JPS5813839B2 - 水中用線形成型爆薬とその製造方法 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明は、爆発噴流により水中構造物を切断するための
線形成型爆薬とその製造方法に関するものである。

本発明の第１の目的は、非定型的な種々の構造物に応じ
て適宜使用できる可撓性を備えた線形成型爆薬を提供す
ることにある。

また本発明の第２の目的は、前記線形成型爆薬を好適な
水中用として改良したものを提供することにある。

更に本発明の第３の目的は、これら線形成型爆薬の製造
方法を提供することにある。

一般に構造物を切断するために使用される線形成型爆薬
は、線形容器内で爆薬の充填密度が高く均一であること
が良好な切断性能を得るために必要とされており、また
線形容器の構造物切断面に対向する部分のＶ字形の溝形
状、あるいは作業上の問題点として適切なスタンドオフ
を保って使用することなどが性能向上のための要点とし
て知られている。

そして従来の線形成型爆薬は、被切断物である構造物が
定型的なものでないために、その使用状況に応じて前記
種々の条件を満足するよう個々に製造するのが普通であ
った。

このような場合の問題点として、形状の異なる線形容器
を夫々形成し、これに溶融爆薬を充填するなどの製造方
法がとられていたために使用設備が複雑で作業が繁雑に
なり、コスト高なものとなるという難点があり、更に前
述のように被切断構造物の形状に合わせて形成する必要
から、予め線形成型爆薬を製造して在庫しておくこと、
あるいは異種構造物への転用が不可能であり、特に緊急
性のある場合に対処できないという難点があった本発明
は以上の問題点を解消するためになされたものである。

即ち本発明は、筒状の一部に母線方向に延設されたＶ字
形の凹溝が形成された線形をなす本体容器を鉛、錫、ア
ンチモン、銅等の延性、展性の大きな金属にて形成する
と共に、この筒状容器内にトリメチレントリニト口アミ
ン（以下ヘキソーゲンとする）、トリニトロトルエン（
以下ＴＮＴとする）等の粉・粒状爆薬を充填させた線形
成型爆薬本体を形成し、この線形成型爆薬本体のＶ字形
凹溝の中空部を合成樹脂製等の被覆膜で外部から密封さ
せた水中用として好適な線形成型爆薬を提供し、また更
に鉛、錫、アンチモン、銅等（若しくはこれを主成分と
する）の延性、展性の大きな金属よりなる略円筒形容器
内にヘキソーゲン、ＴＮＴ等の粉・粒状爆薬を充填した
線形成型爆薬本体を対向する回転周面のなす空隙が略■
形をなす一対のローラー間に挿通させてＶ字形凹溝の形
成と、筒内断面積の縮減による充填爆薬の高密度化とを
図った製造方法を提供するものである。

本発明よりなる線形成型爆薬においては、その容器が延
性、展性の大きな金属を用いているため、その筒殼の厚
さを適宜設定することによって直線的な線形成型爆薬を
ループ状等にわん曲させることが可能となり、非定型的
な各種構造物に対して応用できるため緊急的な使用要求
に対処できるという優れた利点があり、線形成型爆薬を
水中用として用いた場合に、■字形の溝中空に水が入る
とこれが切断性能の低下を招くこととなるが、前述した
ように該溝中空部分を密封させた本発明の線形成型爆薬
によれば、この点に対する不具合は解消され、かつ線形
をわん曲させることも同様可能であるため水中作業性の
著しい向上が得られることになる。

更に本発明の製造方法によれば、略円筒状の容器に爆薬
を充填できるため、従来のように特殊形状の容器に対し
てこれを行なうものと比しその作業は容易となり、かつ
巣ができにくく、しかも一対のローラー間を挿通させる
成型時に筒内断面積の縮減を図って爆薬の高密度化も得
られるなどコスト低廉化と共に、使用用途範囲の拡大、
性能向上などその有用性は極めて高いものといえる。

以下本発明を図面に示す実施例に基づいて説明する。

第１図は線形成型爆薬の被覆膜を除く線形爆薬本体の断
面図を示し、２は母線方向に延設されたＶ字状凹溝３を
有する薄殼筒状の容器であり、鉛、錫、アンチモン、銅
等の延性、展性の大きな金属材料にて構成されている。

４は容器２内に充填されている粉・粒状の爆薬である。

第２図は前記線形成型爆薬本体１の成型装置を示すもの
で、平行な一対の回転軸５，６に夫々固着された一対の
上・下ローラー７，８が夫々雄型、雌型をなして対向す
る周面間で略急形の空隙を形成している。

そして略円筒状の容器内に爆薬を充填した予備成型物を
この上・下ローラーγ，８空隙に挿通させることによっ
て第１図に示す線形成型爆薬本体１を形成することがで
きる。

