JPH1182168A - 吸音構造ライナー及びその製造方法 - Google Patents

吸音構造ライナー及びその製造方法

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JPH1182168A
JPH1182168A JP24673697A JP24673697A JPH1182168A JP H1182168 A JPH1182168 A JP H1182168A JP 24673697 A JP24673697 A JP 24673697A JP 24673697 A JP24673697 A JP 24673697A JP H1182168 A JPH1182168 A JP H1182168A
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JP
Japan
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absorbing structure
sound absorbing
liner
dimensional
sound
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JP24673697A
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English (en)
Inventor
Takashi Yoshida
吉田  隆
Shigeto Nishide
重人 西出
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IHI Corp
Original Assignee
IHI Corp
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 吸音構造体を囲い、広帯域の騒音を内部に透
過させることができ、ガスジェットによる過熱に耐える
ことができ、かつ熱変形が少ない吸音構造ライナー及び
その製造方法を提供する。 【解決手段】 セラミック系複合材料(CMC)の3次
元織り21からなり、騒音を透過させる部分の繊維の一
部を間引いてその部分に所定の開口を形成し、これを所
定の形状に機械的に保持しながらマトリックス材を蒸着
して立体形状を成形し、次いで機械的保持なしにマトリ
ックス材を更に含浸させて形成する。また、3次元織り
21は、相対的に細い2本対の縦糸11と太い1本の横
糸12とからなる積層された複数の2次元織布13と、
2次元織布を束ねる相対的に細い第3糸14とからな
る。第3糸は対の縦糸11に沿ってその間を通り、かつ
横糸12の表裏を交互に通って2次元織布13を束ね、
所定の開口Aを保持する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ジェットエンジン
の排気ノズル等に用いる高温用吸音構造に係わり、更に
詳しくは、吸音構造体を囲い、ガスジェットに曝されな
がら、騒音を内部に透過させる吸音構造ライナー及びそ
の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】吸音形消音器は、管路の内部に吸音材
(吸音ライニング)を内張り,あるいは挿入し、伝播す
る音波を減衰させて、出口から放射される音響パワーを
小さくする装置である。吸音ライニングには多孔質層,
繊維質層からなる抵抗形と、ハニカムと孔開き板を組み
合わせた,ヘルムホルツ共鳴器構造のリアクティブ形と
がある。
【0003】抵抗形ライニングは、媒質の粘性,熱伝導
に基づきエネルギーを散逸させるものであり、リアクテ
ィブ形ライニングは、媒質の運動に基づく壁面摩擦,運
動量による損失により、エネルギーを散逸させるもので
ある。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】ジェットエンジンの排
気ノズル等に用いる従来の高温用吸音構造には、耐熱
ファイバ(シリカウール、ロックファイバー、ステンレ
スウール等)を表面板と背面板で支持したもの、或いは
耐熱合金のハニカムと孔開き板からなるリアクティブ
形ライニング(図5に例示する)が用いられている。
【0005】しかし、の吸音構造では、耐熱ファイバ
間の隙間が小さく、毛細管による吸水性が高く、一旦吸
水するとその除去が困難であり、吸水により吸音性能が
大幅に悪化する問題点があった。また、かかる吸音構造
では、ガスジェット等により繊維(ファイバー)の表面
が飛散しやすい問題点があった。
【0006】一方、の吸音構造(図5参照)では、高
温(例えば700〜800K以上)の排ガスにより、孔
