JPH1161785A - 防潮ゲート - Google Patents
防潮ゲートInfo
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- JPH1161785A JPH1161785A JP21508397A JP21508397A JPH1161785A JP H1161785 A JPH1161785 A JP H1161785A JP 21508397 A JP21508397 A JP 21508397A JP 21508397 A JP21508397 A JP 21508397A JP H1161785 A JPH1161785 A JP H1161785A
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- Japan
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- piston
- flap plate
- river
- double
- cylinder
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Abstract
(57)【要約】
【課題】 波による海水の水位の変動によってもフラッ
プ板が「ばたつく」ことのないようにする。 【解決手段】 河川Rと海Sとの境界部分に構築された
防波堤10の開口部に設置され、河川水の流水方向に直
交した方向に延びる回動軸3と、この回動軸3から垂下
して回動軸3に一体に固定され、かつ、上記開口部を塞
ぐフラップ板4とを備えて形成され、上記フラップ板4
は、上記回動軸3回りの一方向への回動で河川水の流水
方向に開くとともに、上記開口部を閉止した状態で他方
向への回動が阻止されるように構成された防潮ゲート1
において、上記回動軸3の軸心回りの回転に連動して動
作する緩衝機構5が設けられている。
プ板が「ばたつく」ことのないようにする。 【解決手段】 河川Rと海Sとの境界部分に構築された
防波堤10の開口部に設置され、河川水の流水方向に直
交した方向に延びる回動軸3と、この回動軸3から垂下
して回動軸3に一体に固定され、かつ、上記開口部を塞
ぐフラップ板4とを備えて形成され、上記フラップ板4
は、上記回動軸3回りの一方向への回動で河川水の流水
方向に開くとともに、上記開口部を閉止した状態で他方
向への回動が阻止されるように構成された防潮ゲート1
において、上記回動軸3の軸心回りの回転に連動して動
作する緩衝機構5が設けられている。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、河川と海との境界
部分に構築された防潮堤の切れ目部分や暗渠状の放水路
等に設置される防潮ゲートに関するものである。
部分に構築された防潮堤の切れ目部分や暗渠状の放水路
等に設置される防潮ゲートに関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、図9に示すような防潮ゲート10
0が知られている。この防潮ゲート100は、河川R
と、海Sとの境界部分に構築された防波堤200の開口
部に設けられ、防波堤200の切れ目で河川Rを横断し
たゲート本体101と、このゲート本体101の中央部
に貫設された通水口102と、この通水口102を開閉
自在に塞ぐフラップ板103とからなっている。上記ゲ
ート本体101は、これ自体が昇降可能に構成され、下
降したときには河川水が堰止められるとともに、上昇し
たときに河川水が海Sに向けて放流されるようになって
いる。
0が知られている。この防潮ゲート100は、河川R
と、海Sとの境界部分に構築された防波堤200の開口
部に設けられ、防波堤200の切れ目で河川Rを横断し
たゲート本体101と、このゲート本体101の中央部
に貫設された通水口102と、この通水口102を開閉
自在に塞ぐフラップ板103とからなっている。上記ゲ
ート本体101は、これ自体が昇降可能に構成され、下
降したときには河川水が堰止められるとともに、上昇し
たときに河川水が海Sに向けて放流されるようになって
いる。
【0003】上記フラップ板103は、上記通水口10
2の上部を流水方向に直交するように横断した回動軸1
04回りに回動自在に軸支され、回動軸104から垂下
して通水口102を閉止する垂下姿勢と、この垂下姿勢
から回動軸104回りに時計方向に回動して通水口10
2を開放する傾斜姿勢との間で自由に姿勢変更可能にな
っている。
2の上部を流水方向に直交するように横断した回動軸1
04回りに回動自在に軸支され、回動軸104から垂下
して通水口102を閉止する垂下姿勢と、この垂下姿勢
から回動軸104回りに時計方向に回動して通水口10
2を開放する傾斜姿勢との間で自由に姿勢変更可能にな
っている。
【0004】そして、ゲート本体101が下降した状態
で、図9の(イ)に示すように、河川Rの水位が海Sの
水位よりも高いときには、フラップ板103は、河川R
側の水圧による回動軸104回りの時計方向への回動よ
って傾斜姿勢になって開放され、これによって河川Rの
水が海Sに流下する一方、図9の(ロ)に示すように、
海Sの水位が河川Rの水位よりも高いときには、海S側
の水圧によって開いていたフラップ板103が回動軸1
04回りに反時計方向に回動し、垂下姿勢に設定されて
通水口102が閉止されるようになっている。こうする
ことで、海水の河川Rへの逆流を防止している。
で、図9の(イ)に示すように、河川Rの水位が海Sの
水位よりも高いときには、フラップ板103は、河川R
側の水圧による回動軸104回りの時計方向への回動よ
って傾斜姿勢になって開放され、これによって河川Rの
水が海Sに流下する一方、図9の(ロ)に示すように、
海Sの水位が河川Rの水位よりも高いときには、海S側
の水圧によって開いていたフラップ板103が回動軸1
04回りに反時計方向に回動し、垂下姿勢に設定されて
通水口102が閉止されるようになっている。こうする
ことで、海水の河川Rへの逆流を防止している。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】ところで、上記のよう
な従来の防潮ゲート100においては、図9の(ハ)に
示すように、海Sの水位と、河川Rの水位とが略同一水
位になっている状態では、海Sの表面水位は、打ち寄せ
る波によって変動するため、この水位の変動に煽られて
フラップ板103が短い周期で開閉する、いわゆる「ば
たつき」現象が発生し、度重なる「ばたつき」現象によ
ってフラップ板103が破損し、開閉不能になることが
多いという問題点を有していた。
な従来の防潮ゲート100においては、図9の(ハ)に
示すように、海Sの水位と、河川Rの水位とが略同一水
位になっている状態では、海Sの表面水位は、打ち寄せ
る波によって変動するため、この水位の変動に煽られて
フラップ板103が短い周期で開閉する、いわゆる「ば
たつき」現象が発生し、度重なる「ばたつき」現象によ
ってフラップ板103が破損し、開閉不能になることが
多いという問題点を有していた。
【0006】本発明は、上記のような問題点を解決する
ためになされたものであり、波による海水の水位の変動
によっても「ばたつく」ことのない防潮ゲートを提供す
ることを目的としている。
ためになされたものであり、波による海水の水位の変動
によっても「ばたつく」ことのない防潮ゲートを提供す
ることを目的としている。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明の請求項1記載の
防潮ゲートは、河川と海との境界部分に構築された防潮
堤の開口部に設置され、河川水の流水方向に直交した方
向に延びる回動軸と、この回動軸に一体に固定された、
上記開口部を塞ぐフラップ板とを備えて形成され、上記
フラップ板は、上記回動軸回りの一方向への回動で河川
水の流水方向に開くとともに、上記開口部を閉止した状
態で他方向への回動が阻止されるように構成された防潮
ゲートにおいて、上記回動軸の軸心回りの回転に連動し
て動作する緩衝機構が設けられていることを特徴とする
ものである。
防潮ゲートは、河川と海との境界部分に構築された防潮
堤の開口部に設置され、河川水の流水方向に直交した方
向に延びる回動軸と、この回動軸に一体に固定された、
上記開口部を塞ぐフラップ板とを備えて形成され、上記
フラップ板は、上記回動軸回りの一方向への回動で河川
水の流水方向に開くとともに、上記開口部を閉止した状
態で他方向への回動が阻止されるように構成された防潮
ゲートにおいて、上記回動軸の軸心回りの回転に連動し
て動作する緩衝機構が設けられていることを特徴とする
