JPH1159370A - 車両の運動制御装置 - Google Patents

車両の運動制御装置

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JPH1159370A
JPH1159370A JP23217097A JP23217097A JPH1159370A JP H1159370 A JPH1159370 A JP H1159370A JP 23217097 A JP23217097 A JP 23217097A JP 23217097 A JP23217097 A JP 23217097A JP H1159370 A JPH1159370 A JP H1159370A
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泰 堀内
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Abstract

(57)【要約】 【課題】横方向加速度を車速で除して得られた車両の旋
回中心まわりの公転角速度と、ヨーレートとの差である
横滑り角変化速度に基づいて車両のヨー運動を制御する
車両の運動制御装置において、検出した横方向加速度へ
のローリングによる影響をロール速度に応じて排除して
制御精度を向上させる。 【解決手段】公転角速度演算手段61は、横方向加速度
検出手段で検出された横方向加速度の低周波域成分をカ
ットするハイパスフィルタ78と、車速検出手段で検出
された車速が増大するほどハイパスフィルタ78でのカ
ットオフ周波数が低くなるようにして前記ハイパスフィ
ルタ78のフィルタ係数を車速検出手段で検出された車
速に応じて定める係数決定手段79と、ハイパスフィル
タ78を通過した横方向加速度を車速検出手段で検出さ
れた車速で除算する除算手段80とを含むように構成さ
れる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、車速を検出する車
速検出手段と、車両の横方向加速度を検出する横方向加
速度検出手段と、車両のヨーレートを検出するヨーレー
ト検出手段と、横方向加速度検出手段で検出された横方
向加速度を前記車速検出手段で検出された車速で除すこ
とにより車両の旋回中心まわりの公転角速度を得る公転
角速度演算手段と、該公転角速度演算手段で得られた公
転角速度から前記ヨーレート検出手段で検出されたヨー
レートを引いて車両の横滑り角変化速度を得る横滑り角
変化速度演算手段とを備え、該横滑り角変化速度演算手
段で得られた横滑り角変化速度に基づいて車両のヨー運
動を制御する車両の運動制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、かかる車両の運動制御装置は、た
とえば特開平5−221300号公報で既に知られてい
る。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】車両の旋回中心まわり
の公転角速度からヨーレートを引くことにより得られる
横滑り角変化速度は、実際の車両のヨー運動状態量を表
すものであり、このような横滑り角変化速度を用いてヨ
ー運動を制御することにより、ドップラーセンサ等の高
価なセンサを用いることなく、ヨー運動状態量の変化に
速やかに対応したヨー運動の制御が可能となるのである
が、公転角速度を得るために横方向加速度検出手段で検
出される横方向加速度は、車両のローリングの影響を受
けるものであり、そのようなローリングの影響を受けた
横方向加速度をそのまま用いては制御精度が低下するこ
とになる。
【0004】上記ローリングの影響を排除するために
は、横方向加速度検出手段で検出される横方向加速度の
低周波域をカットするハイパスフィルタを用いればよい
が、ロール速度が遅い方がローリングに伴なって生じる
周波数成分が低くなるものであり、そのようなロール速
度に応じてハイパスフィルタでのカットオフ周波数を変
化させることが望ましい。
【0005】またロール量の大きい方が、横方向加速度
検出手段で検出される横方向加速度に与える影響が大き
いものであり、そのようなロール量の大きさに応じて横
方向加速度に与えるローリングの影響を排除することが
望ましい。
【0006】本発明は、かかる事情に鑑みてなされたも
のであり、検出した横方向加速度へのローリングによる
影響をロール速度に応じて排除して制御精度を向上させ
る車両の運動制御装置を提供することを第1の目的と
し、検出した横方向加速度へのローリングによる影響を
ロール量に応じて排除して制御精度を向上させる車両の
運動制御装置を提供することを第2の目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記第1の目的を達成す
るために、請求項1記載の発明は、車速を検出する車速
検出手段と、車両の横方向加速度を検出する横方向加速
度検出手段と、車両のヨーレートを検出するヨーレート
検出手段と、横方向加速度検出手段で検出された横方向
加速度を前記車速検出手段で検出された車速で除すこと
により車両の旋回中心まわりの公転角速度を得る公転角
速度演算手段と、該公転角速度演算手段で得られた公転
角速度から前記ヨーレート検出手段で検出されたヨーレ
ートを引いて車両の横滑り角変化速度を得る横滑り角変
化速度演算手段とを備え、該横滑り角変化速度演算手段
で得られた横滑り角変化速度に基づいて車両のヨー運動
を制御する車両の運動制御装置において、前記公転角速
度演算手段は、前記横方向加速度検出手段で検出された
横方向加速度の低周波域成分をカットするハイパスフィ
ルタと、前記車速検出手段で検出された車速が増大する
ほど前記ハイパスフィルタでのカットオフ周波数が低く
なるようにして前記ハイパスフィルタのフィルタ係数を
前記車速検出手段で検出された車速に応じて定める係数
決定手段と、前記ハイパスフィルタを通過した横方向加
速度を前記車速検出手段で検出された車速で除算する除
算手段とを含むことを特徴とする。
【0008】このような請求項1記載の発明の構成によ
れば、横方向加速度検出手段で検出された横方向加速度
の低周波域成分がハイパスフィルタでカットされること
により、車両のローリングによる検出横方向加速度に与
える影響を排除することができ、しかもハイパスフィル
タでのカットオフ周波数を定めるフィルタ係数が、車速
が増大するほど前記カットオフ周波数が低くなるように
車速に応じて設定されるものであり、車両のロール速度
は車速の増大に応じて遅くなるものであるので、検出し
た横方向加速度へのローリングによる影響をロール速度
に応じて排除して制御精度を向上することが可能とな
る。
【0009】また上記第2の目的を達成するために、請
求項2記載の発明は、車速を検出する車速検出手段と、
車両の横方向加速度を検出する横方向加速度検出手段
と、車両のヨーレートを検出するヨーレート検出手段
と、横方向加速度検出手段で検出された横方向加速度を
前記車速検出手段で検出された車速で除すことにより車
両の旋回中心まわりの公転角速度を得る公転角速度演算
手段と、該公転角速度演算手段で得られた公転角速度か
ら前記ヨーレート検出手段で検出されたヨーレートを引
いて車両の横滑り角変化速度を得る横滑り角変化速度演
算手段とを備え、該横滑り角変化速度演算手段で得られ
た横滑り角変化速度に基づいて車両のヨー運動を制御す
る車両の運動制御装置において、前記公転角速度演算手
段は、前記横方向加速度検出手段で検出された横方向加
速度を前記車速検出手段で検出された車速で除算する除
算手段と、前記車速検出手段で検出された車速が増大す
るほど補正量を大とするようにして前記除算手段の除算
値もしくは横方向加速度検出手段で検出された横方向加
速度を補正する補正手段とを含むことを特徴とする。
【0010】このような請求項2記載の発明の構成によ
れば、前記除算手段で得られた(横方向加速度/車速)
の値もしくは横方向加速度検出手段で検出された横方向
加速度が車速に応じて補正されるが、その補正量は車速
の増大に応じて大となるものであり、車速の増大に応じ
てロール量は大きくなるものであるので、ロール量の大
きさに応じて横方向加速度に与えるローリングの影響を
排除して制御精度を向上することが可能となる。
【0011】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を、添
付図面に示した本発明の一実施例に基づいて説明する。
【0012】図1ないし図21は本発明の一実施例を示
すものであり、図1はフロントエンジン・フロントドラ
イブ車両の駆動系およびブレーキ系を示す図、図2はブ
レーキ装置の構成を示す図、図3は制御アクチュエータ
の構成を示す縦断面図、図4は制御ユニットの構成を示
すブロック図、図5はヨー運動制御部の構成を示すブロ
ック図、図6は第1および第2公転角速度演算手段の構
成を示すブロック図、図7は係数決定手段でのフィルタ
係数設定マップを示す図、図8は旋回中心まわりの公転
角速度を説明するための図、図9は第1増幅手段でのゲ
イン設定マップを示す図、図10は第2増幅手段でのゲ
イン設定マップを示す図、図11はバンク判定・補正を
説明するための図、図12はバンク補正手段の構成を示
すブロック図、図13は第4増幅手段でのゲイン設定マ
ップを示す図、図14は第1スリップ率変換手段の構成
を示すブロック図、図15は第5増幅手段でのゲイン設
定マップを示す図、図16は第6増幅手段でのゲイン設
