JPH1161703A - 踏切の隙間を塞ぐ方法、および同装置 - Google Patents

踏切の隙間を塞ぐ方法、および同装置

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Publication number
JPH1161703A
JPH1161703A JP24587497A JP24587497A JPH1161703A JP H1161703 A JPH1161703 A JP H1161703A JP 24587497 A JP24587497 A JP 24587497A JP 24587497 A JP24587497 A JP 24587497A JP H1161703 A JPH1161703 A JP H1161703A
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JP
Japan
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rail
wheel
top surface
auxiliary
elastic member
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Application number
JP24587497A
Other languages
English (en)
Inventor
Toshio Sasaoka
敏男 笹岡
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NEKUSUTO KK
Original Assignee
NEKUSUTO KK
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Publication date
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Publication of JPH1161703A publication Critical patent/JPH1161703A/ja
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    • EFIXED CONSTRUCTIONS
    • E01CONSTRUCTION OF ROADS, RAILWAYS, OR BRIDGES
    • E01BPERMANENT WAY; PERMANENT-WAY TOOLS; MACHINES FOR MAKING RAILWAYS OF ALL KINDS
    • E01B15/00Guards for preventing a person's foot being trapped in grooved rails

Landscapes

  • Engineering & Computer Science (AREA)
  • Architecture (AREA)
  • Civil Engineering (AREA)
  • Structural Engineering (AREA)
  • Road Paving Structures (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 踏切のレール2と護輪器20との間に形成さ
れている隙間(寸法D≒65mm)にハイヒール5が嵌
まりこむことを防止する。 【解決手段】 前記の隙間に、ゴム弾性を有する補助路
材6を設置する。上記の補助路材6の頂面は、別段の外
力を受けないときはレール2や護輪器20の頂面とほぼ
等高に揃うように構成しておく。(A)図のようにハイ
ヒール5で踏みつけられても補助路材6には著しい変形
を生じない。これにより、ハイヒールの嵌まり込みや、
車椅子の補助輪の嵌まり込みや、小銭などの小もの物品
の落ちこみが防止される。レール2の上を軌道車が通過
する際は、前記のゴム弾性を有する補助路材6は(B)
図に符号6′で示したように、車輪のフランジ4aに踏
みつけられて変形し、車輪4に大きい抵抗を与えること
なくその通過を許容する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、道路と軌道とが交
差する区域に設置される踏切設備に係り、レールと護輪
器との間に形成される隙間を、車輪の通過に支障無きよ
うに塞いで、該隙間に起因する不具合を未然に防止する
方法、および同装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】図5は、道路と軌道(鉄道)とが交差し
ている個所に設置された踏切設備の概要を示す平面図で
あって、遮断機,標識,信号機器類および電気・通信設
備の図示は省略してある。1対のレール2,同2が平行
に設置されている。レールの本数は2本とは限らない
が、特殊な場合を除いて一般に偶数である。すなわち1
対もしくは複数対をなしている。以下、1対のレールに
ついて考察するが、複数対の場合も、本発明に関しては
同様である。本図5に示すように、1対のレール2,同
2それぞれの内側に対向・離間せしめて、護輪器20が
設置されている。次に、本図5に示したA−A断面につ
いて述べる。
【0003】図6は、いわゆる板張り式の踏切を示し、
レールに直交する垂直断面図であって、前掲の図5に示
されたA−A断面に相当する。基礎栗石21の上に路床
バラスト25が敷均し展圧されていて、その上に、まく
ら木1が載置され、1対のレール2を支持している。上
記1対のレール2の内側に、間隔寸法Dを置いて護輪器
20が設置されている。本例の護輪器20は摩耗した古
レールが利用されている。古レールを利用して護輪器と
する例は非常に多いが、古レールに限られるものではな
い。本発明において護輪器とは、軌条として機能するレ
ールの内側に対向,離間して設置された剛性材料より成
る構築物を総称する意である。
【0004】前記のレール2と護輪器20とは(図6参
照)ほぼ高さを揃えて設置される。さらに、上記レール
2および護輪器20の頂面と高さを揃えて、レール2と
ほぼ平行に、木材26が敷きつめられ、歩行者や車両類
(例えば自動車,自転車,買物車,乳母車,車椅子な
ど)が通行するための路面が形成される。前記の木材2
6として、古まくら木が利用される例も多い。前記のレ
ール2と護輪器20との間隔寸法は、軌道が直線である
場合は65ミリメートルである。軌道が緩やかにカーブ
している場合は、 D=65mm+(スラック) であり、軌道の曲率Rが400メートル未満の場合は、
前記の寸法Dは75ミリメートルである。これらを総合
して、 65mm<D<75mm である。
【0005】図7は、ブロック舖装された踏切の1例と
して示したコンクリートブロック舖装踏切の断面図であ
る。基礎栗石21の上に基礎コンクリート22が打設さ
れて、まくら木1を支持している。上記まくら木1の上
に1対のレール2が、紙面に直交して設置されるととも
に、該レール2とほぼ平行に護輪器20が対向,離間し
て設置されている。前記の基礎コンクリート22および
まくら木1の上に、均しセメントモルタル25を介して
コンクリートブロック23が敷き並べられ、該コンクリ
ートブロック23の上にアスファルト・コンクリート舖
装24が成層されて、いわゆる車馬や歩行者が通行する
踏切道路の路面が形成されている。
【0006】前掲の図6に示したような敷板またはまく
ら木で舖装された踏切や、前掲の図7に示したコンクリ
ートブロック+アスファルトコンクリート舖装踏切、お
よびこれらに類似した踏切(例えば石材ブロック舖装踏
切やコンクリート舖装踏切)の他に、図示を省略するが
連設軌道という踏切形式も有る。上記の連設軌道は、鉄
筋コンクリート製まくら木を隙間無く敷き並べて、レー
ル方向にポストテンショニングして強力なP.C桁の軌
框としたものである。これらいずれの踏切においても、
レールの内側に対向せしめて、間隔寸法65〜75ミリ
メートルとなるように護輪器が設置されている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】図8は、従来例の踏切
における技術的問題を説明するための、レールに直角な
垂直断面図である。まくら木1の上に、レール2Lと護
輪器20とが平行に設置されており、上記のレール2L
はレール2Rと対をなしている。3aは、上記1対のレ
ール2Lとレール2Rとの間に設置された内側路材であ
って、歩行者や車馬が通行する路面を形成している。3
bは、前記1対のレール2Lとレール2Rとの外側に設
置された外側路材である。これらの内側,外側の路材は
木材であっても、ブロックであっても、アスファルト・
