JPS588526Y2 - 射出成形型のホツトランナ構造 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は、通常射出成形型の固定金型に内設される射出
成形用の溶融樹脂材料の通路たるホットランナの改良に
関するものであり、加熱時の熱膨張による伸びを吸収し
、ホットランナ各部材の接合部における樹脂洩れを防止
しうるホットランナ構造を得ることを目的としている。

従来のホットランナ構造は、第２図に示す如く、ホット
ランナブロック２１．ホットランナノズル２２およびス
プルーブツシュ２３よりなり、固定金型取付板９に固定
されている固定金型２６の空腔２９内に配置され、ホッ
トランナブロック２１は中央の位置決めブロック８、受
圧ブロック２５および通常複数の位置決めブロック２８
等を介し、固定金型取付板９および固定金型２６との所
定の関係位置に保持され、位置決めブロック２８を介し
て固定金型２６に螺止固定されている。

前記ホットランナブロック２１には互に連通しているラ
ンナ３２，３３．３４が順次略直角方向に穿設され、ラ
ンナ３２はノズルタッチブロック１０を介して、固定金
型取付板９内のノズル（図示せず）と当接連通し、ラン
ナ３３はランナ３２と略直角方向たる固定金型取付板９
の取付面と略平行の方向に連通延設され、ランナ３４は
前記ランナ３３の所定の位置において分岐され、ホット
ランナノズル２２に連通ずる。

ホットランナノズル２２はホットランナブロック２１に
螺送固定され、その螺送接合面ａ′においてランナ内を
流通する溶融樹脂材料の洩れ止め作用を受持ち、その先
端面はキャビティ３６に開口するスプルーブツシュ２３
との接合面ｂ′を形成している。

尚２４はホットランナノズル２２加熱用のヒータである
。

ホットランナノズル２２と同軸に連通ずる如く固定金型
２６に嵌挿されているスプルーブツシュ２３は、接合面
ｂ′におけるホットランナノズル２２からの押付力によ
り７ランジ２７を介して固定金型２６に圧着係合されて
いる。

ホットランナブロック２１と固定金型２６との保合は、
固定金型取付板９に取付ける前の固定金型２６の空腔３
０内に、前記ホットランナブロック２１に螺送固定され
ているホットランナノズル２２が挿入される如く、位置
決めブロック８および２８により空腔２９中のホットラ
ンナブロック２１の位置を定めておき、締付ボルト３１
により固定金型２６への係合を完了するものである。

この際空腔３０の可動金型７寄りに予め挿入されている
スプルーブツシュ２３は、接合面ｂ′においてホットラ
ンナノズル２２により押付けられ、固定金型２６に圧着
固定されることになる。

前述の構成のホットランナ構造においては、高温の溶融
樹脂材料が射出成形の行程毎にホットランナブロック２
１のランナ３２，３３．３４およびホットランナノズル
２２、スプルーブツシュ２３の各部材の通過および停止
を繰返し、従ってこれら各部材の加熱、放熱が繰返され
、毎回各部の膨張、収縮が繰返されるが、上述の従来構
造は、この間の膨張。

収縮の著しい長手方向、特にホットランナブロック２１
のランナ３３方向への伸び、その他各部材の伸びを吸収
しうる構成となっていないため、長時間使用すると、各
部位に歪、変形が発生し、前述のホットランナブロック
２１とホットランナノズル２２との螺送接合面ａ′およ
びホットランナノズル２２とスプルーブツシュ２３との
接合面ｂ′において樹脂洩れが発生する機会が多く、一
度樹脂洩れが発生すると、その分解、掃除、修理５組立
等に８時間程度の時間を必要とし、樹脂材料、動力費、
修復のための人件費、諸部材等に余分のコストを要し、
かつその間の生産停止による損失も大であった。

本考案は、この欠点を改良し、樹脂洩れの起らない従っ
て停機時間の極めて少ないホットランナ構造を考案した
ものであり、その構成について以下第１図により説明す
る。

本考案に係るホットランナ構造は、主としてホットラン
ナブロック１．ホットランナノズル２．スプルーブツシ
ュ３よりなり、更に固定金型６内に穿設されている空腔
１４，１５および１５′内には、前記諸部材と固定金型
取付板９および固定金型６との支承部材たるノズルタッ
チブロック１０５位置決めブロック８．受圧ブロック５
および皿ばね４が設けられている。

これらホットランナブロック１．ホットランナノズル２
およびスプルーブツシュ３等の配置は従来例と略同様で
ある。

これらのホットランナ諸部材を収納する空腔１４．１５
，１５’のうち、空腔１４は、射出成形型の固定金型取
付板９の略中夫に設けられているノズル１１に臨み、前
記固定金型取付板９に面して穿設され、空腔１５は空腔
１４に連通し、ノズル１１の軸心より所定の距離に偏心
した位置に固定金型取付板９の面に直角方向に、かつ可
動金型７方向へ向って穿設され、空腔１５に引続き、こ
れと同軸でより細径の空腔１５′が、固定金型６と可動
金型７との当接面に開口する如く穿設されている。

