JPH1171696A - 二次成形品の電気亜鉛めっき法 - Google Patents
二次成形品の電気亜鉛めっき法Info
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Abstract
水の流出を防止し完全なリサイクル・クローズド化を可
能とするめっき法を提供する。 【解決手段】硫酸亜鉛めっき浴に二次成形品を浸漬し、
めっき電流としてパルス電源を用いてめっきを行う。
Description
浴めっき法、特に、排水処理の必要性を低減あるいは無
くした硫酸亜鉛めっき浴を使った二次成形品の電気亜鉛
めっき法に関する。
については、以下の3種のめっき浴が主流をなしてきた
が、各々次のような問題点を包含していた。
して含有するめっき浴であって、作業環境が悪い。 ジンケート浴:高濃度の苛性ソーダを含有するめっき浴
であって、やはり作業環境が悪い。
( アンモニウム) を含んでいるため排水処理が問題とな
る。また排水処理に際しても亜鉛イオンの沈降性が悪
く、しかもその後の処理水はCOD、BOD値が高い。
浴は、ツキ回り能と光沢性に劣り、一次成形品( 例: 帯
鋼) のように単調な形状の処理物へその適用が限定され
てきた。つまり、そのような一次成形品にさらにプレス
成形等の二次加工を行って製作した二次成形品(例: 筒
状体) の場合、高い光沢性、付き回り能が要求され、か
つ多種多様な形状をしており、そのため二次成形品のめ
っき処理には硫酸めっき浴の適用が不可能であり、実際
これまで適用された例はなかった。
資源のリサイクルおよび処理系のクローズド化 (以下、
「リサイクル・クローズド化」または「リサイクル・ク
ローズド・システム」という) が求められている。従来
から電気亜鉛めっきについてもこの「リサイクル・クロ
ーズド化」という概念は存在したものの、次に示される
ような克服困難な課題があり、現在のところ実現には至
っていない。各めっきライン当たり10〜100 t/日の様々
な化学物質を含んだ排水が放出されているのが現状であ
る。
を用いており、陽極での亜鉛溶出量が陰極における同析
出量を上回るが、めっき液の汲み出しにより、ある濃度
において平衡に到達する。しかし、100 %リサイクルの
クローズドシステムの場合、めっき液の汲み出しが無い
ため、亜鉛濃度は上昇し続け、やがては液管理が困難と
なる。
め、例えば光沢剤として有機添加剤を使用した従来のめ
っき浴では、めっき操業の稼働とともに有機添加剤の電
気分解生成物が生成・蓄積し、めっき性能に障害を生ず
る。多くの場合、短期間においてめっき液を更新する必
要が生じた。
ムを採用する場合、従来は排水処理設備にて処理してい
た汚染水洗水の浄化もしくは処分が最大の課題であっ
た。前者については、汚染水洗水の浄化システムを用い
たライン内リサイクル化を想定したとしても、その精
度、能力、コストに大きな課題があり実用化に至らな
い。さらにこのライン内リサイクル化については、「め
っき液と水洗水の濃縮化を図り、それにより生ずる給水
の必要量を新しい水洗水として供給する」ことは想定さ
れるものの、実用的な濃縮化技術が見られず、やはり実
用化に至っていない。
き液の汲み出しが無い場合、次の発生機構による炭酸根
が蓄積し続け、通電性の低下、槽底析出、さらには処理
物上への付着等の問題を生ずる。つまり、陽極における
電解酸化反応により液中の有機物より生ずる炭酸根に加
えて、気液界面より中和反応を経て吸収する炭酸根が液
中にすべて蓄積する。
「めっき液の蒸発→濃縮」を行い、その補充水分として
めっき槽に供給される水洗水、つまり、めっき製品の水
洗水を利用することも考えられるが、めっき性能の多く
を有機添加剤に頼っている現状ではそのような有機添加
剤が高浴温に耐えられず、光沢性、付き回り性等のめっ
き性能が大きく低下する。
気亜鉛めっきを行う際に、付き回りを促進して光沢に優
れためっきが可能であるとともに、排水の流出を防止し
完全なリサイクル・クローズド化を可能とする電気亜鉛
めっき法を提供することである。
ル・クローズド化の実現に一番問題となるのが、水洗水
確保のためのめっき液濃縮化技術、つまり高浴温めっき
技術であって、そのためには硫酸亜鉛めっき浴を用いる
ことが有利であることに着目した。
亜鉛めっき浴による電気亜鉛めっきは付き回りが悪く、
光沢性の点でも問題があった。特に、二次成形品のめっ
きへの適用は不可能と考えられていた。
酸亜鉛めっき浴にパルス電解条件を併せて適用すること
により、光沢剤などの有機添加剤を用いることなく、従
来の汎用めっきプロセス (シアン浴、塩化浴、ジンケー
ト浴等) に匹敵する性能のめっきプロセスを得ることが
できることを知り、本発明を完成した。
浴による電気亜鉛めっき法へ適用することにより、従来
重要な機能を果たしてきた有機添加剤の必要性が軽減も
しくは解消でき、この結果、電気亜鉛めっき製品の水洗
水の「リサイクル・クローズド化」が可能となることを
知り、本発明を完成した。
形品を浸漬し、めっき電流としてパルス波形の電流を用