コンクリートであっても良い。また、護輪器20は必ず
しも古レールを利用したものとは限らず、レール2Lと
の間に隙間寸法Dを確保する構造の、剛性を有する地上
構築物であれば良い。レール2Lの上を軌道車の車輪4
が通過する際、該車輪のフランジ4aの移動軌跡空間内
へ障害物が接近しないよう、上記隙間寸法Dの空間が必
要である。この隙間寸法Dの中に、レールと護輪器とを
相互に固定するスペーサ28が設けられる例も有るが、
このスペーサ28の形状,寸法は、車輪のフランジ4a
と干渉する虞れの無いように設定される。その理由は、
車輪のフランジ4aがスペーサ28に接触すると、軌道
車が踏切を通過する際に激しい衝撃音と振動とを生じ
て、該軌道車の乗り心地を悪くする上に、車輪フランジ
4aの損耗を促進し、かつ、踏切周辺の人家に騒音公害
や振動公害をもたらす虞れが有るからである。
【0008】以上に説明したように、レールの内側には
必ず車輪フランジ通過用の隙間Dが形成される。このた
め、上記の隙間に歩行者の靴の踵が嵌まり込むという不
具合が有り、特に女性のハイヒール5が嵌まり込み易
い。嵌まり込みによってハイヒールが傷つくということ
も好ましくないが、ハイヒールが脱げてしまって歩行者
が負傷する虞れも有る。嵌まり込んで脱げたハイヒール
を、レール2と護輪器20との間から引き抜こうとして
当人がしゃがみ込むと他の通行者の妨げになる上に、引
き抜こうとしているうちに列車が接近してくると非常に
危険である。
【0009】当該踏切に踏切警手が勤務していれば、ハ
イヒールが嵌まり込んでも大事に至る危険性はほとんど
無いが、踏切警手が配置されている踏切は、踏切全部の
7%に満たないのが実情である。東京都千代田区神田須
田町の交通博物館付属図書室における最近の統計資料に
よれば、遮断機が設置されていて、常時踏切警手が勤務
している1種踏切の数は(JRおよび一般私鉄の合計、
かつ、都道府県道,市町村道,その他道路を合わせて)
3816箇所、遮断機は設置されているが、道路交通量
の多い時間帯のみ踏切警手が勤務している2種踏切の数
は436箇所、自動警報用の機器は設置されているが、
踏切警手は配置されていない3種踏切の数は3269箇
所、警報器が設置されておらず踏切警手も配置されてお
らず、踏切を表示する標識のみが設けられている4種踏
切の数が圧倒的に多くて、54,832箇所に及んでい
る。
【0010】図8について先に述べたように、レールと
護輪器との間に隙間が有るためハイヒールが嵌まり込む
という問題の他に、(イ)物品を取り落とすこと、およ
び、(ロ)車椅子の車輪,乳母車の車輪,もしくは買物
車の車輪が落ちこむこと、といった不具合も無視できな
い。踏切を渡るときは、歩きながら煙草に火をつけよう
としたり、歩きながらハンドバックを開いたりすること
は、歩行者本人の心得として避けてほしい処であるが、
このような動作は往々にして行なわれ、小さい物品を取
り落とす場合が有り、ライター,口紅,小銭,ペン,な
どの身辺用具がレールと護輪器との間に落ち込むと拾い
上げることが容易でない。このため他の歩行者の通行を
妨げたりし、列車が接近するという危険に直面すること
も有る。こうした危険の、歩行者一人当たり発生率は高
くないが、全国6万余箇所の踏切を、毎日のべ数千万人
の通行者が渡るので、通行者一人1回あたりの危険率が
数万分の一であるとしても放置できない。
【0011】寸法的に、レールと護輪器との間の約7セ
ンチメートルの隙間に嵌まり込む虞れの有る小形の車輪
として、車椅子の前輪に当たる補助輪(キャスター)、
ベビーカー形の乳母車の車輪、買物車の車輪などが有
る。これらの車輪が、レールに直交する方向に進行して
いる場合は、該車輪を隙間に落とし込む虞れは無いので
あるが、踏切における道路と軌道との交差角度は90度
と限らず、法規制においては45度以上で斜交すること
が許されている。さらに、例えば車椅子で踏切を渡って
いるとき、対面交通者との衝突を避けるために進行方向
を変えることは決して稀ではない。図8において、車椅
子の補助輪27が点線で示したように、その進行方向が
レール2Lと斜交する姿勢になると、該レール2Lと護
輪器20との間の隙間に落ち込む危険率は可成り高い。
買物車や乳母車などにおいても同様である。しかし、落
ち込んだ場合に脱出が困難であること等を勘案すると、
車椅子の場合が最も重要であろう。
【0012】本発明は上述の事情に鑑みて為されたもの
であって、軌道車の踏切通過に制約を及ぼすこと無く、
騒音や振動を発生すること無く、踏切構造に関する法規
に反すること無く、踏切警手の勤務を必要とせず、履物
(特にハイヒール)が嵌まり込む虞れや、とり落とした
小物品が落ち込む虞れや、踏切を通過する諸種の車輪
(特に車椅子の補助輪)が嵌まり込む虞れの無い、簡単
な構造で、保守整備が容易で、製造コストが安く、電力
供給や給油給脂の必要が無く、誤作動の虞れが無くて信
頼性の高い、踏切の隙間(詳しくは、レールと護輪器と
の間に形成される法定の隙間)を塞ぐ方法、および同装
置を提供することを目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】(図8参照)車輪のフラ
ンジ4aの通過を妨げることなく、ハイヒール5や車椅
子の補助輪27の嵌まり込みを防止する手段を考察する
と、例えばハイヒールの嵌まり込みを防ぐような踏板を
蝶着しておいて、列車の通過時以外は該踏板を通行路面
に揃えて支持しているとともに、列車通行時には車輪の
フランジに干渉しないように回動させることが考えられ
る。しかし乍ら、上述のような手段では機械的に部材を
回動せしめなければならないので、踏切警手が操作する
にしても、自動警報器と連動させるにしても構造が複雑
となり、従って作動信頼性が低い。その上、回動軸の錆
び付きを生じる虞れが有ったりしてメンティナンスの手
数が掛かる。特に、最も多数である4種踏切(標識のみ
・約5万箇所)には自動警報機器が備わっていないの
で、機構学的に作動する機器要素(歯車,リンク,ラチ
ェット、軸受対偶など)を用いた装置は好ましくない。
【0014】上述の事情を考慮に入れて創作した本発明
の基本的な原理について、その実施形態に対応する図1
を参照して略述すると次のとおりである。すなわち、
(A)に示すように、レール2と護輪器20との間の空
隙に、ゴム弾性を有する補助路材6を設置し、該補助路
材6の頂面の高さはレール2や護輪器20の高さ、およ
び踏切路材3の頂面とほぼ揃えておく。この補助路材6
のゴム硬度は、ハイヒール5で踏みつけられてもほとん
ど凹まない程度に設定しておく。凹み(頂面の沈下)の
程度の目安として、レール頂部のR寸法(図1参照・規
格値は13ミリメートルである)以内が適当である。上
記ゴム弾性を有する補助路材6は、(B)のように車輪
のフランジ4aに踏みつけられると容易に変形して、該
車輪の通過を妨げない。車輪が通過し終えると補助路材
6は(A)のように自身のゴム弾性によって復元し、ハ
イヒール5や車椅子の補助輪などの落ち込みを防止す
る。さらに前記の補助路材6は、レールと護輪器との間
にコインなどが落ち込むことも防止する。以上に説明し
た原理に基づいて請求項1の発明方法の構成は、踏切に
設置されている1対のレールのそれぞれについて、レー
ルの内側と護輪器との間に形成されている空間内に位置
せしめて弾性部材を設置し、上記弾性部材の頂面を、前
記レールの頂面とほぼ等高ならしめるとともに、上記弾
性部材の弾性を、「上記レール上を通過する車輪のフラ
ンジ部に踏まれて車輪荷重の一部を受けたとき、該車輪
を浮き上がらせることなく弾性変形し、かつ、歩行者の
踵に踏まれて体重を受けたとき、該弾性部材の沈下量が
レール頂部のR寸法を越えない程度」とすることを特徴
とする。
【0015】以上に説明した請求項1の発明方法による
と、レールの内側と護輪器との間に設置された弾性部材
の頂面がレール頂面とほぼ等高になるので、該弾性部材
の頂面は必然的に護輪器の頂面および踏切路面とほぼ等
高になり、踏切区域(軌道と道路とが交差している区
域)の上面がほぼ平坦になる。しかも、前記弾性部材は
歩行者の踵に踏まれても沈下量がレール頂部のR寸法
(図1参照・法定値13ミリメートル)以下であるか
ら、例えばハイヒールがレールと護輪器の間に嵌まり込
んで重大な事故を誘発する虞れが無い。レール頂部の断
面形状のR寸法(図1参照)は法規によって13ミリメ
ートルと定められている。この寸法はレールと護輪器と
の間隔寸法の約1/5であって、この程度の凹みでは最
悪の場合でも、脱げた靴が挟まって抜けなくなるという
状態には至らない。
【0016】レールと護輪器との間に嵌まり込んだり落
ち込んだりする虞れの有るものとしては、ハイヒールの
他に、ベビーカーの車輪や車椅子の補助輪、および身辺
の小物などを考慮しなければならないが、これらの物品
