JPS5848550Y2 - 微細金属屑の溶解装置 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は反射炉において微細金属屑、特にアルミニュー
ム及びアルミニューム合金の旋盤、フライス盤等の切削
屑や、回収した空き罐を切り刻んだ極薄板材等を効率良
く溶解する微細金属屑の溶解装置に関するものである。

一般にアルミニューム及ヒアルミニューム合金等の微細
屑を溶解する反射炉は火炎しゃ断壁を設けた横取のもの
で、通常ウェル型炉と称せられ、被溶解金属を投入する
開口とは反対側の側面にバーナー装置を取り付け、開口
との間にしゃ断壁を設けている。

このような反射炉においては、初期に炉内の冷材を溶解
して溶湯プールを作った後は、バーナーの反対側の開口
から被溶解金属を投入してバーナーの火炎に直接触れる
ことなく、溶湯の温度によって被溶解金属を溶解する。

このような方式を採用する理由は、火炎に対し直接被溶
解金属を接触させると金属表面に酸化物が生成され、こ
の酸化物が溶解したときは、この分はスラグと称せられ
不純物として後で取り除く必要があり、全く無価値のも
のであり、酸化物の生成は回収率を低下させる原因とな
るからである。

したがって上記バーナー装置からしゃ断された開口より
溶湯中に被溶解金属を順次投入し、溶湯から与えられる
伝導熱によって徐々に溶解させる方式を採用している。

しかし、このような方式であると、反射炉内の温度はバ
ーナーからの距離が増すにつれ低く、シたがって最もバ
ーナーより離れて存する開口部における溶湯の温度が低
く、このため開口部より溶湯中に投入された被溶解金属
は溶解するのに時間を要し、ひいては反射炉の溶解効率
が低下するという欠点があった。

そこで人力による攪拌や機械的攪拌装置を用いて、反射
炉内において最も熱を吸収し高温をなすバーナー近辺に
存する溶湯を最も低い温度の被溶解金属投入用開口部に
移動させることにより溶解効率の向上を図っていた。

しかし、このような攪拌作用は人手を要したり、また機
械装置の損耗がはなはだしいという欠点があった。

上記のような点にかんがみ最も合理的な攪拌装置は電磁
作用を利用したもので、反射炉本体内のバーナー近辺に
存する高温の溶湯を電磁樋を設けて被溶解金属投入用開
口部の上部側方に向けて移送し電磁樋先端より流出する
溶湯を案内樋を経て上記被溶解金属投入用開口部に落下
させ溶湯を攪拌するようにした反射炉の溶湯攪拌装置が
開発されている。

ところで、被溶解金属がアルミニュームやアルミニュー
ム合金の微細屑である場合、これらの微細屑が溶解する
過程において酸化アルミはこれら微細屑の表面の空気と
の接触面で生成する。

したがって例えば丸棒１ｋｇが溶解する場合と切削屑１
ｋｇが溶解する場合とを比べると、後者の方が酸化アル
ミの生成率は大きり、シたがって回収率は低下する。

すなわち、重量に対する比表面積が犬である微細屑の場
合は比表面積が小である丸棒等に比較して酸化アルミの
生成率は大きく回収率は低下する。

それは、これら微細屑を溶湯中に投入した場合、溶湯中
に沈み難く溶湯表面に浮いた状態になり、空気と接触し
た状態で溶湯の熱伝導のみにより溶解されるので、溶解
に長時間を要し、したがって酸化アルミの生成率が大き
く回収率は低下するのである。

このような材料を溶解する場合は、この材料を溶湯中に
沈め、酸素をしゃ断した状態で伝導熱により溶解するこ
とが、酸化アルミの生成率を減少し回収率を向上させる
必須の要件であり、経済的効果の大きな方式である。

上記のような点にかんがみ、反射炉本体内から側壁に設
けられた穴を経由して導かれた溶湯を、該反射炉の側壁
外部に設けられた電磁樋の作用により被溶解金属投入開
口部に向けて移送し、開口部に落下させる案内樋の途中
の適宜の場所に、溶解すべき微細屑を、例えば振動コン
ベア等の搬送手段により連続的にあるいは断続的に運搬
して落下させることによって、案内樋上を波打ちながら
流れる溶湯中に微細屑を混入添加し、被溶解金属投入開
口部の溶湯中に流れ落ちるまでに、微細屑は流れている
高温の溶湯中に添加され、この溶湯と残存微細屑との比
表面積は著しく減少し、添加と同時に始まった溶解が一
部は案内樋上で、残りは開口部へ落下後行われるが、い
ずれにしても全溶解過程は短時間に行われ、酸化、焼損
は著しく減少し、回収率が向上するようにした装置が開
発されている。