いてめっきを行うことを特徴とする二次成形品の電気亜
鉛めっき法である。
き浴を収容するめっき槽にて二次成形品のパルスめっき
を行うこと、該パルスめっきを行った二次成形品の水洗
を多段で行うこと、各段での水洗水を順次上流の段に送
り、最終的に前記めっき槽に供給すること、そして該め
っき槽においてめっき浴を蒸発させて該めっき浴へ供給
された前記水洗水を回収することを特徴とする二次成形
品の電気亜鉛めっき法である。
により得た帯鋼などの一次成形品に対するものであっ
て、プレス、押出、絞り等の二次加工により得た成形品
であって特にそれに制限はされないが、車両用部品等の
管 (筒) 状体、輪状体、凹凸多面体を例示できる。
の模式的説明図である。図中、硫酸めっき浴10を収容す
るめっき槽12では二次成形品( 図示せず) を浸漬してパ
スルめっきを行う。めっき終了後の二次成形品は下流に
向かって順次設けた水洗槽14、16、18、20を経て多段で
水洗され、めっき済み製品として回収される。
され、この水洗槽20から順次上流に向かって送られ、め
っき済み二次成形品の移動に伴って見られるめっき槽12
からのめっき浴の持ち出しを防止するとともに、排水が
生じないようにしている。
槽12にはめっき浴はほぼ完全に戻されることになるが、
その一方では水洗水が蓄積することになるため、めっき
槽12のめっき条件はできるだけ高温とすることで、下流
側の水洗槽から補給される水洗水を蒸発回収するように
している。めっき浴10は略50〜80℃に保たれ、高温めっ
きが行われるとともに水分の蒸発・回収が行われる。蒸
発を促進するために追加的加熱手段を設けてもよい。め
っき槽12での電気亜鉛めっきはパルス波形のめっき電流
を供給することで行われる。
ため前述のような炭酸根の蓄積はみられず、また硫酸浴
を用することから光沢剤などの有機添加剤は不用という
ことで、上述のようなリサイクル・クローズド化が可能
であるが、その電気分解生成物がめっきにさほどの強い
影響を及ぼさないものであれば、少量の有機添加剤はめ
っき浴に加えることができる。
いた電気亜鉛めっきに際してパルス電源を用いる。ここ
に、パルス波形の電流とは、矩形波、三角波、あるいは
一部それらへ直流を重畳する方法等を用いた周期的電流
中断法(Unipolar)による波の電流、もしくは単相半波、
単相不完全整流波等の非対称交流波の電流も含まれる。
ス波形を示すもので、図1(a) は代表的なもので、パル
ス通電時間(Ton) 、電流中断時間(Toff)、および電位ま
たは電流密度(Dk,V) について図示してある。図1(b)
はそれを高電位側にもっていた場合を示し、同(c) は2
種の異なったパルスをもった二重パルスの場合を示し、
同(d) はパルスをさらにパルス化した例を示し、そして
同(e) はパルスのうえにさらに別のパルスを乗せたとき
の例を示す。
来問題ありとされた光沢性、付き回りの悪さが解消され
るが、その機構は次のように考えられる。本発明によれ
ば、パルス電流の印加時に形成される拡散層がその休止
時には緩和することから、パルス電流の休止時には、陰
極近傍の金属イオン濃度が回復する。それと同時に、陰
極界面で、吸着、脱着等の通常の直流電解では認められ
ない複雑な現象が起こる。
でめっきできる。つまり、現在の実用機ではデューティ
サイクルが 0.1〜0.01秒であり、パルス時の電流値は直
流時の10〜100 倍が可能となり、そのような高い活性化
過電圧でのめっきが可能となる。このように高い過電圧
は、すなわち高い活性化電位を示し、金属結晶の多核
化、つまり緻密な微細結晶が得られることを意味する。
ルス電源としては、例えば直流をチョッパーとしてイン
テリジェントパワーモジュール(IPM) を用いて継続さ
せ、その後必要に応じて変圧器により昇圧させる方式を
主に採用すればよい。同方式は、波形の設計と器具の導
入が容易で、かつ安価である。ただし、めっき品質上必
要な場合は、他の方式によりデザインされた波形の電流
を用いてもよい。
めっき槽での電流密度:1〜1000A/dm2 、Ton =0.1 〜
100ms 、Toff=1〜1000ms、周波数( ν) =1〜100Hz
、であるが、後述の実施例にも示されているように、
次の範囲が特に効果的である。
〜200 A/dm2 、Ton =0.1 〜10ms、最も好ましくは1〜
2ms、Toff=1〜200ms である。上述の条件は好適範囲
であって必ずしもそれらに制限されるものではないが、
その限定理由は、次の通りである。
ある「高い活性化電位」効果が弱く、また200 A/dm2 超
では、対応すべきTon が極端に短く実用的な電源がない
からである。
の実用機がなく、10ms超では、対応すべき電流密度が低
すぎてその効果が低いか、もしくは、高電流密度であれ
ばコゲ発生を抑制できないからである。
接支配される。電気2重層を亜鉛イオンで満たすために
必要な時間で、Toffは、通常のめっき浴条件の範囲で
は、1ms未満では不足し、200 ms超では時間を無駄に
し、めっき速度の低下につながる。
