JPH1171390A - 新規な糖鎖 - Google Patents

新規な糖鎖

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JPH1171390A
JPH1171390A JP9249498A JP24949897A JPH1171390A JP H1171390 A JPH1171390 A JP H1171390A JP 9249498 A JP9249498 A JP 9249498A JP 24949897 A JP24949897 A JP 24949897A JP H1171390 A JPH1171390 A JP H1171390A
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JP
Japan
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mannitol
mannose
carbon
sugar chain
sugar
Prior art date
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Pending
Application number
JP9249498A
Other languages
English (en)
Inventor
Masaya Chiba
誠哉 千葉
Atsuo Kimura
淳夫 木村
Ryuichi Oya
隆一 大矢
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Amano Enzyme Inc
Original Assignee
Amano Pharmaceutical Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【目的】新規な糖鎖を提供する。 【構成】次式で示される新規な糖アルコール Xα1→6(Manα1→2)ManOH (但し、Xはグルコース又はマンノースを示し、Man
はマンノースを示し、ManOHはマンニトールを示
す。) 或いは、次式で示される新規な糖鎖。 Xα1→6(Manα1→2)Man (但し、Xはグルコース又はマンノースを示し、Man
はマンノースを示す。)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は新規な糖鎖に関し、更に
詳細には糖鎖機能の研究材料或いは一般的な糖鎖の利用
形態での使用にも有用な新規な糖鎖に関する。
【0002】
【従来の技術】糖鎖はグルコースやマンノースなどの単
糖が結合したポリマーをいい、一般的には蛋白質、脂質
に結合し、細胞表面に存在している。糖鎖は細胞間での
情報伝達に関与し、糖鎖を付加することによって、生体
蛋白の安定性や活性が変化することが知られている。
【0003】糖鎖には大別すると、糖脂質に結合してい
るものと蛋白に結合しているものの2種類ある。そのう
ち蛋白に結合する糖鎖は、その結合様式から2つに分類
される。1つは蛋白質のアスパラギンと結合している糖
鎖でN−グリコシド結合糖鎖と呼ばれ、一方は蛋白質と
セリン、トレオニン、ヒドロキシルリジン、ヒドロキシ
プロリンで結合している糖鎖でO−グリコシド糖鎖と呼
ばれている。前者は動植物界に広く分布し、特に細胞表
面の糖鎖構造の重要な位置を占め、後者はコラーゲンや
サイクログロビン等と結合して存在している。
【0004】本発明のO−グリコシド結合糖鎖の構造解
析に関し、例えばグルコアミラーゼの糖鎖として、Gunn
arson et al., Eur. J. Biochem., 145, 463-467(1984)
及びPazur et al., Carbohydr. Res., 84, 103-114(198
0)、グルコースオキシダーゼの糖鎖として、Takegawa e
t al., Agric Biol. Chem., 55, 883-884(1991)及びカ
ルボキシペプチダーゼとしてChiba et al., Current Mi
crobiol., 27, 281-288(1993)等が報告されている。Tak
egawaとChibaらは、マンノースが結合すると報じてい
る。一方、PazurらやGunnarsonらは各々5つの糖鎖を報
告しているが、Gunnarsonについては各々の糖鎖を単離
せずに混合物として解析をして推定しているのみであ
