JPH1196140A - 内積演算装置 - Google Patents

内積演算装置

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JPH1196140A
JPH1196140A JP9254795A JP25479597A JPH1196140A JP H1196140 A JPH1196140 A JP H1196140A JP 9254795 A JP9254795 A JP 9254795A JP 25479597 A JP25479597 A JP 25479597A JP H1196140 A JPH1196140 A JP H1196140A
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JP
Japan
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vector
matrix
optical
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input
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JP9254795A
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Inventor
Takeshi Hashimoto
武 橋本
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Olympus Corp
Original Assignee
Olympus Optical Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 高速のみならず、入力ベクトルに対して高精
度に内積演算を行える光計算機及びそれを利用した情報
処理装置。 【解決手段】 入力ベクトルにその入力ベクトルに応じ
た変換を施してベクトルを出力する入力ベクトル変換手
段36と、入力ベクトル変換手段36から出力されたベ
クトルに基づいて行列を出力する行列変換手段33と、
入力ベクトル変換手段36から出力されたベクトルと行
列変換手段33から出力された行列との積である内積演
算を行う光学的ベクトル行列演算手段37とで構成さ
れ、入力ベクトル変換手段36により、入力されるデー
に対し、全ての成分からスカラー数βを減じた後、
スカラー数α倍した、 α(−β) ( t(1 ,1 ,・・・・・ ,
1)) なる変換を施してから内積演算を行う。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ニューラルネット
ワークやベクトル量子化等の基本演算となる内積演算を
高精度に行う内積演算装置に関する。
【0002】
【従来の技術】増大する情報を処理する上では、現在の
ノイマン型の電子計算機には限界があり、別のアーキテ
クチャーを持つ並列計算機が盛んに研究開発されてい
る。しかし、この並列計算機にも、発熱や配線遅延等を
始めとする電子技術特有の限界が露呈し始めており、こ
れらの問題を解決する1つの方法として、光を用いたア
プローチがなされている。それらアプローチの中の1つ
が、内積演算を並列に行う光計算機である。内積演算と
は、ニューラルネットワークやベクトル量子化の基本演
算であり、これを用いれば、画像処理、画像認識、画像
判断、画像理解、画像圧縮等の広い分野でのアプリケー
ションに適応可能な情報処理装置を構成できる。また、
その際には、高速かつ高精度に演算可能なことが要求さ
れる。
【0003】次に、内積演算を並列に行い、高速性を可
能とした従来の光計算機の1例として、下記のような光
学的ベクトル行列演算装置を説明する。
【0004】光学的ベクトル行列演算装置の第1の例を
図1に模式的に示す。光学的ベクトル行列演算装置1
は、発光素子アレイ2、光学的マスク3、受光素子アレ
イ4とからなり、発光素子アレイ2は光学的マスク3の
列方向に平行に配列され、受光素子アレイ4は光学的マ
スク3の行方向に平行に配列されており、発光素子アレ
イ2で表現される入力ベクトルに対し、と光学的マ
スク3上に表現される行列Aとの積=Aを出力す
る。発光素子アレイ2中の発光素子2a、2b、…は入
力ベクトルの成分s1 ,s2 ,…の値に比例した光強
度で発光する。これらの出力光は、レンズ系(図中では
省略。具体例としては、母線が発光素子アレイ2の配列
方向に伸びる正のシリンドリカルレンズを用いる。)に
より光路が変換され、光学的マスク3を照射する。この
際、第j番目の発光素子の出力光が、光学的マスク3の
第j行成分のみを一様に照射するように光路変換され
る。光学的マスク3は、その(i,j)成分の透過率
が、行列Aの(i,j)成分Aijであるように作られて
いる。その結果、光学的マスク3の(i,j)成分の透
過光強度はその積Aijj に比例した強度となる。光学
的マスク3からの透過光は、レンズ系(図中では省略。
具体例としては、母線が受光素子アレイ4の配列方向に
伸びる正のシリンドリカルレンズを用いる。)により光
路が変換されて、受光素子アレイ4で受光される。この
際、第i番目の受光素子には、光学的マスク3の第i列
成分の透過光のみが全て受光されるように光路変換され
る。この結果、第i番目の受光素子の出力は、出力ベク
トルの第i成分である内積値ti =Σj ijj に比
例にした値となる。したがって、受光素子アレイ4中の
受光素子4a、4b、…からはそれぞれ出力ベクトル
の各成分である内積値t1 ,t2,…に比例した出力が
並列に得られることになる。この系では、入力ベクトル
及び行列Aの全ての成分が正又は0の場合に計算が可
能である。
【0005】なお、この装置において、光学的マスク3
を空間光変調器等で書き換え可能にすれば、学習可能な
ニューラルネットワーク等も実現できる。
【0006】ベクトル及び行列Aの成分に負の値が含
まれる場合においても、以下に述べるような方法で内積
演算を並列に行う光学的ベクトル行列演算装置を構成す
ることができる。光学的ベクトル行列演算装置の第2の
例を図2に模式的に示す。光学的ベクトル行列演算装置
11は、入力ベクトル正値化手段12と、発光素子アレ
イ13と、光学的マスク14と、受光素子アレイ15
と、差分回路アレイ16とからなり、入力に対し、
と行列Aとの積=Aを出力する。
【0007】入力ベクトル正値化手段12は、入力ベク
トルを成分の全ての値が正である2つのベクトル
+ - に、 + - となるように変換し、新
たなベクトル’= t(s+ 1 ,s- 1 ,s+ 2 ,s-
2 ,・・・)を作り、出力する。 + - を与える方
