JPH1190102A - 水中の成分濃縮用多段式固相及びそれを用いた水中の成分濃縮方法 - Google Patents

水中の成分濃縮用多段式固相及びそれを用いた水中の成分濃縮方法

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JPH1190102A
JPH1190102A JP9254469A JP25446997A JPH1190102A JP H1190102 A JPH1190102 A JP H1190102A JP 9254469 A JP9254469 A JP 9254469A JP 25446997 A JP25446997 A JP 25446997A JP H1190102 A JPH1190102 A JP H1190102A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 固相抽出法によって水中の成分を濃縮するた
めの固相であって、極性が異なる複数種の被吸着成分が
共存している試料水中の複数種の被吸着成分を簡便な操
作で同時に濃縮することができるとともに、溶出溶媒の
使用量を低減させることができ、しかも分析精度の向上
を図ることが可能な水中の成分濃縮用多段式固相を提供
する。 【解決手段】 所定のオクタノール/水分配係数(lo
gPow)を有する被吸着物質に対する親和性が互いに
異なる複数種の逆相固相吸着剤2,4を用いる。そし
て、複数種の逆相固相吸着剤2,4を単一の管6内に被
吸着物質に対する親和性の強さの順で多段に充填する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、環境水、排水、水
道水といった各種の水中に含まれる微量有機物質を濃縮
する場合に好適に使用される水中の成分濃縮用多段式固
相に関する。また、本発明は、上記多段式固相を用いた
水中の成分濃縮方法に関する。
【0002】
【従来の技術】環境水、排水、水道水といった各種の水
中には、農薬等の多種類の有害有機物質が低濃度レベル
で残留している。これらの微量有機物質を高感度で分析
するためには、微量有機物質の固相抽出法による濃縮が
有効である。一方、上述した水中に含まれる微量有機物
質の極性は広範囲にわたって分布しており、上記水中に
は低極性物質から高極性物質までの極性が異なる種々の
微量有機物質が共存しているのが通常である。
【0003】試料水中に含まれる極性が異なる種々の微
量有機物質を固相抽出法によって濃縮する場合、全ての
微量有機物質を同時に濃縮することが分析効率等の点で
好ましい。しかし、1種類の吸着剤を用いた固相によっ
て上記のような試料水中の微量有機物質の濃縮を行った
場合、吸着剤には被吸着物質の極性による一定の吸着範
囲があるため、全ての微量有機物質を同時に濃縮するこ
とはできない。
【0004】そこで、従来、極性が異なる種々の微量有
機物質が共存している試料水中の微量有機物質を固相抽
出法によって同時に濃縮する方法として、互いに種類が
異なる固相吸着剤を充填した複数の固相カートリッジを
直列に連結し、これら複数の固相カートリッジに試料水
を連続的に通水する方法(以下、この方法をカートリッ
ジ連結法ということもある)が提案されている(後記図
3参照)。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかし、前述したカー
トリッジ連結法は、以下の欠点を有するものであった。 カートリッジ連結法では、濃縮操作の前に複数の固相
カートリッジを連結する作業が必要となる。また、各カ
ートリッジから固相に保持された被吸着物質の溶出を行
う場合、カートリッジの連結を解除した後、各カートリ
ッジ毎に溶媒を流して溶出を行う必要がある。これは、
