JPH1161298A - TiAl金属間化合物基合金とその製造方法 - Google Patents

TiAl金属間化合物基合金とその製造方法

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JPH1161298A
JPH1161298A JP22165797A JP22165797A JPH1161298A JP H1161298 A JPH1161298 A JP H1161298A JP 22165797 A JP22165797 A JP 22165797A JP 22165797 A JP22165797 A JP 22165797A JP H1161298 A JPH1161298 A JP H1161298A
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cooling
feathery
alloy
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Minoru Shinki
稔 信木
Tokuzo Tsujimoto
得蔵 辻本
Kouichi Niinobe
幸市 新野邊
Akihide Akutsu
章英 圷
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 熱処理を施すだけで微細均一なミクロ組織に
制御されたTiAl金属間化合物基合金を提供する。 【解決手段】 TiAl金属間化合物基合金を高温のα
単相領域から冷却することにより直接にフェザリーγ組
織を生成させ、次いでα+γないしβ+γの2相もしく
はα+β+γの3相領域で焼き戻し時効する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この出願の発明は、TiAl
金属間化合物基合金の製造方法に関するものである。さ
らに詳しくは、この出願の発明は、難加工材料として知
られているTiAl基合金を軽量耐熱材料として実用化
するために有用なTiAl金属間化合物基合金の製造方
法に関するものである。
【0002】
【従来の技術とその課題】従来より、TiAl金属間化
合物基合金は軽量耐熱材料として航空宇宙産業など様々
な分野からその実用化が期待されているが、この合金特
有の脆さという問題点を克服できないことから難加工材
料としてその取扱いが苦慮されておりこのような問題点
を克服して軽量耐熱材料として利用するには、成形加工
に適する微細均一なミクロ組織に制御することが必要で
あると考えられている。
【0003】このような、TiAl金属間化合物基合金
の組織制御方法としては、高温のα相領域から氷水冷な
どの急冷によるマッシブ変態を利用した組織制御法がこ
れまでに提案されている。しかしながら、この方法にお
いては、変態によって生成するマッシブγ相の形態は、
α相の粗大な結晶粒組織を継承しており、これを焼き戻
し時効するとγ相の粗大な結晶粒とα2 相の極微細な結
晶粒の混粒組織を形成し、マッシブ変態時に生じる大き
な熱ひずみにより材料はしばしばミクロ割れの損傷を生
じる等の問題がある。
【0004】そこで、この出願の発明は、従来の問題点
を解消し、単に熱処理を施すだけで微細均一なミクロ組
織に制御されたTiAl金属間化合物基合金を得ること
が可能な、新しいTiAl金属間化合物基合金の製造方
法を提供することを目的としている。
【0005】
【課題を解決するための手段】この出願の発明は、上記
の課題を解決するものとして、TiAl金属間化合物基
合金であって、γ粒界にβ相がフィルム状に析出した組
織形態を有する均一微細等軸粒組織からなることを特徴
とするTiAl金属間化合物基合金(請求項1)を提供
する。
【0006】また、この発明は、結晶粒径が略30μm
以下の均一微細等軸粒組織からなる前記の合金(請求項
2)や、TiAl金属間化合物基合金は、その組成が、 Ti−Al−X (Xは、Cr、V、Nb、MoおよびWのうちの1種以
上の元素を示し、その原子%は、0.1〜10である)
で表わされる合金(請求項3)等も提供する。
【0007】そしてまた、この発明は、TiAl金属間
化合物基合金の製造法として、高温のα単相領域から制
御急冷することにより直接にフェザリーγ組織を生成さ
せ、次いでα+γないしβ+γの2相もしくはα+β+
γの3相領域で焼き戻し時効することを特徴とするTi
Al金属間化合物基合金の製造方法(請求項4)と、そ
の態様としての、冷却速度を略10〜40K/sとして
冷却することによりフェザリーγ相を生成させる製造方
法(請求項5)をも提供する。
【0008】
【発明の実施の形態】一般的に、TiAl基合金は高温
で安定なα相から急冷することによってマッシブγ組織