定マップを示す図、図17は第2スリップ率変換手段の
構成を示すブロック図、図18は位相補正を説明するた
めの図、図19は第7増幅手段でのゲイン設定マップを
示す図、図20はブレーキ加圧手段制御部およびブレー
キ調圧手段制御部の構成を示すブロック図、図21はエ
ンジン出力制御部の構成を示すブロック図である。
【0013】先ず図1において、この車両はフロントエ
ンジン・フロントドライブ(FF)車両であり、車体1
の前部には、エンジンEおよび変速機Tから成るパワー
ユニットPが、駆動輪である左前輪WFLおよび右前輪W
FRを駆動すべく搭載される。また左、右前車輪WFL,W
FRには左、右前輪ブレーキBFL,BFRが装着され、従動
輪である左後輪WRLおよび右後輪WRRには左、右後輪ブ
レーキBRL,BRRが装着され、各車輪ブレーキBFL,B
FR,BRL,BRRは、たとえばディスクブレーキである。
【0014】タンデム型のマスタシリンダMが備える第
1および第2出力ポート2A,2Bからはブレーキペダ
ル3の踏込み操作に応じたブレーキ液圧が出力されるも
のであり、両出力ポート2A,2Bはブレーキ液圧回路
4に接続され、該ブレーキ液圧回路4からのブレーキ液
圧が各車輪ブレーキBFL,BFR,BRL,BRRに作用せし
められる。このブレーキ液圧回路4では、制御ユニット
5で制御されることにより各車輪ブレーキBFL,BFR
RL,BRRに作用せしめるブレーキ液圧が調節されるも
のであり、該制御ユニット5には、各車輪WFL,WFR
RL,WRRの車輪速度をそれぞれ検出する車輪速度検出
手段6FL,6FR,6RL,6RR、ステアリングハンドルH
で操作された操舵角δを検出する操舵角検出手段7、車
両のヨーレートγを検出するヨーレート検出手段8、な
らびに車両の横方向加速度αを検出する横方向加速度検
出手段9の検出値がそれぞれ入力される。
【0015】図2において、ブレーキ液圧回路4は、基
本的にはX配管形式のブレーキ回路構成を有するもので
あり、リザーバRを備えるマスタシリンダMの第1出力
ポート2Aおよび右後輪ブレーキBRR間に設けられる右
後輪ブレーキ調圧手段10Aおよび比例減圧弁11A
と、マスタシリンダMの第2出力ポート2Bおよび左後
輪ブレーキBRL間に設けられる左後輪ブレーキ調圧手段
10Bおよび比例減圧弁11Bと、第1出力ポート2A
および左前輪ブレーキBFL間に設けられる左前輪ブレー
キ液圧制御装置12Aと、第2出力ポート2Bおよび右
前輪ブレーキBFR間に設けられる右前輪ブレーキ液圧制
御装置12Bとを備える。
【0016】右後輪ブレーキ調圧手段10Aは、マスタ
シリンダMの第1出力ポート2Aおよび比例減圧弁11
A間に設けられる増圧弁15Aと、左前輪ブレーキ液圧
制御装置12Aの構成要素であるリザーバ18Aおよび
比例減圧弁11A間に設けられる減圧弁16Aと、比例
減圧弁11A側から第1出力ポート2A側へのブレーキ
液の流通を許容して増圧弁15Aに並列に接続されるチ
ェック弁17Aとで構成され、増圧弁15Aは常開型電
磁弁であり、減圧弁16Aは常閉型電磁弁である。
【0017】このような右後輪ブレーキ調圧手段10A
によれば、ブレーキペダル3を踏み込んだブレーキ操作
時において、減圧弁16Aの閉弁時に増圧弁15Aを開
弁しておくことにより第1出力ポート2Aの液圧が比例
減圧弁11Aで減圧されて右後輪ブレーキBRRに作用す
ることになり、また増圧弁15Aおよび減圧弁16Aを
ともに閉じると右後輪ブレーキBRRのブレーキ液圧を保
持することができ、さらに増圧弁15Aを閉じた状態で
減圧弁16Aを開弁することにより右後輪ブレーキBRR
のブレーキ液圧を減圧することが可能となる。
【0018】左後輪ブレーキ調圧手段10Bは、マスタ
シリンダMの第2出力ポート2Bおよび比例減圧弁11
B間に設けられる増圧弁15Bと、右前輪ブレーキ液圧
制御装置12Bの構成要素であるリザーバ18Bおよび
比例減圧弁11B間に設けられる減圧弁16Bと、比例
減圧弁11B側から第2出力ポート2B側へのブレーキ
液の流通を許容して増圧弁15Bに並列に接続されるチ
ェック弁17Bとで構成されるものであり、増圧弁15
Bおよび減圧弁16Bの開閉を制御することにより、上
記右後輪ブレーキ調圧手段10Aと同様に、左後輪ブレ
ーキBRLの増圧、保持および減圧を切換えて制御するこ
とができる。
【0019】マスタシリンダMの第1出力ポート2Aお
よび左前輪ブレーキBFL間に設けられる左前輪ブレーキ
液圧制御装置12Aは、左前輪ブレーキ調圧手段13A
と、左前輪ブレーキ加圧手段14Aとで構成され、また
マスタシリンダMの第2出力ポート2Bおよび右前輪ブ
レーキBFR間に設けられる右前輪ブレーキ液圧制御装置
12Bは、右前輪ブレーキ調圧手段13Bと、右前輪ブ
レーキ加圧手段14Bとで構成される。
【0020】左前輪ブレーキ調圧手段13Aは、マスタ
シリンダMに付設されているリザーバRとは別のリザー
バ18Aと、マスタシリンダMの第1出力ポート2Aか
らの液圧あるいは左前輪ブレーキ加圧手段14Aで制御
された液圧を作用させ得る第1液圧路19Aおよび左前
輪ブレーキBFL間に設けられる増圧弁20Aと、前記リ
ザーバ18Aおよび左前輪ブレーキBFL間に設けられる
減圧弁21Aと、リザーバ18Aのブレーキ液を汲上げ
可能な第1ポンプ22Aと、該第1ポンプ22Aの吐出
口に接続されるダンパ23Aと、第1ポンプ22Aの吐
出口および第1液圧路19A間に設けられる絞り24A
と、左前輪ブレーキBFL側から第1液圧路19A側への
ブレーキ液の流通を許容して増圧弁20Aに並列に接続
されるチェック弁25Aとで構成され、増圧弁20は常
開型電磁弁であり、減圧弁21Aは常閉型電磁弁であ
る。
【0021】このような左前輪ブレーキ調圧手段13A
によれば、マスタシリンダMの第1出力ポート2Aが第
1液圧路19Aに連通状態に在るときにブレーキペダル
3によるブレーキ操作の実行により左前輪WFLがロック
状態に入りそうになったときのブレーキ調圧時には、第
1ポンプ22Aを作動せしめた状態で、増圧弁20Aを
閉弁するととともに減圧弁21Aを開弁することによ
り、左前輪ブレーキBFLのブレーキ液圧の一部がリザー
バ18Aに逃がされて減圧されることになる。またブレ
ーキ液圧を保持する際には、増圧弁20Aおよび減圧弁
21Aを閉弁状態に保持すればよく、ブレーキ液圧を増
圧する際には、増圧弁20Aを開弁するとともに減圧弁
21Aを閉弁すればよい。
【0022】而してリザーバ18Aに逃がされたブレー
キ液が第1ポンプ22Aからダンパ23Aおよび絞り2
4Aを経て増圧弁20Aの上流側に戻される。したがっ
てリザーバ18Aに逃がした分だけマスタシリンダMに
おけるブレーキペダル3の踏込み量が増加することはな
く、しかも第1ポンプ22Aから送出されるブレーキ液
の脈動はダンパ23Aおよび絞り24Aの働きにより減
衰され、前記ブレーキペダル3に脈動が伝わることはな
い。
【0023】またマスタシリンダMの第1出力ポート2
Aおよび第1液圧路19A間が遮断された状態で、第1
ポンプ22Aを作動せしめ、左前輪ブレーキ調圧手段1
3Aにおける増圧弁20Aおよび減圧弁21Aの開閉制
御を行なうことにより、左前輪ブレーキBFLの増圧、保
持および減圧を制御することも可能である。
【0024】右前輪ブレーキ調圧手段13Bは、上述の
右前輪ブレーキ調圧手段13Aと同様に、マスタシリン
ダMに付設されているリザーバRとは別のリザーバ18
Bと、マスタシリンダMの第2出力ポート2Bからの液
圧あるいは右前輪ブレーキ加圧手段14Bで制御された
液圧を作用させ得る第1液圧路19Bおよび右前輪ブレ
ーキBFR間に設けられる増圧弁20Bと、前記リザーバ
18Bおよび右前輪ブレーキBRL間に設けられる減圧弁
21Bと、リザーバ18Bのブレーキ液を汲上げ可能な
第1ポンプ22Bと、該第1ポンプ22Bの吐出口に接
続されるダンパ23Bと、第1ポンプ22Bの吐出口お
よび第1液圧路19B間に設けられる絞り24Bと、右
前輪ブレーキBFR側から第1液圧路19B側へのブレー
キ液の流通を許容して増圧弁20Bに並列に接続される
チェック弁25Bとで構成され、前記第1ポンプ22B
は、左前輪ブレーキ調圧手段13Aの第1ポンプ22A
と共通のモータ26で駆動される。
【0025】左前輪ブレーキ加圧手段14Aは、マスタ
シリンダMのリザーバRならびに左、右前輪ブレーキ調
圧手段13A,13Bのリザーバ18A,18Bとは独
立したリザーバ27と、該リザーバ27から制御液を汲
上げる第2ポンプ28と、第1液圧路19Aならびにマ
スタシリンダMの第1出力ポート2Aに連なる第2液圧
路34A間に設けられる制御アクチュエータ29Aと、
該制御アクチュエータ29Aの作動を制御するための制
御液圧を導く制御液圧路35Aおよび第2ポンプ28間
に設けられる加圧弁30Aと、制御液圧路35Aおよび
リザーバ27間に設けられる解放弁31Aとを備え、加
圧弁30Aおよび解放弁31Aはともに常開型電磁弁で
ある。
【0026】図3において、制御アクチュエータ29A
は、第2液圧路34Aに通じる入力ポート36を一端壁
に有するとともに制御液圧路35Aに通じる制御ポート
37を他端壁に有するハウジング38と、前記一端壁と
の間に加圧室39を形成するとともに制御ポート37に
通じる制御液圧室40を前記他端壁との間に形成してハ
ウジング38に摺動可能に嵌合される加圧ピストン41
と、制御液圧室40の容積を縮少する方向のばね力を発
