粋のガイドレ
ールの正面図、第４図は同斜視図である。 １・・・上案内枠、２・・・下案内枠、１０・・・内引
き戸、１１・・・外引き戸、１０ａ，ｌｌａ・・・上端
面、２７・・・シール材。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 建物に設けた上下案内枠間に内外引き戸をそれぞれ摺動
   可能に取付けてなるものにおいて、内外引き戸の互に隣
   接する側の上端面部両方に跨がって適度に圧接するシー
   ル材を上案内粋にこの全長に亘り設けて構或したことを
   特徴とする建物における引違い戸の気密構造。