JPS582397B2 - カクネンリヨウシユウゴウタイ - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明は核燃料集合体の改良に関する。

周知のように、原子炉の炉心は、規則正しく植設された
複数本の核燃料集合体と、これら核燃料集合体間に所定
数設けられた制御棒とで構成されている。

上記核燃料集合体は、通常、第１図に示すように冷却材
が内部を通流可能に形成された流路箱１内に複数本の核
燃料棒２を冷却材の通流方向と平行するように収納した
ものとなっている。

ところで、核燃料棒２で発生した熱を効率よく取り出す
ためには冷却材を各核燃料棒２の表面に良好に接触させ
る必要があり、そのためには各核燃料棒２間に所定の間
隔を設け、各核燃料棒２間に冷却材を一様に通流させる
必要がある。

このような理由から、従来の集合体にあっては、第２図
に示すように薄板で六角状に形成し、内面に突起Ｐを設
けたスペーサ素子１１を複数連結した蜂の巣状スペーサ
１２を流路箱１内に配設し、このスペーサ１２の各素子
１１を各核燃料棒２に嵌合させることによって各核燃料
棒相互間に所定の間隔を設定したり、あるいは第８図に
示すように核燃料棒２の外周にワイヤスベーサ１３を螺
旋状に巻回した状態で第４図に示すように各核燃料棒２
を流路箱１内に収納して上記ワイヤスペーサ１３で各核
燃料棒相互間に冷却材が量流し得る所定の間隔を設定す
るようにしている。

なお、第２図中Ｑは冷却材の利用率を高めるためのつめ
物を示している。

しかしながら、上記のように構成された従来の核燃料集
合体にあっては次のような問題点があった。

すなわち、核燃料棒相互間の間隔を所定に設定するスペ
ーサには、それ本来の機能を十分に発揮し得ることは勿
論のこと、スペーサを設けたことによって流路箱１内の
圧力損失が大幅に増大しないこと、流路箱１内の温度分
布を一様化でき、温度分布の不均一によって起こる核燃
料棒の彎曲現象の発生を防止もしくは抑制できること、
核燃料棒の膨張に適応でき、しかも組立時に核燃料棒の
被覆管に損傷を与えない形状であることなどの機能が要
望される。

しかるに、第２図に示すように構成された集合体にあっ
ては、蜂の巣状スペーサ１２の機械的強度が十分に大き
く、強度性に心配がない反面、複雑に折曲した形状が原
因して圧力損失が大きい欠点がある。

また、第３図および第４図に示すように構成された集合
体にあっては、冷却材の流路に形状的な無理がないので
圧力損失が小さい反面、流路箱１内の冷却材流量が不均
一で、このため流路箱１の中心部より周辺部が低温とな
り、固辺部に位置する核燃料棒に彎曲現象が発生するな
どの不具合があった。

本発明はこのような事情に鑑みてなされたもので、その
目的とするところは、圧力損失の減少化と、核燃料の彎
曲現象の抑制化とを同時に図ることができ、勝れた特性
を発揮し得る核燃料集合体を提供することにある。

以下、本発明の詳細を図示の実施例によって説明する。

第５図は本発明に係る集合体を切断して示すもので、第
２図および第４図と同一部分は同一符号で示してある。

したがって、重複する部分の説明は省略する。

本発明集合体が従来のものと異なる点は、核燃料棒２相
互間に冷却材が通流し得るように所定の間隔を設定する
スペーサ２１にある。

すなわち、スペーサ２１は、流路箱１の内側面近傍に位
置する核燃料棒２相互間（たとえば内側面から３列目ま
で）に所定の間隔を設定する蜂の巣状スペーサ１２と上
記以外の位置、つまり中央部に位置する各核燃料棒２の
外同に螺旋状に巻回され、これら核燃料棒２相互間の間
隔を所定に設定するワイヤスヘーサ１３とで構成されて
いる。

なお、上記蜂の巣状スペーサ１２は、流路箱１の長手方
向に沿って複数個所に設けられ、それぞれ流路箱１の内
側面に固定されている。

このような構成であると、流路箱１内の圧力損失を十分
に小さくでき、しかも核燃料棒２の彎曲をも防止でき、
勝れた特性を発揮させることができる。

以下、この理由を説明する。すなわち、各核燃料棒２相
互間の間隔を同一条件で一定に保持させ、流路箱１内に
冷却材を通流させた場合、各部の流量は第６図に示すよ
うに流路箱１の内側面近傍位置Ｒが最も多くなる。