揮する戻しばね42と、加圧室39の容積を縮少する側
への加圧ピストン41の移動に応じて閉弁作動して入力
ポート36および加圧室39間を遮断するカット弁43
とを備え、ハウジング38の側部には、第1液圧路19
Aに通じる出力ポート44が、加圧ピストン41の軸方
向位置にかかわらず加圧室39に常時通じるようにして
設けられる。
【0027】カット弁43は、ハウジング38の一端壁
内面に接触する鍔部45aを開口端側に有してキャップ
状に形成されるとともに加圧室39内に収納される弁函
45と、入力ポート36を閉鎖可能として弁函45内に
収納される円盤状の弁体46と、入力ポート36を閉鎖
する方向に弁体46を付勢するばね力を発揮して弁函4
5および弁体46間に設けられる弁ばね47とを備え、
弁ばね47のばね力は戻しばね42のばね力よりも小さ
く設定される。
【0028】弁体46には、加圧ピストン41と同軸で
あるステム49の一端が同軸にかつ一体に連設されてお
り、該ステム49は、弁函45に設けられた貫通孔48
を移動自在に貫通する。一方、ステム49の他端側は、
加圧室39側に開放するようにして加圧ピストン41に
設けられた有底の収納穴41aに挿入されており、該収
納穴41a内でステム49には拡径部49aが設けられ
る。而して該拡径部49aおよび収納穴41aの内面間
には、加圧ピストン41に対するステム49の軸方向相
対移動に応じて収納穴41aの閉塞端およびステム49
間が加、減圧されることがないように間隙が形成されて
いる。また加圧ピストン41の加圧室39に臨む面に
は、ステム49の拡径部49aに内周縁部を係合させ得
るリング状の規制板50が当接されており、この規制板
50と弁函45の鍔部45aとの間にコイル状の戻しば
ね42が設けられる。該戻しばね42のばね力により、
加圧ピストン41は加圧室39の容積を縮少する側に付
勢され、規制板50が加圧ピストン41に実質的に固定
されるとともに弁函45がハウジング38の一端壁に実
質的に固定されている。また弁函45には、該弁函45
内を加圧室39に通じさせる複数の連通孔51…が設け
られる。
【0029】このような制御アクチュエータ29Aによ
れば、加圧弁30Aおよび解放弁31Aの開閉制御によ
り制御液圧室40の液圧を制御可能であり、この制御液
圧室40の液圧により加圧ピストン41が軸方向に作動
する。而して加圧ピストン41が加圧室39の容積を縮
少する方向に前進移動したときには、規制板50による
ステム49の規制が解除されてステム49すなわち弁体
46が前進作動し、それによりカット弁46が閉弁作動
し、入力ポート36および加圧室39間、すなわちマス
タシリンダMの第1出力ポート2Aに連なる第2液圧路
34Aと第1液圧路19Aとの間が遮断されることにな
る。また加圧ピストン41による加圧室39の容積縮少
に応じて加圧室39の液圧が増大し、その増圧された液
圧が第1液圧路19Aに作用することになる。すなわち
第2ポンプ28の液圧を加圧弁30Aおよび減圧弁31
Aの開閉制御により調節して制御液圧室40に作用せし
めるのに応じて、制御アクチュエータ29Aは、調節さ
れた制御液圧室40の液圧に応じた液圧を間接的に第1
液圧路19Aに出力することが可能である。
【0030】右前輪ブレーキ加圧手段14Bは、左前輪
ブレーキ加圧手段14Aと共通なリザーバ27および第
2ポンプ28と、第1液圧路19Bならびにマスタシリ
ンダMの第2出力ポート2Bに連なる第2液圧路34B
間に設けられる制御アクチュエータ29Bと、該制御ア
クチュエータ29Bの作動を制御するための制御液圧を
導く制御液圧路35Bおよび第2ポンプ28間に設けら
れる加圧弁30Bと、制御液圧路35Bおよびリザーバ
27間に設けられる解放弁31Bとを備えて、左前輪ブ
レーキ加圧手段14Aと同様に構成される。
【0031】ところで、第2ポンプ28は、左、右前輪
ブレーキ調圧手段13A,13Bの第1ポンプ22A,
22Bと共通のモータ26で駆動されるものであり、モ
ータ26が一対の第1ポンプ22A,22Bおよび第2
ポンプ28を駆動する構成とすることにより、部品点数
の低減が図られる。
【0032】また、第2ポンプ28の吐出口およびリザ
ーバ27間には調圧弁33が設けられ、制御液圧路35
Aおよびリザーバ27間にはリリーフ弁32Aが、制御
液圧路35Bおよびリザーバ27間にはリリーフ弁32
Bがそれぞれ設けられる。前記調圧弁33の開弁圧はた
とえば180〜200気圧に設定され、リリーフ弁32
A,32Bの開弁圧は、前記調圧弁33の開弁圧よりも
大きく、たとえば300〜500気圧に設定される。こ
のような構成とすることにより、次のような制御モード
にあるときの不具合が改善されることになる。すなわち
制御アクチュエータ29A,29Bの加圧ピストン41
が前進していてカット弁43が閉じており、左、右前輪
ブレーキ調圧手段13A,13Bにおいて第1ポンプ2
2A,22Bが作動中であるとともに増圧弁20A,2
0Bが閉じており、しかも加圧弁30A,30Bおよび
解放弁31A,31Bが閉じている制御モードでは、リ
リーフ弁32A,32Bがないときには制御液圧室40
が液圧ロック状態となっており、第1ポンプ22A,2
2Bの吐出圧により加圧ピストン41が後退方向すなわ
ち制御液圧室40側に押されても加圧ピストン41の移
動が阻止され、圧力の逃げ場がなくなってしまう。それ
に対し、制御液圧室40およびリザーバ27間にリリー
フ弁32A,32Bが設けられていることにより、制御
液圧室40の容積を縮少する側へのピストン41の移動
が許容されることにより、圧力の逃げ場を確保すること
ができるのである。
【0033】図4において、制御ユニット5は、ヨー運
動制御部55と、エンジン出力制御部56と、ブレーキ
加圧手段制御部57と、ブレーキ調圧手段制御部58
と、モータ駆動部59とを備える。
【0034】ヨー運動制御部55には、操舵角検出手段
7で得られる操舵角δ、ヨーレート検出手段8で得られ
るヨーレートγ、ならびに横方向加速度検出手段9で得
られる横方向加速度αが入力されるとともに、ブレーキ
加圧手段制御部57で得られる車速と、ブレーキ調圧手
段制御部58で得られる後輪加・減速度とが入力され、
それらの入力信号に基づいてヨー運動制御部55は、エ
ンジン出力制御部56に与えるためのエンジン系ヨー運
動制御目標スリップ率と、ブレーキ加圧手段制御部57
およびブレーキ調圧手段制御部58に与えるブレーキ系
ヨー運動制御目標車輪速度と、ブレーキ調圧手段制御部
58に与える4チャンネル制御切換え信号とを演算して
出力する。またエンジン出力制御部56は、各車輪速度
検出手段6FL,6FR,6RL,6RRで得られた車輪速度な
らびにヨー運動制御部55から入力されるエンジン系ヨ
ー運動目標スリップ率とに基づいてエンジン出力調節量
を算出するものであり、エンジンEの出力を調節可能な
アクチュエータたとえば燃料噴射弁やスロットル弁の作
動が、エンジン出力制御部56からのエンジン出力調節
信号で制御される。ブレーキ加圧手段制御部57は、各
車輪速度検出手段6 FL,6FR,6RL,6RRで得られた車
輪速度、ヨー運動制御部55から入力されるブレーキ系
ヨー運動目標車輪速度、ならびにブレーキ調圧手段制御
部58から入力される車輪加・減速度に基づいて、ブレ
ーキ加圧手段14A,14Bの制御量を算出してブレー
キ加圧手段14A,14Bにおける各弁30A,30
B,31A,31Bの開閉作動を制御するための制御信
号を出力するとともにモータ26をモータ駆動部59で
駆動せしめるための信号を出力する。ブレーキ調圧手段
制御部58は、各車輪速度検出手段6FL,6FR,6RL
RRで得られた車輪速度ならびにヨー運動制御部55か
ら入力されるブレーキ系ヨー運動目標車輪速度に基づい
て、各ブレーキ調圧手段10A,10B,13A,13
Aの制御量を算出するとともに、各ブレーキ調圧手段1
0A,10B,13A,13Aのうちの1つをヨー運動
制御部55から入力される4チャンネル制御切換え信号
に応じて順次選択し、各ブレーキ調圧手段10A,10
B,13A,13Aを制御するための信号を出力する。
さらにブレーキ調圧手段制御部58からは、モータ26
をモータ駆動部59で駆動せしめるための信号も出力さ
れる。
【0035】このような、ヨー運動制御部55、エンジ
ン出力制御部56、およびブレーキ加圧手段制御部57
の構成について、以下、順に説明する。
【0036】図5において、ヨー運動制御部55は、ブ
レーキ系ヨー運動制御ブロックBBと、エンジン系ヨー
運動制御ブロックBE とから成るものである。
【0037】ブレーキ系ヨー運動制御ブロックBB は、
ブレーキ加圧手段制御部57で得られる車速Vならびに
横方向加速度検出手段9で検出された横方向加速度αが
入力される第1公転角速度演算手段61と、ブレーキ加
圧手段制御部57で得られる車速Vならびに操舵角検出
手段7で検出された操舵角δが入力される第2公転角速
度演算手段62と、ヨーレート検出手段8で検出された
ヨーレートγの高周波域をカットして高周波ノイズを除
去するローパスフィルタ63と、第1公転角速度演算手
段61で得られた値からローパスフィルタ63を通過し
たヨーレートγを減算する横滑り角変化速度演算手段と
しての第1加え合わせ点64と、第2公転角速度演算手
段62で得られた値からローパスフィルタ63を通過し
たヨーレートγを減算する第2加え合わせ点65と、第
1加え合わせ点64で得られた値に基づいてバンクを判
