JPH1189251A - パルス発生器 - Google Patents

パルス発生器

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JPH1189251A
JPH1189251A JP24311697A JP24311697A JPH1189251A JP H1189251 A JPH1189251 A JP H1189251A JP 24311697 A JP24311697 A JP 24311697A JP 24311697 A JP24311697 A JP 24311697A JP H1189251 A JPH1189251 A JP H1189251A
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pulse
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Isao Toyama
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 高速に加速された荷電粒子をパルス状に偏向
したり、分岐する磁気パルスを励起でき、急峻な正弦波
半波のパルス電流発生器を提供する。 【解決手段】 可飽和リアクトル1と誘導性負荷への給
電出力部としての同軸端子2とダイオード3とからなる
回路に直列接続された同軸ケーブル4を介して、充電用
直流電源5に直列接続された充電抵抗器6と高速スイッ
チ7とからなる回路を接続し、該充電用直流電源に第1
のコンデンサ8を並列接続し、第2のコンデンサ9を上
記同軸ケーブルに並列接続してなるパルス発生器におい
て、直流充電された第1のコンデンサ8から高速スイッ
チ7を介して第2のコンデンサ9へパルス充電し、パル
ス充電された第2のコンデンサ9の電荷を可飽和リアク
トル1から同軸端子2を介して誘導性負荷へパルス放出
するとともに、直列接続したダイオード3で反転電流を
阻止することを特徴としている。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】線形加速器(リニアック)や
円形加速器(シンクロトロン)では数百MHz〜数千M
Hzの高周波で電子やイオン等の荷電粒子を加速する
が、通常、数Hz〜数百Hzの繰返しで数マイクロ秒の
区間で加速される。従って、電子やイオンの荷電粒子は
数Hz〜数百Hzの周期で数マイクロ秒の粒子塊(パル
ス状)となり飛来する。このような粒子塊を線形加速器
から円形加速器へ入射したり、取り出したり、更に、取
出した粒子塊を複数の軌道に時分割する等の場合、軌道
上にパルス偏向用の電磁石を設け、目的の粒子塊が通過
する区間のみパルス励磁して磁場により偏向されるが、
その際、前後の粒子塊には影響せぬよう急峻な立上げ
と、立下げが要求される。このため方形波のパルス励磁
が最も望ましいが、物理的にも経済性からも妥協せざる
を得ず、多くの場合正弦波半波のパルス励磁が用いられ
ている。このような急峻な立上げ、立下げと平坦な波頭
部を再現するためには、パルス励磁用コイルはもとよ
り、パルス電源やその間の給電ラインのインダクタンス
を極限まで下げる必要がある。
【0002】本発明の対象となるパルス励磁用コイル
は、1ターンの空芯コイルでインダクタンスが数十nH
で、尖頭電流が数kA、パルス幅が数百nsという特性
が要求され、パルス発生器内の電圧は数万Vが必要であ
り、この様な負荷に対しては、負荷のインダクタンスよ
り電源と給電ラインのインダクタンスを下げることが要
求される。
【0003】本発明は加速器で高速に加速された電子や
イオン等の荷電粒子列をパルス状に偏向したり、分岐す
る磁気パルスを励起するパルス幅の狭い正弦波半波のパ