る。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、蛋白質や脂
質と結合して生命の維持に重要な役割を演じていると考
えられる、新規な糖鎖を分離精製して構造を決定するこ
とにある。このように糖鎖の本体を解明することは糖鎖
の機能を明らかにすることと同様に、重要であり、より
多くの糖鎖の出現が求められている。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者等は、α−グル
コシダーゼの糖鎖について鋭意研究を重ねた結果、新規
な糖鎖を単離精製することに成功し、本発明を完成し
た。即ち、本発明は次の式 Xα1→6(Manα1→2)ManOH (但し、Xはグルコース又はマンノースを示し、Man
はマンノースを示し、ManOHはマンニトールを示
す。)で表される新規な糖アルコールにかかるものであ
る。更に又、上記の糖アルコールについて、常法に従っ
てマンノシル基或いはグルコシル基の1級アルコールを
優先的に保護し、残るマンニトールの1級アルコールを
アルデヒドに酸化することによりマンノースとた後、脱
保護することにより次式の糖鎖を得ることができる。 Xα1→6(Manα1→2)Man (但し、Xはグルコース又はマンノースを示し、Man
はマンノースを示す。) また、上記糖鎖は常法に従って合成することも可能であ
る。
【0007】本発明にかかる糖鎖は例えば精製されたα
−グルコシダーゼより糖鎖構造を脱離せしめ、精製する
ことにより製造される。
【0008】原料として用いる糖蛋白質としては上述し
た糖鎖構造を有する蛋白質又はペプチド等であれば何れ
も使用することができる。
【0009】具体的には実施例を参照しながら本発明を
詳述するが、本発明はこれらに限定されるものではな
い。
【0010】
【実施例】
実施例1 尚、本実施例で使用した試薬及び測定法などは特に指定
しない限り以下に示すものに従った。
【0011】試薬 NaBH4、NaOH、AgNO3、グルコース、マンニトール、アラ
ビトール、イソマルトース、イソマルトトリオース、イ
ソマルトテトラオース、イソマルトペンタオース、イソ
マルトヘキサオースは、市販品(生化学工業製等)を用
いた。DEAE-Sepharose CL-6B(Pharmacia製)、Bio-Gel
P-10、Bio-Gel P-2(Bio-Rad製)、TOYOPEAL HW-55
(東ソー製)については、定法に従って膨張、活性化、
カラム充填および所定の緩衝液による平衡化を行ったも
のを使用した。
【0012】蛋白量の測定 酵素の蛋白濃度については、280 nm における吸光度を
測定し、比吸光係数として
【0013】
【式1】
【0014】を用いて算出した。
【0015】薄層クロマトグラフィー(TLC) 薄層プレートには、市販の Kiesel gel 60(MERCK製)
を使用した。また展開溶媒として、2−プロパノール:
1−ブタノール:水 = 12:3:4(V/V)を使用
した。検出にアニスアルデヒド試薬[酢酸:硫酸:アニ
スアルデヒド=100:2:1(V/V)] を噴霧後、10
0 - 110℃で加熱発色させた。
【0016】脱塩処理 糖試料の脱塩は電気透析法により行った。すなわち、マ
イクロ・アシライザー(旭化成工業製)を用い、カート
リッジにはACIPRLEX CARTRIGE AC-230-10を使用した。
【0017】高速液体クロマトグラフィー(HPLC) Waters 600E マルチソルベント送液システムを用いた。
カラムにはステンレス製のYMC-Pack AQ-323 S-5 120A O
DS(φ 10 × 250mm)を使用し、分離は室温で行っ
た。溶出された糖は Refracto Monitor III(LABORATOR
Y DATA CONTROL製)を用いて、25℃における屈折率によ
り検出した。移動相には、超純水を用いた。
【0018】マススペクトル(FD-MS) 乾固させた後、無水エタノール処理を行い白色粉末にし
た1μg以上の試料を用いた。マススペクトルの測定に
は、JMS-SX 120A(JEOL製)を使用し、FD(Field desor
ption)法により行った。
【0019】塩酸加水分解 適量(約20μg)のサンプルに終濃度が0.5Mになるよう
にHClを加え、封管中、100℃で2時間分解を行った。そ
の後、ロータリー・エバポレーターにて乾固させた。完
