JPS5829586B2 - デンサツシオヨビソノ セイゾウホウホウ - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明は樹脂成形整流子を有する回転電機に使用するの
に適する電刷子およびその製造方法に関する。

整流子は銅でつくられた整流子片を多数集めてつくられ
、その各片の間はマイカで絶縁されているのが一般的で
ある。

最近低価格の整流子を得るため樹脂成形の整流子が広く
使用され始めている。

この型の整流子では各片の間は樹脂からなり、しかも第
１図において示すように絶縁片２と整流子片１との面が
同じ高さに揃っているいわゆるノーアンダーカットの状
態で使用されるため、電刷子は銅からなる整流子片１と
樹脂からなる絶縁片２とを交互に摺動する。

このため電刷子は樹脂部分を完全に切り残しのないよう
に切削する必要がある。

もし樹脂の切り残しが生ずると絶縁片２と電刷子が接触
するようになり、通電不能となり、自動車用の始動電動
機では起動不良を発生する。

また突出した樹脂部に電刷子が衝突し電刷子に異常な振
動を発生させたり、浮き上ったり（フライング現象を発
生する）するため、電刷子−整流子間にアークを発生さ
せる結果、電刷子の摩耗を異常に増大させたり、整流子
を異常に摩耗させたりし、回転電機の寿命を著しく低下
させることになる。

上記した欠点は特に自動車の始動電動機に著しくみられ
る現象である。

本発明は以上述べた樹脂成形の整流子にて主にアンダー
カットしない整流子を有する回転電機に使用するのに適
した電刷子とその製造方法を提供することを目的とする
。

電刷子に鉄を含有させて研摩性を持たせれば、絶縁片２
が突出してもこれを削りとり、さらに整流子面に付着し
た炭化物も除去し整流子面を常に平滑かつ清浄な状態に
しておくことが出来るが単に研摩性を与えただけでは電
刷子の摩擦係数が増大し摺動障害が発生する。

このため二硫化モリブデン粉や二硫化タングステン粉な
どの固体潤滑剤を添加することにより所期の目的を達し
得たのである。

本発明は、銅および黒鉛を主成分とし、鉄を８〜１５重
量％および固体潤滑剤を０．５〜５．０重量％含有して
なる電刷子ならびに銅および黒鉛を主成分とし、鉄を８
〜１５重量％および固体潤滑剤を０．５〜５．０重量％
含有してなる電刷子の製造方法において、黒鉛粉と固体
潤滑剤または黒鉛粉と鉄粉と固体潤滑剤とを有機質結合
剤と共に十分混合した後、加熱乾燥して揮発分を揮散せ
しめた後粉砕し、黒鉛粉と固体潤滑剤とからなるものに
は銅粉と鉄粉とを、黒鉛粉と鉄粉と固体潤滑剤とからな
るものには銅粉を添加して混合し、成形焼成することを
特徴とする電刷子の製造方法に関する。

本発明になる電刷子は、銅および黒鉛を主成分とし、鉄
の含有量は電刷子中に８〜１５重量％重量％化二硫化モ
リブデン粉化タングステン粉などの固体潤滑剤の含有量
は０．５〜５．０重量％の範囲とされる。

