JPS58946B2 - ダイカスト装置のプランジヤチツプ - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 この発明は、とくに高融点金属を鋳造するのに好適なダ
イカスト装置のプランジャチップの改良に関するもので
ある。

射出スリーブ内で摺動可能にしたプランジャチップの前
進により金型キャビティ内に溶融金属を圧送し、金型キ
ャビティの形状に相応した鋳造製品を得るダイカスト装
置は広く知られている。

この場合、射出スリーブおよびプランジャチップは常に
高温の溶融金属にさらされるのでかなり熱歪を生じ、こ
の状態でプランジャチップの摺動を伴なうために、射出
スリーブとプランジャチップの各々摺動面において“か
じり”等の損傷を早期に発生しやすい問題を有している
。

そして、このような問題は鉄系合金等の高融点金属の場
合にさらに著しく発生し、“かじり”の度合が大きくな
ると遂にはプランジャチップによる射出が不可能になり
、作業中断等の事態を生じて生産性の低下をきたし、場
合によってはプランジャチップからの圧力を受けて“か
じり”を生じた部分より溶融金属が逆流し、射出部外へ
飛散するなどの危険な状況をひき起すことがある。

そのため、従来ではプランジャチップに冷却水を通過さ
せて強制的に冷却したり、射出スリーブの内面に潤滑剤
を塗布したりすることにより、熱歪の発生“かじり”等
の損傷をできるだけおさえるようにしていた。

また、第１図に示す固定金型１、移動金型２、射出スリ
ーブ３、プランジャチップ４、射出スリーブ３に設けた
注湯口５等よりなるダイカスト装置において、射出スリ
ーブ３の内面に硬化層３ａを形成すると共にプランジャ
チップ４の摺動面に複数の現状凹溝６を形成して潤滑剤
７を充填し、この潤滑剤７によって射出スリーブ３とプ
ランジャチップ４の摺動面で♂かしり 等の発生を防止
する試みもなされている。

しかしながら、第１図の場合にプランジャチツプ４の前
進による射出開始当初はさほど支障がないものの、プラ
ンジャチップ４の前進限近くになるにつれて潤滑剤が供
給されにくくなり、射出スリーブ３の位置によって潤滑
が一様におこなわれがたいと同時に潤滑効果が激減する
おそれを有している。

さらに、射出スリーブ３とプランジャチップ４とのすき
間もさほど大きくとれないため、“かじり”等の損傷を
受けやすい問題を残している。

この発明の目的は、上述した従来技術の欠点を解消し、
射出スリーブとプランジャチップとのすき間を大きくと
ることができ、射出スリーブとプランジャチップが高温
および高圧の溶融金属に接触して大きな反力を受けたと
きでも熱歪や圧力歪を生じがたく、仮に生じたときでも
“かじり”等の損傷を生じにくくすると共に射出スリー
ブの注湯口側から金型側までの間において潤滑剤の供給
を間断なくおこなって一様に潤滑することができるダイ
カスト装置のプランジャチップを提供することにある。

この発明は、プランジャチップを駆動装置側のプランジ
ャチップ本体と金型側のプランジャチップ頭部とに分割
して該プランジャチップ頭部に設けた摺動軸を前記プラ
ンジャチップ本体に設けた摺動孔に嵌合して摺動可能に
し、前記プランジャチップ頭部を射出方向に付勢する弾
性体を前記プランジャチップ本体内に設けて前記弾性体
の伸張状態において上記プランジャチップ頭部とプラン
ジャチップ本体前端部との間に前記弾性体の伸縮と共に
容積が変化する潤滑剤の充填部を形成可能にし、かつ前
記溶融金属への最大加圧状態において前記プランジャチ
ップ頭部をプランジャチップ本体前端部で支持可能にし
たことを特徴としている。

次に、この発明の実施例を図面に基いて詳細に説明する
。

第２図ないし第４図はこの発明の一実施例におけるダイ
カスト装置の各々射出直前、射出途中および射出直後の
射出部拡大断面説明図であって、射出スリーブ１０内に
おいてプランジャチップを摺動可能に配設しいてる。

そして、前記プランジャチップをプランジャチップ本体
１１とプランジャチップ頭部１２とに分割し、該プラン
ジャチップ頭部１２をプランジャチップ本体１１に対し
て射出方向に摺動可能にしている。

すなわち、図に示すように、プランジャチップ本体１１
内に同心状の摺動孔１１ａおよびこれより大径の中空孔
１１ｂを形成すると共に、プランジャチップ頭部１２に
同心状でかつ前記摺動孔１１ａよりも長い摺動軸１２ａ
を形成し、該摺動軸１２ａを摺動孔１１ａ内に嵌合して
摺動可能にしている。

そして、プランジャチップ頭部１２の抜けを防止するた
めのストッパ手段として、摺動軸１２ａの端部に前記摺
動孔１１ａより大径の止めねじ１３を固定している。

一方、中空孔１１ｂ内にはめねじ部１１Ｃを形成し、図
示しない駆動源に連結したシリンダロッド１４のおねじ
部１４ａとねじ接合して該シリンダロッド１４とプラン
ジャチップ本体１１とが一体的に摺動しうるようにして
いる。