が受ける重力荷重は通常の成人の片足荷重よりも小さい
ので、これらの物品の重量荷重による弾性部材の沈下量
はいずれの場合であっても頂部R寸法(13ミリメート
ル)未満であり、重大な事故を誘発する虞れは無い。ベ
ビーカーの車輪,買物車の車輪,および車椅子の補助輪
はいずれも比較的小径であって障害物の乗り越えは不得
意であるが、幅約70ミリメートル、深さ13ミリメー
トル未満の凹みに入り込んだ場合、脱出にさして困難は
無い。この踏切を軌道車が通過する場合、軌道車の重力
荷重は、通常の成人の片足荷重をいくら大き目に見積も
っても100キログラムであるのに比して格段に大きく
(トン単位)、容易に弾性部材を変形させるので、車輪
の踏面がレール頂面から浮き上がることは無い。
【0017】軌道車が通過するとき車輪フランジと干渉
しないように退避させ、該軌道車が通過した後は踏切路
面を平坦ならしめるように復元させる作用は弾性部材の
弾性によって得られるので、機械工学便覧に載せられて
いる機械要素を用いる必要が無い。このため、別段のセ
ンサや,増幅器や,アクチュエータを用いず、自動的に
遂行されて作動信頼性が確実である。高度の自動機構や
電子機器を介在せしめずに踏切の隙間を必要に応じて塞
ぎ、必要に応じて開くので、全国6万を越える4種踏切
(遮断機無し)に最も好適であり、これよりも等級の高
い3種,2種,1種踏切に適用しても実用的効果は大き
い。
【0018】請求項2に係る発明方法の構成は前記請求
項1の発明方法の構成要件に加えて、前記の弾性部材を
設置する際、軌道と交差している道路の幅に相当する区
間における該弾性部材の頂面をレールの頂面とほぼ等高
ならしめ、上記の等高区間よりも両端に近い区間におい
ては、弾性部材の端に向けて降り坂となる形の傾斜を付
し、上記傾斜の坂下に当たる個所の高さ方向位置は、前
記レール上を通過する車輪のフランジ外周の通過軌跡範
囲よりも低からしめることを特徴とする。
【0019】以上に説明した請求項2の発明方法による
と、前記の弾性部材が、踏切を通過する軌道車の車輪フ
ランジの接触を最初に受ける箇所が傾斜していることに
なる。この傾斜は、車輪を基準にして見ると登り坂の途
中に向かって水平方向に衝突する形になる。このため、
車輪フランジが弾性部材に対して、いわゆる正面衝突す
る形にならず、斜面に対して斜衝突してこれを踏み下ろ
すような衝突形態を現出するので、著しい衝撃音や異常
振動を発生しない。弾性部材の両端部において上述のよ
うに比較的緩やかに衝突して、弾性部材が踏み下ろされ
るので、軌道と交差している道路幅区間(等高区間)に
おいては車輪フランジと弾性部材との衝突を生じない。
このため、弾性部材の道路幅の区間(等高区間、すなわ
ち傾斜部以外)は、頂面の硬度を高くして耐摩耗性を与
えても、この高硬度部分から衝撃音や衝突火花を生じる
虞れが無く、軌道車が円滑かつ静粛に踏切を通過するこ
とができる。
【0020】請求項3に係る発明方法の構成は前記請求
項1もしくは請求項2の発明方法の構成要件に加えて、
前記の弾性部材を、硬度分布が均一でないゴム弾性材料
によって構成するとともに、頂面を含む上層の部分のゴ
ム硬度を硬くし、上記上層部を除く中央部および下層部
のゴム硬度を軟らかくすることを特徴とする。
【0021】以上に説明した請求項3の発明方法による
と、弾性部材が車輪フランジの接触を受ける「頂面を含
む上層の部分」のゴム硬度を硬くしたので、軌道車が踏
切を通過する際、弾性部材が該軌道車の車輪フランジの
接触を受ける面の摩耗が軽減されて耐久性が向上する。
この接触面には微小の滑りを生じることを避け難いの
で、耐摩耗性を与えることの実用的効果かは大きい。前
記の弾性部材全体のゴム硬度を高くすると、該弾性部材
と車輪フランジとの接触圧力が高くなって、上述した耐
摩耗効果が減殺されるので、本請求項の発明は、弾性部
材が摩擦を受ける上層部以外の部分のゴム硬度を軟らか
くして前記の接触圧力を下げた。これにより弾性部材の
頂面の摩耗が有効に防止される。さらに、ゴム硬度の高
い弾性部材が車輪フランジによって繰り返し踏み潰され
ると材質の疲労が進行して亀裂を生じるなどの不具合を
招くが、本請求項の発明は弾性部材の上層部以外のゴム
弾性を軟らかくしたので、弾性部材中に過大な応力を生
じて疲労亀裂を生じる虞れが無い。
【0022】請求項4の発明に係る装置の構成は、1対
のレールと、上記レールそれぞれの内側に対向・離間せ
しめて設置された護輪器とを有する踏切において、前記
レールと護輪器との間に形成される空間内に位置せしめ
て、弾性材料より成る補助路材が設置されており、か
つ、上記補助路材が別段の外力を受けていないとき、該
補助路材の頂面の位置は、レール頂面と護輪器頂面とに
接する仮想の平面にほぼ接しており、前記補助路材の弾
性は、レール上を通過する車輪のフランジ部に踏まれて
車輪荷重の一部を受けたとき該車輪の踏面をレール頂面
から浮き上がらせないように被圧縮変形することがで
き、かつ、踏切を渡る歩行者の靴の踵に踏まれて体重を
受けたとき、頂面の沈下量がレール頂部のR寸法以下と
なるように設定されていることを特徴とする。
【0023】以上に説明した請求項4の発明装置による
と、レールおよび護輪器の頂面とほぼ等高の、弾性材よ
り成る補助路材が設けられているので、軌道と交ってい
る道路の面がほぼ平坦となり、歩行者や、車椅子や、買
物車や、乳母車などの、歩道を通行する通行者は容易に
踏切を渡ることができる。また、自動車,オートバイ,
荷車,自転車などの、車道を通行すべきいわゆる車馬も
容易に踏切を渡ることができる。前記通行者の中で最も
重力荷重の大きい歩行者の踵の重力を受けたとき、前記
弾性部材頂面の沈下量がレール頂部のR寸法(図1参照
・法定値13ミリメートル)以下であるから、車椅子の
補助輪や、買物車の車輪や、乳母車の車輪が前記弾性部
材から成る補助路材を踏みつけても頂面の沈下量は頂部
R寸法(13ミリメートル)未満である。従って、これ
らの踵(ハイヒールを含む),各種車輪がレールと護輪
器との間に嵌まり込んで脱出できなくなる虞れが無い。
【0024】車椅子の主輪や、自動車類の車輪や、荷重
の車輪や、自転車の車輪に掛かる荷重は、歩行者の片足
荷重に比してほぼ等しいか、もしくは著しく大きい。従
ってこれらの車輪の荷重が弾性部材より成る補助路面に
掛かったならば13ミリメートル以上の頂面沈下を生じ
る場合が有り得る勘定になる。しかし、自動車類(道路
交通法の規定による)のタイヤ幅寸法は、レールと護輪
器との間隔寸法(約70ミリメートル)よりも大きいの
で、自動車類の車輪がその車軸をレールと直角に(走行
方向をレールと平行に)しても、レールと護輪器との間
にタイヤが嵌まり込むことは無い。また、自転車や荷車
の車輪幅寸法はレールと護輪器との間隔寸法りよも狭い
が、これらの車輪の直径が上記間隔寸法に比して著しく
大きいので、踏切を渡っている途中で該車輪の全荷重を
補助路材に掛けて嵌まり込むというトラブルを生じる虞
れは無い。
【0025】請求項5に係る発明装置の構成は前記請求
項4の発明の構成要件に加えて、前記の補助路材は、レ
ールの長手方向と平行する長さを有する部材であり、踏
切を渡る歩行者および車両に踏まれる可能性が有る区間
よりも先端に近い部分の頂面は、先端に向かって降り坂
の形となる傾斜をなしており、かつ、上記傾斜部分の低
い方の端は、前記レール上を通過する車輪のフランジ部
の外周の通過軌跡範囲よりも低い位置にあることを特徴
とする。
【0026】以上に説明した請求項5の発明装置による
と、軌道車が踏切を通過する際の衝撃音や異常振動の発
生を防止することと、弾性材料より成る補助路材の耐摩
耗性とを両立せしめることができる。すなわち、軌道車
の車輪が抵抗を受けずに踏切を円滑・静粛に通過するた
めには、前記の補助路材をなるべく柔軟な材料で構成す
ることが望ましい。硬質の補助路材を設置しておくと、
高速で走行している車輪のフランジが接触するとき大き
い衝撃を受けるからである。しかし乍ら、車輪の踏面に
比してフランジ外周面は若干(3〜4センチメートル)
大径であるため周速差が有り、フランジ外周面と補助路
材との間に僅かながら滑りを生じるので、柔軟な材料で
補助路材を構成すると早期摩耗を生じる。そこで本請求
項5においては前記補助路材の先端付近に傾斜が付され
ているので、軌道車の車輪フランジが補助路材に対して
正面衝突する形で接触することなく、斜面に対してほぼ
水平に接近して接触する。これにより補助路材が車輪フ
ランジから受ける力の形態は、衝撃力に比して大きい圧
下力を受け、容易に弾性変形して干渉を回避し、車輪フ
ランジの通過を許容する。これにより、所要の耐摩耗性
を有する材料で補助路材を構成しておいても早期摩耗が
進行して耐用命数を縮める虞れが無い。
【0027】請求項6に係る発明装置の構成は前記請求