空腔１４は主としてホットランナブロック１を、空腔１
５は主としてホットランナノズル２を、空腔１５′は主
としてスプルーブツシュ３を収納する。

ホットランナブロック１の固定金型６に対する面には、
その中央に位置決めブロック８の嵌挿される嵌合凹部８
″が穿設され、その端部帯りに後述するホットランナノ
ズル２の嵌挿される摺動凹部３８が穿設され、固定金型
取付板９に対する面には、その中央に前記の位置決めブ
ロック８の嵌合凹部８“に対する位置に、ノズルタッチ
ブロック１０の嵌挿される嵌合凹部１０′が穿設され、
その端部帯りにおける前記のホットランナノズル２の嵌
挿される摺動凹部３８に対する位置に、受圧ブロック５
の嵌挿される摺動凹部３７が穿設され、前記両摺動凹部
３７．３８の各底面は、固定金型取付板９の面と平行面
に形成され、かつ両摺動凹部３７．３８は、ホットラン
ナブロック１の熱膨張時にその伸長に伴う摺動を可能と
する如く、それぞれ受圧ブロック５およびホットランナ
ノズル２との間に、中央の位置決めブロック８の嵌合凹
部８″を中心としたときの放射方向に、クリアランスを
存して形成されている。

また前記ホットランナブロック１には、互に連通してい
るランナ１７，１８．１９が順次略直角方向へ穿設され
、中央に穿設されるランナ１７はノズルタッチブロック
１０を介して固定金型取付板９内のノズル１１と当接連
通し、ランナ１８は中央より放射方向に延設され、ラン
ナ１９は前記ランナ１８の所定の位置において分岐され
て、後述するホットランナノズル２に連通ずる。

このホットランナブロック１は、空腔１４内に収納され
、同空腔１４内において、固定金型６に嵌合固定される
位置決めブロック８に嵌合して位置を決められ、該位置
決めブロック８を介して固定金型６と、また受圧ブロッ
ク５を介して固定金型取付板９とに当接し、空間を存し
て固定されている。

ホットランナノズル２はその中心に樹脂通路３９を穿設
された円筒状で、その外周には、空腔１５の内壁面に摺
接するフランジ１２が突設され、その一端面はホットラ
ンナブロック１の摺動凹部３８の底面と当接して接合面
ａを形成し、他端面には後述するスプルーブツシュ３の
一端面の嵌合凸部２０′と当接して嵌合面すを形成する
嵌合凹部２０が穿設されている。

なお前記ホットランナノズル２の外周面には通常加熱用
のヒータ１３が設けられている。

スプルーブツシュ３はその中心に樹脂通路４０を穿設さ
れた円筒状で、その一端に嵌合凸部２０′が形成され、
これに連続してフランジ１６が突設され、前記円筒状部
の外径は空腔１５′に摺動可能に嵌挿される大きさであ
り、フランジ１６の外径は、空腔１５の底部との間にお
いて皿ばね４を支承しうる大きさである。

従って皿ばね４の外径は空腔１５の内径より小であり、
その孔径はスプルーブツシュ３の円筒状部外径より大で
ある。

また前記ホットランナノズル２の嵌合凹部２０とスプル
ーブツシュ３の嵌合凸部２０′との凹凸は逆であっても
よい。

前記のホットランナ構造各部材の固定金型６への保合組
立は以下の如くにして行なわれる。

まず空腔１５内へ皿ばね４を挿入し、次にスプルーブツ
シュ３の円筒部を皿ばね４の内孔および空腔１５′に嵌
挿し、そのフランジ１６を前記皿ばね４に当接せしめる
。

そしてこの位置でスプルーブツシュ３と可動金型７との
間に空隙Ｃが形成されるようにしておく。

次いでホットランナノズル２の円筒部を空腔１５内に挿
入し、フランジ１２を空腔１５に指触せしめつつ嵌合凹
部２０を前記スプルーブツシュ３の嵌合凸部２０’に嵌
合せしめる。

この位置でホットランナノズル２の接合面ａを形成する
端面ば、皿ばね４の存在のため、最終組立位置より空腔
１４内に突出している。

更にホットランナブロック１の嵌合凹部８“および固定
金型６の嵌合凹部８′に位置決めブロック８を嵌合せし
めつつ、摺動凹部３８をホットランナノズル２の接合端
面に当接し、受圧ブロック５を摺動凹部３７に当接せし
めて固定金型６を固定金型取付板９に固着して組立を完
了する。

この位置で皿ばね４は軸方向に圧縮され、接合面ａ、嵌
合面すおよび受圧ブロック５と摺動凹部３７の底面との
間は常時皿ばね４の弾力により圧着する如く付勢されて
おり、またノズルタッチブロック１０はノズル１１と当
接する。