さらに、前記プランジャチップ本体１１に設けた中空孔
１１ｂ内において、上記止めねじ１３とシリンダロッド
１４の先端との間に弾性体たとえばコイルばね１５を介
在させてプランジャチップ頭部１２を常時射出方向に付
勢し、プランジャチップ頭部１２とプランジャチップ本
体１１の前端部との間に前記コイルばね１５の伸縮と共
に容積が変化する潤滑剤１６の充填部１７を形成する。

すなわち、第２図に示す射出直前の状態においてはコイ
ルばね１５の反ばつ力によってプランジャチップ頭部１
２は止めねじ１３が作用する最大限度まで射出方向に付
勢され、最大容積の充填部１７が形成される。

また、第４図に示す射出直後の状態においてコイルはね
１５の反ばつ力が射出圧力より劣るため、充填部１７は
消滅する。

上記した潤滑剤１６の充填部１７は、射出方向と直角に
設けることももちろん可能であるが、第２図に示すよう
に、プランジャチップ頭部１２と射出スリーブ１０との
間のすき間ａおよびプランジャチップ本体１１と射出ス
リーブ１０との間のすき間すへの潤滑剤１７の補填をさ
らに容易にするために、その外周側がより射出方向にか
たむく傾斜状にしておくのがよい。

また、プランジャチップ頭部１２と射出スリーブ１０と
の間のすき間ａは、５／１００ないし３０／１００ｍｍ
と比較的大きいものとするのが好ましい。

この場合、５／１００ｍｍ未満ではプランジャチップ頭
部１２と射出スリーブ１０とが熱歪による影響から“か
じり”等の損傷を生じやすくなるので好ましくなく、３
０／１００ｍｍを超えると潤滑剤の充填によっても溶融
金属の逆噴出を阻止できなくなってプランジャチップ頭
部１２と射出スリーブ１０との間への溶融金属の差し込
みが多くなるので好ましくない。

上記したすき間ａは、鋳造条件によって変化しつる要素
をそなえているが、従来の射出スリーブとプランジャチ
ップとの間のすき間に比較してさらに大きな値をとりう
る。

また、プランジャチップ本体１１と射出スリーブ。

１０との間のすき間すについても、本実施例の場合上記
したプランジャチップ頭部１２と射出スリーブ１０との
間のすき間ａと同様であることが望ましい。

そして、第２図に示すようなプランジャチップ本体１１
の引込位置において、射出スリーブ１０には、潤滑剤の
充填部１７に対して潤滑剤１６の補給を可能にする充填
孔１８を設ける。

すなわち、充填孔１８に供給管１９の一端側を接続する
と共に他端側をチェックバルブ２０を介して供給シリン
ダ２１に接続し、駆動シリンダ２２の作動により供給タ
ンク２３内の潤滑剤１６を充填部１７内に供給できるよ
うにしている。

なお、本実施例においては、プランジャチップ頭部１２
と射出スリーブ１０との間のすき間ａおよびプランジャ
チップ本体１１と射出スリーブ１０との間のすき間すが
比較的大きな値を有しているので、潤滑剤１６として粉
末状のもの（たとえば黒鉛粉末）やペースト状のもの（
たとえばオイルによって粘度を調整したもの）などを使
用する。

そこで、第２図に示す状態、すなわちコイルはね１５の
反ばつ力によって充填部１７が形成され、さらに該充填
部１７内の粉末状またはペースト状の潤滑剤１６が充填
された状態において、射出スリーブ１０に形成した注湯
口５より溶融金属を注入して射出を開始する。

この射出は、図示しない射出駆動シリンダの前進により
、シリンダロッド１４、プランジャチップ本体１１およ
びプランジャチップ頭部１２が前進して溶融金属を金型
方向すなわち図示左方向に圧送することによっておこな
われる。

このとき、第３図に示すように、コイルばね１５は溶融
金属２４から受ける折抗により次第に圧縮され、それに
伴なって充填部１７の容積も減少していくため、充填部
１７内の潤滑剤１６はプランジャチップ頭部１２と射出
スリーブ１０との間のすき間ａおよびプランジャチップ
本体１１と射出スリーブ１０との間のすき間す内に補填
されていく。

さらに、第４図に示すように、固定金型１と移動金型２
とにより形成された金型キャビティ２５内に溶融金属２
４が充填されるに至ると、プランジャチップ頭部１２が
溶融金属２４の最終増圧を受け、該最終増圧がコイルは
ね１５の反ばつ力を上回ってプランジャチップ頭部１２
が図示右方向に押しつけられ、充填部１７は圧縮消滅す
る。

したがって、充填部１７内に存在した潤滑剤１６はすべ
てプランジャチップ頭部１２と射出スリーブ１０との間
のすき間ａおよびプランジャチップ本体１１と射出スリ
ーブ１０との間のすき間すに排出充填されるため、両す
き間ａおよびｂが従来よりも比較的大きな値をもってい
るときでも、最終増圧段階における溶融金属２４の逆流
は完全に阻止できると共に、射出初期から最終増圧段階
に至るまでの間で均一な潤滑をおこなうことができる。

