JPS582396B2 - カクネンリヨウシユウゴウタイ - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明は核燃料集合体の改良に関する。

周知のように、原子炉の炉心は、規則正しく植設された
複数本の核燃料集合体と、これら核燃料集合体間に所定
数設けられた制御棒とで構成されている。

上記核燃料集合体は、通常、第１図に示すように冷却材
が内部を通流可能に形成された流路箱１内に複数本の核
燃料棒２を冷却材の通流方向と平行するように収納した
ものとなっている。

ところで、核燃料棒２で発生した熱を効率よく取り出す
ためには、冷却材を各核燃料棒２の表面に良好に接触さ
せる必要があり、そのためには各核燃料棒２間に所定の
間隔を設け、各核燃料棒２間に冷却材を一様に通流させ
る必要がある。

このような理由から、従来の集合体にあっては、第２図
に示すように薄板で六角状に形成し、内面に突起Ｐを設
けたスペーサ素子１１を複数連結した蜂の巣状スペーサ
１２を流路箱１内に配設し、このスペーサ１２の各素子
１１を各核燃料棒２に嵌合させることによって各核燃料
棒相互間に所定の間隔を設定したり、あるいは第３図に
示すように薄板で菱形に形成し、内面に突起Ｐを設けた
スペーサ素子１３を複数連結した菱形格子状スペーサ１
４を流路箱１内に配設し、このスペーサ１４の各素子１
３を各核燃料棒２に嵌合させることによって各核燃料棒
相互間に所定の間隔を設定したりしている。

なお、第２図中Ｑは冷却材の利用率を高めるためのつめ
物を示している。

しかしながら、上記のように構成された従来の核燃料集
合体にあっては、次のような問題点があった。

すなわち、核燃料棒相互間の間隔を所定に設定スるスペ
ーサ１２，１４には、それ本来の機能を十分に発揮し得
ることは勿論のこと、スペーサを設けたことによって流
路箱１内の圧力損失が大幅に増大しないこと、温度分布
の違いによって起こり易い核燃料棒の彎曲を拘束でき、
彎曲に伴なって起こる流路の変形を防止できることなど
の機能が要望される。

しかるに、第２図に示すように構成された集合体にあっ
ては、スペーサ１２の機械的強度が十分に大きく、核燃
料棒２の彎曲を拘束できる利点がある反面、スペーサ素
子１１のいわゆる壁が二重で、しかも折曲部が多いので
、圧力損失が大きいという欠点がある。

また、第３図に示すように構成された集合体にあっては
第２図に示すものに較べて圧力損失が小さい反面、スペ
ーサ１４の機械的強度が弱く、核燃料棒２に彎曲が生じ
ると、これを拘束できない欠点があった。

本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、そ
の目的とするところは、圧力損失の低下は勿論のこと、
核燃料棒に起こり易い彎曲の発生を抑制することもでき
、もって勝れた羽性を発揮し得る核燃料集合体を提供す
ることにある。

以下、本発明の詳細を図示の実施例によって説明する。

第４図は本発明に係る集合体を切断して示すもので、第
２図、第３図と同一部分は同一符号で示してある。

したがって、重複する部分の説明は省略する。

本発明集合体が従来のものと異なる点は、核燃料棒２相
互間に所定の間隔を設定するスペーサ２１にある。

すなわち、このスペーサ２１は流路箱１の内側面近傍に
位置する核燃料棒２相互間に所定の間隔を設定する蜂の
巣状スペーサ１２と、上記以外に位置する核燃料棒２相
互間に所定の間隔を設定する菱形格子状スペーサ１４と
で構成されている。

そして、菱形格子状スペーサ１４の端縁は蜂の巣状スペ
ーサ１２の側面にロウ付けされている。

このような構成であると、流路箱１内の圧力損失を十分
に小さくでき、しかも核燃料棒２の彎曲をも防止でき、
勝れた將性を発揮させることができる。

以下、この理由を説明する。すなわち、各核燃料棒２相
互間の間隔を同一条件で一定に保持させ、流路箱１内に
冷却材を通流させた場合、各部の流量は第５図に示すよ
うに流路箱１の内側面近傍位置Ｒが最も多くなる。

これは流路の幾何学的相違に基づくものでどのような断
面形状の流路箱でもほぼ同じ傾向を示す。

このような冷却材流量分布であると、流路箱１内のたと
えばＡ−Ａ線上の温度分布は第５図中にＸで示すように
流量の最も多い位置、つまり流路箱１の内側面近傍位置
Ｒが最も低温となる。