全にHClを除去するため、超純水の添加・乾固の作業を
4−5回繰り返した。
【0020】ガスクロマトグラフィー(GLC) 乾燥試料(約20μg)にTMS化剤(TMSI-H;ジーエルサイ
エンス株式会社製)50μlを加え、沸騰浴中で10分間保
持しTrimethylsilyl(TMS)化を行い、これをGLC(G-30
00形日立ガスクロマトグラフ、FID検出器付き)に供し
た。なお、分析条件は以下の通りである。
【0021】Injector温度, 280℃;Detector温度, 300
℃;昇温分析,100℃→250℃(10℃/min);Carrier ga
s, N2(30ml/min);Column,3% Silicone OV-17 Chr
omosorb WAW-DMCS(80−100 mesh, ジーエルサイエンス
株式会社製);Column size, φ 0.15×200cm(glass
column)
【0022】また、内部標準にアラビトールを用い、ピ
ーク比から糖鎖の構成糖の定量分析を行った。
【0023】exo-glycosidase消化 約60μgの試料を乾固させ、以下の条件下で酵素および
緩衝液を加え、37℃、24時間反応させた。
【0024】i) α-マンノシダーゼ(Jack bean 起源;
Sigma製)消化 酵素0.2単位、0.05M 酢酸−ピリジン緩衝液(pH4.5) ii)α-グルコシダーゼ(Aspergillus niger由来)消化 酵素0.5単位、0.05M 酢酸−ピリジン緩衝液(pH4.5)
【0025】いずれの場合も反応液は100μlとし、反応
後、200μlの超純水を加え、加熱失活させた。分析はTL
Cで行い、硝酸銀試薬で糖を発色させた。
【0026】NMR 測定上、必要量の試料(1H-NMRで1−2mg、13C-NMRで1
0−20mg)を重水置換し、D2O(deuterium oxide;isoto
pic purity,99.8% in atom % D)に溶解させた。測定
は、AM-500(Bruker製)で行い、外部標準としてTrimet
hylsilyl sodium propionate(TSPと略称)を使用し
た。1H-NMR については500MHz、300Kで、13C-NMRについ
ては125MHz、298Kで測定した。
【0027】 酵素の精製 トランスグルコシダーゼ L「アマノ」(天野製薬株式
会社製)を粗酵素溶液として使用し、既に、報告された
精製法[A. Kita, et al., Agric. Biol. Chem., 55, 2
327-2335(1991)]により、電気泳動的に単一なα−グル
コシダーゼを得た。なお、酵素活性の測定も同報告の方
法に従った。
【0028】アルカリ分解による糖鎖の切断 O−グリコシド型糖鎖の切り出しをアルカリ分解法によ
って行った。O−型糖鎖の蛋白部分(SerあるいはThr残
基)との結合は、N−グリコシド型糖鎖に比べ、アルカ
リに対し不安定であり、弱い条件下でも容易に切断され
る。しかしながら、還元末端側の単糖部分も、本アルカ
リ条件下で不安定であり、異性化や脱離などの複雑な反
応が生ずる。これらの副反応を防ぐため、アルカリ濃度
を低くし、かつ、NaBH4を共存させ、切断と同時に還元
末端単糖のアルデヒド基を還元するため、得られた糖鎖
は糖アルコールとなる。
【0029】精製酵素1gをロータリー・エバポレータ
ーで25mg/mlまで濃縮し、脱塩水に70時間透析した後
[酵素液中に含まれる酢酸緩衝液(pH5.0)を脱塩水に
置換]、同量(40ml)の2M NaBH4を含む0.1M NaOHと
1L容ナス型フラスコ内で素早く混合し、45℃で16時間
反応させた。その後、反応液を室温にまで冷却し、攪拌
しながら5倍量(200ml)の 0.25M 酢酸(メタノール溶
液)を少しずつ加え、過剰のNaBH4を分解させ、更に窒
素を充填させたロータリー・エバポレーターで減圧乾固
させた。NaBH4を完全に分解し、生ずるほう酸を取り除
くため、再び等量の0.25 M酢酸(メタノール溶液)を用
いた減圧乾固を2回、さらに、等量のメタノールでの操
作を2回繰り返した。得られた試料を脱塩水に溶解させ
た。この際、溶けきれない不溶物(蛋白質)が生じる
が、これを遠心分離(10,000×g, 20min)で取り除き、
上清を20mlまで濃縮した。さらに、4℃で一晩保持し、
蛋白性の沈殿物を生じさせ、濾別した。