定するとともにバンク判定時には第1加え合わせ点64
で得られた値を補正するバンク補正手段66と、バンク
補正手段66による補正後の値をスリップ率λOSに変
換する第1スリップ率変換手段67と、第2加え合わせ
点65で得られた値をスリップ率λUSに変換する第2
スリップ率変換手段68と、第1および第2スリップ率
変換手段67,68でそれぞれ得られたスリップ率λO
S,λUSに基づいてオーバーステアおよびアンダース
テアの判定を行なうとともにその判定結果に基づくスリ
ップ率λを得る制御選択手段69と、該制御選択手段6
9で得られたスリップ率λに基づいてブレーキ系ヨー運
動制御目標車輪速度VT を得る速度変換手段70と、横
方向加速度検出手段9で検出された横方向加速度αなら
びに第1スリップ率変換手段67で得られたスリップ率
λOSに基づいてブレーキ液圧回路4において各車輪ブ
レーキBFL,BFR,BRL,BRR毎の4つのチャンネルの
いずれを選択するかを定めて4チャンネル制御切換え信
号を出力する4チャンネル切換制御手段71とを備え
る。
【0038】またエンジン系ヨー運動制御ブロックBE
は、ブレーキ調圧手段制御部58で得られた後輪加・減
速度に基づいて車両の前後方向加速度を推定する前後方
向加速度推定手段72と、横方向加速度検出手段9で検
出された横方向加速度αならびに前後方向加速度推定手
段72で得られた前後方向加速度に基づいてトータル加
速度TGを推定するトータル加速度推定手段73と、ト
ータル加速度推定手段73で推定されたトータル加速度
TGに応じて目標スリップ率を定める加速度対応目標ス
リップ率設定手段74と、ブレーキ系ヨー運動制御ブロ
ックBB における第1スリップ率変換手段67で得られ
たスリップ率λOSに基づいてオーバーステア制御目標
スリップ率を設定するオーバーステア制御目標スリップ
率設定手段75と、ブレーキ系ヨー運動制御ブロックB
B における第2スリップ率変換手段67で得られたスリ
ップ率λUSに基づいてアンダーステア制御目標スリッ
プ率を設定するアンダーステア制御目標スリップ率設定
手段76と、各目標スリップ率設定手段74,75,7
6で得られたスリップ率の最大値を選択してエンジン系
ヨー運動目標スリップ率として出力するハイセレクト手
段77とを備える。
【0039】図6において、第1公転角速度演算手段6
1は、横方向加速度検出手段9で検出された横方向加速
度αを通過させるハイパスフィルタ78と、該ハイパス
フィルタ78のフィルタ係数fC をブレーキ加圧手段制
御部57で得られる車速Vに基づいて定める係数決定手
段79と、ハイパスフィルタ78を通過した横方向加速
度αを前記車速Vで除算する除算手段80と、除算手段
80で得られたα/VにゲインK1 を乗じる補正手段と
しての第1増幅手段81と、第1増幅手段81の出力に
ゲインK2 を乗じる第2増幅手段82と、第2増幅手段
82の出力を補正して最終的な公転角速度γGを得る低
速補正手段83とを備える。
【0040】ハイパスフィルタ78は、横方向加速度検
出手段9で検出される横方向加速度αが、車両のローリ
ングの影響を受けることに基づき、横方向加速度αの低
周波域をカットして前記ローリングの影響を排除するた
めに用いられるものであり、係数決定手段79では、図
7で示すように、車速Vに応じたフィルタ係数fC が定
められる。而して車速Vが増大するにつれてロール速度
は遅くなるものであり、前記フィルタ係数fC はロール
速度が遅くなるにつれて高くなるように設定されること
になる。すなわちロール速度が遅い方がローリングに伴
なって生じる周波数成分が低くなるものであり、フィル
タ係数fC が図7で示すように設定されることにより、
ロール速度が遅くなるにつれて横方向加速度αのより低
周波域までの周波数成分がハイパスフィルタ78を通過
することになる。
【0041】除算手段80では、ハイパスフィルタ78
を通過した横方向加速度αが車速Vで割られることによ
り、車両の旋回中心まわりの現実の公転角速度が得られ
ることになる。すなわち図8において、車両が旋回半径
Rで旋回中心CC まわりに旋回しているときに、公転角
速度をωとしたときに車速VはV=R・ωで表され、ま
た横方向加速度αはα=(V2 /R)で表わされるもの
であり、それらの式に基づけば、ω=α/Vとなる。す
なわち(α/V)は車両旋回時の旋回中心CCまわりの
現実の公転角速度となる。
【0042】第1増幅手段81では、車速Vで定まるゲ
インK1 が除算手段80で得られた(α/V)に乗じら
れるものであり、該ゲインK1 は、図9で示すように設
定される。すなわちゲインK1 は、車速Vの増大に応じ
て低くなるように設定されるものであり、車速Vが増大
するにつれて車両のロール量は大きくなるので、ゲイン
1 はロール量が大きくなるにつれて小さくなるように
設定されることになる。而してローリング時にはロール
量の大きい方が、横方向加速度検出手段9で検出される
横方向加速度αに与える影響が大きいものであり、ロー
ル量が大きくなるにつれて補正量を大きくするようにし
て(α/V)が第1増幅手段81で補正されることにな
る。
【0043】第2増幅手段82では、第2公転角速度演
算手段62で得られる仮想の公転角速度γSで定まるゲ
インK2 が、第1増幅手段81で得られた値(α・K1
/V)に乗じられるものであり、ゲインK2 は、図10
で示すように設定される。
【0044】ところで、第2公転角速度演算手段62
は、図6で示すように、操舵角検出手段7で検出された
操舵角δの高周波域をカットしてノイズを除去するため
のローパスフィルタ84と、該ローパスフィルタ84を
通過した操舵角δに車速Vを乗じる乗算手段85と、乗
算手段85で得られた値にゲインK3 を乗じる第3増幅
手段86とを備えるものであり、第3増幅手段86で
は、車両のローリングの影響を排除するためにゲインK
3 が車速Vに応じて図9のゲインK1 と同様に設定され
ている。
【0045】このような第2公転角速度演算手段62の
乗算手段85で得られる乗算値(δ・V)は、車両操縦
者の操舵角δに車速Vが乗ぜられていることにより操縦
者の操舵意思を代表するものであり、前記乗算値(δ・
V)にゲインK3 を乗じて得られる値γSは、車両の操
縦者の旋回意思を反映した仮想の公転角速度である。し
たがって第1公転角速度演算手段61における第2増幅
手段82では、車両操縦者の操舵意思を表した仮想の公
転角速度γSで定まるゲインK2 が、現実の公転角速度
を示す値(α・K1 /V)に乗じられることになり、そ
の結果、第1公転角速度演算手段61で得られる現実の
公転角速度γGに操縦者の操舵意思が反映されることに
なる。低速補正手段83には、車速Vと、ローパスフィ
ルタ63を通過したヨーレートγとが入力されており、
車速Vが設定速度未満の低速であるときに第2増幅手段
82で得られた値(α・K1 ・K2 /V)が車速Vに基
づいて、次のようにして低速補正手段83で補正され
る。
【0046】すなわち低速補正手段83では、第1設定
速度VSH(たとえば40km/h)と、第1設定速度V
SHよりも小さな第2設定速度VSL(たとえば10km/
h)とが設定されており、(α・K1 ・K2 /V)=γ
G′としたときに、 車速Vが第1設定速度VSH以上のときには、 γG=γG′ 第2設定速度VSL<車速V<第1設定速度VSHのとき
には、 γG=K・γG′+(1−K)・γ K={(V−VSL)/(VSH−VSL)} 車速V≦第2設定速度VSLのときには、 γG=γ となるような演算が実行されて、γGが低速補正手段8
3で得られることになる。
【0047】すなわち低速補正手段83では、車速Vが
第1設定速度VSH未満の低速時には、(α・K1 ・K2
/V)を小さくするような補正が実行されることにな
る。これは、車速Vが複数の車輪速度検出手段6FL,6
FR,6RL,6RRの検出値に基づいて演算されることに対
処したものであり、各車輪速度検出手段6FL,6FR,6
RL,6RRの検出精度、すなわち車速Vの演算精度は低速
になるほど低下するものであるので、低速時にヨー運動
の過剰制御が生じてしまうことを防止すべく、(α・K
1 ・K2 /V)を小さく補正して制御感度を低下させる
ものである。
【0048】第1加え合わせ点64では、第1公転角速
度演算手段61すなわち低速補正手段83から出力され
る現実の公転角速度γGから、ローパスフィルタ63を
通過したヨーレートγを減算して車両の現実の横方向滑
り角変化速度(γG−γ)を得る演算が行なわれる。而
して車速Vが第2設定速度VSL以下の極低速時には第1
公転角速度演算手段61から出力される公転角速度γG
は低速補正手段83においてγに設定されているので、
そのときには横方向滑り角変化速度(γG−γ)は
「0」となる。
【0049】第2加え合わせ点65では、第2公転角速
度演算手段62から出力される仮想の公転角速度γSか
ら、ローパスフィルタ63を通過したヨーレートγを減
算して仮想の横方向滑り角変化速度(γS−γ)を得る
演算が行なわれる。
【0050】第1加え合わせ点64で得られた横方向滑
り角変化速度(γG−γ)は、バンク補正手段66に入
力される。このバンク補正手段66は、車両が傾斜した
走行路面(バンク)を走行しているか否かを判定すると
ともに、バンクを走行していると判定したときに横方向
滑り角変化速度(γG−γ)を補正するものである。
【0051】ところで、図11で示すようにバンク角θ