法の1つの例は、 s+ j =sj ,sj - =0 (sj ≧0) s+ j =0,sj - =−sj (sj <0) ・・・(イ) とすることである。
【0008】発光素子アレイ13中の発光素子13a、
13b、…はベクトル’の各成分s’1 ,s’2 ,…
の値に比例した光強度で発光する。これらの出力光は、
レンズ系(図中では省略。具体例としては、母線が発光
素子アレイ13の配列方向に伸びる正のシリンドリカル
レンズを用いる。)により光路を変換され、光学的マス
ク14を照射する。この際、第j番目の発光素子の出力
光が、光学的マスク14の第j行成分のみを一様に照射
するように光路変換される。
【0009】行列Aは予め以下のような方法で、行列正
値化手段14’により行列A’に変換されている。行列
Aは、全ての成分が正であるような2つの行列A+ ,A
- に、A’=A+ −A- となるように変換され、新たな
行列、 を作る。ここで、 は行列を表す。A+ ,A- を与える方法の1つの例は、 A+ ij=Aij,A- ij=0 (Aij≧0) A+ ij=0,A- ij=−Aij (Aij<0) ・・・(ロ) とすることである。
【0010】光学的マスク14は、その(i,j)成分
の透過率が行列A’の(i,j)成分A’ijであるよう
に作られている。その結果、光学的マスク14の(i,
j)成分の出力光強度はA’ijs’j に比例した強度と
なる。光学的マスク14からの出力光は、レンズ系(図
中では省略。母線が受光素子アレイ15の配列方向に伸
びる正のシリンドリカルレンズを用いる。)により光路
を変換されて、受光素子アレイ15を照射する。この
際、第i番目の受光素子には、光学的マスク14の第i
列成分の出力光のみが全て照射されるように光路変換さ
れる。この結果、第i番目の受光素子の出力t’i は、 に比例した出力となる。
【0011】受光素子アレイ15中の受光素子15aと
15b、15cと15d、…からの出力は、それぞれ差
分回路アレイ16中の差分回路16a、16b、…に入
力され、それぞれの差分が計算される。その結果、差分
回路アレイ16の出力は、 のように、内積値にそれぞれ比例することになる。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】上述の光学的ベクトル
行列演算装置1あるいは11に類する内積演算を並列に
行う従来の光計算機においては、入力ベクトルの各成分
の値は対応する発光素子、重みベクトルや量子化代表ベ
クトル等の比較対象となるベクトル群を表す行列の各成
分の値は対応するマスクや空間光変調素子でそれぞれ表
現される。しかし、これら発光素子や空間光変調素子に
は、定格電流や定格電圧、あるいは、しきい値電流や飽
和電圧等の適正動作範囲を規定する制限が存在するの
で、上記各成分値をこの適正動作範囲を超えて表現する
ことはできない。もしこの範囲を超えて表現すると、計
算誤差が非常に大きくなる。また、光量として計算結果
を検出する受光素子には、通常、迷光等によるノイズや
その他電気的ノイズ等が重畳されるので、このノイズレ
ベルより小さな光量の違いは分解できない。したがっ
て、上記発光素子や空間光変調素子で表現でき、しかも
正確に検出できる成分の階調数は、この適正動作範囲と
ノイズレベルで規定され、実際にはさほど取れない。従
来技術では、この点の考察と解決方法が示されておら
ず、正確な内積演算が行われているとは言い難い。
【0013】本発明は従来技術のこのような問題点に鑑
みてなされたものであり、その目的は、高速のみなら
ず、入力ベクトルに対して高精度に内積演算を行える内
積演算装置を提供することにある。
【0014】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成する本発
明の内積演算装置は、入力されたベクトルに対し、その
全ての成分からスカラー数を減じた後、スカラー数を乗
じる変換を施す入力ベクトル変換手段と、前記入力ベク
トル変換手段から出力されたベクトルに基づいて行列を
求める行列変換手段と、前記入力ベクトル変換手段から
のベクトルと前記行列変換手段からの行列を構成する各
ベクトルとの内積を求めるベクトル行列演算手段と、を
備えることを特徴とするものである。
【0015】これは、後述する実施形態1及び2が対応
する。この入力ベクトル変換手段によれば、後述するよ
うに、広い範囲に成分値が分布している一般的な情報を
狭い範囲に変換できるので、階調数に制限がある場合で
も、正確な内積演算が可能となる。
【0016】上述の内積演算装置においては、減じるべ
きスカラー数は、入力ベクトル変換手段に入力されたベ
クトルの成分の平均値であることより好ましい。
【0017】これは後述する実施形態1及び2が対応す
る。この入力ベクトル変換手段によれば、後述するよう
に、広い範囲に成分値が分布している一般的な情報をよ
り狭い範囲に変換できるので、階調数に制限がある場合
でも、より正確な内積演算が可能となる。
【0018】また、上述の内積演算装置においては、乗
じるべきスカラー数は、入力ベクトル変換手段に入力さ
れたベクトルの各成分からスカラー数を減じた後のベク
トルの各成分の2乗和に基づいて数であることがより好
ましい。
【0019】これは後述する実施形態1及び2が対応す
る。この入力ベクトル変換手段によれば、後述するよう
に、変換後のデータの多くの部分を適切な範囲内に収め
られ、さらに正規化の効果もあり、階調数に制限がある
場合でも、より正確な内積演算が可能となる。
【0020】さらに、上記内積演算装置においては、乗
じるべきスカラー数は、入力ベクトル変換手段に入力さ
れたベクトルの各成分からカラー数を減じた後のベクト
ルの各成分の2乗和の平方根の逆数に所定の定数を乗算
した数であることがより好ましい。
【0021】これは後述する実施形態1及び2が対応す
る。この入力ベクトル変換手段によれば、後述するよう
に、変換後のデータのより多くの部分を適切な範囲内に
収められる上、正規化の効果もあり、階調数に制限があ
る場合でも、より正確な内積演算が可能となる。
【0022】さらに、上記内積演算装置においては、行
列変換手段は、求められた行列を正規化する正規化手段
をさらに有することがより好ましい。
【0023】これは後述する実施形態1及び2が対応す
る。この行列変換手段によれば、後述するように、行列
内のベクトルデータをより汎用性の高いものとすること
ができる上に、正規化の効果もあり、より正確な内積演
算が可能となる。
【0024】さらに、上記内積演算装置においては、ベ
クトル行列演算手段は、入力ベクトル変換手段において
変換された後のベクトルの各成分に対応した光源と、行
列変換手段から出力された行列の各成分の値に対応した
透過率又は反射率を有する光学的マスクと、その光源か