これは、流路の幾何学的相違に基くもので、どのような
断面形状の流路箱でもほぼ同じ傾向を示す。

このような冷却材流量分布であると、流路箱１内のたと
えばＡ−Ａ線上の温度分布は第６図中にＸで示すように
流量の最も多い位置、つまり流路箱１の内側面近傍位置
Ｒが最も低温となる。

このため、上記位置Ｒに近い核燃料棒２の表面温度は流
路箱１の内側面に近い表面が低く、遠い表面が高くなる
。

このように、同じ核燃料棒２でもその表面に温度差が生
じると、これが原因して上記核燃料棒２に彎曲現象が生
じようとする。

しかし、本発明集合体のように冷却材流量が最も多くな
る流路箱１の内側面近傍に位置する核燃料棒２相互間の
間隔を蜂の巣状スペーサ１２で設定すると、コノ蜂の巣
状スペーサ１２が本質的に有している大きな流動抵抗が
有効に作用して流路箱１の内側面近傍の流量を抑えるこ
とができる。

したがって、上記内側面近傍に位置する核燃料棒２の温
度を中心に位置する核燃料棒２の温度に近づけることが
できるばかりか、上記内側面近傍に位置する核燃料棒２
の表面温度の差を小さくでき、彎曲現象の発生を防止で
きる。

また、たとえ彎曲が生じようとしても蜂の巣状スペーサ
１２は機械的強度が大きいので、彎曲力を拘束すること
ができる。

一方、流路箱１内に収納されている核燃料棒２のうち流
路箱１の内側面近傍に位置するもの以外の核燃料棒２相
互間の間隔を各核燃料棒２の外周に螺旋状に巻回したワ
イヤスペーサ１３で所定に設定するようにしているので
この部分は、ワイヤスペーサ１３判有の小さい流動抵抗
が有効に作用し、流路箱１の内側面近傍の冷却材流量と
ほぼ同程度となる。

したがって、上記内側面近傍に蜂の巣状スペーサ１２を
設けたことと相俟って流路箱１内の流量分布をほぼ一様
化でき、流路箱１内の温度分布を一様化できる。

また、流動抵抗の小さいワイヤスペーサ１３を使用して
いるので流路箱１全体の圧力損失もそれ程大きくならず
、極めて有利なものが得られる。

なお、上述した実施例においては、流路箱１の内側面か
ら３夕１泪まで蜂の巣状スペーサ１２で間隔を設定して
いるが、場合によっては、１夕１泪だけ、あるいは２夕
１泪までを蜂の巣状スペーサ１２で間隔設定してもよい
。

また、土述した実施例においては流路箱１の内側面近傍
に位置する核燃料棒２相互間の間隔を蜂の巣状スペーサ
で設定しているが、必ずしもこれに限定されるものでは
なく、このスペーサと同等の機械的強度および流動抵抗
を有した他のスペーサを使用してもよい。

以上詳述したように本発明によれば、判に圧力損失の低
減化と核燃料棒の彎曲防止、つまり流路箱内の温度分布
の一様化とを図れ、勝れた特性を発揮し得る核燃料集合
体を提供できる。

【図面の簡単な説明】 第１図は核燃料集合体を一部切欠して示す斜視図、第２
図から第４図は従来のそれぞれ異なる集合体の内部構成
図、第５図は本発明の一実施例の横断面図、第６図は同
実施例の作用を説明するための図である。 １…流路箱、２…核燃料棒、２１…スペーサ、１２…蜂
の巣状スペーサ、１３…ワイヤスペーサ、Ｐ…突起、Ｑ
…つめ物。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ 冷却材を通流させる流路箱内に上記冷却材の通流方
   向に平行させて、複数本の核燃料を集合した結束体を収
   納してなる核燃料集合体において、前記結束体の周辺に
   位置する各核燃料棒は蜂の巣状スペーサで所定間隔に保
   たれ、上記周辺部以外に位置する各核燃料棒はこれらの
   外周面に螺旋状に巻回されたワイヤスペーサで所定の間
   隔に保たれていることを豹徴とする核燃料集合体。