が形成され、空冷するとウイデマンステッテン型ラメラ
組織、徐冷するとラメラー組織が形成されることが知ら
れている。一方、この出願の発明では、TiAl基合金
を高温α単相領域から空冷することによって、フェザリ
ーγ組織を生成させることを特徴とし、マッシブγ組織
を生成させるために用いられる氷水冷や水冷あるいは油
冷などの特殊な冷却設備は不要としている。そして、こ
の発明のフェザリーγ組織の生成時には、マッシブγ組
織の生成時にしばしば見られるような材料の割れは生じ
ない。
【0009】このフェザリーγ組織については、粒界反
応で核生成の起点から同心円状に羽を広げた形態として
特徴づけられるものである。この発明におけるフェザリ
ーγ組織の形成については、短範囲拡散によるマッシブ
γ変態と長範囲拡散支配のγ相による相変態機構による
ものと考えられる。以下、この機構について検討してみ
る。
【0010】まず、添付した図1を考えることができ
る。この図1は、TiAl基合金の連続冷却曲線の模式
図である。図1のグラフの横軸のlogt軸に平行な
“α/α+γ”線と“Eutectoid ”線は、Ti−Al系
平衡状態図のαトランザス線と共拆線に匹敵する。“T
0 ”線と“α/α+α2 ”線はそれぞれα相からγ相が
析出を開始する温度とα相がα2 相に規則化する温度を
示している。しかし、実際の相変態はこの温度から開始
するのではなく、冷却速度に依存した3本の変態開始曲
線を通過して初めて起こる。
【0011】また、図1に示した“α→α+γ”の変態
曲線は、γ相がラメラ状に析出する変態を示し、“α→
Massive γ”線は短範囲拡散によるマッシブγ相変態に
よってγ相が析出することを示している。これらの2本
の曲線は、ラメラ状のγ相の析出は冷却速度が比較的遅
く高温で起こるのに対して、マッシブγ相変態は低温ま
で過冷し、その際に結晶に与えられた駆動力によって変
態が開始することを示している。
【0012】なお、図1においては、マッシブγ相の生
成点(M)と、ラメラ状析出点としてのウイデマンステ
ッテン型ラメラ組織の生成開始点(WL)を示してもい
る。ここで、組織形成がそれら2本の変態曲線が交差す
る領域を経る制御冷却について着目する。このうち、そ
れら2本の曲線の交点より低logt側、すなわち速い
冷却速度域(図1の冷却曲線1)の制御冷却では、1
度、“マッシブγ相変態”線を通過し、α相結晶粒界か
ら短範囲拡散によるγ相の変態が開始する。さらに“ラ
メラ状析出”線に到達すると、マッシブγ相の結晶粒内
に新たに“ラメラ状析出”によるγ相が核発生する。こ
の“ラメラ状析出”線を通過することにより、結果とし
て、フェザリーγ組織を形成するものと考えることがで
きる。
【0013】図1に示した“マッシブγ相変態”線だけ
を通過する速い冷却速度(図1の冷却曲線3)において
は、新たな“ラメラ状析出”によるγ相が核発生するこ
とはない。したがって、マッシブγ相変態においてはフ
ェザリーγ組織の形成におけるような相変態の歪み緩和
を生じない。そのため、マッシブγ相変態においては結
晶にせん断変形を起こし、転位、積層欠陥が多量に導入
される。
【0014】また、上記2本の線の交点を通過する冷却
速度(図1の冷却曲線4)では、マッシブγ相変態とラ
メラ状析出によるγ相変態が同時に起こる。この場合、
全面に極微細なフェザリーγ粒を形成する。すなわち、
2種類のγ相変態が粒界、粒内に係わらず一時に起こっ
たものと考える。さらに、上記の2本の線の交点より高
logt側に位置する冷却速度領域(図1の冷却曲線
2)でも、フェザリーγ組織は形成される。
【0015】図1にも示したが、ここで、前記のウイデ
マンステッテン型ラメラ組織(WL)について説明する
と、ウイデマンステッテン型ラメラ組織(WL)の形成
は、過冷却に伴う高い駆動力によりα相結晶の底面以外
からの柱面や錐面からγ相を生成した多方向の層状γ相
と、その後に底面から生成した一方向の層状γ相の形成
がある。ウイデマンステッテン型ラメラ組織(WL)
は、この2段階により構成されており、後者の一方向の
層状γ相形成に対応する変態曲線を図1のグラフに点線
で外挿した。この結果、α相からの冷却中のγ相変態の
プロセスは以下のように2種類に分岐する。
【0016】 多方向層状γ相→マッシブγ相→1方向層状γ相 (1) 多方向層状γ相→1方向層状γ相→マッシブγ相 (2) 上記(1)のプロセス(図1の冷却曲線2)では、最初
に多方向の、すなわちウイデマンステッテン型ラメラ組
織(WL)が形成される。次の段階ではそのウイデマン
ステッテン型ラメラ組織(WL)のラメラ界面や、ラメ
ラ粒界を起点としてマッシブγ相変態が開始する。その
後にマッシブγ相の粒内にラメラ析出型のγ相が核発生
し、マッシブγ相とは全く異なるフェザリーγ組織を形