らの光束がその光学的マスクを透過した光束を受光する
受光手段とを有することが好ましい。
【0025】これは後述する実施形態1及び2が対応す
る。このようにベクトル行列演算手段を構成することに
より、演算時間が短く、かつ正確な内積演算が可能な内
積演算装置を提供することができる。
【0026】さらに、上記内積演算装置においては、ベ
クトル行列演算手段は、入力ベクトル変換手段で変換さ
れたベクトルの各成分を正値化するベクトル正値化手段
と、行列変換手段から出力された行列の各成分を正値化
する行列正値化手段と、受光手段からの出力を受けて所
定の2つの受光素子の差分に対応した値を出力する差分
回路アレイとをさらに有することがより好ましい。
【0027】これは後述する実施形態1及び2が対応す
る。このように構成することにより、光学的なベクトル
行列演算手段を構成した場合であっても、負の値を扱う
ことができる。
【0028】上記目的を達成するため、本発明の内積演
算装置は、ベクトル行列演算手段からの出力を受けて、
その最大の出力を与える行列を構成するベクトルを求め
る最大値検出手段をさらに有することができる。
【0029】これは後述する実施形態1及び2が対応す
る。上述の内積演算装置は、上述の構成により正確な内
積演算が可能となっているので、これらを用い最大値検
出手段で判断すれば、入力ベクトルに対し、行列中のベ
クトルから最も内積値の大きなベクトルの指標を正確に
出力し、各種アプリケーションが実行可能な情報処理が
実現できる。
【0030】また、上記内積演算装置においては、行列
変換手段は、最大値検出手段からの出力を受けて競合ア
ルゴリズムに従って行列に変換するベクトルを決定する
手段をさらに有することがより好ましい。
【0031】これは後述する実施形態2が対応する。こ
の内積演算装置では、上述のように、入力ベクトルに対
し、行列中の重みベクトルから最も内積値の大きなベク
トルの指標を正確に出力することが可能となるので、ニ
ューラルネットワークの機能を実現し、認識や判断を正
確に行う情報処置が可能となる。
【0032】
【発明の実施の形態】以下、本発明の内積演算装置及び
それを利用した情報処理の第1及び第2実施形態につい
て説明する。 〔第1実施形態〕図3に本発明の第1の実施形態の構成
を示す。この実施形態は、本発明の内積演算装置を光学
的に実現した光計算機を用いた情報処理装置の応用とし
て、情報の圧縮を正確かつ高速に行えるベクトル量子化
装置に関するものである。
【0033】この実施形態のベクトル量子化装置31
は、光計算機32と、平均値計算手段34と、利得計算
手段35と、最大値検出手段38とからなり、入力ベク
トル(図面中では、ベクトルは文字の上に矢印を付け
て示す。)に対して、2乗歪み測度最小とする量子化代
表ベクトルの指標iと、g= i /c2 で与えられ
る利得g、及び、m=()/K=(1/K)×Σ
j j で与えられる平均値mとを出力する、平均値分離
正規化型と利得波形型の性質を合わせ持つベクトル量子
化を可能にするものである。
【0034】ここで、ベクトル量子化について説明す
る。ベクトル量子化では、K次元の入力ベクトルに対
して、有限個(N)の量子化代表ベクトル( 0
1 ,・・・, i ,・・・, N-1 )からなるコード
ブックを用意し、入力ベクトルを最も近い量子化代表
ベクトル i の指標iで符号化する。その際の類似度の
判断(比較演算)は、以下の2乗歪み測度が一般に用い
られる。
【0035】 これを画像圧縮に適用する最も単純な方法は、画像をK
画素からなるブロックで分割し、この1ブロック中に含
まれる情報をK次元の入力ベクトルとみなして順にベク
トル量子化を行うものである。平均値分離正規化型ベク
トル量子化とは、このベクトル量子化の変形例の1つで
ある。
【0036】この平均値分離正規化型ベクトル量子化に
おいては、入力ベクトルは、そのベクトル内平均値μ
と標準偏差σを次式で求め、 μ=(1/K)×Σj j ・・・(2) σ={(1/K)×Σj (xj ーμ)2 1/2 ・・・(3) 入力ベクトルをこのμとσで平均値分離正規化する。
つまり、 ’=(1/σ)×(ーμ), ここで、 t(1 ,1 ,・・・・・ ,1) ・・・(4) であり、tは転置を表す。また、コードブック( 0
1 ,・・・, i ,・・・, N-1 )を、全てのiに
ついて、| i 2 =c2 (cはiによらない定数)、
かつ、Σj i j =0となるように、種々の画像からサ
ンプリングした入力ベクトルを平均値分離正規化した上
述の’を多数用いて予め作っておく。この場合、量子
化代表ベクトルの判断基準である2乗歪み測度(1)式
は次式のように変形される。
【0037】 この式(5)が最小になるようなiの条件は、(5)式
の第1項及び第2項が正規化により一定値であることを
考えれば、内積’・ i を最大にするものであること
が分かる。
【0038】さらに、この(5)式により選ばれた量子
化代表ベクトル i の指標iと、利得g及び平均値mを
用いて利得波形型のベクトル量子化を行う。その際、2
乗歪み測度は、 E=|−(g i +m)|2 ・・・(6) となる。この式を最も小さくする利得g、平均値mは、
ここで、 ∂E/∂m=2mK−2=0 ・・・(7) ∂E/∂g=2g| i 2 −2 i =0 ・・・(8) から求められ、それぞれ次のようになる。
【0039】 m=()/K ・・・(9) g= i /c2 ・・・(10) とすればよい。
【0040】上述のベクトル量子化装置31を構成する
光計算機32は、入力ベクトル変換手段36と、光学的
ベクトル行列演算装置37と、行列変換手段33とで構
成されている。
【0041】入力ベクトル変換手段36は、入力として
ベクトルを受け取り、全ての成分からスカラー数βを
減じた後、スカラー数α倍した’=α(−β
(ここで、 t(1 ,1 ,・・・・・ ,1))を出力
する装置である。スカラー数α及びβは、入力ベクトル
に応じて以下のような方法で決定される。
【0042】ここで、一般的な画像について、その各画
素の取る成分値の分布範囲を考察してみる。256×2
56画素で8ビットの異なる8枚の画像について、その
各画素の取る成分値をヒストグラムで表したのが図4で
ある。広い範囲に成分値が分布している(大きな階調数
が必要である)ことが分かる。前述のように、ノイズ等
の影響を考えれば、階調数がこれ程大きいと正確な計算
はできない。
【0043】そこで、本発明では、入力ベクトル変換手
段36において、スカラー数βを入力ベクトルの成分
の平均値(1/K)×Σj j (K:入力ベクトル
次元数)で与え、入力ベクトルをまずーβ
変換する。上記8枚の画像についてこの変換後のベクト
を求め、同様にその成分値をヒストグラムで表した