ものである。
【0008】この防潮ゲートによれば、河川側の水位が
海側の水位よりも高いときには、この水圧差によって河
川水がフラップ板を海側に押圧するため、フラップ板は
回動軸回りに海側に向けて回動して開放状態になり、こ
れによって河川水は海に放流される。また、逆に海側の
水位の方が河川側の水位よりも高いときには、この水圧
差によって海水がフラップ板を押圧するため、フラップ
板は回動軸回りに河川側に向けて回動し、これによりフ
ラップ板は閉止状態になって海水の河川への逆流が防止
される。
海側の水位よりも高いときには、この水圧差によって河
川水がフラップ板を海側に押圧するため、フラップ板は
回動軸回りに海側に向けて回動して開放状態になり、こ
れによって河川水は海に放流される。また、逆に海側の
水位の方が河川側の水位よりも高いときには、この水圧
差によって海水がフラップ板を押圧するため、フラップ
板は回動軸回りに河川側に向けて回動し、これによりフ
ラップ板は閉止状態になって海水の河川への逆流が防止
される。
【0009】そして、上記回動軸の軸心回りの回転に連
動して動作する緩衝機構が設けられているため、フラッ
プ板の開閉動作は回動軸を介して緩衝機構に伝達され、
この緩衝機構によって緩衝されて緩慢になり、従来のよ
うに緩衝機構が設けられていない場合には、圧力差によ
るフラップ板の開閉動作が鋭敏すぎることによって、海
の波による水位の昇降に鋭敏に対応してフラップ板が揺
動し、これによってフラップ板が「ばたつく」という不
都合が解消され、「ばたつき」に起因したフラップ板の
破損を防止する上で有効である。
動して動作する緩衝機構が設けられているため、フラッ
プ板の開閉動作は回動軸を介して緩衝機構に伝達され、
この緩衝機構によって緩衝されて緩慢になり、従来のよ
うに緩衝機構が設けられていない場合には、圧力差によ
るフラップ板の開閉動作が鋭敏すぎることによって、海
の波による水位の昇降に鋭敏に対応してフラップ板が揺
動し、これによってフラップ板が「ばたつく」という不
都合が解消され、「ばたつき」に起因したフラップ板の
破損を防止する上で有効である。
【0010】本発明の請求項2記載の防潮ゲートは、請
求項1記載の防潮ゲートにおいて、上記緩衝機構は、内
部に作動油が充填された複動シリンダと、この複動シリ
ンダ内を往復動するピストンと、このピストンに付設さ
れたピストンロッドと、上記ピストンの移動によってピ
ストンの一面側から複動シリンダ外に押し出された上記
作動油をピストンの他面側の複動シリンダ内に戻す油圧
管路とから構成され、上記回動軸の軸心回りの正逆回転
をピストンロッドの往復動に変換するように回動軸とピ
ストンロッドとの間に介設されるリンクアームが設けら
れていることを特徴とするものである。
求項1記載の防潮ゲートにおいて、上記緩衝機構は、内
部に作動油が充填された複動シリンダと、この複動シリ
ンダ内を往復動するピストンと、このピストンに付設さ
れたピストンロッドと、上記ピストンの移動によってピ
ストンの一面側から複動シリンダ外に押し出された上記
作動油をピストンの他面側の複動シリンダ内に戻す油圧
管路とから構成され、上記回動軸の軸心回りの正逆回転
をピストンロッドの往復動に変換するように回動軸とピ
ストンロッドとの間に介設されるリンクアームが設けら
れていることを特徴とするものである。
【0011】この防潮ゲートによれば、フラップ板が回
動軸回りに回動すると、この回動動作は、回動軸、リン
クアームおよびピストンロッドを介してピストンに伝達
され、これによってピストンは、複動シリンダ内を移動
するため、複動シリンダ内のピストンの一面側の作動油
は、油圧管路に吐出されて油圧管路内を通ってピストン
の他面側に戻され、この作動油の油圧管路内の流通によ
る抵抗によってピストンの運動は緩衝される。この緩衝
作用は逆にピストンロッド、リンクアームおよび回動軸
を介してフラップ板に伝達され、これによってフラップ
板は開閉速度の速くなることが抑制されて緩慢になる。
動軸回りに回動すると、この回動動作は、回動軸、リン
クアームおよびピストンロッドを介してピストンに伝達
され、これによってピストンは、複動シリンダ内を移動
するため、複動シリンダ内のピストンの一面側の作動油
は、油圧管路に吐出されて油圧管路内を通ってピストン
の他面側に戻され、この作動油の油圧管路内の流通によ
る抵抗によってピストンの運動は緩衝される。この緩衝
作用は逆にピストンロッド、リンクアームおよび回動軸
を介してフラップ板に伝達され、これによってフラップ
板は開閉速度の速くなることが抑制されて緩慢になる。
【0012】このように作動油の油圧管路内の流通によ
って緩衝効果を得るようにしているため、緩衝機構とし
て機械的な制動機構を利用した場合、制動部材同士の摺
接による摩耗によって緩衝機構が破損し易くなるという
不都合が回避され、緩衝機構を長期間に亘って確実に機
能させる上で有効である。
って緩衝効果を得るようにしているため、緩衝機構とし
て機械的な制動機構を利用した場合、制動部材同士の摺
接による摩耗によって緩衝機構が破損し易くなるという
不都合が回避され、緩衝機構を長期間に亘って確実に機
能させる上で有効である。
【0013】本発明の請求項3記載の防潮ゲートは、請
求項2記載の防潮ゲートにおいて、上記ピストンは、シ
リンダ内の移動によりピストンを境にしたシリンダ内の
一方の作動油がシリンダ内の他方に移動するように構成
されていることを特徴とするものである。
求項2記載の防潮ゲートにおいて、上記ピストンは、シ
リンダ内の移動によりピストンを境にしたシリンダ内の
一方の作動油がシリンダ内の他方に移動するように構成
されていることを特徴とするものである。
【0014】この防潮ゲートによれば、ピストンを境に
した複動シリンダ内の一方側の作動油は、その一部がピ
ストンの移動によって複動シリンダ内の他方側に移り、
作動油が油圧管路のみを流通する場合に比べて緩衝機構
の緩衝作用が緩やかなものになる。
した複動シリンダ内の一方側の作動油は、その一部がピ
ストンの移動によって複動シリンダ内の他方側に移り、
作動油が油圧管路のみを流通する場合に比べて緩衝機構
の緩衝作用が緩やかなものになる。
【0015】このようなピストンは、その外周面と複動
シリンダの内周面との間を僅かな量の作動油が流通し得
るように外径寸法を複動シリンダの内径寸法より若干小
さく寸法設定したり、ピストンに小さな貫通孔を設ける
ことによって得ることができる。なお、ピストンの外径
寸法を複動シリンダの内径寸法より若干小さく寸法設定
すれば、ピストンの外周面と複動シリンダの内周面とが
直接接触しないことにより、ピストンおよび複動シリン
ダの摩耗が回避され、その分緩衝機構の寿命を延長させ
ることが可能になる。
シリンダの内周面との間を僅かな量の作動油が流通し得
るように外径寸法を複動シリンダの内径寸法より若干小
さく寸法設定したり、ピストンに小さな貫通孔を設ける
ことによって得ることができる。なお、ピストンの外径
寸法を複動シリンダの内径寸法より若干小さく寸法設定
すれば、ピストンの外周面と複動シリンダの内周面とが
直接接触しないことにより、ピストンおよび複動シリン
ダの摩耗が回避され、その分緩衝機構の寿命を延長させ
ることが可能になる。
【0016】本発明の請求項4記載の防潮ゲートは、請
求項2または3記載の防潮ゲートにおいて、上記油圧管
路には、絞り弁と、この絞り弁に並設された逆止弁とが
設けられ、上記逆止弁は、上記フラップ板が開く方向に
上記回動軸回りに共回りしたときに上記作動油の流通が
規制されるように方向設定されていることを特徴とする
ものである。
求項2または3記載の防潮ゲートにおいて、上記油圧管
路には、絞り弁と、この絞り弁に並設された逆止弁とが
設けられ、上記逆止弁は、上記フラップ板が開く方向に
上記回動軸回りに共回りしたときに上記作動油の流通が
規制されるように方向設定されていることを特徴とする
ものである。
【0017】この防潮ゲートによれば、絞り弁によって
作動油の油圧管路流通の抵抗が大きくなり、その分緩衝
作用を大きくすることができる。また、フラップ板が開
放されるときには、絞り弁に並設された逆止弁が閉止さ
れるため、作動油の流通抵抗が大きくなり、その分フラ
ップ板の開放速度が遅くなる。
作動油の油圧管路流通の抵抗が大きくなり、その分緩衝
作用を大きくすることができる。また、フラップ板が開
放されるときには、絞り弁に並設された逆止弁が閉止さ
れるため、作動油の流通抵抗が大きくなり、その分フラ
ップ板の開放速度が遅くなる。
【0018】従って、海側の水位と、河川側の水位とが
略同一高さレベルになったときには、海側の水位は打ち