溶出に適した溶媒の種類が各カートリッジの固相毎に異
なるからである。そのため、カートリッジ連結法では、
カートリッジの連結作業、カートリッジの連結解除作
業、各カートリッジ毎の溶出操作が必要となり、濃縮操
作が非常に煩雑になる。
【0006】カートリッジ連結法では、前述したよう
に各カートリッジ毎に溶出操作を行うので、多量の溶出
溶媒が必要となる。
【0007】カートリッジ連結法では、各カートリッ
ジ毎に溶出操作を行うので、各カートリッジからの溶出
成分をLC/MS法またはGC/MS法等によって別々
に測定する必要が生じ、そのため分析操作が煩雑にな
る。
【0008】カートリッジ連結法では、試料水中に含
まれる1つの被吸着物質の全部が1つのカートリッジの
固相に保持されず、1つの被吸着物質が2つ以上のカー
トリッジの固相に分かれて保持されることがある。この
ような場合、1つの被吸着物質が2つ以上のカートリッ
ジの固相から溶出するので、分析精度が低下する。すな
わち、カートリッジ連結法では、前記のように各カート
リッジからの溶出成分をLC/MS法またはGC/MS
法等によって別々に測定するが、1つの被吸着物質が2
つ以上のカートリッジから溶出した場合、各カートリッ
ジ毎の測定結果を合算して目的成分の濃度を算出する必
要があり、その結果分析精度が低下するものである。
【0009】カートリッジ連結法では、複数の固相カ
ートリッジを直列に連結しているので、ある吸着剤層と
次の吸着剤層との間には空気が存在している。したがっ
て、試料水や溶出溶媒が吸着剤層の間を移動するときに
試料水や溶出溶媒に空気が混入し、次の吸着剤層では空
気が混入した試料水や溶出溶媒と吸着剤とが接触する。
その結果、試料水や溶出溶媒と吸着剤との接触効率が低
下し、試料水や溶出溶媒の必要量が増大する。
【0010】本発明は、上記事情に鑑みてなされたもの
で、固相抽出法によって水中の成分を濃縮するための固
相であって、極性が異なる複数種の被吸着成分が共存し
ている試料水中の複数種の被吸着成分を簡便な操作で同
時に濃縮することができるとともに、溶出溶媒の使用量
を低減させることができ、しかも分析精度の向上を図る
ことが可能な水中の成分濃縮用多段式固相を提供するこ
とを目的とする。また、本発明は、上記多段式固相を用
いた水中の成分濃縮方法を提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明は、前記目的を達
成するため、所定のオクタノール/水分配係数を有する
被吸着物質に対する親和性が互いに異なる複数種の逆相
固相吸着剤を用いた水中の成分濃縮用固相であって、前
記複数種の逆相固相吸着剤が単一の管内に前記被吸着物
質に対する親和性の強さの順で多段に充填されているこ
とを特徴とする水中の成分濃縮用多段式固相を提供す
る。
【0012】また、本発明は、上述した本発明の多段式
固相に、被吸着物質に対する親和性が弱い吸着剤から強
い吸着剤に向かう方向に複数種の被吸着物質を含む試料
水を流すことにより吸着剤に試料水中の複数種の被吸着
物質を保持させた後、該多段式固相に溶出溶媒を流すこ
とにより吸着剤から複数種の被吸着物質を溶出させるこ
とを特徴とする水中の成分濃縮方法を提供する。
【0013】本発明の多段式固相は、下記の利点を有す
るものである。 (1)1つの管内に充填した吸着剤によって被吸着物質の
濃縮を行うので、カートリッジ連結法のようなカートリ
ッジの連結作業、カートリッジの連結解除作業、各カー
トリッジ毎の溶出操作が不要となり、測定対象成分の濃
縮操作が非常に簡便になる。
【0014】(2)1つの管からの溶出操作を行えばよい
ので、溶出溶媒の使用量を大きく低減させることができ
る。
【0015】(3)1つの管からの溶出成分をLC/MS
法またはGC/MS法等によって1回で測定できるの