のバンクを車両がスラローム走行している状態を想定す
ると、ヨーレート検出手段8による検出ヨーレートγ′
と、横方向加速度検出手段9による検出横方向加速度
α′とは、重力加速度をGとしたときに、走行路面と平
行な平面での車両重心点まわりの自転角速度であるヨー
レートγ、ならびに走行路面と平行な平面での横方向加
速度αに対して、それぞれ次のように表わされる。
【0052】γ′=γcos θ α′=αcos θ−Gsin θ したがって検出ヨーレートγ′および検出横方向加速度
α′を用いて演算される公転角速度(α′/V)、なら
びに横滑り角変化速度{(α′/V)−γ′}は、それ
ぞれ次のようになる。
【0053】 α′/V=(α/V)cos θ−(G/V)sin θ (α′/V)−γ′=(α/V)cos θ−(G/V)sin θ−γcos θ ={α/V−γ}cos θ−(G/V)sin θ ≒{α/V−γ}−(G/V)sin θ すなわち、第1加え合わせ点64からバンク補正手段6
6に入力される横滑り角変化速度(γG−γ)には、バ
ンク走行時には{−(G/V)sin θ}がオフセット分
として加算されて来ることになる。
【0054】このようにバンク走行時には横滑り角変化
速度(γG−γ)にオフセット分{−(G/V)sin
θ}が加算されて来ることに基づいてバンク補正手段6
6は、図12で示すように構成されている。
【0055】すなわちバンク補正手段66は、第1加え
合わせ点64からの信号のうち低周波域および高周波域
をカットするバンドパスフィルタ88と、第1加え合わ
せ点64からの信号のうち高周波域をカットするローパ
スフィルタ89と、ローパスフィルタ89を通過した信
号からバンドパスフィルタ88を通過した信号を減算す
る第3加え合わせ点90と、第3加え合わせ点90で得
られた値を絶対値化する絶対値化手段91と、バンドパ
スフィルタ88を通過した信号に絶対値化手段91で得
られた値に応じて定まる第4ゲインK4 を乗じることに
より第1加え合わせ点64からの横滑り角変化速度(γ
G−γ)をバンク角に応じて補正する第4増幅手段92
とを備える。
【0056】ところで、バンク角θの変化率はヨー運動
制御に伴なう横滑り角変化速度(γG−γ)の変化に対
して充分に遅いので、第1加え合わせ点64で得られた
信号、すなわちオフセット分{−(G/V)sin θ}を
含む横滑り角変化速度(γG−γ)のうち低周波域成分
をカットすると、オフセット分{−(G/V)sin θ}
は除去されることになる。すなわちバンドパスフィルタ
88の出力にオフセット分{−(G/V)sin θ}は含
まれないことになる。また第1加え合わせ点64からの
信号がバンドパスフィルタ88およびローパスフィルタ
89に入力されることにより、バンドパスフィルタ88
およびローパスフィルタ89の出力から高周波ノイズは
除去されるが、ローパスフィルタ89の出力には、前記
オフセット分{−(G/V)sin θ}が含まれたままで
ある。
【0057】したがって、第3加え合わせ点90におい
て、ローパスフィルタ89を通過した信号からバンドパ
スフィルタ88を通過した信号を減算することにより、
第3加え合わせ点90ではオフセット分{−(G/V)
sin θ}が得られることになり、このオフセット分{−
(G/V)sin θ}はバンク角θを含む値であるので、
車両がバンクを走行しているか否かを第3加え合わせ点
90の出力で判定することができる。
【0058】第3加え合わせ点90で得られた値は絶対
値化手段91で絶対値化され、第4増幅手段92での第
4ゲインK4 は、図13で示すように、絶対値化手段9
1で得られたオフセット分{−(G/V)sin θ}の絶
対値に応じて設定される。而して第4ゲインK4 は、バ
ンク角θが大きくなるにつれて小さくなるものであり、
第1加え合わせ点64で得られた横方向滑り角変化速度
(γG−γ)は、バンク角θが大きくなるほど大きな補
正量で補正されることになり、バンク角θが所定値以上
になったときには横方向滑り角変化速度(γG−γ)が
強制的に「0」に定められ、ヨー運動の制御が停止され
ることになる。
【0059】ところで、上記バンク補正手段66では、
第1加え合わせ点64からの信号のうち低周波域および
高周波域をカットするためにバンドパスフィルタ88を
用いたが、直列に接続したローパスフィルタおよびハイ
パスフィルタをバンドパスフィルタ88に代えて用いて
もよく、また第1加え合わせ点64からの信号のうち高
周波域をローパスフィルタでカットした信号と該ローパ
スフィルタを通過した信号のうち低周波域をカットする
ハイパスフィルタの出力信号とを第3加え合わせ点90
に入力してもよく、さらに高周波ノイズを除去しないと
きには、第1加え合わせ点64からの信号のうち低周波
域をカットするハイパスフィルタの出力と第1加え合わ
せ点64からの信号とを第3加え合わせ点90に入力す
るようにしてもよい。
【0060】バンク補正手段66による補正が施された
横滑り角変化速度(γG−γ)は第1スリップ率変換手
段67に入力され、この第1スリップ率変換手段67に
おけるPID演算により、横滑り角変化速度(γG−
γ)に対応したスリップ率λOSが求められる。
【0061】図14において、第1スリップ率変換手段
67は、横滑り角変化速度(γG−γ)に基づくP項、
I項およびD項の演算をそれぞれ行なうP項演算手段9
3、I項演算手段94およびD項演算手段95と、第1
公転角速度変換手段61で得られた公転角速度γGを絶
対値化せしめる絶対値化手段99と、ローパスフィルタ
63を通過したヨーレートγを絶対値化せしめる絶対値
化手段100と、P項、I項およびD項演算手段93,
94,95の出力に絶対値化手段99で得られた|γG
|に応じて定まる第5ゲインK5 をそれぞれ乗じる第5
増幅手段96P,96I ,96D と、第5増幅手段96
P ,96I ,96D の出力に絶対値化手段100で得ら
れた|γ|に応じて定まる第6ゲインK6 をそれぞれ乗
じる第6増幅手段97P ,97I ,97D と、第6増幅
手段97P ,97I ,97D の出力を合算してスリップ
率λOSを得る加算手段98とを備える。
【0062】第5増幅手段96P ,96I ,96D での
第5ゲインK5 は、図15で示すように設定されるもの
であり、|γG|が小さくなるにつれて大きくなるよう
に設定される。ところで、|γG|は走行路面の摩擦係
数を代表するものであり、第5ゲインK5 は走行路面の
摩擦係数が低くなるにつれて大きくなるように設定さて
いることになる。これは、走行路面の摩擦係数が低いと
きには車両の方向安定性を乱し易いので、走行路面の摩
擦係数が高いときに比べてより小さな横滑り角変化速度
でヨー運動の制御に入ることが必要であるからであり、
ヨー運動の制御目標となるスリップ率λOSが走行路面
の摩擦係数が低いときには高いときに比べて大きくな
り、制御感度が敏感になる。
【0063】なお、走行路面の摩擦係数を代表するもの
として、横方向加速度検出手段9で検出される横方向加
速度αを前記公転角速度γGに代えて用いるようにして
もよい。
【0064】第6増幅手段97P ,97I ,97D での
第6ゲインK6 は、図16で示すように設定されてお
り、|γ|が大きくなるにつれて大きくなるように設定
される。而して|γ|は、車両の旋回程度を表すもので
あり、車両の旋回程度が大きいときには小さいときに比
べてヨー運動の制御に入り易くなることが望ましいの
で、ヨー運動の制御目標となり得るスリップ率λOSが
旋回程度が大であるときには小であるときに比べて大き
くなり、制御感度が敏感になる。
【0065】第2加え合わせ点65で得られた仮想の横
滑り角変化速度(γS−γ)は第2スリップ率変換手段
68に入力され、この第2スリップ率変換手段68によ
って、仮想の横滑り角変化速度(γS−γ)に対応した
スリップ率λUSが求められる。
【0066】図17において、第2スリップ率変換手段
68は、第2加え合わせ点65からのスリップ率λUS
に位相補正を加える位相補正手段105と、該位相補正
手段105による補正後にPID演算を実行するPID
演算手段106と、PID演算手段106による演算値
に第7ゲインK7 を乗じる第7増幅手段107と、第1
スリップ率変換手段67で得られたスリップ率λOSの
絶対値を得る絶対値化手段108とを備える。
【0067】位相補正手段105は、車両がスラローム
運転をしているときの位相補正を行なうものであり、図
18(a)で示すように、仮想の公転角速度γSと、ヨ
ーレートγとの間に位相のずれが生じているときに、ヨ
ーレートγが正方向であるにもかかわらず、前記位相の
ずれに応じて仮想の横滑り角変化速度(γS−γ)が図
8(b)で示すように負の方向となるように、ヨーレー
トγの方向と仮想の横滑り角変化速度(γS−γ)の方
向とが相互に逆転している期間(t1 〜t2 )について
は、(γS−γ)を強制的に「0」とする補正が位相補
正手段105で実行される。
【0068】第7増幅手段107では、スリップ率λO
Sの絶対値に基づいて第7ゲインK 7 が図19で示すよ
うに設定される。すなわち|λOS|の増加過程では、
第7ゲインK7 は矢印で示すように変化するものであ
り、|λOS|が「0」から或る値となるまでは第7ゲ
インK7 は「1.0」であり、|λOS|が前記或る値
を超して「0.01」となるまでは第7ゲインK7 は、
「1.0」から「0」まで減少し、|λOS|が「0.