寄せる波によって平均的な水位を中心として小きざみに
上下する状態になり、波頭が河川側の水位よりも下がっ
たときには、フラップ板は水圧差によって開放する方向
に力を受けるが、上記逆止弁によってフラップ板は開き
難くなっており、開き始めるまでに波頭が河川側の水位
を越えた状態になり、これが繰り返されることによって
フラップ板は開放しない状態が維持され、フラップ板の
「ばたつき」が確実に防止される。
略同一高さレベルになったときには、海側の水位は打ち
寄せる波によって平均的な水位を中心として小きざみに
上下する状態になり、波頭が河川側の水位よりも下がっ
たときには、フラップ板は水圧差によって開放する方向
に力を受けるが、上記逆止弁によってフラップ板は開き
難くなっており、開き始めるまでに波頭が河川側の水位
を越えた状態になり、これが繰り返されることによって
フラップ板は開放しない状態が維持され、フラップ板の
「ばたつき」が確実に防止される。
【0019】
【発明の実施の形態】図1は、本発明に係る防潮ゲート
1の一実施形態を示す斜視図であり、図2は防潮ゲート
1のフラップ板4の一実施形態を示す一部切欠き斜視図
である。また、図3は、図1のA−A線断面図であり、
図4は、図2のB−B線断面図である。なお、これらの
図において、X−X方向を幅方向、Y−Y方向を流水方
向といい、特に−X方向を左方、+X方向を右方、−Y
方向を下流方向または海側、+Y方向を上流方向または
河川側という。
1の一実施形態を示す斜視図であり、図2は防潮ゲート
1のフラップ板4の一実施形態を示す一部切欠き斜視図
である。また、図3は、図1のA−A線断面図であり、
図4は、図2のB−B線断面図である。なお、これらの
図において、X−X方向を幅方向、Y−Y方向を流水方
向といい、特に−X方向を左方、+X方向を右方、−Y
方向を下流方向または海側、+Y方向を上流方向または
河川側という。
【0020】まず、図1に示すように、防波堤10は、
河口において河川Rを横断するように構築され、この防
波堤10の一部が上方から川底まで切り欠かれた状態で
切れ目11が形成されている。そして、上記防潮ゲート
1は、この切れ目11の幅方向の対向面に立設された一
対の堰柱12間に嵌め込まれた状態で図略の駆動機構の
駆動によって昇降可能に防波堤10に付設されている。
そして、本実施形態においては、防潮ゲート1は、幅方
向両側部にローラが設けられたいわゆるローラゲートと
通称されるものが採用されている。
河口において河川Rを横断するように構築され、この防
波堤10の一部が上方から川底まで切り欠かれた状態で
切れ目11が形成されている。そして、上記防潮ゲート
1は、この切れ目11の幅方向の対向面に立設された一
対の堰柱12間に嵌め込まれた状態で図略の駆動機構の
駆動によって昇降可能に防波堤10に付設されている。
そして、本実施形態においては、防潮ゲート1は、幅方
向両側部にローラが設けられたいわゆるローラゲートと
通称されるものが採用されている。
【0021】このような防潮ゲート1は、中央部に開口
部20の貫設された、上記堰柱12間を塞ぎ、かつ、中
央部に開口部20を塞ぐゲート本体2と、このゲート本
体2の開口部20に付設された回動軸3と、この回動軸
3と軸心回りに共回り可能に設けられ、かつ、上記開口
部20を開閉するフラップ板4と、このフラップ板4の
開閉動作を緩衝する緩衝機構5とを備えた基本構成を有
している。
部20の貫設された、上記堰柱12間を塞ぎ、かつ、中
央部に開口部20を塞ぐゲート本体2と、このゲート本
体2の開口部20に付設された回動軸3と、この回動軸
3と軸心回りに共回り可能に設けられ、かつ、上記開口
部20を開閉するフラップ板4と、このフラップ板4の
開閉動作を緩衝する緩衝機構5とを備えた基本構成を有
している。
【0022】上記ゲート本体2は、図3に示すように、
下流側に設けられた下流桁21と、上流側に設けられた
上流桁22と、下流桁21および上流桁22の上縁部間
に架橋されて上部を覆う天井壁23と、下流桁21およ
び上流桁22の下部間に架橋されて底部を覆う底板24
と、幅方向の両側部を覆う一対の外側壁25(図1)
と、上下方向の中央部よりも上方に寄った部分の下流桁
21および上流桁22間に架橋された床板26と、上記
底板24およ床板26間に設けられた幅方向一対の内側
壁27とから構成されている。
下流側に設けられた下流桁21と、上流側に設けられた
上流桁22と、下流桁21および上流桁22の上縁部間
に架橋されて上部を覆う天井壁23と、下流桁21およ
び上流桁22の下部間に架橋されて底部を覆う底板24
と、幅方向の両側部を覆う一対の外側壁25(図1)
と、上下方向の中央部よりも上方に寄った部分の下流桁
21および上流桁22間に架橋された床板26と、上記
底板24およ床板26間に設けられた幅方向一対の内側
壁27とから構成されている。
【0023】上記下流桁21および上流桁22は、上記
底板24、床板26および一対の内側壁27が設けられ
た位置に内縁部が対応するように貫設された貫通窓20
aを有しており、これら一対の貫通窓20aと、底板2
4と、床板26と、一対の内側壁27とでゲート本体2
の上記開口部20が形成されている。そして、この開口
部20は、防潮ゲート1が下降して堰柱12間が閉じら
れた状態で、少なくとも開口部20の下端部分が河川R
に水没するように設置位置が設定されている。
底板24、床板26および一対の内側壁27が設けられ
た位置に内縁部が対応するように貫設された貫通窓20
aを有しており、これら一対の貫通窓20aと、底板2
4と、床板26と、一対の内側壁27とでゲート本体2
の上記開口部20が形成されている。そして、この開口
部20は、防潮ゲート1が下降して堰柱12間が閉じら
れた状態で、少なくとも開口部20の下端部分が河川R
に水没するように設置位置が設定されている。
【0024】また、上記一対の外側壁25は、図1およ
び図3に示すように、下端縁部が海Sの方向に向かって
先下がりに傾斜され、これによって各外側壁25の下流
側端縁に上下長の全長に亘って固定されている下流桁2
1の下端縁部が線接触状態で水底に接触するようになっ
ている。そして、このような下流桁21の下端縁部には
幅方向に延びるシール部材21aが設けられている一
方、水底には上面がこのシール部材21aに対応するよ
うにH型鋼21bが埋設され、防潮ゲート1が下降した
状態でシール部材21aの下端縁部がH型鋼21bの上
面に当止することによってこの部分での水漏れが防止さ
れるようにしている。
び図3に示すように、下端縁部が海Sの方向に向かって
先下がりに傾斜され、これによって各外側壁25の下流
側端縁に上下長の全長に亘って固定されている下流桁2
1の下端縁部が線接触状態で水底に接触するようになっ
ている。そして、このような下流桁21の下端縁部には
幅方向に延びるシール部材21aが設けられている一
方、水底には上面がこのシール部材21aに対応するよ
うにH型鋼21bが埋設され、防潮ゲート1が下降した
状態でシール部材21aの下端縁部がH型鋼21bの上
面に当止することによってこの部分での水漏れが防止さ
れるようにしている。
【0025】上記回動軸3は、図1および図2に示すよ
うに、その両側部が幅方向一対の内側壁27に貫通され
た状態で開口部20内の下流側上部に幅方向に延びるよ
うに配設されている。この回動軸3は、内部が中空の外
筒31と、この外筒31の両端部に一部が内嵌された状
態で残部が外方に突出した同心の軸体32とから構成さ
れている。これら外筒31と軸体32とは、溶接その他
によって一体に結合されており、これによって自軸心回
りに共回りし得るようになっている。なお、ゲート本体
2が小規模のものである場合には、内部が中空の外筒3
1に代えて、中実の棒状体を採用してもよい。
うに、その両側部が幅方向一対の内側壁27に貫通され
た状態で開口部20内の下流側上部に幅方向に延びるよ
うに配設されている。この回動軸3は、内部が中空の外
筒31と、この外筒31の両端部に一部が内嵌された状
態で残部が外方に突出した同心の軸体32とから構成さ
れている。これら外筒31と軸体32とは、溶接その他
によって一体に結合されており、これによって自軸心回
りに共回りし得るようになっている。なお、ゲート本体
2が小規模のものである場合には、内部が中空の外筒3
1に代えて、中実の棒状体を採用してもよい。
【0026】一方、上記各内側壁27には対応した軸体
32を摺接状態で貫通させる支持孔27aがそれぞれ穿
設され、各軸体32がこれらの支持孔27aに嵌入され
ることによって回動軸3が一対の内側壁27間に自軸心
回りに回動自在に支持されるようになっている。そし
て、支持孔27a周りの内側壁27の外壁面には軸体3
