JPS5811229B2 - 消火用急速開放装置 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明は貯蔵容器に充填された消火剤を一挙に放出でき
るようにした急速開放装置に関するものである。

爆発的に燃焼する火災を拡大しないうちに鎮圧するには
消火剤の貯蔵容器を急速に開放し、火災区画又は対象物
に対して消火剤を一挙に放出しなければならない。

従来の急速開放装置には火薬を利用してその爆発により
封板を破開するものや、前後に圧力を加えたピストンバ
ルブの一方の圧力を下げて急速に開放させるもの等があ
る。

しかし火薬式のものは火薬の寿命が短いため使用しなく
ても火薬を毎年、又は２年に１回交換しなければならず
、法律上取扱いや保管に特別の資格者や場所を必要とす
るから極めて面倒であり、ピストンバルブ式のものは原
理上小形のものでなければ急速開放に適さないだけでな
く、消火剤の貯蔵容器及び開放装置に複雑な構造が必要
であった。

本発明は貯蔵容器の底板と頂板を刺抜いてそれぞれに環
状金具とこれよりも内径の大きい筒体を溶接し、環状金
具に嵌込んだ底蓋と筒体に嵌合するピストンをロッドで
一体に連結し、筒体の下口を塞ぐ端板とピストンとの間
に突張りばねを介装して底蓋で環状金具を閉塞し、筒体
の上縁に螺合する袋ナツトに起動用ガスボンベに取付け
た容器弁を装着し、平常は底蓋とピストンの面積差分の
内圧力に基づく上向きの力でバランスをとり、所要時に
ピストンに対し起動用ガスの圧力を加えて底蓋を開くよ
うに構成し、えれにより火薬式の面倒を解消しかつ極め
て簡単な構成で消火剤の貯蔵容器を急速に開放すること
に成功したのである。

図面の実施例において、１は頂板２と底板３をゆるいテ
ーパ面に作った貯蔵容器で、大量の消火剤りをはマ一杯
に充填して上部の空間に加圧用ガス■を圧入し、このガ
スで消火剤りを例えば常時２５ｋｇｆ ７ｃｍ２に加圧
し、取付は用フランジ４を溶接した底板３の中央部を大
きく刺抜いて内径Ｂの環状金具５を気密に溶接し、この
環状金具の外周面にねじ６を切って運搬中の保護キャッ
プや消火剤の放出方向を制御するホーン（共に図示なし
）を装置する。

７は環状金具５に嵌込んだ直径Ｂの底蓋で、貯蔵容器１
の中心線を通るロッド８を上面の突部に一体に結合し、
周面を巡る側溝にＯＩＪソングを納めて消火剤りの漏洩
を阻止し、環状金具５と底蓋７により貯蔵容器の底板３
に内径Ｂのバルブを構成する。

１０は環状金具の内径Ｂよりも大きい内径Ａをもつ円筒
状の筒体で、貯蔵容器の頂板２の中央部を大きく刺抜い
て気密に溶接し、上縁の外周に袋ナツト１１を螺合して
Ｏリング１２により気密を確保し、中心に通孔１４とそ
の近くに小孔１５をあけた端板１３を下縁の段部に載せ
てこの端板で筒体１０の下口を塞ぐ。

１６は筒体１０に嵌合する直径Ａのピストンで、上面の
中心に円錐形の浅い凹所１７を穿つと共に周面の側溝に
０１Ｊング１９を納め、下面の突部を端板の通孔１４に
嵌めてロッド８を一体に結合し、端板１３との間に介装
したピッチのあらい突張りばね１８によりこのピストン
１６を押上げて底蓋Ｉで環状金具５を閉塞し、このばね
と小孔１５から筒体内の空間Ｐへ流入した加圧用ガス■
の圧力によりピストン１６を袋ナツト１１の内面に押付
けて両者の間隙を無くす。

こＳに底蓋７を環状金具５に嵌込んでいるから、ピスト
ン１６を袋ナツト１１の内面に密接させることができる
。

２０は起動用ガスを封入した小形のボンベで、このボン
ベに取付けた容器弁２１を袋ナツト１１の中心にあけた
通孔２２に口金２３を介して装着する。

容器弁２１は火災検知器（図示なし）の信号を受けて動
作する電磁ソレノイド２４により封板を破開する急速開
放型が適し、その構造は公知であるから説明を省略する
。

貯蔵容器１は左肩にボールチェック式充填口２５を設け
、手前側の肩部に封板式安全弁（図示なし）を取付け、
右肩に内圧力監視用として圧力計又は圧力スイッチ２６
を取付け、これは電線２７により遠方監視室へ異常信号
を送る。