ルス電流を発生させるパルス発生器に関するものであ
る。
【0004】
【従来の技術】従来のパルス発生器として、図5の回路
図に示したように、磁気圧縮回路を用いた周知のものが
あり、可飽和リアクトル1と負荷コイル12と充電用直
流電源5と充電抵抗器6と放電スイッチ13からなる回
路に、第1のコンデンサ8を充電用直流電源に並列接続
し、第2のコンデンサ9を負荷コイル12に並列接続し
てなるパルス発生器である。1の可飽和リアクトルは鉄
心の飽和特性を応用したもので、非飽和時には鉄心固有
の比透磁率で大きなインダクタンスを呈し、飽和時には
比透磁率が1に近づき、空心時の低インダクタンスとな
り、その両状態を高速パルス回路のスイッチとして応用
されることは周知のことである。
【0005】図5の回路図について説明すると、可飽和
リアクトル1が非飽和状態(以下、ターンオフ状態とい
う)で、充放電用の第1のコンデンサ8は充電用直流電
源5と充電抵抗器6からなる充電電源部21から直流充
電され、放電スイッチ13を点弧すると、第1のコンデ
ンサ8に蓄えられた電荷は、第1のコンデンサ8と放電
スイッチ13からなるパルス充電回路部25のインダク
タンスL1を通じて第2のコンデンサ9に急放電され、
第2のコンデンサ9を急速パルス充電する。この間、負
荷コイル12と第2のコンデンサ9の間に設けられた可
飽和リアクトル1の非飽和インダクタンスにより、第2
のコンデンサ9から負荷コイル12へのパルス放電電流
が、充電電流に較べて無視できるほど小さく抑えられて
いるものとすると、この状態で、第1のコンデンサ8か
ら第2のコンデンサ9へのパルス充電は、第1のコンデ
ンサ8と第2のコンデンサ9並びにパルス充電回路部2
5のインダクタンスL1の直列共振回路を形成し、回路
抵抗が無視できるほど小さい場合は正弦波電流が流れ
る。
【0006】一般的には、第1のコンデンサ8の電荷が
全て第2のコンデンサ9に移行するよう、両コンデンサ
の静電容量は等しく設定される。図6は第1のコンデン
サ8と第2のコンデンサ9の電圧、電流波形を示してい
るが、図6(a)に示すように両コンデンサの電圧は、
初め第1のコンデンサ8に充電されていた電圧(E)の
1/2を基準にして、余弦波状に第1のコンデンサ8か
ら第2のコンデンサ9に電荷移動し、正弦波の半波に相
当する共振周波数の1/2周期後の時刻t1において、
第1のコンデンサ8の電荷は全て第2のコンデンサ9に
移行する。その間の電流波形は図6(b)に示すi
1で、正弦波状に流れ時刻t1では電流はゼロとなる。
【0007】その時の、パルス充電区間(以下、時刻0
〜t1までの区間をパルス充電区間という)のパルス幅
1と尖頭電流値ip1は(1)、(2)式で表される。
【0008】
【数1】
【0009】
【数2】
【0010】一方その間、ターンオフ状態で通電阻止し
ていた可飽和リアクトル1には第2のコンデンサ9の充
電電圧の時間積分値に比例した励磁が進んでおり、第2
のコンデンサ9へのパルス充電が完了する時刻t1に磁
気飽和が起こるように、可飽和リアクトル1の鉄心断面
とコイル巻回数並びに磁気バイアスを設定することによ
り、可飽和リアクトル1は飽和状態(以下、ターンオン
状態という)に入り、空心コイルなみの低インダクタン
スとなり、第2のコンデンサ9に蓄えられた電荷は、第
2のコンデンサ9と可飽和リアクトル1と負荷コイル1
2からなるパルス放電回路部26のインダクタンスL2
を通じて負荷コイル12に放電を開始する。
【0011】可飽和リアクトル1がターンオン状態にな
ると、第2のコンデンサ9のパルス放電が開始(以下、
時刻t1〜t2の区間をパルス放電区間という)され、そ
の電圧波形は図6(a)に示すように第2のコンデンサ
9の電圧は余弦波状に減少しゼロ電位を中心に反転電位