2を支持する筒状の軸受部材27bがボルト止め等によ
って固定され、各軸体32がこれらの軸受部材27bに
軸支されることによって回動軸3の支持状態を安定させ
るようにしている。
32を摺接状態で貫通させる支持孔27aがそれぞれ穿
設され、各軸体32がこれらの支持孔27aに嵌入され
ることによって回動軸3が一対の内側壁27間に自軸心
回りに回動自在に支持されるようになっている。そし
て、支持孔27a周りの内側壁27の外壁面には軸体3
2を支持する筒状の軸受部材27bがボルト止め等によ
って固定され、各軸体32がこれらの軸受部材27bに
軸支されることによって回動軸3の支持状態を安定させ
るようにしている。
【0027】そして、軸受部材27bと内側壁27との
間には図略のゴム製のガスケットが介設されているとと
もに、軸受部材27bの内周面には軸体32の外周面に
摺接する環状の図略のオイルシールが上記ガスケットに
当接するように装着され、これによって水がゲート本体
2内に侵入するのを防止している。また、軸受部材27
bの内周面の適所には図略のブッシュ(メタル軸受)が
設けられ、このブッシュの潤滑作用によって軸受部材2
7bに軸支された軸体27の軸心回りの回転が円滑に行
われるようにしている。
間には図略のゴム製のガスケットが介設されているとと
もに、軸受部材27bの内周面には軸体32の外周面に
摺接する環状の図略のオイルシールが上記ガスケットに
当接するように装着され、これによって水がゲート本体
2内に侵入するのを防止している。また、軸受部材27
bの内周面の適所には図略のブッシュ(メタル軸受)が
設けられ、このブッシュの潤滑作用によって軸受部材2
7bに軸支された軸体27の軸心回りの回転が円滑に行
われるようにしている。
【0028】上記フラップ板4は、上記開口部20の開
口面積よりも若干小さい面積を有する平板状の板体41
と、この板体41の幅方向両側端縁に下流側に向かって
突設された側縁部材42と、上記板体41の下端縁に下
流側に向かって突設された水平方向に延びる下端縁部材
43と、この下端縁部材43に幅方向所定ピッチで立設
された複数本の補強部材44とを備えて形成されてい
る。上記補強部材44は、溶接止めその他で上記板体4
1に固定されている。このようなフラップ板4は、その
上縁部が上記外筒31に溶接止めによって固定され、こ
れによって回動軸3の軸心回りに回動軸3と共回りする
ようになっている。
口面積よりも若干小さい面積を有する平板状の板体41
と、この板体41の幅方向両側端縁に下流側に向かって
突設された側縁部材42と、上記板体41の下端縁に下
流側に向かって突設された水平方向に延びる下端縁部材
43と、この下端縁部材43に幅方向所定ピッチで立設
された複数本の補強部材44とを備えて形成されてい
る。上記補強部材44は、溶接止めその他で上記板体4
1に固定されている。このようなフラップ板4は、その
上縁部が上記外筒31に溶接止めによって固定され、こ
れによって回動軸3の軸心回りに回動軸3と共回りする
ようになっている。
【0029】また、フラップ板4は、上流側の面の上下
縁部に上下方向一対の幅方向に延びるシール部材45が
付設されている一方、上記底板24および床板26に
は、上記各シール部材45に対応した幅方向に延びる突
出縁部28が開口部20内に向かって突設され、これに
よってフラップ板4が外筒31から垂下した垂下姿勢に
設定された状態で各シール部材45がそれぞれ対応した
突出縁部28に当接してフラップ板4による開口部20
の閉止が確実に行われるようにしている。
縁部に上下方向一対の幅方向に延びるシール部材45が
付設されている一方、上記底板24および床板26に
は、上記各シール部材45に対応した幅方向に延びる突
出縁部28が開口部20内に向かって突設され、これに
よってフラップ板4が外筒31から垂下した垂下姿勢に
設定された状態で各シール部材45がそれぞれ対応した
突出縁部28に当接してフラップ板4による開口部20
の閉止が確実に行われるようにしている。
【0030】図5は、緩衝機構5の一実施形態を示す側
面視の断面図である。この図および図2〜図3に示すよ
うに、上記緩衝機構5は、ゲート本体2の床板26上に
流水方向と平行に据え付けられた油圧シリンダ装置51
と、この油圧シリンダ装置51に並設された逆流抑制手
段56とを備えた基本構成を有している。
面視の断面図である。この図および図2〜図3に示すよ
うに、上記緩衝機構5は、ゲート本体2の床板26上に
流水方向と平行に据え付けられた油圧シリンダ装置51
と、この油圧シリンダ装置51に並設された逆流抑制手
段56とを備えた基本構成を有している。
【0031】上記油圧シリンダ装置51は、複動シリン
ダ52と、この複動シリンダ52内を往復動するピスト
ン53と、このピストン53に同心で固定されて複動シ
リンダ52の両側部から外方に突出したピストンロッド
54とからなっている。上記複動シリンダ52は、ピス
トン53を挟んで両側に作動油が装填されたタイプのシ
リンダであり、ピストン53がいずれの方向に移動して
も複動シリンダ52内の作動油が吐出されるようになっ
ている。
ダ52と、この複動シリンダ52内を往復動するピスト
ン53と、このピストン53に同心で固定されて複動シ
リンダ52の両側部から外方に突出したピストンロッド
54とからなっている。上記複動シリンダ52は、ピス
トン53を挟んで両側に作動油が装填されたタイプのシ
リンダであり、ピストン53がいずれの方向に移動して
も複動シリンダ52内の作動油が吐出されるようになっ
ている。
【0032】そして、このような複動シリンダ52は、
床板26上に立設された幅方向一対のブラケット52a
に、支持軸52b回りに回動自在に支持され、これによ
って床板26上に据え付けられた状態になっている。ま
た、ピストン53は、その径寸法が複動シリンダ52の
内径寸法よりも相当小さく寸法設定され、これによって
ピストン53の外周面と複動シリンダ52の内周面との
間に環状隙間52cが形成されるようになっている。
床板26上に立設された幅方向一対のブラケット52a
に、支持軸52b回りに回動自在に支持され、これによ
って床板26上に据え付けられた状態になっている。ま
た、ピストン53は、その径寸法が複動シリンダ52の
内径寸法よりも相当小さく寸法設定され、これによって
ピストン53の外周面と複動シリンダ52の内周面との
間に環状隙間52cが形成されるようになっている。
【0033】また、上記ピストンロッド54の上流側先
端部と、上記回動軸3の左方の軸体32との間にはリン
クアーム59が介設されている。このリンクアーム59
の下端部は、上記軸体32に摺接状態で外嵌されて軸体
32回りに回動自在になっているとともに、同上端部は
上記ピストンロッド54の下流側端部に連結軸59a回
りに回動自在に連結され、軸体32が軸心回りに正逆回
動することによってリンクアーム59が軸体32回りに
揺動してピストン53がピストンロッド54を介して複
動シリンダ52内で往復動するようになっている。
端部と、上記回動軸3の左方の軸体32との間にはリン
クアーム59が介設されている。このリンクアーム59
の下端部は、上記軸体32に摺接状態で外嵌されて軸体
32回りに回動自在になっているとともに、同上端部は
上記ピストンロッド54の下流側端部に連結軸59a回
りに回動自在に連結され、軸体32が軸心回りに正逆回
動することによってリンクアーム59が軸体32回りに
揺動してピストン53がピストンロッド54を介して複
動シリンダ52内で往復動するようになっている。
【0034】また、上記複動シリンダ52の両側部には
油圧管路55の各端部が接続されている。この油圧管路
55は、油圧シリンダ装置51の下流端に接続された下
流側管路55aと、同上流端に接続された上流側管路5
5bとからなっている。そして、油圧管路55の中央部
であってこれら両管路55a,55b間には、上記逆流
抑制手段56が設けられている。この逆流抑制手段56
は、可変絞り弁57と逆止弁58とが並設されてなり、
複動シリンダ52からの作動油が、油圧管路55を通っ
て可変絞り弁57および逆止弁58の双方に供給される
ようになっている。
油圧管路55の各端部が接続されている。この油圧管路
55は、油圧シリンダ装置51の下流端に接続された下
流側管路55aと、同上流端に接続された上流側管路5
5bとからなっている。そして、油圧管路55の中央部
であってこれら両管路55a,55b間には、上記逆流
抑制手段56が設けられている。この逆流抑制手段56
は、可変絞り弁57と逆止弁58とが並設されてなり、
複動シリンダ52からの作動油が、油圧管路55を通っ
