JPS582318B2 - 油田用地下ボイラ - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明は油田において原油採収率向上のために該油田へ
加熱流体を圧入するに使用される油田用地下ボイラに関
するものである。

加熱流体の圧入は特に粘性の高い石油（通常ＡＰＩ度２
２以下）を産する油田に用いて大きな効果をあげること
ができる。

このような圧入方式において問題となることは、大量の
加熱流体を如何に熱効率良く圧入させるかである。

従来では地上にて発生させた蒸気を坑井を通して圧入さ
せているが、これによると蒸気の圧入途中、すなわち地
上から油層に至るまでの間に周囲の地層に熱を奪われ，
蒸気温度が低下してしまうことになる。

また地上でボイラにて蒸気を発生させたときには、その
際に生じた燃焼ガスの処理が環境汚染等から問題となる
。

これを解決する方法として、油層にて蒸気を発生させ、
その際に生じる燃焼ガスも蒸気と共に油層に圧入させる
ことが考えられる。

本発明は上記の圧入方法を無駄なく容易に実現できる油
田用地下ボイラを提案するもので、以下その一実施例を
図面に基づいて説明する。

第１図において１は油層で、地表２側から複数本の坑井
が掘られている。

すなわち図においては２本の坑井を示し、一方をボイラ
挿入井３、他方を採油井４としている。

両井３，４の下部には多数の貫通孔５，６が設けられる
。

７は本発明の油田用地下ボイラで、ボイラ挿入井３に吊
下げ式で挿入されて貫通孔５の部分に位置している。

この油田用地下ボイラ７には、ポンプ８を有する燃料供
給管９と、コンプレツサ１０ならびにリザーバ１１を有
する空気供給管１２と、給水ポンプ１３を有する給水管
１４とが前記ボイラ挿入井３を通して接続している。

前記採油井４には、採油ポンプ１５を有する原油輸送管
１６が挿入される。

前記油田用地下ボイラ１は第２図〜第５図に示すように
、小径部が下位のアンプル形状の内壁１７を有し、この
内壁１７の上位大径部から小径部中間に亘っての内側に
耐火断熱材１８を設けて、該上位大径部内を加圧燃焼方
式の燃焼室１９に形成すると共に、小径部下端に多数の
燃焼ガス噴射ノズル２０を設けている。

前記内壁１７の上端は開口２１し、ここに燃焼室１９に
向くバーナ２２が設けられ、このバーナ２２に前記燃料
供給管９が連通ずる。

前記内壁１７を囲むように断面逆Ｕ字状の外壁２３が設
けられ、両壁１７，２３の間に燃焼用空気室２４を形成
している。

外壁２３の下端は内側へのフランジ部２５を有し、この
フランジ部２５と前記内壁１７の小径部中間とが隔壁２
６により一体化される。

そして外壁２３の上端には前記バーナ２２が固定され、
さらに空気供給管１２と給水管１４との接続座２７，２
８が固定される。

前記接続座２７からの空気配管２９は燃焼用空気室２４
内に配置され、そしてこの燃焼用空気室２４の下部で開
口する。

また燃焼用空気室２４の上部は前記開口２１を通して前
記燃焼室１９に連通ずる。

３０は前記フランジ部２５の内端から連設した断面Ｕ字
状の蒸気ドラム内壁で、該フランジ部２５ならびに外壁
２３と共通強度壁化される。

３１は蒸気ドラム内壁３０の外側に設けられ且つ外壁２
３の下端に連設された蒸気ドラム外壁で、両ドラム壁３
０，３１間に加熱流体室３２が形成される。

前記接続座２８からの給水配管３３は前記燃焼用空気室
２４を通り、そしてフランジ部２５を貫通したのち加熱
流体室３２を通って、蒸気ドラム内壁３０内に形成され
る蒸気ドラム室３４の下端に開口している。

これにより蒸気ドラム室３４にてボイラ水３５を貯え得
るべく構成してあり、さらにボイラ水３５内に前記燃焼
ガス噴射ノズル２０が位置している。

３６は蒸気ドラム室３４の下端に連通すべく両ドラム壁
３０，３１に取付けたブロー兼リリ−フバルブ、３５は
逆止弁である。

３８は蒸気ドラム室３４の上端と加熱流体室３２の上端
とを連通ずる加熱流体導管で、前記燃焼用空気室２４内
の下部において周方向に複数本設けられ、夫々に蒸気ド
ラム圧力制御弁３９と逆止弁４０とが設けられる。

４１は加熱流体噴射孔で、蒸気ドラム外壁３１に多数設
けられる。

４２は燃焼ガス、４３は燃焼ガス４２と蒸気との混合流
体である加熱流体を示す。

４４はボイラの位置決めと坑井上方への加熱流体の噴出
を防止するためのガイドリングを示す。

なお図においては空気配管２９と給水配管３３とを３本
づつ示したが、これは単、複数いずれであってもよい。

油田用地下ボイラ７はボイラ挿入井３内を吊下げ式で挿
入され、そして貫通孔５の部分に対向させられる。

この状態で地上置の各種制御機器（ただし、検出部およ
び操作部はボイラ設置個所に置く。

）により、ボイラ７に送る燃料、空気、給水の圧力、流
量等を制御し、該ボイラ７の運転を行なう。

すなわち給水によりボイラ水３５を蒸気ドラム室３４へ
と流入させ、そして燃料をバーナ２２から噴射させると
共に、開口２１がら空気を供給して、これら燃料と空気
との混合体を燃焼室１９内で燃焼させている。