(電圧:−E)に進むが、この際の電流波形は図6
(b)に示すように正弦波状の電流i2となり、正弦波
の半波に相当する共振周波数の1/2周期後の時刻t2
には電流はゼロとなり、可飽和リアクトル1がターンオ
フ状態となり続流を阻止する。
【0012】その時の、パルス放電区間のパルス幅T2
と尖頭電流値ip2は(3)、(4)式で表される。
【0013】
【数3】
【0014】
【数4】
【0015】パルス充電区間とパルス放電区間のパルス
幅および尖頭電流値を比較すると、(5)、(6)式で
表される。
【0016】
【数5】
【0017】
【数6】
【0018】この(5)、(6)式よりパルス充電区間
とパルス放電区間のパルス幅および尖頭電流値は、パル
ス充電回路部25のインダクタンスL1 とパルス放電回
路部26のインダクタンスL2の比となる。いま、パル
ス放電回路部26のインダクタンスL2がパルス充電回
路部25のインダクタンスL1の10分の1に軽減でき
たとすれば、Kw =1/√5、Ka=√20となり、パ
ルス幅が√5分の1に圧縮され、尖頭電流値が√20倍
に増幅されたことになり、図5の回路図が磁気パルス圧
縮回路であることは周知である。
【0019】
【発明が解決しようとする課題】しかし、図5の回路図
によりパルス圧縮を行った場合、図6(a)で示される
ように、パルス放電後の時刻t2以降には第2のコンデ
ンサ9の電圧は初めの反転電位(電圧:−E)で保持さ
れ、可飽和リアクトル1は逆励磁が進み、ついには逆方
向のターンオン状態に入る。その結果、図6に破線で示
すように時刻t3にて逆方向のパルス放電が生ずるの
で、パルス励磁により粒子塊を選択的に偏向、分離しよ
うとしたときに、逆方向のパルス放電が生じて後続粒子
塊に影響を与え、粒子塊が通過する区間のみパルス励磁
して、磁場により選択的に偏向することができないとい
う問題を有するものであった。
【0020】本発明は、上記のような問題を解決するた
め、煩雑な回路構成を伴うことなく、高速に加速された
荷電粒子をパルス状に偏向したり、分岐する磁気パルス
を励起できるよう、立上げ、立下げが急峻でかつパルス
幅の狭い正弦波半波のパルス電流を実現するものであ
る。
【0021】
【課題を解決するための手段】すなわち、本発明のパル
ス発生器は、可飽和リアクトル1と誘導性負荷への給電
出力部としての同軸端子2とダイオード3とからなる回
路に直列接続された同軸ケーブル4を介して、充電用直
流電源5に直列接続された充電抵抗器6と高速スイッチ
7とからなる回路を接続し、該充電用直流電源に第1の
コンデンサ8を並列接続し、第2のコンデンサ9を上記
同軸ケーブルに並列接続してなるパルス発生器におい
て、直流充電された第1のコンデンサ8から高速スイッ
チ7を介して第2のコンデンサ9へパルス充電し、パル
ス充電された第2のコンデンサ9の電荷を、可飽和リア
クトル1から同軸端子2を介して誘導性負荷へパルス放
出するとともに、直列接続したダイオード3で反転電流
を阻止することを特徴としている。
【0022】また、本発明に係る他のパルス発生器は、
チョークコイル10とダイオード11とを直列接続した
反転充電回路を第1のコンデンサ8に並列接続して、誘
導性負荷へパルス電流を発生した直後に高速スイッチ7
を再点弧することにより、第2のコンデンサ9に残る反
転電位の電荷を第1のコンデンサ8へ逆送のパルス充電
を行い、第1のコンデンサ8に初めに直流充電した極性
と反転充電させ、反転充電回路のチョークコイル10と
ダイオード11により再度極性を反転させて、初期充電
の極性に復帰させ、エネルギー回収を行うことを特徴と
している。
【0023】さらに、本発明に係る他のパルス発生器
は、第1のコンデンサ8と高速スイッチ7とからなるパ
ルス充電回路部22、または第1のコンデンサ8と高速