て可変絞り弁57および逆止弁58の双方に供給される
ようになっている。
【0035】そして、本発明においては、上記逆止弁5
8は、下流側管路55aからの作動油を通過させるが、
上流側管路55bからの作動油の通過を阻止するように
方向設定されて設けられている。従って、ピストン53
が下流側に向かって移動する場合には下流側管路55a
を通った複動シリンダ52からの作動油は逆止弁58お
よび可変絞り弁57の双方を通過して、上流側管路55
bを通って複動シリンダ52に戻されるのに対し、ピス
トン53が上流側に向かって移動する場合には、上流側
管路55bを通った複動シリンダ52からの作動油は、
逆流抑制手段56において逆止弁58の通過を阻止さ
れ、可変絞り弁57のみを通って複動シリンダ52に戻
される。従って、ピストン53は、下流側への移動に比
べて上流側への移動抵抗が大きくなっている。
8は、下流側管路55aからの作動油を通過させるが、
上流側管路55bからの作動油の通過を阻止するように
方向設定されて設けられている。従って、ピストン53
が下流側に向かって移動する場合には下流側管路55a
を通った複動シリンダ52からの作動油は逆止弁58お
よび可変絞り弁57の双方を通過して、上流側管路55
bを通って複動シリンダ52に戻されるのに対し、ピス
トン53が上流側に向かって移動する場合には、上流側
管路55bを通った複動シリンダ52からの作動油は、
逆流抑制手段56において逆止弁58の通過を阻止さ
れ、可変絞り弁57のみを通って複動シリンダ52に戻
される。従って、ピストン53は、下流側への移動に比
べて上流側への移動抵抗が大きくなっている。
【0036】以下、本発明の作用について図6を基に説
明する。図6は、本発明の作用を説明するための側面断
面視の説明図であり、(イ)は防潮ゲートを境にして河
川側の水位が海側の水位より高い状態、(ロ)は防潮ゲ
ートを境にして海側の水位が河川側の水位より高い状
態、(ハ)は防潮ゲートを境にして海側と河川側との水
位が略同一である状態をそれぞれ示している。
明する。図6は、本発明の作用を説明するための側面断
面視の説明図であり、(イ)は防潮ゲートを境にして河
川側の水位が海側の水位より高い状態、(ロ)は防潮ゲ
ートを境にして海側の水位が河川側の水位より高い状
態、(ハ)は防潮ゲートを境にして海側と河川側との水
位が略同一である状態をそれぞれ示している。
【0037】まず、図6の(イ)に示す状態では、河川
Rの水位が海Sの水位よりも高いため、フラップ板4に
加わる水圧は、河川R側のものの方が海S側のものより
大きくなっており、これによってフラップ板4は回動軸
3回りに時計方向に回動して開放状態になり、河川Rの
水が海Sに放流される。
Rの水位が海Sの水位よりも高いため、フラップ板4に
加わる水圧は、河川R側のものの方が海S側のものより
大きくなっており、これによってフラップ板4は回動軸
3回りに時計方向に回動して開放状態になり、河川Rの
水が海Sに放流される。
【0038】そして、フラップ板4が回動軸3回りに時
計方向に回動するに際しては、複動シリンダ52内のピ
ストン53(図5)が、リンクアーム59およびピスト
ンロッド54を介して右方に移動し、これによって複動
シリンダ52内の作動油が上流側管路55bを通って逆
流抑制手段56に供給されるが、このとき逆流抑制手段
56に設けられた逆止弁58は閉止されるため、作動油
は可変絞り弁57のみを通過して複動シリンダ52に戻
され、可変絞り弁57による緩衝作用でピストン53は
緩やかに移動し、フラップ板4の開放動作は緩やかに行
われることになる。
計方向に回動するに際しては、複動シリンダ52内のピ
ストン53(図5)が、リンクアーム59およびピスト
ンロッド54を介して右方に移動し、これによって複動
シリンダ52内の作動油が上流側管路55bを通って逆
流抑制手段56に供給されるが、このとき逆流抑制手段
56に設けられた逆止弁58は閉止されるため、作動油
は可変絞り弁57のみを通過して複動シリンダ52に戻
され、可変絞り弁57による緩衝作用でピストン53は
緩やかに移動し、フラップ板4の開放動作は緩やかに行
われることになる。
【0039】従って、フラップ板4の開放動作時に、開
放動作が速すぎることに起因したフラップ板4の回動軸
3回りの揺動、すなわち「ばたつき」の生じることが確
実に防止される。
放動作が速すぎることに起因したフラップ板4の回動軸
3回りの揺動、すなわち「ばたつき」の生じることが確
実に防止される。
【0040】ついで、図6の(ロ)に示す状態では、上
記とは逆に海Sの水位の方が河川Rの水位よりも高くな
っているため、フラップ板4に加わる水圧は、海S側の
ものの方が河川R側のものより大きくなっており、これ
によってフラップ板4は、図6の(イ)に示す状態から
回動軸3回りに反時計方向に回動して閉止状態になり、
海Sの水が河川Rに逆流するのが防止される。
記とは逆に海Sの水位の方が河川Rの水位よりも高くな
っているため、フラップ板4に加わる水圧は、海S側の
ものの方が河川R側のものより大きくなっており、これ
によってフラップ板4は、図6の(イ)に示す状態から
回動軸3回りに反時計方向に回動して閉止状態になり、
海Sの水が河川Rに逆流するのが防止される。
【0041】そして、フラップ板4が回動軸3回りに反
時計方向に回動するに際しては、複動シリンダ52内の
ピストン53(図5)が、リンクアーム59およびピス
トンロッド54を介して左方に移動し、これによって複
動シリンダ52内の作動油が上流側管路55bを通って
逆流抑制手段56に供給されるが、このとき逆流抑制手
段56に設けられた逆止弁58は開通されるため、作動
油は逆止弁58および可変絞り弁57の双方を通過して
複動シリンダ52に戻され、これによってピストン53
は速やかに移動し、フラップ板4の閉止動作は速やかに
行われることになる。
時計方向に回動するに際しては、複動シリンダ52内の
ピストン53(図5)が、リンクアーム59およびピス
トンロッド54を介して左方に移動し、これによって複
動シリンダ52内の作動油が上流側管路55bを通って
逆流抑制手段56に供給されるが、このとき逆流抑制手
段56に設けられた逆止弁58は開通されるため、作動
油は逆止弁58および可変絞り弁57の双方を通過して
複動シリンダ52に戻され、これによってピストン53
は速やかに移動し、フラップ板4の閉止動作は速やかに
行われることになる。
【0042】従って、フラップ板4の閉止動作時に、閉
止動作が遅すぎることによって多くの海水が河川Rに逆
流するという不都合を極力回避することが可能になる。
また、海Sの水位が河川Rの水位よりも高いときには、
水圧差でフラップ板4は常に閉止された状態になってい
るため、この状態での海水の水位変動によってはフラッ
プ板4が開放することはなく、従ってフラップ板4の
「ばたつき」は生じない。
止動作が遅すぎることによって多くの海水が河川Rに逆
流するという不都合を極力回避することが可能になる。
また、海Sの水位が河川Rの水位よりも高いときには、
水圧差でフラップ板4は常に閉止された状態になってい
るため、この状態での海水の水位変動によってはフラッ
プ板4が開放することはなく、従ってフラップ板4の
「ばたつき」は生じない。
【0043】そして、図6の(ハ)に示す状態、すなわ
ち海Sの水位と河川Rの水位とが略拮抗している状態で
は、海Sと河川Rとの間の水位差は、海S側の波によっ
て常に変動した状態になっており、従来のフラップ板に
おいてはこのときに「ばたつき」が最も生じやすい状態
になっている。しかしながら本発明においては、フラッ
プ板4の開閉動作は、回動軸3、リンクアーム59およ
びピストンロッド54を介して緩衝機構5に伝えられ、
この緩衝機構5の緩衝作用によってフラップ板4の開閉
動作が緩慢に行われるようになっているため、フラップ
板4の「ばたつき」が有効に抑止される。
ち海Sの水位と河川Rの水位とが略拮抗している状態で
は、海Sと河川Rとの間の水位差は、海S側の波によっ
て常に変動した状態になっており、従来のフラップ板に
おいてはこのときに「ばたつき」が最も生じやすい状態
になっている。しかしながら本発明においては、フラッ
プ板4の開閉動作は、回動軸3、リンクアーム59およ
びピストンロッド54を介して緩衝機構5に伝えられ、
この緩衝機構5の緩衝作用によってフラップ板4の開閉
動作が緩慢に行われるようになっているため、フラップ
板4の「ばたつき」が有効に抑止される。
【0044】特に、緩衝機構5は、逆止弁58の採用で
フラップ板4を開放する場合の緩衝力が大きくなるよう
にしているため、海S側の波高さが瞬間的に河川Rの水