なお前述の組立時にはホットランナ構造各部材は冷却状
態にあり、ホットランナブロック１は収縮状態にあるた
め、第１図に示す如く、受圧ブロック５と摺動凹部３７
とのクリアランスおよびホットランナノズル２と摺動凹
部３８のクリアランスは、中央の位置決めブロック８寄
りが大となっており、ランナ１９の位置も樹脂通路３９
の軸心より中央寄りにオフセットされている。

射出成形時には溶融樹脂は射出成形型のノズル１１．ノ
ズルタッチフ゛ロック１０．ホットランナフ゛ロック１
中のランナ１７，１８，１９、ホットランナノズル２の
樹脂通路３９およびスプルーブツシュ３中の樹脂通路４
０を通って固定金型６および可動金型７の間に形成され
ているキャビティ３６へと流入する。

またこの射出成形時に、ホットランナブロック１は前記
ホットランナノズル２およびスプルーブツシュ３の軸線
方向に溶融樹脂の射出圧に応する反力を受けるが、この
反力は受圧ブロック５により受支される。

前記の溶融樹脂の通過により、またヒータ１３等の加熱
によりホットランナ構造の各部材は温度上昇し、ホット
ランナブロック１は主として中央から放射方向に、ホッ
トランナノズル２およびスプルーブツシュ３は主として
その軸方向に、熱膨張するが、前述の如くホットランナ
ブロック１と受圧ブロック５およびホットランナノズル
２との各接合面には摺動可能なりリアランスが与えられ
ているので、ホットランナブロック１のランナ１８方向
への熱膨張は阻止されることがなく、従ってこの方向へ
の歪を生ずることがない。

予め図示の如くこの延伸の長さだけ冷却時のランナ１９
の位置をホットランナブロック１の中央の位置決めブロ
ック８寄りにオフセットして穿設しであると、射出成形
時ホットランナブロック１が作動温度に上昇したときに
ランナ１９とホットランナノズル２の軸心の樹脂通路３
９とが合致し、溶融樹脂が抵抗少なく流れうろことにな
る。

一方ホットランナノズル２およびスプルーブツシュ３の
軸方向の伸びに対しては、受圧ブロック５により固定金
型取付板９との位置が定められ、この方向への変位が行
なわれないため、可動金型７方向へ変位する。

この変位は皿ばね４の変形により吸収され、ホットラン
ナノズル２のフランジ１２の外側面と空腔１５の内側面
との間およびスプルーブツシュ３の円筒部側面と空腔１
５′の内側面との間に摺動を生じるが、接合部ａおよび
嵌合部すにおける接合は常に維持される。

かくして樹脂洩れは常時防止される。

本願考案は、実用新案登録請求の範囲に記載された構成
をなすものであるから、ホットランナ構造の加熱時、放
熱時の如何に拘らず、部材の膨張。

収縮を適切に吸収しうるため、その部材の接合部。

嵌合部において歪を生ずることなく、従って接合部、嵌
合部の接合が完全に行われているため、樹脂洩れを生ず
ることがなく、樹脂洩れによる射出成形型の分解、掃除
、修理５組立が不要となり、樹脂材料、加熱費、動力費
の損失、修復のための人員、資材も不要となり、機械の
停止時間を大幅に減少させうるため生産停止による損失
も生ずることなく、かつ固定金型とホットランナ構造の
各部材との間の接触面積を増加しないため、ホットラン
ナ構造の各部材内を流過する溶融樹脂の熱伝導による熱
損失を増加することもない優れた考案である。

【図面の簡単な説明】

第１図は実施例の加熱前の各部材の関係位置を示す組立
縦断面図、第２図は従来例の各部材の関係位置を示す組
立縦断面図である。 １・・・・・・ホットランナブロック、２・・・・・・
ホットランナノズル、３・・・・・・スプルーブツシュ
、４・・・・・・皿ばね、６・・・・・・固定金型、１
４，１５．１５’・・・・・・空腔、２０・・・・・・
嵌合凹部、２０′・・・・・・嵌合凸部、ａ・・・・・
・接合面。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 射出成形型の固定金型の空腔内に保持されるホットラン
   ナブロック、ホットランナノズルおよびスプルーブツシ
   ュの各部材よりなるホットランナ構造において、前記ホ
   ットランナブロックは、ホットランナブロックの熱膨張
   量最大の方向と平行な面で、対峙する固定金型取付板に
   、受圧ブロックを介して摺動可能に受支されており、ま
   た前記ホットランナブロックの前記受圧ブロック摺接側
   と反対側で、ホットランナブロックとホットランナノズ
   ルとがホットランナブロックの熱膨張量最大の方向と平
   行な別の面で、該面方向に摺動可能に面接合されており
   、前記熱膨張量最大の方向の面に対する垂直方向に軸方
   向を有し、かつ互に嵌合されているホットランナノズル
   とスプルーブツシュとが、該軸方向に摺動可能に固定金
   型に取り付けられ、かつ該ホットランナノズルとスプル
   ーブツシュとは、ばねにより前記接合面に向う弾圧力を
   付勢されていることを特徴とする射出成形型のホットラ
   ンナ構造。