スイッチ7とチョークコイル10とダイオード11とか
らなるパルス充電回路部24と、第2のコンデンサ9と
可飽和リアクトル1とダイオード3とからなるパルス放
電回路部23とを同軸ケーブル4を介して接続する、上
記のパルス発生器において、第2のコンデンサ9と可飽
和リアクトル1とを同軸構造の内部構造体とし、外部構
造体として上記同軸構造の外周に複数個の電流定格の低
いダイオード3を電流の帰路として配置することを特徴
としている。
【0024】
【発明の実施の形態】直流充電された第1のコンデンサ
から高速スイッチを介して第2のコンデンサへパルス充
電し、パルス充電された第2のコンデンサの電荷を、可
飽和リアクトルを介して誘導性負荷へパルス放出すると
ともに、直列接続したダイオードで後続の反転パルスが
出力しないよう反転電流を阻止する。また、第1のコン
デンサに並列接続したチョークコイルとダイオードとを
設けパルス発生直後に高速スイッチを再点弧することに
よって、初めに充電した極性と同極性の電荷に回帰させ
ることにより、繰返しパルス発生時の再充電時間を軽減
するとともに、サイクルごとのエネルギーを回収する。
さらに、1ターンコイルに相当する金属管を中心導体と
して第2のコンデンサと可飽和リアクトルとを分割配置
して、その外周部に複数個のダイオードを配置する同軸
構造とし、回路インダクタンスの低減を図っている。
【0025】
【実施例】以下、この発明の実施例について説明する。
図1は本発明の第1の実施例におけるパルス発生器の回
路を示す図であり、可飽和リアクトル1と誘導性負荷
(図1では図示せず)への給電出力部としての同軸端子
2とダイオード3とからなる回路に直列接続された同軸
ケーブル4を介して、充電用直流電源5に直列接続され
た充電抵抗器6と高速スイッチ7とからなる回路を接続
し、該充電用直流電源5に第1のコンデンサ8を並列接
続し、第2のコンデンサ9を同軸ケーブル4に並列接続
してなるパルス発生器の回路である。充電電源部21
は、充電用直流電源5と充電抵抗器6とで構成され、第
1のコンデンサ8を所定の電圧に充電、制御できるもの
である。また、パルス充電回路部22は、第1のコンデ
ンサ8と第2のコンデンサ9へ急放電させる高速スイッ
チ7とで構成されている。高速スイッチ7はサイリス
タ、サイラトロン、トランジスタ等からなり、単体また
は複数個直並列にて使用する場合もあるが、外部指令に
より高速制御整流機能を有するものであればよい。同軸
ケーブル4は、パルス充電回路部22の出力電流をパル
ス放電回路部23へ給電する。パルス放電回路部23
は、第2のコンデンサ9と可飽和リアクトル1とダイオ
ード3とで構成され、可飽和リアクトル1は鉄心飽和時
の急激な透磁率変化を利用したパルススイッチであり、
誘導性負荷への給電出力部としての同軸端子2に接続さ
れている。
【0026】図2は第1のコンデンサ8と第2のコンデ
ンサ9との電圧・電流波形を示し、図2(a)は電圧波
形、図2(b)は電流波形である。図1において、可飽
和リアクトル1がターンオフ状態で、高速スイッチ7を
点弧すると、充電電源部21から直流充電された第1の
コンデンサ8により第2のコンデンサ9に同軸ケーブル
4を介してパルス放電区間内に図2(b)のような正弦
波の放電電流i1が流れる。このとき第1のコンデンサ
8と第2のコンデンサ9との静電容量を等しくしている
ので、正弦波の半波に相当する共振周波数の1/2周期
後の時刻t1において、図2(a)のように第1のコン
デンサ8の電荷が全て第2のコンデンサ9に移行する。
その間、第2のコンデンサ9のパルス放電を阻止してい
た可飽和リアクトル1は、第2のコンデンサ9の充電電
圧の時間積分値に比例した励磁が進行するが、第2のコ
ンデンサ9へのパルス充電が完了する時刻t1で可飽和