位よりも低くなり、これによって河川水がフラップ板4
を開放して海Sに流れ出ようとしても、フラップ板4の
開放速度は緩慢であり、フラップ板4が開放するまでに
波高さが河川Rの水位よりも高くなってフラップ板4の
開放は抑止され、結局、海水の平均水位と河川水の水位
とが略同一レベルのときにはフラップ板4は閉止状態が
維持されて「ばたつき」を確実に防止することができ
る。
フラップ板4を開放する場合の緩衝力が大きくなるよう
にしているため、海S側の波高さが瞬間的に河川Rの水
位よりも低くなり、これによって河川水がフラップ板4
を開放して海Sに流れ出ようとしても、フラップ板4の
開放速度は緩慢であり、フラップ板4が開放するまでに
波高さが河川Rの水位よりも高くなってフラップ板4の
開放は抑止され、結局、海水の平均水位と河川水の水位
とが略同一レベルのときにはフラップ板4は閉止状態が
維持されて「ばたつき」を確実に防止することができ
る。
【0045】そして、本実施形態においては、ピストン
53の外径寸法は、複動シリンダ52の内径寸法よりも
所定寸法だけ小さく寸法設定され、これによってピスト
ン53と複動シリンダ52との間に作動油が通過し得る
環状隙間52cが形成されているため、ピストン53の
往復動に際して作動油の一部が上記油圧管路55に供給
されることなくこの環状隙間52cを通ってピストン5
3を挟んだ一方のシリンダ室から他方のシリンダ室に移
動し、この移動によって緩衝機構5の緩衝作用を適切な
ものにすることができる。
53の外径寸法は、複動シリンダ52の内径寸法よりも
所定寸法だけ小さく寸法設定され、これによってピスト
ン53と複動シリンダ52との間に作動油が通過し得る
環状隙間52cが形成されているため、ピストン53の
往復動に際して作動油の一部が上記油圧管路55に供給
されることなくこの環状隙間52cを通ってピストン5
3を挟んだ一方のシリンダ室から他方のシリンダ室に移
動し、この移動によって緩衝機構5の緩衝作用を適切な
ものにすることができる。
【0046】また、可変絞り弁57は、弁の開度を任意
に調節することができるため、状況に応じて弁開度を調
節することにより緩衝作用の強さを常に適切なものにす
ることができ、緩衝機構5は汎用性に富んだものになっ
ている。
に調節することができるため、状況に応じて弁開度を調
節することにより緩衝作用の強さを常に適切なものにす
ることができ、緩衝機構5は汎用性に富んだものになっ
ている。
【0047】図7は、本発明に係る防潮ゲート1aの他
の実施形態を示す側面視の断面図であり、図8はそのC
線矢視図である。これらの図に示すように、この実施形
態においては、防潮ゲート1aは、河川Rと海Sとの境
界部分に構築された防波堤10の暗渠S1の海S側に直
接設けられている。この防潮ゲート1aは、暗渠S1の
海側開口部S2の上縁部外方に突設された軸受部材30
と、この軸受部材30に軸心回りに回動自在に軸支され
た上記同様の回動軸3と、この回動軸3に固定された上
記同様のフラップ板4と、回動軸3の若干上方であって
防波堤10の海側の面に設けられた緩衝機構5とから構
成されている。
の実施形態を示す側面視の断面図であり、図8はそのC
線矢視図である。これらの図に示すように、この実施形
態においては、防潮ゲート1aは、河川Rと海Sとの境
界部分に構築された防波堤10の暗渠S1の海S側に直
接設けられている。この防潮ゲート1aは、暗渠S1の
海側開口部S2の上縁部外方に突設された軸受部材30
と、この軸受部材30に軸心回りに回動自在に軸支され
た上記同様の回動軸3と、この回動軸3に固定された上
記同様のフラップ板4と、回動軸3の若干上方であって
防波堤10の海側の面に設けられた緩衝機構5とから構
成されている。
【0048】上記緩衝機構5は、油圧シリンダ装置51
と逆流抑制手段56とから構成されることについても上
記同様であるが、油圧シリンダ装置51の複動シリンダ
52は、ブラケット52aに水平方向に延びる支持軸5
2b回りに回動自在に、かつ、上下方向に延びるように
支持されている。
と逆流抑制手段56とから構成されることについても上
記同様であるが、油圧シリンダ装置51の複動シリンダ
52は、ブラケット52aに水平方向に延びる支持軸5
2b回りに回動自在に、かつ、上下方向に延びるように
支持されている。
【0049】そして、この複動シリンダ52からはピス
トンロッド54が下方に向かうように突設され、その下
端部がリンクアーム59を介して上記回動軸3に連結さ
れ、ピストンロッド54は、フラップ板4の開閉動作に
応じてリンクアーム59を介してピストン53から出没
するようになっている。
トンロッド54が下方に向かうように突設され、その下
端部がリンクアーム59を介して上記回動軸3に連結さ
れ、ピストンロッド54は、フラップ板4の開閉動作に
応じてリンクアーム59を介してピストン53から出没
するようになっている。
【0050】この実施形態の防潮ゲート1aによれば、
防波堤10に打ち寄せる波によってもフラップ板4が
「ばたつかない」という上記の防潮ゲート1と同様の作
用が得られるとともに、ゲート本体2が存在しない、暗
渠S1のみが設けられた防波堤10にも適用が可能にな
り、しかも後着けでも設置が可能であるため、防潮ゲー
トの適用範囲を拡大させる上で有効である。
防波堤10に打ち寄せる波によってもフラップ板4が
「ばたつかない」という上記の防潮ゲート1と同様の作
用が得られるとともに、ゲート本体2が存在しない、暗
渠S1のみが設けられた防波堤10にも適用が可能にな
り、しかも後着けでも設置が可能であるため、防潮ゲー
トの適用範囲を拡大させる上で有効である。
【0051】本発明は上記の実施形態にのみ限定される
ものではなく、以下の内容をも包含するものである。
ものではなく、以下の内容をも包含するものである。
【0052】(1)上記の実施形態においては、フラッ
プ板41は水平方向に延びる回動軸3回りに回動自在に
軸支されて垂下された縦開き方式のものが適用されてい
るが、本発明はフラップ板4が縦開き方式であることに
限定されるものではなく、フラップ板を垂直軸回りに回
動自在に軸支された横開き方式のものにしてもよい。
プ板41は水平方向に延びる回動軸3回りに回動自在に
軸支されて垂下された縦開き方式のものが適用されてい
るが、本発明はフラップ板4が縦開き方式であることに
限定されるものではなく、フラップ板を垂直軸回りに回
動自在に軸支された横開き方式のものにしてもよい。
【0053】(2)上記の実施形態においては、油圧管
路55に逆流抑制手段56が設けられているが、逆流抑
制手段56の設置は必ずしも必須ではなく、特に設けな
くてもよい。そして、逆流抑制手段56を設けないとき
は、フラップ板4の開閉動作に対する緩衝作用は、ピス
トン53の移動による作動油の油圧管路55内流通時の
抵抗と、ピストン53の往復動によって複動シリンダ5
2内を環状隙間52cを通って移動する作動油の抵抗と
によって形成されることになる。
路55に逆流抑制手段56が設けられているが、逆流抑
制手段56の設置は必ずしも必須ではなく、特に設けな
くてもよい。そして、逆流抑制手段56を設けないとき
は、フラップ板4の開閉動作に対する緩衝作用は、ピス
トン53の移動による作動油の油圧管路55内流通時の
抵抗と、ピストン53の往復動によって複動シリンダ5
2内を環状隙間52cを通って移動する作動油の抵抗と
によって形成されることになる。
【0054】(3)上記の実施形態においては、シリン
ダ52とピストン53との間に環状隙間52cを設けて
ピストン53の移動時に作動油の一部がこの環状隙間5
2cを通って移動するようにしているが、こうする代わ
りにピストン53に小孔を貫設し、この小孔を通して作
動油を移動させるようにしてもよい。また、本発明はピ
ストン53とシリンダ52との間に環状隙間52cを設
けたり、ピストン53に小孔を設けたりすることに限定
されるものではなく、ピストン53の外周面がシリンダ
52の内周面と摺接するようにしてもよい。
ダ52とピストン53との間に環状隙間52cを設けて
ピストン53の移動時に作動油の一部がこの環状隙間5
2cを通って移動するようにしているが、こうする代わ
りにピストン53に小孔を貫設し、この小孔を通して作
動油を移動させるようにしてもよい。また、本発明はピ
ストン53とシリンダ52との間に環状隙間52cを設
けたり、ピストン53に小孔を設けたりすることに限定
されるものではなく、ピストン53の外周面がシリンダ
52の内周面と摺接するようにしてもよい。
【0055】(4)上記の実施形態においては、防潮ゲ
ート1としてゲート本体2の中央部に開口部20が形成
されたローラゲートが採用されているが、本発明はこの