項4もしくは請求項5に係る発明装置の構成要件に加え
て、前記の弾性部材より成る補助路材はゴム弾性を有す
る部材であり、かつ、その頂面を含む上層部は、他の部
分よりもゴム硬度が高く、または、金属性ないしセラミ
ック性の材料が混入されており、もしくはこれらの材料
が接合されていることを特徴とする。
【0028】以上に説明した請求項6の発明装置による
と、軌道車が通過する際に補助路材が該軌道車の車輪フ
ランジに対して大きい抵抗を与えることなく円滑に通過
を許容し、かつ、補助路材が上記車輪フランジと接触す
る面の耐摩耗性を向上せしめることができる。補助路材
を、ゴム弾性を有する材料によって構成すると、歯車や
軸受機構などのいわゆる機械要素を用いることなく弾性
的退避・復元作動が得られるので、構造がより簡単で作
動信頼性が高い。その上、該補助路材が車輪フランジの
接触を受ける頂面付近に金属性材料ないしセラミック性
材料が混入されていると、弾性ゴムの弾性を妨げること
なく耐摩耗性が向上する。また、金属性ないしセラミッ
ク性の材料が補助路材の頂面に貼着されていると、該補
助路材全体としてのゴム弾性を損うことなく耐摩耗性が
向上する上に、ハイヒールで踏んだとき局部的に変形し
ない。これを歩行者の官能に基づいて見るとヒールで踏
まれた路面が沈むことなく、確実に反力を生じて歩行を
支援してくれる、という感じを受けて快適である(比喩
的に言うならば、炎天下のアスファルト舗装を踏みつけ
たり蛙を踏み潰したりした時のような、グニャッとした
感じを受けない)。歩行者の快適感もさることながら、
歩行者の安定感が得られることは重要な効果である。
【0029】請求項7に係る発明装置の構成は前記請求
項4もしくは請求項5の発明装置の構成要件に加えて、
前記の弾性部材より成る補助路材は合成ゴム材料によっ
て構成されており、頂面を含む上層部を除く部分の内で
少なくとも一部分が多孔質のスポンジ状に形成されてい
ることを特徴とする。
【0030】以上に説明した請求項7の発明装置によれ
ば、比較的硬質のゴム材料によって補助路材を構成し、
しかも軌道車の通過に著しい抵抗を与えることがない。
すなわち、多孔質のゴム材料は同じゴム硬度の内実のゴ
ム材料よりも見かけの弾性常数が低くて変形し易いの
で、本請求項を適用して頂面近傍以外の箇所を多孔質に
構成すると、比較的硬質のゴム材料を用いても補助路材
全体としての見かけのゴム硬度が柔軟で軌道車の車輪フ
ランジの通過に対して順応し、しかも頂面の耐摩耗性を
上げることができる。その上、比較的硬質のゴム材料を
用いることにより歩行者の踏み心地に安定感を与えるこ
とができる。
【0031】請求項8に係る発明装置の構成は前記請求
項4もしくは請求項5の発明装置の構成要件に加えて、
前記の弾性部材より成る補助路材が合成ゴム材料によっ
て中空に構成されるとともに、頂部の壁は厚肉に形成さ
れており、前記中空部は大気に対する連通を遮断され、
もしくは、流入を許容して流出を阻止する方向性を有す
るチェックバルブを介して大気に連通されていることを
特徴とする。
【0032】以上に説明した請求項8の発明装置による
と、ゴム材料自体のゴム弾性のみに依存することなく、
比喩的に言えば空気入りタイヤの弾性効果を利用して、
すなわち中空部に入っている気体の体積変化を利用し
て、軌道車の車輪フランジが通過するとき柔軟に退避さ
せ、通過後は速やかに復元せしめることができる。しか
も、中空ゴム製補助路材の頂壁が厚肉に形成されている
ので耐用命数が長く、その上、この厚肉の頂壁を踏んだ
歩行者の踵に明確な反力を与えて、歩行安定感を確保す
ることができる。この請求項8の作用効果を別の面から
見れば、中空部に封入されている気体(例えば空気)の
気体弾力性によって補助路材の弾性変形を行なわせるの
で、ゴム材質は比較的硬いものを選定しても所望の弾性
が得られる。従って、硬質ゴムを用いることによる耐摩
耗効果や、硬質ゴムを用いることによる歩行者の踏み心
地の良さ(歩行安定感)が得られる。前記中空部の気体
は密封されていても良いが、チェックバルブを介して大
気に連通させておくと、日常の点検整備の手数が軽減さ
れる。
【0033】請求項9に係る発明装置の構成は前記請求
項4もしくは請求項5の発明装置の構成要件に加えて、
前記の弾性部材より成る補助路材が合成ゴム材料によっ
て中空に構成されるとともに、頂部の壁は厚肉に形成さ
れ、かつ、上記中空部に液体が封入されていて、上記中
空状の弾性部材より成る補助路材の側壁の膨張を阻止す
る方向の力を与えるバネ部材が設けられていることを特
徴とする。
【0034】以上に説明した請求項9の発明によると
「軌道車の車輪フランジに踏みつけられたとき退避し
て、該軌道車の通過後自動的に復元する」という弾性的
な作動を、補助路材を構成する合成ゴム材料の弾性のみ
に依存することなく、封入された液体を介して外部バネ
部材によって果たすことができる。このため、合成ゴム
部材の経年的劣化による物性変化に煩わされることが少
なく、所望の機能を長期間に亙って維持することができ
る。補助路材の中空部に封入されている液体は、外力を
受けても体積を変えることなく、かつ、その形状を自在
に変化させるので、補助路材の頂面を硬くし、もしくは
硬質の部材を取り付けて耐摩耗性を持たせることも、歩
行者の踏み心地を良くすることも、任意に適宜に併用す
ることができる。
【0035】請求項10に係る発明装置の構成は前記請
求項4もしくは請求項5の発明装置の構成要件に加え
て、前記の弾性部材より成る補助路材は上下に分割され
ており、上半部は下半部に対してスプリング部材によっ
て支承されていることを特徴とする。
【0036】以上に説明した請求項10の発明装置によ
ると、補助路材を構成しているゴム弾性部材の弾性のみ
に依存せず、補助路材の上半部を支承しているスプリン
グ部材によって「軌道車の車輪フランジの接触を受けて
退避し、軌道車が通過した後自動的に復元して歩行者等
の通行路面を形成する」という作用が果たされる。この
作用に際して補助路材の上半部が弾性材料で構成されて
いるので、車輪フランジが高速で接近して接触した場合
に緩衝機能を発揮し、軌道車の踏切通過を円滑,かつ静
粛ならしめる。
【0037】請求項11に係る発明装置の構成は前記請
求項4もしくは請求項5の発明装置の構成要件に加え
て、前記の弾性部材より成る補助路材は、レールと護輪
器との間に形成されている空間のほぼ上半の部分に位置
しており、上記空間のほぼ下半部に位置せしめて設置さ
れた剛性部材より成るベース部材に対して、スプリング
部材を介して支承されていることを特徴とする。
【0038】以上に説明した請求項11の発明による
と、弾性部材から成る補助路材がスプリング部材によっ
て支承されているので、上記補助路材のゴム弾性とスプ
リング部材のバネ弾性とが相加されて、軌道車の車輪フ
ランジの通過に際して大きい抵抗を示すことなく退避
し、該軌道車の通過後は自動的に復元して歩行者等の踏
切通過を容易かつ快適ならしめる。さらに、補助路材の
ゴム硬度とスプリング部材のバネ定数との組み合わせを
選定することによって所望の特性が得られるように設定
することができるので設計的自由度が大きい。
【0039】
【発明の実施の形態】図1は本発明に係る踏切の隙間を
塞ぐ装置の1実施形態を示し、(A)は軌道車が通過し
ていないとき歩行者が踏切を渡っている状態を模式的に
描いた垂直断面図、(B)は軌道車が通過している時そ
の車輪のフランジによって補助路材を踏み潰している状
態の垂直断面図である。((A)図参照)レール2の頂
面と護輪器20の頂面とは元来ほぼ等高に揃えられ、踏
切路材(図6および図7について説明したように、木
材,石材,コンクリートブロックなどが用いられ、アス
ファルト舗装される場合もある)3も、ほぼ等高に揃え
られている。これらの構成部分とほぼ等高ならしめるよ
うに頂面を揃えて、合成ゴム製のブロックから成る補助
路材6が設置されている。本図の例においてレール2の
左側が外側、右側が内側であって、該レール2の内側に
対向離間して護輪器20が設置され、前記の補助路材6
は該レール2の内側に形成される隙間を埋める形に設置
される。
【0040】前記の補助路材6を構成する合成ゴムのゴ
ム硬度の設定値には若干の幅(許容範囲)が有る。その
下限(柔軟な限度)は、通常の成人女性が歩行中に本図
1(A)のようにハイヒール5で踏みつけたとき、該補
助路材6の弾性変形による頂面の沈下量が13ミリメー
トルを越えないようにする。この13ミリメートルとい
う寸法は、レール2の頂面のアール(矢印R)に相当
し、かつ、レール2と護輪器20との間隔寸法(D≒6
5ミリメートル)の20%に相当する(上記の寸法R=
13ミリメートルは、JISによって規定されてい
る)。この程度の頂面沈下量(13ミリメートル以下)