リアクトル1が飽和点に達するよう設定されていれば、
その時点でターンオン状態となり、第2のコンデンサ9
からのパルス放電電流i 2が同軸端子2より誘導性負荷
(図1では図示せず)に流れ、パルス励磁が開始され
る。また、同軸端子2の内部導体より誘導性負荷に流出
した電流の帰電流は同軸端子2の外部導体を通じて、さ
らに、ダイオード3を通じて第2のコンデンサ9の低圧
側に戻る。第2のコンデンサ9のパルス放電は、このパ
ルス放電回路部23の回路インダクタンスで定まる共振
周波数の正弦波電流となり、第2のコンデンサ9の電圧
は、パルス放電区間において余弦波状に減少し、ゼロ電
位を中心に反転電位(電圧:−E)へと進む余弦波形と
なる。正弦波の半波に相当する共振周波数の1/2周期
後の時刻t2ではパルス放電電流はゼロに近づき、可飽
和リアクトル1がターンオフ状態となり、後続電流を遮
断して、目的とする正弦波の半波のパルス電流が得られ
る。一方、パルス放電後の時刻t2以降には、第2のコ
ンデンサ9の電圧は初めの反転電位(電圧:−E)で保
持されるが、可飽和リアクトル1が逆励磁され、再度タ
ーンオン状態に入らぬようにダイオード3が逆流阻止を
行っている。なお、繰返し発生させるためには、パルス
発生後の第2のコンデンサ9に残る反転電位の電荷を放
電抵抗等により、放電しておく必要がある。
【0027】
【実施例2】図3は本発明の第2の実施例におけるパル
ス発生器の回路を示す図であり、上記図1の回路にチョ
ークコイル10とダイオード11とを直列接続した反転
充電回路を、第1のコンデンサ8に並列接続した回路図
である。
【0028】図4は第1のコンデンサ8と第2のコンデ
ンサ9との電圧・電流波形を示し、図4(a)は電圧波
形、図4(b)は電流波形である。図3において、可飽
和リアクトル1がターンオフ状態で、高速スイッチ7を
点弧すると、充電電源部21から直流充電された第1の
コンデンサ8により同軸ケーブル4を介してパルス放電
区間内にパルス放電回路部23の第2のコンデンサ9に
パルス充電を行う。パルス充電電流i1は、パルス充電
回路部24の回路インダクタンスL3で定まる直列共振
周波数の正弦波となる。ここで、第1のコンデンサ8と
第2のコンデンサ9はその静電容量を等しくしているの
で、正弦波の半波に相当する共振周波数の1/2周期後
の時刻t1において、図4(a)のように第1のコンデ
ンサ8の電荷(電圧:E)が全て第2のコンデンサ9に
移行され、パルス充電電流i1の負極への反転電流は、
高速スイッチ7の整流作用により阻止され、ターンオフ
状態となる。
【0029】一方、パルス放電回路部23の可飽和リア
クトル1は、第2のコンデンサ9がパルス充電される
間、ターンオフ状態にあり、高インダクタンスにより第
2のコンデンサ9の放電を阻止している。可飽和リアク
トル1は、パルス充電区間の充電電圧の時間積分値に比
例して励磁が進んでおり、第2のコンデンサ9へのパル
ス充電が完了する時刻t1にて可飽和リアクトル1が磁
気飽和点に達するよう設定されていれば、急激に可飽和
リアクトル1のインダクタンスが減少し、誘導性負荷へ
同軸端子2を介してパルス放電を開始する。そして、パ
ルス放電電流は、パルス放電回路部23と誘導性負荷を
含む回路インダクタンスL4で定まる直列共振周波数の
正弦波電流i2となる。正弦波の半波に相当する共振周
波数の1/2周期後の時刻t2にはパルス放電電流はゼ
ロに近づき、可飽和リアクトル1は再びターンオフ状態
となり、負極への反転電流は阻止されるとともに、ダイ
オード3により可飽和リアクトル1の逆励磁が進むのを
阻止され、パルス放電区間に目的とする正弦波半波のパ
ルス電流が発生する。
【0030】しかし、パルス放電回路部23より誘導性
負荷へのパルス発生直後の時刻t2において、第2のコ