成する。
【0017】しかし、(2)のプロセス(図1の冷却曲
線5)では、マッシブγ相変態する以前に安定な一方向
層状のラメラ型γ相の析出が起こるために、もはやフェ
ザリーγ組織を形成することなく、ウイデマンステッテ
ン型ラメラ組織となる。以上のように、図1のグラフに
示した“α→α+γ”線と“α→Massive γ”線の交点
を中心としてその両側に示す範囲の冷却速度領域で処理
された材料のみにフェザリーγ組織が生成されるものと
考えられる。このフェザリーγ組織は粒界反応で核生成
の起点から同心円状に羽を広げた形態である。フェザリ
ーγ組織内の個々のγ相は棒状で一方向に整列した形態
である。
【0018】この発明を特徴づける以上のようなフェザ
リーγ組織の形成は、TiAl基合金の冷却速度の制御
により可能とされるが、より実際的には、TiAl以外
の第3成分元素の添加により、このフェザリーγ組織の
形成は容易に実現されることになる。第3成分元素とし
ては、たとえばCr、V、Nb、Mo、W等の1種以
上、さらにはこれ以外の元素との組合わせとして考慮さ
れる。それらの添加の割合は、元素の種類にもよるが、
通常は、0.1〜10at(原子)%、より好適には1
〜5at%の範囲とすることができる。
【0019】フェザリーγ組織生成のための冷却速度に
ついては、一般的には、10〜40K/s程度とするこ
とができる。添加元素がCrの場合は、より具体的に
は、通常は、20〜30K/s程度の冷却速度とするの
が好ましい。40K/sより速い冷却速度、または10
K/sより遅い冷却速度ではフェザリーγ組織は生成し
難くなる。
【0020】なお、前記の添加元素については、ほぼ共
通してTi−Alとともに多元系組織を生成でき、特
に、高温においてα+β+γの3相領域を形成すること
のできる元素のうちから選択されることになる。フェザ
リーγ組織の形成は、たとえば添加したCr元素がα、
β、γ相の平衡関係を変化させたことに関連するものと
考えられる。
【0021】添付した図面の図2(a)は、Cr添加量
を3.5at%で一定にしたTi−Al−Cr擬2元系
状態図を示したものであり、図2(b)は2元系TiA
l合金の平衡状態図を示したものである。また、図2
(a)(b)の縦軸に平行な実線“A、B”はそれぞれ
合金の化学組成Ti−46at%Al−3.5at%C
r並びにTi−46at%Alにおける相平衡関係を示
している。
【0022】Ti−AlにCr元素を添加した合金で
は、図2(b)に示した2元状態図上のβ−Ti領域が
高Al濃度側へ拡大して、相平衡の関係は大きく変化
し、図2(a)に示すように低温域でβ相とγ相が平衡
し、β相とγ相が共存する特異な状態図になる。相変態
点をそれぞれ“1、2、3”および“10、20”で表
記し、Ti−Al−Cr3元系とTi−Al2元系Ti
Al基合金の相変態の挙動を比較してみると、図2
(b)において、実線“B”で示したTi−Al2元系
TiAl基合金をα単相領域から冷却すると、同図の点
10においてγ相を形成し始め、α+γ2相共存組織に
なる。同図の点20を通過するとα相がα2 相に規則化
して、γ+α2 2相共存組織になる。これに対してTi
−Al−Cr3元系合金では図2(a)に示した点1に
おいてγ相を形成し始め、α+γ2相共存組織になり、
同図の点2においては、さらにβ相を形成し、α+β+
γ3相共存組織になる。さらに同図の点3を通過してα
相が消滅し、β+γ2相共存組織となる。よってCrを
添加したTiAl基合金の相平衡は2元系TiAl基合
金と異なり、γ相が析出した後、β相が前述したように
γ相粒界に析出し、γ相の結晶粒成長が抑制されるた
め、均一微細なフェザリーγ組織が形成されたものと考
えられる。
【0023】Cr元素と同様にβ相領域を高Al濃度側
へ張り出させるβ安定化元素、例えばV、Nb、Mo、
W等を添加した場合にも、状態図上にα+β+γ3相領
域が存在し、Cr添加TiAl基合金で形成する組織形
態と同様にβ相のγ相の粒界析出によりγ相の結晶粒成
長が抑制され、均一微細なフェザリーγ組織を形成する
ことが容易に推察される。
【0024】以上のようにして均一微細なフェザリーγ
組織が生成されたこの発明の合金材料は、次いで、α+
γないしβ+γの2相、もしくはα+β+γの3相領域
で焼き戻し時効することになる。この焼戻し時効により
均一微細なミクロ組織を形成し、このことによって、超
塑性特性の発現をも可能とする成形加工性に優れたTi
Al基合金とする。生成される合金は、通常、結晶粒径
が略30μm以下の均一微細等軸粒組織を有し、γ粒界
にβ相がフィルム状に析出した組織形態を有している。
【0025】焼戻し時効は、通常は、α+γもしくはβ
+γの2相、あるいはα+γ+βの3相領域に該当する