で、分析操作が非常に簡単になる。
【0016】(4)1つの管内に充填した吸着剤によって
被吸着物質の濃縮を行うので、カートリッジ連結法のよ
うに1つの被吸着物質が2つ以上のカートリッジから溶
出することはなく、そのため分析精度を向上させること
ができる。すなわち、本発明の多段式固相によれば、前
記のように1つの管からの溶出成分をLC/MS法また
はGC/MS法等によって1回で測定できるので、複数
の測定結果を合算して目的成分の濃度を算出する必要は
なく、その結果分析精度が向上するものである。
【0017】(5)複数種の吸着剤が多段に充填され、各
吸着剤層の間には隙間がないので、ある吸着剤層と次の
吸着剤層との間には空気が存在していない。したがっ
て、試料水や溶出溶媒が吸着剤層の間を移動するときに
試料水や溶出溶媒に空気が混入することがなく、次の吸
着剤層における試料水や溶出溶媒と吸着剤との接触効率
が向上する。そのため、試料水や溶出溶媒の必要量を低
減させることができる。
【0018】また、本発明に係る水中の成分濃縮方法に
よれば、前述した本発明の多段式固相を用い、被吸着物
質に対する親和性が弱い吸着剤から強い吸着剤に向かう
方向に複数種の被吸着物質を含む試料水を流すことによ
り、試料水中に含まれている吸着剤に吸着されやすい物
質(通常は低極性物質)を先に上流側に存在する被吸着
物質に対する親和性が弱い吸着剤に吸着させた後、上流
側の吸着剤に一部しか吸着されない被吸着物質(通常は
中極性物質)及び上流側の吸着剤に全く吸着されない被
吸着物質(通常は高極性物質)を下流側に存在する被吸
着物質に対する親和性が強い吸着剤に吸着させることが
でき、その結果低極性物質から高極性物質までの極性が
異なる種々の被吸着物質を1つの管内の吸着剤に一斉に
保持させることができる。そして、この多段式固相に溶
出溶媒を流すことにより、吸着剤から複数種の被吸着物
質を溶出させることができる。
【0019】以下、本発明につきさらに詳しく説明す
る。まず、オクタノール/水分配係数について説明す
る。オクタノール/水分配係数(logPow)とは、
n−オクタノールの有機層と水層とを用いた液/液抽出
法において、物質が有機層と水層のどちらに分配し易い
かを示す係数である。物質のlogPow値は、n−オ
クタノールの有機層と水層とを用いた液/液抽出法によ
って決定することができる。また、物質のlogPow
値と逆相液体クロマトグラフィーでの保持時間との間に
は相関があるため、液/液抽出法で測定したlogPo
w値と逆相液体クロマトグラフィーでの保持時間(R
T)との相関式を算出すれば、logPow値の測定さ
れていない物質でも、RTを測定することによってlo
gPow値を求めることができる。logPow値は物
質の極性と相関を有しており、logPow値が大きく
なるほど極性は低くなり、logPow値が小さくなる
ほど極性は高くなる。
【0020】本発明の多段式固相では、所定の前記lo
gPow値を有する被吸着物質に対する親和性が互いに
異なる複数種の逆相固相吸着剤を用いる。この場合、吸
着しようとする被吸着物質あるいは吸着されると予想さ
れる被吸着物質のlogPow値に応じて複数種の吸着
剤を選択すればよい。例えば、本発明の多段式固相を用
いて濃縮を行う試料水中には低極性物質から高極性物質
までの極性が異なる種々の微量有機物質が共存している
のが通常であるが、その種々の微量有機物質のlogP
ow値が所定の範囲(例えば−3〜9)に分布している
場合、その範囲のlogPow値を有する被吸着物質に
対する親和性が互いに異なる複数種の逆相固相吸着剤を
選択すればよい。
【0021】逆相固相吸着剤の種類に限定はなく、例え
ば、シリカゲルを基材とした吸着剤(例えばC2、C
8、C18)、スチレンジビニルベンゼン共重合体(P