また、最終増圧の状態では、第４図に示すように、プラ
ンジャチップ頭部１２がプランジャチップ本体１１の前
端部で支持されることとなるため、プランジャチップ頭
部１２の変形を防止することができる。

なお、プランジャチップ頭部１２の摺動軸１２ａとプラ
ンジャチップ本体１１の摺動孔１１ａとの間のすき間Ｃ
は、両者の摺動が可能である限り緊密な値としているの
で、このすき間Ｃへの潤滑剤１６の侵入は考えられない
。

しかしながら、安全策として第５図および第６図に示す
ように、シリンダロッド１４に逃げ孔１４ｂを形成し、
すき間Ｃをまれに通過した潤滑剤を外部に排出できる構
造を採用するのもよい。

上述の実施例からも明らかなように、この発明では、プ
ランジシャチップをプランジャチップ本体１１とプラン
ジャチップ頭部１２とに分割しているため、溶融金属２
４と直接には接触しないプランジャチップ本体１１の素
材として、必らずしも高価な耐熱合金を使用する必要が
ないという利点も有している。

また、プランジャチップ頭部１２を射出方向に付勢する
弾性体は、ある程度の高温に耐え得るものであればよく
、必らずしもコイルはね１５でなくともよい。

以上詳述したように、この発明によれば、プランジャチ
ップをプランジャチップ本体とプランジャチップ頭部と
に分割して該プランジャチップ頭部に設けた摺動軸を前
記プランジャチップ本体に設けた摺動孔に嵌合して摺動
可能にし、プランジャチップ頭部をプランジャチップ本
体内に設けた弾性体により射出方向に付勢してプランジ
ャチップ頭部とプランジャチップ本体端部との間に潤滑
剤の充填部を形成し、最終増圧時にプランジャチップ頭
部をプランジャチップ本体の前端部で支持できるように
したので、射出過程においてプランジャチップ頭部は溶
融金属からの圧力を受けて前記弾性体の反ばつ力に抗し
て後退し、潤滑剤の充填部の容積を次第に減少して潤滑
剤を強制的に漸次排出する。

したがって、プランジャチップ頭部およびプランジャチ
ップ本体と射出スリーブとの間のすき間を大きくとった
場合でも溶融金属の逆流を阻止することができ、プラン
ジャチップおよび射出スリーブに熱歪を生じたときでも
プランジャチップと射出スリーブの各々摺動面における
“かじり”等の損傷をなくすことができる。

しかも、潤滑剤が漸次排出供給されるので射出スリーブ
の注湯口側から金型側までの間で一様に潤滑され、プラ
ンジャチップの射出摺動を従来にも増して円滑になすこ
とができ、最終増圧時にプランジャチップ頭部をプラン
ジャチップ本体前端部で支持するためプランジャチップ
頭部の変形を防ぐことが可能であり、射出スリーブなら
びにプランジャチップ（本体および頭部）の寿命を飛躍
的に延長できるという非常にすぐれた効果を有する。

【図面の簡単な説明】

第１図は従来のダイカスト装置の断面説明図、第２図な
いし第４図はこの発明の一実施例におけるダイカスト装
置の各々射出直前、射出途中および射出直後の射出部拡
大断面説明図、第５図および第６図はこの発明の各実施
例におけるシリンダロッド構造の説明図である。 １０・・・・・・射出スリーブ、１１・・・・・・プラ
ンジャチップ本体、１２・・・・・・プランジャチップ
頭部、１４・・・・・・シリンダロッド、１５・・・・
・・コイルばね、１６・・・・・・潤滑剤、１７・・・
・・・充填部、２４・・・・・・溶融金属、２５・・・
・・・金型キャビティ。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 射出スリーブ内で摺動可能にしたプランジャチップ
   の前進により金型キャビティ内に溶融金属を圧送するダ
   イカスト装置において、前記プランジャチップをプラン
   ジャチップ本体とプランジャチップ頭部とに分割して該
   プランジャチップ頭部に設けた摺動軸を前記プランジャ
   チップ本体に設けた摺動孔に嵌合して摺動可能にし、前
   記プランジャチップ頭部を射出方向に付勢する弾性体を
   前記プランジャチップ本体内に設けて前記弾性体の伸張
   状態において上記プランジャチップ頭部とプランジャチ
   ップ本体前端部との間に潤滑剤の充填部を形成可能にし
   、かつ前記溶融金属への最大加圧状態において前記プラ
   ンジャチップ頭部をプランジャチップ本体前端部で支持
   可能にしたことを特徴とするダイカスト装置のプランジ
   ャチップ。 ２ 射出スリーブに、プランジャチップの後退限位置に
   おいて潤滑剤の充填部と該潤滑剤の供給装置とを連通ず
   る充填孔を設けた特許請求の範囲第１項記載のダイカス
   ト装置のプランジャチップ。