又容器弁２１にも圧力監視用として圧力計又は圧力スイ
ッチ２８を取付け、電線２９により遠方監視室へ異常信
号を送るようにする。

３０は袋ナツト１１に取付けたリーク弁で、容器弁２１
の出口から起動用ガスが万−洩れて通孔２２からピスト
ンの凹所１７に入った場合、又は筒体内の空間ＰからＯ
リング１９を径で加圧用ガス■が洩れてピストン１６の
上側へ入った場合に作用し、わずかな圧力上昇であれば
外部へ逃がし、急激な圧力上昇であれば閉塞して誤作動
を防止する。

本発明装置の一実施例は以上の構成からなり、始めに容
器弁２１を口金２３からはずしておき、突張りばね１８
でピストン１６を袋ナツト１１の内面に押付けて底蓋７
で環状金具５を閉塞し、この状態で充填口２５から消火
剤りを貯蔵容器１へ注入し、続いて上部の空間に加圧用
ガス■を圧入したのち口金２３に容器弁２１を取付ける
。

このようにして消火剤りの注入と容器弁２１の取付けが
終ると、通孔２２と口金２３の内部は常に大気圧であっ
て底蓋７に働く大気圧と対応し、底蓋７に対して消火剤
りの重量と加圧用ガス■の圧力による下向きの力が働い
ｔいるが、ピストン１６に対して突張りはね１８と筒体
内の空間Ｐのガス圧力が上向きに働き、底蓋の直径Ｂよ
りもピストンの直径Ａが太きいから、平常は両者の面積
差分の内圧力に基づく上向きの力が打勝ち、底蓋７が環
状金具５を閉塞した状態で安定している。

容器２１の出口側の体積として通常大きな部分を占める
のはピストン１６と袋ナツト１１の内面との間隙である
が、本実施例では両者を密接させているからこの間隙の
体積を無視することができる。

従って本実施例においては容器弁２１の出口側の全体積
は口金２３と通孔２２及び凹所１７となり、これらの合
計を数ｄに作ることができる。

このように構成するボンベ２０の圧力を例えば１００ｋ
ｇｆ／ｃｍ２としたとき容器弁２１の開放によりピスト
ン１６に働く圧力の上昇率を１ｍｓ後に２０〜３０ｋｇ
ｆ／ｃｍ２にすることは容易となり、従って容器弁２１
が開放した瞬間にピストン１６と底蓋７とのバランスを
崩すことができる。

このバランスはピストン１６と底蓋７の面積差分の内圧
力に基づくものであるから、一旦バランスが崩れるとピ
ストンは急速に鎖線位置１６′へ降下し、底蓋も鎖線位
置７′へ急速に降下して環状金具５を全開し、消火剤り
は加圧用ガス■の圧力を受けて一挙に放出される。

以上は本発明の一実施例を説明したもので、本発明はこ
の実施例に限定されることなく発明の要旨内において設
計変更できる。

本発明においては貯蔵容器の底板と頂板を刺抜いてそれ
ぞれに環状金具とこれよりも内径の大きい筒体を溶接し
、環状金具に嵌合する底蓋と筒体に嵌合するピストンを
ロッドで一体に連結し、筒体の下口を塞ぐ端板とピスト
ンとの間に突張りばねを介装して底蓋で環状金具を閉塞
し、筒体の上縁に螺合する袋ナツトに起動用ガスボンベ
に取付けた容器弁を装着し、平常な底蓋とピストンの面
積差分の内圧力に基づく上向きの力でバランスをとり、
所要時にピストンに対し起動用ガスの圧力を加えて底蓋
を開くように構成しており、火薬式の面倒さを解消しか
つ極めて簡単な構成で貯蔵容器を急速に開放しうる効果
がある。

【図面の簡単な説明】

図面は本発明装置の一実施例を示す縦断面図である。 なおＬは消火剤、■は加圧用ガス、１は貯蔵容器、２は
頂板、３は底板、５は環状金具、７は底蓋、８はロッド
、１０は筒体、１１は袋ナツト、１３は端板、１４は通
孔、１５は小孔、１６はピストン、１８は突張りはね、
２０は起動用ガスボンベ、２１は容器弁である。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ 消火剤と加圧用ガスを充填する貯蔵容器の底板と頂
   板を刺抜いてそれぞれに環状金具とこれよりも内径の大
   きい筒体を溶接し、環状金具に嵌込んだ底蓋と筒体に嵌
   合するピストンをロッドで一体に連結し、筒体の下口を
   塞ぐ端板にロッドの通孔と加圧用ガスを通す小孔をあけ
   、この端板とピストンとの間に突張りばねを介装して底
   蓋で環状金具を閉塞し、筒体の上縁に螺合する袋ナツト
   に起動用ガスボンベに取付けた容器弁を装着し、平常は
   底蓋とピストンの面積差分の内圧力に基づく上向きの力
   でバランスをとり、所要時にピストンに対し起動用ガス
   の圧力を加えて底蓋を開くように構成したことを特徴と
   する消火用急速開放装置。