S/DVB)系の吸着剤(例えばPS/DVB、親水性
メタクリル酸エステル重合PS/DVB)、活性炭系の
吸着剤(例えばカーボンモレキュラーシーブ)等から適
宜選択することができる。
【0022】本発明の多段式固相では、前記複数種の逆
相固相吸着剤を、単一の管内に被吸着物質に対する親和
性の強さの順で多段、通常は2段〜5段程度に充填す
る。この場合、各吸着剤層の間に隙間が存在しないよう
に充填するものである。また、各吸着剤層の界面付近に
おいて、異種の吸着剤が互いに混合しないようにするこ
とが望ましい。
【0023】本発明に係る水中の成分濃縮方法は、前述
した本発明の多段式固相に、被吸着物質に対する親和性
が弱い吸着剤から強い吸着剤に向かう方向に試料水を流
して吸着剤に試料水中の被吸着物質を保持させた後、該
多段式固相に溶出溶媒を流して被吸着物質を溶出させる
ものである。
【0024】この場合、試料水としては、例えば環境
水、排水、水道水等を挙げることができるが、これらに
限定されるものではない。また、試料水には適宜前処理
を施してもよい。溶出溶媒は、使用した複数種の逆相固
相吸着剤の種類、これら逆相固相吸着剤と被吸着物質と
の親和性などを勘案して適宜選定すればよい。なお、溶
出溶媒は1種類を用いてもよく、複数種の溶出溶媒を多
段式固相に順次流してもよい。
【0025】本発明では、多段式固相において、吸着剤
の被吸着物質に対する親和性が強くなるにしたがって吸
着剤の充填量を低減させることが好ましい。そして、こ
の多段式固相に、被吸着物質に対する親和性が弱い吸着
剤から強い吸着剤に向かう方向に複数種の被吸着物質を
含む試料水を流すことにより吸着剤に試料水中の複数種
の被吸着物質を保持させた後、該多段式固相に試料水と
逆方向に溶出溶媒を流すことにより吸着剤から複数種の
被吸着物質を溶出させることが好ましい。
【0026】すなわち、上流側に存在する被吸着物質に
対する親和性が弱い吸着剤は吸着性が弱く、保持された
被吸着物質を溶出させるのが容易であるため、上流側の
吸着剤の充填量を多くし、この吸着剤に試料水中の被吸
着物質をできるだけ多く保持させることにより、下流側
の吸着剤の充填量を少なくして吸着剤全体の使用量を低
減させることができるきるとともに、溶出溶媒による溶
出効率を向上させて溶出溶媒の使用量の低減を図ること
ができる。この場合、2段目以降の吸着剤の充填量は、
その前段の吸着剤の1/2以下の重量、特に1/10〜
3/10の重量とすることが適当である。
【0027】
【発明の実施の形態】図1は、本発明に係る水中の成分
濃縮用多段式固相の一実施形態例を示す正面図である。
本例の多段式固相は、互いに種類の異なる第1の逆相固
相吸着剤2及び第2の逆相固相吸着剤4を管6内に上下
2段に充填したものである。この場合、所定のlogP
ow値を有する被吸着物質に対する親和性は、第2の逆
相固相吸着剤4の方が第1の逆相固相吸着剤2よりも強
い。また、第2の逆相固相吸着剤4の充填重量は、第1
の逆相固相吸着剤2の充填重量よりも少ない。なお、図
中8は試料水導入口、10は試料水排出口を示す。
【0028】本例の多段式固相を用いて例えば極性が異
なる複数種の微量有機物質が共存している試料水中の微
量有機物質を濃縮する場合、必要に応じ吸着剤2,4の
コンディショニングを行った後、管6内に試料水を下向
流で流すことにより、吸着剤2,4に試料水中の極性が
異なる複数種の微量有機物質を保持させた後、管6内に
溶出溶媒を上向流で流すことにより、吸着剤から複数種
の微量有機物質を溶出させるものである。
【0029】本例の多段式固相として、具体的には、ポ
リマー系逆相固相吸着剤と活性炭系逆相固相吸着剤とを
単一の管内に2段に充填した多段式固相を挙げることが
できる。この場合、ポリマー系逆相固相吸着剤が親水性
メタクリル酸エステル重合PS/DVBであり、活性炭