この燃焼により生じた燃焼ガス４２は噴射ノズル２０か
ら蒸気ドラム室３４内のボイラ水３５に向けて噴射され
る。

この燃焼ガス４２の熱をボイラ水３５に直接に与える沸
騰熱伝達により蒸気を発生させる。

この蒸気と燃焼ガス４２とが混合した加熱流体４３は上
昇し、そして導管３８を通して加熱流体室３２に導かれ
る。

そして加熱流体４３は，噴射孔４１を通して噴射され、
貫通孔５を通して油層１に圧入されて重質油を加熱軟化
させる。

これにより粘度の低下した油層１内の原油は採油ポンプ
１５により採油される。

上記のような作用において、空気配管２２９から燃焼用
空気室２４の下部に供給された空気は、この燃焼用空気
室２４を上昇中に、蒸気ドラム圧力制御弁３９など、両
壁１７，２３、電気配線（図示せず）などを冷却、保護
し、そして熱を吸収して予熱された空気となって開口２
１からバーナ２２部へ供給されることになる。

実施例ではボイラ挿入井３と採油井４とを別々に設けた
がこれは兼用してもよく、また近くに並掘して任意に使
用してもよい。

前記蒸気ドラム圧力制御弁３９やブロー兼リリ−フ弁３
６出口の逆止弁４０および３７は、ボイラ運転停止時に
油層１内の原油がボイラ内に流入することを防止するた
めに設けている。

以上述べた本発明の油田用地下ボイラによると次のよう
な効果を期待し得る。

１．燃焼室壁面を水冷構造とせず、耐火断熱材にて壁面
を保護し、しかも二重壁として内、外両壁面を空冷して
いるため、燃焼室は極めて大きな熱負荷に耐えることが
できる。

■．燃焼室内壁にはわずかな差圧しか作用しないため、
耐圧強度をもたせる必要がなく有利である。

また燃焼室は耐火断熱材の成形取付けにより、内壁形状
に関係なく、性能的に有利な形状とすることができる。

したがって、燃焼室内壁下部は、製作の容易な単純な形
状（円錘状、テーパ部のない異径円筒状など）とするこ
とができ、例えば経済的に見ても有利である。

（ボイラ運転中、雰囲気温度は３７５℃近辺まで上昇す
るため、燃焼室壁を一重にすると、壁としては、耐熱性
を有し且つ耐圧強度も出せる高級材料が必要となる。

）■．燃焼室の内、外壁を燃焼用空気にて冷却している
ため、熱を吸収して予熱された空気がバーナヘ供給され
る形となり、熱的に無駄がない。

■．燃焼室を二重壁として燃焼用空気室を形成している
ため、空気室への空気配管、蒸気ドラムへの給水配管、
電気配線などをこのスペースを利用して行え、これらを
、高温の原油との接触による腐蝕、汚損から保護するこ
とができる。

■．燃焼ガスを蒸気ドラム内のボイラ水中に噴射させ、
沸騰熱伝達により該燃焼ガスの熱をボイラ水に直接に与
えているため、伝熱管が不要となってボイラの構造は極
めて簡単かつコンパクトなものとなる。

また加圧燃焼方式で燃焼室と蒸気ドラムを連通させてい
るため、燃焼室の下部に直接蒸気ドラムを設けることが
できる。

これらのことにより、坑井の内径（Ｍａｘ，６００φ程
度）内におさまるボイラの設計、製作が可能である。

【図面の簡単な説明】

図面は本発明の一実施例を示し、第１図は全体の概略図
、第２図は油田用地下ボイラの縦断正面図、第３図は同
要部の縦断正面図、第４図は第２図におけるＡ−Ａ断面
図、第５図は同Ｂ−Ｂ断面図である。 １・・・・・・油層、３・・・・・・ボイラ挿入井、４
・・・・・・採油井、７・・・・・・油田用地下ボイラ
、１７・・・・・内壁、１８・・・・・・耐火断熱材、
１９・・・・・・燃焼室、２０・・・・・・燃焼ガス噴
射ノズル、２３・・・・・・バーナ、２３・・・・・・
外壁、３４・・・・・・燃焼用空気室、２９・・・・・
・空気配管、３２・・・・・・加熱流体室、３３・・・
・・・給水配管、３４・・・・・・蒸気ドラム室。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ 加圧燃焼方式の燃焼室と、この燃焼室からの燃焼ガ
   ス噴射ノズルが位置する蒸気ドラムと、この蒸気ドラム
   を囲み且つ該蒸気ドラムに連通ずる加熱流体室とを有し
   、前記燃焼室は二重壁の内壁内側に耐火断熱材を設ける
   ことにより形成し、そして内壁と外壁との間に燃焼用空
   気室を形成すると共に、この燃焼用空気室の上部を前記
   燃焼室に連通し、さらに燃焼用空気室内に、この燃焼用
   空気室の下部に開口する空気配管と、前記蒸気ドラムに
   連通ずる給水配管とを配設したことを特徴とする油田用
   地下ボイラ。