のが図5である。0を中心に非常に狭い範囲に成分値を
変換できていることが分かる。この程度の階調数であれ
ば、正確な計算が可能となることは言うまでもない。
【0044】さらに、変換後の入力ベクトルの成分の
最大値と最小値をそれぞれ max min とし、光学的
ベクトル行列演算装置37中の発光素子(図2中の13
a、13b、…。後述)の発光強度を、使用可能な最大
の発光強度で発光させるベクトルの成分の値をhmax
するとき、スカラー数αをα=2hmax /( max
min )で与えると、発光素子の飽和を防止し、かつ、出
力ベクトルの成分間の差は最大に拡大され、外来ノイ
ズ等の影響による量子化代表ベクトルの判別誤りの発生
を減らすことができる。
【0045】しかし、 max min には、分布からか
け離れたものも存在する場合も多々あるので、 max
min を使って変換後のベクトルの全てを表現するよ
り、実際には分布の多い部分を発光素子の適正範囲内に
収めた方が、計算精度が確保できる場合が多い。その場
合には、分散σ2 =(1/K)×Σj (xj ーβ)2
(1/K)×(ーβ2 =(1/K)×|2
標準偏差σ等、分布の状態を表す量でスカラー数αを規
定するのがよい。これらの中、標準偏差σは変換後のベ
クトルのL2ノルムの係数倍となるので、正規化の効
果も同時にあり、内積演算を最も正確に行うことが可能
となる上、元々の平均値分離正規化型のベクトル量子化
を正確に表現するものである。この場合、スカラー数α
はα=hmax /kσ(kは任意の数)で与えられる。画
像によっても異なるが、このkは1〜3程度であると最
も効果が高かった。
【0046】なお、hmax は、発光素子の電気入力−光
出力特性を予め別の測定装置で測定して、その特性の線
形領域あるいは近似的に線形な領域にあり、系全体から
見て使用可能な最大の発光強度で発光させる電気的入力
(電流値)の値をhmax と設定すればよい。
【0047】行列変換手段33は、予め入力ベクトル変
換手段36で変換されたベクトル’=α(−β
を多数用いて、全てその成分の平均値Σj i j が0と
なるように、また、全てその大きさが定数cとなるよう
に規格化されている量子化代表ベクトルの集合であるコ
ードブック( 0 1 ,・・・, i ,・・・,
N-1 )を作成する。このコードブックを構成する量子化
代表ベクトルから作られた行列Cをコードブック行列と
呼ぶことにする。
【0048】光学的ベクトル行列演算装置37は、入力
ベクトル変換手段36の出力である’=α(x−β
I)を入力として受け取り、この’と、行列変換手段
33で作られたコードブック行列Cとの積、 =αC(−β)=α t 1 ・(−β), 2 ・(−β), ・・・, N ・(−β)) ・・・(11) を出力する。
【0049】本実施形態に用いられる光学的ベクトル行
列演算装置37は、光学的ベクトル行列演算装置11の
入力ベクトルの代わりに入力ベクトル変換装置36の
出力ベクトル’=α(−β)を、行列Aの代わり
にコードブック行列Cを、それぞれ用いることにより、
出力ベクトルの代わりに出力ベクトルが出力され
る。
【0050】本実施形態に用いられる光学的ベクトル行
列演算装置37は、上記の光学的ベクトル行列演算装置
11に類する形態のものは全て用いることができる。す
なわち、入力ベクトルの値に応じた強度で発光する発光
素子アレイ、若しくは、透過率を可変にできる空間光変
調素子と光源の組み合わせによる光源アレイと、行列の
各成分に対応した透過率を持つ光学的マスクあるいは空
間光変調素子、若しくは、行列の各成分に対応した回折
強度を持つホログラムと、出力ベクトルに応じた強度を
出力する受光素子アレイと、受光素子アレイの出力の
中、決められた2つの受光素子の差分に比例した値を出
力する差分回路アレイと、ベクトル正値化手段と、行列
正値化手段とを具備した光学的ベクトル行列演算装置
は、全てこれに該当する。
【0051】最大値検出手段38は、上記光計算機32
内の光学的ベクトル行列演算装置37からの出力ベクト
の成分の中から最大のものzi を検出し、その指標
iを出力する装置である。コードブック中の量子化代表
ベクトル i が全て等しい大きさcに規格化されている
場合には、入力ベクトルと量子化代表ベクトル i
内積が最大となる量子化代表ベクトルが最適な(最も類
似した)量子化代表ベクトルであるので、最大値検出手
段38は最適な量子化代表ベクトルの指標iを出力する
ことになる。
【0052】この結果、光計算機32は、入力ベクトル
変換手段36により入力ベクトル’=α(−β
)に変換し、光学的ベクトル行列演算装置37によ
り、行列変換手段33によって得られるコードブック行
列Cとの積つまり内積を計算した後、後段の最大値検出
手段38により、最適な量子化代表ベクトルの指標iを
検出し出力する。
【0053】入力ベクトルの成分が全て同じ値である
場合には、 max min =0又は|−β|=0と
なるため、上記の式は適用できない。しかし、ほとんど
の応用例においては、入力ベクトルの全ての成分が同
じ値であるような場合には、これに別の符号を割り当て
る等の例外処理を行うことにより、問題なく回避するこ
とができる。
【0054】スカラー数βとしては、平均値以外の数、
少なくとも max から min (入力ベクトルの成分の
最大値と最小値をそれぞれ max min とする。)ま
での範囲の数は変換の効果がある、例えばβ= min
設定すれば、入力ベクトルを全ての成分が正の値とな
るように変換して計算を行うことも可能である。この場
合にも、図2の光学的ベクトル行列演算装置11を用い
て光計算機32を構成することができるが、前述した図
1の光学的ベクトル行列演算装置1を用いた方が素子の
利用効率上望ましい。
【0055】平均値計算手段34は、入力ベクトル
成分の平均値(1/K)×Σj jを出力する。利得計
算手段35は、最大値検出手段38からの出力である指
標iと、入力ベクトルを入力として受け取り、コード
ブック33を参照して i の値を取り出し、利得g=
i /c2 を計算し出力する。
【0056】平均値分離正規化型のベクトル量子化装置
31は、入力ベクトルに対して、光計算機32により
コードブックとの内積を正確に計算し、その中から最大
値検出手段38により最適な量子化代表ベクトル i
判別し、平均計算装置34により、平均値mを計算し、
利得計算装置35により、最大値検出手段38からの出
力である指標iと入力ベクトルとから利得gを計算
し、コードブック中の最適な量子化代表ベクトルの指標
iと、平均値mと、利得gを出力する。この際、最大値
検出手段38からの出力である指標iを用いて利得gを
計算しているため、利得の計算は1回のみでよく、計算
時間をほとんど増大させない。