系逆相固相吸着剤がカーボンモレキュラーシーブである
このが好ましい。かかる多段式固相によれば、logP
ow値が−3〜9、特に−1〜6の範囲に分布している
複数種の微量有機物質を含む試料水の微量有機物質を良
好に濃縮することができる。
【0030】なお、本例では所定のlogPow値を有
する被吸着物質に対する親和性が弱い吸着剤を上段、強
い吸着剤を下段にしたが、この上下を逆にして、管6内
に試料水を上向流で流し、溶出溶媒を下向流で流すよう
にしてもよい。また、本例では吸着剤を2段に充填した
が、3段以上としてもよい。
【0031】
【実施例】下記実施例及び比較例1〜4の実験を行って
本発明の効果を確認した。試料水としては、logPo
w値が−0.17〜5.43の範囲に分布している17
種の微量有機物質をそれぞれ1μg/lの濃度で含むも
のを用いた。
【0032】実施例 実施例では、図1に示した多段式固相を用いた。この場
合、上段の第1の逆相固相吸着剤2としては、logP
ow値が−0.17〜5.43の有機物質に対する親和
性が弱いポリマー系逆相固相吸着剤(材質:親水性メタ
クリル酸エステル重合PS/DVB、充填重量:500
mg)を用いた。第2の逆相固相吸着剤4としては、上
記親和性が強い活性炭系逆相固相吸着剤(材質:カーボ
ンモレキュラーシーブ、充填重量:250mg)を用い
た。吸着剤のコンディションニングを行った後、pH=
3.5に調整した1リットルの試料水を真空吸引によっ
て上記多段式固相に下向流で通水した。窒素ガスで吸着
剤を乾燥させた後、0.25mlのメタノールを用いて
上向流で溶出を行い、次いで3mlのCH2Cl2/CH
3OH(容積比80:20)を用いて上向流で溶出を行
った。溶出液中のジクロロメタンが完全に無くなるまで
窒素ガスでパージし、純水で溶出液を1mlに濃縮した
後、溶出液の測定をLC/MS法によって行い、各物質
の回収率を求めた。同じ実験を3回行った。結果を表1
に示す。
【0033】比較例1 比較例1では、1つの管内に1種類の逆相固相吸着剤を
充填した固相を用いた。この場合、吸着剤としては、シ
リカゲル基材にオクタデシルシランを結合させた吸着剤
(C18、充填重量:500mg)を用いた。吸着剤の
コンディションニングを行った後、pH=3.5に調整
した1リットルの試料水を真空吸引によって上記固相に
下向流で通水した。窒素ガスで吸着剤を乾燥させた後、
3mlのメタノールを用いて下向流で溶出を行った。窒
素ガスパージにより溶出液を1mlに濃縮した後、溶出
液の測定をLC/MS法によって行い、各物質の回収率
を求めた。同じ実験を3回行った。結果を表1に示す。
【0034】比較例2 比較例2では、1つの管内に1種類の逆相固相吸着剤を
充填した固相を用いた。この場合、吸着剤としては、ポ
リマー系逆相固相吸着剤(材質:親水性メタクリル酸エ
ステル重合PS/DVB、充填重量:500mg)を用
いた。吸着剤のコンディションニングを行った後、pH
=3.5に調整した1リットルの試料水を真空吸引によ
って上記固相に下向流で通水した。窒素ガスで吸着剤を
乾燥させた後、3mlのメタノールを用いて下向流で溶
出を行った。窒素ガスパージにより溶出液を1mlに濃
縮した後、溶出液の測定をLC/MS法によって行い、
各物質の回収率を求めた。同じ実験を3回行った。結果
を表1に示す。
【0035】比較例3 比較例3では、1つの管内に1種類の逆相固相吸着剤を
充填した固相を用いた。この場合、吸着剤としては、活
性炭系逆相固相吸着剤(材質:カーボンモレキュラーシ
ーブ、充填重量:500mg)を用いた。吸着剤のコン
ディションニングを行った後、pH=3.5に調整した
1リットルの試料水を真空吸引によって上記固相に下向
流で通水した。窒素ガスで吸着剤を乾燥させた後、0.