鉄の含有量が８重量％未満では樹脂の切り残しが発生し
やすく通電不能を発生させやすい。

含有量は多ければ多いほど研摩性を発揮するが、あまり
多すぎると整流子の摩耗が激しくなるので１５重量％に
とどめる。

なお、添加物として鉄粉の他に必要に応じ鉛粉または酸
化鉛粉、錫粉、ニッケル粉などを添加すると電刷子と整
流子の摩耗がいくらか改善される。

二硫化モリブデン粉などの固体潤滑剤の含有量は０．５
重量％未満では効果がなく、５．０重量％を越えると電
刷子の摩耗及び整流子の摩耗が増大する。

その他の固体潤滑剤としては窒化ホウ素粉、滑石粉、セ
リクロン粉（商品名）などが用いられる。

鉛粉および酸化鉛粉は潤滑性を助長するものでそれぞれ
単独または混合して用いられる。

鉛粉または酸化鉛粉の添加量は電刷子に対して１〜２０
重量％の範囲が望ましく２０重量％を越えると電刷子の
強度が低下してよくない。

錫粉は電刷子の機械強度を向上させるために用い、１〜
１５重量％の範囲が望ましく１５重量％を越えると電刷
子の摩耗が増大する。

ニッケル粉は鉄粉と協働して耐摩耗性を改善するもので
添加量は電刷子に対して０．５〜５．０重量％の範囲が
よい。

少なすぎると作用を示さず５．０重量％を越えても効果
は変らない。

以下比較例および実施例を述べるが、数字は特に断りの
ない限り重量部を示す。

比較例 １ 黒鉛粉１７、鉄粉１０、フェノール樹脂ワニスを十分混
合し８０℃で乾燥してから粉砕した。

これらに銅粉６８、錫粉５を混合し４トン／ｄで圧縮成
形後、アンモニア分解ガス中７５０℃で５時間焼成し電
刷子を製造した。

実施例 １ 黒鉛粉２６、二硫化モリブデン粉２、フェノール樹脂ワ
ニスを十分混合し８０℃で乾燥してから粉砕した。

これらに銅粉６２、鉄粉１０を混合し以下比較例１と同
様にして電刷子を製造した。

実施例 ２ 黒鉛粉２０、二硫化モリブデン粉２、フェノール樹脂ワ
ニスを十分混合し８０℃で乾燥してから粉砕した。

これらに銅粉６２、鉛粉２、錫粉２、鉄粉１０、ニッケ
ル粉２を混合し以下比較例１と同様にして電刷子を製造
した。

実施例 ３ 黒鉛粉２３．５、二硫化モリブデン粉１．５、フェノー
ル樹脂ワニスを十分混合し８０℃で乾燥後粉砕した。

これらに銅粉５９、鉛粉２、錫粉３、鉄粉１０、ニッケ
ル粉１を混合し以下比較例１と同様にして電刷子を製造
した。

実施例 ４ 黒鉛粉２３．５、二硫化モリブデン粉１．５、鉄粉１０
、フェノール樹脂ワニスを十分混合し８００Ｃで乾燥後
粉砕した。

これらに銅粉５９、鉛粉２、錫粉３、ニッケル粉Ｉを混
合して以下比較例１と同様にして電刷子を製造した。

以上比較例１および実施例１〜４の摩耗性を調べた。

その結果を第２図に示す。試験方法は次の通りである。

樹脂成形の整流子を持った直流始動電動機で整流子径３
４．４ｍｍ、整流子片２９、極数４のものを用い印加電
圧１２Ｖ、負荷電流１００Ａ、起動周期５秒ｏｎ、５秒
ｏｆｆ、エンジン負荷、電刷子寸法６Ｘ１６Ｘ１４ｍｍ
で起動回数と摩耗量との関係を調べる。

第２図から本発明の電刷子は従来品および比較例１に比
べ摩耗量が少なくすぐれていることは明らかである。

なお、従来の電刷子は銅粉７０、黒鉛粉２８、二硫化モ
リブデン粉２を十分混合し、４トン／ｄで圧縮成形し、
この成形体をアンモニア分解ガス中７２０℃で５時間焼
成して作ったものである。

さらに、本発明者らは鉄を８〜１５重量％、固体潤滑剤
を０．５〜５．０重量％含有してなる電刷子において、
黒鉛粉と固体潤滑剤または黒鉛粉と鉄粉および固体潤滑
剤とを有機質結合剤と共に十分混合した後、加熱乾燥し
て揮発分を揮散せしめた後粉砕し、黒鉛粉と固体潤滑剤
からなるものには銅粉と鉄粉を、黒鉛粉と鉄粉および固
体潤滑剤からなるものには銅粉を添加して混合し、成形
焼成するとすぐれた効果を奏するものが得られることを
見い出した。