(硫酸浴組成) は、実用上からは、一般には ZnSO4・7H
2O:50〜600 g/L であれば充分である。好適態様によれ
ば、ZnSO4・7H2O:100g/L未満では、コゲが発生し易
く、めっき速度も低下する。450g/L超では、付回り能が
低下し、かつ他方では水洗水の汚染が激しくリサイクル
・クローズド化を困難にする。より好ましくは、100 〜
450g/Lである。
性の確保のために、H2SO4 、Na2SO4、(NH4)2SO4 、硼酸
ナトリウム、スルファミン酸ナトリウム、酢酸ナトリウ
ム、酢酸アンモニウム等の導電性塩を併用してもよい。
しろその添加によって本発明のリサイクル・クローズド
化が悪影響を受けることも考えられるが、例えばその電
気分解生成物がめっきにさほどの強い影響を及ぼさない
ものであれば、必要に応じて少量添加してもよい。また
湿潤剤として、濡れ性改善等の必要時に、界面張力低下
効果を有するもの等を少量添加してもよい。次に、実施
例によって本発明の作用効果をさらに具体的に説明す
る。
3に示すカップ形状の二次加工品である鉄鋼部品10を硫
酸亜鉛めっき浴を用い本発明に従ってパルス電流を印加
して70℃で電気亜鉛めっきを行い、同時にめっき液の蒸
発を行いリサイクル・クローズド化を行った。通常、こ
のような容器の底部にまで均一にめっきすることは難し
かった。
いし表3に示す通りであった。被めっき材である上記鉄
鋼部品10は、前処理洗浄を施した後、本発明にしたがっ
て電気亜鉛めっきを行い、次いで黄色クロメート処理を
施し、70℃で乾燥した。
った。波形は図1(a) のそれであった。めっき速度の確
保の意味で、パルス一回当たりの限界通電量(A・ms) 以
下では、Ton/(Toff+Ton)=i(DC)/i(PC) をTon 、Toffの
設定の目安とした。本例の条件では、この限界通電量は
約50 A・ms/dm2であった。このようにして得られた各め
っき品について下記の要領でめっきの評価を行った。
った。◎、○を合格とした。 耐食性:めっき処理後中性塩水噴霧試験を実施し、白錆
発生時間72時間以上を○とした。
面) のコーナー部のめっきの被覆状態を観察する。めっ
きが厚さ1μm以上行われていた場合を○とし、特に2
μm以上あったときは◎、そして1μm 以下の薄いめっ
きのときは×とした。
次のような優れた効果が得られる。
っき処理に硫酸浴を適用できるようになり、添加物フリ
ーのめっき浴を実現可能とすることで、水洗水、排水の
100 %リサイクル・クローズド化を実現できる。
「高電流密度の適用」、「有機添加剤少量化もしくは無
使用」等の特性が、上記二次成形品のめっき処理におい
て活用できる。
ためっき浴の冷却に要する費用の削減を図ることができ
る。 (5) 酸性浴でのめっきのため、腐食性が高く好まれない
塩素イオンを排除でき、作業環境の改善を図ることがで
きる。
理費用( イニシャルコスト:設備費、ランニングコス
ト:薬品費用、電力、メンテナンス費用) の削減もしく
は大幅な削除が可能となる。 (7) めっき液成分の内液持ち出しにより損失する分が回
収可能で、コストダウンを図れる。
・クローズド化を実現することにより次のような環境向
上への寄与が考えられる。 (1) 生態、自然界への有害性が現在認められている物質
に限らず、今後確認され得る物質についても、その放出
が未然に防止でき、環境保全へ役立つ。 (2) 排水に含まれ、アルキルフェノール系界面活性剤に
代表される物質群に関わるエンドクリン問題への対応が
可能となる。
の原因物質の自然界への放出の削減もしくは回避が図れ
る。 (4) 排水に含まれる亜鉛金属イオンの自然界への放出の
削減もしくは回避が図れる。
的説明図である。
明図である。
図である。
Claims (2)
- 【請求項1】 硫酸めっき浴に二次成形品を浸漬し、め
っき電流としてパルス波形の電流を用いてめっきを行う
ことを特徴とする二次成形品の電気亜鉛めっき法。 - 【請求項2】 硫酸めっき浴を収容するめっき槽にて二
次成形品のパルスめっきを行うこと、該パルスめっきを
行った二次成形品の水洗を多段で行うこと、各段での水
洗水を順次上流の段に送り、最終的に前記めっき槽に供
給すること、そして該めっき槽においてめっき浴を蒸発
させて該めっき浴へ供給された前記水洗水を回収するこ
とを特徴とする二次成形品の電気亜鉛めっき法。
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Cited By (7)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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1997
- 1997-08-29 JP JP23521697A patent/JP3769661B2/ja not_active Expired - Fee Related
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