開き板1や内部のハニカム2やその背面板3が過熱され
たり、大きく熱変形する問題点があった。すなわち、孔
開き板1は例えばステンレスやアルミニウムの板からな
るので、過熱により損傷や熱変形を受け、更にハニカム
2とのロウ付け部が剥がれることがあった。また、この
吸音構造では、吸音できる騒音の帯域が狭く、ジェット
のような広帯域の騒音が消せない問題点があった。更
に、この吸音構造は、型抜きによる孔の製作上の制約
(穴径>板厚)により、強度維持のために板厚を厚くす
ると穴径が大きくなってしまい、かつ穴の開口率を上げ
るのが困難であり、周波数設計が自由にできない問題点
があった。
【0007】本発明はかかる問題点を解決するために創
案されたものである。すなわち、本発明の目的は、上述
した及びの吸音構造のいずれにも適用することがで
き、吸音構造体を囲い、広帯域の騒音を内部に透過させ
ることができ、ガスジェットによる過熱に耐えることが
でき、かつ熱変形が少ない吸音構造ライナー及びその製
造方法を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明によれば、吸音構
造体を囲いガスジェットに曝されながら騒音を内部に透
過させる吸音構造ライナーであって、セラミック系複合
材料(CMC)の3次元織りからなる、ことを特徴とす
る吸音構造ライナーが提供される。また、本発明によれ
ば、騒音を透過させる部分の繊維の一部を間引いてその
部分に所定の開口を形成し、これを所定の形状に機械的
に保持しながらマトリックス材を蒸着して立体形状を成
形し、次いで機械的保持なしにマトリックス材を更に含
浸させて形成する吸音構造ライナーの製造方法が提供さ
れる。
【0009】この構成では、ライナーが織物であるた
め、開口率,穴径の自由度が高く、騒音を内部に導入す
る目を容易に形成できる。また、耐熱,比強度大,膨張
率の小さなCMCであるため、高温のガスジェットに曝
されながら、内部の吸音材等の吸音構造体の損傷を長期
間安定して防止できる。特に、織物が3次元織りである
ため、表面板を厚くしても、内部の空隙を多くすること
で、それ自体バルク型吸音材に近い吸音体とできるた
め、強度,音響両面での高性能化が図れる。
【0010】また、本発明の好ましい実施形態によれ
ば、前記3次元織りは、相対的に細い2本対の縦糸と、
太い1本の横糸と、これらを3次元的に積層したものを
束ねる相対的に細い2本の第3糸とからなり、該第3糸
は、対の縦糸に沿ってその間を通るとともに横糸の表裏
を交互に通る。この構成により、第3糸が対の縦糸に沿
ってその間を通るので、第3糸が対の縦糸と一体化し、
縦糸と横糸で構成される開口形状を乱すことがない。ま
た、この第3糸は、横糸の表裏を交互に通って2次元織
布を束ねると同時に、対の縦糸のズレを防ぐので、マト
リックス材の蒸着による立体形状の成形までの、繊維の
乱れを大幅に低減することができる。
【0011】更にまた、前記対の縦糸は隣接する縦糸と
の間に間隔を隔てて配置され、前記横糸は、騒音を透過
させる部分で間隔を広く配置され、これにより対の縦糸
と横糸との間に矩形の開口を形成するようになってい
る。この構成により、横糸を騒音を透過させる部分で間
隔を広く配置することにより、所望の矩形開口を精度良
く形成することができる。また、強度を必要とする部分
では、逆に横糸の間隔を密に配置することにより、CM
Cの繊維密度を高め、強度を高めることができる。
【0012】
【発明の実施の形態】以下、本発明の好ましい実施形態
を図面を参照して説明する。なお、各図において共通す
る部分には同一の符号を付して使用する。図1は、本発
明による吸音構造ライナーの全体斜視図(A)とその使
用例(B)である。図1(A)において、本発明の吸音
構造ライナー10は、断面がコの字型の立体矩形形状を
しており、図1(B)に示すように、矩形のジェットノ
ズル8の内面に内側に吸音構造体4を挟持して取り付け
るようになっている。吸音構造体4は、前述した抵抗形
ライニングであるのが良いが、リアクティブ形ライニン
グであってもよい。
【0013】図1(A)において、ジェットノズル8の
内側に露出する上面10aには、矩形の開口Aが形成さ
れており、その他の部分、例えば、ジェットノズル8に
固定する脚部10bや、隅部10cには開口が形成され
ていない。なお、必要強度と吸音性能とから、脚部10
bや隅部10cの一部に開口を設けてもよい。
【0014】図2は、図1の部分拡大図である。この図
において、(A)は開口を有する部分(例えば上面10
a)の平面図、(B)は(A)のA−A線における断面
図、(C)は開口のない部分(例えば脚部10b、隅部
10c)の平面図である。
【0015】図2(A)(B)に示すように、本発明の