【0057】(具体例)本実施形態を持つ具体例を以下
に示す。本具体例では、濃淡画像を4×4画素ずつのブ
ロック単位で16次元のベクトルとして入力し、128
種の量子化代表ベクトルからなるコードブックを用いて
画像圧縮するためのベクトル量子化装置を実現した。
【0058】まず、光計算機32について述べる。入力
ベクトル変換手段36は、入力ベクトルを受け取り、
全ての成分からスカラー数βを減じた後、スカラー数α
倍した’=α(−β)を出力する装置であるが、
ここではスカラー数αは入力ベクトルの標準偏差σを
用いて、α=hmax /σ、βは入力ベクトルの成分の
平均値とした。また電気回路や光回路での実現も考えら
れるが、ここでは計算コストを考慮して、入力ベクトル
をコンピュータ内に入力した上で、コンピュータ内で
数値演算して光学的ベクトル行列演算装置37と行列変
換手段33に演算結果’を送るようにした。
【0059】また、光学的ベクトル行列演算装置37と
しては、図2に示した従来例の光学的ベクトル行列演算
装置11を用いた。ここでは、入力ベクトル正値化手段
12は計算機内のプログラムで、発光素子アレイ13は
高輝度の赤色LEDを1次元に32個並べたもので、光
学的マスク14は32×256の配列で、行列変換手段
33によって決定され行列正値化手段14’により全て
の成分が前述の(ロ)式のように正値に変換されたそれ
ぞれの成分値を、64段階の開口の大きさで表現した銀
蒸着の窓を持つ石英基板で、受光素子アレイ15は25
6個のフォトディテクタを1次元に並べ、それぞれにオ
ペアンプによる電流電圧変換回路を256個接続したも
ので、差分回路アレイ16は、受光素子アレイ15から
のプラス成分とマイナス成分に対応させて配置してある
オペアンプによる差動増幅回路を128個並べたものと
2個のシリンドリカルレンズとで構成してある。また、
制御用の付加品として、入力ベクトル正値化手段12に
より変換されたデータをアナログ信号に変換するための
AD変換ボードと、発光素子アレイ13用のドライバも
用いている。
【0060】行列変換手段33は、入力ベクトル変換手
段36によって変換されたベクトル’を用いてコード
ブックを作成するものであるが、ここでは計算機内で実
現している。最適化のアルゴリズムとしてLBGアルゴ
リズムを用い、8種類の濃淡画像から32768個の学
習系列を作った上で最適化し、16次元128種類の量
子化代表ベクトルからなるコードブックを決定し、さら
に前述の(ロ)式の変換を行列正値化手段14’により
施し、このデータを基に前述の光学的マスク14を予め
銀蒸着の窓を持つ石英基板として作成した上で、光学的
ベクトル行列演算装置37内に設置した。なお、極端に
画像の成分が異なる場合(例えば、自然画像と病理画像
の場合等)は、別のコードブックの必要が生じることが
有るが、本具体例では、予め行列変換手段33と行列正
値化手段14’でオフライン的に作成する光学的マスク
であるので、その場合、交換の必要が有るが、もしマス
クの代わりにSLMを用い、このコンピュータで作った
データをSLMのドライバに送り表示させるようにすれ
ば、光学系を再調整せずに異なったコードブックを表示
することができ、取り扱いが楽になる。
【0061】以上の構成により、本具体例の光計算機3
2は、コンピュータ内に入力されたベクトルを、この
コンピュータ内に実現されている入力ベクトル変換手段
36により’に変換し、さらに入力ベクトル正値化手
段12により正値のプラス成分とマイナス成分に変換
後、AD変換ボードと、発光素子アレイ13のドライバ
を介して、高輝度の赤色LEDからなる発光素子アレイ
13を、プラス成分とマイナス成分に分離して発光させ
る。ここで発光した光束に乗った変換データは、従来例
で説明したのと同様な作用を光学系と光学マスク14に
よって受け、さらに受光素子アレイ15と差分回路アレ
イ16を経ることで、光学マスク14上のコードブック
行列中の128種の量子化代表ベクトルとの内積値に比
例した電圧値となって出力される。この際、前述のよう
に、生の画像データを直接処理するのではなく、値の範
囲をハードウエアに合わせ適切に変換してから処理して
いるので、正確な内積が計算できる。
【0062】次に、この光計算機32を用いた、ベクト
ル量子化装置31について述べる。本具体例のベクトル
量子化装置31では、さらに、光計算機32からの出力
である内積値から、最大のものを最大値検出手段38で
検出しそのインデックスを出力する。この最大値検出手
段38は、128組のオペアンプとトランジスタとダイ
オードで構成される最大値回路と、その直後の128個
のフォトカプラで、光計算機32からの128の出力中
最大のもののみLowのディジタル出力を出力し、さら
には3−stateのプライオリティエンコーダ18個
を用いて、このLow出力フォトカプラのインデックス
を7ビットのディジタル出力に変換し出力するようにな
っており、このインデックスが量子化代表ベクトルのイ
ンデックスと一致しているので、入力ベクトルに最も類
似する量子化代表ベクトルのインデックスが選択され出
力されることになる。
【0063】本具体例のベクトル量子化装置31では、
その他の平均値計算手段34及び利得計算手段35もコ
ンピュータ内の数値計算にて求め出力するようになって
いる。本具体例では、平均値計算手段34は入力ベクト
ル変換手段36と共用となっており、また、最大値検出
手段38からの出力もディジタルIOを介してコンピュ
ータ内に入力されるようにしてあるため、所望のインデ
ックスi、平均値m及び利得gはコンピュータ内で数値
として揃うことになる。実際の画像圧縮では、順次画像
から4×4画素ずつ切り出して、本ベクトル量子化装置
31でこのi、m及びgを求め、その順にデータ列を作
れば圧縮データは完成する。このデータは、このまま記
憶装置に保存することも、イーサネット等を介して通信
することも可能である。圧縮画像の解凍は、順に x=g i +m なる式に当てはめて画素値を復元して行けばよい。この
処理は計算機内の処理でも十分高速に行える。
【0064】なお、本具体例においては、現状の計算コ
ストを優先させたために、光学的ベクトル行列演算装置
37及び最大値検出手段38以外の部分は、計算機内の
数値計算により処理を行う部分が多いが、もちろん電子
回路や光回路でも構成することは可能であり、デバイス
技術が進展すれば、それらを用いるメリット(特に高速
性における)が出てくる。また、カラー画像の圧縮につ
いても、例えばR,G,Bの3原色からなる濃淡画像に
分解し同様に処理すれば可能である。
【0065】以上の構成により、内積演算の計算精度が
向上した光計算機32を用いることにより、高速演算が
可能で、かつ、最適な量子化代表ベクトルの判別誤りが
少ない高性能な平均値分離正規化型のベクトル量子化装