このため、上記位置Ｒに近い核燃料棒２の表明温度は、
流路箱１の内側面に近い表面が低く、遠い表面が高くな
る。

このように同じ核燃料棒２でもその表面に温度差が生じ
ると、これが原因して上記核燃料棒２に彎曲現象が生じ
ようとする。

しかし、本発明集合体のように冷却材流量が最も多くな
る位置、つまり、流路箱１の内側面近傍に位置する核燃
料棒２相互間の間隔を蜂の巣状スペーサ１２で設定する
と、この蜂の巣状スペーサ１２が有している大きな流動
抵抗が有効に作用し、流路箱１の内側面近傍の流量を抑
えることができる。

したがって、上記内側面近傍に位置する核燃料棒２の温
度を中心に位置する核燃料棒２の温度に近づけることが
できるばかりか、上記内側面近傍に位置する核燃料棒２
の表面温度の差を小さくでき、彎曲現象の発生を防止で
きる。

すなわち、蜂の巣状スペーサ１２の流動抵抗係数は第６
図に示すように、菱形格子状スペーサ１４のそれよりは
るかに大きい。

したがって確実に流量を抑えることができ、前述の如く
彎曲現象の発生を防止できる。

また、たとえ彎曲が生じようとしても蜂の巣状スペーサ
１２は機械的強度が大きいので彎曲力を拘束することフ
ができる。

一方、流路箱１内に収納されている核燃料棒２のうち、
流路箱１の内側面近傍に位置するもの以外の核燃料棒２
相互間の間隔を菱形格子状スペーサ１４で所定に設定し
ているのでスペーサ２１を５設けたことによる流路箱１
内の圧力もそれ程大きくはならず有利なものとなる。

すなわち、流路箱１内の圧力損失ΔＰは一般に次式で表
わされる。

但し、上式においてλは核燃料棒群のみの圧力損失係数
、Ｌは集合体長さ、Ｄは流路の等価直径、ｎはスペーサ
の個数（流路に沿った方向の）、ＫＧはスペーサの圧力
損失係数（流動抵抗係数）、ρは冷却材の密度、Ｖは冷
却材の流速、ｇは重力加速度である。

上記構成であると、流動抵抗係数ＫＧが菱形格子状スペ
ーサ１４で決まる値と蜂の巣状スペーサ１２で決まる値
とを平均化した値となり、しかも菱形格子状スペーサ１
４の流動抵抗係数は第６図に示すように十分小さな値で
あるから、結局、圧力損失ΔＰは第２図の場合より十分
小さく、第３図の場合より僅かに大きくなり、良好な値
が得られることになる。

これに加え、菱形格子状スペーサ１４が位置する部分は
、第７図に示すように１つの菱形格子で４本の核燃料棒
の間隔を設定することもでき、このように変形させた場
合には第６図に示すように流動抵抗係数をさらに小さく
できるので、結局、従来のどの集合体よりも圧力損失を
小さくすることができる。

なお、上述した実施例において、菱形格子状スペーサと
して第８図に示すように、縦方向板３１と横方向板３２
との噛み合せ深さを浅くすると、スペーサとしての機能
を損なうことなく尚一層流動抵抗係数を小さくすること
ができる。

また、上述した実施例ではスペーサを１段しか示してい
ないが、実際には冷却材の通流方向に沿って複数段のス
ペーサが設置されることは勿論である。

また、高速増殖炉用集合体のように核燃料棒の一部分だ
けが判に高温となる場合には、この高温部分に設置され
るスペーサ全体を蜂の巣状にしてもよい。

以上詳述したように、本発明に、よれば特に、圧力損失
の低減化と、核燃料棒の彎曲防止化とを図れる核燃料集
合体を提供できる。

【図面の簡単な説明】

第１図は核燃料集合体を一部切欠して示す斜視図、第２
図および第３図は従来のそれぞれ異なる集合体を切断し
て示す横断面図、第４図は本発明の一実施例の横断面図
、第５図および第６図は同実施例の作用を説明するため
の図、第７図および第８図は本発明のそれぞれ異なる実
施例における要部構成図である。 １…流路箱、２…核燃料棒、２１…スベーサ、１２…蜂
の巣状スペーサ、１４…菱形格子状スペーサ、Ｐ…突起
、Ｑ…つゆ物。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ 冷却材を通流させる流路箱内に上記冷却材の通流方
   向に平行させて複数本の核燃料棒を集合した結束体を収
   納してなる核熱料集合体において、前記結束体の周辺に
   位置する各核燃料棒は蜂の巣状スペーサで所定の間隔に
   保たれ、上記周辺部以外に位置する各核燃料棒は菱形状
   スペーサで所定の間隔に保たれていることを將徴とする
   核燃料集合体。