では、ハイヒールが嵌まり込んで抜けなくなる虞れは無
く、重大な人身事故を招くことが無い。また、取り落と
した小銭や装身具が補助路材6上に乗ったときの沈下量
はゼロと見做すことができ、容易にかつ迅速に拾い上げ
ることができる。また、前記の沈下量(13ミリメート
ル以内)では、車椅子の補助輪(キャスター)が嵌まり
込んだり、ベビーカーの車輪が嵌まり込んだり、買物車
の車輪が嵌まり込んだりしても、脱出不能になって立往
生してしまう虞れが無く、従って重大な人身事故を誘発
するに至らない。
【0041】前記補助路材6のゴム硬度設定値の幅(許
容範囲)の上限(硬い限度)は、図1(B)に示したよ
うに車輪4のフランジ4aに踏み潰される形に変形した
とき、車輪4の踏面がレール2の頂面から浮き上がらな
いことである。前記車輪の踏面が浮き上がらない限り、
該車輪のフランジ4aがレール2の頭部側面に掛かって
いるので、脱線事故の虞れは全く無い。本図1(B)の
状態で、変形した補助路材はレール2の長手方向と直角
にほぼ水平方向にゴム弾性により膨張するが、本実施形
態においては補助路材が側方に膨出する余裕空間がレー
ル2の本来の形状、および、古レールから成る護輪器2
0の本来の形状によって自然に形成されている。図示を
省略するが、先に述べた連設軌道に本実施形態を適用す
る場合は、変形した補助路材6′が側方に膨出し得る余
裕空間を設けておくことが望ましい。
【0042】前掲の図1は、レール2と交差している道
路の路面が水平な場合について述べたが、路面は水はけ
のための傾斜を付する以外に登り坂もしくは降り坂をな
している場合も有る。特に、軌道がカーブしている箇所
と道路とが交差する場合には、踏切を通過して走行する
軌道車に掛かる遠心荷重と重力荷重との合力が左右のレ
ールに均等に掛かるよう、左,右のレールに標高差を与
える形の傾斜が付される。こうした事情を考慮に入れる
と、前記補助路材6が別段の外力を受けない場合の頂面
の形状と位置とは次のように設定される。すなわち、レ
ール2の頂面と護輪器20の頂面とに接する仮想の平面
を想定する(レール2の頂面と護輪器2の頂面とに接し
得る平面が無くて、円錐面もしくはそれよりも複雑な曲
面である場合は、平面と見做し得る程度の小部分に分割
して、それぞれの部分ごとに考えれば良い)。補助路材
6が別段の外力を受けないときの自由形状における頂面
は、前記仮想の平面にほぼ接せしめるように設定する。
上記の「ほぼ接する」の「ほぼ」とは、一般公差を許容
することを意味している。
【0043】図2は、本発明に係る踏切の隙間を塞ぐ手
段の1実施形態における、補助路材の端部近傍を示し、
通過しようとしている軌道車の車輪とその動きを表す矢
印とを付記した垂直断面図である。ただし、構造機能の
理解に便なるごとく模式化して描いてあるので、各構成
部材の形状・寸法は実体を写実的に表した投影図にはな
っていない。レール2の内側に補助路材6が設置されて
いる。読図の便宜上、該補助路材6に斑点を付して示し
た。この補助路材の頂面はレール2の頂面と等高に揃っ
ているが、図上で重なると読図しにくいので、レール2
の頂面よりも補助路材6の頂面を僅かに下げて描いてあ
る。
【0044】軌道車の車輪4は矢印rのように回転しつ
つ矢印F方向に進行し、その踏面4bがレール2の頂面
上を転動する。図示の線Kは、上記の作動においてフラ
ンジ4aが移動する軌跡範囲の下限を示し、レール2の
頂面、および補助路材6の頂面と平行である。上記補助
路材6の頂面は、踏切区域内(軌道と道路とが交差して
重なっている区域内)においてはレール2の頂面と等高
に揃えられているが、該区域よりも端部においては、端
に向かって降り坂となる形の傾斜面6aが形成されてい
て、その下端部は前記軌跡範囲の下限kよりも低くなっ
ている。なお、道路交通法によれば軌道上を走行しなく
ても架線に沿って走行する車両は軌道車であると定めら
れているが、本発明において軌道車とは、軌道上を鉄輪
で走行する車両のみを言い、トロリーバスや懸垂式モノ
レールやゴムタイヤ式モノレールは含まないものとす
る。
【0045】軌道車が高速走行しつつ踏切を通過する
と、車輪フランジ4aが補助路材に対して急速に接近し
て接触するので、衝撃音を発生したり、異常振動を生じ
たりする虞れが無いとも限らない。しかし、前記の傾斜
面6aが設けられていると、回転しつつほぼ水平方向に
接近してきたフランジ4aが傾斜面の途中に乗り上げる
形に接触し、これと同時に軌道車の重力荷重により補助
路材6が踏みつけられて高さ寸法を減少する形に弾性変
形する。その上、この傾斜面6aがゴム弾性を有する材
料で構成されているので、著しい衝撃音や異常振動を生
じない。このようにして軌道車の車輪4は大きい抵抗を
受けることなく円滑,静粛に踏切を通過する。
【0046】前述のようにして補助路材6が車輪4によ
って踏みつけられて、その頂面が前述の線kまで降下す
ると、その後は補助路材6の頂面が硬質の材料で構成さ
れていても衝撃音を発したり衝撃破損を生じたりする虞
れが無い。そこで本実施形態においては、補助路材6の
頂面に、前記の傾斜面6aを除いて、硬質表層6bを設
けてある。補助路材6の頂面を含めて上層部を硬くする
ための具体的手段については図3を参照して後述する
が、例えば合成ゴム製補助路材6の頂面に鋼板を焼き付
けても良く、硬質材料(例えばセラミックス)の粉末,
粒子,タイルなどを埋め込んでも良い。このようにして
補助路材6の表層を硬くすると、これをハイヒールの踵
で踏みつけたときの踏み応えが明確になり、不安定感を
与えることが無い。
【0047】前述のごとく硬質表層6bを設けること
は、補助路材6の耐摩耗性を上げるためにも重要な実用
的意義を有している。その理由は、該補助路材6と車輪
フランジ4bとの間には、次に述べる理由により、僅少
な滑りが発生することを避け難いからである。軌道車が
急制動しつつ踏切を通過する場合も有れば、加速しつつ
通過する場合も有るので、これらの場合には車輪4の踏
面4bとレール2の頂面との間に滑りを生じる。しか
し、車輪4の踏面4bとレール2の頂面との間に滑りの
無い状態で車輪4が転動しても、踏面4bの直径に比し
てフランジ4aの外周面の直径が大きい。このため、踏
面4bの周速とフランジ4aの外周面の周速との間に差
を生じる。この周速差の大半は補助路材6のゴム弾性で
吸収されるが、微小な滑りの発生は避け難い。前記の硬
質表層6bは、滑りによる摩耗を防止して耐久性を向上
させる。補助路材6の表面には塵埃や砂粒などが付着し
て車輪フランジとの間に挟み込まれて摩耗を促進する場
合が有るので、材質的な工夫によって摩耗を防止するこ
とは重要である。
【0048】図3は、補助路材の弾性変形によって果た
される機能を妨げることなく、該補助路材の表層部を硬
くするための構造を示し、(A),(B),(C),
(D)はそれぞれ異なる実施形態におけるレール2に直
交する面で切断して描いた模式的な垂直断面図である。
図3(A)の実施形態においては、材質的な硬度分布が
均一でない複合硬度形補助路材7が設置され、その上層
は硬質ゴム部7aにより、その他は軟質ゴム部7bによ
り、それぞれ構成されている。このように上層部のゴム
硬度を硬くする方法としては、加硫技法,硬質微粒子混
練技法その他の公知技術を適宜に利用することができ
る。
【0049】図3(B)の実施形態においては、材質的
なゴム硬度が均一であって、その密度分布が一様でない
複合密度形補助路材8が設置されている。本実施形態の
複合密度形補助路材8は、その頂面を含む上層部は空隙
を有しない内実ゴム部8aになっており、その他の部分
は多孔質のスポンジ状の多孔ゴム部8bになっている。
このような構成によれば、補助路材を形成する合成ゴム
材料の化学的組成が単一であるため製造が容易で製品品
質の均一性を得やすい。その上、上層部が内実であるた
め、これを踏みつける歩行者の踵に充分な反力を与えて
踏み心地を良くし、歩行安定感が得られる。さらに、頂
面付近が内実であるため、車輪のフランジが繰り返して
通過しても早期摩耗が進行せず、充分な耐久性を発揮す
る。
【0050】図3(C)の実施形態においては、中空状
の気体入り補助路材9が設けられている。上記の気体は
空気とすることが適正であるが、他の気体であっても良
い。前記中空状部の中の気体(例えば空気)は密封して
おいても良いが、図に示したように「流入を許容して流
出を阻止する方向性を有するチェックバルブ10」およ
びエアフィルタ11、並びにブリーザ12を介して大気
に連通せしめておいても良い。このように構成しておく
と、空気を密封した場合のような「エア抜け」のトラブ
ルを生じる虞れが無く、別段の外力を受けない状態にお
ける中空部内圧を常に大気圧と等しく保っておくことが
できる。本実施形態のように中空部を形成する場合、自