ンデンサ9の電位は初めの逆電位(電圧:−E)に反転
しており、高速で繰返しパルス発生させる場合、何等か
の方法で放電して置かねばならない。図3では、高速ス
イッチ7を再点弧することにより、第2のコンデンサ9
から第1のコンデンサ8への逆充電を開始する。その状
態は図4の電圧・電流波形で示すように、正弦波半波の
共振電流i3が流れ、共振周波数の1/2周期後の時刻
3には、第2のコンデンサ9の負電荷が全て第1のコ
ンデンサ8に移行する。時刻t3にて電流反転が生じ、
高速スイッチ7の整流機能により、後続電流は遮断され
可飽和リアクトル1はターンオフ状態となる。
【0031】一方、第1のコンデンサ8に第2のコンデ
ンサ9から負電荷が移行している間、第1のコンデンサ
8に並列接続するダイオード11が順方向となり、第1
のコンデンサ8の電荷はチョークコイル10を介して共
振放電を始める。チョークコイル10のインダクタンス
を、パルス充電回路部24の回路インダクタンスに比し
て充分大きく選ぶことにより、上記回路インダクタンス
に殆ど影響されること無く、第2のコンデンサ9から第
1のコンデンサ8への逆充電が完了し、その後、第1の
コンデンサ8とチョークコイル10の共振電流が徐々に
立上ってきて、正弦波電流i4が流れる。共振周波数の
1/2周期後の時刻t4には、正弦波の反転電流とな
り、ダイオード11の整流作用によりパルス放電は停止
される。この間第1のコンデンサ8の電圧は余弦波状に
反転電位に進み、正の最大電位(電圧:E)に達する。
これは丁度初めに第1のコンデンサ8を直流充電したと
きと同じ電位に復活したことになり、全回路の抵抗が無
視する程小さい時、1回のパルス発生後、無損失で電荷
が回帰したことになり、再充電することなく次期パルス
の発生が可能である。しかし、実際には回路損失は無視
できず、全て復帰することはないので、損失に相当する
不足分は充電電源部21から再充電する必要があるが、
サイクルごとに全充電エネルギーを損失/再充電するの
に比して損失、充電時間とも大幅に軽減できる。
【0032】図7は、本発明によるパルス放電回路部2
3の構造の正面図であり、図8はダイオード3と第2の
コンデンサ9と可飽和リアクトル1の同軸構造体として
の断面構造図である。誘導性負荷のインダクタンスが非
常に小さく、短絡状態に近い場合には、パルス放電回路
部23の回路インダクタンスでパルス峻度(di/d
t)に相当するパルス幅と電流の尖頭値が決められるの
で、回路インダクタンスの低減が必要である。このため
第2のコンデンサ9と可飽和リアクトル1とを同軸構造
の内部導体とし、その外周にダイオード3を複数個に分
割して配置し、同軸構造の外部導体とすることにより回
路インダクタンスの低減を図っている。
【0033】図7について説明すると、同軸入力端子側
は、パルス充電回路部24より給電される同軸ケーブル
4であり、同軸ケーブル4はパルス充電電流が供給され
てくる中心導体4aの上に絶縁層4b、電流の帰路とな
る外部導体4c、絶縁外被4dからなる同軸構造をした
汎用のものである。上記同軸ケーブル4の中心導体4a
と銅等に電気はんだメッキ等を施した導電性の良い金属
からなる高圧側円盤31との接続は、中心導体4aと絶
縁層4bは低圧側円盤32の中心部を貫通し、さらに、
中心導体4aは高圧側円盤31の中心に設けた接触孔を
貫通して電気的、機械的な接続がされている。一方、上
記同軸ケーブル4の外部導体4cと銅等に電気はんだメ
ッキ等を施した導電性の良い金属からなる低圧側円盤3
2との接続は、外部導体4cと絶縁外被4dは低圧側円
盤32を中心導体4a、絶縁層4bが貫通する手前で剥
離され、絶縁外被4dの上に外部導体(通常網組銅線に
よる)4cを捲り上げ、その上から固定金具33で圧着