吸音構造ライナー10は、セラミック系複合材料(CM
C)の3次元織りからなる。この3次元織りは、相対的
に細い2本対の縦糸11と、相対的に太い1本の横糸1
2と、これらを3次元的に積層したものを束ねる相対的
に細い2本の第3糸14とからなる。すなわち、図2
(A)に示すように、2本対の縦糸11は、その間に2
本の第3糸14が通る間隔を開けて横糸12と共に積層
されて3次元織物形状を形成し、第3糸14はそれらを
束ねるように横糸12の表裏を交互に通されている。ま
た、縦糸11、横糸12及び第3糸14は、SiCを主
成分とするセラミックス繊維であり、例えばチラノ繊維
(商標名)を用いることができる。
【0016】この構成により、第3糸14が対の縦糸1
1に沿ってその間を通るので、第3糸14が対の縦糸1
1と一体化し、縦糸11と横糸12で構成される開口部
Aの形状を乱すことがない。また、後述するマトリック
ス材の蒸着による立体形状の成形までの、繊維の乱れを
大幅に低減することができる。
【0017】また、図2(A)に示すように、対の縦糸
11は隣接する縦糸11との間に適当な間隔bを隔てて
配置されている。また、横糸12は、騒音を透過させる
部分(例えば上面10a)では間隔cを広く配置され、
これにより対の縦糸11と横糸12との間に矩形の開口
Aを形成するようになっている。この構成により、横糸
を騒音を透過させる部分で間隔を広く配置することによ
り、所望の矩形開口を精度良く形成することができる。
【0018】一方、強度を必要とする部分では、図2
(C)に示すように、逆に横糸12の間隔cを小さくし
て密に配置することにより、CMCの繊維密度を高め、
強度を高めることができる。なお、以上の説明におい
て、説明の便宜上、縦糸11を2本対にしたが、逆に横
糸12を2本対にし、第3糸14を横糸12の間に通す
ようにしてもよい。
【0019】図3は、本発明による吸音構造ライナーの
製造方法を示す工程図である。この図に示すように、本
発明の吸音構造ライナーの製造方法は、3次元織り2
1、間引き/開口形成22、カーボンCVI23、Si
CマトリックスCVI24、及びSiCマトリックスP
IP25、等の工程からなる。
【0020】3次元織り21は、図2に示した3次元織
物の織り工程である。また、間引き/開口形成22は、
3次元織り21から騒音を透過させる部分の繊維の一部
(横糸12)を間引いてその部分に所定の開口を形成す
る工程である。なお、3次元織り21と間引き/開口形
成22の両方を同一工程で行ってもよい。カーボンCV
I23は、CVI装置を用いて、セラミックス繊維の表
面にカーボンを蒸着させる工程である。この工程では、
3次元織物の変形を防ぐために、グラファイトを素材と
する治具で、3次元織物を両面から挟持した状態で行
う。この工程により蒸着されたカーボンにより、完成後
のセラミック系複合材料(CMC)においてマトリック
ス部の割れの進展を防ぎ、CMCの機械的強度を高める
ことができる。
【0021】SiCマトリックスCVI24は、同様
に、CVI装置を用いて、セラミックス繊維の表面(カ
ーボンのまわり)にSiCマトリックスを蒸着により形
成する工程である。なお、CVIとは、Chemical Vapor
Infiltration の略であり、プリフォームの繊維間隙に
原料ガスを導入し、そこで化学反応により生成したセラ
ミック物質を繊維間隙に充填する手段である。この工程
でも、3次元織物の変形を防ぐために、上述した治具
で、3次元織物を両面から挟持した状態で行う。この工
程により、3次元織物を形成するセラミックス繊維の隙
間にマトリックスが蒸着され、3次元織り21における
3次元織物の重量に対して、カーボンCVI23では約
1%程度、SiCマトリックスCVI24では30%以
上、重量が増加する。20%以上の重量増加により、C
MCとして一応完成しており、治具を外してもそのまま
形状が保持される。
【0022】SiCマトリックスPIP25は、更に、
マトリックスの比率を高めるために行う。この工程で
は、例えば高温のポリチタノカルボシランに3次元織物
を繰り返し漬けて、マトリックス材を更に含浸させる。
この工程により、重量増加が更に100%以上得られ、
CMCの強度を大幅に高めることができる。更に必要に
より、機械加工、コーティング等の工程を付加してもよ
い。
【0023】すなわち、本発明の吸音構造ライナーは、
セラミック系複合材料(CMC)の3次元織り(3次元
織物)からなり、間引き/開口形成22の工程で騒音を
透過させる部分の繊維の一部を間引いてその部分に所定
の開口を形成し、これを所定の形状に機械的に保持しな
がらカーボンCVI23とSiCマトリックスCVI2
4においてマトリックス材を蒸着して立体形状を成形