ようなタイプの防潮ゲートに限定されるものではなく、
開口部の上部が開放されたタイプのものでもよいし、堰
柱12間にフラップ板を直接設けるようにしたものであ
ってもよい。
ート1としてゲート本体2の中央部に開口部20が形成
されたローラゲートが採用されているが、本発明はこの
ようなタイプの防潮ゲートに限定されるものではなく、
開口部の上部が開放されたタイプのものでもよいし、堰
柱12間にフラップ板を直接設けるようにしたものであ
ってもよい。
【0056】
【発明の効果】本発明の請求項1記載の防潮ゲートによ
れば、河川水の流水方向に直交した方向に延びる回動軸
と、この回動軸から垂下して回動軸に一体に固定された
フラップ板とを備えて防潮ゲートが形成され、フラップ
板は、回動軸回りの一方向への回動で河川水の流水方向
に開くとともに、開口部を閉止した状態で他方向への回
動が阻止されるように構成されているため、河川側の水
位が海側の水位よりも高いときには、この水圧差によっ
て河川水がフラップ板を海側に押圧してフラップ板は回
動軸回りに海側に向けて回動して開放状態になり、これ
によって河川水を海に放流することができる。また、逆
に海側の水位の方が河川側の水位よりも高いときには、
この水圧差によって海水がフラップ板を押圧するため、
フラップ板は回動軸回りに河川側に向けて回動し、これ
によりフラップ板は閉止状態になって海水の河川への逆
流を防止することができる。
れば、河川水の流水方向に直交した方向に延びる回動軸
と、この回動軸から垂下して回動軸に一体に固定された
フラップ板とを備えて防潮ゲートが形成され、フラップ
板は、回動軸回りの一方向への回動で河川水の流水方向
に開くとともに、開口部を閉止した状態で他方向への回
動が阻止されるように構成されているため、河川側の水
位が海側の水位よりも高いときには、この水圧差によっ
て河川水がフラップ板を海側に押圧してフラップ板は回
動軸回りに海側に向けて回動して開放状態になり、これ
によって河川水を海に放流することができる。また、逆
に海側の水位の方が河川側の水位よりも高いときには、
この水圧差によって海水がフラップ板を押圧するため、
フラップ板は回動軸回りに河川側に向けて回動し、これ
によりフラップ板は閉止状態になって海水の河川への逆
流を防止することができる。
【0057】そして、従来、フラップ板の開閉動作が鋭
敏すぎることによって、海の波による水位の昇降に鋭敏
に対応してフラップ板が揺動し、これによってフラップ
板が「ばたつく」という不都合が存在したが、請求項1
記載の発明においては、回動軸の軸心回りの回転に連動
して動作する緩衝機構を設け、フラップ板の開閉動作は
回動軸を介して緩衝機構に伝達されるようにしたため、
この緩衝機構に緩衝されることによってフラップ板の開
閉動作は緩慢になり、これによって「ばたつき」が解消
される。従って、「ばたつき」に起因したフラップ板の
破損を防止することができ、フラップ板の破損に基づく
河川水の放水不良や海水の河川への逆流等を確実に防止
することができるとともに、防潮ゲートのメンテナンス
コストを低減させることができる。
敏すぎることによって、海の波による水位の昇降に鋭敏
に対応してフラップ板が揺動し、これによってフラップ
板が「ばたつく」という不都合が存在したが、請求項1
記載の発明においては、回動軸の軸心回りの回転に連動
して動作する緩衝機構を設け、フラップ板の開閉動作は
回動軸を介して緩衝機構に伝達されるようにしたため、
この緩衝機構に緩衝されることによってフラップ板の開
閉動作は緩慢になり、これによって「ばたつき」が解消
される。従って、「ばたつき」に起因したフラップ板の
破損を防止することができ、フラップ板の破損に基づく
河川水の放水不良や海水の河川への逆流等を確実に防止
することができるとともに、防潮ゲートのメンテナンス
コストを低減させることができる。
【0058】本発明の請求項2記載の防潮ゲートによれ
ば、緩衝機構を、内部に作動油が充填された複動シリン
ダと、この複動シリンダ内を往復動するピストンと、こ
のピストンに付設されたピストンロッドと、ピストンの
移動によってピストンの一面側から複動シリンダ外に押
し出された作動油をピストンの他面側の複動シリンダ内
に戻す油圧管路とから構成し、回動軸の軸心回りの正逆
回転をピストンロッドの往復動に変換するように回動軸
とピストンロッドとの間に介設されるリンクアームを設
けたため、フラップ板が回動軸回りに回動すると、この
回動動作は、回動軸、リンクアームおよびピストンロッ
ドを介してピストンに伝達され、これによってピストン
は、複動シリンダ内を移動して複動シリンダ内のピスト
ンの一面側の作動油が油圧管路に吐出され、油圧管路内
を通ってピストンの他面側に戻され、この作動油の油圧
管路内の流通による抵抗によってピストンの運動を緩衝
させることができる。この緩衝作用は逆にピストンロッ
ド、リンクアームおよび回動軸を介してフラップ板に伝
達され、これによってフラップ板を緩慢に動作させるこ
とができる。
ば、緩衝機構を、内部に作動油が充填された複動シリン
ダと、この複動シリンダ内を往復動するピストンと、こ
のピストンに付設されたピストンロッドと、ピストンの
移動によってピストンの一面側から複動シリンダ外に押
し出された作動油をピストンの他面側の複動シリンダ内
に戻す油圧管路とから構成し、回動軸の軸心回りの正逆
回転をピストンロッドの往復動に変換するように回動軸
とピストンロッドとの間に介設されるリンクアームを設
けたため、フラップ板が回動軸回りに回動すると、この
回動動作は、回動軸、リンクアームおよびピストンロッ
ドを介してピストンに伝達され、これによってピストン
は、複動シリンダ内を移動して複動シリンダ内のピスト
ンの一面側の作動油が油圧管路に吐出され、油圧管路内
を通ってピストンの他面側に戻され、この作動油の油圧
管路内の流通による抵抗によってピストンの運動を緩衝
させることができる。この緩衝作用は逆にピストンロッ
ド、リンクアームおよび回動軸を介してフラップ板に伝
達され、これによってフラップ板を緩慢に動作させるこ
とができる。
【0059】このように作動油の油圧管路内の流通によ
って緩衝効果を得るようにしているため、緩衝機構とし
て機械的な制動機構を利用した場合、制動部材同士の摺
接による摩耗によって緩衝機構が破損し易くなるという
不都合が回避され、緩衝機構を長期間に亘って確実に機
能させることができる。
って緩衝効果を得るようにしているため、緩衝機構とし
て機械的な制動機構を利用した場合、制動部材同士の摺
接による摩耗によって緩衝機構が破損し易くなるという
不都合が回避され、緩衝機構を長期間に亘って確実に機
能させることができる。
【0060】本発明の請求項3記載の防潮ゲートによれ
ば、ピストンは、シリンダ内の移動によりピストンを境
にしたシリンダ内の一方の作動油がシリンダ内の他方に
移動するように構成されているため、ピストンを境にし
た複動シリンダ内の一方側の作動油は、その一部がピス
トンの移動によって複動シリンダ内の他方側に移り、作
動油が油圧管路のみを流通する場合に比べて緩衝機構の
緩衝作用を緩やかなものにすることができる。
ば、ピストンは、シリンダ内の移動によりピストンを境
にしたシリンダ内の一方の作動油がシリンダ内の他方に
移動するように構成されているため、ピストンを境にし
た複動シリンダ内の一方側の作動油は、その一部がピス
トンの移動によって複動シリンダ内の他方側に移り、作
動油が油圧管路のみを流通する場合に比べて緩衝機構の
緩衝作用を緩やかなものにすることができる。
【0061】本発明の請求項4記載の防潮ゲートによれ
ば、油圧管路に、絞り弁と、この絞り弁に並設された逆
止弁とを設け、逆止弁は、フラップ板が開く方向に回動
軸回りに共回りしたときに作動油の流通が規制されるよ
うに方向設定したため、絞り弁によって作動油の油圧管
路流通の抵抗が大きくなり、緩衝作用をその分大きくす
ることができるとともに、フラップ板が開放されるとき
には、絞り弁に並設された逆止弁が閉止されるため、作
動油の流通抵抗が大きくなり、フラップ板の開放速度を
その分遅くすることができる。
ば、油圧管路に、絞り弁と、この絞り弁に並設された逆
止弁とを設け、逆止弁は、フラップ板が開く方向に回動
軸回りに共回りしたときに作動油の流通が規制されるよ
うに方向設定したため、絞り弁によって作動油の油圧管
路流通の抵抗が大きくなり、緩衝作用をその分大きくす
ることができるとともに、フラップ板が開放されるとき
には、絞り弁に並設された逆止弁が閉止されるため、作
動油の流通抵抗が大きくなり、フラップ板の開放速度を
その分遅くすることができる。
【0062】従って、海側の水位と、河川側の水位とが