され、その固定金具33は低圧側円盤32にネジ等で取
り付けられている。
【0034】第2のコンデンサ9は、低インダクタンス
化のため複数個に分割9a、9b、9c・・・・(以
下、これらの複数個に分割したコンデンサをコンデンサ
群9xという)され、高圧側円盤31と低圧側円盤32
との間に配置され並列接続される。高圧側円盤31は銅
等に電気はんだメッキ等を施した導電性の良い金属から
なる円筒状の金属管34にロウ付、溶接、またはネジ等
で取り付けられている。上記金属管34の外周部に絶縁
層35を介して、可飽和リアクトル1のドーナツ状の可
飽和鉄心1a、1b、1c・・・・(以下、これらの複
数個に分割した可飽和鉄心を可飽和鉄心群1xという)
がドーナツ状の絶縁層36a、36b、36c・・・・
を挟んで複数個に分割されて、金属管34が可飽和鉄心
群1xを貫通して引出されている。これは、高圧側円盤
31に接続された金属管34が可飽和鉄心群1xの1タ
ーンコイルに相当し、可飽和リアクトル1を形成し、金
属管34が同軸構造体の中心同体であり、同軸出力端子
の内部導体を形成しているのである。一方、同軸出力端
子側では、終端金具37が内部導体となる金属管34の
外周部を絶縁した絶縁層35を介して同軸構造を形成
し、機械強度が得られるように金属管34の軸心部に圧
接されて固定されている。
【0035】逆流阻止用のダイオード3は、コンデンサ
群9xと可飽和鉄心群1xの周囲に円筒状の絶縁層38
を介して、その外周に定格電流の低いもので複数個に分
割して配置し、低圧側円盤32と終端金具37の間にパ
ルス出力電流が順方向となるようにはんだ付け、または
ネジ等により取り付けて同軸構造とする。これにより、
ダイオード3がパルス放電回路部23の電流帰路に相当
する外周部に直列接続しているので、第2のコンデンサ
9から可飽和リアクトル1の中心導体となる金属管34
を経由して、誘導性負荷に放出するパルス電流の同軸性
を保ち、回路インダクタンスの低減を図ることができ
る。
【0036】
【発明の効果】上記のことから、本発明のパルス発生器
は、直流充電された第1のコンデンサから高速スイッチ
を介して第2のコンデンサへパルス充電し、パルス充電
された第2のコンデンサの電荷を可飽和リアクトルを介
して誘導性負荷へパルス放出するとともに、直列接続し
たダイオードで後続の反転パルスが出力しないよう反転
電流を阻止することができる。
【0037】また、第1のコンデンサに並列接続したチ
ョークコイルとダイオードとを設け、パルス発生直後に
高速スイッチを再点弧することによって、初めに充電し
た極性と同極性の電荷に回帰させることにより、繰返し
パルス発生時の再充電時間を軽減するとともに、サイク
ルごとのエネルギーを回収して効率を高めることができ
る。
【0038】さらに、1ターンコイルに相当する金属管
を中心導体として第2のコンデンサと可飽和リアクトル
とを分割配置して、その外周部に複数個のダイオードを
配置する同軸構造としたので、回路インダクタンスの低
減を図ることができるなど工業的、実用的にその価値は
極めて大なるものがある。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、本発明の一実施例を示す回路図であ
る。
【図2】図2は、本発明の電圧、電流波形で、(a)は
電圧波形、(b)は電流波形である。
【図3】図3は、本発明の他の実施例を示す回路図であ
る。
【図4】図4は、本発明の他の実施例の電圧、電流波形
で、(a)は電圧波形、(b)は電流波形である。
【図5】図5は、従来例の一実施例を示す回路図であ
る。
【図6】図6は、従来例の電圧、電流波形で、(a)は
電圧波形、(b)は電流波形である。
【図7】図7は、本発明の一実施例による正面図であ
る。