し、次いでSiCマトリックスPIP25において機械
的保持なしにマトリックス材を更に含浸させて形成す
る。
【0024】従って、この構成により、本発明の吸音構
造ライナーは織物であるため、開口率,穴径の自由度が
高く、騒音を内部に導入する目を容易に形成できる。ま
た、耐熱,比強度大,膨張率の小さなCMCであるた
め、高温のガスジェットに曝されながら、内部の吸音材
等の吸音構造体の損傷を長期間安定して防止できる。特
に、3次元織りであるため、表面板を厚くしても、内部
の空隙を多くすることで、それ自体バルク型吸音材に近
い吸音体とできるため、強度,音響両面での高性能化が
図れる。
【0025】
【実施例】図4は、本発明の吸音構造ライナーの曲げ強
度を示す試験結果である。この試験は、図3に示した工
程により実際に製造した吸音構造ライナーの上面と側部
から試験片を切り出し、室温で3点曲げ試験を実施し
た。なお、この実施例において、図1の上面10aにお
ける開口率は、3次元織り(3次元織物)の段階で約4
6%、SiCマトリックスCVI24の完了後で、約4
1%、最終完成時で約33%であった。
【0026】図4において、横軸は変位量(mm)、縦
軸は負荷荷重(KN)であり、図中のA,Bは、上面
(開口のある部分)、C,D,Eは側面(開口のない部
分)の試験結果である。この結果から、開口のある部分
の曲げ強度は約82MPaであり、開口のない部分は約
160MPaであった。すなわち、開口のある部分で
も、CMCとして非常に高い曲げ強度を有しており、か
つある程度の弾性を有していることがわかる。更に、C
MCであることから、ガスジェットによる過熱に耐える
ことができ、かつ熱変形が少ないことは当然である。
【0027】なお、本発明は上述した実施形態に限定さ
れず、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々変更できる
ことは勿論である。
【0028】
【発明の効果】上述したように、本発明の吸音構造ライ
ナーは、吸音構造体を囲い、広帯域の騒音を内部に透過
させることができ、ガスジェットによる過熱に耐えるこ
とができ、かつ熱変形が少ない、等の優れた効果を有し
ている。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による吸音構造ライナーの全体斜視図と
その使用例を示す図である。
【図2】図1の部分拡大図である。
【図3】本発明による吸音構造ライナーの製造方法を示
す工程図である。
【図4】本発明の吸音構造ライナーの曲げ強度を示す試
験結果である。
【図5】従来の高温用吸音構造図である。
【符号の説明】
1 孔開き板 2 ハニカム 3 背面板 4 吸音構造体 8 ジェットノズル 10 吸音構造ライナー 10a 上面 10b 脚部 10c 隅部 11 縦糸 12 横糸 13 2次元織布 14 第3糸 21 3次元織り 22 間引き/開口形成 23 カーボンCVI 24 SiCマトリックスCVI 25 SiCマトリックスPIP

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 吸音構造体を囲いガスジェットに曝され
    ながら騒音を内部に透過させる吸音構造ライナーであっ
    て、セラミック系複合材料(CMC)の3次元織りから
    なる、ことを特徴とする吸音構造ライナー。
  2. 【請求項2】 前記3次元織りは、相対的に細い2本対
    の縦糸と、太い1本の横糸と、これらを3次元的に積層
    したものを束ねる相対的に細い2本の第3糸とからな
    り、該第3糸は、対の縦糸に沿ってその間を通るととも
    に横糸の表裏を交互に通る、ことを特徴とする請求項1
    に記載の吸音構造ライナー。
  3. 【請求項3】 前記対の縦糸は、隣接する縦糸との間に
    間隔を隔てて配置され、前記横糸は、騒音を透過させる
    部分で間隔を広く配置され、これにより対の縦糸と横糸
    との間に矩形の開口を形成する、ことを特徴とする請求
    項2に記載の吸音構造ライナー。
  4. 【請求項4】 騒音を透過させる部分の繊維の一部を間
    引いてその部分に所定の開口を形成し、これを所定の形
    状に機械的に保持しながらマトリックス材を蒸着して立
    体形状を成形し、次いで機械的保持なしにマトリックス
    材を更に含浸させて形成する、ことを特徴とする吸音構
    造ライナーの製造方法。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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