01」以上になると第7ゲインK7 は「0」のままであ
る。また|λOS|の減少過程では、第7ゲインK7
「0」のままである。
【0069】したがって、第2スリップ率変換手段68
からは、|λOS|<1.0のときしかλUSが出力さ
れないこととなる。これは、該λUSが車両操縦者の操
舵意思を反映したアンダーステア抑制制御に用いられる
ものであることから、現実に生じている横滑り角変化速
度(γG−γ)が比較的小さい値の範囲でしか操舵意思
を反映したアンダーステア抑制制御を実行しないように
したことに基づくものである。
【0070】再び図5において、第1および第2スリッ
プ率変換手段67,68がそれぞれ得られたスリップ率
λOS,λUSは、制御選択手段69に入力される。こ
の制御選択手段69では、前記スリップ率λOS,λU
Sに基づいてオーバーステア抑制制御を実行するのか、
アンダーステア抑制制御を実行するのかを判定するとと
もに、オーバーステア抑制制御を行なうときには前記ス
リップ率λOSが、またアンダーステア抑制制御を行な
うときには前記スリップ率λUSが制御選択手段69で
選択される。
【0071】すなわち、γG,γSが車両の右旋回方向
に「正」の値となるようにし、またヨーレートγが時計
まわりであるときに「正」の値となるようにしたとき
に、制御選択手段69では、車両の右旋回時にλOS<
0(γG−γ<0)であるときにはオーバーステア状態
にあるので左前輪ブレーキBFLのブレーキ圧を増圧する
オーバーステア抑制制御を実行するためにλOSを選択
し、車両の左旋回時にλOS>0(γG−γ>0)であ
るときにはオーバーステア状態にあるので右前輪ブレー
キBFRのブレーキ圧を増圧するオーバステア抑制制御を
実行するためにλOSを選択する。また車両の右旋回時
にλUS<0、かつγ<0であるときにはアンダーステ
ア状態にあるので右前輪ブレーキBFRのブレーキ圧を増
圧するアンダーステア抑制制御を実行するためにλUS
を選択し、車両の左旋回時にλUS>0、かつγ>0で
あるときにはアンダーステア状態にあるので左前輪ブレ
ーキBFRのブレーキ圧を増圧するアンダーステア抑制制
御を実行するためにλUSを選択する。但し第2スリッ
プ率変換手段68では、|λOS|≧0.01のときに
はλUS=0となるように定められるので、アンダース
テア抑制制御の実行は、|λOS|<0.01であると
きに限られる。
【0072】制御選択手段69においてλOSおよびλ
USの何れかに選択されたスリップ率λは速度変換手段
70に入力され、この速度変換手段70では、スリップ
率λに基づいてブレーキ系ヨー運動制御目標車輪速度V
T が演算される。
【0073】図20において、ブレーキ加圧手段制御部
57は、車速検出手段としての車速演算手段110と、
目標車輪速度演算手段111と、第4加え合わせ点11
2と、ブレーキ圧制御量演算手段113とを備える。
【0074】車速演算手段110は、各車輪WFL
FR,WRL,WRRの車輪速度に基づいて車速Vを演算す
るものであり、この車速演算手段110で得られた車速
Vは、目標車輪速度演算手段111に入力されるととも
に、ヨー運動制御部55における第1および第2公転角
速度演算手段61,62に入力される。
【0075】目標車輪速度演算手段111には、車速演
算手段110で得られた車速Vと、ヨー運動制御部55
からのヨー運動制御目標車輪速度VT と、トラクション
制御を行なうための通常目標スリップ率とが入力されて
おり、該目標車輪速度演算手段111では、車速Vと通
常目標スリップ率とに基づいてトラクション制御用目標
車輪速度VTRC が演算され、ヨー運動制御目標車輪速度
T およびトラクション制御用目標車輪速度VTRC が目
標車輪速度演算手段111から出力される。而してV<
TRC であるのに対し、VT <Vである。
【0076】第4加え合わせ点112では、目標車輪速
度演算手段111からの目標車輪速度VT およびVTRC
と、左、右前輪の車輪速度との差がそれぞれ演算され、
第4加え合わせ点112の演算値がブレーキ圧制御量決
定手段113に入力される。
【0077】ブレーキ圧制御量決定手段113には、第
4加え合わせ点112からの信号に加えて、ブレーキ調
圧手段制御部57で得られた前輪加・減速度も入力され
ており、ブレーキ圧制御量決定手段113は、第4加え
合わせ点112の演算値および前輪加・減速度に応じて
ブレーキ加圧手段14A,14Bの各弁30A,30
B,31A,31Bを開閉制御するための制御信号を出
力する。
【0078】而してブレーキ圧制御量決定手段113で
は、基本的には前輪速度が目標車輪速度VT ,VTRC
りも大きいときにはブレーキ圧を増圧し、前輪速度が目
標車輪速度VT ,VTRC よりも小さいときにはブレーキ
圧を減圧する制御信号を出力するものであるが、前輪速
度が車速Vを超えたときにトラクション制御用目標車輪
速度VTRC に前輪速度を収束せしめるトラクション制御
を実行するときには、減圧連続時間の長いほど減圧速度
を大とするようにして減圧連続時間の関数で減圧速度が
定められ、前輪加速度が大となるほど増圧速度が大とな
るようにして前輪加・減速度の関数で増圧速度が定めら
れる。また前輪速度が車速V未満の状態でヨー運動制御
用目標車輪速度VT に前輪速度を収束せしめる方向安定
性制御を実行するときには、たとえば5m秒の減圧およ
び50m秒の保持を繰返すようにして減圧速度が一定に
定められ、(前輪速度−VT )が大きいほど増圧速度が
大となるようにして(前輪速度−VT )の関数で増圧速
度が定められる。さらに方向安定性制御を実行した後の
トラクション制御実行時には、たとえば127m秒の減
圧および1m秒の保持を繰返すようにして減圧速度が一
定に定められ、たとえば17m秒の増圧および20m秒
の保持を繰返すようにして増圧速度が一定に定められ
る。
【0079】ブレーキ調圧手段制御部58は、車速演算
手段115と、スリップ率演算手段116と、車輪加・
減速度演算手段117と、ブレーキ圧制御量決定手段1
18と、第5加え合わせ点119とを備える。
【0080】車速演算手段115は、各車輪WFL
FR,WRL,WRRの車輪速度に基づいて車速Vを演算す
るものであり、この車速演算手段110で得られた車速
Vは、スリップ率演算手段116に入力される。スリッ
プ率演算手段116には、車速Vに加えて各車輪速度検
出手段6FL,6FR,6RL,6RRで検出された車輪速度が
入力されており、車速Vと車輪速度とに基づいて各車輪
FL,WFR,WRL,WRR毎のスリップ率がスリップ率演
算手段116で演算され、該スリップ率演算手段116
で得られたスリップ率はブレーキ圧制御量決定手段11
8に入力される。また車輪加・減速度演算手段117に
は、各車輪速度検出手段6FL,6FR,6RL,6RRで検出
された車輪速度が入力されており、各車輪速度を微分す
ることにより各車輪WFL,WFR,WRL,WRR毎の車輪加
・減速度が車輪加・減速度演算手段117で演算され、
該車輪加・減速度演算手段117で得られた各車輪
FL,WFR,WRL,WRR毎の車輪加・減速度がブレーキ
圧制御量決定手段118に入力されるとともに、前輪W
FL,WFRの車輪加・減速度がブレーキ加圧手段制御部5
7のブレーキ圧制御量決定手段113に入力される。さ
らに車輪加・減速度演算手段117で得られた後輪
RL,WRRの車輪加・減速度はヨー運動制御部55にも
入力される。
【0081】第5加え合わせ点119では、各車輪速度
検出手段6FL,6FR,6RL,6RRで検出された各車輪速
度と、ヨー運動制御部55で得られたブレーキ系ヨー運
動制御目標車輪速度VT との差が演算され、この第5加
え合わせ点119での演算値はブレーキ圧制御量決定手
段118に入力される。
【0082】ブレーキ圧制御量決定手段118では、ス
リップ率演算手段116で得られたスリップ率に基づい
てアンチロックブレーキ制御を実行するための目標車輪
速度VABS が、車速Vよりも小さくなるようにして演算
される。また各車輪速度が目標車輪速度VABS よりも大
きいときにはブレーキ圧を増圧し、各車輪速度が目標車
輪速度VABS よりも小さいときにはブレーキ圧を減圧す
る制御信号を出力するようにして車輪速度を目標車輪速
度VABS に収束せしめるアンチロックブレーキ制御と、
前輪速度が目標車輪速度VT よりも大きいときに前輪ブ
レーキ圧を増圧し、前輪速度が目標車輪速度VT よりも
小さいときに前輪ブレーキ圧を減圧するようにして車輪
速度VT に前輪速度を収束せしめる方向安定性制御とを
実行するための制御量がブレーキ圧制御量決定手段11
8で定められ、該ブレーキ圧制御量決定手段118で決
定された制御量は、ヨー運動制御部55から得られる4
チャンネル制御切換え信号に基づいて、アンチロックブ
レーキ制御および方向安定性制御に応じて選択された車
輪に対応するブレーキ圧調圧手段10A,10B,13
A,13Bの各弁15A,15B,16A,16B,2
0A,20B,21A,21Bを開閉制御するようにし
てブレーキ圧制御量決定手段118から出力される。
【0083】而してブレーキ圧制御量決定手段118に
おいて、アンチロックブレーキ制御実行時の減圧時に
は、たとえば127m秒の減圧および1m秒の保持を繰
返すようにして減圧速度が一定に定められる。またアン
チロックブレーキ制御実行時の増圧時には車輪加・減速
度が正すなわち加速時には該車輪加・減速度が大となる
ほど増圧速度を大とし、車輪加・減速度が負すなわち減
速時には該車輪加・減速度のフィルタ値が大きいほど増
圧速度を大とするとともに増圧連続時間が長いほど増圧
速度を大とするようにして車輪加・減速度および増圧連