5mlのメタノールを用いて上向流で溶出を行い、次い
で6mlのCH2Cl2/CH3OH(容積比80:2
0)を用いて上向流で溶出を行った。溶出液中のジクロ
ロメタンが完全に無くなるまで窒素ガスでパージし、純
水で溶出液を1mlに濃縮した後、溶出液の測定をLC
/MS法によって行い、各物質の回収率を求めた。同じ
実験を3回行った。結果を表1に示す。
【0036】比較例4 比較例4では、前述したカートリッジ連結法を実施し
た。すなわち、図3に示すように、互いに種類が異なる
固相吸着剤を充填した第1の固相カートリッジ12と第
2の固相カートリッジ14とを直列に連結し、第1及び
第2の固相カートリッジ12,14に試料水を連続的に
通水した。この場合、吸着剤は実施例と同様のものを用
いた。すなわち、第1の固相カートリッジ12の吸着剤
16としては、ポリマー系逆相固相吸着剤(材質:親水
性メタクリル酸エステル重合PS/DVB、充填重量:
500mg)を用いた。第2の固相カートリッジ14の
吸着剤18としては、活性炭系逆相固相吸着剤(材質:
カーボンモレキュラーシーブ、充填重量:500mg)
を用いた。
【0037】吸着剤16,18のコンディションニング
を行った後、pH=3.5に調整した1リットルの試料
水を真空吸引によって上記両カートリッジ12,14に
連続的に下向流で通水した。次に、両カートリッジ1
2,14の連結を解除し、窒素ガスで第1のカートリッ
ジ12の吸着剤16を乾燥させた後、3mlのメタノー
ルを用いて下向流で溶出を行った。窒素ガスパージによ
り溶出液を1mlに濃縮した後、溶出液の測定をLC/
MS法によって行い、各物質の回収率を求めた。また、
窒素ガスで第2のカートリッジ14の吸着剤18を乾燥
させた後、0.5mlのメタノールを用いて上向流で溶
出を行い、次いで6mlのCH2Cl2/CH3OH(容
積比80:20)を用いて上向流で溶出を行った。溶出
液中のジクロロメタンが完全に無くなるまで窒素ガスで
パージし、純水で溶出液を1mlに濃縮した後、溶出液
の測定をLC/MS法によって行い、各物質の回収率を
求めた。同じ実験を3回行った。第1のカートリッジ1
2による結果を表1、第2のカートリッジ14による結
果を表2に示す。
【0038】
【表1】
【表2】
【0039】表から分かるように、1つの管内に1種類
の逆相固相吸着剤を充填した固相を用いた場合、高極性
から低極性までの微量有機物質を一斉に濃縮することは
できなかった(比較例1,2,3)。また、カートリッ
ジ連結法は、溶出溶媒の使用量が全量で9mlと多く、
しかも測定精度が悪かった。(比較例4)。これに対
し、本発明の多段式固相では、高極性から低極性までの
微量有機物質を一斉に濃縮することができる上、溶出溶
媒の使用量が少なく、しかも測定精度が高かった。ま
た、比較例4におけるLC/MSクロマトグラムの一例
を図2に示す。図2から分かるように、カートリッジ連
結法では1つの被吸着物質、すなわちOxamyl、Methmy
l、Monocrotophosが2つのカートリッジの固相から溶出
していた。
【0040】
【発明の効果】本発明に係る水中の成分濃縮用多段式固
相及びそれを用いた水中の成分濃縮方法によれば、極性
が異なる複数種の被吸着成分が共存している試料水中の
複数種の被吸着成分を簡便な操作で同時に濃縮すること
ができるとともに、溶出溶媒の使用量を低減させること
ができ、しかも分析精度の向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る水中の成分濃縮用多段式固相の一
実施形態例を示す正面図である。
【図2】カートリッジ連結法における固相カートリッジ
の連結態様を示す正面図である。
【図3】比較例4におけるLC/MSクロマトグラムの
一例である。