動車用タイヤに関する公知技術を応用してキャンバスを
ラミネートすることが望ましい。ただし、本発明におけ
る補助路材が支持しなければならない荷重は自動車用タ
イヤに比して著しく軽い。すなわち、自動車用タイヤは
トン単位の車両重量を支持しなければならないが、本発
明における補助路材は軌道車の荷重に抗して突っ張る必
要は無く、踏み潰される形に退避すれば良いからであっ
て、本発明における補助路材は歩行者、車椅子、および
これに類するものの重力荷重を支持すれば足りる。
【0051】図3(D)の実施形態においては、合成ゴ
ム製の中空状の液体入り補助路材13が設けられてい
る。前掲の(C)図に示した実施形態における気体は圧
力に反比例して収縮したが、本(D)図の実施形態にお
ける液体は圧力を受けても体積が変わらず、上下方向に
踏み潰されると側方に膨出する。本実施形態においては
上記の液体の特性を利用して、前記液体入り補助路材1
3と「護輪器を含めた踏切路材19」との間に形成され
ている凹部に、圧縮コイルスプリング形のスプリング1
4を配設して、前記液体入り補助路材13の側面の膨出
を弾性力で阻止する形に支持してある。これにより、液
体入り補助路材13を構成している合成ゴム材料のゴム
弾性とスプリング14のバネ弾性とが協働して、歩行者
等の重力荷重を支持するとともに、車輪フランジの通過
に著しい抵抗を与えることなく退避する。
【0052】図4は、さらに異なる実施形態に係る補助
路材の2例を示し、(A),(B)はそれぞれ異なる実
施形態におけるレールと直角な面で切断して模式的に描
いた垂直断面図である。((A)図参照)気体入り補助
路材9′は前掲の図3(C)に示した気体入り補助路材
9と類似の構成部材であって、頂壁部分が厚肉に形成さ
れて踏み心地(歩行安定感)を良くしている。上記気体
入り補助路材9′の側壁に1対の当て板が対向当接せし
められ、これら1対の当て板15をテンションスプリン
グ16によって相互に引きつけることにより、側壁部の
膨出を阻止する形に弾性的に支持している。この実施形
態によると、気体入り補助路材9′の頂面の沈下を
(イ)気体入り補助路材9′を形成している合成ゴム材
自体のゴム弾性と、(ロ)中空部の気体容積が圧力に反
比例する気体弾性と、(ハ)テンションスプリング14
のバネ弾性との三者協働によって弾性的に支持してい
る。このように、弾性的支持の構成要素が多い(3要
素)ので設計的自由度が大きい。
【0053】図4(B)に示した実施形態においては、
補助路材が上半部17Aと下半部17Bとに分割され、
下半部17Bがレール2および踏切路材3に対して固定
されている。そして補助路材の上半部17Aは、スプリ
ング18によって前記の補助路材下半部17Bに対して
弾性的に支持されている。本図4(B)に示した実施形
態においては、補助路材・上半部17Aと同・下半部1
7Bとの間に小石などが侵入しないようにシール構造
(図示せず)を設けなければならないが、本図4(B)
から容易に理解されるように、砂粒程度よりも大きい礫
は入り込む虞れが無い。砂粒程度の異物が侵入しても、
少量であれば格別の不具合を生じないので、定期的な点
検整備を怠らなければ重大な不具合を招くには至らな
い。
【0054】前掲の図4(B)に示した実施形態におい
ては、合成ゴム製の補助路材を上下に分割して、合成ゴ
ム製補助路材・上半部17Aと、合成ゴム製補助路材・
下半部17Bとを構成した。これにより、合成ゴムのゴ
ム弾性とスプリング18のバネ弾性との協働によって所
望の弾性的機能が得られた。図示を省略するが、前記合
成ゴム製の補助路材・下半部17Bに代えて、これとほ
ぼ同一の形状・寸法の剛性部材を設置して、この剛性部
材によりスプリング18を介して補助路材・上半部17
Aを弾性的に支持しても、図4(B)の実施形態におけ
るとほぼ同様の効果が得られる。上述の考察によって明
らかになったように、ゴム弾性を有する補助路材(符号
17Aの部材、もしくはこれに類似する部材)を、スプ
リング18によって支承することによって、踏切の隙間
を塞ぐ構造によっても、「歩行者のハイヒールその他の
車輪や身辺小物がレールと護輪器との間に嵌まり込むこ
とを防止し、かつ、軌道車の車輪の通過に有害な抵抗を
与えない」という効果が果たされる。
【0055】
【発明の効果】以上に本発明の実施形態を挙げてその構
成・機能を明らかならしめたように、請求項1の発明方
法によると、レールの内側と護輪器との間に設置された
弾性部材の頂面がレール頂面とほぼ等高になるので、該
弾性部材の頂面は必然的に護輪器の頂面および踏切路面
とほぼ等高になり、踏切区域(軌道と道路とが交差して
いる区域)の上面がほぼ平坦になる。しかも、前記弾性
部材は歩行者の踵に踏まれても沈下量がレール頂部のR
寸法(図1参照・法定値13ミリメートル)以下である
から、例えばハイヒールがレールと護輪器の間に嵌まり
込んで重大な事故を誘発する虞れが無い。レール頂部の
断面形状のR寸法(図1参照)は法規によって13ミリ
メートルと定められている。この寸法はレールと護輪器
との間隔寸法の約1/5であって、この程度の凹みでは
最悪の場合でも、脱げた靴が挟まって抜けなくなるとい
う状態には至らない。
【0056】レールと護輪器との間に嵌まり込んだり落
ち込んだりする虞れの有るものとしては、ハイヒールの
他に、ベビーカーの車輪や車椅子の補助輪、および身辺
の小物などを考慮しなければならないが、これらの物品
が受ける重力荷重は通常の成人の片足荷重よりも小さい
ので、これらの物品の重量荷重による弾性部材の沈下量
はいずれの場合であっても頂部R寸法(13ミリメート
ル)未満であり、重大な事故を誘発する虞れは無い。ベ
ビーカーの車輪,買物車の車輪,および車椅子の補助輪
はいずれも比較的小径であって障害物の乗り越えは不得
意であるが、幅約70ミリメートル、深さ13ミリメー
トル未満の凹みに入り込んだ場合、脱出にさして困難は
無い。この踏切を軌道車が通過する場合、軌道車の重力
荷重は、通常の成人の片足荷重をいくら大き目に見積も
っても100キログラムであるのに比して格段に大きく
(トン単位)、容易に弾性部材を変形させるので、車輪
の踏面がレール頂面から浮き上がることは無い。
【0057】軌道車が通過するとき車輪フランジと干渉
しないように退避させ、該軌道車が通過した後は踏切路
面を平坦ならしめるように復元させる作用は弾性部材の
弾性によって得られるので、機械工学便覧に載せられて
いる機械要素を用いる必要が無い。このため、別段のセ
ンサや,増幅器や,アクチュエータを用いず、自動的に
遂行されて作動信頼性が確実である。高度の自動機構や
電子機器を介在せしめずに踏切の隙間を必要に応じて塞
ぎ、必要に応じて開くので、全国6万を越える4種踏切
(遮断機無し)に最も好適であり、これよりも等級の高
い3種,2種,1種踏切に適用しても実用的効果が大き
い。
【0058】請求項2の発明方法によると、前記の弾性
部材が、踏切を通過する軌道車の車輪フランジの接触を
最初に受ける箇所が傾斜していることになる。この傾斜
は、車輪を基準にして見ると登り坂の途中に向かって水
平方向に衝突する形になる。このため、車輪フランジが
弾性部材に対して、いわゆる正面衝突する形にならず、
斜面に対して斜衝突してこれを踏み下ろすような衝突形
態を現出するので、著しい衝撃音や異常振動を発生しな
い。弾性部材の両端部において上述のように比較的緩や
かに衝突して、弾性部材が踏み下ろされるので、軌道と
交差している道路幅区間(等高区間)においては車輪フ
ランジと弾性部材との衝突を生じない。このため、弾性
部材の道路幅の区間(等高区間、すなわち傾斜部以外)
は、頂面の硬度を高くして耐摩耗性を与えても、この高
硬度部分から衝撃音や衝突火花を生じる虞れが無く、軌
道車が円滑かつ静粛に踏切を通過することができる。
【0059】請求項3の発明方法によると、弾性部材が
車輪フランジの接触を受ける「頂面を含む上層の部分」
のゴム硬度を硬くしたので、軌道車が踏切を通過する
際、弾性部材が該軌道車の車輪フランジの接触を受ける
面の摩耗が軽減されて耐久性が向上する。この接触面に
は微小の滑りを生じることを避け難いので、耐摩耗性を
与えることの実用的効果は大きい。前記の弾性部材全体
のゴム硬度を高くすると、該弾性部材と車輪フランジと
の接触圧力が高くなって、上述した耐摩耗効果が減殺さ
れるので、本請求項の発明は、弾性部材が摩擦を受ける
上層部以外の部分のゴム硬度を軟らかくして前記の接触
圧力を下げた。これにより弾性部材の頂面の摩耗が有効
に防止される。さらに、ゴム硬度の高い弾性部材が車輪
フランジによって繰り返し踏み潰されると材質の疲労が
進行して亀裂を生じるなどの不具合を招くが、本請求項
の発明は弾性部材の上層部以外のゴム弾性を軟らかくし