【0030】O−グリコシド型糖鎖の単離 高分子の蛋白画分の完全な除去を目的とし、Bio-Gel P-
10 カラム(φ 2.6×100cm)によるゲル濾過を行った
(室温、溶出は脱塩水で20ml/時の流速、5mlの分画、
サンプル20mlを4回に分けてゲル濾過した)。この際、
予め、標準糖(グルコースおよび重合度 2 から 6 まで
のイソマルトオリゴ糖;各0.05%濃度;それぞれ、G1お
よびIG2−IG6と略する)を用いて、それらの溶出位置を
調べた。
【0031】糖鎖の確認は、各フラクションより5μl
をTLC板にスポットし、アニスアルデヒド試薬の加熱に
より行った。単糖(G1)の溶出位置と塩が溶出している
画分が一致するため(発色試薬でTLC上のスポットが白
色となり、糖鎖の確認が困難)、これを含めた糖画分を
回収後、電気透析器で脱塩を行った。
【0032】次に、糖鎖を分子サイズで分離した。脱塩
された糖画分をロータリー・エバポレーターで20mlまで
濃縮し、4回に分け Bio-Gel P-2 カラム(φ 2.6×98c
m)に供した。分離は室温で行い、超純水を移動相と
し、流速12.5ml/時で溶出させ、5mlずつ分画した。前
述のBio-Gel P-10カラムと同様に、予め、標準糖(G1お
よびIG2−IG6)の溶出位置を確認した。その結果、IG6
はFr. No.52、IG5はFr. No.55、IG4はFr. No.60、IG3は
Fr. No.64、IG2はFr. No.70、G1はFr. No.75に、それぞ
れピークを形成していた。
【0033】TLC板に5μlスポットし、アニスアルデヒ
ド試薬によって発色の有無を確認後、Fr. No.35−No.75
までについてTLCを行った(図1)。その結果、Fr. No.
35−No.60では原点付近にスポットが認められた。これ
らの画分は、アルカリ分解によって一部切断を受けた
N−グリコシド型糖鎖や低分子のペプチドが溶出されて
いると考えられた。
【0034】糖の展開が確認されたFr. No.60−No.75に
ついてさらに詳しく調べた。Fr. No.57−No.74のTLCの
結果より、数種の糖鎖の存在が確認された。すなわち、
Fr. No.58とNo.59に五あるいは四糖類と思われるスポッ
トが少なくとも3個、Fr. No.62−No.65に三糖類と思わ
れるスポットが2個、Fr. No.67−No.69に二糖類と思わ
れるスポットが1個、Fr. No.71−No.73に単糖類と思わ
れるスポットが1個検出された。なお、Fr. No.67−No.
69およびFr. No.71−No.73に溶出した糖鎖の構造は、そ
れぞれ、α-1,2-mannosyl-mannitolおよびmannitolと決
定された。
【0035】三糖類と思われるFr. No.62−No.65の溶出
画分を逆相HPLCカラムに供し、糖鎖の精製を行った。ピ
ーク毎に分画し、各フラクションを濃縮した。TLC板上
でスポットテストを行い、糖の溶出を確認後、さらにTL
Cにより詳細に分析した結果、3種類の糖鎖の存在が認
められた。保持時間の遅いものから順に O3、O4、O5
と命名した。
【0036】保持時間が約8.5分のO4と約9.2分のO3
大きなピークを形成した。約7.5分に溶出されたO5は量
が少ないが、TLC上のRf値がO3と一致している。また、
4とO5の色調からマンノースからなることが予想され
た。O3はその色調がO4とO5と異なっており、マンノ
ース以外の構成糖が考えられた。
【0037】O3とO4の構造決定 (a) FD-MSによる分子量の測定 O3とO4について、それぞれFD-MSによる分子量の測定
を行った。529m/z(M +Na+)、545m/z(M + K+)にイオ
ンピークが認められた。従ってO3およびO4の分子量は
506であり、三糖類の糖アルコールと推察された。
【0038】(b) 単糖分析 O3およびO4をそれぞれ塩酸で加水分解した後、TMS化
誘導体に導き、GLCに供した。O3については、保持時間
からマンノースおよびグルコースが認められた。また、
マンノースのα−およびβ−アノマーのピーク比が逆転
していることから、マンニトールの存在も確認された。
更に、内部標準のアラビトールとのピーク比から、マン
ノース:グルコース:マンニトール=1:1:1の比で
構成されると推定された。
【0039】O4については、マンノースに由来する二
つのピークが認められた。また、両ピークの比率はほぼ
等しいことから、マンニトールも存在する。従って、O