さらに本発明者らは上記発明のものが例数すぐれている
か考究した結果、本発明の電刷子は、銅粉を主成分とし
これに黒鉛粉を添加した金属黒鉛質に鉄粉および二硫化
モリブデン粉を添加したものであるが鉄粉の１／２およ
び二硫化モリブデン粉の大部分が単独で銅マトリツクス
中に存在しないようにした電刷子であることがわかった
。

第３図にその構造を示す。

図において３は鉄粉、４は二硫化モリブデン粉、５は銅
マｌ−ＩＪラックス６は黒鉛粉である。

単に銅粉、黒鉛粉、鉄粉、二硫化モリブデン粉を混合し
たのでは鉄粉、二硫化モリブデン粉が散在することにな
る。

これらの添加物は銅粉又は黒鉛粉いずれの材料に対して
も結合力が弱く、使用中に添加物が脱落してしまう。

特に二硫化モリブデン粉は脱落しやすい。

ところが鉄粉及び二硫化モリブデン粉を黒鉛粉で包むよ
うにして銅粉中に存在せしめると容易に脱落しなくなる
。

以下その実施例を示す。実施例 ５ 黒鉛粉２３，５、二硫化モリブデン粉１．５、鉄粉５、
フェノール樹脂ワニスを十分混合し８０℃で乾燥後粉砕
した。

これらに銅粉５９、鉛粉２、錫粉３、ニッケル粉１、鉄
粉５を混合して以下比較例１と同様にして電刷子を製造
した。

このようにして得た電刷子の特性を第２図において示す
。

以上のように実施例１〜５の試験において、本発明の電
刷子は従来品および比較例１に比べ摩耗量は少なく整流
子面は常に金属光沢を保ち、炭化物などにより、黒化す
る現象はみられなかった。

本発明の電刷子は鉄と固体潤滑剤必要に応じ鉛粉、酸化
鉛粉、錫粉、ニッケル粉とを含有することにより、樹脂
成形の整流子にてアンダーカットをしていない整流子を
有する回転電機に用いて電刷子の摩耗が少なく、しかも
整流子の摩耗が少ないという効果を奏する。

又これらの電刷子はアンダーカットをした整流子にても
良好な摩耗特性を示し、共用が可能である。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明を説明するためのノーアンダーカットの
樹脂成形の整流子を示す一部省略断面図、第２図は本発
明の電刷子と従来の電刷子の摩耗特性を示すグラフ図、
第３図は本発明の電刷子の組織図である。 符号の説明、１・・・・・・整流子片、２・・・・・・
絶縁片、３・・・・・・鉄粉、４・・・・・・二硫化モ
リブデン粉、５・・・・・・銅マトリックス、６・・・
・・・黒鉛粉。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 銅および黒鉛を主成分とし、鉄を８〜１５重量％お
   よび固体潤滑剤を０．５〜５．０重量％含有してなる電
   刷子。 ２ 重刷がさらに鉛または酸化鉛を１〜２０重量％、錫
   を１〜１５重量％およびニッケルを０．５〜５．０重量
   ％含有してなる特許請求の範囲第１項記載の電刷子。 ３ 銅および黒鉛を主成分とし、鉄を８〜１５重量％お
   よび固体潤滑剤を０．５〜５．０重量％含有してなる電
   刷子の製造方法において、黒鉛粉と固体潤滑剤または黒
   鉛粉と鉄粉と固体潤滑剤とを有機質結合剤と共に十分混
   合した後、加熱乾燥して揮発分を揮散せしめた後粉砕し
   、黒鉛粉と固体潤滑剤とからなるものには銅粉と鉄粉と
   を、黒鉛粉と鉄粉と固体潤滑剤とからなるものには銅粉
   を添加して混合し、成形焼成することを特徴とする電刷
   子の製造方法。 ４ 電刷子がさらに鉛または酸化鉛を１〜２０重量％、
   錫を１〜１５重量％およびニッケルを０．５〜５．０重
   量％含有してなる特許請求の範囲第３項記載の電刷子の
   製造方法。