本考案は上記の装置において、案内樋の先端に、内側に
ら旋状凹凸を施した案内筒を連結し、微細屑を添加され
た溶湯を案内樋から該案内筒に導き、溶湯を旋回流下さ
せ、地球自転に伴う自然のうす巻き作用をも利用して、
溶湯が添加された微細屑をうず巻状に流動して巻き込み
、溶湯と微細屑とを空気をしゃ断した状態でよく攪拌し
溶解速度を速め、酸化、焼損をさらに減少し回収率を一
層向上するようにした微細金属屑の溶解装置を提供する
ことを目的とするものである。

以下、図示する一実施例について説明する。

第１図及び第２図において、１は反射炉本体で、排気孔
１ａを形成するとともに、被溶解金属投入用開口部１ｂ
及び該開口部１ｂより十分内部に入った一側面に通湯口
１ｃを形成している。

２は貯湯槽で、上記通湯口１ｃに連通する開口２ａから
反射炉１の内部に存する高温の溶湯を導く。

３は電磁樋で、貯湯槽２の底部より本体１の開口部１ｂ
に向けて斜め上方に配置され、第３図及び第４図に示す
とおり導湯通路３ａと側壁を形成する耐火壁３ｂと、こ
の導湯通路３ａ上に存する溶湯に対して斜め上方に推力
を及ぼす移動磁界発生用誘導子３ｃからなっている。

４は電磁樋用支持脚である。

５は蓋体で貯湯槽２及び電磁樋３の上方部を覆っている
。

６は案内樋で電磁樋３の先端部から流出する溶湯を導く
。

１は金属屑運搬装置で、振動コンベア又はスクリューコ
ンベア等を用い、金属屑をホッパー等集積場所から案内
樋６の適宜の場所まで連続的にあるいは断続的に運搬し
て落下させる。

８はバーナー装置である。９は案内筒で、案内樋６に連
結し第５図に一例を示すように、中空の截頭円錐形をな
し直径の大きな部分を上部に配置し、内部側壁に、例え
ばナツトのねじ山のように、斜め下方にこう配をもった
、ら旋状の凹凸を１回り以上設け、なお旋回方向は地球
自転に伴５５す巻き作用と同一方向、すなわち北半球に
おいては右回り、南半球においては左回り旋回とする。

上記のような構成において、まずアルミニューム等の被
溶解金属をインゴットのごとき塊状にて反射炉１内に投
入しバーナー装置８がら炉内に放炎される熱によって加
熱する。

この過程により反射炉内にはある程度溶湯が蓄積されレ
ベルＨに達した際、電磁樋誘導子３ｃに交流電力を矢印
Ｘ方向に移動磁界を発生するように供給すると、貯湯槽
２内の溶湯は電磁樋３を上昇し案内樋６に向けて強力に
押し上げられ、案内樋６内を流下する。

方、運搬装置７にて矢印Ｙ方向に搬送された微細金属屑
を、案内樋６内を波打ちながら流下する高温の溶湯中に
落下させ、溶湯の波打つ流れに巻き込むように混入させ
、この微細金属屑を混在した溶湯を案内筒９に導きうす
巻き状に旋回させて開口部１ｂに落下させる。

この過程で溶湯は案内筒９のら旋状凹凸に加えて、地球
自転に伴５５す巻き作用によって、溶湯に添加された微
細金属屑をうす巻き状に脈動して巻き込むので、空気を
しゃ断した状態で溶湯と微細金属屑とはよく攪拌され、
溶解速度は速くなり、酸化、焼損はさらに減少し回収率
は向上する。

なお、本考案装置は被溶解金属が高温で酸素との親和塵
の高いアルミニューム及びアルミニューム合金の場合、
著しい効果があるが、他の金属、例えば銅、真ちゅう等
にも適用することができる。

以上述べたように本考案に係る微細金属屑の溶解装置に
よれば案内樋を流下する高温の溶湯中に微細金属屑を落
下させ、波打って流下する溶湯に微細金属屑を混入した
ものを、さらに案内筒に導いて旋回流下させ溶湯と微細
金属屑とを空気をしゃ断した状態でよく攪拌するので、
溶解速度は速くなり、酸化、焼損は著しく減少し微細金
属屑の回収率を一層向上することができるという優れた
効果を有する。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案に係る微細金属屑の溶解装置の一実施例
の側面図、第２図は第１図の平面図、第３図は第２図の
Ａ−Ａ断面図、第４図は第２図のＢ−Ｂ断面図、第５図
は案内筒の一例を示す断面側面図である。 １・・・反射炉本体、１ｂ・・・被溶解金属投入開口部
、３・・・電磁樋、６・・・案内樋、９・・・案内筒。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 反射炉本体１から側壁外部に設けられた電磁樋３の作用
   により本体内の溶湯を被溶解金属投入用開口部１ｂの上
   部側方に向けて移送し、案内樋６を介して上記開口部１
   ｂに落下せしめる際、上記案内樋６の途中に溶解すべき
   微細金属屑を落下させるようにした反射炉において、上
   記案内樋６の先端に、内側にら旋状凹凸を施した案内筒
   ９を連結するようにしたことを特徴とする微細金属屑の
   溶解装置。