4の構成糖は、マンノースとマンニトールである。その
割合は、マンノース:マンニトール=2:1と測定され
た。
【0040】(c) exo-glycosidase 消化 O3についてα−マンノシダーゼ消化を24時間行った。
マンノースおよび二糖類の存在が確認された。また、単
糖解析よりO3にはグルコースが含まれていることが推
定されるため、α−グルコシダーゼ消化を24時間行い、
グルコースおよび二糖類の存在が確認された。
【0041】従って、O3の構造は、その非還元末端に
α−マンノシル基とα−グルコシル基を有する下記に示
す分岐型であることが明らかにされた。 Gluα1→(Manα1→)ManOH
【0042】O4については、24時間のα−マンノシダ
ーゼ消化で、マンノースとマンニトールに加水分解され
た。このことから、O4は2つのα−マンノシル基を有
することが明らかになった。従って、下記式の分岐型 Manα1→(Manα1→)ManOH 或いは下記式の直鎖型の何れかと考えられる。 Manα1→Manα1→ManOH
【0043】(d) NMRによる構造解析 O3に関しては、グルコシル基とマンノシル基のマンニ
トール上での結合位置の決定、O4に関しては、分岐か
直鎖の何れの構造か、更に、2残基のマンノシル基の結
合位置を明らかにするためにNMRを用いて解析した。
【0044】両糖鎖ともに、解析の手順は全く同じであ
り、カーボンシグナルを構成する2つの単糖部分および
マンニトールに分類後(HSQC-TOCSY)、単糖部分が結合
するマンニトールのカーボンを2つの方法(HMBCとHMQC
-COSY)で決定した。
【0045】3の構造解析 1 H-NMRにおけるアノメリックプロトンの帰属は、3J
H1,H2(アノメリックプロトンに対する2位プロトンの
結合定数)により、δH5.01がマンノシル基(Mと略
す)の、δH4.97がグルコシル基(Gと略す)のアノメ
リックプロトンのもの(それぞれ、H-M1及びH-G1)と決
定された。また、13C-NMRの結果より、負を与えるCH2
4個であり(δC71.6、δC63.9、δC63.7、δC63.3)、
グルコシル基およびマンノシル基の6位のカーボン(C-
G6及びC-M6)とマンノトール(Oと略す)の1位および
6位のカーボン(C-O6及びC-O6)の何れかに由来する。
【0046】更に、HSQC-TOCSY(別名 CH-HOHAHA)によ
る構造解析を用いることにより、同一残基内のプロトン
とカーボンの間に相関ピークが出現し、それぞれのシグ
ナルの由来をグルコシル基、マンノシル基およびマンニ
トールに分類することが可能となる。但し、マンノシル
基は3JH1,H23JH2,H3が低いため、アノメリックプロト
ン(H-M1)と相関が認められないカーボンシグナルも存
在する。参考図1にその結果を示す。
【0047】グルコシル基のアノメリックプロトン(H-
G1)と6個のカーボンシグナル間に相関が観察された。
直接結合するカーボンはδC100.9にシグナルを与えた。
δC63.3 はDEPTが負になることから、CH2のカーボン、
すなわちC-G6のものであることが推定された。すなわ
ち、δC100.9(C-G1)、δC75.99、δC74.6、δC74.3、
δC72.3、δC63.3(C-G6)である。
【0048】マンノシル基は前述のように、H-M1と相関
が認められないカーボンシグナルが存在する。が、次の
ように相関を辿ることにより、6個のカーボンシグナル
が決定された。一組目は、H-M1(δH5.01)→δC73.2、
δC73.1とδC104.1であり、δC104.1はH-M1が直接結合
するアノメリックカーボン(C-M1)のシグナルである。
次に、C-M1(δC104.1)→δH3.98と辿り、δH3.98→δ
C69.5、δC63.7に至るが、δC63.7のDEPTが負を示すこ
とから、C-M6のシグナルである。さらに、δC69.5→δH
3.66を経由し、δH3.66→δC73.2、δC73.1とδC76.02
(δC73.2とδC73.1は再度確認される)となり、マンノ
シル基内のカーボンシグナルが全て分類された。すなわ
ち、δC104.1(C-M1)、δC76.02、δC73.2、δC73.1、
δC69.5、δC63.7(C-M6)となる。
【0049】その他は、全てマンニトール(Oと略す)
由来のシグナルとなる。DEPTが負を与えるものはδC71.
