JPS5850622B2 - 残留塩化ビニルモノマ−の除去方法 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明はポリ塩化ビニル樹脂成型品中に残存すル塩化ビ
ニルモノマーの除去方法に関するものである。

近時、塩化ビニルモノマーの毒性が大きく取り上げられ
て以来、塩化ビニル樹脂成型品中に残存する塩化ビニル
モノマーを除去することが検討されている。

しかしながらポリ塩化ビニルコンパウンドを溶融成型し
て得られる各種ブロー成型品、パイプ継手、フィルム等
の加工製品中における微量の残留塩化ビニルモノマーを
除去するには種々の困難が伴い、いまだ有効な除去方法
は見い出されていない。

云うまでもなく、これら加工製品から残留塩化ビニルモ
ノマーを除去するに当っては、これら加工製品の諸物性
例えば抗張力、耐衝撃性等の機械的性質、熱安定性、耐
熱性等の熱的性質、その他気体透過性等の物理的性質や
耐溶剤性等の化学的性質等が変化しないことが要求され
る。

本発明はこの様な見地から、ポリ塩化ビニル樹脂成型品
がら塩化ビニルモノマーを除去する有効な方法を開発せ
んとして種々検討せる結果、従来より合成樹脂に架橋等
の質的変化を生じさせるために使用されている電離性放
射線を上記成型品の諸性質を実質的に変化させない範囲
で照射することにより、成型品中に含まれる塩化ビニル
モノマーが除去されることを見い出してなされたもので
ある。

すなわち本発明の要旨は、ポリ塩化ビニル樹脂成型品に
該成型品の諸物性を実質的に変化させない照射量の電離
性放射性を照射することを特徴とする残留塩化ビニルモ
ノマーの除去方法に存する。

本発明に於けるポリ塩化ビニル樹脂成型品は塩化ビニル
の単独重合体若しくは共重合体に必要に応じて安定剤、
可塑剤、顔料等の添加剤や他の合成樹脂等を加えて、押
出機、カレンダーロール、射出成型機その他の適宜な成
型手段により成型したものであり、該成型品中に残留し
た塩化ビニルモノマーが含まれている故に該モノマー除
去の対象となるものである。

又、該成型品の形状は特に制限されるものでなく、シー
ト状、フィルム状、パイプ状、ロンド状、ペレット状そ
の他の適宜な形状に成型されたものであって良い。

次に、本発明に使用される電離性放射線はＸ線、Ｂ線、
γ線、電子線等であるが、被照射体の形状に応じて該放
射線の種類は適宜選択されて良い。

例えば、例えばフィルム、ブローボトル等の肉厚が比較
的薄い成型品が被照射体である場合は、照射コストの点
から線量率の高い加速器からの電子線を用いることが好
ましく、又、肉厚の厚い成型品例えば大口径パイプや継
手等が被照射体である場合は、透過性の高いγ線を用い
るのが好ましい。

そして本発明に於て、残留塩化ビニルモノマー除去の対
象となるポリ塩化ビニル樹脂成型品に照射する電離性放
射線の照射量は該成型品の諸物性すなわち機械的強度や
物理的、化学的性質を実質的に変化させない範囲の照射
量であり、好ましくはｏ、ｏｉメガラド〜２メガラドで
ある。

なお、従来に於てポリ塩化ビニル樹脂を架橋させる目的
でもって電離性放射線を照射することが行われているが
、この場合は架橋を行うために比較的大量の照射量例え
ば１０メガラド以上が必要とされていたのである。

ところが、本発明に於てはポリ塩化ビニル樹脂成型品に
電離性放射線を該成型品の諸物性を実質的に変化させな
い照射量好ましくは０．０１〜２メガラド照射すること
により、該成型品中に残留する塩化ビニルモノマーを除
去し得るのであり、この様な低い照射線量で成型品中に
含まれる微量な残留塩化ビニルモノマーを除去し得ると
いうことは、塩化ビニルポリマーのラジカル発生のＧ値
が約３と云われていること、成型品中には一般にラジカ
ル捕捉剤と考えられている種々の安定剤が添加されてい
ること等から考えて特異な現象であり、予想外の効果で
ある。

本発明の残留塩化ビニルモノマーの除去方法は上述の通
りの方法であるので、ポリ塩化ビニル樹脂成型品の諸物
性をなんら損うことなしに、該成型品中に含まれ、従来
除去が困難であるとされていた残留塩化ビニルモノマー
を有効に除去することが出来るのである。

次に本発明の実施例について説明する。

なお、以下に於て部とあるのは重量部を意味する。

実施例 １ 予め塩化ビニルモノマーを吸収させたポリ塩化ビニル粉
末に各種添加剤を下記の如く配合し、ロールにより混練
してペレットを製造したのち、射出成型により巾１０１
０７ｎ厚さ２．５朋、長さ１００關のテストピースを作
製した。

配合組成 ポリ塩化ビニル １００ 部トリ
ペース ２ 部ステアリン
酸鉛 ステアリン酸カルシウム ステアリン酸バリウム スズラウレート １部 ０．５部 ０．４部 １部 次に上記により作製したテストピースに電子線加速器に
より電子線を照射量を変えて照射し、照射後のテストピ
ース中に含まれる残留塩化ビニルモノマーの濃度を厚生
省通知（環食化第５３号）塩化ビニル容器包装の試験法
にもとすいて測定した。

測定結果は第１表に示される通りであった。

なお、電子線照射後のテストピースについて抗張力、引
張破断時最太のび、シャルピー衝撃値、針入度の各試験
を行ったがこれらの測定値は、照射を行わなかったもの
に比して変化は全く認められなかった。

実施例 ２ 射出成型法で製造されたＴＳ継手市販品に常温で３０時
間塩化ビニルモノマーを吸着させたのち、５０℃で１５
時間真空乾燥して吸着平衡に到達させたものに実施例１
と同様にして電子線を照射し、塩化ビニルモノマー濃度
の測定を行った。

その結果は第２表に示される通りであった。

実施例 ３ 市販のポリ塩化ビニルフィルムに実施例２と同様にして
塩化ビニルモノマーを吸着させ、１５時間室温で空気中
に放置した試料に対し、コバルト６０からのγ線を線量
率１．ＯＸｌ、０３ γ／ ｈ ｒで照射量を変えて
照射した。

塩化ビニルモノマー濃度の測定結果は第３表の通りであ
った。

実施例 ４ 実施例１に於ける配合組成にさらに可塑剤としてフタル
酸ジプチルを３０部加え、ロール混線により得たシート
状物について、実施例１と同様にして電子線を照射し、
塩化ビニルモノマー濃度を測定した。

その結果は第４表の通りであった。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ ポリ塩化ビニル樹脂成型品に該成型品の諸物性を実
   質的に変化させない照射量の電離性放射線を照射するこ
   とを特徴とする残留塩化ビニルモノマーの除去方法。 ２ 照射量が０．０１〜２メガラドである特許請求の範
   囲第１項記載の除去方法。