温度において、たとえば炉の冷却と同時に冷却する除冷
として実施することになる。
【0026】
【実施例】実施例1 添付した図面の図3は、Ti−46at%Al−3.5
at%Cr合金を高温α単相領域から制御冷却した後の
TiAl基合金の光学顕微鏡写真を示したものである。
【0027】図3(a)は水冷で生成したマッシブγ組
織、図3(b)は、空冷によるフェザリーγ組織、図3
(c)は石英管を割らずに空冷し生成したウイデマンス
テッテン型ラメラ組織であり、さらに図3(d)は1K
/sで徐冷し生成したラメラ組織を示したものである。
添加元素としてCrを添加した場合には、マッシブγ組
織とラメラ組織を形成する中間の冷却速度で制御冷却し
たものには、2元系TiAl基合金では形成することの
ない、新たなフェザリーγ組織が試料全域にわたり形成
されている。
【0028】また、以上のとおりの冷却速度を制御した
4種類の焼き入れ組織材(図3の(a)〜(d))に対
して、α+γ相とα+β+γ相およびβ+γ相領域で焼
戻し時効を行い、組織形態の焼戻し時効による変化を見
た。また、単に熱処理のみによる均一微細等軸粒組織材
の製造も試みた。その結果、図3(c)に示すウイデマ
ンステッテン型ラメラ組織及び図3(d)に示すラメラ
組織を有する焼き入れ材の場合には、両者共にラメラ粒
界とそれらの近傍に微細粒組織を微量形成するもののほ
とんどのラメラ組織が依然として残留した組織形態であ
ることが確認された。すなわち、図3(c)および図3
(d)の組織を有する材料では、単に焼戻し時効しても
均一微細なミクロ組織を得るとは不可能であった。
【0029】また、図3(a)に示すマッシブ組織を有
する焼き入れ材をβ+γ相領域で焼戻し時効した場合、
γ相の結晶粒径が約100μmの粗大粒と、それらの結
晶粒内にβ相の微細な結晶粒を形成し、さらに微量のラ
メラ組織がなお残留した組織形態となることが確認され
た。また、同材をα+γ相領域で焼戻し時効した場合、
α相がγ相の粒内に析出し、ウイデマンステッテン状の
細長い針状組織形態となることが確認された。
【0030】以上のように、図3(a)(c)(d)に
示す組織を有する焼き入れ材を焼戻し時効しても均一微
細なミクロ組織を得ることは不可能であった。一方、図
3(b)に示すフェザリーγ組織を有する材料に関して
は意図する均一微細な組織形態の形成が可能であること
が判明した。すなわち、添付した図面の図4は、α単相
領域から空冷し生成させたフェザリーγ組織を有する材
料に対して、α+γ相とα+β+γ相およびβ+γ相領
域で焼戻し時効を行った後のTiAl基合金の光学顕微
鏡写真である。
【0031】図4(a)はα+γ2相領域の1573K
において焼戻し時効した材料の組織を示したものであ
り、図4(b)および図4(c)はそれぞれα+β+γ
3相領域、β+γ2相領域で焼戻し時効した合金の組織
を示したものである。以上の結果から、α+γ相とα+
β+γ相およびβ+γ相領域のいずれかの焼戻し時効を
行った前記のTiAl基合金は、いずれも結晶粒径30
μm以下の均一微細組織を有し、それらのγ粒界にβ相
がフィルム状に析出した組織形態であることが確認され
た。さらに、相平衡状態からα相の体積率が約50%に
及ぶα+γ2相領域の1573Kにおいて焼戻し時効し
たTiAl基合金(図4(a))の場合には、高温の処
理であるにも関わらず、結晶粒径約10μmの均一でき
わめて微細な等軸粒組織を得た。実施例2 化学組成がTi−46at%Al−3.5at%Crか
らなる溶解・鋳造材をα単相領域から空冷し、続いてα
+γ2相領域で焼戻し時効したミクロ組織を均一微細に
生成させた材料について高温変形能の評価を行った。
【0032】添付した図面の図5(a)(b)は、引張
試験の真応力−真歪み曲線図である。図5(a)は試験
温度が1373K、図5(b)は同1423Kにおける
特性を示したものであるが試験温度が1373K、14
23Kのいずれの場合も、歪み速度の低下に伴う変形応
力の低下が見られた。また、最低150%以上の伸びが
得られることが示された。さらに低歪み速度の10-4
-1の試験においては、試験温度が1373Kで伸びが3
00%、同1423Kでは同400%の良好な伸びを示
し超塑性の発現を確認した。これは恒温鍛造法により作
成した微細等軸粒組織を有する材料と同等な特性値であ
る。
【0033】添付した図面の図6は、図5(a)(b)
に示した変形応力−歪み曲線のピーク応力と歪み速度の
相関関係から求めた変形応力に対する歪み速度感受性指
数(m値)の試験温度による変化を示したものである。
m値は、試験温度1373Kにおいて0.335、同1
423Kにおいては0.405の数値を示し、従来超塑
性を利用した成形加工に必要とされているm値の値0.