6とδdC63.9であり、どちらがC-O1あるいはC-O6のCH2
来のカーボンシグナルであるかはこの段階では不明であ
る。すなわち、δC82.1、δC72.0、δC71.7、δC71.6
(メチレンカーボン)、δC69.9、δC63.9(メチレンカ
ーボン)である。
【0050】プロトンからカーボン側へのシグナルを察
知するHMBC による構造解析方法で、グリコシル基やマ
ンノシル基のアノメリックプロトンと相関を与えるマン
ニトール側のカーボンシグナルを検出した。結果を参考
図2に示す。
【0051】グルコシル基側からの解析を行うことにす
る。H-G1(δH4.97)の相関シグナルは3個出現した
(δC75.99、δC74.6とδC71.6)。δC75.99およびδC7
4.6は同じグルコシル基内のカーボン由来である。δC7
1.6はマンニトールのメチレンカーボンであり、C-O1あ
るいはC-O6の何れかにグルコシル基が結合することを示
している。しかし、C-O1は蛋白質側に結合しているた
め、この位置は除外される。従って、グルコシル基はマ
ンニトールの6位にα型で結合していることが決定され
た。また、残ったマンニトールのメチレンカーボン(δ
C63.9)がC-O1のものであることが判明した。
【0052】マンニトール基のH-M1(δH5.01)の相関
シグナルも3個認められた(δC76.02、δC73.2とδC8
2.1)。δC76.02およびδC73.2はマンノシル基のリング
カーボンであり、δC82.1が結合にあずかるマンニトー
ル側のカーボンシグナルである。DEPTが正であるため、
メチンカーボンであり、C-O2、C-O3あるいはC-O4の何れ
かになるが、その結合位置に関する情報は本手法の解析
だけでは求められない。
【0053】HMBCの逆の手法であるHMQC-COSY による構
造解析により、カーボン側から2Jのプロトンを検出でき
る(すなわち、-CH-CH-CH-のCからHへの遠隔相関を調べ
た)。結果を参考図3に示すが、直接結合するC-Hに関
しては、HSQC法で別に測定した。
【0054】マンノシル基が結合するマンニトール側の
カーボンシグナル(δC82.1)について解析を行った。
δC82.1から3個の相関シグナルが観察された(δH4.0
5、δH3.90およびδH3.78)。δH3.78はδC82.1のカー
ボンに直接結合するプロトンのものである。ここで、注
目すべき相関シグナルはδH3.90である。これはδC63.9
のカーボンに直接結合することが、HSQC法で示されてい
る。δC63.9のシグナルはC-O1のものであることが明ら
かにされているので、δH3.90はH-O1由来と推定した。H
-O1と2個の結合以内にあるカーボンはC-O2のみであ
り、δC82.1を与えるカーボン(すなわち、マンノシル
基が結合するマンニトール側のカーボン)は、C-O2と決
定された。従って、マンノシール基はマンニトールにα
-1,2 結合していることが、明らかになった。併せて、
δH4.05はH-O3由来であり、HSQC法からC-O3はδC69.9
にシグナルを与えることが、判明した。
【0055】以上の解析から、O3の構造を Gluα1→
6(Manα1→2)ManOH と決定した。この他の手法を
用い、全てのカーボンシグナルを帰属した。また、部分
的に決定されたプロトンシグナルも表1に示す。
【0056】
【表1】
【0057】4の構造解析3の構造解析とほぼ同様の手法を用いた。1H-NMRにお
いて二つのマンノシル基のアノメリックプロトンは、δ
H5.01を与えるマンノシル基(MAと略す)と、δH4.91を
与えるマンノシル基(MBと略す)を区別した。また、マ
ンニトールはOと略した。また、13C-NMRの結果より、
負を与えるCH2は4個であり(δC71.3、δC63.9、δC6
3.73、δC63.69)、C-MA6、C-MB6、C-O1およびC-O6の何
れかに由来する。
【0058】更に、HSQC-TOCSYによる構造解析を行っ
た。その結果を参考図4に示す。H-MA1はδC104.1の、H
-MA2はδC102.6のカーボンと相関し、δC104.1(C-MA
1)およびδC102.6(C-MB1)と決定された。DEPTのデー
タも考慮し、HSQC-TOCSY の結果をまとめると、MAのマ
ンノシル基のカーボンシグナルは、δC104.1(C-MA
1)、δC76.0、δC73.21、δC73.17、δC69.50、δC63.