続時間の関数で増圧速度がブレーキ圧制御量決定手段1
18で定められる。
【0084】またブレーキ圧制御量決定手段118にお
いて、前輪速度をヨー運動制御用目標車輪速度VT に収
束せしめる方向安定性制御を実行するときには、たとえ
ば1m秒の減圧および128m秒の保持を繰返すように
して減圧速度が一定に定められ、(前輪速度−VT )が
大きいほど増圧速度が大となるようにして車輪加・減速
度の関数で増圧速度が定められる。
【0085】このようにして、ブレーキ圧制御量決定手
段113,118では、アンチロックブレーキ制御およ
びトラクション制御時には増・減圧速度の一方が車輪加
・減速度演算手段117で得られた車輪加・減速度に基
づいて定められ、また方向安定性制御時には増・減圧速
度の一方がヨー運動制御部55で得られた目標車輪速V
T に基づいて定められることになる。
【0086】図21において、エンジン出力制御部56
は、ローセレクト手段120と、ハイセレクト手段12
1と、スリップ率演算手段122と、第6加え合わせ点
123と、第7加え合わせ点124と、PID演算手段
125とを備える。
【0087】ローセレクト手段120では、左、右駆動
輪すなわち左、右前輪WFL,WFRの車輪速度を検出する
車輪速度検出手段6FL,6FRの検出値のうち低い方が選
択され、このローセレクト手段120で得られた車輪速
度はスリップ率演算手段122に入力される。またハイ
セレクト手段121では、各車輪速度6FL,6FR
RL,6RRの検出値のうち最高のものが、車体速度であ
るとして選択され、ハイセレクト手段121で得られた
車体速度がスリップ率演算手段122に入力される。
【0088】スリップ率演算手段122では、ハイセレ
クト手段121で得られた車体速度と、ローセレクト手
段120で得られた駆動輪の車輪速度とに基づいてスリ
ップ率が演算され、第6加え合わせ点123において、
トラクション制御を実行するための基準となる通常の目
標スリップ率と、スリップ率演算手段122で得られた
スリップ率との差が演算れる。この第6加え合わせ点1
23で得られた演算値は第7加え合わせ点124に入力
され、第7加え合わせ点124においては、ヨー運動制
御部55で得られたヨー運動制御目標スリップ率と前記
演算値との差が演算され、PID演算手段125では、
第7加え合わせ点124での演算値に基づくPID演算
が実行される。而してPID演算手段125からは、た
とえば燃料噴射弁やスロットル弁の作動を制御してエン
ジンを調節するためのエンジン出力調節信号が出力され
ることになる。
【0089】次にこの実施例の作用について説明する
と、X配管式のブレーキ構成を有するFF車両におい
て、左、右前輪ブレーキBFL,BFRに個別に通じ得る第
1液圧路19A,19Bと、マスタシリンダMの両出力
ポート2A,2Bに個別に通じる第2液圧路34A,3
4Bとの間に、左、右前輪ブレーキ加圧手段14A,1
4Bがそれぞれ設けられ、両前輪ブレーキ加圧手段14
A,14Bにより、非ブレーキ操作時に過剰スリップを
生じそうになった前輪に対応する左、右前輪ブレーキ加
圧手段14A,14Bを作動せしめるトラクション制御
と、旋回走行状態でのオーバーステア時に旋回外輪側の
前輪に対応する左、右前輪ブレーキ加圧手段14A,1
4Bを作動せしめるとともにアンダーステア時に旋回内
輪側の前輪に対応する左、右前輪ブレーキ加圧手段14
A,14Bを作動せしめる方向安定性制御とが実行され
る。
【0090】したがって、X配管形式のブレーキ構成を
有するFF車両において、より簡単な構成でトラクショ
ン制御および効果的な方向安定性制御を行なうことが可
能となる。
【0091】また左、右前輪ブレーキ加圧手段14A,
14Bは、マスタシリンダMの両出力ポート2A,2B
および第1液圧路19A,19B間を遮断した状態で、
第2ポンプ28の出力液圧を調節して得られる液圧を第
1液圧路19A,19Bに間接的に作用せしめることが
可能であり、第1液圧路19A,19Bおよび左、右前
輪ブレーキBFL,BFR間にそれぞれ設けられる左、右前
輪ブレーキ調圧手段13A,13Bは、第1ポンプ22
A,22Bの出力液圧を左、右前輪ブレーキB FL,BFR
に作用せしめたり、左、右前輪ブレーキBFL,BFRの液
圧をリザーバ18A,18Bに解放したりして左、右前
輪ブレーキBFL,BFRのブレーキ液圧を調圧することが
可能であり、さらにマスタシリンダMの両出力ポート2
A,2Bおよび右、左後輪ブレーキBRR,BRL間には、
マスタシリンダMから液圧が出力されている状態で右、
左後輪ブレーキBRR,BRLのブレーキ液圧を調圧可能な
ブレーキ液圧調圧手段10A,10Bが設けられてい
る。
【0092】したがって非ブレーキ操作時に左、右前輪
ブレーキ加圧手段14A,14Bの作動制御によるトラ
クション制御および方向安定性制御を実行可能である上
に、ブレーキ操作時に、各ブレーキ調圧手段10A,1
0B,13A,13Bのロック状態に陥りそうになった
車輪に対応するものを作動せしめることにより、各車輪
がロック状態に陥ることを防止するようにしたアンチロ
ックブレーキ制御を実行することができる。したがって
X配管形式のブレーキ構成を有するFF車両において、
駆動輪である両前輪WFL,WFRに対応した左、右前輪ブ
レーキ調圧手段13A,13Bおよび左、右前輪ブレー
キ加圧手段14A,14Bと、従動輪である両後輪
RL,WRRに対応した左、右後輪ブレーキ調圧手段10
A,10Bとを備えた簡単な構成で、トラクション制
御、効果的な方向安定性制御およびアンチロックブレー
キ制御を行なうことができる。
【0093】ところで、車両の方向安定制御を実行する
にあたっては、ヨー運動制御部55において、第1公転
角速度演算手段61で得られた公転角速度γGからヨー
レー検出手段8で得られたヨーレートγを減算するよう
にして、第1加え合わせ点64で横滑り角変化速度(γ
G−γ)が得られ、その横滑り角変化速度(γG−γ)
に基づくヨー運動の制御が行なわれるのであるが、第1
公転角速度演算手段61では、公転角速度γGを得るた
めに、横方向加速度検出手段9で検出された横方向加速
度αを車速Vで除した値(α/V)が除算手段80で除
算される。しかも除算手段80に入力される横方向加速
度αは、ハイパスフィルタ78を通過したものである。
したがって、車両のローリングによる検出横方向加速度
αに与える影響を排除することができ、しかもハイパス
フィルタ78でのカットオフ周波数を定めるフィルタ係
数fc が、車速Vが増大するほどカットオフ周波数が低
くなるように車速Vに応じて設定されるので、車速の増
大に応じて車両のロール速度が遅くなることに基づき、
検出した横方向加速度αへのローリングによる影響をロ
ール速度に応じて排除して制御精度を向上することが可
能となる。
【0094】また除算手段80で得られた(α/V)が
第1増幅手段81において車速Vに応じて補正される
か、横方向加速度検出手段9で検出された横方向加速度
αが車速Vに応じて補正されるが、その補正量は車速V
の増大に応じて大となるものであり、車速Vの増大に応
じてロール量は大きくなるものであるので、ロール量の
大きさに応じて横方向加速度αに与えるローリングの影
響を排除して制御精度を向上することが可能となる。
【0095】ところで、操舵角検出手段7で検出された
操舵角δに車速Vを乗じることにより、操縦者の操舵意
思を代表する値が第2公転角速度演算手段62で得ら
れ、第1公転角速度演算手段61においては、現実の公
転角速度を代表するものとして除算手段80で得られる
(α/V)が、第2公転角速度演算手段62で得られた
値に基づいて補正される。したがって操縦者の操舵意思
を代表する値に基づいて現実の公転角速度γGが補正さ
れることになり、ヨー運動を制御する基準となる横滑り
角変化速度(γG−γ)に車両操縦者の操舵意思が反映
されるので、操縦者が違和感を感じることがないように
して車両のヨー運動制御が実行されることになる。
【0096】さらに第1公転角速度演算手段61では、
前記除算手段80で得られた値(α/V)が低速補正手
段83で補正されるものであり、この低速補正手段83
は、車速Vが第1設定速度VSH未満の低速であるときに
前記横滑り角変化速度が「0」を含む小さな値となるよ
うにして車速Vに基づいて前記(α/V)を補正するも
のである。したがって、車速Vを得る車速演算手段10
0が各車輪速度検出手段6FL,6FR,6RL,6RRの検出
値に基づいて車速Vを演算するものであることに起因し
て、低車速時に演算精度が低くなるにもかかわらず、低
車速時には制御感度を低下させ、過剰制御が生じること
を防止することができる。
【0097】第1加え合わせ点64で得られた横滑り角
変化速度(γG−γ)は、バンク補正手段66に入力さ
れ、このバンク補正手段66では、第1加え合わせ点6
4の出力から低周波域成分がバンドパスフィルタ88で
カットされ、このバンドパスフィルタ88の出力と、高
周波ノイズを除去するローパスフィルタ89を通過して
きた第1加え合わせ点64の出力との差が、第3加え合
わせ点90で演算される。而して、横方向加速度検出手
段9およびヨーレート検出手段8の検出値はバンク角の
影響を受けるものであり、したがって横方向加速度検出
手段9およびヨーレート検出手段8の検出値に基づいて
第1加え合わせ点64で得られる横滑り角変化速度(γ
G−γ)にはバンクの影響を受けたオフセット分が含ま
れている。しかもバンク角の変化率はヨー運動制御に伴
なう横滑り角変化速度(γG−γ)の変化に対して充分
に遅いので、バンドパスフィルタ88を通過した信号に
は前記オフセット分が含まれなくなり、バンドパスフィ