【図8】図8は、本発明の一実施例による図7の断面構
造図である。
【符号の説明】
1:可飽和リアクトル 1x:可飽和鉄心群 2:同軸端子 3:ダイオード 4:同軸ケーブル 5:充電用直流電源 6:充電抵抗器 7:高速スイッチ 8:第1のコンデンサ 9:第2のコンデンサ 9x:コンデンサ群 10:チョークコイル 11:ダイオード 12:負荷コイル 13:放電スイッチ 21:充電電源部 22:パルス充電回路部 23:パルス放電回路部 24:パルス充電回路部 25:パルス充電回路部 26:パルス放電回路部 31:高圧側円盤 32:低圧側円盤 33:固定金具 34:金属管 35:絶縁層 36a,36b,36c:絶縁円盤 37:終端金具 38:絶縁層

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 可飽和リアクトル(1)と誘導性負荷へ
    の給電出力部としての同軸端子(2)とダイオード
    (3)とからなる回路に直列接続された同軸ケーブル
    (4)を介して、充電用直流電源(5)に直列接続され
    た充電抵抗器(6)と高速スイッチ(7)とからなる回
    路を接続し、該充電用直流電源に第1のコンデンサ
    (8)を並列接続し、第2のコンデンサ(9)を上記同
    軸ケーブルに並列接続してなるパルス発生器において、
    直流充電された第1のコンデンサ(8)から高速スイッ
    チ(7)を介して第2のコンデンサ(9)へパルス充電
    し、パルス充電された第2のコンデンサ(9)の電荷
    を、可飽和リアクトル(1)から同軸端子(2)を介し
    て誘導性負荷へパルス放出するとともに、直列接続した
    ダイオード(3)で反転電流を阻止することを特徴とす
    るパルス発生器。
  2. 【請求項2】 チョークコイル(10)とダイオード
    (11)とを直列接続した反転充電回路を第1のコンデ
    ンサ(8)に並列接続して、誘導性負荷へパルス電流を
    発生した直後に高速スイッチ(7)を再点弧することを
    特徴とする請求項1記載のパルス発生器。
  3. 【請求項3】 第1のコンデンサ(8)と高速スイッチ
    (7)とからなるパルス充電回路部(22)、または第
    1のコンデンサ(8)と高速スイッチ(7)とチョーク
    コイル(10)とダイオード(11)とからなるパルス
    充電回路部(24)と、第2のコンデンサ(9)と可飽
    和リアクトル(1)とダイオード(3)とからなるパル
    ス放電回路部(23)とを同軸ケーブル(4)を介して
    接続する請求項1または請求項2のパルス発生器におい
    て、第2のコンデンサ(9)と可飽和リアクトル(1)
    とを同軸構造の内部構造体とし、外部構造体として上記
    同軸構造の外周に複数個の電流定格の低いダイオード
    (3)を電流の帰路として配置することを特徴とする同
    軸構造のパルス発生器。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2003037982A (ja) * 2001-07-26 2003-02-07 Ishikawajima Harima Heavy Ind Co Ltd 電圧パルス発生装置
CN108684128A (zh) * 2018-06-13 2018-10-19 浙江大维高新技术股份有限公司 一种脉冲电晕放电等离子体电源无功电能回收电路
CN109557493A (zh) * 2018-12-27 2019-04-02 国电南瑞科技股份有限公司 一种输电线路分布式故障诊断系统信号发生装置

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