尚、この成型にあたっては略円形状の空隙から略曲形の
空隙に亘ってその形状を漸次変化する複数対の上・下ロ
ーラーの組合せを設け、あるいは一対の上・下ローラー
の間隙を漸次狭くして段階的に成型することが実用上望
ましいと考えられる。

そしてこの成型により容器内断面積は縮減され充填爆薬
は高密度化される。

一例を挙げれば、内径７ｍｖｔ、殼厚１．５ｍｍ、長さ
１．５ｍの鉛合金筒管に爆薬（ヘキソーゲン）を５５，
！ｉ’装填（装填比重約０．９５）ｊ，たものを前記方
法により成型したとき、鉛合金筒管の長さが．約２．２
ｍ装填比重が１．６６、１ｍ当りの装薬量は約２５Ｉと
なった。

尚、この成型については上・下ローラーの寸法筒管の外
・内径を変えることによって種々の切断力（浸徹深さ）
を得るように換えることができるのは明らかである。

第３図及び第４図は、前記線形成型爆薬本体１の外周を
、Ｖ字状溝２中空部を外部から密封する延性を備えた被
覆膜で外装させ、更にその両端に防水キャップ１３を組
付けたものを示し、全体としての屈曲変形が可能である
こと、Ｖ字状溝２内に水が浸入することがないために水
中での切断性能の低下が生じないという利点を備えたも
のである。

そして前記被覆膜の外装方法としては、線形成型爆薬本
体１の外周に熱収縮チューブ１４を被覆し、水蒸気等で
収縮させた後、接着テープ１５を巻き付け、更に熱収縮
チューブを被覆して同様に水蒸気等で収縮させることが
挙げられる。

この場合内側の熱収縮チューブ１４はＶ字状溝３を中空
に保ち、耐水性、耐圧性を持たせるもの、接着テープ１
５は内側熱収縮チューブ１４の破損防止、更に外側熱収
縮チューブ１６は接着テープ１５の剥離防止と補強のた
めのものである。

第５図及び第６図は、本発明の線形成型爆薬を被切断構
造物９，１０に組付けた状態を示し、１１は起爆装置で
ある。

同図に示される如く円筒形状の構造物９を切断し、ある
いは平板状の構造物１０にループ状部を含めて切断する
場合に対しても、本発明の線形成型爆薬はその容器をな
す金属材が延性、展性の大なるものであるため、必要な
切断線に合わせて変形させることが可能であり、更に必
要ならば軽く傷をつけて行なってもよい。

【図面の簡単な説明】

第１図は線形成型爆薬本体の断面図、第２図は同本体の
成型装置及びその成型方法を示す図、第３図は水中用線
形成型爆薬の断面図、第４図は同爆薬の構造を示す一部
展開斜視図、第５図及び第６図は夫々同爆薬の使用状態
を示す図である。 １・・・・・・線形成型爆薬本体、２・・・・・・容器
、３・・・・・・Ｖ字状溝、４・・・・・・充填爆薬、
５，６・・・・・・回転軸、７・・・・・・下ローラー
、８・・・・・・上ローラー、９，１０・・・・・・構
造物、１１・・・・・・起爆装置、１２・・・・・・被
覆膜、１３・・・・・・防水キャップ、１４・・・・・
・内側熱収縮チューブ、１５・・・・・・接着テープ、
１６・・・・・・外側熱収縮チューブ。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 母線方向に延長されたＶ字状溝を有する鉛、錫、ア
   ンチモン、銅等の延性、展性の犬なる金属材よりなる筒
   状容器と、この容器内に充填されたトリメチレントリニ
   ト口アミン、トリニトロトルエン等の粉・粒状爆薬と、
   前記容器に外装されてＶ字状溝の中空部を外部から密封
   する延性を備えた被覆膜とから構成されていることを特
   徴とする水中用線形成型爆薬。 ２ 被覆膜が熱収縮チューブと巻き付け接着テープの組
   合せよりなることを特徴とする特許請求の範囲１に記載
   した水中用線形成型爆薬。 ３ 鉛、錫、アンチモン、銅等の延性、展性の犬なる金
   属材よりなる略円筒状容器に、トリメチレントリニト口
   アミン、トリニトロトルエン等の粉粒状爆薬を充填し、
   対向回転周面の形成する間隙が喚■形をなす一対の回転
   ローラー間に前記容器を軸方向に挿通させてｖ字溝を成
   型し、更に該容器にＶ字状構内中空を外部から密封する
   被覆膜を外装せしめたことを特徴とする水中用線形成型
   爆薬の製造方法。