ルタ88の出力と、低周波域成分を含むローパスフィル
タ89の出力との差を第3加え合わせ点90で得るよう
にすれば、第3加え合わせ点90の出力は前記オフセッ
ト分に対応したものとなり、そのオフセット分によりバ
ンク角すなわち車両がバンクを走行中であるか否かを容
易に判定することができる。
【0098】しかも第3加え合わせ点90で得られた出
力差に基づいて、バンドパスフィルタ88の出力が第4
増幅手段92で補正されるので、バンク角に対応した信
号に基づいて横滑り角変化速度(γG−γ)が補正され
ることになり、バンク角に対応したヨー運動の制御を行
なうことが可能となる。
【0099】バンク補正手段66で補正された後の横滑
り角変化速度(γG−γ)に基づいて第1スリップ率変
換手段67でのPID演算によりオーバーステア抑制制
御を実行するためのスリップ率λOSが得られるが、こ
の第1スリップ率変換手段67では、横滑り角変化速度
(γG−γ)が、第1公転角速度演算手段61で得られ
た公転角速度γGもしくは横方向加速度検出手段9で検
出された横方向加速度αに基づき、第5増幅手段9
P ,96I ,96D で補正が施される。而して公転角
速度γGもしくは横方向加速度αは、走行路面の摩擦係
数を代表するものであり、走行路面の摩擦係数に応じて
制御感度を変化させることができる。
【0100】さらに第1スリップ率変換手段67では、
ヨーレート検出手段8で検出されたヨーレートγに基づ
き、第6増幅手段97P ,97I ,97D で補正が施さ
れる。すなわち車両の旋回程度を表すヨーレートγに基
づいて横滑り角変化速度(γG−γ)の補正がなされる
ので、車両の旋回程度に応じて制御感度を変化させるこ
とができる。
【0101】さらにブレーキ圧制御量決定手段113,
118では、アンチロックブレーキ制御およびトラクシ
ョン制御の実行時には、車輪加・減速度に基づいてブレ
ーキ圧の増・減圧速度の一方が定められており、車輪挙
動に対して適切なブレーキ力を得るための制御であるア
ンチロックブレーキ制御およびトラクション制御を適切
に実行して制御対象である車輪速度を速やかに制御量に
収束させることができる。またブレーキ圧制御量決定手
段113,118において方向安定性制御の実行時に
は、車両の方向安定性を保持するための基準となる目標
車輪速VT に基づいてブレーキ圧の増・減圧速度の一方
が定められており、車両の挙動に対して適切なブレーキ
力を得るための方向安定性制御を適切に実行し、車両の
方向を速やかに安定方向に収束させることができる。
【0102】以上、本発明の実施例を詳述したが、本発
明は上記実施例に限定されるものではなく、特許請求の
範囲に記載された本発明を逸脱することなく種々の設計
変更を行なうことが可能である。
【0103】たとえば上記実施例では、アンチロックブ
レーキ制御およびトラクション制御の実行時に車輪加・
減速度に基づいてブレーキ圧の増・減圧速度の一方が定
められ、方向安定性制御の実行時に目標車輪速VT に基
づいてブレーキ圧の増・減圧速度の一方が定められてい
たが、アンチロックブレーキ制御およびトラクション制
御の実行時に車輪加・減速度に基づいて増・減圧速度の
少なくとも一方が定められ、方向安定性制御の実行時に
目標車輪速VT に基づいてブレーキ圧の増・減圧速度の
少なくとも一方が定められていればよい。
【0104】
【発明の効果】以上のように請求項1記載の発明によれ
ば、横方向加速度検出手段で検出された横方向加速度の
低周波域成分がハイパスフィルタでカットされることに
より、車両のローリングによる検出横方向加速度に与え
る影響を排除することができ、しかもハイパスフィルタ
でのカットオフ周波数を定めるフィルタ係数が、車速が
増大するほど前記カットオフ周波数が低くなるように車
速に応じて設定され、車両のロール速度は車速の増大に
応じて遅くなるものであるので、検出した横方向加速度
へのローリングによる影響をロール速度に応じて排除
し、制御精度を向上することが可能となる。
【0105】また請求項2記載の発明によれば、(横方
向加速度/車速)の値もしくは横方向加速度検出手段で
検出された横方向加速度を車速に応じて補正し、その補
正量を車速の増大に応じて大とするようにし、車速の増
大に応じてロール量が大きくなるの対処して、ロール量
の大きさに応じて横方向加速度に与えるローリングの影
響を排除し、制御精度を向上することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】フロントエンジン・フロントドライブ車両の駆
動系およびブレーキ系を示す図である。
【図2】ブレーキ装置の構成を示す図である。
【図3】制御アクチュエータの構成を示す縦断面図であ
る。
【図4】制御ユニットの構成を示すブロック図である。
【図5】ヨー運動制御部の構成を示すブロック図であ
る。
【図6】第1および第2公転角速度演算手段の構成を示
すブロック図である。
【図7】係数決定手段でのフィルタ係数設定マップを示
す図である。
【図8】旋回中心まわりの公転角速度を説明するための
図である。
【図9】第1増幅手段でのゲイン設定マップを示す図で
ある。
【図10】第2増幅手段でのゲイン設定マップを示す図
である。
【図11】バンク判定・補正を説明するための図であ
る。
【図12】バンク補正手段の構成を示すブロック図であ
る。
【図13】第4増幅手段でのゲイン設定マップを示す図
である。
【図14】第1スリップ率変換手段の構成を示すブロッ
ク図である。
【図15】第5増幅手段でのゲイン設定マップを示す図
である。
【図16】第6増幅手段でのゲイン設定マップを示す図
である。
【図17】第2スリップ率変換手段の構成を示すブロッ
ク図である。
【図18】位相補正を説明するための図である。
【図19】第7増幅手段でのゲイン設定マップを示す図
である。
【図20】ブレーキ加圧手段制御部およびブレーキ調圧
手段制御部の構成を示すブロック図である。
【図21】エンジン出力制御部の構成を示すブロック図
である。
【符号の説明】
8・・・ヨーレート検出手段 9・・・横方向加速度検出手段 61・・・公転角速度演算手段 64・・・横滑り角変化速度演算手段としての第1加え
合わせ点 78・・・ハイパスフィルタ 79・・・係数決定手段 80・・・除算手段 81・・・補正手段としての第1増幅手段 110・・・車速検出手段としての車速演算手段

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 車速を検出する車速検出手段(110)
    と、車両の横方向加速度を検出する横方向加速度検出手
    段(9)と、車両のヨーレートを検出するヨーレート検
    出手段(8)と、横方向加速度検出手段(9)で検出さ
    れた横方向加速度を前記車速検出手段(110)で検出
    された車速で除すことにより車両の旋回中心まわりの公
    転角速度を得る公転角速度演算手段(61)と、該公転
    角速度演算手段(61)で得られた公転角速度から前記
    ヨーレート検出手段(8)で検出されたヨーレートを引
    いて車両の横滑り角変化速度を得る横滑り角変化速度演
    算手段(64)とを備え、該横滑り角変化速度演算手段
    (64)で得られた横滑り角変化速度に基づいて車両の
    ヨー運動を制御する車両の運動制御装置において、前記
    公転角速度演算手段(61)は、前記横方向加速度検出
    手段(8)で検出された横方向加速度の低周波域成分を
    カットするハイパスフィルタ(78)と、前記車速検出
    手段(110)で検出された車速が増大するほど前記ハ
    イパスフィルタ(78)でのカットオフ周波数が低くな
    るようにして前記ハイパスフィルタ(78)のフィルタ
    係数を前記車速検出手段(110)で検出された車速に
    応じて定める係数決定手段(79)と、前記ハイパスフ
    ィルタ(78)を通過した横方向加速度を前記車速検出
    手段(110)で検出された車速で除算する除算手段
    (80)とを含むことを特徴とする車両の運動制御装
    置。
  2. 【請求項2】 車速を検出する車速検出手段(110)
    と、車両の横方向加速度を検出する横方向加速度検出手
    段(8)と、車両のヨーレートを検出するヨーレート検
    出手段(9)と、横方向加速度検出手段(8)で検出さ
    れた横方向加速度を前記車速検出手段(110)で検出
    された車速で除すことにより車両の旋回中心まわりの公
    転角速度を得る公転角速度演算手段(61)と、該公転
    角速度演算手段(61)で得られた公転角速度から前記
    ヨーレート検出手段(9)で検出されたヨーレートを引
    いて車両の横滑り角変化速度を得る横滑り角変化速度演
    算手段(64)とを備え、該横滑り角変化速度演算手段
    (64)で得られた横滑り角変化速度に基づいて車両の
    ヨー運動を制御する車両の運動制御装置において、前記
    公転角速度演算手段(61)は、前記横方向加速度検出
    手段(8)で検出された横方向加速度を前記車速検出手
    段(110)で検出された車速で除算する除算手段(8
    0)と、前記車速検出手段(110)で検出された車速
    が増大するほど補正量を大とするようにして前記除算手
    段(80)の除算値もしくは横方向加速度検出手段
    (8)で検出された横方向加速度を補正する補正手段
    (81)とを含むことを特徴とする車両の運動制御装
    置。
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