置31を構成することができる。
【0066】〔第2実施形態〕本実施形態の情報処理装
置は、図6にその構成を示すように、光計算機42と、
最大値検出手段48とで構成され、情報の認識及び判断
等を高速に行う競合学習型のニューラルネットワーク装
置41に関するものである。
【0067】本実施形態では、1例として、ニューラル
ネットワークの競合学習に自己組織化特徴マップを用い
る場合を例にあげたので、まずこの自己組織化特徴マッ
プの学習アルゴリズムについて、以下に簡単に説明す
る。自己組織化特徴マップ(以下、SOMと表記す
る。)は、図7に示すように、2次元に並ぶ素子群の層
ML(以下、マップ層と表記する。)とデータを入力す
る入力層ILから構成される。このマップ層MLは、図
7では2次元に並ぶ素子を示したが、1次元に並ぶ素子
を用いてもよい。入力層ILはマップ層MLの全ての素
子と結合しており、入力データをマップ層MLの全ての
素子に与えることできる。入力データは、スカラーでも
ベクトルでもかまわないが、ここでは一般的にベクトル
(K次元)とおく。マップ層MLの素子i(iはマッ
プ上の順番とし、全素子数をN個とする。)は全て重み
ベクトル i (K次元)を持つことにする。SOMのア
ルゴリズムは、入力ベクトルと各素子の重みベクトル
i との類似性から更新すべき重みベクトルを決定する
<類似性マッチング>と、その重みベクトル i を入力
ベクトルの方に近付ける<更新>とに分けられる。そ
して、両者の作用を繰り返すことにより、入力ベクトル
の分布を反映する重みベクトル i (1≦i≦N)を
生成するものである。<類似性マッチング>と<更新>
の具体的な表式を以下に示す。
【0068】 <類似性マッチング> c =max i ・・・(12) <更新> i (t+1)= i (t)+γ(t){(t)− i (t)} i∈Nc i (t+1)= i (t) その他 ・・・(13) ここで、Cは i の内積値が最も大きかった素子
(勝利素子)、Nc はその勝利素子Cのマップ層MLで
の近傍、γ(t)は正の定数、tは時刻を示す。更新を
繰り返しながら、Nc とγ(t)の大きさを徐々に小さ
くする。また、γ(t)は、勝利素子Cから離れるに従
い小さくなるように選ぶこともできる。
【0069】次に、ニューラルネットワーク装置41を
構成する光計算機42について説明する。この光計算機
42は、入力ベクトル変換手段46と、光学的ベクトル
行列演算装置47と、行列変換手段43とで構成されて
いる。
【0070】入力ベクトル変換手段46については、第
1実施形態と同一に構成したので、変換による同様の効
果が有る。
【0071】行列変換手段43では、学習課程において
は、上記アルゴリズムによる学習更新則に従って、入力
ベクトル変換手段46によって変換された入力ベクトル
’と最大値検出手段48から出力される指標iとを基
に、重みベクトルの更新を行い、これを一定値で正規化
した重みベクトルの集合( 1 2 ,・・, i ,・
・, N )を作成する。これを重み行列Mと呼ぶことに
する。なお、この正規化では、ベクトル’のL2ノル
ムによる正規化の方が、内積演算をより高精度にでき
る。また、認識・判断過程においては、学習課程によっ
て獲得した重み行列Mを出力する。
【0072】光学的ベクトル行列演算装置47は、入力
ベクトル変換手段46の出力である’=α(−β
I)を入力として受け取り、この’と、行列変換手段
43で作られた重み行列Mとの積、 =M’=α t 1 ・(−β), 2 ・(−β), ・・・, N ・(−β)) ・・・(14) を出力する。
【0073】本実施形態の光学的ベクトル行列演算装置
47により内積演算が計算される過程を図8を用いて説
明する。(12)式の内積演算部分は、入力ベクトル
’を要素数K=S×Sの2次元に展開し、重みベクト
ルを、要素数S×SのサブマトリックスをN=T×T個
(ニューラルネットの素子数に対応)並べたものに展開
すれば、各成分毎に次式のように書き直せる。
【0074】 ここでは、説明を簡単にするために、(15)式におい
て、S=3、T=2とする。この光学系を模式的に示す
と図8(a)のようになる。LEDアレイ9330は、
図8(b)のように、特徴ベクトル検出伝送装置より送
られてくる特徴ベクトル’の成分X’ij(X’ij;i
=1〜3,j=1〜3:何れも整数)の成分数3×3と
同数のLEDで構成され、個々のLEDは特徴ベクトル
’の成分X’ijの値に比例した量の光量をそれぞれ発
光する。それぞれのLEDから発光した光束は、重みベ
クトル klの成分mklijを表すマスクアレイ9331中
の対応するマスクを照射する。ここで、図8(c)に示
すように、マスクアレイ9331は、mklijの中でi,
jの値が等しい成分を配列したベクトルを1つのマスク
として配列してある。つまり、ここでは、1つのマスク
の成分数は2×2となり、マスクアレイ9331中のマ
スクの個数はLEDと同等の3×3となる。さらに、
X’ijを表す個々のLEDが照射する領域は、マスクア
レイ9331中の同じi,jを表すマスクの領域とす
る。具体的には、図8(b)において、斜線で示すX’
11に対して発光するLEDは、図8(c)中の斜線部で
示した領域のみを照射して、そのマスクを読み出す。次
に、X’ijに対応した個々のLEDで読み出されたそれ
ぞれのマスクは、レンズアレイ9332の対応するレン
ズと結像レンズ9333により、フォトディテクターア
レイ9334の受光面で2×2の領域に重なり合って結
像される。1例として、図8(d)に示すk=1,l=
1の領域では、図8(c)に示す各マスクパターンでの
k=1,l=1の領域(図8(c)では太い破線でくく
られた領域)からの光束が入射する。このm11ij{i=
1〜3,j=1〜3:何れも整数}は、それぞれi,j
が等しいX’ijの情報を乗せ発光するLEDによって読
み出されるので、k=1,l=1の領域に集光する光束
は、結果として、 の計算を行ったことになる。
【0075】また、負の値の取り扱いについては、光学
的ベクトル行列演算装置11で説明した方法をそのまま
使える。上記光学系では、簡単のためS=3,T=2の
場合について説明したが、上記光学系では、レンズアレ
イ、入力ベクトルの配列、重みベクトルの配列等は任意
に選定でき、この場合、(15)式を満足することは明
らかである。
【0076】また、本実施形態に用いられる光学的ベク
トル行列演算装置47は、上記の光学的ベクトル行列演
算装置の他、従来例で示した光学的ベクトル行列演算装
置11等、類似する形態のものは全て用いることができ
る。すなわち、入力ベクトルの値に応じた強度で発光す
る発光素子アレイ、若しくは、透過率を可変にできる空
間光変調素子と光源の組み合わせによる光源アレイと、