3を上回ることが判明した。
【0034】
【発明の効果】以上詳しく説明したように、この出願の
発明によって、TiAl金属間化合物基合金を単に熱処
理を施すだけで微細均一なミクロ組織に制御されたTi
Al金属間化合物基合金の製造方法が提供される。ま
た、この発明によって、同様なミクロ組織材を加工熱処
理などの方法を用いて製造するのと比較して、極めて容
易に製造することが可能であり、さらに製造のコストダ
ウンが図られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】TiAl基合金の連続冷却曲線の模式図であ
る。
【図2】(a)Cr添加量を3.5at%で一定にした
Ti−Al−Cr擬3元系状態図、(b)2元系TiA
l合金の平衡状態図を示したものである。
【図3】Ti−46at%Al−3.5at%Cr合金
を高温α単相領域から制御冷却した後のTiAl基合金
試料の以下の光学顕微鏡写真を示したものである。 (a)水冷で生成したマッシブγ組織、(b)空冷によ
るフェザリーγ組織、(c)石英管を割らずに空冷し生
成したウイデマンステッテン型ラメラ組織、(d)1K
/sで徐冷し生成したラメラ組織を示したものである。
【図4】α単相領域から空冷し生成させたフェザリーγ
組織を有する材料に対して、α+γ相とα+β+γ相お
よびβ+γ相領域で焼戻し時効を行った後のTiAl基
合金の以下の光学顕微鏡写真である。 (a)α+γ2相領域の1573Kにおいて焼戻し時効
した材料の組織、(b)α+β+γ3相領域で焼戻し時
効したTiAl基合金の組織、(c)β+γ2相領域で
焼戻し時効したTiAl基合金の組織を示したものであ
る。
【図5】引張試験の以下の真応力−真歪み曲線図であ
る。 (a)試験温度1373Kにおける特性、(b)試験温
度1423Kにおける特性を示したものである。
【図6】図5に示した変形応力−歪み曲線のピーク応力
と歪み速度の相関関係から求めた変形応力に対する歪み
速度感受性指数(m値)の以下の試験温度による変化を
示したものである。 (a)1373K (b)1423K。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 圷 章英 茨城県つくば市千現1丁目2番1号 科学 技術庁金属材料技術研究所内

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 TiAl金属間化合物基合金であって、
    γ粒界にβ相がフィルム状に析出した組織形態を有する
    均一微細等軸粒組織からなることを特徴とするTiAl
    金属間化合物基合金。
  2. 【請求項2】 結晶粒径が略30μm以下の均一微細等
    軸粒組織からなる請求項1の合金。
  3. 【請求項3】 TiAl金属間化合物基合金は、その組
    成が、 Ti−Al−X (Xは、Cr、V、Nb、MoおよびWのうちの1種以
    上の元素を示し、その原子%は、0.1〜10である)
    で表わされる請求項1または2の合金。
  4. 【請求項4】 請求項1ないし3のいずれかのTiAl
    金属間化合物基合金の製造法であって、高温のα単相領
    域から冷却することにより、直接フェザリーγ組織を生
    成させ、次いでα+γないしβ+γの2相もしくはα+
    β+γの3相領域で焼き戻し時効することを特徴とする
    TiAl金属間化合物基合金の製造方法。
  5. 【請求項5】 冷却速度を略10〜40K/sとして冷
    却することによりフェザリーγ相を生成させる請求項4
    の製造方法。
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