たので、弾性部材中に過大な応力を生じて疲労亀裂を生
じる虞れが無い。
【0060】請求項4の発明装置によると、レールおよ
び護輪器の頂面とほぼ等高の、弾性材より成る補助路材
が設けられているので、軌道と交っている道路の面がほ
ぼ平坦となり、歩行者や、車椅子や、買物車や、乳母車
などの、歩道を通行する通行者は容易に踏切を渡ること
ができる。また、自動車,オートバイ,荷車,自転車な
どの、車道を通行すべきいわゆる車馬も容易に踏切を渡
ることができる。前記通行者の中で最も重力荷重の大き
い歩行者の踵の重力を受けたとき、前記弾性部材頂面の
沈下量がレール頂部のR寸法(図1参照・法定値13ミ
リメートル)以下であるから、車椅子の補助輪や、買物
車の車輪や、乳母車の車輪が前記弾性部材から成る補助
路材を踏みつけても頂面の沈下量は頂部R寸法(13ミ
リメートル)未満である。従って、これらの踵(ハイヒ
ールを含む),各種車輪がレールと護輪器との間に嵌ま
り込んで脱出できなくなる虞れが無い。
【0061】車椅子の主輪や、自動車類の車輪や、荷重
の車輪や、自転車の車輪に掛かる荷重は、歩行者の片足
荷重に比してほぼ等しいか、もしくは著しく大きい。従
ってこれらの車輪の荷重が弾性部材より成る補助路面に
掛かったならば13ミリメートル以上の頂面沈下を生じ
る場合が有り得る勘定になる。しかし、自動車類(道路
交通法の規定による)のタイヤ幅寸法は、レールと護輪
器との間隔寸法(約70ミリメートル)よりも大きいの
で、自動車類の車輪がその車軸をレールと直角に(走行
方向をレールと平行にしても、レールと護輪器との間に
タイヤが嵌まり込むことは無い。また、自転車や荷車の
車輪幅寸法はレールと護輪器との間隔寸法りよも狭い
が、これらの車輪の直径が上記間隔寸法に比して著しく
大きいので、踏切を渡っている途中で該車輪の全荷重を
補助路材に掛けて嵌まり込むというトラブルを生じる虞
れは無い。
【0062】請求項5の発明装置によると、軌道車が踏
切を通過する際の衝撃音や異常振動の発生を防止するこ
とと、弾性材料より成る補助路材の耐摩耗性とを両立せ
しめることができる。すなわち、軌道車の車輪が抵抗を
受けずに踏切を円滑・静粛に通過するためには、前記の
補助路材をなるべく柔軟な材料で構成することが望まし
い。硬質の補助路材を設置しておくと、高速で走行して
いる車輪のフランジが接触するとき大きい衝撃を受ける
からである。しかし乍ら、車輪の踏面に比してフランジ
外周面は若干(3〜4センチメートル)大径であるため
周速差が有り、フランジ外周面と補助路材との間に僅か
ながら滑りを生じるので、柔軟な材料で補助路材を構成
すると早期摩耗を生じる。そこで本請求項5においては
前記補助路材の先端付近に傾斜が付されているので、軌
道車の車輪フランジが補助路材に対して正面衝突する形
で接触することなく、斜面に対してほぼ水平に接近して
接触する。これにより補助路材が車輪フランジから受け
る力の形態は、衝撃力に比して大きい圧下力を受け、容
易に弾性変形して干渉を回避し、車輪フランジの通過を
許容する。これにより、所要の耐摩耗性を有する材料で
補助路材を構成しておいても早期摩耗が進行して耐用命
数を縮める虞れが無い。
【0063】請求項6の発明装置によると、軌道車が通
過する際に補助路材が該軌道車の車輪フランジに対して
大きい抵抗を与えることなく円滑に通過を許容し、か
つ、補助路材が、上記車輪フランジと接触する面の耐摩
耗性を向上せしめることができる。補助路材を、ゴム弾
性を有する材料によって構成すると、歯車や軸受機構な
どのいわゆる機械要素を用いることなく弾性的退避・復
元作動が得られるので、構造がより簡単で作動信頼性が
高い。その上、該補助路材が車輪フランジの接触を受け
る頂面付近に金属性材料ないしセラミック性材料が混入
されていると、弾性ゴムの弾性を妨げることなく耐摩耗
性が向上する。また、金属性ないしセラミック性の材料
が補助路材の頂面に貼着されていると、該補助路材全体
としてのゴム弾性を損うことなく耐摩耗性が向上する上
に、ハイヒールで踏んだとき局部的に変形しない。これ
を歩行者の官能に基づいて見るとヒールで踏まれた路面
が沈むことなく、確実に反力を生じて歩行を支援してく
れる、という感じを受けて快適である(比喩的に言うな
らば、炎天下のアスファルト舖装を踏みつけたり蛙を踏
み潰したりした時のような、グニャッとした感じを受け
ない)。歩行者の快適感もさることながら、歩行者の安
定感が得られることは重要な効果である。
【0064】請求項7の発明装置によれば、比較的硬質
のゴム材料によって補助路材を構成し、しかも軌道車の
通過に著しい抵抗を与えることがない。すなわち、多孔
質のゴム材料は同じゴム硬度の内実のゴム材料よりも見
かけの弾性常数が低くて変形し易いので、本請求項を適
用して頂面近傍以外の箇所を多孔質に構成すると、比較
的硬質のゴム材料を用いても補助路材全体としての見か
けのゴム硬度が柔軟で軌道車の車輪フランジの通過に対
して順応し、しかも頂面の耐摩耗性を上げることができ
る。その上、比較的硬質のゴム材料を用いることにより
歩行者の踏み心地に安定感を与えることができる。
【0065】請求項8の発明装置によると、ゴム材料自
体のゴム弾性のみに依存することなく、比喩的に言えば
空気入りタイヤの弾性効果を利用して、すなわち中空部
に入っている気体の体積変化を利用して、軌道車の車輪
フランジが通過するとき柔軟に退避させ、通過後は速や
かに復元せしめることができる。しかも、中空ゴム製補
助路材の頂壁が厚肉に形成されているので耐用命数が長
く、その上、この厚肉の頂壁を踏んだ歩行者の踵に明確
な反力を与えて、歩行安定感を確保することができる。
この請求項8の作用効果を別の面から見れば、中空部に
封入されている気体(例えば空気)の気体弾力性によっ
て補助路材の弾性変形を行なわせるので、ゴム材質は比
較的硬いものを選定しても所望の弾性が得られる。従っ
て、硬質ゴムを用いることによる耐摩耗効果や、硬質ゴ
ムを用いることによる歩行者の踏み心地の良さ(歩行安
定感)が得られる。前記中空部の気体は密封されていて
も良いが、チェックバルブを介して大気に連通させてお
くと、日常の点検整備の手数が軽減される。
【0066】請求項9の発明によると「軌道車の車輪フ
ランジに踏みつけられたとき退避して、該軌道車の通過
後自動的に復元する」という弾性的な作動を、補助路材
を構成する合成ゴム材料の弾性のみに依存することな
く、封入された液体を介して外部バネ部材によって果た
すことができる。このため、合成ゴム部材の経年的劣化
による物性変化に煩わされることが少なく、所望の機能
を長期間に亙って維持することができる。補助路材の中
空部に封入されている液体は、外力を受けても体積を変
えることなく、かつ、その形状を自在に変化させるの
で、補助路材の頂面を硬くし、もしくは硬質の部材を取
り付けて耐摩耗性を持たせることも、歩行者の踏み心地
を良くすることも、任意に適宜に併用することができ
る。
【0067】請求項10の発明装置によると、補助路材
を構成しているゴム弾性部材の弾性のみに依存せず、補
助路材の上半部を支承しているスプリング部材によって
「軌道車の車輪フランジの接触を受けて退避し、軌道車
が通過した後自動的に復元して歩行者等の通行路面を形
成する」という作用が果たされる。この作用に際して補
助路材の上半部が弾性材料で構成されているので、車輪
フランジが高速で接近して接触した場合に緩衝機能を発
揮し、軌道車の踏切通過を円滑,かつ静粛ならしめる。
【0068】請求項11の発明によると、弾性部材から
成る補助路材がスプリング部材によって支承されている
ので、上記補助路材のゴム弾性とスプリング部材のバネ
弾性とが相加されて、軌道車の車輪フランジの通過に際
して大きい抵抗を示すことなく退避し、該軌道車の通過
後は自動的に復元して歩行者等の踏切通過を容易かつ快
適ならしめる。さらに、補助路材のゴム硬度とスプリン
グ部材のバネ定数との組み合わせを選定することによっ
て所望の特性が得られるように設定することができるの
で設計的自由度が大きい。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る踏切の隙間を塞ぐ装置の1実施形
態を示し、(A)は軌道車が通過していないとき歩行者
が踏切を渡っている状態を模式的に描いた垂直断面図、
(B)は軌道車が通過している時その車輪のフランジに
よって補助路材を踏み潰している状態の垂直断面図であ
る。
【図2】本発明に係る踏切の隙間を塞ぐ手段の1実施形
態における、補助路材の端部近傍を示し、通過しようと
している軌道車の車輪とその動きを表す矢印とを付記し
た垂直断面図である。ただし、構造機能の理解に便なる
ごとく模式化して描いてあるので、各構成部材の形状・
寸法は実体を写実的に表した投影図にはなっていない。