略同一高さレベルになったときには、海側の水位は打ち
寄せる波によって平均的な水位を中心として小きざみに
上下する状態になり、波頭が河川側の水位よりも下がっ
たときには、フラップ板は水圧差によって開放する方向
に力を受けるが、逆止弁によってフラップ板は開き難く
なっており、開き始めるまでに波頭が河川側の水位を越
えた状態になり、これが繰り返されることによってフラ
ップ板は開放しない状態が維持され、フラップ板の「ば
たつき」を確実に防止する上での効果は大きい。
略同一高さレベルになったときには、海側の水位は打ち
寄せる波によって平均的な水位を中心として小きざみに
上下する状態になり、波頭が河川側の水位よりも下がっ
たときには、フラップ板は水圧差によって開放する方向
に力を受けるが、逆止弁によってフラップ板は開き難く
なっており、開き始めるまでに波頭が河川側の水位を越
えた状態になり、これが繰り返されることによってフラ
ップ板は開放しない状態が維持され、フラップ板の「ば
たつき」を確実に防止する上での効果は大きい。
【図1】本発明に係る防潮ゲートの一実施形態を示す斜
視図である。
視図である。
【図2】フラップ板の一実施形態を示す一部切欠き斜視
図である
図である
【図3】図1のA−A線断面図である。
【図4】図2のB−B線断面図である。
【図5】緩衝機構の一実施形態を示す側面視の断面図で
ある。
ある。
【図6】(イ)〜(ハ)は、本発明の作用を説明するた
めの断面視の説明図である。
めの断面視の説明図である。
【図7】本発明に係る防潮ゲートの他の実施形態を示す
側面視の断面図である。
側面視の断面図である。
【図8】図7のC線矢視図である。
【図9】(イ)〜(ハ)は、従来の防潮ゲートを例示す
る断面視の説明図である。
る断面視の説明図である。
1,1a 防潮ゲート 10 防波堤 11 切れ目 12 堰柱 2 ゲート本体 20 開口部 20a 貫通窓 21 下流桁 21a シール部材 21b H型鋼 22 上流桁 23 天井壁 24 底板 25 外側壁 26 床板 27 内側壁 27a 支持孔 27b 軸受部材 28 突出縁部 3 回動軸 31 外筒 32 軸体 4 フラップ板 41 板体41 42 側縁部材 43 下端縁部材 44 補強部材 45 シール部材 5 緩衝機構 51 油圧シリンダ装置 52 複動シリンダ 53 ピストン 54 ピストンロッド 55 油圧管路 55a 下流側管路 55b 上流側管路 56 逆流抑制手段 57 可変絞り弁 58 逆止弁 R 河川 S 海
Claims (4)
- 【請求項1】 河川と海との境界部分に構築された防潮
堤の開口部に設置され、河川水の流水方向に直交した方
向に延びる回動軸と、この回動軸に一体に固定された、
上記開口部を塞ぐフラップ板とを備えて形成され、上記
フラップ板は、上記回動軸回りの一方向への回動で河川
水の流水方向に開くとともに、上記開口部を閉止した状
態で他方向への回動が阻止されるように構成された防潮
ゲートにおいて、上記回動軸の軸心回りの回転に連動し
て動作する緩衝機構が設けられていることを特徴とする
防潮ゲート。 - 【請求項2】 上記緩衝機構は、内部に作動油が充填さ
れた複動シリンダと、この複動シリンダ内を往復動する
ピストンと、このピストンに付設されたピストンロッド
と、上記ピストンの移動によってピストンの一面側から
複動シリンダ外に押し出された上記作動油をピストンの
他面側の複動シリンダ内に戻す油圧管路とから構成さ
れ、上記回動軸の軸心回りの正逆回転をピストンロッド
の往復動に変換するように回動軸とピストンロッドとの
間に介設されるリンクアームが設けられていることを特
徴とする請求項1記載の防潮ゲート。 - 【請求項3】 上記ピストンは、シリンダ内の移動によ
りピストンを境にしたシリンダ内の一方の作動油がシリ
ンダ内の他方に移動するように構成されていることを特
徴とする請求項2記載の防潮ゲート。 - 【請求項4】 上記油圧管路には、絞り弁と、この絞り
弁に並設された逆止弁とが設けられ、上記逆止弁は、上
記フラップ板が開く方向に上記回動軸回りに共回りした
ときに上記作動油の流通が規制されるように方向設定さ
れていることを特徴とする請求項2または3記載の防潮
ゲート。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP21508397A JPH1161785A (ja) | 1997-08-08 | 1997-08-08 | 防潮ゲート |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP21508397A JPH1161785A (ja) | 1997-08-08 | 1997-08-08 | 防潮ゲート |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH1161785A true JPH1161785A (ja) | 1999-03-05 |
Family
ID=16666476
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP21508397A Pending JPH1161785A (ja) | 1997-08-08 | 1997-08-08 | 防潮ゲート |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH1161785A (ja) |
Cited By (6)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2013241775A (ja) * | 2012-05-21 | 2013-12-05 | Kajima Corp | 防潮構造物 |
CN108640168A (zh) * | 2018-04-16 | 2018-10-12 | 浙江财经大学 | 一种适用于污水治理的排水机构 |
CN109723042A (zh) * | 2019-03-14 | 2019-05-07 | 江苏建筑职业技术学院 | 一种排水箱涵防回淤设施 |
CN110761395A (zh) * | 2019-11-27 | 2020-02-07 | 汩鸿(上海)环保工程设备有限公司 | 一种大型拦蓄冲洗门 |
CN111021310A (zh) * | 2019-12-20 | 2020-04-17 | 苏海军 | 一种水利闸门 |
CN114215020A (zh) * | 2022-01-14 | 2022-03-22 | 中国电建集团贵阳勘测设计研究院有限公司 | 一种高效快捷的无级分层取水闸门装置 |
-
1997
- 1997-08-08 JP JP21508397A patent/JPH1161785A/ja active Pending
Cited By (7)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2013241775A (ja) * | 2012-05-21 | 2013-12-05 | Kajima Corp | 防潮構造物 |
CN108640168A (zh) * | 2018-04-16 | 2018-10-12 | 浙江财经大学 | 一种适用于污水治理的排水机构 |
CN109723042A (zh) * | 2019-03-14 | 2019-05-07 | 江苏建筑职业技术学院 | 一种排水箱涵防回淤设施 |
CN110761395A (zh) * | 2019-11-27 | 2020-02-07 | 汩鸿(上海)环保工程设备有限公司 | 一种大型拦蓄冲洗门 |
CN111021310A (zh) * | 2019-12-20 | 2020-04-17 | 苏海军 | 一种水利闸门 |
CN114215020A (zh) * | 2022-01-14 | 2022-03-22 | 中国电建集团贵阳勘测设计研究院有限公司 | 一种高效快捷的无级分层取水闸门装置 |
CN114215020B (zh) * | 2022-01-14 | 2022-06-21 | 中国电建集团贵阳勘测设计研究院有限公司 | 一种高效快捷的无级分层取水闸门装置 |
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Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A02 | Decision of refusal |
Effective date: 20040413 Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02 |