【符号の説明】
2 第1の逆相固相吸着剤 4 第2の逆相固相吸着剤 6 管

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 所定のオクタノール/水分配係数を有す
    る被吸着物質に対する親和性が互いに異なる複数種の逆
    相固相吸着剤を用いた水中の成分濃縮用固相であって、
    前記複数種の逆相固相吸着剤が単一の管内に前記被吸着
    物質に対する親和性の強さの順で多段に充填されている
    ことを特徴とする水中の成分濃縮用多段式固相。
  2. 【請求項2】 吸着剤の被吸着物質に対する親和性が強
    くなるにしたがって吸着剤の充填量を低減させた請求項
    1に記載の多段式固相。
  3. 【請求項3】 請求項1に記載の多段式固相に、被吸着
    物質に対する親和性が弱い吸着剤から強い吸着剤に向か
    う方向に複数種の被吸着物質を含む試料水を流すことに
    より吸着剤に試料水中の複数種の被吸着物質を保持させ
    た後、該多段式固相に溶出溶媒を流すことにより吸着剤
    から複数種の被吸着物質を溶出させることを特徴とする
    水中の成分濃縮方法。
  4. 【請求項4】 請求項2に記載の多段式固相に、被吸着
    物質に対する親和性が弱い吸着剤から強い吸着剤に向か
    う方向に複数種の被吸着物質を含む試料水を流すことに
    より吸着剤に試料水中の複数種の被吸着物質を保持させ
    た後、該多段式固相に試料水と逆方向に溶出溶媒を流す
    ことにより吸着剤から複数種の被吸着物質を溶出させる
    ことを特徴とする水中の成分濃縮方法。
  5. 【請求項5】 ポリマー系逆相固相吸着剤と活性炭系逆
    相固相吸着剤とが単一の管内に2段に充填されているこ
    とを特徴とする水中の成分濃縮用多段式固相。
  6. 【請求項6】 ポリマー系逆相固相吸着剤が親水性メタ
    クリル酸エステル重合スチレンジビニルベンゼン共重合
    体であり、活性炭系逆相固相吸着剤がカーボンモレキュ
    ラーシーブである請求項5に記載の多段式固相。
  7. 【請求項7】 活性炭系逆相固相吸着剤の充填重量がポ
    リマー系逆相固相吸着剤の充填重量の1/2以下である
    請求項5又は6に記載の多段式固相。
  8. 【請求項8】 請求項5、6又は7の多段式固相に、ポ
    リマー系逆相固相吸着剤から活性炭系逆相固相吸着剤に
    向かう方向に複数種の被吸着物質を含む試料水を流すこ
    とにより両吸着剤に試料水中の複数種の被吸着物質を保
    持させた後、該多段式固相に試料水と逆方向に溶出溶媒
    を流すことにより両吸着剤から複数種の被吸着物質を溶
    出させることを特徴とする水中の成分濃縮方法。
  9. 【請求項9】 試料水が、オクタノール/水分配係数が
    −3〜9の範囲に分布している複数種の微量有機物質を
    含む請求項8に記載の濃縮方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2005098416A1 (ja) * 2004-03-31 2005-10-20 Saika Technological Institute Foundation 固相抽出カートリッジ
JP2008503725A (ja) * 2004-06-16 2008-02-07 バイオ−ラッド・ラボラトリーズ・インコーポレーテッド マルチケミストリ分画
WO2018189871A1 (ja) * 2017-04-13 2018-10-18 株式会社島津製作所 液体クロマトグラフ質量分析による試料分析方法

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