【図3】補助路材の弾性変形によって果たされる機能を
妨げることなく、該補助路材の表層部を硬くするための
構造を示し、(A),(B),(C),(D)はそれぞ
れ異なる実施形態におけるレール2に直交する面で切断
して描いた模式的な垂直断面図である。
【図4】さらに異なる実施形態に係る補助路材の2例を
示し、(A),(B)はそれぞれ異なる実施形態におけ
るレールと直角な面で切断して模式的に描いた垂直断面
図である。
【図5】道路と軌道(鉄道)とが交差している個所に設
置された踏切設備の概要を示す平面図であって、遮断
機,標識,信号機器類および電気・通信設備の図示は省
略してある。
【図6】いわゆる板張り式の踏切を示し、レールに直交
する垂直断面図であって、前掲の図5に示されたA−A
断面に相当する。
【図7】ブロック舗装された踏切の1例として示したコ
ンクリートブロック舖装踏切の断面図である。
【図8】従来例の踏切における技術的問題を説明するた
めの、レールに直角な垂直断面図である。
【符号の説明】
1…まくら木、2…レール、2L…左側レール、2R…
右側レール、3…踏切路材、3a…内側路材、3b…外
側路材、4…車輪、4a…フランジ、4b…踏面、5…
ハイヒール、6…補助路材、6′…踏みつけられて変形
した補助路材、6a…傾斜面、6b…硬質表層、7…複
合硬度補助路材、7a…硬質ゴム部、7b…軟質ゴム
部、8…複合密度形補助路材、8a…内実ゴム部、8b
…多孔ゴム部、9,9′…気体入り中空補助路材、10
…チェックバルブ、11…エアフィルタ、12…ブリー
ザ、13…踏切路材、13a…凹部、14…スプリン
グ、15…当て板、16…テンションスプリング、17
A…補助路材・上半部、17B…補助路材・下半部、1
8…スプリング、19…踏切路材、19a…凹部、20
…護輪器、21…基礎栗石、22…基礎コンクリート、
23…コンクリートブロック、24…アスファルトコン
クリート舖装、25…路床バラスト、26…木材、27
…車椅子補助輪、28…スペーサ。

Claims (11)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 踏切に設置されている1対のレールのそ
    れぞれについて、レールの内側と護輪器との間に形成さ
    れている空間内に位置せしめて弾性部材を設置し、 上記弾性部材の頂面を、前記レールの頂面とほぼ等高な
    らしめるとともに、 上記弾性部材の弾性を、「上記レール上を通過する車輪
    のフランジ部に踏まれて車輪荷重の一部を受けたとき、
    該車輪を浮き上がらせることなく弾性変形し、かつ、歩
    行者の踵に踏まれて体重を受けたとき、該弾性部材の沈
    下量がレール頂部のR寸法を越えない程度」とすること
    を特徴とする、踏切の隙間を防ぐ方法。
  2. 【請求項2】 前記の弾性部材を設置する際、軌道と交
    差している道路の幅に相当する区間における該弾性部材
    の頂面をレールの頂面とほぼ等高ならしめ、上記の等高
    区間よりも両端に近い区間においては、弾性部材の端に
    向けて降り坂となる形の傾斜を付し、 上記傾斜の坂下に当たる個所の高さ方向位置は、前記レ
    ール上を通過する車輪のフランジ外周の通過軌跡範囲よ
    りも低からしめることを特徴とする、請求項1に記載し
    た踏切の隙間を塞ぐ方法。
  3. 【請求項3】 前記の弾性部材を、硬度分布が均一でな
    いゴム弾性材料によって構成するとともに、 頂面を含む上層の部分のゴム硬度を硬くし、 上記上層部を除く中央部および下層部のゴム硬度を軟ら
    かくすることを特徴とする、請求項1もしくは請求項2
    に記載した踏切の隙間を塞ぐ方法。
  4. 【請求項4】 1対のレールと、上記レールそれぞれの
    内側に対向・離間せしめて設置された護輪器とを有する
    踏切において、 前記レールと護輪器との間に形成される空間内に位置せ
    しめて、弾性材料より成る補助路材が設置されており、 かつ、上記補助路材が別段の外力を受けていないとき、
    該補助路材の頂面の位置は、レール頂面と護輪器頂面と
    に接する仮想の平面にほぼ接しており、 前記補助路材の弾性は、レール上を通過する車輪のフラ
    ンジ部に踏まれて車輪荷重の一部を受けたとき該車輪の
    踏面をレール頂面から浮き上がらせないように被圧縮変
    形することができ、かつ、踏切を渡る歩行者の靴の踵に
    踏まれて体重を受けたとき、頂面の沈下量がレール頂部
    のR寸法以下となるように設定されていることを特徴と
    する、踏切の隙間を塞ぐ装置。
  5. 【請求項5】 前記の補助路材は、レールの長手方向と
    平行する長さを有する部材であり、踏切を渡る歩行者お
    よび車両に踏まれる可能性が有る区間よりも先端に近い
    部分の頂面は、先端に向かって降り坂の形となる傾斜を
    なしており、かつ、上記傾斜部分の低い方の端は、前記
    レール上を通過する車輪のフランジ部の外周の通過軌跡
    範囲よりも低い位置にあることを特徴とする、請求項4
    に記載した踏切の隙間を塞ぐ装置。
  6. 【請求項6】 前記の弾性部材より成る補助路材はゴム
    弾性を有する部材であり、 かつ、その頂面を含む上層部は、他の部分よりもゴム硬
    度が高く、または、金属性ないしセラミック性の材料が
    混入されており、もしくはこれらの材料が接合されてい
    ることを特徴とする、請求項4もしくは請求項5に記載
    した踏切の隙間を塞ぐ装置。
  7. 【請求項7】 前記の弾性部材より成る補助路材は合成
    ゴム材料によって構成されており、頂面を含む上層部を
    除く部分の内で少なくとも一部分が多孔質のスポンジ状
    に形成されていることを特徴とする、請求項4もしくは
    請求項5に記載した踏切の隙間を塞ぐ装置。
  8. 【請求項8】 前記の弾性部材より成る補助路材が合成
    ゴム材料によって中空に構成されるとともに、頂部の壁
    は厚肉に形成されており、 前記中空部は大気に対する連通を遮断され、もしくは、
    流入を許容して流出を阻止する方向性を有するチェック
    バルブを介して大気に連通されていることを特徴とす
    る、請求項4もしくは請求項5に記載した踏切の隙間を
    塞ぐ装置。
  9. 【請求項9】 前記の弾性部材より成る補助路材が合成
    ゴム材料によって中空に構成されるとともに、頂部の壁
    は厚肉に形成され、かつ、上記中空部に液体か封入され
    ていて、 上記中空状の弾性部材より成る補助路材の側壁の膨張を
    阻止する方向の力を与えるバネ部材が設けられているこ
    とを特徴とする、請求項4もしくは請求項5に記載した
    踏切の隙間を塞ぐ装置。
  10. 【請求項10】 前記の弾性部材より成る補助路材は上
    下に分割されており、上半部は下半部に対してスプリン
    グ部材によって支承されていることを特徴とする、請求
    項4もしくは請求項5に記載した踏切の隙間を塞ぐ装
    置。
  11. 【請求項11】 前記の弾性部材より成る補助路材は、
    レールと護輪器との間に形成されている空間のほぼ上半
    の部分に位置しており、 上記空間のほぼ下半部に位置せしめて設置された剛性部
    材より成るベース部材に対して、スプリング部材を介し
    て支承されていることを特徴とする、請求項4もしくは
    請求項5に記載した踏切の隙間を塞ぐ装置。
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Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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US6521311B2 (en) 2000-12-15 2003-02-18 Yao Sangyo Kabushiki Kaisha Light-reflectable sticker
JP2014084644A (ja) * 2012-10-24 2014-05-12 Niigata Transys Co Ltd 軌道のレール取付構造
JP2017122315A (ja) * 2016-01-05 2017-07-13 公益財団法人鉄道総合技術研究所 レール隙間充填装置および踏切
GB2556927A (en) * 2016-11-25 2018-06-13 Pierce Martin Parry John Tramway system

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