71(C-MA6)である。MBは、δC102.6(C-MB1)、δC75.
5、δC73.5、δC72.8、δC69.55、δC63.69(C-MB6)と
なる。残りδC82.1、δC71.7、δC71.7、δC71.3(メチ
レンカーボン)、δC69.9、δC63.9(メチレンカーボ
ン)が、全てマンニトール由来のシグナルであるが、δ
C71.7にカーボンシグナルが二つ出現している。
【0059】プロトンからカーボン側へのシグナルを察
知するHMBC による構造解析方法で、H-MA1(δH5.01)
のマンニトール側の相関シグナルはδC82.1(C-O2、C-O
3あるいはC-O4)に出現したが、その結合位置は本手法
の解析だけでは求められない。H-MB1(δH4.91)の相関
シグナルδC71.3はマンニトールのメチレンカーボンで
あり、C-O1あるいはC-O6の何れかになる。C-O1は蛋白質
結合のため、MBはマンニトールの6位にα型で結合して
いることが決定された。残ったマンニトールのメチレン
カーボン(δC63.9)はC-O1由来である。
【0060】HMBCの逆の手法であるHMQC-COSY による構
造解析により、MAが結合するマンニトール側のカーボン
シグナル(δC82.1)について解析を行った。結果を参
考図5に示す。δC82.1から3個の相関シグナルが観察
された(δH4.04、δH3.92およびδH3.78)。δH3.78は
HSQC法でδC82.1のカーボンに直接結合するプロトンの
ものである。相関シグナルδH3.92を与えるプロトンは
δC63.9のカーボンに直接結合することが、HSQC法で示
されている。δC63.9のカーボンはC-O1のものであるの
で、δH3.92はH-O1のシグナルと推定した。H-O1と2個
の結合以内にあるカーボンはC-O2のみであり、δC82.1
を与えるカーボン(すなわち、MAが結合するマンニトー
ル側のカーボン)は、C-O2と決定された。従って、MAの
マンノシル基はマンニトールにα-1,2結合していること
が、明らかになった。併せて、δH4.04はH-O3由来であ
り、HSQC法からC-O3はδC69.9にシグナルを与えること
が判明した。
【0061】以上の解析から、O4は分岐した構造であ
る Manα1→6(Manα1→2)ManOHと決定した。解析
で帰属されたプロトンとカーボンシグナルを表2に示
す。
【0062】
【表2】
【0063】
【発明の効果】本発明により新規な糖鎖が提供される。
【図面の簡単な説明】
【図1】O3の構造を示す図である。
【図2】O4の構造を示す図である。

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】次式で示される新規な糖アルコール。 Xα1→6(Manα1→2)ManOH (但し、Xはグルコース又はマンノースを示し、Man
    はマンノースを示し、ManOHはマンニトールを示
    す。)
  2. 【請求項2】次式で示される新規な糖鎖。 Xα1→6(Manα1→2)Man (但し、Xはグルコース又はマンノースを示し、Man
    はマンノースを示す。)
  3. 【請求項3】α−グルコシダーゼより得られうる請求項
    1又は請求項2記載の新規な糖アルコール又は糖鎖。
  4. 【請求項4】α−グルコシダーゼがAspergillus niger
    由来である請求項3記載の新規な糖アルコール又は糖
    鎖。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2002051795A (ja) * 2000-08-08 2002-02-19 Unitika Ltd マンノース含有コプラミール又はパーム核ミールの製造法及びマンノース含有飼料の製造法

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JP2002051795A (ja) * 2000-08-08 2002-02-19 Unitika Ltd マンノース含有コプラミール又はパーム核ミールの製造法及びマンノース含有飼料の製造法

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