行列の各成分に対応した透過率を持つ光学的マスク、あ
るいは、空間光変調素子、若しくは、行列の各成分に対
応した回折強度を持つホログラムと、出力ベクトルに応
じた強度を出力する受光素子アレイと、受光素子アレイ
の出力の中、決められた2つの受光素子の差分に比例し
た値を出力する差分回路アレイと、ベクトル正値化手段
と、行列正値化手段とを具備した光学的ベクトル行列演
算装置は、第1実施形態同様、全てこれに該当する。
【0077】以上より、本実施形態の光計算機42は、
入力ベクトル変換手段46と、光学的ベクトル行列演算
装置47と、行列変換手段43とで構成され、入力ベク
トル変換手段46により変換された’=α(−β
I)を入力として受け取り、この’と、行列変換手段
43で作られた重み行列Mとの積、つまり内積演算の
結果を出力する。この内積演算の計算結果が従来例より
正確に行えることは、第1実施形態の説明より明らかで
ある。
【0078】さらに、後段の最大値検出装置手段48
は、上記光計算機42内の光学的ベクトル行列演算装置
47からの出力ベクトルの成分の中から最大のものz
i を検出し、その指標iを出力する装置である。重み行
列M中の重みベクトル i が全て等しい大きさに規格化
されている場合には、入力ベクトルと重みベクトル
i の内積が最大となる重みベクトルが最も類似性の高い
重みベクトルであるので、最大値検出手段48はこの最
も類似性の高い重みベクトルの指標iを出力することに
なる。
【0079】この結果、本発明のニューラルネットワー
ク装置41では、入力ベクトル変換手段46により、入
力ベクトルをα(−β)に変換し、光学的ベクト
ル行列演算装置47により、重み行列Mとの積つまり内
積を計算した後、後段の最大値検出手段48により、最
も類似性の高い重みベクトルの指標iを検出し出力す
る。
【0080】本装置では、競合学習課程において、入力
ベクトルに対し変換を加えた上で、(12)式に基づく
内積の類似性マッチングを行って勝利素子を決定し、さ
らに、(13)式に基づく重みベクトルの更新をすれば
よいことが分かる。この競合学習課程においては、繰り
返し対象ベクトルを入力し、順次、上記の重みベクトル
の更新を行っていけば、適当な所で重みベクトルは収
束、安定するので、そこで学習を止めればよい。また、
学習後の認識・判断課程においては、重みベクトルを固
定したまま識別対象のベクトルを入力し、出力される指
標iによって認識や判断を行えばよい。例えば素子数N
が36だとすれば、個々の素子毎に36種類認識するよ
うにしてもよいし、30個と6個の2つのグループに分
け2種類に分類判断してもよい。対象に合わせて自由に
設定すればよい。
【0081】(具体例)本実施形態を持つ具体例を以下
に示す。本具体例では、画像を16次元の特徴空間に変
換した上で、これを1画素ずつ16次元のベクトルとし
て入力し、128個の素子からなるSOMにより画像を
分類するためのニューラルネットワーク装置を実現し
た。
【0082】まず、光計算機42について述べる。入力
ベクトル変換手段46は、前実施形態の具体例と同様に
構成した。また、光学的ベクトル行列演算装置47とし
ては、図8に示した従来例の光学的ベクトル行列演算装
置を負の値をも扱えるようにして用いた。ここでは、S
=6,T=16とする。
【0083】発光素子アレイ9330は高輝度の赤色L
EDを2次元に6×6で計36個並べたものの中の四隅
の4個を除く32個で、光学的マスク9331は96×
96の2次元配列で1成分当たり5×5画素割り当てた
640×480画素の透過型液晶空間光変調素子で、行
列変換手段43によって決定され後述の行列正値化手段
により正値化されたたそれぞれの成分値を、空間光変調
素子に印加する電圧の制御により64段階の透過率とし
て表現するように、受光素子アレイ9334は16×1
6の2次元配列で計256個のフォトディテクタそれぞ
れに、オペアンプによる電流電圧変換回路を256個接
続したもので、レンズアレイ9332は同一のレンズを
6×6で計36個2次元に並べたものをその前側焦点位
置に光学的マスク9331としての液晶空間光変調器の
表示面が一致するように、結像レンズ9333はその後
側焦点位置が受光素子アレイ9334の各フォトディテ
クタの受光面と一致し、しかもその光軸がレンズアレイ
9332の各レンズの光軸と平行になるように構成し、
さらには負の値をも扱うために、計算機内のプログラム
で実現する入力ベクトル正値化手段と行列正値化手段、
さらには受光素子アレイ9334からのプラス成分とマ
イナス成分に対応させて配置してあるオペアンプによる
差動増幅回路を128個並べた差分回路アレイを付加し
た。また、制御用の付加品として、入力ベクトル正値化
手段により変換されたデータをアナログ信号に変換する
ためのAD変換ボード、このデータを受け発光素子アレ
イ9330を発光させる発光素子アレイ用のドライバ、
及び、行列正値化手段を介して入力された行列変換手段
43からのデータを透過率として表現するための液晶空
間光変調素子用のドライバも用いている。
【0084】行列変換手段43は、入力ベクトル変換手
段46によって変換されたベクトル’と最大値検出手
段48からの出力iを用いて前述のSOMのアルゴリズ
ムに基づいて重みベクトルを作成するものであるが、こ
こでは計算機内で実現している。また、精度向上のた
め、この際重みベクトルをこの重みベクトルのL2ノル
ムで正規化している。
【0085】以上の構成により、本具体例の光計算機4
2は、コンピュータ内に入力された16次元の特徴空間
ベクトルを、このコンピュータ内に実現されている入
力ベクトル変換手段46により、’に変換し、さら
に、入力ベクトル正値化手段により正値のプラス成分と
マイナス成分に変換後、AD変換ボードと、発光素子ア
レイ9330のドライバを介して、高輝度の赤色LED
からなる発光素子アレイ9330を、プラス成分とマイ
ナス成分に分離して発光させる。ここで発光した光束に
乗った変換データは、従来例で説明したのと同様な作用
を光学系9331及び9333と、行列正値化手段によ
って前述の(ロ)式のように正値のプラス成分とマイナ
ス成分に変換された重みベクトルを表示させた光学マス
ク9331によって受け、さらに、受光素子アレイ93
34と差分回路アレイを経ることで、光学マスク933
1上に表現された128個の素子の重みベクトルとの内
積値に比例した電圧値となって出力される。この際、前
述のように、生の画像データを直接処理するのではな
く、値の範囲をハードウエアに合わせ適切に変換してか
ら処理しているので、正確な内積が計算できる。
【0086】次に、この光計算機42を用いた、ニュー
ラルネットワーク装置41について述べる。本具体例の
ニューラルネットワーク装置41では、さらに、光計算
機42からの出力である内積値から、最大のものを最大
値検出手段48で検出しそのインデックスを出力する。
この最大値検出手段48も前実施形態の具体例中の最大
値検出手段38と同一に構成した。
【0087】以上の構成により、本具体例のニューラル
ネットワーク装置41では、競合学習課程において、光
計算器42で入力ベクトルに対し変換を加えた上で、
(12)式に基づく内積の類似性マッチングを行い勝利
素子を決定し、そのインデックスiを出力し、さらに
(13)式に基づく重みベクトルの更新をする。この競
合学習課程においては、繰り返し対象ベクトルを入力
し、順次上記の重みベクトルの更新を行い、重みベクト
ルが収束、安定した所で学習を止めるが、10000回
から30000回程度行えば十分であった。また、学習
後の認識・判断課程においては、重みベクトルを固定し
たまま分類対象画像のベクトルを入力し、出力される指
標iによって分類を行う。この分類としては、例えば病
理画像を入力し、正常細胞と異常細胞とその中間に分類
する、あるいは、プリント基板の画像を入力し、欠陥の
有無やその種類を分類する等、様々な用途への応用が考
えられる。また、分類結果のデータは、そのまま保存し
て後に解析するのに利用したり、異常部分だけ表示した
り、異常部分を特定の色で表現し元の画像に重ねて表示
したり、他にも様々な利用形態が考えられる。
【0088】なお、本具体例においても、現状の計算コ
ストを優先させたために、光学的ベクトル行列演算装置
47及び最大値検出手段48以外の部分は、計算機内の
数値計算により処理を行う部分が多いが、もちろん、電
子回路や光回路でも構成することは可能であり、デバイ
ス技術が進展すれば、それらを用いるメリット(特に高
速性における)が出てくる。
【0089】以上の構成により、内積演算の計算精度が
向上した光計算機42を用いることにより、高速演算が
可能で、かつ、最も類似性の高い重みベクトルの判別誤
りが少なく、したがって、最終的な認識や判断が高速か
つ正確に可能な高性能なニューラルネットワーク装置4
1を構成することができる。
【0090】以上、本発明の内積演算装置及びそれを応
用した情報処理装置について説明してきたが、本発明は
これら実施形態に限定されず種々の変形、あるいは、他
のアプリケーションへの転用が可能である。また、光を
中心に説明したが、本発明の手法は、電気素子による内
積演算やソフトウエアによる内積演算にも利用が可能な
ものである。
【0091】なお、電気素子で内積演算を行った場合に
は、その素子で扱うことのできるビット数等の制限やそ
の素子自体の特性上の制限に合わせた適正範囲内で演算
を行うことができ、高精度な内積演算を行うことができ
る。
【0092】さらに、内積演算をソフトウエア上で実行
した場合には、入力ベクトルの各成分の値を適正範囲内
に収めることができるため、プログラムの簡略化や処理
時間の短縮を図ることも可能となる。
【0093】
【発明の効果】以上の説明から明らかなように、本発明
によれば、高速性のみならず、入力ベクトルに対して高
精度に内積演算を行える内積演算装置を提供することが
できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明において利用可能な光学的ベクトル行列
演算装置の1例の構成を模式的に示す図である。
【図2】本発明において利用可能な光学的ベクトル行列
演算装置の別の例の構成を模式的に示す図である。
【図3】本発明の光計算機を用いた情報処理装置の第1
実施形態の構成を示す図である。
【図4】一般的な画像の画素の取る成分値をヒストグラ
ムで表した図である。
【図5】本発明に基づいてベクトル変換した後の図4の
画像の成分値をヒストグラムで表した図である。
【図6】本発明の光計算機を用いた情報処理装置の第2
実施形態の構成を示す図である。
【図7】自己組織化特徴マップの構成を示す図である。
【図8】第2実施形態の光学的ベクトル行列演算装置に
より内積演算が計算される過程を説明するための図であ
る。
【符号の説明】
1…光学的ベクトル行列演算装置 2…発光素子アレイ 3…光学的マスク 4…受光素子アレイ 2a、2b・・・…発光素子 4a、4b・・・…受光素子 11…光学的ベクトル行列演算装置 12…入力ベクトル正値化装置 13…発光素子アレイ 14…光学的マスク 14’…行列正値化手段 15…受光素子アレイ 16…差分回路アレイ 13a、13b、13c、13d・・・…発光素子 15a、15b、15c、15d・・・…受光素子 16a、16b・・・差分回路 31…ベクトル量子化装置 32…光計算機 33…行列変換手段 34…平均値計算手段 35…利得計算手段 36…入力ベクトル変換手段 37…光学的ベクトル行列演算装置 38…最大値検出手段 41…ニューラルネットワーク装置 42…光計算機 43…行列変換手段 46…入力ベクトル変換手段 47…光学的ベクトル行列演算装置 48…最大値検出手段 9330…LEDアレイ 9331…マスクアレイ 9332…レンズアレイ 9333…結像レンズ 9334…フォトディテクターアレイ ML…マップ層 IL…入力層

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 入力されたベクトルに対し、その全ての
    成分からスカラー数を減じた後、スカラー数を乗じる変
    換を施す入力ベクトル変換手段と、 前記入力ベクトル変換手段から出力されたベクトルに基
    づいて行列を求める行列変換手段と、 前記入力ベクトル変換手段からのベクトルと前記行列変
    換手段からの行列を構成する各ベクトルとの内積を求め
    るベクトル行列演算手段と、を備えることを特徴とする
    内積演算装置。
  2. 【請求項2】 前記ベクトル行列演算手段からの出力を
    受けて、その最大の出力を与える行列を構成するベクト
    ルを求める最大値検出手段をさらに有することを特徴と
    する請求項1記載の内積演算装置。
  3. 【請求項3】 前記行列変換手段は、前記最大値検出手
    段からの出力を受けて競合アルゴリズムに従って行列に
    変換するベクトルを決定する手段をさらに有することを
    特徴とする請求項2記載の内積演算装置。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2022004277A1 (ja) * 2020-07-03 2022-01-06 株式会社フジクラ 光演算システム
JPWO2023276061A1 (ja) * 2021-06-30 2023-01-05
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